説明

照光装置および非接触型データ読み取り装置

【課題】領域の周縁部を効率よく照光する。
【解決手段】一方の面2aにおける中央部に発光ダイオード7が取り付けられた支持板2と、支持板2の周縁部に沿って平面視帯状(円環状)に配設された導光部材3と、支持板2の一方の面2a側に支持板2と対向して配設されると共に、支持板2との対向面が、発光ダイオード7と対向する部位Aを中心とする内側領域RE1が発光ダイオード7に向けて突出する円錐面状の曲面で構成されると共に内側領域RE1を取り囲む外側領域RE2が二次曲面で構成された複合曲面に形成されて、発光ダイオード7からの光を導光部材3における一方の面2a側の部位に集光反射させることにより、導光部材3における支持板2の他方の面2b側の部位を発光させて支持板2の周縁部を照光する反射板11とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)から出射された光を反射板で反射すると共に、予め規定された領域に配設された導光部材に照射して導光部材を発光させることにより、この領域を照光する照光装置、およびこの照光装置を使用した非接触型データ読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の照光装置として、下記特許文献1に開示されたLED面照光装置(以下、単に「照光装置」ともいう)が知られている。この照光装置は、箱体と、合成樹脂材やガラス等で形成されると共に箱体内に収容された反射鏡と、箱体の正面に、反射鏡の前面に位置させて取り付けられた照光板と、反射鏡の底面部に斜めに取り付けられた指向特性を有して強い光を発するLEDとを備えている。この場合、反射鏡の内面には、正面に位置した照光板に対して放物線状の曲面に形成された反射面部が設けられている。また、この反射面部における照光板に対向する位置にある一部が上記した底面部として形成されて、この底面部に取り付けられたLEDから出射された光が、反射面部に照射される。
【0003】
この照光装置では、指向性を有して強い光を発するLEDを反射鏡の反射面部に、従来のLEDの数よりも少なくして照光板に対して斜めに取り付け、LEDの周囲に配した放物線状の曲面に形成した反射面部でLEDからの光を反射させて、この反射光で照光板を均一に照光する。この照光装置によれば、LEDから発せられる光の光路長を長くして、照光板を均一に照光しつつ、LEDを照光板に接近させて取り付けることができるため、照光装置を薄形に形成することが可能となっている。また、使用するLEDの数を少なくできるため、部品点数の削減によるコスト低減や、発熱量の軽減を図ることについても可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−263753号公報(第3−6頁、第5−7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来の照光装置のように照光板全域を均一に照光する構成ではなく、予め規定された領域の周縁部分のみ(例えば、図8に示すように、円形に形成された領域REaの周縁部REbのみ(斜め線のハッチングを付した部位)を帯状(円環状)に発光させたいという要請がある。上記の照光装置を用いてこの要請に応えるためには、箱体61の正面に取り付けられた照光板62の外面を、周縁部REbのみを残して遮光部材63(ドットのハッチングを付した部材)でマスキングする構成を採用することが考えられる。
【0006】
しかしながら、この構成では、箱体61内に収容されているLED64から発せられた光の多くが遮光部材63で遮光されるため、照光装置全体としての効率が低下するという解決すべき課題が存在している。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、領域の周縁部を効率よく照光し得る照光装置およびこの照光装置を使用した非接触型データ読み取り装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の照光装置は、一方の面における中央部に発光ダイオードが取り付けられた支持板と、前記支持板の周縁部に沿って平面視帯状に配設された導光部材と、前記支持板の前記一方の面側に当該支持板と対向して配設されると共に、当該支持板との対向面が、前記発光ダイオードと対向する部位を中心とする内側領域が当該発光ダイオードに向けて突出する円錐面状の曲面で構成されると共に当該内側領域を取り囲む外側領域が二次曲面で構成された複合曲面に形成されて、当該発光ダイオードから出射される光を前記導光部材における前記一方の面側の部位に集光反射させることにより、当該導光部材における当該支持板の他方の面側の部位を発光させて当該支持板の前記周縁部を照光する反射板とを備えている。
【0009】
また、請求項2記載の照光装置は、請求項1記載の照光装置において、前記支持板は、導光材料を用いて前記導光部材と一体的に形成されている。
【0010】
また、請求項3記載の照光装置は、請求項1または2記載の照光装置において、一方の端部が底板によって閉塞されると共に他方の端部が開口する筐体を備え、前記底板が前記反射板として形成され、前記導光部材は、外周面に前記他方の端部の一部が接触する状態で当該他方の端部に嵌め込まれている。
【0011】
また、請求項4記載の照光装置は、請求項1から3のいずれかに記載の照光装置において、前記支持板は平面視円形状に形成され、前記導光部材は円環状に形成されている。
【0012】
また、請求項5記載の非接触型データ読み取り装置は、請求項1から4のいずれかに記載の照光装置と、前記支持板の前記一方の面に取り付けられたアンテナと、前記アンテナを介して前記非接触型ICカードとデータ通信する処理部とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の照光装置によれば、支持板との対向面が、発光ダイオードと対向する部位を中心とする内側領域が発光ダイオードに向けて突出する円錐面状の曲面で構成されると共に内側領域を取り囲む外側領域が二次曲面で構成された複合曲面に形成された反射板を備えたことにより、1つの発光ダイオードから出射される光を反射板を用いて導光部材における支持板の一方の面側の部位に集光反射させて、導光部材全域を効率よく発光させることができるため、消費電力を抑制しつつ、導光部材における支持板の他方の面側の所望の部位、すなわち支持板の周縁部を全周に亘って効率よく、十分な明るさで照光させることができる。また、この照光装置を備えた請求項5記載の非接触型データ読み取り装置によれば、このようにして効率よく、十分な明るさで導光部材が照光されることにより、ICカードを接近させるべき領域(アンテナが配設された支持板)の周縁部が十分な明るさで照光されるため、ICカードを接近させるべき領域の位置を明確、かつ確実に認識させることができる。
【0014】
請求項2記載の照光装置および請求項5記載の非接触型データ読み取り装置では、支持板が導光材料を用いて導光部材と一体的に形成されているため、発光ダイオードからの光が支持板全域にも導光される。したがって、この照光装置および非接触型データ読み取り装置によれば、支持板の他方の面に遮光層を形成する際に、遮光層を形成しない部位を所望の形状で形成することにより、照光される導光部材の内側に、この所望の形状で構成される図柄を表示させることができ、かざすべきICカードの種類などを表示させることができる。
【0015】
請求項3記載の照光装置では、導光部材は、その外周面に筐体の他方の端部の一部が接触する状態で、筐体の他方の端部に嵌め込まれている。したがって、例えば、この照光装置をデータ読み取り装置のケースに形成された取付孔に取り付けて使用した際に、導光部材に集光反射させられた発光ダイオードの光のうちの導光部材を通過してケースに形成された取付孔の口縁部位に達する光の量を大幅に低減することができ、これにより、ケースの取付孔の口縁部位で反射された光(ケースの部材色)が導光部材に入光することによって導光部材の照光色(発光色)が濁る(発光ダイオードの発光色と相違する色になる)程度を大幅に低減することができる。
【0016】
請求項4記載の照光装置および請求項5記載の非接触型データ読み取り装置によれば、支持板が平面視円形状に形成され、導光部材が円環状に形成されているため、支持板の一方の面における中央部に取り付けられた1つの発光ダイオードから照射された光を反射板によって導光部材全域に極めて均一に集光反射させることができることから、導光部材を極めて均一に照光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】照光装置1の平面図である。
【図2】図1におけるW1−W1線断面図である。
【図3】図2における導光部材3と反射板11との嵌合部分の要部拡大図である。
【図4】照光装置1を使用した非接触型データ読み取り装置21の構成図である。
【図5】他の照光装置41の平面図である。
【図6】図5のW2−W2線断面図である。
【図7】図5のW3−W3線断面図である。
【図8】従来の照光装置の構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、照光装置1および非接触型データ読み取り装置21の実施の形態について説明する。
【0019】
まず、照光装置1の構成について図面を参照して説明する。なお、本例では、図4に示す非接触型データ読み取り装置21(以下、単に「データ読み取り装置21」ともいう)に使用される照光装置1を例に挙げて説明する。
【0020】
照光装置1は、図1,2に示すように、支持板2、導光部材3、筐体4、反射層5、回路基板6、発光ダイオード7および遮光層8を備えて構成されている。また、本例では、照光装置1は、データ読み取り装置21に使用されるため、アンテナ9(本例では一例として、平面アンテナ)を備えている。
【0021】
支持板2は、一例として平面視円形状(本例ではほぼ真円)で、かつ一定の板厚の板状体(本例では円板)に形成されている。また、本例では一例として、支持板2は、無色透明な合成樹脂(導光材料)で構成されることにより、導光性を有している。導光部材3は、平面視帯状に形成されて、支持板2の周縁部に沿って配設されている。本例では、導光部材3は、図1,2に示すように、支持板2の周縁部に沿って、この周縁部の全周に亘って配設されることにより、全体として円環状に形成されている。
【0022】
具体的には、導光部材3は、支持板2の径方向に沿った断面形状が図2,3に示すように長方形に形成されて、その厚み(図中の上下方向の長さ)が支持板2の板厚よりも厚く規定されている。また、導光部材3は、その内周面の中間部位において支持板2の外周面と連結されることにより、その下端部が支持板2の一方の面2a(図2中の下面)から下方に突出し、かつ、その上端部が支持板2の他方の面2b(図2中の上面)から上方に突出した状態に構成されている。また、本例では一例として、導光部材3は、支持板2と同一の導光材料(無色透明な合成樹脂)で構成されて、支持板2と一体的に形成されている。
【0023】
筐体4は、図1,2に示すように、支持板2の平面視形状に合わせた平面視形状の箱体(一方の端部(図2中の下端部)が閉塞され、他方の端部(図2中の上端部)が開口された箱体)に形成されている。また、筐体4は、支持板2と一体的に形成された導光部材3がこの開口する他方の端部(後述する側壁12の他方の端部でもある)に取り付けられている。
【0024】
本例では、筐体4は、図2に示すように、支持板2の平面視形状に合わせて平面視円形状に形成された底板11と、この底板11の周縁部から立設された筒状の側壁12とを備えて、箱体に形成されている。また、本例では、底板11および側壁12は、光を反射させる材料(例えば、白色の合成樹脂材料)を用いて、一体的に形成されている。筐体4の一方の端部としての側壁12の一方の端部(同図中の下端部)に配設された底板11は、筐体4の他方の端部としての側壁12の他方の端部に導光部材3と共に取り付けられた支持板2と側壁12を挟んで対向すると共に、光を反射する材料で形成されることにより、平面視円形状の反射板として機能する(以下、「反射板11」ともいう)。
【0025】
反射板11の反射面(支持板2との対向面(筐体4の内底面))は、後述するように支持板2の一方の面2aにおける中央部に取り付けられた1つの発光ダイオード7と対向する部位A(発光ダイオード7の直下の部位)を中心とする内側領域RE1(本例では平面視円形状の領域)と、内側領域RE1を取り囲む外側領域RE2(本例では平面視円環状の領域)とに区分けされて、各領域RE1,RE2を構成する曲面が組み合わされた複合曲面に形成されている。具体的には、反射板11の内側領域RE1は、部位Aが発光ダイオード7に向けて突出する円錐面状の曲面として構成されている。また、反射板11の外側領域RE2は、二次曲線で構成された二次曲面の一例としての放物面状の曲面(放物線を回転して構成される曲面)として構成されている。
【0026】
次に、側壁12における他方の端部への導光部材3の取付構造について説明する。側壁12の他方の端部の端面(図2,3中の上端面)には、上方に向けて突出する嵌合凸部12a(この他方の端部の一部)が側壁12の全周に亘って円環状に形成されている。また、このようにして平面視円環状に形成された嵌合凸部12aは、その内径が導光部材3の外径よりも若干大径に形成されている。また、嵌合凸部12aの突出長は、一例として、導光部材3の厚みよりも短く規定されている。導光部材3は、側壁12の上端部に、嵌合凸部12aの内側に嵌め込まれた状態で、すなわち、下端面が側壁12の上端面(嵌合凸部12aの内周側に位置する上端面)と接触し、かつ外周面が嵌合凸部12aの内周面と接触した状態で取り付けられている(例えば、接着されている)。
【0027】
この構成により、反射板11は、図2において一点鎖線で示すように、支持板2の中央部に取り付けられた1つの発光ダイオード7から部位Aを中心として反射板11の内側領域RE1全域および外側領域RE2全域に照射される光を、部位Aを中心として全方向(360度の全角度範囲)に反射させることにより、発光ダイオード7の背面側に位置している円環状の導光部材3における下側部位(導光部材3における支持板2の一方の面側の部位)に対して全方向に亘ってほぼ均一に集光反射させる。これにより、円環状の導光部材3は、下側部位に照射された1つの発光ダイオード7からの光を全域に導光させることにより、支持板2の他方の面側から突出するこの他方の面側の部位(同図中の上側部位)を効率よく発光させる。つまり、支持板2の周縁部が効率よく帯状(本例では円環状)に照光させる。なお、本例では、支持板2が導光材料を用いて導光部材3と一体的に形成されているため、導光部材3の下側部位に反射板11によって集光反射された発光ダイオード7からの光は、その一部が支持板2側にも導光される。
【0028】
反射層5は、例えば、白色で、かつ不透明な合成樹脂を用いて、図2,3に示すように、支持板2の一方の面2aの全域に亘って形成されている。上記したように、導光部材3の下側部位に反射板11によって集光反射された発光ダイオード7からの光のうちの一部は支持板2側にも導光される。このため、この支持板2側に導光された光で支持板2全域を照光させて使用することも可能であり、この際に、支持板2の一方の面2aからの光の漏れ出しを防止して、他方の面2bから出射させる光量を多くするために、反射層5が配設されている。
【0029】
回路基板6は、図2に示すように、支持板2の一方の面2aにおける中央部に、反射層5に固定された取付台6aを介して、反射板11に対向する状態で取り付けられている。発光ダイオード7は、回路基板6における反射板11との対向面に、発光部が反射板11の部位Aに向かう状態で取り付けられている。なお、回路基板6は取付台6aと共に発光ダイオード7を支持板2に取り付けるための取付具として使用されるものであるため、回路基板6および取付台6aに代えて、ソケットなどを反射層5に固定して、このソケットに発光ダイオード7を装着して支持板2(具体的には反射層5)に取り付ける構成を採用することもできる。
【0030】
遮光層8は、例えば、白色で、かつ不透明な合成樹脂を用いて、図2,3に示すように、支持板2の他方の面2bの全域に亘って形成されている。この構成により、本例では、導光部材3から支持板2に導光された光の支持板2の他方の面2bからの漏れ出しを防止して、導光部材3のみが照光される。なお、支持板2の他方の面2bに遮光層8を形成する際に、遮光層8を形成しない部位(支持板2が露出する部位)を所望の形状(文字、図形および記号のうちの少なくとも1つで構成される形状)で形成することにより、円環状に照光される導光部材3の内側に、この所望の形状で構成される図柄(マーク)を照光して表示させる構成を採用してもよい。
【0031】
アンテナ9は、支持板2の一方の面2aに形成された反射層5上における回路基板6の取付部位を除く部位に取り付けられている。本例では一例として、アンテナ9は、図1,2に示すように、平面視円環状に形成されて、回路基板6を取り囲むようにして、回路基板6の周囲に取り付けられている。
【0032】
次に、照光装置1を使用した非接触型データ読み取り装置21(以下、単に「データ読み取り装置21」ともいう)の構成について図面を参照して説明する。
【0033】
データ読み取り装置21は、図4に示すように、ケース22、照光装置1、処理部23、送信部24、受信部25および電源部26を備え、非接触型ICカード31(以下、「ICカード31」ともいう)と非接触でデータ通信可能に構成されている。
【0034】
ケース22は、合成樹脂材料を使用して箱体に形成されて、照光装置1における導光部材3および嵌合凸部12aの形状に合わせた平面視形状(本例では円形)の取付孔22aが正面に形成されている(図3,4参照)。また、照光装置1は、この取付孔22aから支持板2(本例では、支持板2の他方の面2bに遮光層8が形成されているため、遮光層8)および導光部材3がケース22の正面から外方に露出する状態でケース22の正面の内側に固定されている。
【0035】
取付孔22aの内周面(照光装置1と接する面)は、一例として、図3に示すように、上側領域RE3の内径が導光部材3の外径よりも若干大径に形成されると共に、下側領域RE4の内径が嵌合凸部12aの外径よりも若干大径に形成されている。この構成により、照光装置1は、取付孔22aの内周面における上側領域RE3が導光部材3の外周面と接触し、取付孔22aの内周面における上側領域RE3と下側領域RE4との境界面が嵌合凸部12aの上面と接触し、取付孔22aの内周面における下側領域RE4が嵌合凸部12aの外周面と接触し、かつケース22の内面における取付孔22aの口縁部が側壁12の上端面(嵌合凸部12aの外周側に位置する上端面)と接触した状態で、ケース22に取り付けられている(例えば、接着されている)。
【0036】
処理部23は、一例として、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、ケース22内に配設されている。また、処理部23は、ICカード31に対するコマンドやデータを送信する送信処理、コマンドに対応してICカード31から出力されるレスポンスやデータを受信する受信処理、および照光装置1の発光ダイオード7に対する点灯処理を実行する。
【0037】
送信部24、受信部25および電源部26は、ケース22内に配設されている。また、送信部24は、処理部23から出力されたコマンド等のデータD1を入力すると共に、アンテナ9を介してICカード31に送信する。また、受信部25は、アンテナ9を介してICカード31から出力されるレスポンス等のデータD2を受信すると共に、処理部23に出力する。電源部26は、照光装置1、処理部23、送信部24および受信部25に対して作動用電源を供給する。
【0038】
続いて、データ読み取り装置21の動作について、照光装置1の動作と併せて説明する。
【0039】
データ読み取り装置21では、処理部23が、まず点灯処理を実行する。この点灯処理では、処理部23は、照光装置1に配設された1つの発光ダイオード7に対して駆動信号S1を出力して、この発光ダイオード7を点灯させる。この場合、発光ダイオード7から反射板11の内側領域RE1および外側領域RE2に照射された光は、部位Aを中心とする円錐面状の曲面として構成された内側領域RE1、および二次曲面として構成された外側領域RE2により、発光ダイオード7の背面側に配置された導光部材3の下側部位に集光反射させられる。これにより、円環状の導光部材3は、下側部位に照射された発光ダイオード7からの光を上側に導光して、ケース22の取付孔22aから露出する上側部位を効率よく、かつ発光むらの極めて少ない状態で発光させる。したがって、この発光する円環状の導光部材3により、ICカード31を接近させるべき領域(アンテナ9が配設された支持板2)の周縁部が効率よく照光される。つまり、ICカード31を接近させるべき領域の位置が明確に表示される。
【0040】
データ読み取り装置21では、照光装置1がケース22の正面に形成された取付孔22aに取り付けられた状態において、導光部材3の外周面(本例では下側部位の外周面)が、筐体4の他方の端部(側壁12の他方の端部)の一部としての嵌合凸部12aと接触する(嵌合凸部12aによって覆われた)構造となっている。これにより、導光部材3に集光反射させられた発光ダイオード7の光のうちの導光部材3を通過してケース22の取付孔22aの口縁部位に達する光の量が大幅に低減されている。このため、ケース22の取付孔22aの口縁部位で反射された光(ケース22の部材色)が導光部材3に入光することによって導光部材3の照光色(発光色)が濁る(発光ダイオード7の発光色と相違する色になる)程度が大幅に低減されている。
【0041】
処理部23は、送信処理を繰り返し実行することにより、ICカード31に対するコマンド(リクエストコマンド)を含むデータD1を送信部24およびアンテナ9を介して送信する。また、処理部23は、送信処理の合間に受信処理も繰り返し実行する。この状態において、ICカード31が照光装置1の近傍(具体的には、導光部材3の内側に配設されたアンテナ9の近傍)に移動したとき(データ読み取り装置21にかざされたとき)には、ICカード31がこの処理部23からのコマンドに対するレスポンスをデータ読み取り装置21に送信する。
【0042】
処理部23は、受信処理の実行により、このレスポンスを含むデータD2をアンテナ9および受信部25を介して受信したときには、ICカード31が通信可能な距離に位置していると判別して、送信処理および受信処理を交互に繰り返すことで、ICカード31と必要なデータの交信を行い、この交信の完了後に、このICカード31との交信を停止させる。
【0043】
この照光装置1では、支持板2の一方の面2a側に支持板2と対向して配設された反射板11の支持板2との対向面が、上記したように、1つの発光ダイオード7と対向する部位Aを中心とする内側領域RE1がこの発光ダイオード7に向けて突出する円錐面状の曲面で構成されると共に、内側領域RE1を取り囲む外側領域RE2が二次曲面(この例では放物面状の曲面)で構成された複合曲面に形成されている。
【0044】
したがって、この照光装置1によれば、1つの発光ダイオード7から出射される光を反射板11を用いて導光部材3における支持板2の一方の面2a側の部位(下側部位)に集光反射させて、導光部材3全域を効率よく発光させることができるため、消費電力を抑制しつつ、導光部材3における支持板2の他方の面2b側の所望の部位(上側部位)、すなわち支持板2の周縁部を全周に亘って効率よく、十分な明るさで照光させることができる。また、この照光装置1を備えたデータ読み取り装置21によれば、このようにして効率よく、十分な明るさで導光部材3が照光されることにより、ICカード31を接近させるべき領域(アンテナ9が配設された支持板2)の周縁部が十分な明るさで照光されるため、ICカード31を接近させるべき領域の位置を明確、かつ確実に認識させることができる。
【0045】
また、この照光装置1では、支持板2が導光材料を用いて導光部材3と一体的に形成されているため、発光ダイオード7からの光は導光部材3全域のみならず、支持板2全域にも導光される。したがって、この照光装置1およびデータ読み取り装置21によれば、支持板2の他方の面2bに遮光層8を形成する際に、遮光層8を形成しない部位を所望の形状で形成することにより、環状に照光される導光部材3の内側に、この所望の形状で構成される図柄を表示させることができ、かざすべきICカード31の種類などを表示させることができる。
【0046】
また、この照光装置1では、導光部材3は、その外周面に筐体4の他方の端部(側壁12の他方の端部)の一部としての嵌合凸部12aが接触する状態で、筐体4の他方の端部に嵌め込まれている(嵌合されている)。したがって、この照光装置1をデータ読み取り装置21に使用した際に、導光部材3に集光反射させられた発光ダイオード7の光のうちの導光部材3を通過してケース22に形成された取付孔22aの口縁部位に達する光の量を大幅に低減することができ、これにより、ケース22の取付孔22aの口縁部位で反射された光(ケース22の部材色)が導光部材3に入光することによって導光部材3の照光色(発光色)が濁る(発光ダイオード7の発光色と相違する色になる)程度を大幅に低減することができる。
【0047】
また、この照光装置1によれば、支持板2が平面視円形状に形成され、導光部材3が円環状に形成されているため、支持板2の一方の面2aにおける中央部に取り付けられた1つの発光ダイオード7から照射された光を反射板11によって導光部材3全域に極めて均一に集光反射させることができることから、導光部材3を極めて均一に照光することができる。
【0048】
なお、上記した照光装置1の構成に限定されない。例えば、照光装置1では、支持板2を平面視円形状に形成すると共に、導光部材3の平面視形状を円環状に形成し、かつ筐体4の底板で構成される反射板11の平面視形状も円形状に形成する構成を採用しているが、円形状に代えて、楕円形状や長円形状(2つの半円形が2つの等しい長さの平行線で接続された図形)など種々の形状とすることもできる。以下では、図5〜図7を参照して、支持板2および反射板11の平面視形状を長円形状に形成すると共に、導光部材3を長円環状に形成する構成を採用した照光装置41について説明する。
【0049】
照光装置41では、照光装置1の構成と比較して、上記のように支持板2、導光部材3および反射板11の平面視形状が相違し、これに伴い、アンテナ9の平面視形状が円環状がら長円環状となり、発光ダイオード7の数が増加している(本例では1つから3つに増加している)構成において相違するが、他の構成については照光装置1と同等である。このため、相違する構成についてのみ説明し、同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
照光装置41は、図5,6,7に示すように、支持板42、導光部材43、筐体44、反射層5、回路基板6、発光ダイオード7a,7b,7c(特に区別しないときには、「発光ダイオード7」ともいう)および遮光層8を備えて構成されている。また、本例では、照光装置41は、データ読み取り装置21に使用されるため、アンテナ49を備えている。
【0051】
支持板42は、一例として平面視長円形状で、かつ一定の板厚の板状体に形成されている。また、支持板42は、導光材料で構成されて、導光性を有している。導光部材43は、平面視帯状に形成されると共に、支持板42の周縁部に沿ってこの周縁部の全周に亘って配設されることにより、全体として長円環状に形成されている。なお、導光部材43の形成材料、断面形状、および支持板42との連結構造については、照光装置1の導光部材3と同一となっている。
【0052】
筐体44は、筐体4の底板11(反射板11)および側壁12にそれぞれ対応する底板51(反射板51)および側壁52とを備えて、支持板42の平面視形状に合わせた平面視長円形状の箱体(一方の端部(図6中の下端部)が閉塞され、他方の端部(図6中の上端部)が開口された箱体)に形成されている。したがって、反射板51の平面視形状は、支持板42の平面視形状と同じ長円形状に形成されている。
【0053】
具体的には、筐体44は、図5,7に示すように、長さ方向(同図中の左右方向)に沿って、平面視半円形状の半円部材44a,44bと、各半円部材44a,44b同士を連結する平面視方形状の方形部材44cとで構成されている。本例では、各半円部材44a,44bは、照光装置1の筐体4を、反射板11における部位A(内側領域RE1の中心)を含む平面で2つに切断して得られる平面視半円形状の各半円部材で構成されている。また、方形部材44cは、半円部材44a,44bにおける部位A(筐体4での中心)を含む切断面(図6参照)を、この切断面に対して直交する方向に直線移動させて得られる形状の板状部材で構成されている。
【0054】
この構成により、図7に示すように、各半円部材44a,44bにおける筐体44の底板51(反射板51)となる部位の支持板42との対向面(反射面)は、反射板11と同様にして、部位Aを中心とする内側領域RE1(本例では、平面視半円形状の領域)と、内側領域RE1を取り囲む外側領域RE2(本例では、平面視半円環状の領域)とに区分けされる。また、図6に示すように、方形部材44cにおける筐体44の底板51(反射板51)となる部位の支持板42との対向面(反射面)は、筐体44の長さ方向と直交する方向に沿って、上記の内側領域RE1の輪郭線で構成される内側領域RE5と、上記の外側領域RE2の輪郭線で構成される外側領域RE6とに区分けされる。
【0055】
また、底板11の周縁部から立設された筒状の側壁52の他方の端部の端面(図6,7中の上端面)には、上方に向けて突出する嵌合凸部52a(この他方の端部の一部)が側壁52の全周に亘って長円環状に形成されている。導光部材43は、嵌合凸部52aの内側に嵌め込まれた状態で、すなわち、下端面が側壁52の上端面(嵌合凸部52aの内周側に位置する上端面)と接触し、かつ外周面が嵌合凸部52aの内周面と接触した状態で、側壁52の上端部に取り付けられている。
【0056】
各発光ダイオード7のうちの発光ダイオード7a,7bは、図5,7に示すように、支持板42における反射板51との対向面(一方の面42a)に、各半円部材44a,44bにおける平面視半円形状となる内側領域RE1の中心(照光装置1における反射板11の部位Aに対応する部位。以下、部位Aともいう)に対向する状態で(図7では、部位Aの真上となるように)、回路基板6を介してそれぞれ取り付けられている。一方、各発光ダイオード7のうちの発光ダイオード7cは、上記の各部位Aを接続する方形部材44cにおける稜線部の中央部位に対向する状態で、支持板42の一方の面42aに回路基板6を介して取り付けられている。なお、本例では、方形部材44cに対向して配設される発光ダイオード7cは1つであるが、方形部材44cの長さ(各半円部材44a,44bの間隔)がさらに長くなる場合には、必要に応じて発光ダイオード7cの数を増加させてもよい。
【0057】
この構成により、反射板51は、図7において一点鎖線で示すように、各半円部材44a,44bにおける内側領域RE1および外側領域RE2においては、各発光ダイオード7a,7bから部位Aを中心として照射される光を、部位Aを中心として180度の角度範囲に反射させることにより、発光ダイオード7の背面側に位置している長円環状の導光部材43における円弧状の部分の下側部位に対して集光反射させる。
【0058】
また、図6において一点鎖線で示すように、方形部材44cにおける内側領域RE5および外側領域RE6においては、発光ダイオード7cから照射される光(なお、図7に示すように、発光ダイオード7a,7bから照射される光についても)を、上記した稜線部を中心として線対称の位置に位置している方形部材44cにおける各側壁52の一方の端部方向に反射させることにより、発光ダイオード7の背面側に位置している長円環状の導光部材43における直線状の部分の下側部位に対して集光反射させる。また、長円環状の導光部材43は、下側部位に照射された発光ダイオード7からの光を全域に導光させることにより、支持板42の他方の面42b側から突出するこの他方の面42b側の部位(同図中の上側部位)を効率よく発光させる。
【0059】
したがって、この照光装置41においても、照光装置1と同様にして、長円環状の導光部材43が発光するにより、ICカード31を接近させるべき領域(アンテナ49が配設された支持板42)の周縁部が効率よく照光されるため、この照光装置41およびこの照光装置41を使用したデータ読み取り装置21によれば、ICカード31を接近させるべき領域の位置を明確、かつ確実に認識させることができる。
【0060】
また、この照光装置41においても、支持板42が導光材料を用いて導光部材43と一体的に形成されているため、発光ダイオード7からの光は導光部材43全域のみならず、支持板42全域にも導光される。したがって、この照光装置41およびデータ読み取り装置21によれば、支持板42の他方の面42bに遮光層8を形成する際に、遮光層8を形成しない部位を所望の形状で形成することにより、環状に照光される導光部材43の内側に、この所望の形状で構成される図柄を表示させることができ、かざすべきICカード31の種類などを表示させることができる。
【0061】
また、筐体44の他方の端部の端面(側壁52の他方の端部の端面でもある)に形成された嵌合凸部52aが導光部材43の外周面に接触する状態で、導光部材43が筐体44に嵌め込まれる構成のため、照光装置1と同様にして、導光部材43の照光色(発光色)が濁る程度を大幅に低減することができる。
【0062】
また、上記の照光装置1,41では、支持板2,42を導光材料を用いて導光部材3,43と一体的に形成する構成を採用しているが、支持板2,42に発光ダイオード7からの光を導光させる必要のない場合には、支持板2,42を導光部材3,43と別体に形成した後に連結する構成を採用することもできる。また、筐体4,44についても、光を反射させる材料を用いて側壁12,52を反射板11,51と一体的に形成する構成を採用しているが、側壁12,52を反射板11,51と別体に形成した後に連結する構成を採用することもできる。
【0063】
また、上記の照光装置1,41では、導光部材3,43を環状に照光する構成を採用しているが、例えば、導光部材3,43の一部の表面に遮光層8を形成したり、反射板11,51の一部を光を反射しない構成にしたりすることにより、導光部材3,43を互いに分離された複数の弧状や直線状に照光する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1、41 照光装置
2,42 支持板
2a,42a 一方の面
3,43 導光部材
7 発光ダイオード
11,51 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面における中央部に発光ダイオードが取り付けられた支持板と、
前記支持板の周縁部に沿って平面視帯状に配設された導光部材と、
前記支持板の前記一方の面側に当該支持板と対向して配設されると共に、当該支持板との対向面が、前記発光ダイオードと対向する部位を中心とする内側領域が当該発光ダイオードに向けて突出する円錐面状の曲面で構成されると共に当該内側領域を取り囲む外側領域が二次曲面で構成された複合曲面に形成されて、当該発光ダイオードから出射される光を前記導光部材における前記一方の面側の部位に集光反射させることにより、当該導光部材における当該支持板の他方の面側の部位を発光させて当該支持板の前記周縁部を照光する反射板とを備えている照光装置。
【請求項2】
前記支持板は、導光材料を用いて前記導光部材と一体的に形成されている請求項1記載の照光装置。
【請求項3】
一方の端部が底板によって閉塞されると共に他方の端部が開口する筐体を備え、
前記底板が前記反射板として形成され、
前記導光部材は、外周面に前記他方の端部の一部が接触する状態で当該他方の端部に嵌め込まれている請求項1または2記載の照光装置。
【請求項4】
前記支持板は平面視円形状に形成され、
前記導光部材は円環状に形成されている請求項1から3のいずれかに記載の照光装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の照光装置と、
前記支持板の前記一方の面に取り付けられたアンテナと、
前記アンテナを介して前記非接触型ICカードとデータ通信する処理部とを備えている非接触型データ読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92547(P2013−92547A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232635(P2011−232635)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000214836)長野日本無線株式会社 (140)
【Fターム(参考)】