照光式スイッチ
【課題】ELシートから発せられる電磁波ノイズを良好にシールドし、且つ良好なクリック感を得ることができる照光式スイッチを提供する。
【解決手段】
照光式スイッチ10は、基板11と、基板11上に形成されたスイッチパターン12と、スイッチパターン12に対向し、且つスイッチパターン12に接離可能に設けられた可動接点13と基板11と可動接点13とを覆うように形成されたELシート14と、を備える。ELシート14はノイズをシールドするシールド層27を備えており、シールド層27は、スイッチパターン12及び可動接点13と対向する領域に形成された開口部27aを備える。
【解決手段】
照光式スイッチ10は、基板11と、基板11上に形成されたスイッチパターン12と、スイッチパターン12に対向し、且つスイッチパターン12に接離可能に設けられた可動接点13と基板11と可動接点13とを覆うように形成されたELシート14と、を備える。ELシート14はノイズをシールドするシールド層27を備えており、シールド層27は、スイッチパターン12及び可動接点13と対向する領域に形成された開口部27aを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL(Electro Luminescence)シートを用いた照光式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、電子手帳等の携帯用電子機器のスイッチキーを暗所でも操作できるよう、スイッチキー部を透明部材から形成し、背面にバックライトが設けられたものが知られている。バックライト光源として、例えばELシートが用いられている。
【0003】
ELシートは、例えば50〜200Vrms、200Hz〜1KHzの交流電圧を印加することによって発光する。このようにELシートは、高周波・高電圧で発光するため電磁波ノイズが発生し、ELシートが搭載された電子機器に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0004】
そこで、図3に示すように導電性材料が混合された弾性材料から形成され、EL素子から発せられる電磁波ノイズをシールドするシールド層として機能する弾性シート81を備える照光式スイッチ80が開発されている(例えば特許文献1)。
【0005】
図3に示すように照光式スイッチ80は、弾性シート81と、ELシート82と、スイッチシート83と、電極84と、接着層85と、基板86と、を備える。弾性シート81は、ELシート82とスイッチシート83との間に形成され、ELシート82から発生する電磁波ノイズをシールドする。
【0006】
ELシート82に形成された突起部82aに対向する位置に形成された図示しないスイッチキーによってELシート82が押圧されると、突起部82aが下方向に押し出され、弾性シート81及びスイッチシート83のドーム状に形成された領域が弾性変形し、電極84が変形する。電極84が変形することによって、基板86上に形成された図示しないスイッチパターンが電気的に導通され、ELシート82に電圧が印加される。
【特許文献1】特開2004−253217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された照光式スイッチ80では、弾性変形してスイッチとして機能する領域上にも弾性シート81が形成されるため、スイッチ部分の剛性が強くなり、クリック感が良好に得られない、スイッチを動作させることができない等の問題があった。
【0008】
そこで、ELシートから発せられる電磁波ノイズを良好にシールドし、且つ良好なクリック感を得ることができる照光式スイッチが求められていた。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ELシートから発せられる電磁波ノイズをシールドし、且つ良好なクリック感を得ることができる照光式スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る、照光式スイッチは、
基板と、前記基板上に形成されたスイッチパターンと、前記スイッチパターンに対向し、且つ前記スイッチパターンに接離可能に設けられた電極と、前記基板と前記スイッチパターンと前記電極とを覆うように形成されたEL(Electro Luminescence)シートと、を備える照光式スイッチであって、
前記ELシートには、電磁波ノイズをシールドするシールド層が設けられ、
前記シールド層には、前記電極と対向する領域に開口部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
前記ELシートは、前記スイッチパターン及び前記電極を覆うように形成されたドーム状の領域と、前記基板を覆うように形成されたシート状の領域とを設けてもよい。
【0012】
前記シールド層の前記開口部は、前記ドーム状の領域とほぼ同じ径としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイッチパターンに接離可能に設けられた電極に対向する領域に開口部を有するシールド層をELシートに設けることによって、ELシートから発せられる電磁波ノイズを良好にシールドし、且つ良好なクリック感を得ることが可能な照光式スイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る照光式スイッチにつき、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る照光式スイッチ10の断面図を図1に示す。図2は、照光式スイッチ10の平面図である。なお、図2では説明を容易にするため、後述する可動接点13と、EL(Electro Luminescence)シート14と、ELシート14内に形成されたシールド層27とを特に図示し、その他は省略している。
【0016】
照光式スイッチ10は、図1及び図2に示すように、基板11と、スイッチパターン12と、可動接点13と、ELシート14と、接着層15と、を備える。
【0017】
基板11は、プリント基板、フレキシブルプリント基板等から構成される。基板11の背面には照光式スイッチ10が搭載された電子機器の回路(図示せず)等が形成される。基板11上に、ELシート14がポリ酢酸エチル系、ポリ酢酸ビニル系の非導電性の接着剤から構成された接着層15によって固着される。また、基板11上には固定接点11aが円形に形成されており、可動接点13の端部は、固定接点11aに接触するように設けられる。
【0018】
スイッチパターン12は、カーボンや、銀等の導電性の高い金属から構成され、基板11上に形成される。スイッチパターン12は、スイッチ用接点の働きをする。スイッチパターンの回路が導通されることによって、照光式スイッチ10が搭載された電子機器に入力信号を発信し、ELシート14が発光する。
【0019】
可動接点13は、ウレタンゴム等の弾性材料にカーボン粉等の導電性材料を混合させたものから構成され、図1に示すように基板11の固定接点11a上に形成される。可動接点13は、平面形状が円形のドーム状に形成される。また可動接点13は、スイッチパターン12と対向し、且つ接離可能に基板11の固定接点11a上に設置される。可動接点13は接着層15を介してELシート14のドーム部14aの内部に固着されている。結果として、後述するようにELシート14のドーム部14aの変形に伴い可動接点13も弾性変形する。
【0020】
また、可動接点13は、図2に示すように照光式スイッチ10内に複数形成される。可動接点13の径(2r)は、可動接点13にかかる荷重等によって定まり、本実施の形態では、例えば4mm程度に形成される。
【0021】
ELシート14は、表面保護フィルム21と、透明電極22と、発光層23と、絶縁層24と、背面電極25と、電極絶縁層26と、シールド層27と、背面保護膜28と、から構成される。
【0022】
ELシート14に図示しない電源から交流電圧が印加されると、ELシート14の発光層23が発光する。
【0023】
ELシート14は、図1に示すように基板11上に、ポリ酢酸エチル系、ポリ酢酸ビニル系の非導電性の接着剤から構成された接着層15を介して固着される。また、ELシート14は、図1に示すように、スイッチパターン12及び可動接点13を覆うように平面形状が円形であるドーム状に形成されたドーム部14aと、接着層15を介して基板11上に固着されたシート部14bとを備える。ELシート14のドーム部14aの内側は、接着層15を介して可動接点13に固着される。
【0024】
ELシート14のドーム部14aは、図2に示すようにELシート14内に複数形成されており、ドーム部14aは可動接点13から所定程度(α)離間して形成される。従って、ドーム部14aの直径は、可動接点13の直径2rより2αだけ大きく形成される。可動接点13から離間する距離は、ELシート14の剛性、ドーム部14aにかかる荷重、ドーム部14aの形状等から決定する。具体的に本実施の形態では、可動接点13の直径が約4mmの場合、ドーム部14aは可動接点13から1mm程度離間するため、ドーム部14aの直径は約6mmに形成される。
【0025】
ELシート14のドーム部14aを押圧すると、ドーム部14aは弾性変形し、これに伴い可動接点13も弾性変形する。可動接点13が弾性変形すると、基板11に接近し、スイッチパターン12に接触する。これにより、スイッチパターンの回路が導通され、照光式スイッチ10が搭載された電子機器に入力信号が発信される。
【0026】
表面保護フィルム21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成される。
【0027】
透明電極22は、インジウム−スズ酸化物(ITO)から構成され、表面保護フィルム21上に形成される。
【0028】
発光層23は、発光インクから構成され、透明電極22上に形成される。発光層23の発光インクは、Cuをドープした硫化亜鉛(ZnS)をフッ素樹脂バインダに混合し、撹拌して形成される。フッ素樹脂バインダは、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体をメチルエチルケトンに溶かしたものである。
【0029】
絶縁層24は、発光層23と背面電極25との間に形成される。絶縁層24は、チタン酸バリウム(BaTiO3)からなる高誘電体物質と、フッ素樹脂バインダを混合して形成される。
【0030】
背面電極25は、ポリエステルをバインダとしてカーボン粉を混合したカーボンインクから構成され、絶縁層24と電極絶縁層26との間に形成される。背面電極25と透明電極22との間に電圧が印加されると、発光層23は発光する。なお、カーボン粉に限らず、カーボン粉と銅粉、銀粉、アルミニウム粉等とを混合させ、ポリエステル等に分散させても良い。
【0031】
シールド層27はカーボン、アルミニウム等から構成され、電極絶縁層26と背面保護膜28との間に形成される。シールド層27は、基板11に形成された図示しない接地電極に電気的に接続されており、ELシート14から発せられる電磁波ノイズをシールドする。
【0032】
また、シールド層27は、図1及び図2に示すようにスイッチパターン12及び可動接点13と対向する領域に開口部27aを備える。シールド層27の開口部27aは、ELシート14のドーム部14aが形成される領域に対応し、ドーム部14aとシート部14bとの境界部近傍に形成される。従って、開口部27aは、ドーム部14aとほぼ同じ径を有する。
【0033】
シールド層27の開口部27aは、大きく形成すると電磁波ノイズをシールドする効果が低下する。一方で、小さく形成すると良好なクリック感を得ることができない。このため、本実施の形態では、シールド層27の開口部27aは、ドーム部14aの径とほぼ同じに形成される。具体的には、本実施の形態では、可動接点13から1mm程度離間してELシート14のドーム部14aが形成されるため、シールド層27の開口部27aの径も6mm程度に形成される。
【0034】
背面保護膜28は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等から構成され、シールド層27の下面及び電極絶縁層26の下面に形成される。
【0035】
以上の構成を採る本発明の照光式スイッチ10において、シールド層27は可動接点13に対向する領域に開口部27aを有しており、ELシート14のドーム部14aを除くシート部14bにのみノイズをシールドするシールド層27が形成される。このように、スイッチとして弾性変形するドーム部14aに、剛性の強いシールド層27を形成しないことによって、ドーム部14aの剛性が過度に強くならず、良好なクリック感を得ることができる。
【0036】
また、本発明のELシート14のシールド層27の開口部27aは、ドーム部14aとシート部14bとの境界部近傍に形成される。換言すれば、シールド層27は、ドーム部14aとシート部14bの境界部に及んで形成されるため、ELシート14から発生する電磁波ノイズを良好にシールドすることができる。従って、電磁波ノイズを良好にシールドし、且つ良好なクリック感を得ることが可能な照光式スイッチ10が実現される。
【0037】
本発明は上述した実施の形態に限られず様々な修正及び応用が可能である。例えば、上述した実施の形態では、シールド層27は、ELシート14のドーム部14aの形成される領域に対応して、ドーム部14aとほぼ同じ径を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、シールド層27の開口部27aの径を上述した実施の形態よりも小さく形成し、ドーム部14aの頂点部分に配置させることも可能である。また、逆にドーム部14aに対応する位置にドーム部14aよりも大きな径を有するように開口部27aを形成することも可能である。シールド層27の開口部27aをどの程度に形成するかは、ELシート14の剛性等の特性、ドーム部14aの形状等を考慮し、良好なクリック感を得ることができ、且つ電磁波ノイズを良好にシールドできるよう決定する。
【0038】
また、可動接点13は、弾性材料に導電性材料を混入する構成を例に挙げて説明したが、これに限られずPET等によってドーム状の部材を形成し、ドーム状の部材の内側にアルミニウム等を蒸着させて電極を形成する構成を採ることも可能である。また、アルミニウム等を蒸着させる構成に限られず、ドーム状部材の内側に例えばゴム等にカーボン等を混入したものを塗布し電極を形成しても良い。
【0039】
可動接点13は、ウレタンゴムから構成される場合に限られず、例えばポリオレフィン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、フッ素系エラストマ等を用いることができる。また、導電性材料として、ニッケル、銅、金、銀、スズ等を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る照光式スイッチの断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る照光式スイッチの平面図である。
【図3】従来の照光式スイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 照光式スイッチ
11 基板
12 スイッチパターン
13 可動接点
14 ELシート
15 接着層
21 表面保護フィルム
22 透明電極
23 発光層
24 絶縁層
25 背面電極
26 電極絶縁層
27 シールド層
28 背面保護膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL(Electro Luminescence)シートを用いた照光式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、電子手帳等の携帯用電子機器のスイッチキーを暗所でも操作できるよう、スイッチキー部を透明部材から形成し、背面にバックライトが設けられたものが知られている。バックライト光源として、例えばELシートが用いられている。
【0003】
ELシートは、例えば50〜200Vrms、200Hz〜1KHzの交流電圧を印加することによって発光する。このようにELシートは、高周波・高電圧で発光するため電磁波ノイズが発生し、ELシートが搭載された電子機器に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0004】
そこで、図3に示すように導電性材料が混合された弾性材料から形成され、EL素子から発せられる電磁波ノイズをシールドするシールド層として機能する弾性シート81を備える照光式スイッチ80が開発されている(例えば特許文献1)。
【0005】
図3に示すように照光式スイッチ80は、弾性シート81と、ELシート82と、スイッチシート83と、電極84と、接着層85と、基板86と、を備える。弾性シート81は、ELシート82とスイッチシート83との間に形成され、ELシート82から発生する電磁波ノイズをシールドする。
【0006】
ELシート82に形成された突起部82aに対向する位置に形成された図示しないスイッチキーによってELシート82が押圧されると、突起部82aが下方向に押し出され、弾性シート81及びスイッチシート83のドーム状に形成された領域が弾性変形し、電極84が変形する。電極84が変形することによって、基板86上に形成された図示しないスイッチパターンが電気的に導通され、ELシート82に電圧が印加される。
【特許文献1】特開2004−253217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された照光式スイッチ80では、弾性変形してスイッチとして機能する領域上にも弾性シート81が形成されるため、スイッチ部分の剛性が強くなり、クリック感が良好に得られない、スイッチを動作させることができない等の問題があった。
【0008】
そこで、ELシートから発せられる電磁波ノイズを良好にシールドし、且つ良好なクリック感を得ることができる照光式スイッチが求められていた。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ELシートから発せられる電磁波ノイズをシールドし、且つ良好なクリック感を得ることができる照光式スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る、照光式スイッチは、
基板と、前記基板上に形成されたスイッチパターンと、前記スイッチパターンに対向し、且つ前記スイッチパターンに接離可能に設けられた電極と、前記基板と前記スイッチパターンと前記電極とを覆うように形成されたEL(Electro Luminescence)シートと、を備える照光式スイッチであって、
前記ELシートには、電磁波ノイズをシールドするシールド層が設けられ、
前記シールド層には、前記電極と対向する領域に開口部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
前記ELシートは、前記スイッチパターン及び前記電極を覆うように形成されたドーム状の領域と、前記基板を覆うように形成されたシート状の領域とを設けてもよい。
【0012】
前記シールド層の前記開口部は、前記ドーム状の領域とほぼ同じ径としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイッチパターンに接離可能に設けられた電極に対向する領域に開口部を有するシールド層をELシートに設けることによって、ELシートから発せられる電磁波ノイズを良好にシールドし、且つ良好なクリック感を得ることが可能な照光式スイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る照光式スイッチにつき、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る照光式スイッチ10の断面図を図1に示す。図2は、照光式スイッチ10の平面図である。なお、図2では説明を容易にするため、後述する可動接点13と、EL(Electro Luminescence)シート14と、ELシート14内に形成されたシールド層27とを特に図示し、その他は省略している。
【0016】
照光式スイッチ10は、図1及び図2に示すように、基板11と、スイッチパターン12と、可動接点13と、ELシート14と、接着層15と、を備える。
【0017】
基板11は、プリント基板、フレキシブルプリント基板等から構成される。基板11の背面には照光式スイッチ10が搭載された電子機器の回路(図示せず)等が形成される。基板11上に、ELシート14がポリ酢酸エチル系、ポリ酢酸ビニル系の非導電性の接着剤から構成された接着層15によって固着される。また、基板11上には固定接点11aが円形に形成されており、可動接点13の端部は、固定接点11aに接触するように設けられる。
【0018】
スイッチパターン12は、カーボンや、銀等の導電性の高い金属から構成され、基板11上に形成される。スイッチパターン12は、スイッチ用接点の働きをする。スイッチパターンの回路が導通されることによって、照光式スイッチ10が搭載された電子機器に入力信号を発信し、ELシート14が発光する。
【0019】
可動接点13は、ウレタンゴム等の弾性材料にカーボン粉等の導電性材料を混合させたものから構成され、図1に示すように基板11の固定接点11a上に形成される。可動接点13は、平面形状が円形のドーム状に形成される。また可動接点13は、スイッチパターン12と対向し、且つ接離可能に基板11の固定接点11a上に設置される。可動接点13は接着層15を介してELシート14のドーム部14aの内部に固着されている。結果として、後述するようにELシート14のドーム部14aの変形に伴い可動接点13も弾性変形する。
【0020】
また、可動接点13は、図2に示すように照光式スイッチ10内に複数形成される。可動接点13の径(2r)は、可動接点13にかかる荷重等によって定まり、本実施の形態では、例えば4mm程度に形成される。
【0021】
ELシート14は、表面保護フィルム21と、透明電極22と、発光層23と、絶縁層24と、背面電極25と、電極絶縁層26と、シールド層27と、背面保護膜28と、から構成される。
【0022】
ELシート14に図示しない電源から交流電圧が印加されると、ELシート14の発光層23が発光する。
【0023】
ELシート14は、図1に示すように基板11上に、ポリ酢酸エチル系、ポリ酢酸ビニル系の非導電性の接着剤から構成された接着層15を介して固着される。また、ELシート14は、図1に示すように、スイッチパターン12及び可動接点13を覆うように平面形状が円形であるドーム状に形成されたドーム部14aと、接着層15を介して基板11上に固着されたシート部14bとを備える。ELシート14のドーム部14aの内側は、接着層15を介して可動接点13に固着される。
【0024】
ELシート14のドーム部14aは、図2に示すようにELシート14内に複数形成されており、ドーム部14aは可動接点13から所定程度(α)離間して形成される。従って、ドーム部14aの直径は、可動接点13の直径2rより2αだけ大きく形成される。可動接点13から離間する距離は、ELシート14の剛性、ドーム部14aにかかる荷重、ドーム部14aの形状等から決定する。具体的に本実施の形態では、可動接点13の直径が約4mmの場合、ドーム部14aは可動接点13から1mm程度離間するため、ドーム部14aの直径は約6mmに形成される。
【0025】
ELシート14のドーム部14aを押圧すると、ドーム部14aは弾性変形し、これに伴い可動接点13も弾性変形する。可動接点13が弾性変形すると、基板11に接近し、スイッチパターン12に接触する。これにより、スイッチパターンの回路が導通され、照光式スイッチ10が搭載された電子機器に入力信号が発信される。
【0026】
表面保護フィルム21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成される。
【0027】
透明電極22は、インジウム−スズ酸化物(ITO)から構成され、表面保護フィルム21上に形成される。
【0028】
発光層23は、発光インクから構成され、透明電極22上に形成される。発光層23の発光インクは、Cuをドープした硫化亜鉛(ZnS)をフッ素樹脂バインダに混合し、撹拌して形成される。フッ素樹脂バインダは、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体をメチルエチルケトンに溶かしたものである。
【0029】
絶縁層24は、発光層23と背面電極25との間に形成される。絶縁層24は、チタン酸バリウム(BaTiO3)からなる高誘電体物質と、フッ素樹脂バインダを混合して形成される。
【0030】
背面電極25は、ポリエステルをバインダとしてカーボン粉を混合したカーボンインクから構成され、絶縁層24と電極絶縁層26との間に形成される。背面電極25と透明電極22との間に電圧が印加されると、発光層23は発光する。なお、カーボン粉に限らず、カーボン粉と銅粉、銀粉、アルミニウム粉等とを混合させ、ポリエステル等に分散させても良い。
【0031】
シールド層27はカーボン、アルミニウム等から構成され、電極絶縁層26と背面保護膜28との間に形成される。シールド層27は、基板11に形成された図示しない接地電極に電気的に接続されており、ELシート14から発せられる電磁波ノイズをシールドする。
【0032】
また、シールド層27は、図1及び図2に示すようにスイッチパターン12及び可動接点13と対向する領域に開口部27aを備える。シールド層27の開口部27aは、ELシート14のドーム部14aが形成される領域に対応し、ドーム部14aとシート部14bとの境界部近傍に形成される。従って、開口部27aは、ドーム部14aとほぼ同じ径を有する。
【0033】
シールド層27の開口部27aは、大きく形成すると電磁波ノイズをシールドする効果が低下する。一方で、小さく形成すると良好なクリック感を得ることができない。このため、本実施の形態では、シールド層27の開口部27aは、ドーム部14aの径とほぼ同じに形成される。具体的には、本実施の形態では、可動接点13から1mm程度離間してELシート14のドーム部14aが形成されるため、シールド層27の開口部27aの径も6mm程度に形成される。
【0034】
背面保護膜28は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等から構成され、シールド層27の下面及び電極絶縁層26の下面に形成される。
【0035】
以上の構成を採る本発明の照光式スイッチ10において、シールド層27は可動接点13に対向する領域に開口部27aを有しており、ELシート14のドーム部14aを除くシート部14bにのみノイズをシールドするシールド層27が形成される。このように、スイッチとして弾性変形するドーム部14aに、剛性の強いシールド層27を形成しないことによって、ドーム部14aの剛性が過度に強くならず、良好なクリック感を得ることができる。
【0036】
また、本発明のELシート14のシールド層27の開口部27aは、ドーム部14aとシート部14bとの境界部近傍に形成される。換言すれば、シールド層27は、ドーム部14aとシート部14bの境界部に及んで形成されるため、ELシート14から発生する電磁波ノイズを良好にシールドすることができる。従って、電磁波ノイズを良好にシールドし、且つ良好なクリック感を得ることが可能な照光式スイッチ10が実現される。
【0037】
本発明は上述した実施の形態に限られず様々な修正及び応用が可能である。例えば、上述した実施の形態では、シールド層27は、ELシート14のドーム部14aの形成される領域に対応して、ドーム部14aとほぼ同じ径を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、シールド層27の開口部27aの径を上述した実施の形態よりも小さく形成し、ドーム部14aの頂点部分に配置させることも可能である。また、逆にドーム部14aに対応する位置にドーム部14aよりも大きな径を有するように開口部27aを形成することも可能である。シールド層27の開口部27aをどの程度に形成するかは、ELシート14の剛性等の特性、ドーム部14aの形状等を考慮し、良好なクリック感を得ることができ、且つ電磁波ノイズを良好にシールドできるよう決定する。
【0038】
また、可動接点13は、弾性材料に導電性材料を混入する構成を例に挙げて説明したが、これに限られずPET等によってドーム状の部材を形成し、ドーム状の部材の内側にアルミニウム等を蒸着させて電極を形成する構成を採ることも可能である。また、アルミニウム等を蒸着させる構成に限られず、ドーム状部材の内側に例えばゴム等にカーボン等を混入したものを塗布し電極を形成しても良い。
【0039】
可動接点13は、ウレタンゴムから構成される場合に限られず、例えばポリオレフィン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、フッ素系エラストマ等を用いることができる。また、導電性材料として、ニッケル、銅、金、銀、スズ等を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る照光式スイッチの断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る照光式スイッチの平面図である。
【図3】従来の照光式スイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 照光式スイッチ
11 基板
12 スイッチパターン
13 可動接点
14 ELシート
15 接着層
21 表面保護フィルム
22 透明電極
23 発光層
24 絶縁層
25 背面電極
26 電極絶縁層
27 シールド層
28 背面保護膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成されたスイッチパターンと、前記スイッチパターンに対向し、且つ前記スイッチパターンに接離可能に設けられた電極と、前記基板と前記スイッチパターンと前記電極とを覆うように形成されたEL(Electro Luminescence)シートと、を備える照光式スイッチであって、
前記ELシートには、電磁波ノイズをシールドするシールド層が設けられ、
前記シールド層には、前記電極と対向する領域に開口部が形成されていることを特徴とする照光式スイッチ。
【請求項2】
前記ELシートには、前記スイッチパターン及び前記電極を覆うように形成されたドーム状の領域と、前記基板を覆うように形成されたシート状の領域とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照光式スイッチ。
【請求項3】
前記シールド層の前記開口部を、前記ドーム状の領域とほぼ同じ径としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の照光式スイッチ。
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成されたスイッチパターンと、前記スイッチパターンに対向し、且つ前記スイッチパターンに接離可能に設けられた電極と、前記基板と前記スイッチパターンと前記電極とを覆うように形成されたEL(Electro Luminescence)シートと、を備える照光式スイッチであって、
前記ELシートには、電磁波ノイズをシールドするシールド層が設けられ、
前記シールド層には、前記電極と対向する領域に開口部が形成されていることを特徴とする照光式スイッチ。
【請求項2】
前記ELシートには、前記スイッチパターン及び前記電極を覆うように形成されたドーム状の領域と、前記基板を覆うように形成されたシート状の領域とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照光式スイッチ。
【請求項3】
前記シールド層の前記開口部を、前記ドーム状の領域とほぼ同じ径としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の照光式スイッチ。
【図1】
【図3】
【図2】
【図3】
【図2】
【公開番号】特開2006−278244(P2006−278244A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98615(P2005−98615)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】
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