説明

照射装置およびその制御装置

【課題】生体内の種々の生物学的構造に的確に影響を及ぼす装置を提供する。
【解決手段】規定の周波数パターンを有する電磁放射線を発生する周波数合成器21を備えた周波数発生器20と、電磁放射線を動作時に照射空間に送出する送信アンテナ50と、標的の生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータIDを取得するインターフェース35,36,40,90と、種々の生物学的構造の規定の共鳴周波数パターンRFMを記憶している周波数パターン記憶ユニット33と、取得された生物学的構造固有のデータIDに基づいて周波数パターン記憶ユニット33から共鳴周波数パターンを選択するための周波数パターン選択ユニット32と、照射空間B内に存在する照射対象Oが選択された共鳴周波数パターンRFMを持つ電磁放射線Sを定められた強さと照射時間で照射されるように周波数発生器20を制御する制御ユニット31とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内の生物学的構造に影響を及ぼすために電磁エネルギーを生体に照射する照射装置に関する。更に、本発明はこのような照射装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
18世紀末のH.Hertzによる電磁波の発見の直後に既に高周波電磁場およびそれによって発生可能な熱誘導を治療に使用することが試みられた。その間の比較的新しい技術は医学分野において非常に大きな可能性があると思われるいわゆる電磁式断層撮影またはマイクロ波断層撮影である。この技術に関して、マルチ周波数照射によって種々の生理学的な組織状態の高速かつ非侵襲の画像化を可能にする分光方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。0.5〜約3GHzの範囲のマイクロ波が使用される。この文献においては、マイクロ波を病気組織のアブレーションに使用することも提案している。レーザを使用する代わりにマイクロ波を照射することによって、取除くべき組織範囲の温度が非常に高められるので、その組織が取除かれる。特別な生物学的構造に対して選択的でない電磁波が使用されるので、電磁エネルギーの作用が定められた標的範囲に幾何学的に限定されない場合、取除くべき組織よりも多くの組織が影響を及ぼされる。従って、周辺の組織を破壊しないためには、取除くべき組織に電磁エネルギーをできるだけ正確に集束させることが必要である。
【0003】
特定の標的の生物学的構造のみに的確に影響を及ぼし、近くにある他の生物学的構造にはほぼ影響を及ぼさなくすることは、標的の生物学的構造に共鳴効果を引き起こさせる特定の周波数もしくは特定の周波数パターンを有する電磁放射線の照射にある。
【0004】
各システムがシステムの固有の自由発振周波数に相当する音響共鳴周波数を有することは基本的に知られている。振動能力のあるシステムが外側から固有周波数とも呼ばれるそのシステムの共鳴周波数により励振させられる場合に、定義に従って共鳴壊滅(resonance catastorophe)という言葉が用いられる。十分な強さで度重なる励振が行なわれると、積算振動力はシステムもしくはシステムの材料が破壊されるほど非常に大きくなり得る。従って、システムは、共鳴周波数の近くか又はそれに等しい非常に狭い周波数帯域において振動する僅かな機械的または音響的な力によって励振され、それによって標的の生物学的構造に共鳴が誘起され、この共鳴は標的構造に対して破壊に至るほどの強い影響を有する。同様のことは、振動回路の共鳴周波数の範囲における場形成または電流形成によってインピーダンスが零になり、それにより僅かな入力エネルギーでも理論的に理想の場合には無限の大きさの電流スパイクが発生される電磁振動回路に当てはまる。
【0005】
音響共鳴および/または音響−電磁共鳴を用いた生物学的構造の選択的検出、識別および/または影響のための方法論は既に文献に詳細に開示されている(例えば、特許文献2参照)。この文献には、特に、共鳴状態にある生物学的構造内のエネルギーは非常に急速に増大し、このエネルギーは生物学的構造内にとどまるか音響的および/または電磁的なエネルギーの形で周辺に再び送出されることも記載されている。生物学的構造内にとどまるエネルギーは生物学的構造の機能性に影響を及ぼし、それどころか生物学的構造の破壊さえも招く。生物学的構造の破壊を招かない特定の低いエネルギー範囲にある共鳴音響エネルギーが生物学的構造に照射されると、音響エネルギーが特定の場特性および周波数特性を有する電磁エネルギーに変換される。送出された電磁エネルギーの場特性および周波数特性は、とりわけ生物学的構造の原子もしくは分子の組成に関係し、従って当該生物学的構造にとって重要である。従って、共鳴音響エネルギーによって励振させられた特定の生物学的構造から送出され規定の周波数パターンを有するこのような電磁信号は生物学的構造の「音響−電磁特徴」とも呼ばれる。用語「周波数パターン」は、以下において、電磁放射線の個々の周波数の位置のみならず、異なる周波数相互の強さ比であると理解することができる。しかしながら、極端な場合、周波数パターンは個々の周波数のみであってもよい。この場合に用語「周波数」は非常に狭い帯域を有する周波数線であると理解するとよい。
【0006】
これに対して、逆の経路で、生物学的構造の音響−電磁特徴に相当する共鳴周波数パターンを用いて生物学的構造へ電磁エネルギーを供給することによって、生物学的構造を相応に音響共鳴状態にすることができる。生物学的構造の共鳴周波数は、生物学的構造の形状、大きさおよび組成に関係する。例えば、均一な球は球直径の波長を有する共鳴周波数を持つ。先に挙げた特許文献2には一連の生物学的構造について1,500m/sの音速の際の近似的な音響共鳴周波数が示されている。共鳴周波数は、植物細胞については15MHzの範囲に、動物細胞については150MHzの範囲に、バクテリアについては1.5GHzの範囲に、ウィルスについては15GHzの範囲に、そして蛋白質については150GHzの範囲にある。
【0007】
特許文献2には、更に、音響共鳴周波数の照射および/または電磁エネルギーの照射によって、音響−電磁特徴に応じて的確に生物学的構造が種々の方法で影響を及ぼされ得ることが記載されている。例えば、骨粗しょう症患者を助けるために、あるいは長時間地球引力の範囲外に、例えば宇宙ステーションに滞在する人の場合にそれによってひき起こされた骨密度減少を補うために、適切な電磁エネルギーの照射によって骨成長を刺激することが提案されている。特に、このために、骨成長の刺激に必要な音響−電磁特徴を骨構造に僅かな強さで送出する電磁放射器を有する寝袋が提案されている。
【0008】
更に、適切な共鳴範囲にある音響エネルギーの送出によってウィルスを死滅させることが提案される。例えばHIV感染した患者の治療のために体外血液循環システムが提案され、このシステムでは血液が的確に照射区域を通して案内され、照射区域にはウィルスにおける共鳴発生に必要な音響エネルギーが供給される。第2の実施例においては、ナノフィルタまたは相応に構成されたカルを介して必要な音響エネルギーが直接的に患者内部に適用される血管内システムが提案される。
【特許文献1】欧州特許第0928157号明細書
【特許文献2】国際公開第00/15097号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、汎用的に使用可能でかつ容易に操作可能である冒頭に述べた如き照射装置であって、生体内の他の構造を著しく侵害することなく、生体内の種々の生物学的構造に的確に簡単に影響を及ぼすことができ、特にウィルス、バクテリア、菌類、発癌性細胞などを死滅させることができる照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1による照射装置によって解決される。
【0011】
本発明によれば、照射装置は、規定の周波数パターンを有する音響−電磁放射線を発生するための周波数合成器を備えた周波数発生器を有する。周波数パターンは任意に選択可能である。周波数パターンは例えば個々の周波数線である。しかしながら、周波数パターンは相互に規定の相対的な振幅を有する多数の異なる周波数でもある。
【0012】
更に、電磁放射線を動作時にほぼ定められた照射空間に送出するように構成されている送信アンテナが必要である。照射空間は発生された電磁場ができるだけ均一に所望の設定された強さを有する範囲である。照射空間内には被照射対象すなわち生体が配置され、生体内には照射によって影響を及ぼされるべき生物学的構造が存在する。
【0013】
更に、影響を及ぼすべき標的の生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータ(例えば、名前、型、標識など)を取得するためのインターフェースが必要である。当該インターフェースは、例えば、照射装置の操作者が生物学的構造固有のデータを手動で入力するユーザインターフェースであってよい。しかし、代替または追加として、当該インターフェースは、例えば放射線部門情報システム(RIS)に対するインターフェースのような、相応のデータが既に格納されている他の機能ユニットに対するインターフェースであってもよい。当該インターフェースは同様に所望の情報が記憶されているデータ媒体を読取るための読取装置であってもよい。
【0014】
本発明による照射装置は、更に、例えばデータバンク内で種々の生物学的構造に割付けられた規定の共鳴周波数パターンを記憶している周波数パターン記憶ユニットと、生物学的構造の取得された生物学的構造固有のデータに基づいて周波数パターン記憶ユニットから共鳴周波数パターンを選択するための周波数パターン選択ユニットとを必要とする。生物学的構造のこのような「共鳴周波数パターン」は、的確に当該生物学的構造を共鳴状態に引き入れ、それにより、他の共鳴周波数パターンを有する他の生物学的構造に影響を及ぼすことなく、生物学的構造に所望の影響を及ぼすのに適している電磁放射線の周波数パターンである。
【0015】
最後に、本発明による照射装置は、照射空間内に存在する照射対象が選択された共鳴周波数パターンを有する電磁放射線を定められた強さで定められた照射時間の間照射されるように周波数発生器(高周波発生器)を制御するための制御ユニットを必要とする。すなわち、この制御ユニットは、例えば、取得された生物学的構造固有のデータと選択された周波数パターンとに基づいて自動的に必要な制御パラメータを求め、制御パラメータを周波数発生器(高周波発生器)に引き渡し、それにより周波数発生器(高周波発生器)が送信アンテナに適切な信号を送出する。
【0016】
本発明による照射装置により、簡単に生体内の種々の生物学的構造に予め定められたように影響を及ぼすことができる。このためには、照射対象は照射空間に位置決めされだけでよく、照射装置の操作者には、影響を及ぼすべき標的の生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータ、例えばウィルスまたはバクテリアの名前または標識が分かっていればよい。操作者は更に、影響を及ぼすべき標的の生物学的構造の生物学的構造固有のデータを入力または選択するだけでよい。引続いて、自動的に、標的構造に割付けられている規定の共鳴周波数パターンが選択され、照射対象が適切に当該共鳴周波数パターンを有する電磁照射により照射される。
【0017】
従属請求項は本発明の特に有利な構成および実施態様を含んでいる。
【0018】
更に、照射装置は照射対象固有のデータおよび/または治療固有のデータを取得するためのインターフェースを有すると好ましい。照射対象固有のデータは、例えば患者の年齢、身長、体重および/またはウィルス病の治療の場合には体内のウィルスの個数を表す値である。治療固有のデータは、例えば、ウィルス病の場合におけるウィルスのような生物学的構造を完全に死滅させようとするのかどうか、または骨細胞のような他の生物学的構造を成長のために刺激しようとするのかどうかという治療目的である。かかるインターフェースは独立したインターフェースであり、例えばRISのようなコンピュータネットワークに対するインターフェース、またはデータ媒体読取装置である。しかし、かかるインターフェースは、既に生物学的構造固有のデータの取得に使用されたインターフェース、例えばユーザインターフェースであってもよい。
【0019】
制御ユニットは、この実施例の場合には、照射空間内に存在する照射対象が所望の電磁放射線の定められた治療線量を照射されるように、照射対象固有のデータおよび/または治療固有のデータに基づいて強さおよび照射時間が選択され、周波数発生器(高周波発生器)が相応に制御されるように構成されている。
【0020】
照射装置は、照射空間内に照射対象を位置決めするための位置決め装置を有すると好ましい。この位置決め装置は簡単な寝台あるいは移動可能な寝台等であってもよい。
【0021】
照射空間は、照射される大人の人間を照射空間内に完全に収容できるように構成されかつ設定されていると好ましい。すなわち、送信アンテナは、大人の人間の全身に所望の電磁放射線を照射することができるように構成されている。これは、特に、HIVに感染した患者の血液が的確に放射区域を通して案内される特許文献2に開示されている方法と違って、患者の血液中に存在しないウィルスも死滅させることができるので、ウィルスの低減のみならず、全てのウィルスのほぼ完全な死滅が達成されるという利点を有する。
【0022】
所望の周波数をできるだけ狭い帯域で送出することができるようにするためには、送信アンテナが共振回路として構成されているか、もしくはこのような共振回路の一部であると好ましい。この共振回路の構成要素の的確な調整によって、送信アンテナが選択された周波数パターンに従って的確に非常に精確な周波数を送出するように配慮することができる。すなわち、照射対象は、例えば、正確に規定された周波数すなわち共振回路の共振周波数のときに最大の振動振幅で照射される。
【0023】
照射空間内でできるだけ均一な場の広がりを達成すためには、照射空間を取囲むソレノイドコイルおよび/またはヘルムホルツコイルもしくは鞍型コイルを含む送信アンテナを使用すると好ましい。このようなコイルはコイル内部空間に特に均一な場を有することが特徴的である。比較的大きな照射対象、例えば人間の全身を高い場均一性でもって照射することができるようにするためには、特に、例えば核スピン断層撮影において送信アンテナとして使用されるようなバードケージアンテナ構造を有する送信アンテナを使用するのが有利である。
【0024】
信号雑音比を最適にするために、アンテナの種類に関係なくできるだけ高い占積率が達成されるように留意される。従って、アンテナの寸法は、照射空間として役立つアンテナ内部空間が照射対象の寸法にマッチングし、照射対象をできるだけ狭く包囲するように選ばれるべきである。すなわち、照射空間は被照射対象よりも極力あまり大きくならないようにすべきである。
【0025】
送信アンテナは、照射空間を取囲むハウジング内に組込まれていると好ましい。ハウジングは、特にソレノイドコイル、鞍型コイル、あるいはバードケージ型アンテナを使用する場合には、管状に形成され、照射空間は管の内部空間内にある。
【0026】
本発明による照射装置が患者の全身照射を行なうために用いられるべきである場合、患者は完全に照射空間の内部に存在しなければならない。ここでも、送信アンテナ、従って照射空間を取囲むハウジングが、占積率ができるだけ大きくなるように選ばれると、このハウジングは患者を比較的狭く包囲することになる。しかしながら、核スピン断層撮影の毎日の実務から、長時間狭いハウジング内に閉じ込められることは、大抵の人間が非常に不快に感じることが分かった。閉所恐怖症の症状を持つ人の場合、これは著しい不安をもたらすので、絶対に治療が実施できない。従って、ハウジングは少なくとも部分的に透明に構成されていると好ましい。
【0027】
ハウジングは、ハウジンの長手方向に延びる平面において分割され、ハウジング底部分と開閉できるハウジング蓋部分とを有すると特に好ましい。この場合にハウジングはハウジングの長手方向に延びる揺動軸線を中心にして閉めることができるように構成されていると好ましい。この付加的な構成は、ハウジングが開かれた状態において、例えば太陽灯照射設備内におけるように、被照射者がハウジング内の寝台上に横になり、その後ハウジングが例えば閉じられるという利点を有する。これとは違って、従来における磁気共鳴断層撮影装置またはコンピュータ断層撮影装置におけるように、患者が管状ハウジング内へ長手方向に送り込まれる場合、これは患者に非常に不安を感じさせる。
【0028】
周波数パターン記憶ユニット内に、とりわけ、種々のウィルスおよび/またはバクテリア用の共鳴周波数パターンが記憶されるべきである。本装置は、被治療者の生体に害を及ぼすことなく当該ウィルスおよびバクテリアを的確に死滅させるために、ウィルス病およびバクテリア病の治療に任意に使用することができる。記憶された共鳴周波数パターンは、当該生物学的構造、すなわち、例えばウィルスおよび/またはバクテリアの音響−電磁特徴であると好ましい。
【0029】
絶え間なく新しいウィルスおよびバクテリアが発生し、それに応じて変化した共鳴周波数パターンを有するウィルスおよびバクテリアを識別するために、照射装置は、更に、(分離された)生物学的構造の共鳴周波数パターンを決定するための測定装置を持つと好ましい。このような測定装置は、例えば、当該生物学的構造を有する試料に向けて、定められた周波数範囲にある電磁的ホワイトノイズを送出するノイズ発生器と、ホワイトノイズへの反応で試料から送出された電磁放射線を検出する検出器と、検出器によって受信された電磁放射線に基づいて共鳴周波数パターンを求める解析装置とを有するとよい。特に、この測定装置は、定められた生物学的構造のために求められた共鳴周波数パターンを、当該生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータに割付けて周波数パターン記憶ユニット内に格納するために、周波数パターン記憶ユニットに接続されていると好ましい。
【0030】
従って、この方法により、共鳴周波数パターンは、広い周波数範囲で一様に送出された詳細に述べられていない電磁放射線への反応によって求められる。代替として、例えば圧電送信器による共鳴音響エネルギーの照射と試料から送出された電磁応答の検出および評価とによって、特許文献2に記載されているように音響−電磁特徴が共鳴周波数パターンとして求められる。この場合、測定装置は、ノイズ発生器の代わりに、当該生物学的構造を含んだ試料へ音波を送出する装置を持たなければならない。
【0031】
生物学的構造の共鳴周波数パターンを決定するためのこのような測定装置に対する代替または追加として、照射装置は、更に、既に他の装置において求められた当該生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータを有する共鳴周波数パターンを受信するためのインターフェースを有する。このインターフェースは、ここでも独立したインターフェースであってよいし、あるいは生物学的構造固有のデータ、治療固有のデータおよび/または検査対象固有のデータを受取るための既述のインターフェースであってもよい。因みにこのインターフェースもデータ媒体読取装置であってもよい。
【0032】
例えば、中央の装置において新しいウィルスの出現時に(例えば、切迫した流行性感冒症の際に)ウィルスを識別し、分離し、引続いて上述の方法により共鳴周波数パターンを求め、場合によっては人間への照射時に体内のウィルスを死滅させるために、(場合によっては身長、年齢、体重などの特定の患者データと関連させて)必要な強さおよび時間のような他の情報も求めることができる。このデータセットは、例えばさまざまの病院または開業医のところにあり相応のインターフェースと適切な装備とを備えた本発明による照射装置の全てに伝送される。治療の前には被治療者は現場でなおも、例えば身長、年齢、体重のような患者固有のデータと、生物学的構造固有のデータ、例えば正確なウィルス型とが入力されるだけでよいので、照射装置は、当該流行性感冒ウィルスに感染した患者を治療してウィルスを十分に死滅させるために自動的に正しい設定を用意する。これは、病気の強さ、すなわち存在するウィルスの量に応じて1回または複数回の治療で行なわれる。
【0033】
従って、上述のインターフェースを介して照射装置を他の照射装置および/または共鳴周波数パターン測定装置とネットワーク化することによって、さまざまの照射装置が規則的に更新されるので、大きな費用なしに、流行病を早期に食い止めるために、感染した人間集団の十分的確な集中治療が可能である。
【0034】
相応の高周波照射装置の制御装置も本発明の構成部分である。このような制御装置は高周波発生器を接続するための制御パラメータ出力端と、影響を及ぼすべき生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータを取得するためのデータ入力端とを必要とする。更に、制御装置は、種々の生物学的構造に割付けられた規定の共鳴周波数パターンを記憶している周波数パターン記憶ユニットと、取得された生物学的構造固有のデータに基づいて共鳴周波数パターンを周波数パターン記憶ユニットから選択するための周波数パターン選択ユニットとを必要とする。更に、この制御装置は、高周波発生器が選択された共鳴周波数パターンと定められた強さとを有する信号を定められた時間の間発生するように、制御パラメータ出力端を介して高周波発生器に制御パラメータを送出するための制御ユニットを必要とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下において本発明を添付図面を参照しながら実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
図1は本発明による照射装置の実施例の概略図、
図2は生物学的構造の共鳴周波数パターンを決定するための測定装置のブロック図、
図3は図1による照射装置において使用されるバードケージ型送信アンテナの概略図、
図4は同様に送信アンテナとして使用可能なソレノイドコイルの概略図、
図5は同様に送信アンテナとして使用可能な鞍型コイルの概略図、
図6は図4によるソレノイドコイルを有する共鳴送信アンテナを構成するための共振回路の回路図、
図7は組込み式のバードケージアンテナを有する図1による照射装置のためのリング状ハウジングの横断面図、
図8はハウジングの長手方向に延びる揺動軸線に沿ってハウジングが開放可能である図7によるハウジングの変形の横断面図、
図9Aは透明なハウジングカバーを有する図8によるハウジングの概略斜視図、
図9Bは開放されたハウジングカバーを有する図8によるハウジングの概略斜視図を示す。
【0036】
図1に示された照射装置10は人間の全身照射に使用することができる。このために、照射装置10は円筒状構造を有する送信アンテナ50(この場合に具体的にはバードケージ型アンテナ50)を有する。送信アンテナ50は管状ハウジング60内に配置され、このハウジング60の円筒状内部空間には照射空間Bがあり、照射空間には照射対象Oすなわち被照射者が寝台70上に位置決めされている。ハウジング60および送信アンテナ50の正確な構造は後で更に詳細に説明する。
【0037】
送信アンテナ50は、高周波電磁放射線Sを照射対象Oへ送出するために、周波数発生器20に接続されている。これは、とりわけkHz範囲からGHz範囲までの高周波信号を発生することのできる高周波発生器20である。周波数合成器21は、この周波数発生器20の構成部分であり、非常に狭い帯域の周波数を有する交流電圧信号を発生することができ、この交流電圧信号が増幅器22によって増幅され、アンテナ50に導かれる。特に、周波数合成器21は、定められた振幅比を有する複数の狭い帯域の周波数からなる周波数パターンも発生することができるように構成されている。このために、周波数発生器20は同様に例えば異なる周波数範囲で動作する多数の周波数合成器21および/または後段に接続された増幅器22を有し、これらはアンテナに導くべき所望の出力周波数パターンに応じて選択的にまたは同時にも動作可能である。
【0038】
周波数合成器は制御装置30によって制御される。この制御装置30の主要構成部分は周波数パターン記憶ユニット33、周波数パターン選択ユニット32および制御ユニット31である。
【0039】
周波数パターン記憶ユニット33においては、データバンク内に、種々の生物学的構造についての、例えば種々のウィルス型、バクテリア型および菌類についての共鳴周波数パターンRFMが格納されている。共鳴周波数パターンRFMは例えば当該生物学的構造の音響−電磁特徴である。個々の周波数とそれぞれの周波数の相対振幅とに関するデータを含んでいる個々の共鳴周波数パターンRFMの割付けは、例えば構造名、型指定、識別番号などの如き生物学的構造固有のデータにより行なわれる。
【0040】
制御装置30の第1のデータ入力端35にはユーザインターフェース40、例えば画面42、キーボード41およびマウス43を有するパーソナルコンピュータ(PC)が接続されている。このユーザインターフェース40を介して、操作者は、例えば生物学的構造固有のデータIDを入力し、制御装置30に伝達する。周波数パターン選択装置32は、入力された生物学的構造固有のデータIDに基づいて、例えば特定のウィルスの名前または標識に基づいて、該当する共鳴周波数パターンRFPを周波数パターン記憶ユニット33から探し出し、これを制御ユニット31に伝達する。
【0041】
更に、操作者はユーザインターフェース40を介して、例えば被照射者の年齢、身長、体重および性別の如き照射対象固有のデータODも制御装置30に伝達することができる。同様に、操作者は、更に、例えば入力された型の全てのウィルスの退治という治療目標の如き治療固有のデータBDを入力し、制御装置30に伝達することができる。制御ユニット31は、これらの全てのデータおよび選択された共鳴周波数パターンRFMに基づいて、適切な制御パラメータSPを決定する。この制御パラメータSPはパラメータ出力端34で周波数発生器20に出力されるので、周波数発生器20は規定の時間すなわち照射時間の間定められた強さで信号を送信アンテナ50に正確に出力し、送信アンテナ50は所望の共鳴周波数パターンRFMを有する相応の電磁放射線Sを照射空間Bの中に、従って被照射者Oに向けて放射する。
【0042】
ユーザインターフェース40を介して、操作者は更に治療の経過を監視し、場合によっては照射時間の如き特定のパラメータを手動で入力することができる。適切な(図示されていない)監視装置によって、被照射者が予め定められた規定の安全限界値を超えて電磁放射線Sを照射されないことが保証される。
【0043】
制御装置30は、ここでは更に、データ入力端36として用いられる他のインターフェースを介して、コンピュータネットワーク(例えば、照射装置10が使用される機構内のイントラネット)のバス90またはインターネットに接続されている。代替または追加として通常の遠隔通信線等への接続も可能である。イントラネットは、例えば、放射線診療所または病院等における放射線部門情報システムRISであってよい。
【0044】
このような他のインターフェース36を介して、本発明による照射装置10は、同様に検査対象固有のデータODを受信することもできる。例えば、RIS内においては既に被照射者の名前、年齢、身長、体重のような個人データが把握されているので、これらのデータODを直接に受取ることができる。同様にそのネットワークを介して治療固有のデータBDを受取ることもできる。これらのデータOD,BDは場合によっては現場でユーザインターフェース40を介してあと僅かだけ補って完全なものにされてもよい。このインターフェース36を介して、生物学的構造固有のデータIDならびに当該共鳴周波数パターンRFMを他の装置から、特に外部機構からも受取、それにより、このために装置で現場において測定を必要とすることなしに、周波数パターン記憶ユニット33もしくはその中に記憶されたデータバンクを実際に保持することが可能である。
【0045】
制御装置30は例えば適当なコンピュータであってよい。周波数パターン選択ユニット32および制御ユニット31も少なくとも部分的にソフトウェアの形で実現することができる。このような制御装置30は、なおも、このような制御装置30の正常な動作のために必要とされる(図示されていない)他の多数の構成要素、例えばユーザインターフェース、バス、周波数発生器の接続のためのインターフェースカードと、電源等との如き構成要素を有する。制御装置30は図示の形で一体構成されている必要はなく、この制御装置30の構成要素は異なる装置、例えばコンピュータに配分されもよい。特に、周波数パターン記憶ユニット33は多数のメモリからなっていてもよいし、あるいは制御装置30がアクセスできる大容量記憶装置においてこのための領域が使用可能であってもよい。
【0046】
更に、図1における実施例はなおも測定装置80を有し、この測定装置80により必要なときには特定の生物学的構造の共鳴周波数パターンRFMを求めることができる。ただし、これは、特定の生物学的構造に対して、周波数パターン記憶ユニット33のデータバンク内に共鳴周波数パターンRFPを見つけ出せず、相応のデータをデータ入力端36を介しても、すなわち接続されているネットワークを介しても入手できない場合に限る。この測定装置80により、特定の生物学的構造について、例えば特定の新種のウィルス型について共鳴周波数パターンRFMが発生された場合、この共鳴周波数パターンRFMは、制御装置30に引き渡され、そこで周波数パターン記憶ユニット33内にあるデータバンクに格納されるので、あとに続く照射のために使用することができる。同様に、これらのデータを、接続されているバス90を介して他の装置に引き渡すこともできるので、これらのデータがその装置の周波数パターン記憶ユニットを更新することができる。
【0047】
このような測定装置80の機能態様が図2に示されている。この測定装置80はノイズ発生器81を含む。ノイズ発生器81は電磁的なホワイトノイズを発生する。このホワイトノイズは一方では、例えば、当該生物学的構造(例えば、特定の菌類またはバクテリアのような微生物B)を含んだ培養液である特定の媒質の試料PBに向けて放射される。ホワイトノイズは、同時に、当該生物学的構造を含んでいない他の試料Pにも向けて放射される。
【0048】
特定の微生物を分離し、この分離された微生物を的確に含んでいる適切な試料もしくは相応の反対試料を調合するための方法は当業者に知られており、これに関する言及は特許文献2にもある。
【0049】
検出器82によって、ホワイトノイズへの反応で試料PB,Pから送出される電磁放射線が検出される。検出器82はノイズ発生器81によって作動させられるか、またはその逆である。検出器82によって検出された電磁応答は解析装置83に引き渡される。解析装置83は、その都度の応答を評価し、探索された微生物Bの固有周波数すなわちこの微生物Bの共鳴周波数パターンRFMを決定する。その後、共鳴周波数パターンRFMは周波数パターン記憶ユニット33に引き渡される。測定装置80は操作者によってユーザインターフェース40を介して制御することもできる。例えば、ユーザインターフェース40を介して、まさに共鳴周波数パターンRFMが求められる特定の生物学的構造に対して、当該生物学的構造固有のデータID、例えば特定のウィルスまたはバクテリア型を入力することができるので、この生物学的構造に対する共鳴周波数パターンRFMの適切な割当てを測定装置において行なうことができ、従って周波数パターン記憶ユニット33においてもそれを行なうことができる。
【0050】
図示されていない代替実施例においては、ノイズ発生器81の代わりに、適切な共鳴音響信号つまり微生物の共鳴範囲にある音響信号を試料に送出する送信器が使用されるので、検出器によって音響−電磁特徴が検出可能である。詳細な説明が同様に特許文献2にある。
【0051】
図3は、図1による実施例において使用されているようないわゆるバードケージ型アンテナ50を概略的に示す。このアンテナ50は、円筒状に構成され、円形の端部リング53を介してそれぞれ互いに接続されている長手方向に延びる横セグメント51からなる。横セグメント51中にはそれぞれコンデンサ52が存在する。
【0052】
図4および図5は、代替として、円筒状に形成されたアンテナ50’,50”を示し、図4は簡単なソレノイドコイル50’を示し、図5はいわゆる鞍型コイルまたはヘルムホルツコイル50”を示す。図3〜5に示されたアンテナは、それぞれ、コイル内部に比較的均一な高周波場を発生することができる利点を有する。特にバードケージアンテナ50は比較的大きく構成することができ、それにもかかわらず送信アンテナ50の内部に比較的均一な場の広がりが保証されている。
【0053】
従って、バードケージアンテナ50は、内部に人間の体を完全に配置することができる照射空間Bを作るのに特に好適である。これに対して、鞍型コイル50”およびソレノイドコイル50’は、特に局部的な適用のために使用することもできるし、あるいは例えば測定装置80の内部において特定の試料の共鳴周波数パターンRFMを決定するための小形試料用の照射空間Bを構成するために使用することもできる。
【0054】
図6は、例えばソレノイドコイル50’を送信アンテナとして使用することができる共振回路を概略的に示す。この共振回路は、一般にコンデンサC1,C2およびそれらの抵抗Rに対する比の調整を介して、特定の共振周波数に調整可能であるので、非常に僅かなエネルギーにより、規定の周波数で最大の振動振幅を持つ高周波を試料に照射することができる。
【0055】
図7,8ならびに図9A,9Bは、それぞれ全身照射アンテナ、例えばバードケージアンテナ50を収納するためのハウジング60,60’のための可能な実施例を示す。
【0056】
図7による実施例において、ハウジングは互いに同軸配置された2つの管(もしくは支持円筒)63,64からなる。これらの管63,64の直径は、これらの管の間に間隙65が残り、この間隙内にアンテナ構造体が保持されるように選ばれている。図7においては、この間隙65に、コンデンサ52を有する横断セグメント51が概略的に示されている。管63,64は、照射空間Bの内部にいる被照射者がハウジング60およびアンテナ構造体を通して外を見ることができるように、透明な材料からなると好ましい。アンテナ構造体は、一方では照射空間B全体にわたり場均一性ができるだけ大きく、他方では格子状アンテナ構造体によってなおも透明性全体が確保されるように、構成され配置されている。
【0057】
図8ならびに図9A,9Bはハウジング60’の他の変形を示す。このハウジング60’はハウジング蓋部分61とハウジング底部分62とからなり、その中に治療台70を備えている。ハウジング蓋部分61の一方の側はハウジング60’の長手方向に延びる揺動軸線Aを中心にして揺動可能にハウジング底部分62に固定されているので、被照射者は簡単にハウジング60’内に入って寝台70上に横たわることができ、引続いてハウジング蓋部分61を下に閉めることができる。
【0058】
図8はこのハウジング60’の概略的な横断面を示す。基本構造は図7による実施例の場合と同様である。しかしながら、ハウジング60’は、ここでは水平面に沿って、上部分すなわちハウジング蓋部分61と、下部分すなわちハウジング底部分62とに分離されている。一方の長い側において、ハウジング蓋部分61とハウジング底部分62とは一種のヒンジ66によって互いに結合されている。他方の側には、ハウジング60’が閉じられた状態においてハウジング蓋部分61内のアンテナ構造体とハウジング底部分62内のアンテナ構造体とを接続するために、ハウジング蓋部分61とハウジング底部分62との間にストッパ67および接触部68がある。ストッパ67は同時に、ハウジング蓋部分61を持ち上げて揺動させるための取っ手として役立つ。対応する接触部がヒンジ66を通しても延びているので、ハウジング60’の閉じられた状態においてアンテナ50は図7による実施例の場合と同じ場を発生する。
【0059】
図8に示された実施例において、図9A,9Bに示されているように、ハウジング蓋部分61の外側円筒壁63および内側円筒壁64は透明材料から作られている。ハウジング底部分62の壁は非透明材料から作られていてもよい。
【0060】
本発明による照射装置により、患者を大切に、すなわち非侵襲で、人間または動物の任意のウィルス性またはバクテリア性の感染、菌類感染などを治療することができる。全身治療としての装置の実施によって、感染時に身体部位全体が治療されるならば、体内におけるウィルス、バクテリアまたは菌類を完全に死滅させることができる。種々の生物学的構造に割付けられた規定の共鳴周波数パターンを記憶している周波数パターン記憶ユニットの本発明による使用によって、特定のウィルス、バクテリアまたは菌類が識別されて共鳴周波数パターンが求められたならば直ちに、大きな費用なしに治療が開始される。なぜならば、的確にウィルスもしくはバクテリア、菌類等が死滅させられ、生体内の他の生物学的構造にはどんな種類の有害な作用も及ぼさないからである。更に、照射装置は、例えば腫瘍の病気、白血病などのように規定の生物学的構造への的確な影響が有意義であるその他の治療にも効果的に使用できる。前提条件は、その都度、これらの生物学的構造の正確な共鳴周波数パターンが既知であることだけである。この場合に、照射装置は比較的割安に構成することができる。
【0061】
本発明の上述の実施形態は単に模範的な構成に過ぎない。たとえ上述の構成において明確に説明されていなくても、本発明の他の多数の実施形態を本発明思想によって共に把握することができる。特に説明した変形の種々の組合わせが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による照射装置の実施例の概略図
【図2】生物学的構造の共鳴周波数パターンを決定するための測定装置のブロック図
【図3】図1による照射装置に使用されるバードケージ型送信アンテナの概略図
【図4】送信アンテナとして使用可能なソレノイドコイルの概略図
【図5】送信アンテナとして使用可能な鞍型コイルの概略図
【図6】図4によるソレノイドコイルを有する共鳴送信アンテナを構成するための共振回路の回路図
【図7】組込み式のバードケージアンテナを有する図1による照射装置のためのリング状ハウジングの横断面図
【図8】ハウジングの長手方向に延びる揺動軸線に沿ってハウジングが開放可能である図7によるハウジングの変形の横断面図
【図9】透明なハウジングカバーを有する図8によるハウジングの概略斜視図
【符号の説明】
【0063】
10 照射装置
20 周波数発生器(高周波発生器)
21 周波数合成器
22 増幅器
30 制御装置
31 制御ユニット
32 周波数パルスターン選択ユニット
33 周波数パターン記憶ユニット
34 パラメータ出力端
35 データ入力端
36 データ入力端
40 ユーザインターフェース
41 キーボード
42 画面
43 マウス
50 送信アンテナ(バードケージ型アンテナ)
50’ 送信アンテナ(ソレノイドコイル)
50” 送信アンテナ(鞍型コイル)
51 横断セグメント
52 コンデンサ
53 端部リング
60 ハウジング
60' ハウジング
61 ハウジング蓋部分
62 ハウジング底部分
63 管(外側円筒壁)
64 管(内側円筒壁)
65 間隙
66 ヒンジ
67 ストッパ
68 接触部
70 寝台(治療台)
80 測定装置
81 ノイズ発生器
82 検出器
83 解析装置
90 バス
B 照射空間
BD 治療固有のデータ
ID 生物学的構造固有のデータ
O 照射対象
OD 照射対象固有のデータ
P 試料
B 試料
RFM 共鳴周波数パターン
S 電磁放射線
SP 制御パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内部の生物学的構造に影響を及ぼすために電磁放射線(S)を生体に照射する照射装置(10)において、
規定の周波数パターンを有する電磁放射線を発生するための周波数合成器(21)を備えた周波数発生器(20)と、
電磁放射線を動作時にほぼ定められた照射空間に送出するように構成されている送信アンテナ(50,50’,50”)と、
影響を及ぼすべき標的の生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータ(ID)を取得するためのインターフェース(35,36,40,90)と、
種々の生物学的構造に割付けられている規定の共鳴周波数パターン(RFM)を記憶している周波数パターン記憶ユニット(33)と、
取得された生物学的構造固有のデータ(ID)に基づいて周波数パターン記憶ユニット(33)から共鳴周波数パターンを選択するための周波数パターン選択ユニット(32)と、
照射空間(B)内に存在する照射対象(O)が選択された共鳴周波数パターン(RFM)を有する電磁放射線(S)を定められた強さで定められた照射時間の間照射されるように周波数発生器(20)を制御するための制御ユニット(31)と、
を備えていることを特徴とする照射装置。
【請求項2】
照射装置(10)は、照射対象固有のデータ(OD)および/または治療固有のデータ(BD)を取得するためのインターフェース(40;90)を含み、制御ユニット(31)は、照射空間(B)内に存在する照射対象(O)が電磁放射線(S)の定められた治療線量を照射されるように、照射対象固有のデータ(OD)および/または治療固有のデータ(BD)に基づいて強さおよび照射時間が選択され、周波数発生器(20)が相応に制御されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
照射空間(B)は、照射される大人の人間が照射空間(B)内に配置可能であるように構成されかつ設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
送信アンテナ(50,50’,50”)は共振回路として構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の装置。
【請求項5】
送信アンテナ(50,50’,50”)は、照射空間(B)を取囲むソレノイドコイル(50’)、ヘルツホルムコイル(50”)およびバードケージ型アンテナ(50)の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の装置。
【請求項6】
送信アンテナ(50)は、照射空間(B)を取囲むハウジング(60,60’)内に組込まれていることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の装置。
【請求項7】
ハウジング(60,60’)は少なくとも部分的に透明に構成されていることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
ハウジング(60,60’)は管状に構成され、照射空間(B)は管の内部空間内にあることを特徴とする請求項6又は7記載の装置。
【請求項9】
ハウジング(60’)は、ハウジング(60’)の長手方向に延びる平面において、ハウジング底部分(62)と開閉できるハウジング蓋部分(61)とに分割されていることを特徴とする請求項6乃至8の1つに記載の装置。
【請求項10】
生物学的構造の共鳴周波数パターン(RFM)を決定するための測定装置(80)が備えられていることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の装置。
【請求項11】
測定装置(80)は、
当該生物学的構造を有する試料に向けて、定められた周波数範囲にある電磁的ホワイトノイズを送出するノイズ発生器(81)および/または定められた周波数範囲にある音波を送出する装置と、
ホワイトノイズおよび/または音波への反応で試料から送出された電磁放射線を検出する検出器(82)と、
検出器(82)によって受信された電磁放射線に基づいて共鳴周波数パターン(RFM)を求める解析装置(83)と、
を有することを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
測定装置(80)は、定められた生物学的構造のために求められた共鳴周波数パターン(RFM)を、当該生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータ(ID)に割付けて周波数パターン記憶ユニット(33)内に格納するために、周波数パターン記憶ユニット(33)に接続されていることを特徴とする請求項10又は11記載の装置。
【請求項13】
生物学的構造の記憶された共鳴周波数パターン(RFM)は、当該生物学的構造の音響−電磁特徴に対応することを特徴とする請求項1乃至12の1つに記載の装置。
【請求項14】
周波数パターン記憶ユニット(33)内に、種々のウィルスおよびバクテリア用の共鳴周波数パターン(RFM)が記憶されていることを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載の装置。
【請求項15】
高周波発生器(20)を接続するための制御パラメータ出力端(34)と、
影響を及ぼすべき生物学的構造を識別するための生物学的構造固有のデータ(ID)を取得するためのデータ入力端(35,36)と、
種々の生物学的構造に割付けられた規定の共鳴周波数パターン(RFM)を記憶している周波数パターン記憶ユニット(33)と、
取得された生物学的構造固有のデータに基づいて共鳴周波数パターン(RFM)を周波数パターン記憶ユニット(33)から選択するための周波数パターン選択ユニット(32)と、
高周波発生器(20)が選択された共鳴周波数パターン(RFM)と定められた強さとを有する信号を定められた時間の間発生するように、制御パラメータ出力端(34)を介して高周波発生器(20)に制御パラメータ(SP)を送出するための制御ユニット(31)と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至14の1つに記載の照射装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−231053(P2006−231053A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41971(P2006−41971)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】