説明

照射線量確認システム及び照射線量確認方法

【課題】荷電粒子ビームの線量分布の確認を実照射前のみならず、実照射中あるいは実照射後にも行うことのできる照射線量確認システムを提供する。
【解決手段】粒子加速器から輸送されてきた荷電粒子ビームBの進行方向に対する深さ方向Z及び当該進行方向と直交する平面上の横方向Xと縦方向Yとで定義される三次元照射野を、深さ方向において複数の階層に分けた照射階層ごとに荷電粒子ビームBを照射する粒子線照射装置2の照射線量を確認するための照射線量確認システム1であって、照射階層の深さに関する深さ情報と、荷電粒子ビームBの二次元分布に関する二次元分布情報及び線量に関する線量情報とから、三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成し、予め設定された計画線量分布における線量と合致するか確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子加速器から輸送されてきた荷電粒子ビームを照射する粒子線照射装置の照射野における線量分布を確認するための照射線量確認システム及び照射線量確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の荷電粒子ビームの線量分布の確認方法を説明する概念図である。図4に示すように、粒子加速器から輸送されてきた荷電粒子ビームBは、走査電磁石100の磁界によって当該荷電粒子ビームBの進行方向に対して横方向及び縦方向に任意に曲げられ、かつ、レンジシフタ200によって照射深さが制御されて被照射体に照射される。そして、荷電粒子ビームBの線量は水カラム300内の測定器400によって測定されている。
【0003】
従来は、荷電粒子ビームBを被照射体に実際に照射する(以下、実照射という。)前に、図4に示すようにして測定器400を用いて確認していた。具体的には、水の入った水カラム300を被照射体に見立ててこれをベッドの上に載置し、かかる水カラム300内に測定器400を配置して任意の測定位置m,m+1・・・m+k(なお、kは任意の数を示す。)に移動させつつ、各測定位置における線量を測定することを測定位置の数だけ繰り返して行うことで、予め設定された計画線量通りの線量分布で荷電粒子ビームBの照射を行うことができるか確認していた。このような荷電粒子ビームの線量分布の確認方法は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−64530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の荷電粒子ビームの線量分布の確認方法では、線量分布の確認を測定位置の数m+kだけ繰り返して行わなければならないために、多大な時間と労力が必要となる。また、被照射体に実照射した荷電粒子ビームの線量を測定することができないために、実照射した荷電粒子ビームの線量を実照射中あるいは実照射後に確認することができなかった。
【0006】
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、荷電粒子ビームの線量分布の確認を実照射前のみならず、実照射中あるいは実照射後にも行うことのできる照射線量確認システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕前記課題を解決した本発明に係る照射線量確認システムは、粒子加速器から輸送されてきた荷電粒子ビームの進行方向に対する深さ方向及び当該進行方向と直交する平面上の横方向と縦方向とで定義される三次元照射野を、前記深さ方向において複数の階層に分けた照射階層ごとに前記荷電粒子ビームを照射する粒子線照射装置の照射線量を確認するための照射線量確認システムであって、前記照射階層の深さに関する深さ情報と、前記平面上における前記荷電粒子ビームの二次元分布に関する二次元分布情報及び前記平面上における前記荷電粒子ビームの線量に関する線量情報とから、前記三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成し、予め設定された計画線量分布における線量と合致するか確認することを特徴としている。
【0008】
このように、深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とから、三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成し、予め設定された計画線量分布における線量と合致するか随時確認することができるので、荷電粒子ビームの線量分布を実照射前に確認できるだけでなく、荷電粒子ビームの実照射中あるいは実照射後にも線量分布の確認を行うことができる。
【0009】
〔2〕本発明においては、前記粒子線照射装置と接続された制御手段と、前記制御手段から送信された前記照射階層を指定する階層信号を受けて、前記粒子線照射装置から照射する前記荷電粒子ビームを所定の照射階層の深さに照射させるとともに、当該照射階層の深さを前記深さ情報として前記制御手段に送信する階層指定手段と、前記荷電粒子ビームの二次元分布と線量を測定し、前記二次元分布情報及び前記線量情報として制御手段へ送信する二次元線量分布測定手段と、を備え、前記階層指定手段から受信した前記深さ情報と、前記二次元線量分布測定手段から受信した前記二次元分布情報及び前記線量情報とから、前記三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成する生成手段と、前記三次元照射野線量分布データと、予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか確認する確認手段と、を有するのが好ましい。
【0010】
このように、制御手段が有する生成手段によって随時三次元照射野線量分布データを生成し、さらに確認手段によって三次元照射野線量分布データと予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか随時確認することができるので、荷電粒子ビームの線量分布を実照射前に確認できるだけでなく、実照射中あるいは実照射後にも確認することができる。
【0011】
〔3〕本発明においては、前記荷電粒子ビームの進行上の所定位置に備えられ、一定の照射時間内における前記荷電粒子ビームの線量の積算値を測定して測定積算値として得ることのできる線量モニタを有し、前記二次元線量分布測定手段による各照射階層における測定感度が非線形をなす場合は、前記生成手段が、前記測定積算値と、前記線量情報とを比較して各照射階層に対する照射強度を算出し、算出した前記照射強度を重畳して前記三次元照射野線量分布データを生成するのが好ましい。
【0012】
このようにすれば、二次元線量分布測定手段によって測定された線量の測定感度が非線形となる場合であっても、専ら線量を測定するために用いられる線量モニタによって線量を測定し、生成手段で三次元照射野線量分布データを生成する際にこれを重畳するため、より高い精度で荷電粒子ビームの線量分布を実照射前に確認できるだけでなく、実照射中あるいは実照射後にも確認することができる。
【0013】
〔4〕本発明においては、前記確認手段が、前記線量情報又は前記測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量と、の大小関係を確認するのが好ましく、〔5〕前記確認手段において、前記線量情報又は前記測定積算値が前記計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合は、前記制御手段が前記粒子線照射装置による前記荷電粒子ビームの実照射を中止させる中止手段を有するのが好ましい。
【0014】
このようにすれば、確認手段によって、二次元線量分布測定手段で測定した線量情報、又は線量モニタで測定した測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量との大小関係を確認することができる。そして、これらの線量が、計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合は、制御手段が有する中止手段によって、粒子線照射装置による荷電粒子ビームの実照射を中止することができるので、被照射体に対する安全性をより高めることができる。
【0015】
〔6〕本発明においては、前記二次元線量分布測定手段が、前記荷電粒子ビームの軌道上に配置され、前記荷電粒子ビームによって励起されて蛍光を発する蛍光層を表面に形成した酢酸セルロース製の薄膜体と、当該薄膜体から所定距離離間して設けられ、当該薄膜体を撮影する撮影カメラと、を含んでなるのが好ましい。
【0016】
このようにすれば、荷電粒子ビームが表面に蛍光層が形成された酢酸セルロース製の薄膜体を通過するときに、この蛍光層が発する蛍光を撮影カメラで撮影するだけであるので、荷電粒子ビームの状態を殆ど破壊しない所謂準非破壊型モニタとすることができる。したがって、従来のモニタのように荷電粒子ビームの状態を大きく破壊したりせず、被照射体への荷電粒子ビームの実照射を正確に行うことができるとともに、リアルタイムで測定することが可能となる。
【0017】
〔7〕また、本発明に係る照射線量確認方法は、〔1〕に記載の照射線量確認システムを用いた照射線量確認方法であって、前記深さ情報と、前記二次元分布情報及び前記線量情報とを取得して、前記三次元照射野線量分布データを生成し、前記計画線量分布における線量と合致するか確認することを特徴としている。
【0018】
このように、深さ情報と、平面上における荷電粒子ビームの二次元分布情報及び平面上における荷電粒子ビームの線量情報とから、三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成し、予め設定された計画線量分布における線量と合致するか随時確認することができるので、荷電粒子ビームの線量分布を実照射前に確認できるだけでなく、荷電粒子ビームの実照射中あるいは実照射後にも線量分布の確認を行うことができる。
【0019】
〔8〕本発明においては、〔2〕に記載の照射線量確認システムを用いた照射線量確認方法であって、前記深さ情報と、前記二次元分布情報及び前記線量情報とを、前記制御手段が受信する受信ステップと、前記生成手段が、前記深さ情報と、前記二次元分布情報及び前記線量情報とから、前記三次元照射野線量分布データを生成する生成ステップと、前記三次元照射野線量分布データと、予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか確認する確認ステップと、を含むのが好ましい。
【0020】
このように、受信ステップで受信した深さ情報と、二次元分布情報と、線量情報とから、生成ステップによって三次元照射野線量分布データを生成することができ、これを確認ステップにより、予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか随時確認することができるので、荷電粒子ビームの線量分布を実照射前に確認できるだけでなく、実照射中あるいは実照射後にも確認することができる。
【0021】
〔9〕本発明においては、前記荷電粒子ビームの進行上の所定位置に備えられ、一定の照射時間内における前記荷電粒子ビームの線量の積算値を測定して測定積算値として得ることのできる線量モニタを有し、前記二次元線量分布測定手段による各照射階層における測定感度が非線形をなす場合は、前記測定積算値と、前記線量情報とを比較して各照射階層に対する照射強度を算出し、算出した前記照射強度を重畳して前記三次元照射野線量分布データを生成する生成ステップを含むのが好ましい。
【0022】
このようにすれば、二次元線量分布測定手段によって測定された線量の測定感度が非線形となる場合であっても、専ら線量を測定するために用いられる線量モニタによって線量を測定し、生成ステップで三次元照射野線量分布データを生成する際にこれを重畳するため、より高い精度で荷電粒子ビームの線量分布を実照射前に確認できるだけでなく、実照射中あるいは実照射後にも確認することができる。
【0023】
〔10〕本発明においては、前記確認ステップが、前記線量情報又は前記測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量と、の大小関係を確認するのが好ましく、〔11〕前記確認ステップにおいて、前記線量情報又は前記測定積算値が前記計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合は、前記制御手段が前記粒子線照射装置による前記荷電粒子ビームの実照射を中止させる中止ステップをさらに含むのが好ましい。
【0024】
このようにすれば、確認ステップによって、二次元線量分布測定手段で測定した線量情報、又は線量モニタで測定した測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量との大小関係を確認することが可能となる。そして、これらの線量が、計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合は、中止ステップによって、制御手段が粒子線照射装置による荷電粒子ビームの実照射を中止することができるので、被照射体に対する安全性をより高めることができる。
【0025】
〔12〕本発明においては、前記二次元線量分布測定手段が、前記荷電粒子ビームの軌道上に配置され、前記荷電粒子ビームによって励起されて蛍光を発する蛍光層を表面に形成した酢酸セルロース製の薄膜体と、当該薄膜体から所定距離離間して設けられ、当該薄膜体を撮影する撮影カメラと、を含んでなるのが好ましい。
【0026】
このようにすれば、荷電粒子ビームが表面に蛍光層が形成された酢酸セルロース製の薄膜体を通過するときに、この蛍光層が発する蛍光を撮影カメラで撮影するだけであるので、荷電粒子ビームの状態を殆ど破壊しない所謂準非破壊型モニタとすることができる。したがって、従来のモニタのように荷電粒子ビームの状態を大きく破壊せず、被照射体への荷電粒子ビームの実照射を正確に行うことができるとともに、リアルタイムで測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の照射線量確認システムによれば、深さ情報と、荷電粒子ビームの二次元分布情報及び荷電粒子ビームの線量情報とから、三次元照射野線量分布データを生成し、この三次元照射野線量分布データと予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか確認することができるので、被照射体に実照射した荷電粒子ビームの線量分布をリアルタイムで監視することや、これを記憶しておけば事後的に確認することが可能となる。
また、確認手段において二次元線量分布測定手段で測定した線量情報、又は線量モニタで測定した測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量との大小関係を確認し、これらの線量が予め設定されていた計画線量分布における線量よりも大きくなるような異常な状態となったときに、荷電粒子ビームの照射を即座に中止することが可能となる。
【0028】
本発明の照射線量確認方法によれば、深さ情報と、荷電粒子ビームの二次元分布情報及び荷電粒子ビームの線量情報とから、三次元照射野線量分布データを生成し、予め設定された計画線量分布における線量と合致するか確認することができるので、被照射体に実照射した荷電粒子ビームの線量分布をリアルタイムで監視することや、これを記憶しておけば事後的に確認することが可能となる。
また、確認ステップや中止ステップを有すれば、実照射している荷電粒子ビームの線量分布が予め設定されていた計画線量分布における線量よりも大きくなるような異常な状態となったときに、荷電粒子ビームの照射を即座に中止することが可能となる。
【0029】
本発明に係る照射線量確認システム及び照射線量確認方法によれば、水ファントムを使用することにより、荷電粒子ビームの線量分布を実照射前に確認できるだけでなく、被照射体への荷電粒子ビームの実照射中、あるいは被照射体への荷電粒子ビームの実照射後にも、被照射体に実照射した荷電粒子ビームの線量分布の確認を行うことができる。そのため、従来よりも粒子線治療に関する品質保証(Quality Assurance)を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、適宜図面を参照して本発明に係る照射線量確認システム及び照射線量確認方法について詳細に説明する。
まず、図1を参照して本発明に係る照射線量確認システムについて説明する。なお、図1は、本発明に係る照射線量確認システムの一構成例を示す概略図である。ここで、図1において縦方向Yは紙面に直交する方向である。
【0031】
本発明に係る照射線量確認システム1は、図示しない粒子加速器から輸送されてきた荷電粒子ビームBの進行方向に対する深さ方向Z及び当該進行方向と直交する平面上の横方向Xと縦方向Yとで定義される三次元照射野を、深さ方向Zにおいて複数の階層に分けた照射階層ごとに荷電粒子ビームBを照射する粒子線照射装置2の照射線量を確認するための照射線量確認システムである。
【0032】
つまり、本発明の照射線量確認システム1は、横方向X、縦方向Y及び深さ方向Zにそれぞれ任意の大きさで設定される三次元の照射野を、深さ方向Zに複数の照射階層に分割して、各照射階層を二次元の照射野として捉える。
具体的には、各照射階層における荷電粒子ビームBの分布と線量をそれぞれ、平面上における荷電粒子ビームBの二次元分布に関する情報を二次元分布情報として捉え、平面上における荷電粒子ビームBの線量に関する情報を線量情報として捉える。また、複数の照射階層に分割した深さに関する情報を深さ情報として捉える。そして、二次元分布情報と線量情報とを、深さ情報に基いて順次積層することによって三次元照射野における照射線量を確認するものである。
かかる形式の粒子線照射装置としては、例えば、ラスタスキャニング法やスポットスキャニング法などのスキャニング照射法を実施する粒子線照射装置や、積層原体照射法を実施する粒子線照射装置などがある。
【0033】
図1に例示するように、本発明に係る照射線量確認システム1は、粒子線照射装置2と接続された制御手段3と、走査電磁石4と、荷電粒子ビームBが照射される被照射体Pを載置するベッド5とを備えている。そして、照射階層を指定する階層信号を受けて、粒子線照射装置2から照射する荷電粒子ビームBを所定の照射階層の深さに照射させるとともに、当該照射階層の深さを深さ情報として制御手段3に送信する階層指定手段6と、荷電粒子ビームBの二次元分布と線量を測定し、二次元分布情報及び線量情報として制御手段3へ送信する二次元線量分布測定手段7と、を備えている。
【0034】
なお、走査電磁石4とベッド5の間に備えられる階層指定手段6と二次元線量分布測定手段7の設置順序は、前記したものに限定されるものではなく、これらの順序を相互に入れ換えてもよい。例えば、走査電磁石4から二次元線量分布測定手段7、階層指定手段6の順序で設置してもよい。
【0035】
階層指定手段6としては、例えば、種々の厚さの減衰板を組み合わせて用いることによって、被照射体Pの体内における荷電粒子ビームBの飛程を調整するレンジシフタを用いることができる。また例えば、粒子加速器から粒子線照射装置に供給される荷電粒子ビームBのエネルギーを変化させる手段を用いることができる。つまり、粒子加速器で荷電粒子ビームBの加速具合を調節することで、供給する荷電粒子ビームBの到達する深さを変化させることができる。
なお、荷電粒子ビームBの照射深さや階層の数は、粒子線照射装置2の種類、性能、予め設定される計画線量によって適宜に設定するのが好ましい。
【0036】
二次元線量分布測定手段7としては、例えば、荷電粒子ビームBの軌道上に配置され、この荷電粒子ビームBによって励起されて蛍光を発する蛍光層71を表面に形成した酢酸セルロース製の薄膜体72と、当該薄膜体72から所定距離離間して設けられ、当該薄膜体72を撮影する撮影カメラ73と、を含んでなる、所謂準非破壊型モニタを用いるのが好ましい。このような二次元線量分布測定手段7とすれば、荷電粒子ビームBによって励起された蛍光層71が蛍光を発するようになるので、蛍光している様子をビデオカメラなどの撮影カメラ73で撮影するだけで荷電粒子ビームBの分布や位置を測定することができる。
【0037】
ここで、前記した薄膜体72と蛍光層71の厚さは、例えば、これらの水等価厚の合計を30μmから60μm程度にするとよい。蛍光層71は、例えば、硫化物系蛍光体、具体的には、硫化亜鉛・銀(ZnS:Ag)を用いることができる。このようにすれば、荷電粒子ビームBの分布や位置を確認する際に蛍光層71と薄膜体72を通過するだけであり、かつ、その水等価厚が非常に薄いので、荷電粒子ビームBの状態を殆ど破壊することなく、横方向X及び縦方向Yで定義される二次元の分布位置を測定することができる。
なお、本発明の照射線量確認システム1で用いることのできる二次元線量分布測定手段7は、前記したものに限定されるものではなく、例えば、電離箱を正方格子状に並べた二次元電離箱アレイやイメージングプレート、EPID(Electronic Portal Imaging Device)、フラットパネルセンサ、放射線検出用フィルムなどの準非破壊型モニタも用いることができる。
【0038】
なお、本発明においては、荷電粒子ビームBの進行上の所定位置に備えられ、一定の照射時間内における荷電粒子ビームBの線量の積算値を測定して測定積算値として得ることのできる線量モニタ(図示せず)を有しているのが好ましい。このような線量モニタを有していれば、二次元線量分布測定手段7によって測定される各照射階層における測定感度が非線形をなすような場合であっても、当該線量モニタによって測定された測定積算値得ることができるので、後記するように制御手段3によって、より高い精度で荷電粒子ビームBの線量分布を確認することができる。
【0039】
線量モニタは、荷電粒子ビームBを一定時間測定し、その線量を積算して測定積算値として得ることができるものであればよく、従来公知のものを用いることができる。かかる線量モニタとしては、例えば、電離箱、比例計数管、GM計数管、シンチレーション検出器、半導体検出器などを用いることができるが、中でも荷電粒子ビームBの状態を破壊しにくい電離箱を用いるのが好ましい。
【0040】
そして、粒子線照射装置2と接続された制御手段3は、少なくとも、生成手段31と、確認手段32とを備えており、好ましくは、中止手段33を備えている。
【0041】
生成手段31は、階層指定手段6から受信した深さ情報と、二次元線量分布測定手段7から受信した二次元分布情報及び線量情報とから、三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成する。このようにして生成された三次元照射野線量分布データは、後記するように、例えば、座標の形式で表すこともできるし、座標の形式で表された三次元照射野線量分布データを、制御手段3を用いて立体的に表示するなどして画像化や映像化等することもできる。なお、線量情報としては、例えば、吸収線量グレイ(Gy)などを挙げることができる。
【0042】
そして、確認手段32は、生成手段31で生成された三次元照射野線量分布データと、予め設定された計画線量分布における線量とが合致するかを確認する。これは例えば、三次元照射野線量分布データと、予め設定された計画線量分布のデータとを同じ形式で表しておくことにより容易に比較し、確認することができる。
【0043】
三次元照射野線量分布データや計画線量分布のデータにおける、位置に関する情報は、例えば、横方向X、縦方向Y及び深さ方向Zで表される座標の形式で表すことができる。例えば、(xn,yn,zn),(xn+1,yn+1,zn+1)・・・(xn+k,yn+k,zn+k)などとして特定することができる。ここで、x,y,zはそれぞれ横方向X、縦方向Y及び深さ方向Zにおける位置、すなわち座標成分を示し、n及びkは横方向X、縦方向Y及び深さ方向Zの座標を整合させるための任意の数を示す。なお、このような座標の形式による場合、座標の基準は適宜設定することができるが、例えば、被照射体Pを乗せるベッド5の特定位置からの横方向X、縦方向Y、深さ方向Zにおける距離(例えば、ミリメートル)や、スポットスキャニング法を実施する粒子線照射装置2を用いる場合は、当該粒子線照射装置2において予め設定されているものを基準とすることができる。
【0044】
そして、三次元照射野線量分布データや計画線量分布のデータにおける、線量に関する情報は、三次元照射野線量分布データや計画線量分布のデータにおいて特定される位置に対応付けられる形で表すことができる。例えば(xn,yn,zn,Sn),(xn+1,yn+1,zn+1,Sn+1)・・・(xn+k,yn+k,zn+k,Sn+k)などとして表すことができる。なお、x,y,z,n及びkは前記と同義であり、Sは線量情報などの線量に関する情報を示す。
【0045】
また、確認手段32は、二次元線量分布測定手段7で測定した線量情報、又は線量モニタで測定した測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量との大小関係を確認することもできる。
例えば、確認手段32による確認は、前記したような座標の形式で特定される位置における線量情報又は測定積算値と、座標の形式で予め設定された計画線量分布における特定の位置及び計画線量における線量との大小関係を比較することによって行うことができる。
このような大小関係の確認は、制御手段3が線量情報及び/又は測定積算値を受信し、線量情報及び/又は測定積算値と計画線量における線量とを比較することができる状態になった後、なるべく早く行うようにするのが好ましい。後記する中止手段33を併用することにより、異常線量の荷電粒子ビームBの照射を即座に中止することができるようになり、被照射体Pに対する安全性をより高めることが可能になるからである。
【0046】
中止手段33は、前記した確認手段32において、線量情報又は測定積算値が計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合に制御手段3が粒子線照射装置2による荷電粒子ビームBの実照射を中止させるものである。
かかる中止手段33としては、例えば、線量情報又は測定積算値が計画線量分布における線量よりも大きくなった場合に、図示しない粒子加速器からの荷電粒子ビームBの供給を中止するよう命令する機能をプログラムに備えておくことや、荷電粒子ビームBの輸送ライン上に設けられたインターロック用の遮蔽板(図示せず)を作動させて荷電粒子ビームBを遮蔽させることなどを挙げることができる。
【0047】
前記した各手段を備えた制御手段3は、各種のデータやプログラムを記憶することのできる記憶手段(図示せず)と、記憶手段に記憶されたプログラムを読み込み、解釈し、その結果に従ってデータの移動や加工を行うCPU(図示せず)等を備えた汎用のコンピュータを用いることができる。
前記した生成手段31、確認手段32や中止手段33などは、例えば、前記した記憶手段にプログラムとして記憶され、必要に応じて順次読み出されて実行されることにより具現化される。
【0048】
本発明に係る照射線量確認システム1は、さらに、バックグラウンドのノイズを除去するバックグラウンド補正手段(図示せず)や画像の歪みを補正するフラットフィールド補正手段(図示せず)、その他必要に応じて各手段における座標を変換する座標変換手段(図示せず)などを備えているのが好ましい。これらを備えれば、より適切な三次元の線量分布を作成することが可能となる。
【0049】
次に、図2を参照して本発明に係る照射線量確認方法について説明する。なお、図2(a)は、本発明の一実施形態に係る照射線量確認方法のフローを説明するフローチャートであり、(b)は、本発明のより好ましい実施形態に係る照射線量確認方法のフローを説明するフローチャートである。以下の説明において、既に説明した内容と重複する事項については同一の符号を付して表すとともに重複する説明については省略する。
【0050】
図2(a)に示すように、本発明に係る照射線量確認方法は、前記した本発明に係る照射線量確認システム1を用いた照射線量確認方法であって、深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とを取得して三次元照射野線量分布データを生成し、計画線量分布における線量と合致するか確認することにより行われる。具体的には、受信ステップS1と、生成ステップS2と、確認ステップS3とを含んでなる。
【0051】
受信ステップS1は、深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とを制御手段3が受信するステップである。
ここで、受信ステップS1において、深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とを制御手段3が受信する順序は、前記した順序に限定されるものではない。本発明においては、これらの情報を得ることができれば前記した順序を適宜に入れ換えてもよいことはいうまでもない。例えば、二次元分布情報及び線量情報を先に受信し、深さ情報を後に受信してもよい。
【0052】
続く生成ステップS2は、制御手段3が有する生成手段31が、深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とから、実照射された荷電粒子ビームBの三次元照射野における分布や線量を表す三次元照射野線量分布データを生成するステップである。
【0053】
なお、前記した線量モニタを有している場合であって、二次元線量分布測定手段7による各照射階層における測定感度が非線形をなすような場合は、制御手段3が有する生成手段31が、線量モニタによって測定された測定積算値と、線量情報とを比較して各照射階層に対する照射強度を算出し、算出した照射強度を重畳して三次元照射野線量分布データを生成するようにするのが好ましい。前述したように、より高い精度で荷電粒子ビームBの線量分布を確認することができるようになるからである。
【0054】
生成ステップS2においては、三次元照射野線量分布データの生成前又は生成後に、バックグラウンド補正手段によってバックグラウンドのノイズを除去したり、フラットフィールド補正手段によって画像の歪みを補正したりするのがよい。
【0055】
図3(a)〜(d)に、受信ステップS1で受信された深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とに基づいて、生成ステップS2で生成することのできる画像を例示する。
図3(a)は、生成ステップS2によって二次元分布情報を画像化したものである。図3(b)は、(a)の画像をフラットフィールド補正手段によって画像の歪みを補正したものである。図3(c)は、生成ステップS2によって(b)の画像に線量情報を積算した画像である。そして、図3(d)は、生成ステップS2によって深さ情報を与えて得られた三次元照射野線量分布データを画像化したものである。
【0056】
ここで、実照射された荷電粒子ビームBの確認をリアルタイムで行いたい場合、この生成ステップS2は、実照射された荷電粒子ビームBの深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とが得られ次第、例えば、一つ一つの座標ごとに逐次前記した三次元照射野線量分布データを生成していき、後記する確認ステップS3もこれに続いて逐次行わせるのが好ましい。なお、より好ましくは、確認ステップS3に引き続いて、後記する中止ステップS4を逐次行わせるのがよい。
【0057】
なお、実照射した荷電粒子ビームBの状態は、生成ステップS2で生成した三次元照射野線量分布データを一時的に記憶手段等に記憶させておき、被照射体Pへの荷電粒子ビームBの実照射の終了後に、かかる三次元照射野線量分布データを基に三次元の照射野のマップを画像化又は映像化等させることにより可視化することが可能である。なお、迅速な処理が必要とされるような場合は、三次元照射野線量分布データを数値データのまま処理していくのが好ましい。
【0058】
続く確認ステップS3は、制御手段3が有する確認手段32が、三次元照射野線量分布データと、予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか確認するステップである。
実照射された荷電粒子ビームBの確認をリアルタイムで行いたい場合、生成ステップS2によって三次元照射野線量分布データが得られ次第、この確認ステップS3を逐次行わせるようにするのが好ましい。
【0059】
さらに、この確認ステップS3は、線量情報又は測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量との大小関係を確認できると好適である。
そして、図2(b)に示すように、確認ステップS3において、線量情報又は測定積算値が計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合(図4のステップS31においてYes)は、中止ステップS4によって、制御手段3が粒子線照射装置2による荷電粒子ビームBの実照射を中止させるようにするのが好ましい。
なお、線量情報又は測定積算値が計画線量分布における線量よりも小さい場合(図4のステップS31においてNo)は、予め設定された計画線量分布に従って、被照射体Pへの荷電粒子ビームBの実照射を引き続いて行い、全ての計画線量分布について荷電粒子ビームBの照射を行った後、終了する。
【0060】
この中止ステップS4も、実照射された荷電粒子ビームBの照射野をリアルタイムで確認する場合に好適に用いられる。つまり、中止ステップS4は、確認ステップS3及びステップS31で線量情報又は測定積算値が計画線量分布における線量よりも大きいと確認され次第、荷電粒子ビームBの実照射を中止する制御を行うのが好ましい。
【0061】
確認ステップS3による確認結果を画像化や映像化等が必要であれば、確認ステップS3で確認された結果を一時的に記憶手段等に記憶させておき、被照射体Pへの荷電粒子ビームBの実照射の終了後に、かかる確認ステップS3で確認された結果を前記した三次元照射野線量分布データの該当する部分に重畳して、又は置き換えて画像化や映像化等させるとよい。
【0062】
なお、本発明に係る照射線量確認方法においても、本発明に係る照射線量確認システム1と同様に、二次元線量分布測定手段7として準非破壊型モニタを用いるのが好ましいことはいうまでもない。
【0063】
以上、本発明に係る照射線量確認システム及び照射線量確認方法について、発明を実施するための最良の形態により詳細に説明したが、本発明の趣旨はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る照射線量確認システムの一構成例を示す概略図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態に係る照射線量確認方法のフローを説明するフローチャートであり、(b)は、本発明のより好ましい実施形態に係る照射線量確認方法のフローを説明するフローチャートである。
【図3】(a)〜(d)は、受信ステップで受信された深さ情報と、二次元分布情報及び線量情報とに基づいて、生成ステップで生成することのできる画像を例示する図である。
【図4】従来の荷電粒子ビームの線量分布の確認方法を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0065】
X 横方向
Y 縦方向
Z 深さ方向
B 荷電粒子ビーム
1 照射線量確認システム
2 粒子線照射装置
3 制御手段
31 生成手段
32 確認手段
33 中止手段
4 走査電磁石
5 ベッド
6 階層指定手段
7 二次元線量分布測定手段
71 蛍光層
72 薄膜体
73 撮影カメラ
S1 受信ステップ
S2 生成ステップ
S3 確認ステップ
S4 中止ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子加速器から輸送されてきた荷電粒子ビームの進行方向に対する深さ方向及び当該進行方向と直交する平面上の横方向と縦方向とで定義される三次元照射野を、前記深さ方向において複数の階層に分けた照射階層ごとに前記荷電粒子ビームを照射する粒子線照射装置の照射線量を確認するための照射線量確認システムであって、
前記照射階層の深さに関する深さ情報と、前記平面上における前記荷電粒子ビームの二次元分布に関する二次元分布情報及び前記平面上における前記荷電粒子ビームの線量に関する線量情報とから、前記三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成し、予め設定された計画線量分布における線量と合致するか確認する
ことを特徴とする照射線量確認システム。
【請求項2】
前記粒子線照射装置と接続された制御手段と、
前記制御手段から送信された前記照射階層を指定する階層信号を受けて、前記粒子線照射装置から照射する前記荷電粒子ビームを所定の照射階層の深さに照射させるとともに、当該照射階層の深さを前記深さ情報として前記制御手段に送信する階層指定手段と、
前記荷電粒子ビームの二次元分布と線量を測定し、前記二次元分布情報及び前記線量情報として制御手段へ送信する二次元線量分布測定手段と、を備え、
前記階層指定手段から受信した前記深さ情報と、前記二次元線量分布測定手段から受信した前記二次元分布情報及び前記線量情報とから、前記三次元照射野における照射線量を表した三次元照射野線量分布データを生成する生成手段と、
前記三次元照射野線量分布データと、予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか確認する確認手段と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の照射線量確認システム。
【請求項3】
前記荷電粒子ビームの進行上の所定位置に備えられ、一定の照射時間内における前記荷電粒子ビームの線量の積算値を測定して測定積算値として得ることのできる線量モニタを有し、
前記二次元線量分布測定手段による各照射階層における測定感度が非線形をなす場合は、
前記生成手段が、前記測定積算値と、前記線量情報とを比較して各照射階層に対する照射強度を算出し、算出した前記照射強度を重畳して前記三次元照射野線量分布データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の照射線量確認システム。
【請求項4】
前記確認手段が、
前記線量情報又は前記測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量と、の大小関係を確認する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の照射線量確認システム。
【請求項5】
前記確認手段において、前記線量情報又は前記測定積算値が前記計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合は、
前記制御手段が前記粒子線照射装置による前記荷電粒子ビームの実照射を中止させる中止手段を有する
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の照射線量確認システム。
【請求項6】
前記二次元線量分布測定手段が、
前記荷電粒子ビームの軌道上に配置され、前記荷電粒子ビームによって励起されて蛍光を発する蛍光層を表面に形成した酢酸セルロース製の薄膜体と、
当該薄膜体から所定距離離間して設けられ、当該薄膜体を撮影する撮影カメラと、
を含んでなることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の照射線量確認システム。
【請求項7】
請求項1に記載の照射線量確認システムを用いた照射線量確認方法であって、
前記深さ情報と、前記二次元分布情報及び前記線量情報とを取得して、前記三次元照射野線量分布データを生成し、前記計画線量分布における線量と合致するか確認する
ことを特徴とする照射線量確認方法。
【請求項8】
請求項2に記載の照射線量確認システムを用いた照射線量確認方法であって、
前記深さ情報と、前記二次元分布情報及び前記線量情報とを、前記制御手段が受信する受信ステップと、
前記生成手段が、前記深さ情報と、前記二次元分布情報及び前記線量情報とから、前記三次元照射野線量分布データを生成する生成ステップと、
前記確認手段が、前記三次元照射野線量分布データと、予め設定された計画線量分布における線量とが合致するか確認する確認ステップと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の照射線量確認方法。
【請求項9】
前記荷電粒子ビームの進行上の所定位置に備えられ、一定の照射時間内における前記荷電粒子ビームの線量の積算値を測定して測定積算値として得ることのできる線量モニタを有し、
前記二次元線量分布測定手段による各照射階層における測定感度が非線形をなす場合は、
前記測定積算値と、前記線量情報とを比較して各照射階層に対する照射強度を算出し、算出した前記照射強度を重畳して前記三次元照射野線量分布データを生成する生成ステップ
を含むことを特徴とする請求項8に記載の照射線量確認方法。
【請求項10】
前記確認ステップが、
前記線量情報又は前記測定積算値と、予め設定された計画線量分布における線量と、の大小関係を確認する
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の照射線量確認方法。
【請求項11】
前記確認ステップにおいて、前記線量情報又は前記測定積算値が前記計画線量分布における線量よりも大きいことが確認された場合は、
前記制御手段が前記粒子線照射装置による前記荷電粒子ビームの実照射を中止させる中止ステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項9から請求項10のいずれか1項に記載の照射線量確認方法。
【請求項12】
前記二次元線量分布測定手段が、
前記荷電粒子ビームの軌道上に配置され、前記荷電粒子ビームによって励起されて蛍光を発する蛍光層を表面に形成した酢酸セルロース製の薄膜体と、
当該薄膜体から所定距離離間して設けられ、当該薄膜体を撮影する撮影カメラと、
を含んでなることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の照射線量確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−32419(P2010−32419A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196333(P2008−196333)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【Fターム(参考)】