説明

照射方向可変イオン照射装置および二次イオン質量分析装置

【課題】試料と検出器とにおける所望の検出条件を変えることなく、試料に対する一次イオンの入射角度を変更することが可能となる二次イオン質量分析装置を提供する。
【解決手段】本二次イオン質量分析装置は、照射方向可変イオン照射装置と試料台と質量分析器とを含んでなる。この照射方向可変イオン照射装置は、固定されたイオン銃と、照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路においてイオン銃に近い方の第一の偏向板と、照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路においてイオン銃から遠い方の第二の偏向板とを含んでなり、第一の偏向板と第二の偏向板とが、それぞれ独立に、ある点を中心にして回転し得る機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の深さ方向における元素の測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、ウエル領域やチャネルドープ領域等における不純物濃度およびその分布がデバイス特性に大きな影響を与えるが、近年における半導体装置の微細化、薄層化の進展に伴い、半導体基板や堆積させた薄膜の表面から浅い領域(たとえば1〜数nm程度の深さ)における不純物濃度分布を精度よく形成することが求められている。
【0003】
このような要請に応えるためには、測定対象領域における不純物濃度分布を高精度に把握する必要があり、そのために、半導体基板や堆積させた薄膜の表面から深さ方向の不純物等の元素分布の測定のための代表的手段である二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)が主に用いられている。
【0004】
SIMSは、一次イオンと呼ばれるイオンの照射によるスパッタリングで試料表面から放出される粒子のうち、イオン化されたもの(このイオン化された物質を二次イオンと呼称する)を検出する物理分析法であり、試料の深さ方向における元素の高感度な分析が可能であるという特長を有する(たとえば特許文献1参照。)。このSIMSには、Static SIMS(スタチックSIMS)、Dynamic SIMS(ダイナミックSIMS)、TOF SIMS(飛行時間型SIMS)等が知られている。
【0005】
ここで、図1を参照して従来のSIMS法を説明する。図1は、従来のSIMS装置の例示的概略構成図であり、測定対象となる試料1を固定保持するとともに、X,Y,Z方向への移動、傾斜および回転が可能な試料ホルダー2、一次イオン源となる酸素イオン銃(イオンガン)3およびセシウムイオン銃4、二次イオンを質量分析するための検出器(たとえば四重極型検出器)5と分析したイオンの量を測定する測定装置6とからなる質量分析器、イオン照射による帯電を補正する電子銃7によって構成されている。
【0006】
一般に、試料に入射する一次イオンの角度によって、深さ方向の元素分布の精度や二次イオンの構成比率が変化することが知られているが、従来の装置では、一次イオンを照射するためのイオン銃ならびに二次イオンを検出するための検出器が固定されていることから、試料ホルダー2の傾斜機構を利用して目的のイオンの入射角に対応している。
【特許文献1】特開2000−221148号公報(段落番号0002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、入射角を変更させるために試料を傾斜させると、検出器に対する試料の角度も変ってしまうため、二次イオンを検出する最適な条件から外れ、検出効率が低下し、二次イオン強度の減少を招く場合がある。また、二次イオンの飛行時間を計測し質量分析を行うTOF SIMSでは、検出器と試料との間の距離が変ってしまう問題点があった。
【0008】
したがって、本発明は、試料と検出器とにおける所望の検出条件(たとえば最適な検出条件)を変えることなく、試料に対し任意の入射角度で一次イオンを照射することができる技術を提供することを目的としている。本発明の更に他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、
固定されたイオン銃と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃に近い方の第一の偏向板と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃から遠い方の第二の偏向板と
を含んでおり、
当該第一の偏向板と第二の偏向板とが、それぞれ独立に、ある点を中心にして回転し得る機構を有する、
照射方向可変イオン照射装置が提供される。
【0010】
本発明態様によれば、イオン銃を動かすことなく、イオン銃から発射されたイオンの進行方向を自由に変更することが可能になる。
【0011】
ある選択された点を中心とする円を描いて前記第二の偏向板を移動させ、かつ、その停止位置を制御することを可能とする機構を有すること、および、前記照射されるイオンの進行方向の変化の制御が、前記第一および第二の偏向板の磁場、電場または磁場と電場の両方を変えることにより可能となることが好ましい。
【0012】
本発明の他の一態様によれば、上記の照射方向可変イオン照射装置と、
試料台と、
質量分析器と
を含んでなる二次イオン質量分析装置が提供される。
【0013】
本発明態様によれば、二次イオン質量分析装置において、試料と検出器とにおける所望の検出条件を変えることなく、試料に対する一次イオンの入射角度を変更することが可能となる。
【0014】
前記二次イオン質量分析装置がユーセントリック機能を有し、当該ユーセントリック機能の中心と前記選択された点とが一致していること、前記試料台面に対し垂直なある一面において、試料に対し0〜180°の角度で一次イオンを照射することが可能であること、および、前記照射方向可変イオン照射装置を複数組有してなることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、イオン銃を動かすことなく、イオン銃から発射されたイオンの進行方向を自由に変更することが可能になり、二次イオン質量分析を行う場合において、試料と検出器とにおける所望の検出条件を変えることなく、試料に対する一次イオンの入射角度を変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0017】
本発明に係る二次イオン質量分析装置は、照射方向可変イオン照射装置と試料台と質量分析器とを含んでなる。
【0018】
この照射方向可変イオン照射装置は、
固定されたイオン銃と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃に近い方の第一の偏向板と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃から遠い方の第二の偏向板と
を含んでなり、
当該第一の偏向板と第二の偏向板とが、それぞれ独立に、ある点を中心にして回転し得る機構を有する。
【0019】
このような構造とすることにより、イオン銃を動かすことなく、イオン銃から発射されたイオンの進行方向を自由に変更することが可能になり、二次イオン質量分析を行う場合において、試料と検出器とにおける所望の検出条件を変えることなく(すなわち、試料の位置ずれなく)、試料に対する一次イオンの入射角度を変更することが可能となる。なお、この回転の中心は、任意に定めてもよいが、偏向板における偏向の中心点を回転の中心として選択しておけば、試料上での一次イオンの収束性の悪化を低減することができる。この「偏向の中心点」とは、偏光板における磁場ないし電場による最大屈折点である。
【0020】
本発明に係る二次イオン質量分析装置に使用される固定されたイオン銃、試料台、および質量分析器については特に制限はなく、公知の二次イオン質量分析装置のものを使用することができる。
【0021】
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板についても、照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な点を除いては特に制限はなく、イオンの進行方向を変化させることのできる機能を有するものであればどのようなものを使用してもよい。磁場、電場または磁場と電場の両方を変えることによりイオンの進行方向を変化させるものが知られており、これらを採用することが好ましい。なお、偏向板への入射角と出射角とは、イオンビームの散乱を防止する観点から、同一または同一に近いことが好ましい。
【0022】
第一の偏向板と第二の偏向板とが、それぞれ独立に、ある点を中心にして回転し得る機構を有することにより、固定されたイオン銃から発射された、固定された方向に進行するイオンの進行方向を変え、試料台上にある試料に対し、所望の入射角度で照射するようにすることが可能となり、従って、試料と検出器とにおける所望の検出条件を変える必要がなくなる。
【0023】
上記の「ある点を中心にして回転し得る機構」は、その点を含む一つの面について回転できれば十分であるが、その点を含む複数の面、あるいはその点を含む全ての面について回転できるものであってもよい。その点を含む一つの面についてのみ回転できる場合には、第一の偏向板の回転面と第二の偏向板の回転面とが一致していることが好ましいが、必須要件ではない。
【0024】
回転のできる角度については特に制限はないが、一般的には、大きければ大きいほど好ましい。たとえば360°までまたは360°近くまで回転できるようにすることも可能である。
【0025】
このような機構については、二次イオン質量分析装置の外部から操作可能なギアとステッピングモータとの組合せ等公知の機構(装置)を利用することができる。
【0026】
本発明に係る照射方向可変イオン照射装置は、更に、ある選択された点を中心とする円を描いて第二の偏向板を移動させ、かつ、その停止位置を制御することを可能とする機構を有することが好ましい。このことにより、第二の偏向板の位置をより自由に選択でき、試料と検出器とにおける所望の検出条件を変えずに、非常に広い範囲で、試料に対する一次イオンの入射角度を変更することが可能となる。
【0027】
ある選択された点を中心とする円を描いて第二の偏向板を移動させ、かつ、その停止位置を制御することを可能とする機構については特に制限はない。レール上を第二の偏向板がスライドでき、二次イオン質量分析装置の外部からその位置を制御できるようにする機構等が考えられる。
【0028】
この「ある選択された点」は任意に定めることができるが、この二次イオン質量分析装置が、ユーセントリック機能を有し、このユーセントリック機能の中心と上記選択された点とが一致していることが好ましい。このようになっていると、第二の偏向板を移動させた場合にも、ユーセントリックが維持され、試料と検出器とにおける所望の検出条件を変えずにより自由に試料に対する一次イオンの入射角度を変更することが可能となる。
【0029】
このような二次イオン質量分析装置では、試料に対し0〜180°の角度で一次イオンを照射することが可能となり、試料に対する一次イオンの入射角度の変更自由度を最大限にすることができる。一般的には、この角度が、試料に対しできるだけ0°に近い角度からできるだけ180°に近い角度までをカバーするものであることが好ましい。より具体的に言えば、0.5〜179.5°までの角度で一次イオンを照射することが可能であることが好ましい。
【0030】
なお、試料に対する角度は、試料台面に対し垂直な面を考えた場合、必ずしもその全ての面について成立する必要はなく、最低、試料台面に対し垂直な一つの面について成立すれば十分な場合が多い。
【0031】
本発明に係る二次イオン質量分析装置は、上記照射方向可変イオン照射装置を複数組有していることも好ましい。複数のイオン源を使用して、解析する場合や、イオン源を切り替えて分析する場合に有用である。
【0032】
以下、図により本発明の形態例について説明する。図2は本発明の原理を示す模式的構成図である。図2において、イオン銃8で発生したイオンビームは、第一の偏向板9と第二の偏向板11とを介して試料台2上の試料(図示せず)に照射されている。第一の偏向板9が、本発明における「照射経路においてイオン銃に近い方の第一の偏向板」に該当し、第二の偏向板11が「照射経路において当該イオン銃から遠い方の第二の偏向板」に該当する。ここで、照射経路とは、たとえば図2では、イオン銃8で発生したイオンビームが第一の偏向板9と第二の偏向板11とを経て試料台2上の試料に至る経路を意味する。
【0033】
イオン銃8も質量分析器の検出器5も固定されている。第一の偏向板も第二の偏向板も、共に、その偏向の中心点を回転の中心として回転し得る機構を有する。
【0034】
より具体的に言えば、第一の偏向板が偏向板の偏向の中心点に回転中心を持ち、たとえば360°回転することができれば、図2に示すように、イオン銃のイオンの照射の中心部と第一の偏向板の回転中心とを結ぶ線L1に対し、そのどちら側にでも一次イオンの照射方向を変えることができる。
【0035】
また、第二の偏向板が、偏向板の偏向の中心点に回転中心を持ち、たとえば360°回転することができれば、第一の偏向板の偏向の中心点と第二の偏向板の偏向の中心点(すなわち、回転中心)とを結ぶ線L2に対し、そのどちら側にでも一次イオンの照射方向を変えることができる。
【0036】
この場合、第二の偏向板が、図2のレール10で例示するように、ある選択された点を中心とする円を描いて移動可能であり、その停止位置を制御することができれば、図2では点線で示すような位置に第二の偏向板を移動させることができ、これに合わせて第一および第二の偏向板の向きを適宜変えれば、試料に対する照射角を大きく変えることができる。これにより、試料台面に対し垂直なある一面において、試料に対し0〜180°の範囲内の角度で一次イオンを照射することが可能となる。なお、図2では、その画面が「試料台面に対し垂直なある一面」に該当している。
【0037】
また、二次イオン質量分析装置がユーセントリック機能を有し、このユーセントリックの中心と上記の選択された点とが一致していれば、上記のように第二の偏向板を大きく移動させても、試料と検出器とにおける所望の検出条件を保つことが可能となる。
【0038】
なお、ここで言う360°とは、L1やL2を含む任意に選択した一平面における角度を意味する。選択した以外の平面においても偏向板が回転可能であれば、更に自由度は増えるが必ずしも必要ではない。なお、図2では、その画面が「L1やL2を含む任意に選択した一平面」に該当している。図2中の両端に矢印の付いた曲線は回転の方向を意味している。
【0039】
このようにして、本発明によれば、試料と検出器とにおける所望の検出条件を変えることなく(すなわち、試料の位置ずれなく)、試料に対する一次イオンの入射角度を変更することが可能となる。本発明の適用できる用途には特に制限はないが、半導体集積回路装置等の半導体装置、その中間製品および、半導体集積回路装置等の装置の開発に役立つ任意の試料における元素(たとえば不純物元素)の測定に好適に使用することができる。更に、成膜した絶縁膜あるいはシリサイド膜等における成膜方向の組成分布の測定や、薄膜磁気ヘッド等の金属膜を含む多層構造膜の成膜方向の組成分布の測定にも適用され得る。
【実施例】
【0040】
図3を参照して、本発明に係る照射方向可変イオン銃および二次イオン質量分析装置について例示的に説明する。図3は、本発明に係る照射方向可変イオン銃を用いた二次イオン質量分析装置を例示する概念的構成図であり、排気口12を有する測定チャンバー13、試料14を載置・駆動するゴニオステージ15、一次イオンとしてのOまたはCsイオン16を照射するイオン銃17、一次イオンの入射角を可変するための第一の偏向板18、第二の偏向板19、第一の偏向板の角度を設定するためのギア20ならびにステッピングモータ21、第二の偏向板を移動させるレール22、レール上を移動させるための駆動機構23、第二の偏向板の角度を設定するためのギア24ならびにステッピングモータ25、試料14から発生した二次イオン26を質量分析するための四重極型検出器27、検出器27により質量分析したイオンの量(数)を測定するための測定装置28、試料14の表面近傍に二次イオンの発生効率を高めるための酸素ガス29を供給するノズル30、ノズル30の開閉を制御するリークバルブ31によって構成されている。説明されていない部品は描かれていない。分析環境は真空である。第一の偏向板18および第二の偏向板19の偏向の中心(以下、単に「偏向板の中央」ともいう)はそれぞれ偏向板の回転の中心と一致している。また、この二次イオン質量分析装置はユーセントリック機能を有し、このユーセントリック機能の中心とレール22の円の中心(本発明に係る「選択された点」に該当)とが一致している。
【0041】
まず、レール22上で第二の偏向板19を移動させ、第二の偏向板19の中央がユーセントリック機能の中心に対して所望の角度をなすようにセットする。
【0042】
ついで、イオン銃17より放出された一次イオンを第一の偏向板18の中央に導入する。
【0043】
この場合、第一の偏向板の角度は、イオン銃より偏向板に入射する角度と第二の偏向板に対して放出する角度が等しくなるように回転機構を用いて設定する。最終的には第一の偏向板より放出された一次イオンが第二の偏向板の中央にくるよう電場または磁場を調整する。
【0044】
ついで、目的とする入射角に設定された第二の偏向板も回転機構を用いて第一の偏向板からの入射角と試料表面への放出角が等しくなるように設定する。
【0045】
ついで、一次イオンがユーセントリックの中心に導かれるように第二の偏向板の電場または磁場を調整する。これにより、検出器に対する試料の角度を変化させることなく、試料に対し任意の角度で一次イオンを照射することが可能になる。
【0046】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0047】
(付記1)
固定されたイオン銃と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃に近い方の第一の偏向板と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃から遠い方の第二の偏向板と
を含んでなり、
当該第一の偏向板と第二の偏向板とが、それぞれ独立に、ある点を中心にして回転し得る機構を有する、
照射方向可変イオン照射装置。
【0048】
(付記2)
ある選択された点を中心とする円を描いて前記第二の偏向板を移動させ、かつ、その停止位置を制御することを可能とする機構を有する、付記1に記載の照射方向可変イオン照射装置。
【0049】
(付記3)
前記照射されるイオンの進行方向の変化の制御が、前記第一および第二の偏向板の磁場、電場または磁場と電場の両方を変えることにより可能となる、付記1に記載の照射方向可変イオン照射装置。
【0050】
(付記4)
付記1〜3のいずれかに記載の照射方向可変イオン照射装置と、
試料台と、
質量分析器と
を含んでなる二次イオン質量分析装置。
【0051】
(付記5)
前記二次イオン質量分析装置がユーセントリック機能を有し、当該ユーセントリック機能の中心と前記選択された点とが一致している、付記4に記載の二次イオン質量分析装置。
【0052】
(付記6)
前記試料台面に対し垂直なある一面において、試料に対し0〜180°の角度で一次イオンを照射することが可能である、付記4または5に記載の二次イオン質量分析装置。
【0053】
(付記7)
前記照射方向可変イオン照射装置を複数組有してなる、付記4〜6のいずれかに記載の二次イオン質量分析装置。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】二次イオン質量分析器の原理的構成を説明するための模式図である。
【図2】本発明の原理的構成を説明するための模式図である。
【図3】本発明の実施例の構成を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0055】
1 試料
2 試料ホルダー
3 酸素イオン銃(イオンガン)
4 セシウムイオン銃
5 検出器
6 測定装置
7 電子銃
8 イオン銃
9 第一の偏向板
10 レール
11 第二の偏向板
12 排気口
13 測定チャンバー
15 ゴニオステージ
16 OまたはCsイオン
17 イオン銃
18 第一の偏向板
19 第二の偏向板
20 ギア
21 ステッピングモータ
22 レール
23 駆動機構
24 ギア
25 ステッピングモータ
26 二次イオン
27 検出器
28 測定装置
29 酸素ガス
30 ノズル
31 リークバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されたイオン銃と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃に近い方の第一の偏向板と、
照射されるイオンの進行方向の変化を制御可能な偏向板であって、照射経路において当該イオン銃から遠い方の第二の偏向板と
を含んでなり、
当該第一の偏向板と第二の偏向板とが、それぞれ独立に、ある点を中心にして回転し得る機構を有する、
照射方向可変イオン照射装置。
【請求項2】
ある選択された点を中心とする円を描いて前記第二の偏向板を移動させ、かつ、その停止位置を制御することを可能とする機構を有する、請求項1に記載の照射方向可変イオン照射装置。
【請求項3】
前記照射されるイオンの進行方向の変化の制御が、前記第一および第二の偏向板の磁場、電場または磁場と電場の両方を変えることにより可能となる、請求項1に記載の照射方向可変イオン照射装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の照射方向可変イオン照射装置と、
試料台と、
質量分析器と
を含んでなる二次イオン質量分析装置。
【請求項5】
前記二次イオン質量分析装置がユーセントリック機能を有し、当該ユーセントリック機能の中心と前記選択された点とが一致している、請求項4に記載の二次イオン質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−21504(P2008−21504A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191603(P2006−191603)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】