照合素子、粘着ラベル、転写箔及びラベル付き物品
【課題】様々な物品で利用可能な照合技術を提供する。
【解決手段】本発明の照合素子10は、溶媒及びこの溶媒中に溶解した重合性及び/又は架橋性材料を含んだ連続相と、前記重合性及び/又は架橋性材料と比較して前記溶媒に対する相溶性がより低い液状添加剤を含んだ分散相とからなるエマルジョンから塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることによって得られるランダムパターンを具備している。
【解決手段】本発明の照合素子10は、溶媒及びこの溶媒中に溶解した重合性及び/又は架橋性材料を含んだ連続相と、前記重合性及び/又は架橋性材料と比較して前記溶媒に対する相溶性がより低い液状添加剤を含んだ分散相とからなるエマルジョンから塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることによって得られるランダムパターンを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照合技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、有価証券等の真偽判定には、紙の繊維の配置を利用することができる。
【0003】
紙の繊維の配置は不規則であるので、或る紙について観察される繊維のパターンは、他の紙について観察される繊維のパターンとは異なっている。また、紙の或る領域について観察される繊維のパターンは、その紙の他の領域について観察される繊維のパターンとは異なっている。そして、この不規則性は、人為的に生じさせている訳ではなく、紙自体が本来有している性質である。
【0004】
それ故、この繊維パターンは、個人識別における指紋や網膜の如く利用することが可能である。例えば、全ての真正品について、繊維パターンを、データベースに予め登録しておく。そして、真正品であるか否かが不明の物品の繊維パターンを、登録されている繊維パターンと照合する。これにより、その物品の真偽を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−102562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術は、紙からなる物品の真偽判定に対しては、有利に適用され得る。しかしながら、この技術は、紙以外の物品での利用には適していない。
そこで、本発明は、様々な物品で利用可能な照合技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面によると、溶媒及びこの溶媒中に溶解した重合性及び/又は架橋性材料を含んだ連続相と、前記重合性及び/又は架橋性材料と比較して前記溶媒に対する相溶性がより低い液状添加剤を含んだ分散相とからなるエマルジョンから塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることによって得られるランダムパターンを具備した照合素子が提供される。
【0008】
本発明の第2側面によると、第1側面に係る照合素子と、前記照合素子と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0009】
本発明の第3側面によると、第1側面に係る照合素子を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した基材とを具備した転写箔が提供される。
【0010】
本発明の第4側面によると、第1側面に係る照合素子と、前記照合素子が貼り付けられた物品とを具備したラベル付き物品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、様々な物品で利用可能な照合技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一態様に係る照合素子を概略的に示す平面図。
【図2】図1に示す照合素子の一部を拡大して示す平面図。
【図3】図2に示す照合素子のIII−III線に沿った断面図。
【図4】図1に示す照合素子のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】図1に示す照合素子のランダムパターンが表示する階調画像の拡大写真。
【図6】図5に示す階調画像の更に拡大した写真。
【図7】図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の一例を示す図。
【図8】図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の他の例を示す図。
【図9】転写箔の一例を概略的に示す断面図。
【図10】粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図。
【図11】転写箔の他の例を概略的に示す断面図。
【図12】粘着ラベルの他の例を概略的に示す断面図。
【図13】粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図。
【図14】粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図。
【図15】ラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図。
【図16】ネットワークを利用した照合方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の一態様に係る照合素子を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す照合素子の一部を拡大して示す平面図である。図3は、図2に示す照合素子のIII−III線に沿った断面図である。図4は、図1に示す照合素子のIV−IV線に沿った断面図である。
【0015】
図1乃至図4に示す照合素子10は、例えば、物品の真偽判定に利用する。或いは、この照合素子10は、情報の取得及び登録などへの制限を解除するための、又は、戸及び蓋などに設けられた錠を開閉するための鍵として利用することもできる。
【0016】
照合素子10を物品の真偽判定に利用する場合、この照合素子10は、真正品としての物品に支持させる。ここでは、一例として、照合素子10は物品に貼り付けて使用することとする。
【0017】
この照合素子10は、図3及び図4に示すように、第1保護層110と、ランダムパターン120と、第2保護層130と、反射層140aと、印刷層150a及び150bとを含んでいる。
【0018】
第1保護層110は、照合素子10を物品に貼り付けたときに、その最表面に位置する層である。保護層110は、光透過性を有しており、典型的には透明である。保護層110は、ランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bなどを損傷から保護する。
【0019】
印刷層150aは、図4に示すように、保護層110上に形成された印刷パターンである。印刷層150aは、例えば黒色の着色層である。印刷層150aは、図1に示す画像ICを表示するコードパターンを含んでいる。
【0020】
コードパターンは、照合素子10に対して個別に付与されるコードを表示する。図1に示す例では、コードパターンは、画像ICとして、一次元コードを表示している。コードパターンは、一次元コードの代わりに又は一次元コードに加えて、二次元コード並びに数字及びアルファベットなどの文字の少なくとも一方を表示してもよい。
【0021】
印刷層150bは、図4に示すように、保護層110の一部と印刷層150aとを被覆している。印刷層150bは、図1に示す画像IRの位置で開口している。
【0022】
印刷層150bは、印刷層150aとは異なる色、例えば白色を表示する層である。印刷層150bが表示する画像は、図1に示す画像ICの背景を構成する。後で説明するように、印刷層150a及び150bは、省略することができる。
【0023】
ランダムパターン120は、図3及び図4に示すように、保護層110及び印刷層150b上に形成された層である。ランダムパターン120のうち印刷層150b上に位置した部分は、省略することができる。
【0024】
ランダムパターン120は、図3及び図4に示すように、厚さが大きい第1部分と、厚さが連続的に変化している第2部分と、厚さが小さい第3部分とを含んでいる。ランダムパターン120の第1、第2及び第3部分は、それぞれ、図2及び図3の領域A1、A2及びA3に対応している。
【0025】
なお、図3及び図4では、理解を容易にするために、ランダムパターン120の寸法を縦方向に著しく拡大している。例えば、第1部分の厚さが1乃至5μm程度であり、第3部分の厚さが0乃至1μm程度である場合、領域A2の径は数100μmであり、領域A3の径は数100μmである。
【0026】
ランダムパターン120は、樹脂硬化物と顔料及び/又は染料とを含んでいる。ここでは、一例として、ランダムパターン120は、樹脂硬化物と白色顔料との混合物からなることとする。このようなランダムパターン120は、照合素子10を白色光で照明し、正反射光が知覚されない条件下で観察した場合に、図1に示す画像IRを表示する。
【0027】
画像IRは、階調画像であって、ランダムパターン120の厚さの分布に対応した明るさの分布を有している。具体的には、画像IRは、ランダムパターン120の厚さが小さい部分では暗く、ランダムパターン120の厚さが小さい部分では明るい。
【0028】
なお、ランダムパターン120は、顔料及び染料を含んでいなくてもよい。例えば、ランダムパターン120は、顔料及び染料の代わりに、顔料及び染料以外の機能性材料を含んでいてもよい。或いは、ランダムパターン120は、顔料及び染料の少なくとも一方に加えて、顔料及び染料以外の機能性材料を更に含んでいてもよい。
【0029】
この機能性材料としては、例えば、赤外線吸収材料、蛍光材料、紫外線吸収材料、液晶粒子及びシリカなどの光学的特性を付与する材料;帯電防止剤及び導電性材料などの電気的特性を付与する材料;磁性粉などの磁気的特性を付与する材料;アルミニウム粉及びガラス粒子などの意匠性を付与する材料;又はそれらの2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0030】
第2保護層130は、ランダムパターン120上に形成されている。保護層130は、光透過性を有しており、典型的には透明である。保護層130は、樹脂硬化物を含んでおり、保護層110からランダムパターン120が脱落するのを防止する役割を果たす。保護層130は、省略することができる。
【0031】
反射層140aは、保護層130を被覆している。反射層140aは、例えば金属又は合金からなる。反射層140aとして、単層構造又は多層構造を有している透明誘電体層を使用してもよい。反射層140aは、省略することができる。
【0032】
この照合素子10のランダムパターン120が表示する画像IRは、以下に説明する特徴を有している。
【0033】
図5は、図1に示す照合素子のランダムパターンが表示する階調画像の拡大写真である。図6は、図5に示す階調画像の更に拡大した写真である。
【0034】
図5に示す写真は、照合素子10の保護層110を、その法線に対して45°の角度を成す方向から白色光で照明し、電荷結合素子画像センサで図1に示す画像IRを撮像することにより得られたものである。図6に示す写真は、図5に示す写真の一部を拡大したものである。
【0035】
図5及び図6に示す写真において、明るい部分は図2及び図3に示す領域A1に相当し、暗い部分は図2及び図3に示す領域A3に相当し、中間の明るさの部分は図2及び図3に示す領域A2に相当している。
【0036】
図5及び図6から分かるように、領域A2及びA3は、不規則な形状を有しており、不均一に分布している。また、領域A2の少なくとも一部では、領域A1から領域A3へ向けて明るさが連続的に減少している。
【0037】
このような特徴を有している画像IRを二値化すると、この二値化に際して設定する閾値の大きさに応じて異なる二値画像が得られる。
【0038】
図7は、図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の一例を示す図である。図8は、図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の他の例を示す図である。
【0039】
図7に示す二値画像IR1を得るための二値化に際しては、画像の明るさについて第1閾値を設定している。他方、図8に示す二値画像IR2を得るための二値化に際しては、画像の明るさについて、第1閾値よりも大きな第2閾値を設定している。
【0040】
図7に示す二値画像IR1と図8に示す二値画像IR2とは、同一の階調画像から得られたものであるにも拘らず、暗部が形成しているパターンが異なっている。また、二値化に際し、第1及び第2閾値とは異なる閾値を設定すると、暗部が形成しているパターンが二値画像IR1及びIR2とは異なる二値画像が得られる。即ち、閾値の大きさに応じて異なる二値画像が得られる。
【0041】
この照合素子10のランダムパターン120は、後で説明するように、個人識別における指紋や網膜の如く利用することが可能である。そして、後述するように、この照合素子10には、物品から剥離しようとした場合に容易に破壊される構造を採用することができる。即ち、この照合素子10は、物品に貼り付けて使用した場合であっても、偽造又は変造される可能性が低い。従って、この照合技術は、様々な物品で利用することができる。
【0042】
次に、照合素子10及びこの照合素子10を含んだラベル付き物品の製造方法を説明する。ここでは、一例として、転写箔を用いた製造方法を説明する。
【0043】
図9は、転写箔の一例を概略的に示す断面図である。なお、図9では、簡略化のため、ランダムパターン120を平坦な表面を有している層として描いている。
【0044】
図9に示す転写箔20を製造するに際しては、まず、支持体210を準備する。この支持体210としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの比較的高い耐熱性を有しているフィルムを使用する。支持体210の表面には、例えばフッ素樹脂又はシリコーン樹脂を含んだ離型層を設けておいてもよい。
【0045】
次に、支持体210上に、保護層110を形成する。例えば、支持体210上に樹脂を塗布する。この樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂を使用する。また、必要に応じ、保護層110と支持体210の間に熱的に剥離可能に形成された剥離層(図示せず)を設けてもよい。
【0046】
次いで、保護層110上に、印刷層150a及び150bを順次形成する。印刷層150aは、例えば、インクジェット記録法又はサーマルヘッドを用いた熱転写記録法によって形成する。印刷層150bは、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、ホットスタンプを用いた熱転写記録法、サーマルヘッドを用いた熱転写記録法、又はインクジェット記録法によって形成する。
【0047】
なお、ここでは、コードパターンを印刷層150aによって構成しているが、コードパターンは他の方法によって形成してもよい。例えば、コードパターンは、レーザビームを照射することによって材料を炭化するレーザエングレービングによって形成してもよい。或いは、コードパターンは、感熱発色剤を含んだ層を形成し、この層にレーザビームで描画することにより形成してもよい。
【0048】
また、照合素子10から、コードパターンを省略してもよい。例えば、照合素子10を支持させる物品がコードパターンを含んでいれば、照合素子10はコードパターンを含んでいなくてもよい。
【0049】
その後、以下に説明する方法により、保護層110及び印刷層150b上にランダムパターン120を形成する。
【0050】
まず、溶媒と重合性及び/又は架橋性材料と顔料及び/又は染料と液状添加剤とを含有したエマルジョンを調製する。具体的には、連続相は溶媒と重合性及び/又は架橋性材料と顔料及び/又は染料とを含み、分散相は液状添加剤を含んだエマルジョンを調製する。
【0051】
溶媒としては、非水溶媒及び水の何れも使用することができる。非水溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、ミネラルターペン、ソルベッソ100及びソルベッソ150などの芳香族化合物;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール及び3−メチル3−メトキブタノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール及びシクロヘキサノンなどのケトン;酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、セロソルブアセテート(エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル;ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルグリコール)及びエチルセロソルブ(エチレングリコールモノエチルエーテル)などのエーテル;又はそれらの2つ以上の混合物を使用する。
【0052】
重合性及び/又は架橋性材料としては、例えば、高分子化合物、その単量体若しくは低重合体、又はそれらの混合物を使用する。例えば、重合性及び/又は架橋性材料として、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂、アミノ樹脂及び二液型ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、又は紫外線硬化樹脂などの光硬化樹脂を使用する。
【0053】
重合性及び/又は架橋性材料は、溶媒中に溶解させる。従って、重合性及び/又は架橋性材料と溶媒とは、高い相溶性を示すものを選択する。例えば、重合性及び/又は架橋性材料が親水基を有していない場合には、極性が低い非水溶媒を使用する。また、重合性及び/又は架橋性材料が水溶性樹脂である場合には、水などの極性溶媒を使用する。
【0054】
溶媒に対する重合性及び/又は架橋性材料の質量比は、例えば10乃至55質量%の範囲内とし、典型的には25乃至40質量%の範囲内とする。
【0055】
顔料及び/又は染料は、溶媒中に分散又は溶解させる。染料を使用してもよいが、顔料は、染料と比較して耐久性に優れている。
【0056】
顔料としては、有機顔料、無機顔料、又はそれらの混合物を使用する。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、亜鉛華(ZnO)、カーボンブラック(C)、黒鉛(C)、鉄黒(Fe3O4)、ベンガラ(Fe2O3)、鉛丹(Pb3O4)、モリブデートオレンジ(PbCrO4・nPbMoO4mPbSO4)、黄鉛(PbCrO4・nPbSO4)、黄酸化鉄(FeOOH)、チタンイエロー(TiO2・NiO2・Sb2O3)、クロムグリーン(黄鉛と紺青の混合物)、酸化クロム(Cr2O3)、紺青(KFe[Fe(CN)6])、群青(2(Na2O・Al2O3・2SiO2)・Na2S3)、マンガン紫((NH4)Mn(P2O7))、アルミニウム粉(Al)、ブロンズ粉(CuとZnの合金)、雲母(マイカ)、酸化アルミ(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、オキシ塩化ビスマス、ガラス粒子、蛍光顔料、炭酸マグネシウム(MgO)、カオリン、その他複合酸化物、又はそれらの2つ以上の混合物を使用する。
【0057】
有機顔料としては、例えば、ナフトールカーミン、パーマネントレッド、ボンマルーン、ボルドー、ナフトールレッド、トルイジンレッド及びファーストイエローなどのモノアゾ系顔料;縮合アゾレッド、縮合アゾスカーレット及び縮合アゾイエローなどの縮合アゾ系顔料;ジスアゾイエローなどのジスアゾ系顔料;キナクリドンスカーレット、キナクリドンマルーン、キナクリドンマゼンタ及びキナクリドンゴールドなどのキナクリドン系顔料;ピランスロンレッドなどのピランスロン系顔料;ジブロムアンザンスロンレッドなどの、ジブロムアンザンスロン系顔料;チオインジゴボルドーなどのチオインジゴ系顔料;ペリレンレッド、ペリレンマルーン及びペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料;ベンズイミダゾロンオレンジなどのベンズイミダゾロン系顔料;ペリノンオレンジなどのペリノン系顔料;銅アゾメチンイエローなどの金属錯酸アゾメチン系顔料;ベンズイミダゾロンイエローなどのベンズイミダゾロン系顔料;イソインドリノンイエローなどのイソインドリノン系顔料;アントラピリミジンイエローなどのアントラピリミジン系顔料;フラバントロンイエローなどのフラバントロン系顔料;キノフタロンイエローなどのキノフタロン系顔料ニッケルアゾイエローなどの金属錯塩アゾ系顔料;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;フタロシアニンブルー及び塩臭素化銅フタロシアニングリーンなどの銅フタロシアニン系顔料;無金属フタロシアニンブルーなどの銅フリーフタロシアニン顔料;インダントロンブルーなどのインダントロン系顔料;キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料;ジオキサジンバイオレットなどのジオキサン系顔料;その他有機顔料;又はそれらの2つ以上の混合物を使用する。
顔料には、その分散性を向上させるために表面処理を施してもよい。
【0058】
エマルジョンの乾燥質量に対する顔料又は染料の質量の比は、ランダムパターン120に要求される外観や色調に応じて異なる。例えば、顔料として酸化チタンを使用する場合、エマルジョンの乾燥質量に対する顔料又は染料の質量の比を約40%とすると、ランダムパターン120に白色を表示させることができる。
【0059】
液状添加剤は、重合性及び/又は架橋性材料と比較して、溶媒に対する相溶性がより低い。典型的には、液状添加剤は、溶媒に対して不溶性であり、溶媒と重合性及び/又は架橋性材料とを含んだ混合物に対しても不溶性である。液状添加剤は、非重合性及び非架橋性であり、このエマルジョン中の他の成分に対して非反応性である。
【0060】
液状添加剤としては、例えば、シリコーン油などのシリコン系添加剤、ポリテトラフルオロエチレン油などのフッ素系添加剤、ポリエチレンワックスなどのワックス系添加剤、動植物油及び鉱物油などの油脂系添加剤又はそれらの組み合わせを使用することができる。
【0061】
このエマルジョンの乾燥質量に対する液状添加剤の質量の比は、例えば0.1乃至0.5%の範囲内とする。
【0062】
このエマルジョンは、溶媒に対して可溶性の添加剤を更に含んでいてもよい。例えば、このエマルジョンは、顔料の分散性を高める添加剤を更に含んでいてもよい。
【0063】
次に、このエマルジョンを、保護層110及び印刷層150b上に供給する。例えば、このエマルジョンを、保護層110及び印刷層150b上に塗布する。これにより塗膜を形成する。この塗膜は、下地の面積に対するランダムパターン120の質量の比が、例えば1.0乃至2.0g/m2の範囲内となるように形成する。
【0064】
続いて、この塗膜を乾燥させる。例えば、190℃で20秒間に亘る乾燥を行う。以上のようにして、ランダムパターン120を得る。
【0065】
このようにして得られるランダムパターン120は、図3及び図4に示すように、厚さが大きい第1部分と、厚さが連続的に変化している第2部分と、厚さが小さい第3部分とを含んでいる。第2及び第3部分は、不規則な形状を有しており、不均一に分布している。この不規則性は、人為的に生じさせている訳ではなく、自然発生した性質である。そして、或るランダムパターン120について観察される第2及び第3部分の形状及び配置と、他のランダムパターン120について観察される第2及び第3部分の形状及び配置とが完全に一致する確率は殆どゼロである。従って、このランダムパターン120は、個人識別における指紋や網膜の如く利用することが可能である。
【0066】
なお、この方法によって得られるランダムパターン120には、他の方法で類似のパターンを形成した場合には得られない特徴がある。
【0067】
例えば、このランダムパターン120は、厚さのばらつきを有しており、この厚さのばらつきに対応した階調画像IRを表示する。画像IRが階調画像であることは、例えば50倍の倍率で観察した場合であっても確認することができる。即ち、中間調を表示する部分が比較的大きい。換言すれば、ランダムパターン120の厚さは、面内方向に急峻に変化している訳ではなく、緩やかに変化している。このような構造をフォトリソグラフィなどのパターニングを利用したプロセスで再現することは、不可能であるか又は困難である。
【0068】
また、ランダムパターン120の第3部分には、少量であるが顔料が存在している場合がある。このような構造もフォトリソグラフィなどのパターニングを利用したプロセスで再現することは、不可能であるか又は困難である。
【0069】
次に、ランダムパターン120上に保護層130を形成する。保護層130は、例えば、ランダムパターン120上に樹脂を塗布し、これを硬化させることにより得られる。
【0070】
続いて、保護層130上に、反射層140aを形成する。反射層140aは、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法によって形成する。反射層140aは、金属又は合金からなる小片を含んだ樹脂を保護層130上に塗布し、これを硬化させることにより形成してもよい。
【0071】
更に、反射層140a上に、接着層220を形成する。接着層220の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を使用する。
【0072】
以上のようにして、転写箔20を完成する。なお、この転写箔20は、支持体210と、この支持体210によって剥離可能に支持された転写材層とからなる。転写材層は、保護層110と、印刷層150a及び150bと、ランダムパターン120と、保護層130と、反射層140aと、接着層220とを含んでいる。
【0073】
その後、転写材層の一部又は全体を、支持体210から物品上へと熱転写する。このようにして、接着層220を介して物品上へと貼り付けられた照合素子10を得る。即ち、この照合素子10を物品に支持させてなるラベル付き物品を得る。
【0074】
照合素子10を含んだラベル付き物品は、転写箔20を用いて製造する代わりに、粘着ラベルを用いて製造することもできる。
【0075】
図10は、粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図である。
図10に示す粘着ラベル30は、照合素子10と、粘着層320とを含んでいる。粘着層320は、照合素子10の裏面を被覆している。
【0076】
照合素子10は、以下の点を除き、図1乃至図4を参照しながら説明した照合素子10と同様である。即ち、この照合素子10は、保護層110の代わりに、保護層110’を含んでいる。そして、この照合素子10は、脆性層160を更に含んでいる。
【0077】
保護層110’は、光透過性を有しており、典型的には透明である。保護層110’は、ランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bなどを損傷から保護する。加えて、保護層110’は、ランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bなどを支持する基材としての役割を果たしている。
【0078】
脆性層160は、保護層110’とランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bとの間に介在している。脆性層160は、光透過性を有しており、典型的には透明である。脆性層160は、物品に貼り付けた照合素子10をこの物品から剥離しようとしたときに脆性破壊を生じる層である。脆性層160を設けると、照合素子10の不正使用を困難とすることができる。
【0079】
物品に貼り付ける前の粘着ラベル30は、典型的には、剥離紙に貼り付けておく。そして、この粘着ラベル30は、ラベル付き物品を製造する際に剥離紙から剥がし、物品に貼り付ける。
【0080】
図9に示す転写箔20及び図10に示す粘着ラベル30には、様々な変形が可能である。
【0081】
図11は、転写箔の他の例を概略的に示す断面図である。
図11に示す転写箔20は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150を含み、回折構造形成層170と反射層140bとマスク層180とを更に含んでいること以外は、図9を参照しながら説明した転写箔20と同様である。
【0082】
着色層150は、保護層130と反射層140aとの間に介在している。着色層150は、光透過性を有しており、典型的には透明である。着色層150は、図1に示す画像IRの暗部を着色する役割を果たす。着色層150を設けた場合、反射層140aは省略することができる。また、反射層140aを省略した場合、着色層150は遮光性であってもよい。
【0083】
回折構造形成層170は、保護層110とランダムパターン120との間に介在している。回折構造形成層170は、光透過性を有しており、典型的には透明である。回折構造形成層170のランダムパターン120と向き合った面には、レリーフ型の回折格子又はホログラムが設けられている。このように、回折格子及びホログラムなどの回折構造を設けると、照合素子10の偽造がより困難となる。
【0084】
反射層140bは、回折構造形成層170の回折格子又はホログラムが設けられた面を部分的に被覆している。反射層140bは、回折構造の回折効率を高める。なお、この転写箔20から得られる照合素子10は、反射層140bの開口部に対応した位置で、図1に示す画像IRを表示する。
【0085】
反射層140bは、例えば、金属又は合金からなる。反射層140bとして、単層構造又は多層構造を有している透明誘電体層を使用してもよい。
【0086】
マスク層180は、回折構造形成層170及び反射層140bを被覆している。マスク層180は、光透過性を有しており、典型的には透明である。マスク層180は、ランダムパターン120に平坦な下地を提供する役割を果たす。回折構造形成層170のうち反射層140bで被覆されていない部分が平坦な表面を有している場合には、この部分にマスク層180を設ける必要はない。
【0087】
図12は、粘着ラベルの他の例を概略的に示す断面図である。
図12に示す粘着ラベル30は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150を含み、保護層110、回折構造形成層170、反射層140b、接着層100及びアンカー層190を更に含んでいること以外は、図10を参照しながら説明した粘着ラベル30と同様である。
【0088】
保護層110と回折構造形成層170と反射層140bと接着層100との積層体は、例えば、転写箔を用いた熱転写によって、アンカー層190上に貼り付けられている。この積層体には開口が設けられており、照合素子10は、この開口の位置で、図1に示す画像IRを表示する。なお、接着層100は、例えば熱可塑性樹脂からなる。
【0089】
アンカー層190は、接着層100と基材110’との間に介在している。アンカー層190は、上述した積層体と基材110’との密着性を高める。
【0090】
粘着ラベル30に回折構造を設ける場合、図12を参照しながら説明したように、例えば転写箔を利用して、回折構造を含んだ積層体を基材110’に貼り付けてもよい。或いは、図11を参照しながらした説明から明らかなように、基材110’上に、回折構造を含んだ積層体とマスク層180とランダムパターン120とを順次形成してもよい。
【0091】
図13は、粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図である。
図13に示す粘着ラベル30は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150及び印刷層150cを含み、アンカー層190を更に含んでいること以外は、図10を参照しながら説明した粘着ラベル30と同様である。
【0092】
印刷層150cは、脆性層160の背面を部分的に被覆している。照合素子10は、印刷層150cの開口の位置で、図1に示す画像IRを表示する。
【0093】
印刷層150cは、光学可変インキを印刷することによって得られる。光学可変インキから得られる層は、観察角度に応じて見え方が変化する。光学可変インキとしては、例えば、誘電体多層膜の粉砕物と樹脂との混合物を使用することができる。このように、光学可変インキからなる印刷層150cを設けると、照合素子10の偽造がより困難となる。
【0094】
アンカー層190は、脆性層160及び印刷層150cとランダムパターン120との間に介在している。アンカー層190は、ランダムパターン120の脆性層160及び印刷層150cへの密着性を高める。
【0095】
図14は、粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図である。
図14に示す粘着ラベル30は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150及び印刷層150dを含み、基材110’の代わりに基材110’’を含んでいること以外は、図10を参照しながら説明した粘着ラベル30と同様である。
【0096】
基材110’’は、光学可変フィルムである。光学可変フィルムは、観察角度に応じて見え方が変化する。光学可変フィルムとしては、例えば、誘電体多層膜を使用することができる。或いは、光学可変フィルムとして、分子を固定化したコレステリック液晶層を使用してもよい。このように、基材110’’として光学可変フィルムを使用すると、照合素子10の偽造がより困難となる。
【0097】
印刷層150dは、脆性層160の背面を部分的に被覆している。照合素子10は、印刷層150dの開口の位置で、図1に示す画像IRを表示する。
【0098】
印刷層150dは、着色層であり、典型的には黒色などの暗色である。印刷層150dは、光学可変フィルムの視覚効果を高める役割を果たす。印刷層150dは、省略してもよい。
【0099】
図15は、ラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図である。
図15に示すラベル付き物品1は、照合素子10と、これを支持した物品40とを含んでいる。照合素子10は、物品40に貼り付けられている。
【0100】
物品40は、真偽判定する可能性があるものである。物品40は、例えば、身分証明書及び免許証などの証明書、有価証券、電気製品などの工業製品、工芸品、美術品、又はこれらを包装材料で包装してなる包装体である。
【0101】
照合素子10は、他の方法で物品40に指示させてもよい。例えば、照合素子10は、タグとして、鎖、紐及びリングなどの結合具を介して物品に支持させてもよい。或いは、照合素子10は、物品中に埋め込んでもよい。
【0102】
この照合素子10は、例えば、以下の方法により、物品の真偽判定に利用する。
図16は、ネットワークを利用した照合方法の一例を示す図である。
【0103】
照合素子10を物品の真偽判定に利用する場合、図16に示す製造業者Mは、例えば、図15に示すように照合素子10を物品40に貼り付けることによって、物品40に照合素子10を支持させる。これにより、真正品としてのラベル付き物品1を製造する。
【0104】
また、図16に示す製造業者Mは、物品40に照合素子10を支持させた後又は支持させる前に、この照合素子10に付与されたコード、即ち、図1に示す画像ICを表示するコードと、この照合素子10のランダムパターン120が表示する階調画像IRを、サーバSのデータベースに登録しておく。
【0105】
階調画像IRを登録する代わりに、この階調画像IRを二値化してなる1つ以上の二値画像、例えば、図7に示す二値画像IR1及び図8に示す二値画像IR2の少なくとも一方をデータベースに登録してもよい。各二値画像は、階調画像IRと比較すれば、著しく情報量が少ない。従って、複数の二値画像を登録する場合であっても、階調画像IRを登録する場合と比較すると、サーバS及びネットワークなどへの負荷を大幅に低減することができる。
【0106】
或いは、階調画像IRをデータベースに登録する代わりに、この階調画像IRを二値化してなる1つ以上の二値画像の各々について、識別情報をデータベースに登録してもよい。なお、「識別情報」は、例えば、二値画像における複数の位置の各々について、そこが暗部及び明部の何れであるかを示す情報を含んでいる。各識別情報は、二値画像よりも情報量が更に少ない。従って、この場合、サーバS及びネットワークなどへの負荷を更に低減することができる。
【0107】
卸売業者Dは、納入されたラベル付き物品1に関する情報、例えば納入日及び出荷日を、サーバSのデータベースに登録する。
【0108】
消費者Cは、例えば入手した物品の真偽に疑義がある場合に、以下の方法によりその物品の真偽を判定する。
【0109】
まず、この物品が照合素子10を備えたラベル付き物品であるか否かを判断する。例えば、図1乃至図4を参照しながら説明した照合素子10は、反射層140aを含んでいるため、反射層140aからの正反射光を観察できる条件と、この正反射光を観察できない条件とで、図1に示す画像IRの見え方が異なる。従って、この物品が、図1乃至図4を参照しながら説明したのと類似した素子を備えていたとしても、この素子が表示する画像が観察条件を変更することによって変化しなければ、この物品は図1乃至図4を参照しながら説明した照合素子10を含んでいないと判断することができる。
【0110】
次に、画像IC及びIRを、光学的に機械読み取りする。次いで、読み取った画像ICからコードを復号し、図16に示すサーバSのデータベースにこのコードと共に登録されている階調画像IRと、光学的に機械読み取りした画像IRとを対比する。
【0111】
光学的に機械読み取りした画像IRは、二値化してもよい。また、このようにして生成した二値画像から、上述したのと同様の識別情報を更に生成してもよい。そして、光学的に機械読み取りした画像IRに由来する二値画像又は識別情報を、データベースに登録されている二値画像及び識別情報の一方と対比してもよい。或いは、データベースに登録されている階調画像IRから二値画像を生成するか又はこの二値画像から識別情報を更に生成し、これを光学的に機械読み取りした画像IRに由来する二値画像及び識別情報の一方と対比してもよい。
【0112】
対比の結果、例えば、一致している割合が或る値を下回った場合には、このラベル付き物品は偽造品であると判断する。また、例えば、一致している割合が先の値以上である場合には、このラベル付き物品は真正品であると判断する。
【0113】
この方法において光学的に機械読み取りした画像IRを二値化する場合、この二値化のための閾値は、例えば、予め定められている値に設定する。複数の閾値を設定しておき、各閾値で得られる二値画像又は識別情報を上記の対比に利用すると、真偽判定の精度が向上する。また、真偽判定に複数の閾値を利用することを知らない偽造者にとっては、偽造がより困難になる。
【0114】
この方法では、データベースに階調画像IRを登録しておく場合、光学的に機械読み取りした画像IRを二値化するための閾値は、予め定められている値に設定してもよく、対比を行う毎に乱数発生を利用して得られる値に設定してもよい。
【実施例】
【0115】
以下、本発明の例を説明する。
【0116】
45質量部のアクリル系ポリオールと、20質量部のイソシアネート系硬化剤と、20質量部の有機溶剤と、0.5質量部のシリコン系添加剤と、15質量部の白色顔料とを混合して、エマルジョンを調製した。ここでは、アクリル系ポリオールとして加熱残分が35質量%のプラスコート RD クリヤー B液(和信化学工業株式会社製)を使用し、イソシアネート系硬化剤として加熱残分が35質量%のプラスコート RD クリヤー A液(和信化学工業株式会社製)を使用した。また、有機溶剤としてはキシロールとメチルエチルケトンとを使用し、シリコン系添加剤としてはプラスコート RD 添加剤(和信化学工業株式会社製)を使用し、白色顔料としては酸化チタンを使用した。
【0117】
次に、このエマルジョンを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した。この塗布は、下地の面積に対する乾燥後の塗膜の質量の比が、1.0乃至4.5g/m2となるように行った。
【0118】
その後、この塗膜を190℃で20秒間に亘って乾燥させた。このようにして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にランダムパターンを形成した。
【0119】
続いて、ランダムパターン上に、プラスコート R−LK クリヤー(和信化学工業株式会社製)を塗布した。この塗布は、下地の面積に対する乾燥後の塗膜の質量の比が、1.0乃至2.0g/m2となるように行った。
【0120】
次いで、この塗膜を190℃で30秒間に亘って乾燥させた。このようにして、ランダムパターンを保護層で被覆した。
【0121】
その後、保護層上に、気相堆積法によりアルミニウムからなる反射層を形成した。以上のようにして、照合素子を完成した。
【0122】
この照合素子が表示する画像を、電荷結合素子画像センサを用いて50倍の倍率で撮像した。その結果、図5及び図6に示したのと同様の画像が得られた。
【符号の説明】
【0123】
1…ラベル付き物品、10…照合素子、20…転写箔、30…粘着ラベル、40…物品、100…接着層、110…保護層、110’…保護層、110’’…基材、120…ランダムパターン、130…保護層、140a…反射層、140b…反射層、150…着色層、150a…印刷層、150b…印刷層、150c…印刷層、150d…印刷層、160…脆性層、170…回折構造形成層、180…マスク層、190…アンカー層、210…支持体、320…粘着層、A1…領域、A2…領域、A3…領域、C…消費者、D…卸売業者、IC…画像、IR…画像、IR1…画像、IR2…画像、M…製造業者、S…サーバ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、照合技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、有価証券等の真偽判定には、紙の繊維の配置を利用することができる。
【0003】
紙の繊維の配置は不規則であるので、或る紙について観察される繊維のパターンは、他の紙について観察される繊維のパターンとは異なっている。また、紙の或る領域について観察される繊維のパターンは、その紙の他の領域について観察される繊維のパターンとは異なっている。そして、この不規則性は、人為的に生じさせている訳ではなく、紙自体が本来有している性質である。
【0004】
それ故、この繊維パターンは、個人識別における指紋や網膜の如く利用することが可能である。例えば、全ての真正品について、繊維パターンを、データベースに予め登録しておく。そして、真正品であるか否かが不明の物品の繊維パターンを、登録されている繊維パターンと照合する。これにより、その物品の真偽を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−102562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術は、紙からなる物品の真偽判定に対しては、有利に適用され得る。しかしながら、この技術は、紙以外の物品での利用には適していない。
そこで、本発明は、様々な物品で利用可能な照合技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面によると、溶媒及びこの溶媒中に溶解した重合性及び/又は架橋性材料を含んだ連続相と、前記重合性及び/又は架橋性材料と比較して前記溶媒に対する相溶性がより低い液状添加剤を含んだ分散相とからなるエマルジョンから塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることによって得られるランダムパターンを具備した照合素子が提供される。
【0008】
本発明の第2側面によると、第1側面に係る照合素子と、前記照合素子と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0009】
本発明の第3側面によると、第1側面に係る照合素子を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した基材とを具備した転写箔が提供される。
【0010】
本発明の第4側面によると、第1側面に係る照合素子と、前記照合素子が貼り付けられた物品とを具備したラベル付き物品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、様々な物品で利用可能な照合技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一態様に係る照合素子を概略的に示す平面図。
【図2】図1に示す照合素子の一部を拡大して示す平面図。
【図3】図2に示す照合素子のIII−III線に沿った断面図。
【図4】図1に示す照合素子のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】図1に示す照合素子のランダムパターンが表示する階調画像の拡大写真。
【図6】図5に示す階調画像の更に拡大した写真。
【図7】図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の一例を示す図。
【図8】図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の他の例を示す図。
【図9】転写箔の一例を概略的に示す断面図。
【図10】粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図。
【図11】転写箔の他の例を概略的に示す断面図。
【図12】粘着ラベルの他の例を概略的に示す断面図。
【図13】粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図。
【図14】粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図。
【図15】ラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図。
【図16】ネットワークを利用した照合方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の一態様に係る照合素子を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す照合素子の一部を拡大して示す平面図である。図3は、図2に示す照合素子のIII−III線に沿った断面図である。図4は、図1に示す照合素子のIV−IV線に沿った断面図である。
【0015】
図1乃至図4に示す照合素子10は、例えば、物品の真偽判定に利用する。或いは、この照合素子10は、情報の取得及び登録などへの制限を解除するための、又は、戸及び蓋などに設けられた錠を開閉するための鍵として利用することもできる。
【0016】
照合素子10を物品の真偽判定に利用する場合、この照合素子10は、真正品としての物品に支持させる。ここでは、一例として、照合素子10は物品に貼り付けて使用することとする。
【0017】
この照合素子10は、図3及び図4に示すように、第1保護層110と、ランダムパターン120と、第2保護層130と、反射層140aと、印刷層150a及び150bとを含んでいる。
【0018】
第1保護層110は、照合素子10を物品に貼り付けたときに、その最表面に位置する層である。保護層110は、光透過性を有しており、典型的には透明である。保護層110は、ランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bなどを損傷から保護する。
【0019】
印刷層150aは、図4に示すように、保護層110上に形成された印刷パターンである。印刷層150aは、例えば黒色の着色層である。印刷層150aは、図1に示す画像ICを表示するコードパターンを含んでいる。
【0020】
コードパターンは、照合素子10に対して個別に付与されるコードを表示する。図1に示す例では、コードパターンは、画像ICとして、一次元コードを表示している。コードパターンは、一次元コードの代わりに又は一次元コードに加えて、二次元コード並びに数字及びアルファベットなどの文字の少なくとも一方を表示してもよい。
【0021】
印刷層150bは、図4に示すように、保護層110の一部と印刷層150aとを被覆している。印刷層150bは、図1に示す画像IRの位置で開口している。
【0022】
印刷層150bは、印刷層150aとは異なる色、例えば白色を表示する層である。印刷層150bが表示する画像は、図1に示す画像ICの背景を構成する。後で説明するように、印刷層150a及び150bは、省略することができる。
【0023】
ランダムパターン120は、図3及び図4に示すように、保護層110及び印刷層150b上に形成された層である。ランダムパターン120のうち印刷層150b上に位置した部分は、省略することができる。
【0024】
ランダムパターン120は、図3及び図4に示すように、厚さが大きい第1部分と、厚さが連続的に変化している第2部分と、厚さが小さい第3部分とを含んでいる。ランダムパターン120の第1、第2及び第3部分は、それぞれ、図2及び図3の領域A1、A2及びA3に対応している。
【0025】
なお、図3及び図4では、理解を容易にするために、ランダムパターン120の寸法を縦方向に著しく拡大している。例えば、第1部分の厚さが1乃至5μm程度であり、第3部分の厚さが0乃至1μm程度である場合、領域A2の径は数100μmであり、領域A3の径は数100μmである。
【0026】
ランダムパターン120は、樹脂硬化物と顔料及び/又は染料とを含んでいる。ここでは、一例として、ランダムパターン120は、樹脂硬化物と白色顔料との混合物からなることとする。このようなランダムパターン120は、照合素子10を白色光で照明し、正反射光が知覚されない条件下で観察した場合に、図1に示す画像IRを表示する。
【0027】
画像IRは、階調画像であって、ランダムパターン120の厚さの分布に対応した明るさの分布を有している。具体的には、画像IRは、ランダムパターン120の厚さが小さい部分では暗く、ランダムパターン120の厚さが小さい部分では明るい。
【0028】
なお、ランダムパターン120は、顔料及び染料を含んでいなくてもよい。例えば、ランダムパターン120は、顔料及び染料の代わりに、顔料及び染料以外の機能性材料を含んでいてもよい。或いは、ランダムパターン120は、顔料及び染料の少なくとも一方に加えて、顔料及び染料以外の機能性材料を更に含んでいてもよい。
【0029】
この機能性材料としては、例えば、赤外線吸収材料、蛍光材料、紫外線吸収材料、液晶粒子及びシリカなどの光学的特性を付与する材料;帯電防止剤及び導電性材料などの電気的特性を付与する材料;磁性粉などの磁気的特性を付与する材料;アルミニウム粉及びガラス粒子などの意匠性を付与する材料;又はそれらの2つ以上の組み合わせを使用することができる。
【0030】
第2保護層130は、ランダムパターン120上に形成されている。保護層130は、光透過性を有しており、典型的には透明である。保護層130は、樹脂硬化物を含んでおり、保護層110からランダムパターン120が脱落するのを防止する役割を果たす。保護層130は、省略することができる。
【0031】
反射層140aは、保護層130を被覆している。反射層140aは、例えば金属又は合金からなる。反射層140aとして、単層構造又は多層構造を有している透明誘電体層を使用してもよい。反射層140aは、省略することができる。
【0032】
この照合素子10のランダムパターン120が表示する画像IRは、以下に説明する特徴を有している。
【0033】
図5は、図1に示す照合素子のランダムパターンが表示する階調画像の拡大写真である。図6は、図5に示す階調画像の更に拡大した写真である。
【0034】
図5に示す写真は、照合素子10の保護層110を、その法線に対して45°の角度を成す方向から白色光で照明し、電荷結合素子画像センサで図1に示す画像IRを撮像することにより得られたものである。図6に示す写真は、図5に示す写真の一部を拡大したものである。
【0035】
図5及び図6に示す写真において、明るい部分は図2及び図3に示す領域A1に相当し、暗い部分は図2及び図3に示す領域A3に相当し、中間の明るさの部分は図2及び図3に示す領域A2に相当している。
【0036】
図5及び図6から分かるように、領域A2及びA3は、不規則な形状を有しており、不均一に分布している。また、領域A2の少なくとも一部では、領域A1から領域A3へ向けて明るさが連続的に減少している。
【0037】
このような特徴を有している画像IRを二値化すると、この二値化に際して設定する閾値の大きさに応じて異なる二値画像が得られる。
【0038】
図7は、図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の一例を示す図である。図8は、図5に示す階調画像を二値化してなる二値画像の他の例を示す図である。
【0039】
図7に示す二値画像IR1を得るための二値化に際しては、画像の明るさについて第1閾値を設定している。他方、図8に示す二値画像IR2を得るための二値化に際しては、画像の明るさについて、第1閾値よりも大きな第2閾値を設定している。
【0040】
図7に示す二値画像IR1と図8に示す二値画像IR2とは、同一の階調画像から得られたものであるにも拘らず、暗部が形成しているパターンが異なっている。また、二値化に際し、第1及び第2閾値とは異なる閾値を設定すると、暗部が形成しているパターンが二値画像IR1及びIR2とは異なる二値画像が得られる。即ち、閾値の大きさに応じて異なる二値画像が得られる。
【0041】
この照合素子10のランダムパターン120は、後で説明するように、個人識別における指紋や網膜の如く利用することが可能である。そして、後述するように、この照合素子10には、物品から剥離しようとした場合に容易に破壊される構造を採用することができる。即ち、この照合素子10は、物品に貼り付けて使用した場合であっても、偽造又は変造される可能性が低い。従って、この照合技術は、様々な物品で利用することができる。
【0042】
次に、照合素子10及びこの照合素子10を含んだラベル付き物品の製造方法を説明する。ここでは、一例として、転写箔を用いた製造方法を説明する。
【0043】
図9は、転写箔の一例を概略的に示す断面図である。なお、図9では、簡略化のため、ランダムパターン120を平坦な表面を有している層として描いている。
【0044】
図9に示す転写箔20を製造するに際しては、まず、支持体210を準備する。この支持体210としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの比較的高い耐熱性を有しているフィルムを使用する。支持体210の表面には、例えばフッ素樹脂又はシリコーン樹脂を含んだ離型層を設けておいてもよい。
【0045】
次に、支持体210上に、保護層110を形成する。例えば、支持体210上に樹脂を塗布する。この樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂を使用する。また、必要に応じ、保護層110と支持体210の間に熱的に剥離可能に形成された剥離層(図示せず)を設けてもよい。
【0046】
次いで、保護層110上に、印刷層150a及び150bを順次形成する。印刷層150aは、例えば、インクジェット記録法又はサーマルヘッドを用いた熱転写記録法によって形成する。印刷層150bは、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、ホットスタンプを用いた熱転写記録法、サーマルヘッドを用いた熱転写記録法、又はインクジェット記録法によって形成する。
【0047】
なお、ここでは、コードパターンを印刷層150aによって構成しているが、コードパターンは他の方法によって形成してもよい。例えば、コードパターンは、レーザビームを照射することによって材料を炭化するレーザエングレービングによって形成してもよい。或いは、コードパターンは、感熱発色剤を含んだ層を形成し、この層にレーザビームで描画することにより形成してもよい。
【0048】
また、照合素子10から、コードパターンを省略してもよい。例えば、照合素子10を支持させる物品がコードパターンを含んでいれば、照合素子10はコードパターンを含んでいなくてもよい。
【0049】
その後、以下に説明する方法により、保護層110及び印刷層150b上にランダムパターン120を形成する。
【0050】
まず、溶媒と重合性及び/又は架橋性材料と顔料及び/又は染料と液状添加剤とを含有したエマルジョンを調製する。具体的には、連続相は溶媒と重合性及び/又は架橋性材料と顔料及び/又は染料とを含み、分散相は液状添加剤を含んだエマルジョンを調製する。
【0051】
溶媒としては、非水溶媒及び水の何れも使用することができる。非水溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、ミネラルターペン、ソルベッソ100及びソルベッソ150などの芳香族化合物;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール及び3−メチル3−メトキブタノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール及びシクロヘキサノンなどのケトン;酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、セロソルブアセテート(エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル;ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルグリコール)及びエチルセロソルブ(エチレングリコールモノエチルエーテル)などのエーテル;又はそれらの2つ以上の混合物を使用する。
【0052】
重合性及び/又は架橋性材料としては、例えば、高分子化合物、その単量体若しくは低重合体、又はそれらの混合物を使用する。例えば、重合性及び/又は架橋性材料として、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂、アミノ樹脂及び二液型ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、又は紫外線硬化樹脂などの光硬化樹脂を使用する。
【0053】
重合性及び/又は架橋性材料は、溶媒中に溶解させる。従って、重合性及び/又は架橋性材料と溶媒とは、高い相溶性を示すものを選択する。例えば、重合性及び/又は架橋性材料が親水基を有していない場合には、極性が低い非水溶媒を使用する。また、重合性及び/又は架橋性材料が水溶性樹脂である場合には、水などの極性溶媒を使用する。
【0054】
溶媒に対する重合性及び/又は架橋性材料の質量比は、例えば10乃至55質量%の範囲内とし、典型的には25乃至40質量%の範囲内とする。
【0055】
顔料及び/又は染料は、溶媒中に分散又は溶解させる。染料を使用してもよいが、顔料は、染料と比較して耐久性に優れている。
【0056】
顔料としては、有機顔料、無機顔料、又はそれらの混合物を使用する。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、亜鉛華(ZnO)、カーボンブラック(C)、黒鉛(C)、鉄黒(Fe3O4)、ベンガラ(Fe2O3)、鉛丹(Pb3O4)、モリブデートオレンジ(PbCrO4・nPbMoO4mPbSO4)、黄鉛(PbCrO4・nPbSO4)、黄酸化鉄(FeOOH)、チタンイエロー(TiO2・NiO2・Sb2O3)、クロムグリーン(黄鉛と紺青の混合物)、酸化クロム(Cr2O3)、紺青(KFe[Fe(CN)6])、群青(2(Na2O・Al2O3・2SiO2)・Na2S3)、マンガン紫((NH4)Mn(P2O7))、アルミニウム粉(Al)、ブロンズ粉(CuとZnの合金)、雲母(マイカ)、酸化アルミ(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、オキシ塩化ビスマス、ガラス粒子、蛍光顔料、炭酸マグネシウム(MgO)、カオリン、その他複合酸化物、又はそれらの2つ以上の混合物を使用する。
【0057】
有機顔料としては、例えば、ナフトールカーミン、パーマネントレッド、ボンマルーン、ボルドー、ナフトールレッド、トルイジンレッド及びファーストイエローなどのモノアゾ系顔料;縮合アゾレッド、縮合アゾスカーレット及び縮合アゾイエローなどの縮合アゾ系顔料;ジスアゾイエローなどのジスアゾ系顔料;キナクリドンスカーレット、キナクリドンマルーン、キナクリドンマゼンタ及びキナクリドンゴールドなどのキナクリドン系顔料;ピランスロンレッドなどのピランスロン系顔料;ジブロムアンザンスロンレッドなどの、ジブロムアンザンスロン系顔料;チオインジゴボルドーなどのチオインジゴ系顔料;ペリレンレッド、ペリレンマルーン及びペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料;ベンズイミダゾロンオレンジなどのベンズイミダゾロン系顔料;ペリノンオレンジなどのペリノン系顔料;銅アゾメチンイエローなどの金属錯酸アゾメチン系顔料;ベンズイミダゾロンイエローなどのベンズイミダゾロン系顔料;イソインドリノンイエローなどのイソインドリノン系顔料;アントラピリミジンイエローなどのアントラピリミジン系顔料;フラバントロンイエローなどのフラバントロン系顔料;キノフタロンイエローなどのキノフタロン系顔料ニッケルアゾイエローなどの金属錯塩アゾ系顔料;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;フタロシアニンブルー及び塩臭素化銅フタロシアニングリーンなどの銅フタロシアニン系顔料;無金属フタロシアニンブルーなどの銅フリーフタロシアニン顔料;インダントロンブルーなどのインダントロン系顔料;キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料;ジオキサジンバイオレットなどのジオキサン系顔料;その他有機顔料;又はそれらの2つ以上の混合物を使用する。
顔料には、その分散性を向上させるために表面処理を施してもよい。
【0058】
エマルジョンの乾燥質量に対する顔料又は染料の質量の比は、ランダムパターン120に要求される外観や色調に応じて異なる。例えば、顔料として酸化チタンを使用する場合、エマルジョンの乾燥質量に対する顔料又は染料の質量の比を約40%とすると、ランダムパターン120に白色を表示させることができる。
【0059】
液状添加剤は、重合性及び/又は架橋性材料と比較して、溶媒に対する相溶性がより低い。典型的には、液状添加剤は、溶媒に対して不溶性であり、溶媒と重合性及び/又は架橋性材料とを含んだ混合物に対しても不溶性である。液状添加剤は、非重合性及び非架橋性であり、このエマルジョン中の他の成分に対して非反応性である。
【0060】
液状添加剤としては、例えば、シリコーン油などのシリコン系添加剤、ポリテトラフルオロエチレン油などのフッ素系添加剤、ポリエチレンワックスなどのワックス系添加剤、動植物油及び鉱物油などの油脂系添加剤又はそれらの組み合わせを使用することができる。
【0061】
このエマルジョンの乾燥質量に対する液状添加剤の質量の比は、例えば0.1乃至0.5%の範囲内とする。
【0062】
このエマルジョンは、溶媒に対して可溶性の添加剤を更に含んでいてもよい。例えば、このエマルジョンは、顔料の分散性を高める添加剤を更に含んでいてもよい。
【0063】
次に、このエマルジョンを、保護層110及び印刷層150b上に供給する。例えば、このエマルジョンを、保護層110及び印刷層150b上に塗布する。これにより塗膜を形成する。この塗膜は、下地の面積に対するランダムパターン120の質量の比が、例えば1.0乃至2.0g/m2の範囲内となるように形成する。
【0064】
続いて、この塗膜を乾燥させる。例えば、190℃で20秒間に亘る乾燥を行う。以上のようにして、ランダムパターン120を得る。
【0065】
このようにして得られるランダムパターン120は、図3及び図4に示すように、厚さが大きい第1部分と、厚さが連続的に変化している第2部分と、厚さが小さい第3部分とを含んでいる。第2及び第3部分は、不規則な形状を有しており、不均一に分布している。この不規則性は、人為的に生じさせている訳ではなく、自然発生した性質である。そして、或るランダムパターン120について観察される第2及び第3部分の形状及び配置と、他のランダムパターン120について観察される第2及び第3部分の形状及び配置とが完全に一致する確率は殆どゼロである。従って、このランダムパターン120は、個人識別における指紋や網膜の如く利用することが可能である。
【0066】
なお、この方法によって得られるランダムパターン120には、他の方法で類似のパターンを形成した場合には得られない特徴がある。
【0067】
例えば、このランダムパターン120は、厚さのばらつきを有しており、この厚さのばらつきに対応した階調画像IRを表示する。画像IRが階調画像であることは、例えば50倍の倍率で観察した場合であっても確認することができる。即ち、中間調を表示する部分が比較的大きい。換言すれば、ランダムパターン120の厚さは、面内方向に急峻に変化している訳ではなく、緩やかに変化している。このような構造をフォトリソグラフィなどのパターニングを利用したプロセスで再現することは、不可能であるか又は困難である。
【0068】
また、ランダムパターン120の第3部分には、少量であるが顔料が存在している場合がある。このような構造もフォトリソグラフィなどのパターニングを利用したプロセスで再現することは、不可能であるか又は困難である。
【0069】
次に、ランダムパターン120上に保護層130を形成する。保護層130は、例えば、ランダムパターン120上に樹脂を塗布し、これを硬化させることにより得られる。
【0070】
続いて、保護層130上に、反射層140aを形成する。反射層140aは、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法によって形成する。反射層140aは、金属又は合金からなる小片を含んだ樹脂を保護層130上に塗布し、これを硬化させることにより形成してもよい。
【0071】
更に、反射層140a上に、接着層220を形成する。接着層220の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を使用する。
【0072】
以上のようにして、転写箔20を完成する。なお、この転写箔20は、支持体210と、この支持体210によって剥離可能に支持された転写材層とからなる。転写材層は、保護層110と、印刷層150a及び150bと、ランダムパターン120と、保護層130と、反射層140aと、接着層220とを含んでいる。
【0073】
その後、転写材層の一部又は全体を、支持体210から物品上へと熱転写する。このようにして、接着層220を介して物品上へと貼り付けられた照合素子10を得る。即ち、この照合素子10を物品に支持させてなるラベル付き物品を得る。
【0074】
照合素子10を含んだラベル付き物品は、転写箔20を用いて製造する代わりに、粘着ラベルを用いて製造することもできる。
【0075】
図10は、粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図である。
図10に示す粘着ラベル30は、照合素子10と、粘着層320とを含んでいる。粘着層320は、照合素子10の裏面を被覆している。
【0076】
照合素子10は、以下の点を除き、図1乃至図4を参照しながら説明した照合素子10と同様である。即ち、この照合素子10は、保護層110の代わりに、保護層110’を含んでいる。そして、この照合素子10は、脆性層160を更に含んでいる。
【0077】
保護層110’は、光透過性を有しており、典型的には透明である。保護層110’は、ランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bなどを損傷から保護する。加えて、保護層110’は、ランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bなどを支持する基材としての役割を果たしている。
【0078】
脆性層160は、保護層110’とランダムパターン120並びに印刷層150a及び150bとの間に介在している。脆性層160は、光透過性を有しており、典型的には透明である。脆性層160は、物品に貼り付けた照合素子10をこの物品から剥離しようとしたときに脆性破壊を生じる層である。脆性層160を設けると、照合素子10の不正使用を困難とすることができる。
【0079】
物品に貼り付ける前の粘着ラベル30は、典型的には、剥離紙に貼り付けておく。そして、この粘着ラベル30は、ラベル付き物品を製造する際に剥離紙から剥がし、物品に貼り付ける。
【0080】
図9に示す転写箔20及び図10に示す粘着ラベル30には、様々な変形が可能である。
【0081】
図11は、転写箔の他の例を概略的に示す断面図である。
図11に示す転写箔20は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150を含み、回折構造形成層170と反射層140bとマスク層180とを更に含んでいること以外は、図9を参照しながら説明した転写箔20と同様である。
【0082】
着色層150は、保護層130と反射層140aとの間に介在している。着色層150は、光透過性を有しており、典型的には透明である。着色層150は、図1に示す画像IRの暗部を着色する役割を果たす。着色層150を設けた場合、反射層140aは省略することができる。また、反射層140aを省略した場合、着色層150は遮光性であってもよい。
【0083】
回折構造形成層170は、保護層110とランダムパターン120との間に介在している。回折構造形成層170は、光透過性を有しており、典型的には透明である。回折構造形成層170のランダムパターン120と向き合った面には、レリーフ型の回折格子又はホログラムが設けられている。このように、回折格子及びホログラムなどの回折構造を設けると、照合素子10の偽造がより困難となる。
【0084】
反射層140bは、回折構造形成層170の回折格子又はホログラムが設けられた面を部分的に被覆している。反射層140bは、回折構造の回折効率を高める。なお、この転写箔20から得られる照合素子10は、反射層140bの開口部に対応した位置で、図1に示す画像IRを表示する。
【0085】
反射層140bは、例えば、金属又は合金からなる。反射層140bとして、単層構造又は多層構造を有している透明誘電体層を使用してもよい。
【0086】
マスク層180は、回折構造形成層170及び反射層140bを被覆している。マスク層180は、光透過性を有しており、典型的には透明である。マスク層180は、ランダムパターン120に平坦な下地を提供する役割を果たす。回折構造形成層170のうち反射層140bで被覆されていない部分が平坦な表面を有している場合には、この部分にマスク層180を設ける必要はない。
【0087】
図12は、粘着ラベルの他の例を概略的に示す断面図である。
図12に示す粘着ラベル30は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150を含み、保護層110、回折構造形成層170、反射層140b、接着層100及びアンカー層190を更に含んでいること以外は、図10を参照しながら説明した粘着ラベル30と同様である。
【0088】
保護層110と回折構造形成層170と反射層140bと接着層100との積層体は、例えば、転写箔を用いた熱転写によって、アンカー層190上に貼り付けられている。この積層体には開口が設けられており、照合素子10は、この開口の位置で、図1に示す画像IRを表示する。なお、接着層100は、例えば熱可塑性樹脂からなる。
【0089】
アンカー層190は、接着層100と基材110’との間に介在している。アンカー層190は、上述した積層体と基材110’との密着性を高める。
【0090】
粘着ラベル30に回折構造を設ける場合、図12を参照しながら説明したように、例えば転写箔を利用して、回折構造を含んだ積層体を基材110’に貼り付けてもよい。或いは、図11を参照しながらした説明から明らかなように、基材110’上に、回折構造を含んだ積層体とマスク層180とランダムパターン120とを順次形成してもよい。
【0091】
図13は、粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図である。
図13に示す粘着ラベル30は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150及び印刷層150cを含み、アンカー層190を更に含んでいること以外は、図10を参照しながら説明した粘着ラベル30と同様である。
【0092】
印刷層150cは、脆性層160の背面を部分的に被覆している。照合素子10は、印刷層150cの開口の位置で、図1に示す画像IRを表示する。
【0093】
印刷層150cは、光学可変インキを印刷することによって得られる。光学可変インキから得られる層は、観察角度に応じて見え方が変化する。光学可変インキとしては、例えば、誘電体多層膜の粉砕物と樹脂との混合物を使用することができる。このように、光学可変インキからなる印刷層150cを設けると、照合素子10の偽造がより困難となる。
【0094】
アンカー層190は、脆性層160及び印刷層150cとランダムパターン120との間に介在している。アンカー層190は、ランダムパターン120の脆性層160及び印刷層150cへの密着性を高める。
【0095】
図14は、粘着ラベルの更に他の例を概略的に示す断面図である。
図14に示す粘着ラベル30は、印刷層150a及び150bの代わりに着色層150及び印刷層150dを含み、基材110’の代わりに基材110’’を含んでいること以外は、図10を参照しながら説明した粘着ラベル30と同様である。
【0096】
基材110’’は、光学可変フィルムである。光学可変フィルムは、観察角度に応じて見え方が変化する。光学可変フィルムとしては、例えば、誘電体多層膜を使用することができる。或いは、光学可変フィルムとして、分子を固定化したコレステリック液晶層を使用してもよい。このように、基材110’’として光学可変フィルムを使用すると、照合素子10の偽造がより困難となる。
【0097】
印刷層150dは、脆性層160の背面を部分的に被覆している。照合素子10は、印刷層150dの開口の位置で、図1に示す画像IRを表示する。
【0098】
印刷層150dは、着色層であり、典型的には黒色などの暗色である。印刷層150dは、光学可変フィルムの視覚効果を高める役割を果たす。印刷層150dは、省略してもよい。
【0099】
図15は、ラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図である。
図15に示すラベル付き物品1は、照合素子10と、これを支持した物品40とを含んでいる。照合素子10は、物品40に貼り付けられている。
【0100】
物品40は、真偽判定する可能性があるものである。物品40は、例えば、身分証明書及び免許証などの証明書、有価証券、電気製品などの工業製品、工芸品、美術品、又はこれらを包装材料で包装してなる包装体である。
【0101】
照合素子10は、他の方法で物品40に指示させてもよい。例えば、照合素子10は、タグとして、鎖、紐及びリングなどの結合具を介して物品に支持させてもよい。或いは、照合素子10は、物品中に埋め込んでもよい。
【0102】
この照合素子10は、例えば、以下の方法により、物品の真偽判定に利用する。
図16は、ネットワークを利用した照合方法の一例を示す図である。
【0103】
照合素子10を物品の真偽判定に利用する場合、図16に示す製造業者Mは、例えば、図15に示すように照合素子10を物品40に貼り付けることによって、物品40に照合素子10を支持させる。これにより、真正品としてのラベル付き物品1を製造する。
【0104】
また、図16に示す製造業者Mは、物品40に照合素子10を支持させた後又は支持させる前に、この照合素子10に付与されたコード、即ち、図1に示す画像ICを表示するコードと、この照合素子10のランダムパターン120が表示する階調画像IRを、サーバSのデータベースに登録しておく。
【0105】
階調画像IRを登録する代わりに、この階調画像IRを二値化してなる1つ以上の二値画像、例えば、図7に示す二値画像IR1及び図8に示す二値画像IR2の少なくとも一方をデータベースに登録してもよい。各二値画像は、階調画像IRと比較すれば、著しく情報量が少ない。従って、複数の二値画像を登録する場合であっても、階調画像IRを登録する場合と比較すると、サーバS及びネットワークなどへの負荷を大幅に低減することができる。
【0106】
或いは、階調画像IRをデータベースに登録する代わりに、この階調画像IRを二値化してなる1つ以上の二値画像の各々について、識別情報をデータベースに登録してもよい。なお、「識別情報」は、例えば、二値画像における複数の位置の各々について、そこが暗部及び明部の何れであるかを示す情報を含んでいる。各識別情報は、二値画像よりも情報量が更に少ない。従って、この場合、サーバS及びネットワークなどへの負荷を更に低減することができる。
【0107】
卸売業者Dは、納入されたラベル付き物品1に関する情報、例えば納入日及び出荷日を、サーバSのデータベースに登録する。
【0108】
消費者Cは、例えば入手した物品の真偽に疑義がある場合に、以下の方法によりその物品の真偽を判定する。
【0109】
まず、この物品が照合素子10を備えたラベル付き物品であるか否かを判断する。例えば、図1乃至図4を参照しながら説明した照合素子10は、反射層140aを含んでいるため、反射層140aからの正反射光を観察できる条件と、この正反射光を観察できない条件とで、図1に示す画像IRの見え方が異なる。従って、この物品が、図1乃至図4を参照しながら説明したのと類似した素子を備えていたとしても、この素子が表示する画像が観察条件を変更することによって変化しなければ、この物品は図1乃至図4を参照しながら説明した照合素子10を含んでいないと判断することができる。
【0110】
次に、画像IC及びIRを、光学的に機械読み取りする。次いで、読み取った画像ICからコードを復号し、図16に示すサーバSのデータベースにこのコードと共に登録されている階調画像IRと、光学的に機械読み取りした画像IRとを対比する。
【0111】
光学的に機械読み取りした画像IRは、二値化してもよい。また、このようにして生成した二値画像から、上述したのと同様の識別情報を更に生成してもよい。そして、光学的に機械読み取りした画像IRに由来する二値画像又は識別情報を、データベースに登録されている二値画像及び識別情報の一方と対比してもよい。或いは、データベースに登録されている階調画像IRから二値画像を生成するか又はこの二値画像から識別情報を更に生成し、これを光学的に機械読み取りした画像IRに由来する二値画像及び識別情報の一方と対比してもよい。
【0112】
対比の結果、例えば、一致している割合が或る値を下回った場合には、このラベル付き物品は偽造品であると判断する。また、例えば、一致している割合が先の値以上である場合には、このラベル付き物品は真正品であると判断する。
【0113】
この方法において光学的に機械読み取りした画像IRを二値化する場合、この二値化のための閾値は、例えば、予め定められている値に設定する。複数の閾値を設定しておき、各閾値で得られる二値画像又は識別情報を上記の対比に利用すると、真偽判定の精度が向上する。また、真偽判定に複数の閾値を利用することを知らない偽造者にとっては、偽造がより困難になる。
【0114】
この方法では、データベースに階調画像IRを登録しておく場合、光学的に機械読み取りした画像IRを二値化するための閾値は、予め定められている値に設定してもよく、対比を行う毎に乱数発生を利用して得られる値に設定してもよい。
【実施例】
【0115】
以下、本発明の例を説明する。
【0116】
45質量部のアクリル系ポリオールと、20質量部のイソシアネート系硬化剤と、20質量部の有機溶剤と、0.5質量部のシリコン系添加剤と、15質量部の白色顔料とを混合して、エマルジョンを調製した。ここでは、アクリル系ポリオールとして加熱残分が35質量%のプラスコート RD クリヤー B液(和信化学工業株式会社製)を使用し、イソシアネート系硬化剤として加熱残分が35質量%のプラスコート RD クリヤー A液(和信化学工業株式会社製)を使用した。また、有機溶剤としてはキシロールとメチルエチルケトンとを使用し、シリコン系添加剤としてはプラスコート RD 添加剤(和信化学工業株式会社製)を使用し、白色顔料としては酸化チタンを使用した。
【0117】
次に、このエマルジョンを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した。この塗布は、下地の面積に対する乾燥後の塗膜の質量の比が、1.0乃至4.5g/m2となるように行った。
【0118】
その後、この塗膜を190℃で20秒間に亘って乾燥させた。このようにして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にランダムパターンを形成した。
【0119】
続いて、ランダムパターン上に、プラスコート R−LK クリヤー(和信化学工業株式会社製)を塗布した。この塗布は、下地の面積に対する乾燥後の塗膜の質量の比が、1.0乃至2.0g/m2となるように行った。
【0120】
次いで、この塗膜を190℃で30秒間に亘って乾燥させた。このようにして、ランダムパターンを保護層で被覆した。
【0121】
その後、保護層上に、気相堆積法によりアルミニウムからなる反射層を形成した。以上のようにして、照合素子を完成した。
【0122】
この照合素子が表示する画像を、電荷結合素子画像センサを用いて50倍の倍率で撮像した。その結果、図5及び図6に示したのと同様の画像が得られた。
【符号の説明】
【0123】
1…ラベル付き物品、10…照合素子、20…転写箔、30…粘着ラベル、40…物品、100…接着層、110…保護層、110’…保護層、110’’…基材、120…ランダムパターン、130…保護層、140a…反射層、140b…反射層、150…着色層、150a…印刷層、150b…印刷層、150c…印刷層、150d…印刷層、160…脆性層、170…回折構造形成層、180…マスク層、190…アンカー層、210…支持体、320…粘着層、A1…領域、A2…領域、A3…領域、C…消費者、D…卸売業者、IC…画像、IR…画像、IR1…画像、IR2…画像、M…製造業者、S…サーバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒及びこの溶媒中に溶解した重合性及び/又は架橋性材料を含んだ連続相と、前記重合性及び/又は架橋性材料と比較して前記溶媒に対する相溶性がより低い液状添加剤を含んだ分散相とからなるエマルジョンから塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることによって得られるランダムパターンを具備した照合素子。
【請求項2】
前記ランダムパターンを光学的に読み取ることにより得られる階調画像を二値化してなる二値画像は、前記二値化に使用する閾値に応じて変化する請求項1に記載の照合素子。
【請求項3】
前記ランダムパターンは、前記重合性及び/又は架橋性材料の硬化物と、この硬化物中で分散した顔料及び/又は染料とを含んだ請求項1又は2に記載の照合素子。
【請求項4】
前記ランダムパターンと向き合った鏡面反射層を更に具備し、前記ランダムパターンは前記顔料及び/又は染料として白色顔料を含んだ請求項3に記載の照合素子。
【請求項5】
前記ランダムパターンは、前記重合性及び/又は架橋性材料の硬化物と、この硬化物中で分散した蛍光材料とを含み、白色光で照明して肉眼で観察した場合に、前記ランダムパターンに対応した画像を表示しない請求項1又は2に記載の照合素子。
【請求項6】
赤外光で照明して赤外線カメラで観察した場合に、前記ランダムパターンに対応した画像を表示し、白色光で照明して肉眼で観察した場合に、前記ランダムパターンに対応した画像を表示しない請求項1又は2に記載の照合素子。
【請求項7】
前記ランダムパターンに割り当てられた文字及び/又は符号を表示するコードパターンを更に具備した請求項1乃至6の何れか1項に記載の照合素子。
【請求項8】
前記液状添加剤はシリコン系添加剤を含んだ請求項1乃至7の何れか1項に記載の照合素子。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の照合素子と、
前記照合素子と向き合った粘着層と
を具備した粘着ラベル。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の照合素子を含んだ転写材層と、
前記転写材層を剥離可能に支持した基材と
を具備した転写箔。
【請求項11】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の照合素子と、
前記照合素子が貼り付けられた物品と
を具備したラベル付き物品。
【請求項1】
溶媒及びこの溶媒中に溶解した重合性及び/又は架橋性材料を含んだ連続相と、前記重合性及び/又は架橋性材料と比較して前記溶媒に対する相溶性がより低い液状添加剤を含んだ分散相とからなるエマルジョンから塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることによって得られるランダムパターンを具備した照合素子。
【請求項2】
前記ランダムパターンを光学的に読み取ることにより得られる階調画像を二値化してなる二値画像は、前記二値化に使用する閾値に応じて変化する請求項1に記載の照合素子。
【請求項3】
前記ランダムパターンは、前記重合性及び/又は架橋性材料の硬化物と、この硬化物中で分散した顔料及び/又は染料とを含んだ請求項1又は2に記載の照合素子。
【請求項4】
前記ランダムパターンと向き合った鏡面反射層を更に具備し、前記ランダムパターンは前記顔料及び/又は染料として白色顔料を含んだ請求項3に記載の照合素子。
【請求項5】
前記ランダムパターンは、前記重合性及び/又は架橋性材料の硬化物と、この硬化物中で分散した蛍光材料とを含み、白色光で照明して肉眼で観察した場合に、前記ランダムパターンに対応した画像を表示しない請求項1又は2に記載の照合素子。
【請求項6】
赤外光で照明して赤外線カメラで観察した場合に、前記ランダムパターンに対応した画像を表示し、白色光で照明して肉眼で観察した場合に、前記ランダムパターンに対応した画像を表示しない請求項1又は2に記載の照合素子。
【請求項7】
前記ランダムパターンに割り当てられた文字及び/又は符号を表示するコードパターンを更に具備した請求項1乃至6の何れか1項に記載の照合素子。
【請求項8】
前記液状添加剤はシリコン系添加剤を含んだ請求項1乃至7の何れか1項に記載の照合素子。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の照合素子と、
前記照合素子と向き合った粘着層と
を具備した粘着ラベル。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の照合素子を含んだ転写材層と、
前記転写材層を剥離可能に支持した基材と
を具備した転写箔。
【請求項11】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の照合素子と、
前記照合素子が貼り付けられた物品と
を具備したラベル付き物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−81203(P2011−81203A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233594(P2009−233594)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000252344)和信化学工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000252344)和信化学工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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