説明

照射架橋剤

(i)1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基、及び(ii)1つ又はそれ以上のイオン性基を包含する、架橋化合物を提供し、ここにおける架橋化合物は、少なくとも1つの極性溶媒に溶解する。架橋化合物の製造方法もまた、開示されている。更に、架橋化合物の製造方法から得られるデバイスも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロニクス、プラスチックエレクトロニクス及び有機半導体デバイスを含む、ポリマー及びエレクトロニクスの分野に属する。特に、本発明は、架橋剤、及び架橋剤を用いてデバイスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁性、半導性及び導電性のポリマーフィルムの照射誘導又は熱誘導の架橋は、多層デバイス部品及び集積回路(ICs)の作製における重要な実用化工程である。これは、デバイス及び/又はICにおいて、繰り返しの堆積又は多層のパターン化を可能にする。照射架橋を実現するための一つの方法は、照射感受性の架橋剤を使用することによる。このような物質は、長年にわたって市販されているが、これらの多くは、純度による重大な制限のために、有機ポリマー半導体デバイス技術に通常は適用できない。架橋は、デバイスの電気的な性能を劣化させることなく実施しなければならない。これは、架橋生成物又は副生成物からの、電子トラップの強制的な除去を必要とし、そして発光ダイオードに適用するためには、半導体材料の発光効率と相互作用する及び低下させる状態を厳しく排除する必要がある。オキセタン反応、エポキシ反応、桂皮酸二量化反応を用いる、多くの照射架橋システムが、最近開示されてきた。
【0003】
ビス(フェニルアジド)架橋剤を用いる水溶性の導電性ポリマーの架橋システムが、有機半導体デバイス技術における相互接続及び電極用に提案された(F.J. Touwslager, N.P. Willard and D.M. de Leeuw, "I-line lithgraphy of poly(3,4-ethylenedioxythiophene) electrodes and application in all-polymer integrated circuits", Applied Physics Letters, 81 (2000) pp. 4556-4558)。引用文献では、一般に10w/w%を越える、高濃度の架橋剤が必要である。このことは、架橋効率が相対的に低く、そして高濃度の副生成物が生じることを示唆している。これは恐らく、これらの副生成物に対して敏感ではない用途範囲に適しているであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記を考慮すると、好ましくは、特に高い効率及び生成する副生成物の最小濃度の改善された架橋剤を得ることが要望されている。更に、この架橋剤から得られる有機電子デバイスにおける単層及び/又は多層構造を提供することが本発明の好ましい目的である。別の本発明の好ましい目的は、このデバイスを作製する新規な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様では、新規な種類の架橋剤を提供する。
この種類の架橋化合物の一般式は、式(1)により示される。
【0006】
【化003】

【0007】
式中のArZは、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基を包含し;そして
Rは、1つ又はそれ以上のイオン性基を包含する。
ここにおいて、この架橋化合物は、少なくとも1つの極性溶媒に溶解する。
【0008】
一態様では、極性溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる。
【0009】
更なる別の態様では、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基が、2つのフッ素化芳香族化合物を包含していてもよい。別の態様では、架橋化合物が、2つのフッ素化芳香族化合物に結合するリンカーを包含していてもよい。更なる別の態様では、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基の各々が、フッ素化フェニル及びフッ素化ナフチルよりなる群から、それぞれ独立して選ばれてもよい。更なる別の態様では、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族化合物の各々が、フッ素化フェニル及びフッ素化ナフチルよりなる群の、類似の又は同一のものから選ばれてもよい。更に別の態様では、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族化合物の各々が、アジド基に対してオルト位にフッ素原子を有している。別の態様では、2つのフッ素化芳香族化合物が、フッ素化フェニルであってもよい。
【0010】
更なる別の態様では、イオン性基が、酸基、カチオン基、塩基性基及びアニオン基よりなる群から選ばれてもよい。更に別の態様では、酸基が、スルホン酸、リン酸、カルボン酸よりなる群から選ばれてもよい。更なる別の態様では、カチオン基が、4級アンモニウム基及びピリジニウム基よりなる群から選ばれてもよい。更に別の態様では、塩基性基が、アミンを包含する基から選ばれてもよい。別の態様では、アニオン基が、スルホネート、ホスホネート及びカルボキシレートよりなる群から選ばれてもよい。
【0011】
別の態様では、リンカーが、電子吸引性基によって2つのフッ素化芳香族化合物の各々に結合してもよい。更なる別の態様では、電子吸引性基が、カルボニル、エステル及びアミドよりなる群から選ばれてもよい。更に別の態様では、リンカーが、C〜Cアルキレン、シクロアルキレン、及びアルキリデンよりなる群から選ばれてもよい。更なる別の態様では、イオン性基が、リンカーに結合してもよい。
【0012】
別の態様では、リンカーが架橋を包含し、その架橋が、アルキレン、カルボニル及びエチレングリコールよりなる群から選ばれてもよい。更なる別の態様では、 吸収バンドが250nm〜450nmの範囲に生じる。
第一の態様の一例では、架橋化合物が、式(2)で表される。
【0013】
【化004】

【0014】
式中の、Xは、I、PF、BF、ClO及びCFCOOよりなる群から選ばれる。
【0015】
第三の態様では、ポリマー及び第一の態様の架橋化合物を包含する混合物が提供され、ここにおける架橋化合物の濃度は、ポリマーに対して0.1%〜20%(w/w)の範囲である。一形態では、架橋化合物の濃度は、0.1%〜5.0%の範囲であってもよい。別の形態では、ポリマーは、少なくとも1つの極性溶媒に溶解するポリマーよりなる群から選ばれてもよい。一態様では、極性溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる。更なる別の態様では、ポリマーが、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホン酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(ポリスチレンスルホン酸)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(ポリスチレンスルホン酸塩)よりなる群から選ばれる。
【0016】
第四の態様では、ポリマーを架橋する方法が提供され、この方法は、(i)第一態様の架橋化合物を、極性溶媒中で第三態様のポリマーに加え、溶液を得ること、そして(ii)基板の上に溶液から得られるフィルムを堆積させること、そして(iii)100℃〜130℃の範囲の温度で、フィルムをソフトに処理すること、そして(iv)フィルムを光架橋して、不溶性の架橋ポリマーを形成すること、の各工程を含む。
【0017】
第五の態様では、ポリマーを包含するデバイスを形成する方法が提供され、この方法は、(i)ポリマー及び第一態様の架橋化合物を包含する溶液から得られるフィルムを、基板の上に堆積させること、そして(ii)100℃〜130℃の範囲の温度で、フィルムをソフトに処理すること、そして(iii)工程(ii)のフィルムを全体的に光架橋して、不溶性の架橋ポリマーを形成すること、の各工程を含む。
【0018】
第五態様の一形態では、工程(ii)が、100ppm以下の湿気及び酸素を有する不活性雰囲気下でソフトに処理することを包含してもよい。
第五態様の別の形態では、工程(iii)が、工程(ii)の溶液を不活性雰囲気下で250nm〜450nmの範囲の波長を有する照射に曝露することを包含してもよい。
【0019】
第六の態様では、デバイスを形成する方法が提供され、この方法は、(i)ポリマーと第一態様の架橋化合物を包含する溶液から得られるフィルムを、基板の上に堆積させること、(ii)100℃〜130℃の範囲の温度で、フィルムをソフトに処理すること、そして(iii)工程(ii)で堆積されたフィルムを、パターンマスクを通して光架橋して、不溶性の架橋ポリマーを形成すること、そして(iv)工程(iii)のポリマーを現像すること、の各工程を含む。
【0020】
第六態様の一形態では、工程(ii)が、100ppm以下の湿気及び酸素を有する不活性雰囲気下でソフトに処理することを包含してもよい。
【0021】
第六態様の別の形態では、工程(iii)が、フォトマスクを通して、不活性雰囲気下で250nm〜450nmの範囲の波長を有する深紫外線(DUV;Deep UV)照射に曝露することを包含してもよい。
【0022】
第七の態様では、第五態様又は第六態様の方法で得られる少なくとも1つの層を包含するポリマー半導体デバイス用の新規なデバイス構造が提供される。一態様では、このデバイスが有機半導体デバイスである。更なる別の態様では、このデバイスが、有機化学センサー及びアクチュエータである。更に別の態様では、この層が、低仕事関数の導電性ポリマーである。
【0023】
第八の態様では、第五態様又は第六態様の方法で得られるポリマー半導体デバイスの使用が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、少なくとも一部で、フッ素化芳香族アジド(FAA)架橋剤に関する。一形態では、フッ素化芳香族アジドが、多価電解質フィルムを架橋するための、N−メチル−N,N−ジプロピレン ビス(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロベンズアミド)の4級化に基づく、可溶性のビス(フッ素化芳香族アジド)(本明細書では以下、ビス(FAA)として示す)である。
【0025】
本発明に関連して、当然のことながらフッ素化芳香族アジドは、フェニル及びビアリール部分を含有してもよい。ビアリール部分の特に限定されない例は、ナフチルである。
【0026】
フッ素化芳香族アジドは、リンカーが結合している位置から離れた芳香環のそれぞれの位置にフッ素原子を有することができる。フッ素化芳香環は、1個、2個、3個、4個、5個、6個又はそれ以上のフッ素を有することができる。アジド基は、リンカーが結合している位置に隣接した位置を占めることができず、そしてフッ素原子のそれぞれの側に隣接させることができる。当業者は、芳香属基に応じてフッ素の数を容易に選択することができる。
【0027】
一態様では、イオン又はイオン性基は、芳香族基に直接リンク及び/又は結合させることができる。
【0028】
多価電解質材料は、水及びアルコール溶媒への溶解度に結びつく、それらの繰り返し単位中の荷電基の存在によって特徴付けられる。これらは、高い(可逆性の)吸湿性を示し、そしてこの残存HOの存在、負の帯電及びしばしば高求核性のアニオンによって、架橋にとって特別な課題となる。それにも関わらず、適切な無水条件下でビスFAAsを用いると、先行技術のビス(芳香族アジド)が可能とするよりも高い効率で、広い範囲の多価電解質を架橋することが可能である。多価電解質フィルムを通常に架橋することができると、これらの材料のセンサー、セパレーション及びデバイスの分野への新規な適用が開始される。
この種類の架橋化合物の一般式は、式(1)で示される。
【0029】
【化005】

【0030】
式中の、ArZは、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基を示し、そしてRは1つ又はそれ以上のイオン性基を包含する。
この架橋化合物は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる、少なくとも1つの極性溶媒に溶解する。
【0031】
この架橋化合物は、2つのフッ素化芳香族化合物及びこの2つのフッ素化芳香族化合物を結びつけるリンカーを包含する、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基を有している。1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基の各々は、フッ素化フェニル及びフッ素化ナフチルよりなる群から、それぞれ独立して選ばれる。更に、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族化合物の各々は、アジド基に対してオルト位にフッ素原子を有している。好ましくは、2つのフッ素化芳香族化合物は、フッ素化フェニルである。
【0032】
イオン性基は、酸基(例えば、スルホン酸、リン酸、カルボン酸)、カチオン基(例えば、4級アンモニウム基及びピリジニウム基)、塩基性基(例えば、アミン)及びアニオン基(例えば、スルホネート、ホスホネート、カルボキシレート)よりなる群から選ばれる。
【0033】
リンカーは、カルボニル、エステル及びアミドよりなる群から選ばれる、電子吸引性基によって2つのフッ素化芳香族化合物のそれぞれに結合できる。リンカーは、C〜Cアルキレン、シクロアルキレン及びアルキリデンよりなる群から選ぶこともできる。イオン性基は、リンカーに結合できる。
【0034】
リンカーは、架橋を包含してもよく、この架橋は、アルキレン、カルボニル及びエチレングリコールよりなる群から選ぶことができる。一般式に応じて、架橋化合物は、250nm〜450nmの範囲に重要な吸収バンドを示す。
【0035】
次の式(2)で表される化合物を有する一般式(1)の架橋化合物が、提供される。
【0036】
【化006】

【0037】
式中のXは、I、PF、BF、ClO及びCFCOOよりなる群から選ばれる。
式(2)に基づく、適切な化合物の例としては、以下のものが含まれる。
【0038】
【化007】

【0039】
式中のXは、アニオン、例えば、Cl、ClO、BF、PF、SbF、CFCOO、CHSO、CSOである。
【0040】
【化008】

【0041】
式中のXは、アニオン、例えば、Cl、ClO、BF、PF、SbF、CFCOO、CHSO、CSOである。
【0042】
【化009】

【0043】
式中のMは、カチオン、例えば、H、(CHである。
【0044】
【化010】

【0045】
式中のMは、カチオン、例えば、H、(CHである。
【0046】
【化011】

【0047】
式中のMは、カチオン、例えば、H、(CHである。
特に、上記化合物IV及び化合物Vのような、セグメント体ArZ中の芳香族環を繋ぐ架橋ユニット中に拡張共役系を有している化合物は、UVにおいてより長い波長の方向にシフトし、そして化合物I〜IIIを露光するのに必要な深紫外線(250〜300nm)と違ってスペクトルの青色部(300〜450nm)にシフトした電子吸収バンドを有する。拡張共役系とは、一重結合と二重結合が交互に環に結合していることを示す。従って、光架橋は、対応するより長い波長を用いて活性化することができる。これは、入手可能な高出力の光源に適合させる場合に有利であり、そして強いポリマーマトリックス吸収部分があるならば、これを避ける他の場合に有利である。
【0048】
一般的な原則を説明する化合物の選択から、架橋ユニット及び水溶性基のその他の変形及び並ベ替えが可能であることは当業者には明らかであろう。
【0049】
適切なポリマーの例は、水及び/又は低級アルコール(例えば、MeOH、EtOH、i−PrOH)、DMF、DMAc、NMP及びDMSOを含む、その他の極性溶媒に溶解するポリマーである。ポリマーは、その望ましい性質で選択され、実例を以下に示す。通常、ポリマーは多価電解質である。多価電解質は、その骨格に、繰り返しユニットの10%より高い濃度で、通常イオン電荷(陽イオン又は陰オンの)又はイオン性基を有しているものである。ポリマーは、非多価電解質であってもよい。水及びその他の極性溶媒に溶解し、そしてそれにより本発明方法によって光架橋される非多価電解質の例は、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシスチレン)を含む。次いで、光架橋剤が、同じ溶媒中でポリマーと相性のよいことで選択される。このことは通常、安定な組成物に一緒に混合されて、更に沈殿が生じないように、これらが同じ溶媒に溶解する必要があるということを意味している。本発明の架橋剤と一緒に使用できる多価電解質の限定されない例は、以下の通りである。
ポリ(スチレンスルホン酸)
【0050】
【化012】

【0051】
ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム塩)
【0052】
【化013】

【0053】
ポリ(塩化N,N,N,N−ジアリルジメチルアンモニウム)
【0054】
【化014】

【0055】
ポリ(N,N,N,N−ジアリルジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート)
【0056】
【化015】

【0057】
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート、テトラメチルアンモニウム塩)
【0058】
【化016】

【0059】
スルホン化ポリアニリン
【0060】
【化017】

【0061】
スルホン化ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,5−ジイル)]
【0062】
【化018】

【0063】
スルホン化ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,5−ジイル)−alt−フェニレン−(N−フェニル)−イミノフェニレン)]
【0064】
【化019】

【0065】
ポリマーPI〜PIVを示して、両方の電荷符号(すなわち、酸形態(例えば、ポリマーPI)を含む異なる対イオンを有するポリカチオン性及びポリアニオン性の両方)の非導電性多価電解質が使用できる方法を説明する。これらのポリマーは、絶縁ポリマー層、イオンセンサーポリマー及びイオンアクチュエータポリマー層を作製するために有用である。これらのポリマーは、その対イオンが、ポリマー層と接触する溶液中に溶解している同じ電荷符号の他の対イオンと交換できるので、イオンセンサー層の作製に用いることができる。この交換によって、ポリマーフィルムの性質が変化(光学的及び電子的を含む)して、これがセンサーへの適用に直接結びつく。フィルムの体積及び応力も変化し、そしてこれが基板の機械的な変形又は曲げをもたらし、これによりアクチュエータの性質を生み出すことになる。
【0066】
ポリマーPV及びPVIを示して、導電性高分子間錯体(例えば、ポリマーPV)及び導電性ポリイオン(例えば、ポリマーPVI)の形態で、導電性多価電解質と一緒に使用もできる方法を説明する。その他の変形物も、使用可能である。これらのポリマーは、溶液堆積によって、相互接続、更に電極適用のための導電層を作製するために有用である。これらの材料を効率的に光架橋できることは、フォトリソグラフィーによる導電ポリマーの相互接続及び電極の作製、更に機械的に安定でそして次の処理に提供できる(架橋後のこれらの構造は、再度溶解することは全くない)丈夫なポリマー相互接続及び電極の作製の可能性を開く。
【0067】
ポリマーPVI及びPVIIIを示して、半導体ポリマーと一緒に使用することもできる方法を説明する。特に、ポリマーPVIIIは、ポリ[フルオレン−alt−トリアリールアミン]のモチーフに基づくポリマーの正孔輸送類の一員であり、一方、ポリマーPVIIは、発光ポリマー(この場合は、青色発光ポリマー)類の一員である。望ましいπ−π遷移、電荷キャリアーの移動性、屈折率、電子及び正孔輸送レベル、並びにその他の半導体及び/又は光電子の性質を得るために、フルオレン、チオフェン、フェニレン及びフェニレンビニレンの一般的な種類から異なった結合骨格を選択することによって、その他の変形が可能である。水及び/又はその他の極性溶媒への望ましい溶解性は、イオン基(カチオン又はアニオンの何れでもよい)又はスルホン酸基のようなイオン性基(示したような、又はこれら2つのポリマー)若しくは水素結合性の基を組み込むことによって、通常達成される。このような基は、望ましい半導体性質、更に望ましい溶解特性を取得できる相性のよいことを基にして選択される。当業者にとって多くの変形が可能であることは明らかであろう。
【0068】
本発明によるアジド化合物は、強酸性の水溶液環境においてでさえ安定である。このこと及びこれらの化合物がポリ(スチレンスルホン酸)のような強酸性ポリマーとよい相性であることを実証するために、PEDT:PSSの化合物Iの主要成分(16mg/mL)を、2.4MのHCl及び6.5MのHOを含有する酸性化した重水素化MeODに溶解した。その19F NMRスペクトルを5分以内に測定して得て、そして21日後に再度得た。観測可能な変化は見い出されず(ppm:2,6−F、−68.2;3,5−F、−76.9)、アジドが酸性水溶液MeOD中で安定であることを示す。このことは更に、19F NMR実験後に蒸発して回収した固体のFTIR分析によって確認された。ベンゼン(νring、1546cm−1)に対して標準化したアジドの伸縮強度(νas、2129cm−1)に変化が観察されなかった。従って、これらのアジドは、室温で酸、水又はアルコールとの暗反応の何れも受けない。
【0069】
これらアジド化合物の深紫外UV(DUV)架橋剤としての適合性を評価するために、これらの化合物を、公知の重量比で種々の多価電解質溶液に溶解し、クリーンな無処理の又はAPS処理したSiウエハー上にフィルムとして引き延ばし、マスクを通して露光し、必要により低圧Hgランプからの254nmDUV照射し、次いで得られた画像を適当な溶媒、通常は水、低級アルコール又はこの2つの混合物で現像した。DUV露光は、グローブボックス(pO<10ppm)中でポリマーの光酸化を避けて実施した。露光前に、フィルムをグローボックス中で適切に(例えば、100℃で5分間、又は130℃で20分間)事前に処理して、ナイトレン(nitrene)導入反応を妨害すると思われる物理吸着のHOを除去した。フィルムの保持率は、分光偏光解析法又は表面形状測定法の何れかを用いて、現像前後のフィルムの厚さを比較して得た。結果は、表1に示す。接着層としてのAPSがないと、HOが現像中に、幾つかの多価電解質フィルムを十分に膨らませて、フィルムを基板から持ち上げる。
【0070】
この方法で、MeOH溶液から堆積されたポリ(スチレンスルホン酸)(PSSH)フィルムは、DUV露光により1〜10wt%の化合物Iとうまく架橋された。顕微鏡検査は、架橋剤の層分離(又は結晶化)の徴候がない均質なフィルムであることを示す。現像されたフィルムの厚さは、架橋剤の濃度に伴って増加し、10%の化合物Iでは0.92(現像前に、標準化された厚さ)になる。用いた露光量(200mJ・cm−2)は、完全な反応を確保するために、必要とされる100〜150mJ・cm−2(この波長でのポリマーマトリックスの吸収による内部フィルター効果にも基づいている)より過剰とした。架橋剤を添加しないと、PPSHは、恐らくSOの損失に関わるラジカルメカニズム(赤外分光法に基づく)によって、光架橋するのに>200mJ・cm−2を必要とする。従って、本明細書で測定されるフィルムの保持率は、もっぱら架橋剤に起因している。同様に、HO溶液から堆積されたPSSHフィルムも、DUVにより光架橋剤である化合物Vと架橋できる。従って、bisPFAsのナイトレン導入の架橋メカニズムは、強多酸(strong poly acid)とでさえ相性がよいと思われる。
【0071】
このビス(フッ素化フェニルアジド)(bisFPA)への取り組みの一般論を説明するために、ポリアニオン(ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム塩))(PSSNa、Sigma−Aldrichから入手できる)及びポリカチオン(塩化ポリジアリルジメチルアンモニウム)(PDAMCl、Sigma−Aldrichから入手できる)フィルムの光架橋を実施した。データを、図1にプロットした。これは、bisFPAが、多価電解質中の求核アニオン(スルホネート及びクロライドの両方)の存在にも相性がよいことを示している。導電性(及び酸性)のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)PEDT:PSSH多価電解質複合体、及び導電性(しかし、酸性ではない)のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸テトラメチルアンモニウム)PEDT:PSSTMA複合体の両方も架橋される(これら両方の複合体は、重要な水溶性導電性ポリマー系である)。PEDT:PSSTMAは、PEDT:PSSHから臭化テトラメチルアンモニウムでイオン交換することにより得られた。これは、図2に示されるような導電性ポリマー系の光パターン化を可能とする。PEDT:PSSTMAフィルムの光架橋前後の導電性は、0.2Scm−1で変化しない。導電性は、グリセロール処理により更に高めることができる。
【0072】
ゲル化点は、通常架橋剤の<1wt%で到達する。従って、bisFPA方法は、4,4’−ジアジド−2,2’−スチルベンジスルホン酸ジナトリウム(Sigma−Aldrichから入手できる)のような非フッ素化ビス(フェニルアジド)(これは、20wt%以上を必要とする)よりも、大幅に高い効率をもたらす。このことは、本発明の架橋剤の存在下での寄生性のナイトレン環の膨張及びシステム間の架橋率が抑制されることと一致する。
【0073】
ゲル化点に到達するのに必要な架橋剤の濃度は、ポリマーの最初の分子量の関数である。ゲル化は、ポリマー鎖の最初の一部分が、初期の不溶化となる臨界的架橋密度で、無限大の分子量(MW)に達したときに生じる。ゲル化の開始前では、現像時にフィルムを保持できない。ゲル化以上では、無限大MWの部分が連鎖し、それにより現像時のフィルムの保持率が、架橋密度と共に急速に増大する。臨界的架橋密度pは、無限大の鎖を形成する可能性がゼロに成らない時点である。これは、
=1/(P−1)
(式中の、Pは、重合の重量平均である)によって与えられる。
【0074】
PSSNaについての本検討では、P=380であるので、p=0.26モル%となり、これにより、二機能性のbisPFA架橋剤は、理論上0.13モル%を必要とする。本実験のゲル化点は、架橋剤の0.2モル%に対応する約0.8wt%で生じ、架橋剤が実際に相対的に効率がよいことを示している。強酸性のPSSHについては、Pに対応するMWが、2,900(ここにおいて、ゲル化点に到達するのに、理論的に0.03モル%を必要とするのに対して、実験では約0.2モル%の値であった)であるので、効率が明らかに低い。
【0075】
ゲル点を越えるのに必要な正確な濃度は、ポリマー及び架橋剤によって異なる。従って、適切な濃度範囲は、各々の望ましいポリマー及び光架橋剤の系について決定しなければならない。これは、図1に示すような、フィルム中の光架橋剤の濃度の関数として、露光後のわずかなフィルムの保持率を測定することによって容易に行うことができる。通常は、ポリマーに対して光架橋剤の1〜20重量%の濃度で十分である。好ましい濃度は、少なくとも70%のフィルム保持率をもたらすゲル点を僅かに越える濃度である。フィルム保持率は、最終的なフィルムの厚さの設計に考慮しなければならない。例えば、フィルム保持率が70%で、厚さ70nmの最終架橋フィルムを作製しようとするならば、最初の出発フィルムの厚さは、70nmを70%で割ることによりもたらされる約100nmである。しかしながら、ゲル点近く(しかし、明らかにゲル点以下ではない)で操作することが可能である。フィルム保持率は、ゲル点に近づくにほど、より小さくなるので、望ましい最終フィルムの厚さを作り出すのに必要な最初のフィルムの厚さも、ゲル点に近づくほど徐々により大きくなる。
【0076】
この方法は、ポリマーフィルムの光パターン形成を可能にする。2マイクロメーターまでの線形状を、厚さ300ナノメーター以下のフィルム中に生成することができる。
【0077】
このFPAナイトレン法の成功は、ポリマーフィルム中の残存HOの存在しないことに大いに依存していると思われる。多価電解質は、これが湿った空気と急速に平衡化すること、そして膨大なHOを吸収できること、の点では独特である。HOをより強く保持するPSSNa及びPDAMClの両方についての脱水条件は、その他の多価電解質に適切なより軽度な条件(100℃で5分間)よりも厳しい(130℃で20分間)。熱重量分析から、PSSNa及びPDAMClは、周囲条件(相対湿度80%、25℃)下でそれぞれ約3及び3.5HO/繰り返し単位まで水和される。ここで用いられたより軽度な脱水条件下では、PSSNa及びPDAMCl中に約0.1〜0.2HO/繰り返し単位が残存していることが、熱重量分析曲線から評価され、これはナイトレン導入メカニズムをクエンチするのに既に十分な量であると思われる。その一方、PSSHは大気内でより吸湿性(>6HO/繰り返し単位)であるが、FTIRで実証されるように、乾燥窒素中で急速に脱水し、それによってより軽度な脱水条件の後でもうまく光架橋される。同様に、PDAMCl中の親水性及び水素結合性のClイオンを、親水性が極めて低いPFイオンと交換すると、得られる低い吸湿性のPDAMPF(熱重量分析により大気中で、0.7HO/繰り返し単位)もより軽度な脱水条件下で架橋できる。[PDAMPFは、XPS(原子化学量論;(実測値)C8.01.01.08.0Cl0.0;(理論値)C8.01.01.06.0Cl0.0)及びFTIR(νPF、880及び839cm−1)で確認される。この物質は、DMFに溶解する]。
【0078】
容認できるHOの濃度は、多価電解質自体の性質、及びHOの流動性(接近可能)に、必然的に関連しているであろう。しかしながら、これらのデータから、容認できるHOの濃度は、多分0.3HO/繰り返し単位のオーダー又はそれ以下であると思われる。
【0079】
光生成のナイトレンの運命に対する残存HOの影響を明らかにするために、本発明者らは、グローブボックス中100℃で5分間脱水した後、254nmのDUVの30及び150mJcm−2で、10w/w%の化合物VとPSSNaフィルムの露光の前後のFTIRスペクトルを追跡した。フィルム中で使用した架橋剤の濃度は、アジド単位に基づいて6モル%であった。結果を図3に示す。NのIR吸収の予期された漸進的な消失(2129、1488、1722cm−1)は、アジドの光分解が順調に進み、ナイトレンが生成していることを示す。脂肪族メチレン振動(νas=2936及びν=2844cm−1)及びp−ジ置換ベンゼン環に対する環伸縮振動(ν=1604、1569、1411cm−1)が強度を減少し、一方新しいC−Nバンド(ν=1316cm−1)が現れ、強度を増した。これらの変化は、C−H導入メカニズムと一致する。
【0080】
脂肪族C−Hの強度及びp−置換環の強度の喪失は、繰り返し単位に対して約2〜3モル%であった。SOの喪失は1モル%より下であって、SO対するナイトレインの求電子攻撃は、これらナイトレンの重大な副反応であるとは思われない。600〜800cm−1のブロードバンド(715cm−1のδNHに加えて、ωNH2に示される)の増大は、特徴的な三重項反応の生成物、NHの形成を示唆している。これは、有機溶媒可溶性のポリマーマトリックス中のbisFPAの固相反応では観察されなかった。この生成は、一重項ナイトレンから三重項状態へのシステム間架橋が、これらの多価電解質中で生じたことを示唆している。三重項状態は次いで、架橋に競合する、Hの引き抜きを含むラジカル反応を受ける。より速いシステム間架橋は、MeOHの効果に似た、残存HOとの水素結合によって多分促進される。これは多価電解質フィルムが、不完全な脱水(水のモル%レベルであってさえも)で、何故架橋収率が低い傾向にあるかを説明している。更に、恐らくヒドロキシルアミンへのOH捕捉、それに続く酸化から生じる、1514cm−1のピークの増大によって示される、N=Oの形成についての証拠もある。
【0081】
有機ポリマーの電子デバイスの分野並びにセンサー及びアクチュエータにおける新規なデバイスが提供される。デバイスは、有機発光ダイオード、有機トランジスター、有機光電池、有機メモリーデバイス、有機化学センサー、有機電気化学センサー及び有機アクチュエータよりなる群から選ばれる。これらの構造及び適用は、次に詳細に記載されている。
【0082】
A.p−i−n 三層ポリマー有機発光ダイオード及び光ダイオードのための低仕事関数のポリマー電子注入フィルム
p−i−n 三層ポリマー有機発光ダイオード(LED)は、発光ポリマー(LEP)層(i層)を挟んで、正孔輸送導電性ポリマー層(p層)及び電子輸送導電性ポリマー層(n層)を包含し、ここにおいて、n層は、電子注入に必要とされる望ましい低仕事関数をもたらすように、光架橋され、そして好ましくはnドープされ、そして表面修飾された導電ポリマーをベースにしている。1つ又はそれ以上の導電性ポリマーは、架橋されている。
【0083】
導電性ポリマー層、特にp型のものは、ポリマー骨格中に比較的高い濃度の正荷電が存在することにより、水又はその他の極性溶媒への溶解度が高く、このような溶媒から堆積することが有利である。従って、必要とされる多層構造を作製するために、水及び/又は極性溶媒可溶の光架橋剤を有利に用いることができる。
【0084】
本発明の架橋方法を用いて、本発明者らは、架橋されたPEDT:PSSTMAで作られ、次いで電子注入フィルムになるように表面修飾された電子注入導電性ポリマー層、オレンジ色発光のポリ(2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクトキシ)−p−フェニレン ビニレン)(OC10−PPV)で作られているLEP層、並びに非極性及び非湿潤性のLEP層に堆積できるようにした表面で形成されている、PEDT:PSSHで作られている正孔注入導電性ポリマー層を包含する、三層ポリマー有機LEDを作成した。その他のLEP層は、特にポリフルオレン及びその共重合体、並びにポリフェニレンビニレン及びその共重合体、さらに当該技術分野で周知のものの広い種類から用いることができる。
【0085】
この新規なデバイスは、p−i−n LED構造のプロトタイプである。このようなデバイス構造の重要な利点は、基板が不透明シリコン又は電気回路が組み込まれているその他の高性能半導体を包含する、上面発光型ディスプレーの作製が可能なことである。基板が、下部放出型ディスプレーの通常の状況と対照的に不透明であるので、光は最上層を通して照射しなければならない。最上層が陰極層であるなら、これは実質的に光を通さなければならないが、デバイスへ電子を注入するための低仕事関数も保持していなければならない。十分に薄く(通常必要とされる厚さは、20nmより小さい)、大面積を均一に覆い、そして酸化分解から保護される、所望の超薄金属陰極フィルムを堆積することは難題である。最上層が陽極層であるなら、基板レベルの最下層は陰極層でなければならない。このことは、空気中、少なくとも不活性雰囲気下で実質的に安定で、そして電子を注入するために十分な低仕事関数を有する陰極フィルムの開発を必要とする。通常用いられている金属電極フィルムは、この条件を満たしていない。このような層が、ポリマーで作製されるならば、更なる利点があるであろう。本発明は、このような透過性の低仕事関数のポリマー層を得る方法を提供する。
【0086】
電子注入層の作製に現在用いられている不透明金属陰極フィルムに比べて、このp層及びn層は実質的に透過性であるので、このようなデバイス構造の2番目に重要な利点は、透過性ディスプレーの作製が可能となることである。
【0087】
透過性の低仕事関数の電子注入層を作製する方法は、次のことを包含する。
(i)回転被覆、浸漬被覆又は印刷(インクジェット方式及びオフセット印刷を含む)を用いる、溶液、通常は水又は極性溶媒から適当量の光架橋剤で形成される、導電性ポリマーフィルムを堆積する。
【0088】
(ii)フォトマスクパターン形成で又はそれなしで、好ましくは不活性雰囲気下で、この層を露光して不溶性とする。
(iii)フィルムに残存している酸性のHイオンを、非酸性カチオン、好ましくはテトラメチルアンモニウムイオンに、好ましくは、好ましいカチオンを含む塩の水−アルコール溶液による接触イオン交換によって、置き換えてもよい。
【0089】
(iv)フィルムの表面に、その仕事関数を減少させるために多価電解質アセンブリによって、静電双極子膜を作ってもよい。この目的のために、アセンブリされる多価電解質は、ポリカチオン、そして好ましくは実質的に半導体とする必要があり、一方、導電性ポリマーフィルムは、好ましくはポリアニオン又は実質的にポリアニオン(PEDT:PSSH及びPEDT:PSSTMAのような)である。
【0090】
(v)ポリマーフィルムを、電子供与体、例えばナトリウムナフタレニドの溶液と接触させてnドープしてもよい。
(iv)LEP層又はその他の望ましい次の層を堆積する。
【0091】
p−i−n 三層ポリマー有機発光ダイオードの作製
n層を作製するために、1.6w/w%のPEDT:PSSH(Bayer AGより入手の、1:2.5のPEDT:PSSH)水溶液を、水溶性架橋剤であるN,N−ジメチル−N,N−ジプロピレン ビス(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロベンズアミド)アンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸と混合して、10w/w%の割合の高分子体を得る。この溶液を、パターン形成されたITO基板(水、過酸化水素及び水性アンモニアの10:2:0.5の混合溶液、次いで酸素プラズマ150Wで3分間洗浄した)上でスピンして、厚さ50nmのフィルムを得る。このフィルムを、酸素及び湿度が10ppm未満の窒素グローブボックス中で、深紫外線照射(254nm、1mWcm−2、3分間)に曝す。
【0092】
次いで、酸性のHイオンを、臭化テトラメチルアンモニウム(TMA)(Aldrich、16mM)のメタノール−水(2:1)溶液での接触イオン交換(1分間)によって除去し、次に回転塗布器上5000rpmで振り落とす。次いで、フィルムをスピナー上でメタノール−水(2:1)溶液で2回洗浄する。
【0093】
次いで、多価電解質双極子層を、多価電解質アセンブリによってこの架橋したPEDT:PSSTMAの上部に作製する。メタノール−水(2:1)混合物中の0.2w/w%のポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)を、このフィルムに4分間接触させる。過剰の溶液を、4000rpmで振り落とす。次いでフイルムは、メタノール−水(2:1)溶液で3回洗浄し、束縛されていないポリマーを除く。この工程後、UPSで測定したPEDT表面の仕事関数は、Alに匹敵する、5.2eV(初期のPWDTPSSH)から3.8eVに減少する。
【0094】
次いで基板を、乾燥の不活性雰囲気(グローブボックス)に移して、120℃で5分間処理する。
【0095】
LEP層を堆積するために、OC10−PPVをTHF−トルエン(3:1)溶液から堆積させて、厚さ70nmのフィルムを得た。
【0096】
p層を堆積するために、水−メタノール(1:1)溶液中の、0.055w/w%の臭化トリメチルヘキサデシルアンモニウム(C16NMeBr)を含有するPEDT:PSSHの1.0w/w%溶液を、市販のPEDT:PSSH(1:2.5のPEDT:PSSH、Bayer AGより入手したBaytron P)及びC16NMeBr(Aldrich)から作製した。この溶液を、OC10−PPV上で回転塗布して、60nmのフィルム厚を得た。次いでこのフィルムを、グローブボックス内で、120℃で15分間処理した。
【0097】
デバイスは、この場合、気化アルミニウムにより陽極を蒸着して、最終的に完成する。実際に適用するには、アルミニウムを発光部位を遮らないランナーとして堆積することができる。
【0098】
順方向のバイアスの場合(すなわち、負の電圧が、底部のn層(つまり、PEDT:PSSTMA層)に加えられる)は、0.01%の量子効率で発光が得られる。逆方向のバイアスの場合は、発光が得られない。順方向のバイアスの量子効率が相対的に低いが、本例で示すように、架橋後に本明細書に記載のような低仕事関数をもたらすように適切に表面修飾されるならば、pドープされた導電性ポリマーから電子注入を得ることが可能であるとの原理を説明する。
【0099】
工程(v)に記載されるようなポリマーの更なるnドープは、仕事関数を減少させて、電子注入効率を更に改善する。
【0100】
このデバイス構造は、ポリマー有機フォトダイオードに適用することもでき、これは、最先端技術分野で公知のように、LEP層を、光による照射で励起状態の解離をもたらし、それにより電荷キャリアーを発生させる、物質対でできている電荷発生層に置き換える以外は、ポリマー有機LEDを共通の構造として共有する。
【0101】
B.ポリマー有機電界効果トランジスタ用の低仕事関数ポリマーの電子注入電極フィルム
誘電層(次に、ゲート電極に接触している)に接触している半導体層で橋渡しされているソース及びドレインの電極対を包含するポリマー有機電界効果のトランジスタは、導電性ポリマーからなるソース及びドレイン電極の片方又は両方が、架橋され、そして好ましくは、nドープ及び表面修飾されて、電子注入に必要な望ましい低仕事関数をもたらされることを特徴とする。
【0102】
これらの電極を作製する方法は、上記の工程(i)〜(v)に示す概要に従う。
【0103】
C.イオンセンサー
イオンセンサー媒体としての適用の可能性を実証するために、本発明者らは、厚さ60nmのPSSHフィルムをSi上で光架橋し、これがイオン交換能を保持していることを示した。イオン交換物質は、ジビニルベンゼンでビーズに架橋されているポリ(スチレンスルホネート)を従来からベースにしている。これらの物質は、明らかに薄いフィルムにすることができない。PSSH自体は、その水溶性によって、イオン交換膜として使用できない。ここにおいて、このフィルムをうまく架橋することによって、本発明者らは、100nm以下の厚さのイオン交換フィルムを作製することが可能であることを示す。X線光電子分光法(XPS)を用いて、各種の分析溶液に、次の順番:3μMのNaCl、3mMのNaCl、3mMのKCl、1mMのHCl、3mMのNaCl:で10秒間曝露する前後の、S2p、C1s、K2p、Na1s及びN1sを含む、このフィルムの元素内殻準位(図4)を得た。非常に薄い3μMのNaとの10秒間の接触後に、何ら大きな変化は起こらず、このフィルムの堅牢性及びXPS測定の信頼性を実証した。
【0104】
3mMのNaとの10秒間の接触により、表層中で完全なNa交換が起こり、イオン化(−SOOH→SO)によるNa1sのピーク及びS2pスペクトルの−0.5eVのシフトが現れた。3mMのKとの10秒間の接触により、Naイオンの半分がKに置き換わった。1mMのHとの10秒間の接触により、Kイオンの半分及び残余のNaイオンも置き換わった。3mMのNaとの10秒間の最終接触により、H及びKイオンの両方が完全に置き換わり、Na強度が最大強度に復帰した。この実験を通して、Clは検出されず、PSSHフィルム中での交換反応は、純粋にカチオン交換であったことを示した。この実験は、フィルムを強力に膨張させる水と接触させても、このフィルムは機械的に堅牢であることを立証した。第2に、これら3つのカチオンの結合親和性は、静電結合に基づいて予測されるように、Na>K>H>の順に変化する。この応答は、例えばインピーダンス分光法によって、電気的に読み取ることができて、これによって単純な化学的/電気化学的センサーの原理が形成される。異なったイオンが、フィルムを異なった範囲で膨張するので、これによりイオンアクチュエーティングフィルムの原理も形成される。
(実施例)
【0105】
架橋剤の合成
化合物Iの合成
3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン(0.29mL、1.79ミリモル、Aldrich)及びトリエチルアミン(0.55mL、3.93ミリモル、Aldrich)を、無水CHCl(40mL)に溶解して、別の無水CHCl(40mL)中の塩化ペルフルオロベンゾイル(0.54mL、3.93ミリモル、Aldrich)を滴下した。副生成物である塩化トリエチルアンモニウムの白色沈殿物をろ過して除き、ろ液を半飽和のNaCl溶液(25mL×3)で洗浄し、MgSOで乾燥し、そして蒸発すると、N−メチル−N,N−ジプロピレン ビス(ペンタフルオロベンズアミド)が無色液体として得られた(収率、75%)。 次いで、この液体(777mg、1.34ミリモル)をアセトン(3.2ml)に溶解して、水(1.5mL)及びアセトン(3mL)に溶解した10%の過剰アジ化ナトリウム(192mg、2.95ミリモル)と還流下で5〜8時間反応させた。過剰なアセトンを加えて、NaFの白色沈殿物をろ過して除き、黄色のろ液を半飽和のNaCl溶液(25mL×3)で洗浄し、MgSOで乾燥し、そして蒸発すると、N−メチル−N,N−ジプロピレン ビス(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロベンズアミド)が、淡黄色固体として得られた(収率、65%)。
次いで、この固体(505mg、0.87ミリモル)を無水CHCl(10mL)に溶解して、過剰なヨードメタン(5mL、80.3ミリモル)と室温で1晩反応させた。微細淡黄色沈殿物をろ過して、水から2回再結晶すると、ヨウ化N,N−ジメチル−N,N−ジプロピレン ビス(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロベンズアミド)アンモニウム(I)が淡黄色の結晶として得られた(収率、55%)。
【0106】
H NMR(ppm、MeOD)=4.56(s)、3.50(t、J=6.6Hz、2H)、3.42(m、2H)、3.15(s、3H)、2.12(m、2H)。
19F NMR(ppm、MeOD)=−68.35(d、J=25Hz)、−76.97(d、J=24Hz)。
FTIR(cm−1)=3300(NH)、3078(NH)、3032(NH)、2968(CH)、2942(CH)、2885(CH)、2157〜2129(N)、1658(CO)、1549(CONH)、1486(N)、1437(CH)、1407(CH、CH)、1338(N)、1278(N)、1024、1000、989。
【0107】
この物質は、メタノール、メタノールが多いメタノール水混合物、及びその他の低級アルコールに溶解する。
ヨウ素アニオンは、選択される溶媒での適切な溶解度及び適切な熱安定性をもたらすために、その他のイオン、例えばペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、p−トルエンスルホネート、テトラフルオロボレート及びトリフレートにイオン交換することができる。
【0108】
化合物II〜Vの合成
化合物Iのヨウ素アニオンを、PF(化合物IIが得られる)、BF(化合物IIIが得られる)、ClO(化合物IVが得られる)及びCFCOO(化合物Vが得られる)のAg(I)塩の適当な化学量論的量とメタノール中で反応して、交換する。副生成物であるAgIをろ過して除き、ろ液を減圧下で蒸発させて各種アニオン交換物を回収する。これらの同定は、アニオン特異性の振動によって確認した(表1を参照されたい)。N,N−ジメチル−N,N−ジプロピレン ビス(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロベンズアミド)アンモニウム骨格の振動は、実質的に変化せずに残る。FTIR分析は、化合物II、III及びIVが無水状態で得られるのに対して、化合物I及びVは、かなりの結晶水を含有していることを示している。全てのイオン交換反応は、光の作用でのAg(I)還元を避けるために暗光中で行った。
【0109】
【表1】

【0110】
このシリーズは、親化合物Iから、MeOH中で化合物Iのヨウ素イオン(I)を適当なAg(I)塩の他のアニオンとアニオン交換することによって合成した。化合物Iは、カルボキシペルフルオロ環の架橋へのアミドカップリング、次いで求核芳香族N置換、そして架橋中のイミン基のメチル化−4級化によって合成した。最終生成物の同定は、アニオン特異性の振動のFTIR分光法によって確認した。アジド基を含有する化合物Iの骨格振動は、影響を受けなかった(実施例を参照されたい)。アニオンは、溶解特性及び物性を制御する。従って、化合物I〜Vは、低級アルコール(メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)及びイソプロパノール(i−PrOH)を含む)、アセトン及び極性の非プロトン性溶媒(ジメチルスホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン(NMP)を含む)に容易に溶解し、そして135〜145℃の範囲の融点を有し、化合物Vは、かなり低い融点を有し、HOにも溶解する。これらの化合物を、適当な溶媒を用いて多価電解質フィルム中に組み入れることが可能である。特に、FTIR分析は、化合物II、III及びIVが結晶水を含有しない(3000〜4000cm−1にHO吸収バンドが、存在しないことから分かるように)ので、無水の適用にも適していることを示唆する。
【0111】
照射架橋
シリコン(Si)ウエハーを、10×10mm四方に切って、多価電解質の基板への接着力を良くするために、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS、Aldrich)で処理した。通常の手順で、Siウェハーをアセトン、イソプロパノール及び酸素プラズマ(250W,5分間)で前洗浄し、2.5mMのAPSヘキサン溶液で窒素雰囲気下に3時間還流して処理した。次いで、このウエハーをヘキサンで3回洗浄して、120℃で10分間処理した。
【0112】
架橋効率を評価するために、ポリマー溶液を選択した架橋剤及びスピンキャストと共に、クリーンな無処理のSiウエハー又はAPS処理したSiウェハーの上で形成して、50〜200nmの厚さのフィルムを得た。次いで、このフィルムを窒素グローブボックスへ移し、乾燥した後、同じくこのグローブボックス中で、低圧Hgランプ(1mWcm−2)からの254nmのDUVに曝露した。次いで、露光したフィルムを150℃で1〜2分間処理して、基板に対する接着力を改善し、そして適切な溶媒(通常は、HO、MeOH又はi−PrOH−HO混合物)で現像した。
【0113】
本発明は、詳細な説明と共に記載されているが、上記の説明は本発明を明らかにするためであり、決して発明の範囲を限定するのではないということを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
本発明を、添付の図面を参照して更に詳細に記載する。
【図1】図1は、(四角形)MeOH溶液から堆積し、光架橋し、そしてHOで現像した、PSSH(M=530k)と化合物I;(ダイアモンド形)HOから堆積し、HOで現像した、PSSHと化合物V;(直立三角形)HOから堆積し、MeOHで現像した、PSSNa(M=70k)と化合物V;(逆三角形)HOから堆積し、i−PrOH−HO(3:1)で現像した、PDAMCl(M=400k)と化合物V;(円形)HOから堆積し、HOで現像した、PEDT:PSSTMA導電多価電解質複合体と化合物V:についての正規化フィルム厚の保持率である。 フィルム厚は、50〜200nmの範囲で開始した。フィルム厚は、現像の前後に、表面形状測定又は偏光解析法によって測定した。一般に、架橋剤の適当な濃度を用いたフィルムは、クリーンな無処理の又はAPS処理したSiウェハー上にスピンキャストし、100℃で5分間(PSSH及びPEDT:PSSTMA)又はより強く130℃で20分間(PSSNa及びPDAMCl)にてグローブボックス内で乾燥し、窒素中で254nmのDUV(約1mWcm−2、3〜5分間)に曝露し、そして然るべく現像した。典型的なエラーバーを示してある。
【図2】図2は、最初に水−メタノール溶液から堆積し、窒素中でシャドーマスクを通して254nmのDUVに曝露し、そしてi−PrOH−HO(容量比1:1)で現像した、シャドーマスクで光画像形成された厚さ60nmのPEDT:PSSH導電ポリマー薄フィルムの光学顕微鏡写真(500×500μm)である。上手な光誘導の架橋で、厚さが数十nmから数百nmのフィルムが得られる。
【図3】図3は、純粋Siウェファー上の10wt%の架橋剤Vを有するPSSNa薄フイルムの露光の前(上部のスペクトル)及び後(下部の2つのスペクトル)の−log(透過率)FTIRスペクトルである。露光後のスペクトルは、上部のスペクトルと異なるスペクトルとして現れている((i)は、254nmのDUVで30mJcm−2を曝露し、そして(ii)は、150mJcm−2を曝露した)。これらのデータは、光反応生成物を同定するバンドの、明確な発生を示している。全てのFTIRスペクトルは、Nパージのチャンバー中で得た。
【図4】図4は、3μMのNaCl、次いで3mMのNaCl、3mMのKCl、1mMのHCl及び最後に3mMのNaClと各10秒間接触させた場合の前後の、光架橋した60nmのPSSHフィルムのXPSスペクトルである。この実験は、HOに対する架橋フィルムの安定性(あるいは、フィルムを急速に溶解しないこと)及び可逆性のイオン交換の可能性を明らかにする。明確にするために、NaCl及びKCl値の画分に、白丸及び黒四角を印す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化001】

(式中、ArZは、1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基を包含し;そして
Rは、1つ又はそれ以上のイオン性基を包含する)
で表される少なくとも1つの極性溶媒に溶解する架橋化合物。
【請求項2】
前記極性溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる、請求項1に記載の架橋化合物。
【請求項3】
1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基が、2つのフッ素化芳香族化合物(fluorinated aromatics)を包含する、請求項1に記載の架橋化合物。
【請求項4】
2つのフッ素化芳香族化合物に結合しているリンカーを更に包含する、請求項3に記載の架橋化合物。
【請求項5】
1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基の各々が、フッ素化フェニル及びフッ素化ナフチルよりなる群から、それぞれ独立して選ばれる、請求項1に記載の架橋化合物。
【請求項6】
1つ又はそれ以上のフッ素化芳香族基の各々が、アジド基に対してオルト位にフッ素原子を有する、請求項5に記載の架橋化合物。
【請求項7】
2つのフッ素化芳香族化合物が,フッ素化フェニルである、請求項3に記載の架橋化合物。
【請求項8】
前記イオン性基が、酸基、カチオン基、塩基性基及びアニオン基よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の架橋化合物。
【請求項9】
前記イオン性基が、スルホン酸、リン酸、カルボン酸よりなる群から選ばれる酸基である、請求項8に記載の架橋化合物。
【請求項10】
前記イオン基が、4級アンモニウム基及びピリジニウム基よりなる群から選ばれるカチオン基である、請求項8に記載の架橋化合物。
【請求項11】
前記イオン基が、アミンからなる基から選ばれる塩基性基である、請求項8に記載の架橋化合物。
【請求項12】
前記イオン基が、スルホネート、ホスホネート及びカルボキシレートよりなる群から選ばれるアニオン基である、請求項8に記載の架橋化合物。
【請求項13】
前記リンカーが、電子吸引性基によって2つのフッ素化芳香族化合物のそれぞれに結合している、請求項4に記載の架橋化合物。
【請求項14】
前記電子吸引性基が、カルボニル、エステル及びアミドよりなる群から選ばれる、請求項13に記載の架橋化合物。
【請求項15】
前記リンカーが、C〜Cアルキレン、シクロへキシレン及びアルキリデンよりなる群から選ばれる、請求項4に記載の架橋化合物。
【請求項16】
前記イオン性基が、リンカーに結合している、請求項4に記載の架橋化合物。
【請求項17】
吸収バンドが、250nm〜450nmの範囲上に生じる、請求項1に記載の架橋化合物。
【請求項18】
式(2):
【化002】

(式中のXは、I、PF、BF、ClO及びCFCOOよりなる群から選ばれる)
で表される、請求項1に記載の架橋化合物。
【請求項19】
架橋化合物の濃度が、ポリマーの0.1%〜20%(w/w)の範囲である、ポリマー及び請求項1に記載の架橋化合物を包含する混合物。
【請求項20】
架橋化合物の濃度が、0.1%〜5.0%の範囲である、請求項19に記載の架橋化合物。
【請求項21】
前記ポリマーが、1つ又はそれ以上の極性溶媒に溶解するポリマーよりなる群から選ばれる、請求項19に記載の混合物。
【請求項22】
前記極性溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる、請求項21に記載の混合物。
【請求項23】
前記ポリマーが、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホン酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(ポリスチレンスルホン酸)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(ポリスチレンスルホン酸塩)よりなる群から選ばれる、請求項21に記載の混合物。
【請求項24】
(i)請求項1に記載の架橋化合物を、相性のよい溶媒中で請求項23に記載のポリマーに加え、溶液にすること、そして
(11)基板の上に溶液から得られるフィルムを堆積させること、そして
(iii)100℃〜130℃の範囲の温度で、フィルムをソフトに処理すること、そして
(iv)フィルムを光架橋して、不溶性の架橋ポリマーを形成すること、
の各工程を含む、ポリマーを架橋する方法。
【請求項25】
(i)ポリマー及び請求項1に記載の架橋化合物を包含する溶液から得られるフィルムを、基板の上に堆積させること、そして
(ii)100℃〜130℃の範囲の温度で、フィルムをソフトに処理すること、そして
(iii)工程(ii)のフィルムを全体的に光架橋して、不溶性の架橋ポリマーを形成すること、
の各工程を含む、デバイスを形成する方法。
【請求項26】
工程(ii)が、100ppm以下の湿気及び酸素を有する不活性雰囲気下でソフトに処理することを包含する、請求項25に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項27】
工程(iii)が、工程(ii)の溶液を、不活性雰囲気下で250nm〜450nmの範囲の波長を有する照射に曝露することを包含する、請求項25に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項28】
(i)ポリマー及び請求項1に記載の架橋化合物を包含する溶液から得られるフィルムを、基板の上に堆積させること、そして
(ii)100℃〜130℃の範囲の温度で、フィルムをソフトに処理すること、そして
(iii)工程(ii)で堆積されたフィルムを、パターンマスクを通して光架橋して、不溶性の架橋ポリマーを形成すること、そして
(iv)工程(iii)のポリマーを現像すること:
の各工程を含む、デバイスを形成する方法。
【請求項29】
工程(ii)が、100ppm以下の湿気及び酸素を有する不活性雰囲気下でソフトに処理することを包含する、請求項28に記載のデバイスを形成する方法。
【請求項30】
工程(iii)が、フォトマスクを通して、不活性雰囲気下で250nm〜450nmの波長を有する深紫外線(DUV;Deep UV)の照射に曝露することを包含する、請求項28に記載のポリマーを形成する方法。
【請求項31】
デバイスが、有機半導体デバイスである、請求項25に記載の方法で得られる少なくとも1つの層を包含するデバイス。
【請求項32】
デバイスが、有機化学センサー及びアクチュエータである、請求項25に記載の方法で得られる少なくとも1つの層を包含するデバイス。
【請求項33】
デバイスが、有機半導体デバイスである、請求項28に記載の方法で得られる少なくとも1つの層を包含するデバイス。
【請求項34】
デバイスが、有機化学センサー及びアクチュエータである、請求項28に記載の方法で得られる少なくとも1つの層を包含するデバイス。
【請求項35】
層が、低仕事関数の導電性ポリマーである、請求項25又は請求項28に記載の方法で得られる少なくとも1つの層を包含するデバイス。
【請求項36】
請求項25及び28に記載の何れか1つの方法で得られるデバイスの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−500407(P2009−500407A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520223(P2008−520223)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000186
【国際公開番号】WO2007/004995
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(304038747)ナショナル ユニバーシティー オブ シンガポール (10)
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL UNIVERSITY OF SINGAPORE
【住所又は居所原語表記】10 Kent Ridge Crescent, Singapore 119260
【Fターム(参考)】