説明

照合処理装置、身分証発行装置、身分証発行システム、照合方法、及び身分証発行方法

【課題】身分証等の再発行時に実施される本人確認作業の負担軽減及び確実性の向上を図ることが可能な身分証発行システムを提供すること。
【解決手段】身分証発行システムは、生体特徴データを含む個人情報を登録する登録手段と、個人情報に基づき身分証を発行する発行手段と、生体特徴データを取得する取得手段と、前記取得された生体特徴データと前記登録された個人情報に含まれる生体特徴データとを照合する照合手段と、照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求する要求手段と、入力される人物確認結果を受け付ける入力受付手段と、前記照合結果に基づき人物が特定されること、又は人物確認の入力が得られることを条件として、個人情報に基づき特定された人物又は確認された人物の身分証を再発行する再発行手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転免許証などの身分証を発行する身分証発行装置、身分証発行システム、及び身分証発行方法に関する。また、これら身分証発行装置、身分証発行システムに適用可能な照合処理装置及び照合処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造し難いIDカード(身分証)に関する技術が提案されている。例えば、IDカード発行時に、入力された顔画像の特徴画像を抽出し、この特徴画像を符号化、暗号化してバーコードとしてIDカード上に印刷し、認証時には、この符号化された特徴画像を復号化して特徴画像として表示し、写真画面上の対応する個所と比較対照させ、一致すれば真正なIDカードとして認証する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、認証のために要する時間が短く、安全性の高いIDカードに関する技術が提案されている。例えば、保持者の顔写真を添付してなる本人確認のためのIDカードにおいて、該顔写真から抽出された画像特徴を元に作成された2値1次元情報を前記顔写真と共に表示してなるIDカードが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
IDカードの一例として運転免許証が知られているが、運転免許証の紛失や盗難が生じた場合には、運転免許証の再交付を受けることができる。再交付先では、再交付に際して本人確認作業が必要となる。例えば、運転免許証作成システム、及びこのシステムにおける運転免許証再交付時の本人確認作業について説明する。
【0005】
例えば、運転免許証作成システムは、直接撮影機、免許証印刷機、ファイリングサーバ、ファイリングクライアント、ホストなどにより構成されている。直接撮影機は、カメラを搭載しており、運転免許証の再交付申請者の顔写真をこのカメラで撮影する。また、この直接撮影機は、券面情報や検索情報等(以下、記載情報)をホストから受け取り、顔写真と記載情報を通信回線経由で免許証印刷機、ファイリングサーバへ送信する。免許証印刷機は、直接撮影機から受け取った顔写真と記載情報を使用して、運転免許証を作成する。なお、直接撮影機及び免許証印刷機の替わりに、直接撮影機の機能と免許証印刷機の機能を持つ直接撮影印刷機を適用することもある。
【0006】
ファイリングサーバは、直接撮影機から、顔写真と記載情報を受け取る。さらに、このファイリングサーバは、受け取った記載情報からファイリングクライアントから検索するための情報(以下、検索キー)を抽出し、抽出した検索キーと、受信した顔写真、記載情報をデータベースに登録する。ファイリングクライアントは、オペレータが入力した検索キーに該当する顔写真と記載情報を、ファイリングサーバのデータベースから検索し、内容を表示する。このファイリングクライアントは、検索機能以外に、ファイリングサーバの保守機能、システムの運用管理機能をもつ。ホストは、免許証所有者の最新の個人情報を保管する。
【0007】
運転免許証の再交付の申請を受けた場合の本人確認作業は、以下のようにして行なわれる。まず、申請者が申告する氏名や生年月日等を検索キーとして、ファイリングクライアントにて顔写真と記載情報を表示する。続いて、オペレータは、ファイリングクライアント上に表示された顔写真と、目の前にいる申請者本人とを比較し、同一人物かどうかを判断する。必要に応じて、申請者から住所や電話番号などの追加情報を聞き、判断を下す。同一人物と確認されれば、直接撮影機または直接撮影印刷機で顔写真を撮影し、運転免許証を作成し、本人に手渡す。
【特許文献1】特開2001−52142
【特許文献2】特開2003−237264
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した本人認証作業には、以下の問題点がある。
【0009】
問題点1:本人確認作業がオペレータの目視確認となるため、時間がかかる。
【0010】
問題点2:本人確認作業と運転免許証の作成作業が別の業務、別の機器に分かれているため、再交付までの時間がかかる。
【0011】
問題点3:本人かどうかの判断が、オペレータの技量により異なり、判断基準もあいまいである。
【0012】
問題点4:本人確認がオペレータの自己判断に委ねられるため、オペレータの責任が大きい。
【0013】
問題点5:本人確認の判断結果やその理由が、データとして後に残らない。
【0014】
問題点6:本人確認時にオペレータが意図的に誤った判断を下しても、発見され難い。
【0015】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、身分証等の再発行時に実施される本人確認作業の負担軽減及び確実性の向上を図ることが可能な照合処理装置、身分証発行装置、身分証発行システム、照合方法、及び身分証発行方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明の照合処理装置、身分証発行装置、身分証発行システム、照合方法、及び身分証発行方法は、以下のように構成されている。
【0017】
(1)この発明は、生体特徴データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求する要求手段と、前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付ける入力受付手段と、前記照合手段による照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記入力受付手段により人物確認の入力が得られることを条件として、所定の処理を実行する処理手段とを備えたことを特徴とする照合処理装置である。
【0018】
(2)この発明は、生体特徴データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求する要求手段と、前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付ける入力受付手段と、前記照合手段による照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記入力受付手段により人物確認の入力が得られることを条件として、特定された人物又は確認された人物の身分証を発行する発行手段とを備えたことを特徴とする身分証発行装置である。
【0019】
(3)この発明は、生体特徴データを含む個人情報を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された個人情報に基づき身分証を発行する発行手段と、生体特徴データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された生体特徴データと前記登録手段により登録された個人情報に含まれる生体特徴データとを照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求する要求手段と、前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付ける入力受付手段と、前記照合手段による照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記入力受付手段により人物確認の入力が得られることを条件として、前記登録手段により登録された個人情報に基づき、特定された人物又は確認された人物の身分証を再発行する再発行手段と、を備えたことを特徴とする身分証発行システムである。
【0020】
(4)この発明は、生体特徴データを取得し、前記取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合し、前記照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求し、前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付け、前記照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記受け付けにより人物確認の入力が得られることを条件として、所定の処理を実行する、ことを特徴とする照合処理方法である。
【0021】
(5)この発明は、生体特徴データを取得し、前記取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合し、前記照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求し、前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付け、前記照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記受け付けにより人物確認の入力が得られることを条件として、特定された人物又は確認された人物の身分証を発行することを特徴とする身分証発行方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、身分証等の再発行時に実施される本人確認作業の負担軽減及び確実性の向上を図ることが可能な照合処理装置、身分証発行装置、身分証発行システム、照合方法、及び身分証発行方法を提供できる。
【0023】
これら照合処理装置、身分証発行装置、身分証発行システム、照合方法、及び身分証発行方法によれば、再発行時の本人確認作業を自動化できる。
【0024】
これにより本人確認作業が、
1)短時間で、
2)統一した判断基準で行われ、
3)オペレータ個人の責任が軽減される。
【0025】
また、確認作業が記録として残されるため、
4)確認作業の事後評価を行うことができ、
5)オペレータの意図的な誤判断の追跡が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0027】
図1は、この発明の一例に係るIDカード発行システム(身分証発行システム)の概略構成を示すブロック図である。特に、図1は、IDカード発行システムによるIDカード情報保管機能を説明するためのブロック図である。
【0028】
図1に示すように、IDカード発行システムは、取得手段、照合手段、人物確認要求手段、及び入力受付手段として機能する撮影機1、登録手段として機能するファイリングサーバ2、ホスト3、発行手段及び再発行手段として機能するIDカード作成機4を備えている。撮影機1は、カメラ11、顔解析プロセス部12、IDカード作成プロセス部13、照合プロセス部14、サーバ検索プロセス部15、入力表示部16を備えている。ファイリングサーバ2は、検索キー抽出プロセス部21、データベースプロセス部22、及びデータベース23を備えている。
【0029】
次に、図1及び図2を参照して、ID発行システムによるIDカード情報保管機能について説明する。図2は、IDカード情報保管機能を説明するためのフローチャートである。
【0030】
IDカード発行システムでは、例えば、撮影機1の入力表示部16を介して動作モード(本人確認作業を行わない非確認モード/本人確認作業を行なう自動確認モード)を指定することができる。非確認モードが指定されている場合には(ST101、YES)、IDカードが作成され、IDカードの作成時に使用された個人情報(IDカードの発行に必要な住所、氏名、年齢、電話番号等の記載情報、顔写真(静止画)、及び認証用解析データを含む)が保管される。以下にその手順を示す。
【0031】
1)撮影機1のカメラ11は、IDカード発行申請者の顔写真を動画として撮影する(ST102)。顔解析プロセス部12は、カメラ11により撮影された動画から認証用解析データ(生体特徴データ)を生成する(ST103)。同時に、顔解析プロセス部12は、発行されるIDカードに使用するための顔写真(静止画)を生成する(ST103)。
【0032】
2)ホスト3は、IDカードの発行に必要な記載情報(例えば氏名、住所、年齢、電話番号などの情報)を送信する(ST111)。これに対応して、撮影機1は、ホストから送信される記載情報を受け取る(ST104)。
【0033】
3)撮影機1のIDカード作成プロセス部13は、IDカード作成機4に対して、顔写真(静止画)と記載情報に基づきIDカードの作成を指示する(ST105)。IDカード作成機4は、撮影機1からのIDカードの作成指示(顔写真(静止画)と記載情報)に基づきIDカードを作成する(ST121)。
【0034】
4)撮影機1のIDカード作成プロセス部13は、記載情報、顔写真(静止画)、及び解析データを含むIDカード発行データをファイリングサーバへ送信する(ST106)。
【0035】
5)ファイリングサーバ2は、記載情報から検索キーを抽出し(ST131)データベース23へ登録し、さらに記載情報、顔写真(静止画)、及び解析データを含むIDカード発行データもデータベース23へ登録する(ST132)。
【0036】
なお、自動確認モードが指定されている場合には(ST101、NO)、本人自動確認機能(ST200)、及びオペレータ通知機能(ST300)が動作する。これら本人自動確認機能(ST200)、及びオペレータ通知機能(ST300)については、以下に説明する。
【0037】
次に、図3及び図4を参照して、ID発行システムによる本人自動確認機能(ST200)について説明する。図3は、ID発行システムの撮影機1による本人自動確認機能を説明するためのブロック図である。図4は、本人自動確認機能を説明するためのフローチャートである。
【0038】
上記したように、IDカード発行システムでは、例えば、撮影機1の入力表示部16を介して動作モード(本人確認作業を行わない非確認モード/本人確認作業を行なう自動確認モード)を指定することができる。自動確認モードが指定されている場合には(ST101、NO)、IDカードを作成する前に、カメラ11の前にいる人物が、過去にファイリングサーバに記録された人物と同一人物かどうかが、顔照合機能を使用して自動判定される。以下にその手順を示す。
【0039】
1)撮影機1のカメラ11は、IDカード再発行申請者の顔写真を動画として撮影する(ST201)。顔解析プロセス部12は、カメラ11により撮影された動画から認証用解析データ(生体特徴データ)を生成する(ST202)。同時に、顔解析プロセス部12は、再発行されるIDカードに使用するための顔写真(静止画)を生成する(ST202)。
【0040】
2)サーバ検索プロセス部15は、ファイリングサーバ2に対して検索キーに基づき、登録済みの認証用解析データ(生体特徴データ)、顔写真、記載情報を検索を指示する。ファイリングサーバ2のデータベースプロセス部22は、サーバ検索プロセス部15からの検索指示に基づき、登録済みの認証用解析データ(生体特徴データ)、顔写真、記載情報を検索し、検索結果を送信する(ST211)。サーバ検索プロセス部15は、検索結果を受信する。つまり、サーバ検索プロセス部15は、検索された登録済みの認証用解析データ(生体特徴データ)、顔写真、記載情報を取得する(ST203)。
【0041】
3)照合プロセス部14は、顔解析プロセス部12により生成された認証用解析データと登録済み認証用解析データとを照合し照合率(照合結果)を算出し(ST204)、同一人物か否かを判断する。つまり人物を特定する。
【0042】
次に、図5及び図6を参照して、オペレータ通知機能(ST300)について説明する。図5は、オペレータ通知機能により各種情報を通知するオペレータ画面の一例を示す図である。オペレータ画面は、例えば、顔写真表示領域161、判定結果/照合率表示領域162、詳細情報表示領域163、ファンクションキー表示領域164を含む。図6は、オペレータ通知機能を説明するためのフローチャートである。
【0043】
上記したように、撮影機1の入力表示部16は、本人自動確認機能において算出された照合率(算出結果)に基づき(ST301)、「同一人物」(ST302)、「確認必要」(ST303)、「作成不可」(ST304)の三段階の情報を通知する。つまり、撮影機1の入力表示部16は、本人自動確認機能において算出された照合率(算出結果)に基づき(ST301)、人物が特定され、IDカードが再作成されることを通知したり(ST302)、人物が完全に特定できないため人物を確認する作業を促したり(ST303)、人物が全く特定できないのでIDカードの再作成が不能であることを通知したりする(ST304)。これら情報の通知に対応した処理は、以下の通りである。なお、照合率からこれら三段階を判断するためのレベルは、変更することが可能である。
【0044】
1)「同一人物」(ST302):IDカード作成プロセス部13は、照合プロセス部14により算出された照合率が第1のレベル以上であることに基づき、人物を特定するとともに、IDカード作成機4に対して、生成した顔写真(静止画)(ST202)と登録済みの記載情報(ST203)に基づきIDカードの再作成を指示する。IDカード作成機4は、撮影機1からのIDカードの再作成指示(顔写真(静止画)と記載情報)に基づきIDカードを再作成する。入力表示部16は、注意メッセージを表示することなく、照合率の値を案内表示するとともに、人物が特定されIDカードが続けて再作成されることを案内表示する。
【0045】
このとき、IDカード作成プロセス部13は、IDカードの再作成日時、予め入力されたオペレータのID(オペレータ識別データ)、照合率、照合結果を、ファイリングサーバ2へ送信する。ファイリングサーバ2は、送信されるデータをデータベース23の監査用テーブルへ登録する。
【0046】
2)「確認必要」(ST303):IDカード作成プロセス部13は、照合プロセス部14により算出された照合率が第1のレベル未満で第2のレベル以上であることに基づき)、正確な人物特定が不能でオペレータによる人物確認必要と判断し、オペレータに対して人物確認を要求するとともに、オペレータからの入力(カード再作成/再作成中止)を待つ。このとき、入力表示部16は、今回の撮影により取得した顔写真(ST201)と取得した登録済みの顔写真(ST203)を並べて表示し、照合率の値及び取得した登録済みの記載情報(ST203)なども表示し、さらに人物確認結果の入力(カード再作成/再作成中止)を要求する。
【0047】
例えば、オペレータが、画面上に表示された登録済みの顔写真とIDカード再発行申請者とを比較し、さらに入力表示部16に表示された記載情報について質問するなどして、IDカード再発行申請者を特定する。オペレータは、画面上に表示された登録済みの顔写真とIDカード再発行申請者とが同一人物であると判断すると、入力表示部16を介して人物確認したこと(カード再作成)及びその理由を入力する(ST305)。一方、同一人物でないと判断すると、入力表示部16を介して人物確認できなかったこと(カード再作成中止)及びその理由を入力する(ST305)。
【0048】
IDカード作成プロセス部13は、入力表示部16を介して入力された情報(人物確認したこと、その理由、及び予め入力されたオペレータのID(オペレータ識別データ))、照合率、生成された認証用解析データ(ST203)、取得された登録済み認証用解析データ(ST203)などを、ファイリングサーバ2へ送信する(ST306)。或いは、IDカード作成プロセス部13は、入力表示部16を介して入力された情報(人物確認できなかったこと、その理由、及び予め入力されたオペレータの識別コード)、照合率、生成された認証用解析データ(ST203)、取得された登録済み認証用解析データ(ST203)などを、ファイリングサーバ2へ送信する(ST306)。
【0049】
ファイリングサーバ2のデータプロセス部22は、送信される情報を受信し(ST311)、送信される情報をデータベース23の監査用テーブルへ登録する(ST312)。この登録により、オペレータの誰がどのような条件でどのような理由から人物を確認(特定)したのか、又はオペレータの誰がどのような条件でどのような理由から人物を確認(特定)しなかったのかが管理される。これにより、後のトラブルやオペレータの人物確認の技量を管理することができる。
【0050】
上記したように、入力表示部16を介して人物確認したこと及びその理由が入力されると、IDカード作成プロセス部13は、IDカード作成機4に対して、取得した顔写真(静止画)(ST203)と記載情報(オペレータによる人物確認に利用された資料)(ST203)に基づきIDカードの再作成を指示する(ST307、YES)。IDカード作成機4は、撮影機1からのIDカードの再作成指示(顔写真(静止画)と記載情報)に基づきIDカードを再作成する。またこのIDカードの再作成に基づき、IDカード作成プロセス部13は、上記したファイリングサーバ2への送信情報に加えて、IDカードの再作成日時もファイリングサーバ2へ送信する。一方、入力表示部16を介して人物確認できなかったこと及びその理由が入力されると、IDカード作成プロセス部13は、IDカード作成機4に対してIDカードの再作成を指示することなく(ST307、NO)、IDカードの作成を中止する。この場合にも、IDカード作成プロセス部13は、上記したファイリングサーバ2への送信情報に加えて、IDカードの再作成中止日時もファイリングサーバへ送信する。
【0051】
3)「作成不可」(ST304):IDカード作成プロセス部13は、照合プロセス部14により算出された照合率が第2のレベル未満であることに基づき、人物を一切特定できないと判断し、オペレータからの入力を待つ(ST305)。このとき、入力表示部16は、今回の撮影(ST201)により取得した顔写真と取得した登録済みの顔写真(ST203)を並べて表示し、照合率の値及び取得した登録済みの記載情報(ST203)なども表示し、さらにIDカードを作成できない旨を表示する。オペレータは、入力表示部16を介して人物確認できなかったこと(再作成中止)及びその理由を入力する。IDカード作成プロセス部13は、IDカードの再作成中止日時、入力表示部16を介して入力された情報(人物確認できなかったこと、その理由、及び予め入力されたオペレータのID(オペレータ識別データ))、照合率、生成された認証用解析データ(ST202)、取得された登録済み認証用解析データ(ST203)などは、ファイリングサーバ2へ送信される(ST309)。
【0052】
ファイリングサーバ2のデータプロセス部22は、送信される情報を受信し(ST311)、送信されるデータをデータベース23へ登録する(ST312)。この登録により、オペレータの誰がどのような理由から人物を確認(特定)できなかったのかが管理される。上記したように、入力表示部16を介して人物確認できなかったこと及びその理由が入力されると、IDカード作成プロセス部13は、IDカード作成機4に対してIDカードの再作成を指示することなく、IDカードの再作成を中止する。
【0053】
次に、ID発行システムによる監査機能について説明する。自動確認モードが指定されている場合には、この監査機能により、IDカードを再作成した条件、又は再作成を中止した条件をファイリングサーバ2へ送信する。
【0054】
1)「同一人物」(ST302)と判断された場合は、上記したように、「作成日時」、「オペレータID」、「照合率」、「照合結果」などがファイリングサーバ2の監査テーブルに記録される。
【0055】
2)「確認必要」(ST303)と判断された場合は、上記したように、「作成日時/作成中止日時」、「オペレータID」、「照合率」、「生成された認証用解析データ(ST202)」、「取得された登録済み認証用解析データ(ST203)」、「判断結果/理由」などがファイリングサーバ2の監査テーブルに記録される。
【0056】
3)「作成不可」(ST304)と判断された場合は、「作成中止日時」、「オペレータID」、「照合率」、「生成された認証用解析データ(ST202)」、「取得された登録済み認証用解析データ(ST203)」などがファイリングサーバ2の監査テーブルに記録される。
【0057】
ホスト3は、ファイリングサーバ2の監査テーブルに記録されたデータの統計一覧を表示する機能を持つ。統計一覧には、例えば、(1)照合結果の割合表示、(2)オペレータ毎の再作成件数表示などがある。
【0058】
(1)照合結果の割合表示では、例えば、全体の作成件数における「同一人物」、「確認必要」、「作成不可」の割合を表示する。また、「確認必要」の場合にはIDカードを再作成したかどうか、またその理由を表示する。この内容により現在設定されている判断レベルのしきい値の妥当性を知ることができる。
【0059】
(2)オペレータ毎の再作成件数表示では、例えば、「確認必要」の場合に、再作成をした割合をオペレータ毎に表示する。この内容によりオペレータ毎の傾向を判断する。特に異常な値があれば、通知する。
【0060】
以上説明したIDカード発行システムによれば、例えば以下に示すような作用効果が得られる。
【0061】
(1)本人確認作業をIDカード作成作業の一連の作業の中で行い、しかも認証エンジにより自動的に判定することにより、作業時間の短縮と、オペレータの人数削減をすることができる。
【0062】
(2)本人確認作業を顔照合エンジンが行い、オペレータの目視確認が不要となるため、オペレータの特殊技能が必要なくなる。
【0063】
(3)本人確認作業を認証エンジンが行うため、オペレータの判断能力に対する責任が軽減される。
【0064】
(4)本人確認作業の判断結果を評価することにより、判断のしきい値を変更するなど、システムの改善を図ることができる。
【0065】
(5)本人確認作業の判断結果を評価することにより、オペレータの判断ミスや意図的な誤作成を発見することができる。
【0066】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の一例に係るIDカード発行システム(身分証発行システム)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】IDカード情報保管機能を説明するためのフローチャートである。
【図3】ID発行システムの撮影機1による本人自動確認機能を説明するためのブロック図である。
【図4】本人自動確認機能を説明するためのフローチャートである。
【図5】オペレータ通知機能により通知される情報の一例を示す図である。
【図6】オペレータ通知機能を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1…撮影機、2…ファイリングサーバ、3…ホスト、4…IDカード作成機、11…カメラ、12…顔解析プロセス部、13…IDカード作成プロセス部、14…照合プロセス部、15…サーバ検索プロセス部、16…入力表示部、21…検索キー抽出プロセス部、22…データベースプロセス部、23…データベース、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体特徴データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求する要求手段と、
前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付ける入力受付手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記入力受付手段により人物確認の入力が得られることを条件として、所定の処理を実行する処理手段と、
を備えたことを特徴とする照合処理装置。
【請求項2】
生体特徴データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求する要求手段と、
前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付ける入力受付手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記入力受付手段により人物確認の入力が得られることを条件として、特定された人物又は確認された人物の身分証を発行する発行手段と、
を備えたことを特徴とする身分証発行装置。
【請求項3】
生体特徴データを含む個人情報を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された個人情報に基づき身分証を発行する発行手段と、
生体特徴データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された生体特徴データと前記登録手段により登録された個人情報に含まれる生体特徴データとを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求する要求手段と、
前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付ける入力受付手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記入力受付手段により人物確認の入力が得られることを条件として、前記登録手段により登録された個人情報に基づき、特定された人物又は確認された人物の身分証を再発行する再発行手段と、
を備えたことを特徴とする身分証発行システム。
【請求項4】
生体特徴データを含む個人情報を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された個人情報に基づき身分証を発行する発行手段と、
生体特徴データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された生体特徴データと前記登録手段により登録された個人情報に含まれる生体特徴データとを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認及びオペレータ識別データを要求する要求手段と、
前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果及びオペレータ識別データを受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段により受け付けられた人物確認結果及びオペレータ識別データを管理する管理手段と、
前記照合手段による照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記入力受付手段により人物確認の入力が得られることを条件として、前記登録手段により登録された個人情報に基づき、特定された人物又は確認された人物の身分証を再発行する再発行手段と、
を備えたことを特徴とする身分証発行システム。
【請求項5】
生体特徴データを取得し、
前記取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合し、
前記照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求し、
前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付け、
前記照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記受け付けにより人物確認の入力が得られることを条件として、所定の処理を実行する、
ことを特徴とする照合処理方法。
【請求項6】
生体特徴データを取得し、
前記取得された生体特徴データと予め登録された生体特徴データとを照合し、
前記照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求し、
前記要求手段の要求に対応して入力される人物確認結果を受け付け、
前記照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記受け付けにより人物確認の入力が得られることを条件として、特定された人物又は確認された人物の身分証を発行する、
ことを特徴とする身分証発行方法。
【請求項7】
生体特徴データを含む個人情報を登録し、
前記登録された個人情報に基づき身分証を発行し、
生体特徴データを取得し、
前記取得された生体特徴データと前記登録手段により登録された個人情報に含まれる生体特徴データとを照合し、
前記照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認を要求し、
前記要求に対応して入力される人物確認結果を受け付け、
前記照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記受け付けにより人物確認の入力が得られることを条件として、前記登録手段により登録された個人情報に基づき、特定された人物又は確認された人物の身分証を再発行する、
ことを特徴とする身分証発行方法。
【請求項8】
生体特徴データを含む個人情報を登録し、
前記登録された個人情報に基づき身分証を発行し、
生体特徴データを取得し、
前記取得された生体特徴データと前記登録された個人情報に含まれる生体特徴データとを照合し、
前記照合結果に基づき人物特定不能な場合にオペレータに対して人物確認及びオペレータ識別データを要求し、
前記要求に対応して入力される人物確認結果及びオペレータ識別データを受け付け、
前記受け付けられた人物確認結果及びオペレータ識別データを管理し、
前記照合結果に基づき人物が特定されること、又は前記受け付けにより人物確認の入力が得られることを条件として、前記登録手段により登録された個人情報に基づき、特定された人物又は確認された人物の身分証を再発行する、
ことを特徴とする身分証発行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−260484(P2006−260484A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80635(P2005−80635)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】