説明

照射装置の制御方法

対象組織の位置を把握することに関する従来技術の不利な点を少なくとも部分的に解決する。人間の身体の外部又は動物の身体の外部に配置された照射装置の制御方法であって、画像4中に、画像中で視認可能な少なくとも一つの一体型三次元素子7を特定すること、少なくとも一つの一体型三次元素子は人間の身体又は動物の身体の腔に位置している、画像中において、基準に対する画像中で視認可能な少なくとも一つの一体型三次元素子7の予備的な位置を決定すること、基準に対する照射装置2の予備的なセットアップを確立するため、基準に対する照射装置2の予備的な位置を決定すること、基準に対する少なくとも一つの一体型三次元素子7の予備的な位置又はその後の位置に応じて、基準に対する照射装置2を調整することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像中の少なくとも一つの一体型三次元素子を特定するステップを含む照射装置の制御方法に関し、少なくとも一つの一体型三次元素子は、特定するステップの間、人間の身体又は動物の身体の腔に配置される。また本発明は、人間の身体又は動物の身体内の対象組織に対して人間の身体又は動物の身体に配置された三次元素子の特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の身体の中の癌の障害の既知の治療において、腫瘍のような障害組織の放射線治療が、障害組織を破壊するために用いられる。障害組織は、身体の総ての部分に存在しうる。ある部分に障害組織が存在する時、身体の他の大切な部分に重要なダメージを与えることなく照射することが困難なこともあり得る。ある場合においては、照射が回復不能なダメージを生じさせることもあった。
【0003】
そのようなダメージを避けるために、障害組織の放射線治療は、複数の異なる角度から障害組織を照射することにより行われている。これにより、周囲の正常組織は照射にさらされるだけで、その影響は短い期間で治癒可能である。このように放射線治療は、周囲の正常組織に重大なダメージを与えない。しかし障害組織は、それを破壊するために、様々な選択された角度から照射される。
【0004】
このように、障害組織の放射線治療は照射量で制限され、それにより正常組織は重大又は回復不能なダメージを受けることなく耐えることができうる。この放射線治療の制限は、障害組織の存在位置を正確に把握することや、体内の障害組織のひろがりを決定することが困難であることがあるという事実のために、さらに増える。
【0005】
US 5,853,366にはこの問題の解決策が記載されている。腫瘍の位置の決定は、腫瘍の末梢周辺の適切な位置に少なくとも3つのマーカーを挿入することによって実施される。腫瘍を照射する前に腫瘍に対する照射源の位置を決めるために、これらのマーカーはステンレス鋼からなり、身体の一般的なX線画像で検出可能である。各々のマーカーはX線画像において一つの点として写される。これらのマーカーは、腫瘍の周囲の組織に直接挿入される。確実にマーカーを組織に留め、マーカーの動きを妨げるために、マーカーはとげを有するか、V型である。マーカーを配置し腫瘍を照射した後、とげのあるマーカーは侵襲的手術で除去されなければならない。
【0006】
WO 99/27839には、治療に応じて、患者の身体の部分をポジショニング及び再ポジショニングするためのシステム、又は身体と装置を観察するための複数のカメラを含む画像化装置が記載されている。患者の身体の外部の上に配置されたインデックス・マーカーは、光を照射するものであったり、受動的なものであったり、幾何学的な形状であったり、あるいは天然の目印であったりするが、それはカメラで識別され、3D空間に配置される。画像スキャンにより決定された解剖のターゲットは、治療又は診断装置に関する基準位置に対して位置決めされることができる。カメラ、インデックス・マーカー、方法、及びシステムのいくつかの形態によって、異なる医療用途に対応する。患者のX線撮影は、治療又は診断の画像化基準位置に対する解剖のターゲットの位置の把握をさらに正確にする。治療又は診断装置上の基準位置に対する画像化し決定された解剖のターゲットの比較分析に基づいて、患者の動きはシステムと手順によって制御される。
【0007】
WO 02/19908には、治療中の患者の呼吸やその他の動きを補償するための方法と装置が記載されている。その方法は、以下を含む。治療の前に、ターゲットとなる領域の画像を生成し、患者の身体中に埋め込まれたマーカーに基づいて、体内のターゲット領域についての位置データを周期的に生成し、一又はそれ以上の外部のセンサーを用いて患者の身体の外部の動きについて位置データを連続的に生成し、外部のセンサーの位置データに基づいて患者のターゲット領域の位置に向かって治療が向けられるよう、内部のターゲット領域の位置と外部のセンサーの間の対応を生成することである。ターゲット領域の位置は、引き続き、術前の画像におけるターゲット領域の位置に合わせられる。
【0008】
WO 02/100485には、体内の腫瘍やその類似物のようなターゲットの位置を正確に把握し、追跡するためのシステムと方法が記載されている。ある実施の形態において、システムは、ターゲットの内部又は近くに配置された一又はそれ以上の励起性の標識と、識別可能なシグナルを生成するために離れた位置から標識を励起する外部の励起源と、互いに既知の配置で離れて配置された複数のセンサーを備える。コンピュータがセンサーにつながれ、ターゲット中の標的アイソセンターを特定するために標識のシグナルを使用する。コンピュータは、標的アイソセンターの位置と、治療アイソセンターの位置を比較する。またコンピュータは、放射線療法の前と間、標的アイソセンターと治療アイソセンターが一致するよう、患者と患者の保護装置の動きを制御する。
【0009】
例え上述したマーカーが障害組織領域の広がりを明らかにするために使用されたとしても、画像中に総ての領域を観察することは困難でありうる。このため、あるいは他の理由により、障害組織の放射線照射を計画する時に、開業医あるいは主治医は、総ての障害組織領域が照射されることを確実にするために、照射マージンを適用して照射することを計画する。このマージンによって、結果として、正常組織のいくつかが意図的に照射され、それにより、前述した重大なダメージが起こりうる。この観点から、照射がいくつかの照射シークエンスに分割されるよう計画される。また、基準のマーカーのみが照射される。基準マーカーそれ自体は、マーカーのいずれの回転の特定に寄与することができない。少なくとも二つ、そして上述したように、好ましくは三つの基準マーカーを採用しない限り、基準マーカーは障害組織の位置の特定に寄与することができない。
【0010】
照射マージンをとる別の理由は、照射装置下の患者の位置の不正確さと、障害組織の得られた画像の解像度の不正確さと、経時的に内臓が動きうるという事実による。そのような内臓の動きは、呼吸、及び、又は日々の行動により生じうる。上述したような治療をガイドするための埋め込まれたマーカーの使用は、ある程度、患者の位置決定の正確性を上昇させる。
【0011】
治療前に患者の位置を決定する一つの方法は、照射される障害組織が位置する領域の画像を作製することにより、検査前画像における障害組織の位置に対して患者の骨格の位置を確認することにより、照射装置に対して患者を移動させることである。骨格の位置決定は、前述した不正確さのいくつかを導くことが示されている。
【0012】
加えて、最初の検査前画像とその後の障害組織を照射する前の照射組織をセットアップするための画像の間における、照射される障害組織の動きは、不確定な動きである。呼吸による動きの量は、10cmまで変化しうる。呼吸により生じる動きは、本質的に、個々人によって異なる。
【0013】
呼吸による動きを記録するためのいくつかの試みがなされてきている。動きのパターンは、腫瘍を照射する間、照射装置の制御に入れ込まれる。動きのパターンを決定するためのこの付加的なプロセスは高価で時間がかかる。そして神経質な患者、パーキンソン病の患者、又は脳性麻痺の患者の呼吸は漸近的であるという事実により、記録されるパターンがしばしば現在の呼吸と非同期であるということが示されてきている。したがって、動きのパターンの記録は、腫瘍の照射の完全な正確性をもたらし得ない
さらなる解決策が、マーカーのテンプレートを用いることによるマーカの改良された検出を開示するhttp://www.elekta.com/healthcareinternational.nsf/pga_Frameset?openpage&url=umc_de monstrates_automatic_marker_detection_with_a-si ("Elekta")から知られる。
【0014】
よって、照射装置を制御するための改良された方法が、照射装置を調整することに関する従来技術の前述した不利な点を少なくとも部分的に解決するために必要とされている。腫瘍のような障害組織を治療する改良された方法も、治療に関する従来技術の前述した不利な点を少なくとも部分的に解決するために、必要とされるであろう。
【0015】
US 6,307,914は、腫瘍と腫瘍の付近に埋め込まれた腫瘍マーカーに医学的治療ビームを照射する線形加速器と、第1の角度から腫瘍マーカーの画像をピックアップする第1のX線透視装置と、第1のX線透視装置と同時に、第2の方角から腫瘍マーカーの画像をピックアップする第2のX線透視装置と、第1及び第2の画像入力部によってデジタル化された画像情報に、予め登録された腫瘍マーカーのテンプレート画像を適用するシェーディング正規化相互相関方法によって、ほぼリアルタイムに予め設定されたフレームレートでテンプレートマッチングを実行し、腫瘍マーカーの第1及び第2の二次元座標を計算する第1及び第2の認識処理部と、第1及び第2の認識処理部により計算された第1及び第2の二次元座標から、腫瘍の三次元座標を計算する中央演算処理部と、腫瘍マーカーの計算された三次元座標により線形加速器の医学的治療ビームの照射を制御する照射制御部とを備える、動きのある身体を追跡する照射装置を開示している。
【0016】
患者の体内に位置する従来技術の埋め込まれたマーカーは組織に埋め込まれるため、身体に埋め込まれるための侵襲的手術のみならず、さらに身体から引き出されるためのその後の侵襲的手術も必要となる。
【0017】
異なる画像化技術及び異なる医療用画像化装置で作成された診断画像は、画像間の時間間隔や、各々の画像のための異なる寝いす上の患者の再配置を伴って得られる。これは、各々の画像のために異なるセットアップ環境を必要とする。異なるセットアップ環境は、骨格や患者の身体の外部表面等の、対象組織から離れて位置する画像中における視覚的に明確な物と比較して、異なる画像中における患者の体内の対象組織の実際の配置間に差異をもたらす。異なる画像における対象組織の位置の相違は、患者の体内における内部器官の動き、及び、又は、医療用画像装置の下の患者の位置の不正確によって生じうる。
【0018】
故に、対象組織の位置を把握することに関する従来技術の前述した不利な点を少なくとも部分的に解決するために、異なる医療画像化装置による異なる画像を照合する改良された方法が必要とされていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、上述した既知の方法及びシステムの不利な点及び欠点を解決するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの目的及び本発明の後述する記載から明らかとなるであろう利点は、人間の体外又は動物の体外に配置された照射装置を制御するための方法を提供する本発明の以下の実施例及び実施の形態により得られ、方法は以下のステップを備える。
【0021】
画像中において、画像中で視認可能な少なくとも一つの一体型三次元素子を特定すること、ここで、少なくとも一つの一体型三次元素子は、人間の身体又は動物の身体の腔に配置されている、
基準に対して、画像中で視認可能な少なくとも一つの一体型三次元素子の予備的な位置を、画像中で決定すること、
基準に対する照射装置の予備的な位置を決定すること、
基準に対する少なくとも一つの一体型三次元素子の位置に応じて、基準に対する照射装置を調整すること。
【0022】
画像中で視認可能な少なくとも一つの一体型三次元素子を画像中に特定するステップの間、少なくとも一つの一体型三次元素子は適切な位置にいる。画像中で視認可能な少なくとも一つの一体型三次元素子を画像中に特定する前に、少なくとも一つの一体型三次元素子を人間の身体又は動物の身体の腔に挿入する付加的なステップがあってもよい。
【0023】
障害組織の位置に対する少なくとも一つの一体型三次元素子の位置を特定することにより、三次元素子の位置の決定に基づいて、障害組織の位置が決定されることができる。三次元素子が特定可能なところでも、あらゆる種類の画像中において障害組織は特定不可能であるという事実に鑑み、これは有利である。二次元画像中で三次元素子の位置を決定することができるということにより、素子と障害組織は人間又は動物の身体に対して同時に動くという事実により、障害組織の正確な位置が決定されることができる。
【0024】
三次元素子の寸法は、事前に分かっている。そして、三次元素子の二次元画像に基づいて、その寸法は、三次元素子が体内にどのように配置され、あるいは体内でどのように回転されたかという正確な知見をもたらす。事前に三次元素子の寸法を知ることができ、また画像中で寸法を検出することができるということにより、身体内での三次元素子の正確な位置を算出することが可能となる。画像中で決定された三次元素子の位置の知見は、どこに障害組織が位置するかという正確な知見をもたらす。なぜなら、障害組織と三次元素子は、実質的に固定された関係にあることが分かっているからであり、障害組織のいかなる動きも三次元素子の対応する動きをもたらし、逆も真であるからである。
【0025】
このように、例えもし患者が検査室と照射室の間を移動していても、あるいは患者を照射に供する直前に移動していたとしても、対象が得られ、障害組織の位置決定は、素子の位置に基づいて、正確に実施される。素子と患者の腫瘍のような障害組織とが照射装置の焦点に位置するように、患者の照射の間、装置を調整することも同様に可能である。
【0026】
素子によって照射装置の調整が可能になったことにより、照射はより正確に実施され、照射装置の調整はコンピュータにより自動的になされることが可能になる。
【0027】
加えて、より正確に照射可能になったことにより、障害組織の周囲の組織にダメージを与えることなく、患者により高い総放射線量を供することが可能になる。そして結果として、より効果的に障害組織を除去するために、同じ溶解しにくい線量で、患者をより多くの回数の照射に供することが可能になる。
【0028】
加えて、本発明に係る方法は、以下のステップをさらに含む:
照射装置に対する三次元素子に生じうる動きを監視すること、
三次元素子に生じうる動きに応じて、照射装置を調整すること。
【0029】
ここで目的は達成され、前述した不正確さは飛躍的に減少し、身体及び/又は素子に生じうる動きは、少なくとも一つの一体型三次元素子に生じうる動きに応じて照射装置を調整することにより、平均化される。同様に、照射中、三次元素子及び患者の腫瘍のような障害組織が照射装置の焦点に位置するよう、装置を調整することが可能である。さらに照射装置の調整は、照射装置の位置、患者が配置される寝いす、照射源の出力、ビームの焦点、放射ビームの強度、照射ビームの形状を変えるプレート又は遮蔽物の動き等の調整であってもよい。
【0030】
加えて、照射装置の調整は、照射中のあらゆる移動に対する照射装置の偏光又は焦点合わせであってもよい。そのような移動は、照射中の患者の傾斜角又は部分的な回転のような力学的な移動であり得る。また移動は患者の自発的又無意識の移動でもあり得る。自発的な動きは寝いす上での患者の動きや照射室内での歩行であり、無意識の移動はパーキンソン病や脳性麻痺のような運動性の疾患によるものでありうる。
【0031】
照射中に照射装置を調整できることの利点は、異なる角度から身体を照射できることにある。それゆえ、障害組織の周囲の正常組織を照射しうるという不利益は減らされる。さらにある重要な正常組織が照射されることを防止するために、調整を実施してもよい。照射装置の調整は、ある角度から照射される正常組織の照射が限度を超えることを防止するために、ある角度からの全照射線量を限定することであってもよい。
【0032】
特定し、決定し、監視し、調整するステップは自動で行われてもよく、監視するステップは、装置の性能に応じて、3秒に1回のように、適当な周期で実行されてもよい。
【0033】
本発明のその他の形態において、基準は、身体の腔に挿入された三次元素子の前の画像である。そのような前の画像は、好適には、腫瘍のような障害組織が検出され、障害組織の寸法が患者の前の検査で確定された画像である。
【0034】
本発明のその他の形態において、少なくとも一つの一体型三次元素子の前の画像は、三次元素子の最後に得られた画像か、照射前に患者を配置するために得られた画像であってもよい。
【0035】
本発明によれば、少なくとも一つの一体型三次元素子の少なくとも一部は、腔内の液体、気体、又は固体の通過を可能にする形状を有してもよい。ここで、もし照射が腔周囲の組織の何らかの膨張を引き起こしたとしても、尿道の尿、血管の血液、又は腸の腸内ガス、及び気管又は肺の息、又は腸の固形糞のような、腔内の液体、気体、固体の自然な流れが維持される。
【0036】
加えて、本発明に係る少なくとも一つの一体型三次元素子の少なくとも一部は、腔から除去される時に、腔内部から腔に向かって膨張可能であってもよい。同様に、もし照射が腔周囲の組織の何らかの膨張を引き起こしたとしても、尿道の尿、血管の血液、又は腸の腸内ガス、及び気管又は肺の息、又は腸の固形糞のような、腔内の液体、気体、固体の自然な流れが維持される。
【0037】
さらに、腔を少なくとも一つの一体型三次元素子が位置する方に広げることにより、三次元素子は、腔内で移動することなく、腔内にしっかりと配置される。三次元素子のとげ状の形状のような他のいかなる固定手段は必ずしも必要でなく、素子は腔内にダメージを与えることなく容易に除去される。
【0038】
本発明のある形態において、少なくとも一つの一体型三次元素子は、身体の腔内の液体、気体、又は固体が自由に通過できるようなチューブ状の形状を有してもよい。このチューブ状の形状は、照射そして結果的にその後生じうる膨潤の間も、腔を開いたままにする。
【0039】
加えて、三次元素子の挿入が本発明のある局面である時、三次元素子の挿入は、実質的に身体のいかなる組織への食い込みなしに、身体の生得的な開口を通してなされる。マーカーとしての三次元素子のこの挿入方法は、侵襲的手術を必要とせず、そのような手術に関するリスクを無くすか、あるいは少なくとも低減させる。
【0040】
さらに本発明に係るさらなる側面に係る方法は、全く、又は少なくとも実質的に身体のいかなる組織への食い込みなしに、身体の生得的な開口を通して三次元素子を除去するステップを含む。生得的な腔又は開口を通して三次元素子を除去することにより、三次元素子の除去は侵襲的手術なしに実施され、そのような手術に関する雑菌混入のリスクを無くすか、少なくとも低減させる。
【0041】
三次元素子は生得的な腔に挿入され、それゆえ、腔は身体の生得的な開口であるから、組織周囲にダメージを与えない。それゆえ、身体内に固定するために、素子はいかなる組織にも突き刺されない。三次元素子が腔内で移動しないように、少なくとも部分的に腔内に接することにより、三次元素子は固定される。
【0042】
好適には、本発明のその他の側面に係る、監視及び調整のステップが、腫瘍のような障害組織の照射の間に実施される。
【0043】
本発明のその他の側面において、少なくとも一つの一体型三次元素子は実質的にチューブ状の内腔内人工補綴物である。それゆえ、三次元素子は、縮小した尿道又は尿管を拡張するため等の他の目的のために身体内に既に配置されている。三次元素子は、照射及び照射によりその後結果的に生じうる膨潤の間も、腔を開いたままにする。三次元素子は少なくとも30日の間、腔内に居続けることができる。そのため、例え照射が時間単位、日単位、又は週単位で複数の期間に分割されても、総ての照射の間、液体、気体、又は固体の浸透のために、腔を開いたままにする。
【0044】
実質的にチューブ状の内腔内人工補綴物である少なくとも一つの一体型三次元素子に関しては、液体、気体、又はガスの浸透のために三次元素子が挿入される腔を開いたままにするための、あらゆるカテーテルの必要性を減らす。
【0045】
また本発明のその他の側面に係る少なくとも一つの一体型三次元素子は、少なくとも一本のワイヤの螺旋状のコイルであってもよい。ここで、ワイヤを引っ張ることにより、それが挿入された生得的な腔又は開口を通して、三次元素子を回収することが可能になる。
【0046】
好適には、本発明の側面に係る少なくとも一つの一体型三次元素子は、高分子や生体材料のような生体適応材料、又はステンレス鋼、チタン、プラチナ、パラジウム、ニッケル−チタン及びその他の合金、又はこれらの物質の任意の組み合わせからなる。生体適応材料のような三次元素子を用いることにより、人間や動物の身体中にある時に、三次元素子が感染を起こさない。
【0047】
さらに、本発明の付加的な側面に係る少なくとも一つの一体型三次元素子は、形状記憶合金からなる。形状記憶合金を採用することにより、三次元素子は腔内で膨張することが可能である。
【0048】
本発明のその他の側面において、少なくとも一つの一体型三次元素子は、遷移温度が体温以上、好ましくは37℃から50℃の間の形状記憶合金からなってもよい。
【0049】
体温とは、本発明に係る方法を適用している間の、人間又は動物の身体の温度と解釈される。本発明のほとんどの適用において、人間の体温は約37℃である。
【0050】
しかし、人間の身体か動物の身体かに応じて、体温は変わりうる。ある動物は人間よりも常に低い体温を有し、ある動物は人間よりも常に高い体温を有する。
【0051】
また体温は、人間又は動物の物理的状態に応じて異なりうる。もし人間又は動物が熱をおこす病気にかかった場合、熱により体温は高くなる。そして、もし人間又は動物が新生児か老人であった場合、あるいは人間又は動物が血流を不安定にする病気にかかっている場合、ことによると不安定な血流により体温は低くなりうる。
【0052】
形状記憶合金を用いることにより、遷移温度まで熱することにより、三次元素子は腔内で膨張することができる。もし遷移温度が人間又は動物の身体のほぼ通常の体温であれば、身体が素子を温めた時に膨張し、この三次元素子の膨張は熱を付加的に与えることなくなされる。遷移温度が体温より高い範囲にある場合、遷移温度より高い温度を有する滅菌水又は同様の液体でフラッシングすることにより三次元素子を加熱し、膨張が得られる。
【0053】
遷移温度が37℃から50℃の形状記憶合金を用いることにより、体内の囲む部分はやけどしない。そうでなければ、感染や組織へのダメージを引き起こしうる。
【0054】
本発明のその他の形態において、少なくとも一つの一体型三次元素子は、37℃以下好ましくは20℃以下5℃以上の温度で、手動で塑性的に変形可能な材料からなっていてもよい。手動で塑性的に変形可能な材料を用いることにより、三次元素子は医師の手の力により簡単に除去でき、三次元素子の回収の間、三次元素子は小さなサイズに簡単に変形しうる。
【0055】
加えて、本発明に係る少なくとも一つの一体型三次元素子の動きを監視するステップは、毎秒50画像、少なくとも毎秒2乃至50画像、少なくとも毎秒1画像、少なくとも毎分12画像、又は医療用画像化装置に応じて少なくとも毎分2画像、少なくとも毎秒2乃至50画像、少なくとも毎秒1画像、少なくとも毎分12画像、又は少なくとも毎分2画像生成することにより実施される。
【0056】
上述した周期で収集することにより、三次元素子及び障害組織に生じうる動きはほぼ直ちに平均化され、当該方法はほぼ継続的に実施される。それにより、前述した正常組織のダメージが本質的に減少する。
【0057】
本発明に係る画像は二次元投影画像又は三次元画像でよく、画像は医療用画像化装置で得られ処理される。
【0058】
本発明に係る医療用画像化装置は、磁気共鳴スキャン(MRスキャン)、核磁気共鳴スキャン(NMRスキャン)、磁気共鳴映像スキャン(MRIスキャン)、コンピュータ断層撮影スキャン(CTスキャン)、円錐CTスキャン、陽電子放射断層撮影(PET)、単陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、単陽電子放射断層撮影(SPET)、画像誘導放射線治療 (IGRT)、超音波スキャン、又はX線、高エネルギー光子装置、又は高電圧装置でありうる。
【0059】
また本発明に係る画像は、照射源のエネルギーを用いて得られ処理されてもよい。それにより他の装置はもはや必要なく、多くのコストを下げ、照射室の空間を確保することが可能となる。
【0060】
本発明のさらなる側面において、画像は放射線ビームのエネルギーを用いて得られ処理されてもよい。このように、他の装置の使用はもはや必要なく、多くのコストを下げ、照射室の空間を確保することが可能となる。
【0061】
さらに患者が不必要に照射されることもない。照射線量が計算される時、腫瘍6のような障害組織の広がりを決定するための画像を生成するために、患者の照射が含まれる。線量は、周囲の正常組織が再生不可能なほどダメージを受けないように計算される。正確な範囲で患者を治療し、単に試験画像を生成するためだけでなく、患者の照射が用いられる。
【0062】
障害組織を照射するためのものと同じ装置を用いることにより、画像を得なければならない時に装置を前後に変えるために要した時間が節約される。
【0063】
本発明のその他の形態において、画像は、照射源のために電力を産むためのエネルギー源からの電気エネルギーを用いて得られ処理される。
【0064】
さらに、本発明の側面に係る少なくとも一つの一体型三次元素子は、一般的な内視鏡装置で三次元素子の挿入及び/又は除去が可能な構造を有する。
【0065】
三次元素子の挿入及び/又は除去の間に一般的な内視鏡装置を使用することを可能にしたことにより、さらなる装置のコストが節約され、三次元素子の挿入又は除去の間に異なる装置を使用する間の交換時間が減る。
【0066】
腔は少なくとも一つの囲壁を有し、本発明に係る少なくとも一つの一体型三次元素子は、三次元素子を挿入する時には折りたたみ可能な構造を持ち、また腔から除去される時は、三次元素子は腔の囲壁にむかって膨張可能である。折りたたみ可能な構造は、挿入が実施される得的な腔の内壁への影響を減らすことができる。折りたたまれた状態にある時、素子は実質的に二次元的な外形を有しうる。そして広げられた状態の時、素子はほぼ二次元的な外延から三次元的な外形に変化する。
【0067】
好ましくは、本発明に係る基準は、人間の身体又は動物の身体の内部の位置、又は外部の位置に配置されている。
【0068】
加えて、本発明に係る基準は、骨格でもよい。
【0069】
さらに本発明のある側面に係る基準は、画像検出可能な物体である。
【0070】
又本発明は、前述した方法のいずれかに係る方法を実施するための装置に関する。そのような装置は、三次元素子を識別するための手段、三次元素子及び照射装置の予備的な位置を決定するための手段、素子に生じうる動きを監視するための手段、及び動きに応じて、照射装置、あるいは人間の身体又は動物の身体を調整する手段を備える。
【0071】
ある側面において三次元素子を特定する手段は、画像検出のためのコンピュータ・プログラムでもよい。そして三次元素子の予備的な位置を決定するための手段も、画像検出のためのコンピュータ・プログラムであってよい。照射装置は、腫瘍のような障害組織を照射するための任意の一般的な照射装置であってもよい。素子に生じうる動きを監視する手段は、動きに応じて照射装置、あるいは人間の身体又は動物の身体を調整する手段にシグナルを伝達するコンピュータであってもよい。
【0072】
本発明のある形態において、本発明は三次元素子を特定する方法に関する。当該三次元素子は、人間の身体又は動物の身体内の対象組織に対して、人間の身体又は動物の身体内に配置される。本発明は以下のステップを含む。第1の画像中で視認可能な三次元素子の第1の画像を特定すること、ここで第1の画像は第1のタイプの医療用画像化装置によって得られ処理される、第2の画像中で視認可能な三次元素子の第2の画像を特定すること、ここで第2の画像は第2のタイプの医療用画像化装置によって得られ処理される、第1の画像中の三次元素子の位置と、第2の画像中の三次元素子の位置の決定に基づいて、第1の画像と第2の画像を照合すること。
【0073】
異なる画像化技術で生成された異なる画像の組み合わせが、放射線治療の計画中に用いられる。放射線治療の計画中、癌の腫瘍のような対象組織が診断画像中に特定される。この後、腫瘍の位置と形状が特定され、腫瘍の形状と位置に基づいて、患者に与えられる放射線治療の輪郭が作製される。
【0074】
放射線治療の計画中の腫瘍の特定のいかなる不正確さも、治療中の不正確な照射をもたらし、照射が対象の意図された組織に当たらないというリスクをうむ。場合によっては、それは正常組織の外傷を与える照射となりうる。そして/または、それは非正常組織の一部が照射されないという事態をもたらしうる。
【0075】
少なくとも第1の画像と第2の画像を得ることにより、そして三次元素子の位置の決定により画像を照合することにより、三次元素子と対象組織は画像中で等しく位置決めされる。それにより、第1のタイプの医療用画像化装置の考えられうる利点と、第2のタイプの医療用画像化装置の考えられうる他の、又は付加的な利点が、三次元素子と対象組織の相互関係について、1回かつ同時に得られる。
【0076】
対象組織の内部、又は少なくとも非常に近くに配置されたマーカーとして三次元素子を用いることにより、マーカー及び対象組織付近で、画像は正確に照合されることができる。これにより、三次元素子の画像中の位置に基づいて、正確に画像を照合することが可能になる。またこれにより、三次元素子に対して正確な位置に位置決めされた対象組織の位置も、画像中で正確に決定されたことを保証する。
【0077】
異なる医療用画像化装置の異なる画像中の対象組織の位置をより正確に決定できるため、物理学者、及び/又は医療関係者は、癌の腫瘍のような対象組織を非常に正確に特定し、位置決めすることができるようになる。
【0078】
これとは対称的に、従来の方法で、異なる医療用画像化装置から得られた画像を比較しようとすると、マーカーが人間又は動物の身体内に存在しないという事実、あるいはマーカーがマーカーの位置と対象組織の位置の間の一定の相互関係を保証する位置にいないという事実により、マーカーと対象組織の間の相互位置関係を正確に決定することはできなかった。
【0079】
チューブ状の内腔内人工補綴物のような三次元素子であるマーカーを用いることにより、異なる医療用画像化装置の異なる画像の照合は、異なるタイプの医療用画像化装置で得られた異なる画像中の三次元素子の自動検出により誘導されることができる。これにより、三次元素子及び対象組織の異なる画像中の位置の照合を自動的に導くことが可能になる。
【0080】
照射装置を制御することを意図されたマーカーとしての三次元素子は、特定及び位置決めのために用いられる2以上の診断画像の照合、及び放射線治療の計画中に作製される照射プロファイルの生成にも用いられることができる。照射装置を制御するためと、放射線治療の計画のために画像の照合をするための両方に同じ三次元素子を使用することは、三次元素子の再挿入及び再配置のいかなる必要性も生じず、便利である。
【0081】
三次元素子は、人間又は動物の身体中の三次元素子の実際に意図された位置に応じて、異なる幾何特性を有してもよい。加えて、あるいは代わりに、異なる画像中のマーカーとしての使用から離れて、三次元素子は人間又は動物の身体中の三次元素子の実際に意図された使用に応じて異なる物理的特性を有しうる。幾何学的及び物理的特性の可能性は、以下に述べる。
【0082】
このように、三次元素子は三次元素子が配置される腔内の液体、ガス、又は固体の通過を可能にする形状を有してもよい。腔から除去される時に、三次元素子は腔の内部から腔にむかって膨張してもよい。三次元素子は、三次元素子が配置される腔内の液体、気体、又は固体の通過が可能なチューブ状の形状を有してもよい。三次元素子は、あるいは少なくとも一本のワイヤの螺旋状のコイルからなるチューブ状の内腔内人工補綴物であってもよい。
【0083】
三次元素子は、一般的な内視鏡装置で三次元素子の挿入及び/又は回収が可能な構造を有してもよい。三次元素子は、三次元素子を人間又は動物の身体の腔に挿入する時に折りたたまれた構造を可能にし、三次元素子が人間又は動物の身体の腔に配置された時に膨張した構造を可能にする、折りたたみ可能な構造を有してもよい。
【0084】
三次元素子は、高分子や生体材料のような生体適応材料、又はステンレス鋼、チタン、プラチナ、パラジウム、ニッケル−チタン及びその他の合金、又はこれらの物質の任意の組み合わせからなっていてもよい。
【0085】
三次元素子は、体温以上の温度で、好ましくは37℃から50℃の間の温度で、一方向記憶効果を伴う遷移温度を有する形状記憶合金からなっていてもよい。あるいは、もしくは付加的に、三次元素子は、体温以下の温度で、好ましくは37℃以下の温度で、より好ましくは20℃以下5℃以上の温度で、三次元素子が手で塑性的に変形可能な物質からなっていてもよい。あるいは代わりに、三次元素子は体温で超弾性であり、好ましくは37℃で超弾性である形状記憶合金からなっていてもよい。
【0086】
本発明の形態に係る医療用画像化装置は、以下の画像化装置のいずれであってもよい。磁気共鳴スキャン(MRスキャン)、核磁気共鳴スキャン(NMRスキャン)、磁気共鳴映像スキャン(MRIスキャン)、コンピュータ断層撮影スキャン(CTスキャン)、円錐CTスキャン、陽電子放射断層撮影(PET)、単陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、単陽電子放射断層撮影(SPET)、画像誘導照射治療(IGRT)、超音波スキャン、又はX線、高エネルギー光子装置、又は高電圧装置。画像は、照射装置のエネルギーを用いて得られ処理されてもよい。あるいは画像は治療照射ビームからのエネルギーを用いて得られ処理されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
以下において、本発明は添付した図面を参照して説明される。
【0088】
図面は図式的であり、描写のために示される。
【0089】
図1は、侵襲的手術を用いて、皮膚iを通して従来技術のマーカーmの挿入を示し、挿入は、腫瘍dの照射の位置決めのために得られた画像における、腫瘍のような障害組織dの位置を把握するためになされる。図2に示されるように挿入された時、3又はそれ以上のマーカーmが照射装置に対して配置され、照射源はしばらくの間オンにされる。照射時間に続いて、照射は中断される。周囲の正常組織が新しい照射に耐えうるように、腫瘍dの照射は、少なくとも2、3日の期間をおいて、継続されうる。この照射中の腫瘍のいかなる動きも補償できるように、照射期間中、照射装置は決して調節されない。図1及び図2に示した従来技術のマーカーは、2つの照射期間の間に、体内で相当動きうる。その場合、より多くのマーカーが挿入される必要がある。
【0090】
(本発明の説明)
図3に示すように、患者1が癌を持つとの予後を告げられた時、癌は、腫瘍6のような障害組織6の形態で、患者の体内にしばしば位置する。予後は、X線画像4又は患者1の画像4のようなものを得た開業医又は主治医によってしばしば告げられる。画像4は検査され、例えば腫瘍6の照射のような患者1の実際の治療の前に、画像4中における腫瘍6の位置が決定される。以下において、障害組織の例として腫瘍6が用いられる。しかし本発明に係る装置制御方法を採用する時、腫瘍以外の他のタイプの障害組織も、照射装置を制御しながら治療されてもよい。
【0091】
一連の画像4は、腫瘍6の広がりを確認するために得られる。本発明のある形態において、三次元素子7の位置は、例えばMR操作技術等を用いて、一連の画像4を生成することにより決定される。腫瘍の広がりが確認され、患者1の体内に既に配置された素子がない場合、腫瘍6のマーカーとして適切な三次元素子7が患者1に挿入される。他の状況において、腫瘍の広がりを確認する時に、腫瘍6のマーカーとして適切な素子は既に患者1の体内に配置されている。三次元素子は、治療される腫瘍6から所定の距離の範囲内、又は治療される体積の内部に挿入されているか、配置されている。前立腺内の腫瘍6を照射する時、三次元素子7は前立腺内の尿道内にしばしば配置され、それは、図4、5、6、7、12、13、及び14に示された治療される領域6のすぐ近くである。
【0092】
本発明のある形態において、三次元素子7は自動的に確認され、基準に対する予備的な位置が決定される。本発明のある実施の形態に係る基準は、例えば三次元素子7の中央の位置に設定されうる。上述したように、三次元素子7の位置は、一連の画像4を生成することにより決定される。画像4はコンピュータに入力される。コンピュータは、三次元素子7と腫瘍の相互関係を計算し、保存する。相互関係は、腫瘍6と三次元素子7の間の距離を確定することにより得られてきた。それにより、例えば骨格に対する体内組織のあらゆる動き、あるいは全体としての身体1の動きがある間、距離が固定される。それにより、固定された距離とは、腫瘍6と三次元素子7が互いに実質的に相対移動してきていないことを意味する。本発明に関して、基準に対する画像4中の三次元素子7の予備的な位置を確定することは、コイル状の素子7の螺旋間のピッチ距離や、三次元素子7の構造転移における撓みや、三次元素子7の外周や輪郭等の既知の幾何形状を特定することにより実施される。
【0093】
その後、照射装置2の予備的な位置がコンピュータによって自動的に決定される。基準に対する照射装置2の予備的な位置の決定は、照射装置から放射線が照射される位置から、画像4中の開始点/セットアップ点までの距離を測定することにより実施され、画像4の平面が位置する深さを特定することを含む。基準に対する照射装置の予備的な位置の決定も、照射ヘッドに対して体内のある骨格が位置するところを特定することにより実施される。あるいは、寝いすと、照射装置から放射線が照射される位置までの間の相対関係を確定することにより実施されてもよい。
【0094】
腫瘍6を照射するために照射装置2が起動されている時間の間、素子7のいかなる動きも監視される。生じうる動きが検出された場合、腫瘍6の照射が可能な限り正確に実行されるように、素子の動きに応じて照射装置2は調整される。この点において、照射装置2は、いくつかある特徴の中で特に、患者が横たわるか座る寝いすと、照射源と、照射ビームと、ビーム形状を限定するプレートや遮蔽物を備える。
【0095】
本発明に係る照射装置2の調整は、照射装置2の配置の調整や、装置2に対する寝いす5の配置の調整や、照射源の出力の調整や、ビーム3の焦点位置の調整や、ビーム3の強度の調整や、ビーム3の形状を変えるためのプレートや遮蔽物の移動の調整などでありうる。さらに照射装置の調整は、照射される身体に対する照射ビーム3の偏光であり得る。
【0096】
また照射装置2の調整は、素子7がある領域の外にあると監視された時に、照射源の出力を下げることと、素子7が再びある領域の中にある時に、出力を再び上げることであり得る。さらに、腫瘍6のある領域を他の領域よりも高い放射線量にさらすために、照射時間の間、照射出力を調整することも可能であり得る。例えば、照射マージン領域を、腫瘍6それ自身よりも小さい放射線量にさらすことや、人間や動物の体内のあるとても危険な領域を、腫瘍6それ自身よりも小さい放射線量にさらすことである。
【0097】
出力を上げたり下げたりする代わりに、照射ビームは偏光にされたり、あるいは照射ビームの焦点が変更されたりしうる。腫瘍6の全領域を照射するために、予め設定された動作パターンで照射ビームを動かし、腫瘍6を照射する必要がある場合もある。
【0098】
照射装置2に対する三次元素子7に生じうる動きを監視することは、医療用画像化装置に応じて、あるいは三次元素子7の動きの予測される周期に基づいて、1秒につき10〜20回、あるいは1分に1、2回のように、予め選定された間隔で実施されうる。
【0099】
患者への照射を計画する時、例え監視や調整のステップが照射マージンのサイズの減少を供するとしても、腫瘍6が充分に照射されるように、照射マージンが用いられる。実際の照射をする前に、患者が照射用の寝いすに横たわっている時、又は患者がどのような形態であれ照射室にいる時に、腫瘍6に対して位置決めされた三次元素子7は配置されている。
【0100】
ある実施の形態において三次元素子7の配置は、照射装置2自身を用いて高電圧画像4を得ることにより決定される。三次元素子7が予め計画されたように配置されるように、そして基準が三次元素子7の中央に位置するように、患者又は照射装置2が配置される。これによって、開始点が決定され、基準に対する照射装置2及び素子7の予備的な位置とも呼ばれる。
【0101】
この点において、基準は、三次元素子7に対する腫瘍を特定することにより得られた、何らかの以前の画像4でありうる。以前の画像4は、三次元素子7に生じうる動きを監視するために得られた最後の画像4でもよい。あるいは基準は、予備試験の間に得られた画像4でもよい。現在の画像4の前に得られた画像4という意味での前の画像4によって、三次元素子7の位置が決定される。本発明のその他の形態において、基準は照射の間患者がいる寝いすでもよいし、あるいは基準は照射装置2そのものでもよい。また基準は骨格でもよいし、人体又は動物の身体の内部又は外部のその他の特定された構造であってもよい。
【0102】
三次元素子7に生じうる動きを自動的に監視し、検出することにより、本発明に係る方法は、三次元装置7が決定された予備的な位置から動くたびに、相互に対する照射装置2又は患者を調整可能である。これにより、例えば呼吸や、力によって生じる動き、患者によって故意に生じた動き、あるいは患者の無意識による動きのような、患者によって生じる小さな動きによって生じる腫瘍の周期的な動きが補償されることができる。照射の正確性の顕著な向上が成し遂げられ、正常組織の照射は減少する。
【0103】
図14は、三次元素子7の輪郭内に位置づけられた画像の中心に基づいて、異なる画像4を結合することが、例えば前立腺のような対象組織の非常に正確な位置決定を供することを示す。
【0104】
腫瘍を照射する間、画像4を収集することにより、三次元素子7及び腫瘍6のいかなる動きの監視も、動きが生じるごとに瞬時に平均化されうる。収集周期は、画像4を生成するために使用される装置に応じて、1秒あたり10画像かより高速かな周期から、3秒あたり1画像まで変化しうる。
【0105】
照射装置2のような高電圧装置それ自体は、例えばMR走査装置より劣る収集周期(又は収集速度)を有する。しかし照射装置2それ自体を使用する時、他の装置は必ずしも必要ない。
【0106】
三次元素子7に対する腫瘍6の位置を決定するための第1画像4を決定するために、しばしばX線が使用される。しかし、CTスキャン装置やMRスキャン装置のようなその他の装置も同様に使用されうる。このように、三次元素子7に対する腫瘍6の位置は、患者が照射室に入る前に決定される。
【0107】
本発明のある形態において、患者自身が第1の画像4を照射装置のコンピュータに入力する。第1の画像4は以前の画像4として、そしてそれにより、照射装置2のコンピュータにおける基準として用いられる。その後、照射装置2に対する素子7の配置を決定するための画像4を生成するために、コンピュータは照射装置2を制御する。そしてもし必要であれば素子7の位置に対する照射装置2と、人間や動物の身体の照射を、コンピュータは調整する。
【0108】
三次元素子7は、その他の多数の理由により体内に供されるあらゆる物体でよい。そのような物体は、尿道や、体内の泌尿器の管、尿道、胆汁の管、気道、腸、又は血管のようなその他の生得的な腔に配置される素子7のように、しばしばチューブ状である内腔内のあらゆる種類の人工補綴物でありうる。
【0109】
もし素子7が照射される腫瘍の付近に既に存在する場合は、素子7は、上述したように、生得的な腔の内部の液体、気体、又は固体の通過を保証する。照射された組織は膨張しはじめ、それにより生得的な腔の体積を減らしうることがよく知られている。チューブ状の内腔内人工補綴物のような三次元素子7は、この腔の体積の減少に逆らうことを助けうる。
【0110】
生得的な腔の体積の減少を避けることを理由として、1又は複数の素子7が供され、照射の間の前述した瞬間的な動きを調整するために、照射装置2を制御するために使用されうる。
【0111】
さらに本発明のその他の形態において、三次元素子7は生得的な腔における挿入及び回収を可能にする形状を有しうる。加えて、腔に挿入された時、腔の囲壁に対する力を提供し、この位置に素子7をしっかりと留めるために、素子7の一部は膨張してもよい。
【0112】
本発明のその他の実施の形態において、腔の囲壁に対する素子7の固定は、生得的な腔の外部の組織に少なくとも部分的に接する素子7の少なくとも部分により、あるいは、尿管、血管、又は同種の管のような腔の長手方向の動きを阻止する固定機構を処理するY形状、I形状、又は同種の形状を有する素子7によりなされる。
【0113】
図4、5、7、及び8に示すように、本発明に係るこのような三次元素子7の例は、前立腺付近の尿道に挿入するために用いられるチューブ状のステントである。ステントが前立腺を通る男性の尿道の一部に配置され、外部の尿道の括約筋に近接する素子7の末端の膨張が生じた時、素子7はその位置に留まり、括約筋の機能を損なうことなく、尿を通過させることができるようになる。
【0114】
素子7のワイヤ状の構造は、冷却された時に形状記憶合金の素子7が柔らかくなることから、素子7が体腔から除去されたり、引き出されたりしなければならない時に、特に有利である。螺旋状にまかれたワイヤの任意の部分をつかみ、その後ワイヤとして腔からコイルを引き抜くことにより、素子7は取り除かれうる。さらに素子7はコイル状のワイヤ以外の異なる構造を有してもよく、また素子は、冷却された時に素子7が超弾性となり、除去の前に素子7を畳み込むことにより除去できるような、その他の合金からなっていてもよい。
【0115】
固定機構のようなものを有する三次元素子7を用いることのさらなる利点は、呼吸、あるいは人間や動物の身体の部分的なその他の動きの間、又は図7に示すような同一の物体の全体的な動きの間、素子7が腫瘍6と共に動くことである。腫瘍6に対し本質的に相対的に移動することなく素子7が動くという事実により、照射装置2は、腫瘍6を正確に照射するために、三次元素子7に生じうる動きに対して調整されることができる。照射装置2によって生成された画像4において、コンピュータは、このような画像4において見えることができないので腫瘍6を検出することができない。しかしステンレス鋼、チタン、プラチナ、パラジウム、金、ニッケル−チタン及びその他のそれらを用いた合金のような金属からなる三次元素子7は、このような画像4中で容易に検出される。それゆえ、素子7に生じうる瞬間的な動きも検出可能であり、照射装置2はそのような瞬間的な動きを平均化するために調整される。
【0116】
また素子7は、いくつかの画像中で検出可能な、高分子や生体材料のような生物に適応したその他の材料からなっていてもよい。
【0117】
三次元素子7は、あらゆる種類の医療用画像化装置によって得られ、生成される画像4で検出可能な、あらゆる形状を有してもよい。その形状は、結果として画像4において予め設定された幾何学的な形状である。生じうる動きを監視するために、予め設定された幾何学的な形状が画像4中で特定され、照射装置2の調整は、身体を動かすことか、あるいはこの動きに対して照射装置2の他のパラメータの位置を適切に調節するかのいずれかであり得る。
【0118】
前立腺付近の尿道に挿入された前述した素子7を使用する時、予め設定された幾何学的な構造とは、螺旋状に巻かれたコイルの直径や、又はコイルの巻の間のピッチ距離でもよい。この幾何学的な構造は、多数の検出可能な点を供し、コンピュータ上で実行される画像処理によって画像4中に自動的に検出されることができる。
【0119】
素子7の予め設定されたその他の幾何学形状は、図7に示す素子7の直線部分と、円錐部分との間の角度vでもよく、あるいは予め設定された構造は、素子7の直線部分とコイルの円錐部分が交差する変遷部分であってもよい。前述した検出方法のように、この検出もまた素子7の三次元配置を供する。
【0120】
素子7及びその他の種類の内腔内人工補綴物は、しばしばあらゆる長さで製造される。そして前述した予め設定された幾何学的形状は、ステントやその他の内腔内人工補綴物の長さのバリエーションからは独立したものである。
【0121】
上述したように、三次元素子7は、前述した画像4中で識別可能に設定された幾何学的形状を供するあらゆる種類の形状を持ちうる。そのような他の形状の例を図8乃至11に示す。これらの図に示した螺旋状に巻かれたようなコイルの代わりに、三次元素子7は堅い外壁、及び/又は膨張可能な部分、又は異なる種類の固定機構を有するチューブであってもよい。チューブ状の素子7の外壁は、クロスパターン、編みパターン、あるいは同種のパターンのような異なるパターンで巻かれたワイヤからなっていてもよい。本発明のその他の形態において、三次元素子7は埋没物でもよく、あるいは基準がそのような埋没物でもよい。
【0122】
メガボルト装置という語によって、150kV以上、好ましくは1MV以上、そして好ましくは50MV以下を制御するあらゆる種類の電子加速器が意図される。そのような電子加速器が、腫瘍6を照射することにより患者を治療するために使用される照射装置2に使用可能である。
【0123】
医療用画像化装置という語によって、障害組織及び三次元素子7の画像4を生成可能なあらゆる種類の装置が意図される。そのような装置としては、磁気共鳴スキャン(MRスキャン)、核磁気共鳴スキャン(NMRスキャン)、磁気共鳴映像スキャン(MRIスキャン)、コンピュータ断層撮影(CTスキャン)、円錐ビームCTスキャン、陽電子放出断層撮影(PET)、単陽電子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、単陽電子放射型断層撮影法(SPET)、画像誘導放射線治療(IGRT: Image- Guided-Radiation-Therapy)、超音波スキャン、又はX線、高エネルギー光子装置、又は高電圧装置等が使用可能である。
【0124】
形状記憶合金との語は、マルテンサイトからオーステナイトへ、ある温度範囲(オーステナイト開始点からオーステナイト終了点(ASからAF))で、遷移する金属として定義される。この温度範囲(ASからAF)内で三次元素子7の膨張は開始し、マルテンサイトの総てがオーステナイトに遷移した時に、膨張は停止する。素子7はこの温度範囲(ASからAF)内で、元の形状を「記憶」する。その他の温度範囲(マルテンサイト開始点からマルテンサイト終了点(MS to MF))で、合金はマルテンサイトに戻る。この他の温度(MF)以下で、素子7は手で容易に変形でき、それ故素子7は体腔内で容易に変形可能であり、素子7が挿入された生得的な開口を通して容易に回収されることができる。あるいは挿入された開口ではなく、その他の生得的な開口から回収されてもよい。形状記憶合金は温度活性化合金とも呼ばれる。
【0125】
形状記憶合金の語は、体温である約37℃のような温度で超弾性特性を有し、0℃以下のようなその他の温度では塑性である金属でもある。超弾性特性という言葉によって、他の金属と比較して非常に早い変形速度で弾性的に変形されることができる合金が意図される。そのような合金は、金属が原型を記憶することができる温度(AS)を必ずしも持つ必要がない。
【0126】
形状記憶合金は、ニッケル−チタン合金、ニッケル−チタン−コバルト合金、他の遷移及び貴金属合金、又は形状記憶特性を示す熱可塑性熱設定可能物質でありうる。ワイヤの加熱は、誘導加熱、投げ込み加熱、RFエネルギーの適用、又は三次元素子の領域を特定の温度の液体でフラッシングすることによりなされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、手術によって人体の組織に挿入された、従来技術のマーカーを示す。
【図2】図2は、腫瘍の周囲の組織に挿入された3つの従来技術のマーカーを示す。
【図3】図3は、照射装置の下の寝いす上に横たわる人体を示す。
【図4】図4は、男性の尿道の生得的な腔に挿入された三次元素子を示す。
【図5】図5は、図4に示した三次元素子のX線画像を示す。
【図6】図6は、その他の三次元素子のX線画像を示す。
【図7】図7は、男性の尿道の生得的な腔に挿入された三次元素子を示す。
【図8】図8は、三次元素子の例を示す。
【図9】図9は、三次元素子の他の例を示す。
【図10】図10は、三次元素子の他の例を示す。
【図11】図11は、三次元素子の他の例を示す。
【図12】図12は、100万ボルト装置で得られた画像中の三次元素子の例を示す。
【図13】図13は、100万ボルト装置で得られた画像中の三次元素子の例を示す。
【図14】図14は、中心に三次元素子を有し、CTスキャンで得られた画像を合成したものを示す。
【符号の説明】
【0128】
1…人間の身体
2…照射装置
3…ビーム
4…画像
6…障害組織
7…三次元素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の身体の外部又は動物の身体の外部に配置された照射装置の制御方法であって、前記方法が以下のステップを含む:
画像(4)中に、前記画像中で視認可能な少なくとも一つの一体型三次元素子(7)を特定すること、前記少なくとも一つの一体型三次元素子は前記人間の身体又は前記動物の身体の腔に位置している、
前記画像中において、基準に対する前記画像中で視認可能な前記少なくとも一つの一体型三次元素子(7)の予備的な位置を決定すること、
前記基準に対する前記照射装置(2)の予備的なセットアップを確立するため、前記基準に対する前記照射装置(2)の予備的な位置を決定すること、
前記基準に対する前記少なくとも一つの一体型三次元素子(7)の前記予備的な位置又はその後の位置に応じて、前記基準に対する前記照射装置(2)を調整すること。
【請求項2】
請求項1に係る方法において、前記基準に対する前記照射装置の予備的な位置を決定するステップが、前記照射装置と前記基準との間の相互関係の予備的なセットアップを確立するために実施される。
【請求項3】
請求項1に係る方法において、前記基準に対する前記照射装置の予備的な位置を決定するステップが、前記照射装置の多数の選択された照射パラメータの予備的なセットアップを確立するために実施される。
【請求項4】
請求項1に係る方法において、調整するステップが、前記基準に対する前記三次元素子に生じうる動きに応じて、前記照射装置と前記基準との間の相互関係を調整するステップである。
【請求項5】
請求項1に係る方法において、調整するステップが、前記照射装置の前記予備的な位置に応じて、前記照射装置の多数の選択された照射パラメータの少なくともいくつかを調整するステップである。
【請求項6】
請求項1に係る方法において、調整するステップが、前記三次元素子に生じうる動きに応じて、前記照射装置の多数の選択された照射パラメータの少なくともいくつかを調整するステップである。
【請求項7】
前述の請求項のいずれかに係る方法において、前記方法が、前記照射装置に対する、前記三次元素子に生じうる動きを監視するステップを更に含む。
【請求項8】
前述の請求項のいずれかに係る方法において、前記基準が、前記身体(1)の腔に配置された時の前記三次元素子(7)の前の画像(4)である。
【請求項9】
前述の請求項のいずれかに係る方法において、前記三次元素子(7)の少なくとも一部が、前記三次元素子が配置される前記腔内部の液体、ガス、又は固体の通過を可能にする形状を有する。
【請求項10】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)の少なくとも一部が、前記三次元素子が位置する前記腔から除去される時に、前記腔の内部から前記腔に向かって膨張する。
【請求項11】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)の少なくとも一部が、前記三次元素子が配置される前記腔内部の液体、ガス、又は固体の通過を可能にするチューブ状の形状を有する。
【請求項12】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)がチューブ状の内腔内人工補綴物である。
【請求項13】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)が、少なくとも一つのワイヤによる螺旋状のコイルである。
【請求項14】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)が、高分子や生物材料のような生体適応材料、又はステンレス鋼、チタン、プラチナ、パラジウム、ニッケル−チタン及びその他の合金、又はこれらの材料のいずれかの組み合わせからなる。
【請求項15】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)が、体温以上の温度で一方向記憶効果を有し、好ましくは37℃から500℃の間で一方向記憶効果を有する形状記憶合金からなる。
【請求項16】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)が、体温以下の温度で手動により塑性的に変形可能な、好ましくは37℃以下で塑性的に変形可能な、より好ましくは20℃以下及び5℃以上で塑性的に変形可能な材料からなる。
【請求項17】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)が、体温で超弾性である、好ましくは37℃で超弾性である形状記憶合金からなる。
【請求項18】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記画像(4)が二次元投影像(4)であり、前記画像(4)が医療用画像化装置によって得られ処理されている。
【請求項19】
請求項1乃至17のいずれか1項に係る方法において、前記画像(4)が三次元投影像(4)であり、前記画像(4)が医療用画像化装置によって得られ処理されている。
【請求項20】
請求項18又は19に係る方法において、前記医療用画像化装置が、磁気共鳴スキャン(MRスキャン)、核磁気共鳴スキャン(NMRスキャン)、 磁気共鳴映像スキャン(MRIスキャン)、コンピュータ断層撮影スキャン(CTスキャン)、円錐CTスキャン、陽電子放射断層撮影(PET)、単陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、単陽電子放射断層撮影(SPET)、画像誘導放射線治療(IGRT)、超音波スキャン、又はX線、高エネルギー光子装置、又は高/メガボルト装置である。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に係る方法において、前記画像(4)が前記照射装置のエネルギーを用いて得られ処理される。
【請求項22】
請求項1乃至20のいずれか1項に係る方法において、治療用照射ビームからのエネルギーを用いることにより、前記画像(4)が得られ処理される。
【請求項23】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記三次元素子(7)が、一般的な内視鏡装置で前記三次元素子(7)の挿入及び/又は除去が可能な構造を有する。
【請求項24】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記腔が少なくとも一つの囲壁を有し、前記三次元素子(7)が前記腔に配置される前に折りたたまれた構造を可能とし、前記三次元素子(7)が前記腔内に配置された時に膨張された構造を可能とする、折りたたみ可能な構造を前記三次元素子(7)が有する。
【請求項25】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記基準が前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の内部の位置に配置されている。
【請求項26】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記基準が前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の外部の位置に配置されている。
【請求項27】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記基準が、骨格のような前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の一部をなす構造である。
【請求項28】
前述の請求項のいずれか一つに係る方法において、前記基準が、前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の一部でない、画像検出可能な物体である。
【請求項29】
請求項1乃至28のいずれかに係る方法を実施する装置であって、
三次元素子(7)を特定するための手段と、
前記三次元素子(7)と前記照射装置(2)の予備的な位置を決定するための手段と、
前記三次元素子(7)に生じうる動きを監視するための手段と、
前記動きに応じて、前記照射装置(2)又は前記身体が載せられる寝いすを調整するための
手段
とを備える。
【請求項30】
人間の身体又は動物の身体中に腫瘍(6)のような障害組織の位置を決定し、前記身体(6)中の前記障害組織の治療のために前記身体の外部に配置された照射装置(2)を制御するための方法で、以下のステップを含む:
前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の腔内に、少なくとも一つの一体型三次元素子(7)を挿入すること、
画像(4)中において、前記障害組織(6)に対する前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の前記画像(4)において視認可能な前記少なくとも一つの一体型三次元素子(7)を特定すること、
前記画像中において、基準に対する前記画像(4)において視認可能な前記少なくとも一つの一体型三次元素子(7)の予備的な位置を決定すること、
前記基準に対する前記照射装置の予備的なセットアップを確立するために、前記画像(4)中において、前記基準に対する前記照射装置(2)の予備的な位置を決定すること、
前記基準に対する前記少なくとも一つの一体型三次元素子(7)の前記予備的な位置又はその後の位置に応じて、前記基準に対する前記照射装置(2)を調整すること。
【請求項31】
請求項30に係る方法において、前記照射装置及び前記基準の間の相互関係の予備的なセットアップを確立するために、前記基準に対する前記照射装置の予備的な位置を決定するステップが実施される。
【請求項32】
請求項30に係る方法において、前記照射装置の多数の選択された照射パラメータの予備的なセットアップを確立するために、前記基準に対する前記照射装置の予備的な位置を決定するステップが実施される。
【請求項33】
請求項30に係る方法において、前記調節するステップが、前記基準に対する前記三次元素子に生じうる動きに応じて、前記照射装置と前記基準の間の相互関係を調節するステップである。
【請求項34】
請求項30に係る方法において、前記調節するステップが、前記照射装置の予備的な位置に応じて、前記照射装置の多数の選択された照射パラメータの少なくともいくつかを調整するステップである。
【請求項35】
請求項30に係る方法において、前記調節するステップが、前記三次元素子に生じうる動きに応じて、前記照射装置の多数の選択された照射パラメータの少なくともいくつかを調整するステップである。
【請求項36】
請求項30に係る方法において、前記方法が、前記照射装置に対する前記三次元素子に生じうる動きを監視するステップを更に含む。
【請求項37】
請求項30に係る方法において、前記基準が、前記身体(1)の腔に挿入された前記三次元素子(7)の前の画像(4)である。
【請求項38】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)の挿入が、前記身体(1)のいかなる組織に実質的に食い込むこと無しに、前記身体(1)の生得的な開口を通して実施される。
【請求項39】
請求項30に係る方法において、前記身体(1)のいかなる組織に実質的に食い込むこと無しに、前記身体(1)の生得的な開口を通して、前記三次元素子(7)が除去されるステップを更に含む。
【請求項40】
請求項30に係る方法において、監視し調整するステップが、腫瘍(6)のような障害組織の治療中に実施される。
【請求項41】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)の少なくとも一部が、前記三次元素子が配置される腔内の液体、ガス、又は固体の通過を可能にする形状を有する。
【請求項42】
請求項30に係る方法において、前記腔から除去される時に、前記三次元素子(7)の少なくとも一部が、前記腔内部から前記腔に向けて膨張する。
【請求項43】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)の少なくとも一部が、前記三次元素子が配置される腔内の液体、ガス、又は固体の通過を可能にするチューブ形状を有する。
【請求項44】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)がチューブ状の内腔内人工補綴物(7)である。
【請求項45】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)が、少なくとも一つのワイヤからなる螺旋コイル(7)である。
【請求項46】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)が、高分子や生体材料のような生体適応材料、又はステンレス鋼、チタン、プラチナ、パラジウム、ニッケル−チタン及びその他の合金、又はこれらの物質の任意の組み合わせからなる。
【請求項47】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)が、体温以上の温度で、好ましくは37℃乃至50℃の間の温度で、一方向記憶効果を伴う遷移温度を有する形状記憶合金からなる。
【請求項48】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)が、体温以下の温度で、好ましくは37℃以下の温度で、より好ましくは20℃以下5℃以上の温度で、手動により塑性的に変形可能な材料からなる。
【請求項49】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)が、体温で超弾性である、好ましくは37℃で超弾性である形状記憶合金からなる。
【請求項50】
請求項30に係る方法において、前記画像(4)が二次元投影像(4)であり、前記画像(4)が医療用画像化装置(2)で得られ処理される。
【請求項51】
請求項30に係る方法において、前記画像(4)が三次元投影像(4)であり、前記画像(4)が医療用画像化装置(2)で得られ処理される。
【請求項52】
請求項50又は51に係る方法において、前記医療用画像化装置が、磁気共鳴スキャン(MRスキャン)、核磁気共鳴スキャン(NMRスキャン)、磁気共鳴映像スキャン(MRIスキャン)、 コンピュータ断層撮影スキャン(CTスキャン)、 円錐CTスキャン、 陽電子放射断層撮影(PET)、単陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、単陽電子放射断層撮影(SPET)、画像誘導放射線治療(IGRT) 超音波スキャン、又はX線、高エネルギー光子装置、又は高電圧装置である。
【請求項53】
請求項30に係る方法において、前記画像(4)が、前記照射装置(2)のエネルギーを用いることにより得られ処理される。
【請求項54】
請求項30に係る方法において、前記画像(4)が、前記治療用照射ビーム(3)からのエネルギーを用いることにより得られ処理される。
【請求項55】
請求項30に係る方法において、前記三次元素子(7)が、一般的な内視鏡装置により前記三次元素子(7)の挿入及び/又は除去が可能な構造を有する。
【請求項56】
請求項30に係る方法において、前記腔が少なくとも一つの囲壁を有し、前記腔内に前記三次元素子(7)を挿入する時に折りたたまれた構造を可能にし、前記三次元素子(7)が前記腔に配置された時に膨張された構造を可能にする折りたたみ可能構造を、前記三次元素子(7)が有する。
【請求項57】
請求項30に係る方法において、前記基準が、前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の内部の位置に配置されている。
【請求項58】
請求項30に係る方法において、前記基準が、前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の外部の位置に配置されている。
【請求項59】
請求項30に係る方法において、前記基準が、骨格のような前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の一部をなす構造である。
【請求項60】
請求項30に係る方法において、前記基準が、前記人間の身体(1)又は前記動物の身体の一部でない、画像検出可能な物体である。
【請求項61】
請求項30に係る方法を実施するための装置で、
前記三次元素子(7)を特定するための画像生成装置と、
前記三次元素子(7)と前記照射装置(2)の予備的な位置を決定するための画像処理装置と、
前記三次元素子(7)に生じうる動きを監視するための画像生成装置と、
前記動きに応じて、前記照射装置(2)、又は前記人間の身体(1)、又は前記動物の身体を調整する装置制御活性部
とを備える。
【請求項62】
2又はそれ以上の画像中の対象組織を特定する方法で、前記方法は以下のステップを含む、
画像(4)中において、前記画像中で可視である少なくとも一つの一体型三次元素子(7)を特定する、ここで、人間の身体又は動物の身体の内部で、対象組織に対して、前記少なくとも一つの一体型三次元素子が前記人間の身体又は前記動物の身体内に位置している、
ここで前記方法は以下のステップを含む、
第1の画像中で、前記第1の画像中に視認可能な前記三次元素子を特定する、ここで前記第1の画像(4)が第1のタイプの医療用画像化装置で得られ処理される、
第2の画像中で、前記第2の画像中に視認可能な前記三次元素子を特定する、ここで前記第2の画像(4)が第2のタイプの医療用画像化装置で得られ処理される、
前記第1の画像中の前記三次元素子の位置と、前記第2の画像中の前記三次元素子の位置の決定に基づいて、前記第1の画像及び前記第2の画像を照合する。
【請求項63】
請求項62に係る方法において、二以上の異なる医療用画像化装置で得られた二以上の画像が、前記三次元素子の前記二以上の画像のそれぞれにおける位置の決定に基づいて、照合される。
【請求項64】
請求項62に係る方法において、前記第1の画像及び前記第2の画像の照合が、前記第1の画像中及び前記第2の画像中のそれぞれの前記三次元物体の自動認識により実施される。
【請求項65】
請求項62乃至64のいずれかに係る方法において、前記医療用画像化装置が、磁気共鳴スキャン(MRスキャン)、核磁気共鳴スキャン(NMRスキャン)、磁気共鳴映像スキャン(MRIスキャン)、コンピュータ断層撮影スキャン(CTスキャン)、円錐CTスキャン、陽電子放射断層撮影(PET)、単陽電子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、単陽電子放射断層撮影(SPET)、画像誘導放射線治療(IGRT)、超音波スキャン、又はX線、高エネルギー光子装置、又は高/メガボルト装置である。
【請求項66】
請求項62乃至65のいずれかに係る方法において、前記三次元素子がチューブ状の内腔内人工補綴物である。
【請求項67】
請求項62乃至66のいずれかに係る方法において、前記画像(4)が照射装置のエネルギーを用いて得られ処理される。
【請求項68】
請求項62乃至66のいずれかに係る方法において、前記画像(4)が照射ビームからのエネルギーを用いて得られ処理される。
【請求項69】
請求項62乃至68のいずれかに係る方法において、前記第1及び第2の画像を得る前に、前記三次元素子(7)が前記身体内に配置され、前記三次元素子の配置が、前記人体(1)の生得的な腔を通して、前記身体(1)のいかなる組織へ実質的に食い込むこと無しに、実施される。
【請求項70】
請求項62に係る方法において、前記三次元素子(7)が前記身体に挿入され、前記挿入が、前記身体(1)の生得的な開口を通して、前記身体(1)のいかなる組織へ実質的に食い込むこと無しに、実施される。
【請求項71】
請求項62に係る方法において、前記三次元素子(7)を除去するステップを更に含み、前記除去が、前記身体(1)の生得的な開口を通して、前記身体(1)のいかなる組織へ実質的に食い込むこと無しに、実施される。
【請求項72】
請求項62乃至71のいずれかに係る方法を実施するためのシステムで、
前記第1の画像中及び前記第2の画像中の三次元素子(7)を特定するための画像生成装置、
前記第1の画像中及び前記第2の画像中の前記三次元素子(7)の場所を特定するための画像処理装置、
前記第1の画像及び前記第2の画像を照合し、前記照合が、前記第1の画像中の前記三次元素子の位置と、前記第2の画像中の前記三次元素子の位置の決定に基づいてなされる画像処理装置
とを備える。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−500089(P2009−500089A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519795(P2008−519795)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000387
【国際公開番号】WO2007/006303
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508006779)ピーエヌエヌ メディカル エイ/エス (3)
【Fターム(参考)】