説明

照度測定装置及び照度測定システム

【課題】人手による操作を必要とせずに測定点間を移動しながら照度の測定を自動で行う。
【解決手段】居室内に埋設された磁気テープを検出することで照度測定装置を走行させる経路を認識する測定経路認識部1と、認識された経路に沿って照度測定装置を走行させる走行制御部51と、経路上に位置する測定点を認識する測定点認識部2と、測定点において照度の測定を実施させ、その測定結果を測定情報記憶部6に蓄積させる測定制御部52と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度測定装置及び照度測定システム、特に施設内における照度の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
照度を測定する装置として、例えば、特許文献1,2が提案されている。特許文献1では、施設内でラジコン操作にて測定点まで自走車両を走行させ、照度を自動測定させる技術が記載されている。また、特許文献2では、体育館やトンネル、ゴルフ場等広い被測定地に設定された多数の照度測定点を測定することが主な目的で、自動車のように人が乗り足で運転操作をしながら照度を測定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−229790号公報
【特許文献2】特開平6−117923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いずれの従来技術においても、照度を測定する際には、ラジコン操作や運転操作など車両の走行に人手が必要であった。
【0005】
本発明は、人手による操作を必要とせずに測定点間を移動しながら照度の測定を自動で行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照度測定装置は、施設内を移動可能な照度測定装置において、施設内に設置された経路設定手段を検出することにより、前記照度測定装置が移動する経路を認識する経路認識手段と、前記経路認識手段により認識された経路に沿って前記照度測定装置を移動させる移動制御手段と、施設内に設置された測定点位置特定手段を検出することにより、前記照度測定装置の移動経路上に設定された照度の測定点を認識する測定点認識手段と、前記測定点認識手段により認識された各測定点において照度を測定する測定手段と、前記測定手段により測定された照度に関する情報を記憶する記憶手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記経路認識手段は、前記経路設定手段の並びを、各測定点を通過する経路として認識することを特徴とする。
【0008】
また、前記経路認識手段は、前記経路設定手段として施設内に設置された磁気発生手段から発せられる磁気を検知する磁気検知手段を有し、その検知した磁気を発する磁気発生手段の並びを、前記照度測定装置が移動する経路として認識することを特徴とする。
【0009】
また、前記経路認識手段は、前記経路設定手段として施設内に設置された発信手段から発信される移動制御信号を検出する信号検出手段を有し、その検出した移動制御信号に従い、前記照度測定装置が移動する経路を認識することを特徴とする。
【0010】
また、前記測定点認識手段は、前記測定点位置特定手段として施設内に設置された発信手段から発信される測定点信号を検出する信号検出手段を有し、測定点信号の検出位置を測定点として認識することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る照度測定装置は、施設内を移動可能な照度測定装置において、予め設定された前記照度測定装置の移動経路を特定する経路情報に基づいて、前記照度測定装置が移動する経路を認識する経路認識手段と、前記経路認識手段により認識された経路に沿って前記照度測定装置を移動させる移動制御手段と、予め設定された施設内の測定点の位置を特定する測定点情報に基づいて、前記照度測定装置の移動経路上に設定された照度の測定点を認識する測定点認識手段と、前記測定点認識手段により認識された各測定点において照度を測定する測定手段と、前記測定手段により測定された照度に関する情報を記憶する記憶手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記経路認識手段は、前記経路情報を記憶する経路情報記憶手段から経路情報を取得することによって、前記照度測定装置が移動する経路を認識することを特徴とする。
【0013】
また、前記測定点認識手段は、前記測定点情報を記憶する測定点情報記憶手段から測定点情報を取得することによって照度の測定点を認識することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る照度測定システムは、施設内を移動可能な照度測定装置と、施設内の測定点に設置された測定点位置特定手段と、施設内に設置され、前記照度測定装置の経路を特定する経路特定手段と、を有し、前記照度測定装置は、前記経路設定手段を検出することにより、前記照度測定装置が移動する経路を認識する経路認識手段と、前記経路認識手段により認識された経路に沿って前記照度測定装置を移動させる移動制御手段と、前記測定点位置特定手段を検出することにより、前記照度測定装置の移動経路上に設定された照度の測定点を認識する測定点認識手段と、前記測定点認識手段により認識された各測定点において照度を測定する測定手段と、前記測定手段により測定された照度に関する情報を記憶する記憶手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照度測定装置の移動経路及び移動経路上における測定点を認識することによって人手による操作を必要とせずに各測定点における照度の測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る照度測定装置の一実施の形態を示した概略構成図である。
【図2】実施の形態1における照度測定システムが使用される施設内の居室を上方から見たときの見取図である。
【図3】実施の形態1における照度測定装置に含まれる制御装置のハードウェア構成図である。
【図4】実施の形態1における照度測定装置に含まれる制御装置のブロック構成図である。
【図5】実施の形態1における測定データ記憶部に蓄積される照度の測定結果の一例を示した図である。
【図6】実施の形態2における照度測定装置に含まれる制御装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る照度測定装置の一実施の形態を示した概略構成図である。本実施の形態における照度測定装置80は、施設内を移動可能な自走式の車両の形態にて形成される。図1には、制御装置81、駆動装置82、磁気センサ83、照度センサ84、信号検出用アンテナ85、送信用アンテナ86及び各構成要素81〜86が搭載された車体87が示されている。
【0019】
図2は、本実施の形態において照度の測定対象とする施設内の居室88を上方から見たときの概略的な見取図である。居室88の床には、図2では破線で示しているが、磁気を発する磁気発生手段として磁気テープ89が埋設されている。本実施の形態では、この磁気テープ89によって照度測定装置80が自走する際の経路を特定することになる。磁気テープ89により特定される経路上には、測定点又は測定点の候補となる地点A〜Fが設けられている。図2では、各地点A〜Fを黒丸で示している。各地点A〜Fには、経路設定手段として走行制御信号(本発明の「移動制御信号」)を発信する発信機及び測定点位置特定手段として測定点信号を発信する発信機がそれぞれ発信手段として設置されている(共に図示せず)。なお、これらの発信機は、1台の発信機を共用してもよい。
【0020】
図3は、本実施の形態における制御装置81を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において制御装置81を形成するコンピュータは、CPU91、ROM92、RAM93、ハードディスクドライブ(HDD)94、入力手段として設けられたマウス95とキーボード96及び表示装置として設けられたディスプレイ97をそれぞれ接続する入出力コントローラ98、通信手段として設けられ、信号検出用アンテナ85及び送信用アンテナ86を介して信号の入出力を行う通信インタフェース(IF)99、磁気センサ83及び照度センサ84を接続するセンサコントローラ101、駆動装置82を接続するためのコントローラ102を内部バス103に接続して構成される。
【0021】
図1に戻り、駆動装置82は、照度測定装置80を自走させるための機構である。駆動装置82自体は、従来からある装置をそのまま利用してよい。磁気センサ83は、磁気テープ89から発せられる磁気を検知する。照度センサ84は、照度を検知する。信号検出用アンテナ85は、走行制御信号及び測定点信号を受信するために用いられる。送信用アンテナ86は、測定情報(本発明の「測定された照度に関する情報」)を外部に送信するために用いられる。制御装置81は、各構成要素82〜86を接続し、車体87の移動制御、照度の測定制御を行う。
【0022】
図4は、本実施の形態における制御装置81のブロック構成の一例を示した図である。本実施の形態における制御装置81は、測定経路認識部1、測定点認識部2、測定処理部3、測定情報送信部4、制御部5及び測定情報記憶部6を有している。測定経路認識部1は、経路設定手段に基づいて、より具体的には経路設定手段として施設内の地点A〜Fに設置された発信機から発せられる走行制御信号に基づいて、照度測定装置80が移動する経路を認識する経路認識手段である。測定経路認識部1は、磁気センサ83と連携動作して磁気テープ89から発せられる磁気を検出する磁気検知手段としての磁気検出部11及び信号検出用アンテナ85と連携動作して走行制御信号を検出する信号検出手段としての走行制御信号検出部12を有している。測定点認識部2は、測定点位置特定手段に基づいて、より具体的には測定点位置特定手段として施設内の地点A〜Fに設置された発信機から発せられる測定点信号に基づいて、照度測定装置80の移動経路上に設定された照度の測定点を認識する測定点認識手段である。測定点認識部2は、信号検出用アンテナ85と連携動作して測定点信号を検出する信号検出手段としての測定点信号検出部21を有している。測定処理部3は、測定制御部52における測定制御のもと、照度センサ84と連携動作して各測定点における照度を測定する。測定情報送信部4は、測定された照度に関する情報、つまり測定情報(以下、「測定結果」ともいう)を送信用アンテナ86を介して無線により指定の送信先、例えば測定管理者の端末装置等のコンピュータへ送信する。制御部5は、駆動装置82の駆動制御を行うことで照度測定装置80の走行制御を行う走行制御部51及び照度の測定制御を行う測定制御部52を有し、他の構成要素1〜4と連携しながら照度測定装置80における動作全体の制御を行う。測定情報記憶部6には、測定処理部3による測定結果が蓄積される。
【0023】
制御装置81における各構成要素1〜5は、制御装置81を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU91で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、測定情報記憶部6は、RAM93又はHDD94にて実現してもよい。
【0024】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがインストールプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0025】
次に、図1乃至図4を用いて、照度を測定する際の本実施の形態における動作について説明する。ここでは、居室88内の地点Aから地点B,C,D,E,Fを通り、地点Aまで磁気テープ89によって定められた経路に沿って照度測定装置80を走行させ、その間に地点B,D,Eにおいて照度を測定する場合を例にして説明する。
【0026】
なお、照度の測定点と照度測定装置80の経路の関係についてであるが、測定点と経路とは、基本的には同時に設定されるものであるが、測定点(若しくは測定点の候補)を予め決め、その測定点に前述した発信機を設置し、そして各測定点における照度の測定が可能であり、かつ走行距離や測定全体に要する時間上、効率的な照度測定が可能となるように磁気テープを床に埋設してもよいし、測定点となりうるであろう地点を結ぶように磁気テープを床に埋設しておき、その後に磁気テープにより決められる照度測定装置80の経路上に測定点を決め、その測定点に発信機を設置するようにしてもよい。また、後述する内容から明らかなように、各地点A〜Fに設置された発信機から発信される信号の種類及び各信号の発信順は、各地点の居室88内における位置や測定点として実際に設定されているかによって異なってくるが、これは予め設定されているものとする。
【0027】
測定管理者は、照度測定装置80をスタート地点となる地点Aに矢印P方向へ走行させる向きに置き、照度測定装置80に設けられているスタートボタン(図示せず)を押すことで、照度測定装置80を始動する。照度測定装置80における磁気検出部11は、磁気センサ83を用いて磁気テープ89から発せられる磁気を検出し、走行制御部51は、磁気検出部11におよる磁気の検出状況を監視しながら駆動装置82を駆動し、これにより、照度測定装置80は、磁気テープ89により定められた経路に沿って走行する。
【0028】
照度測定装置80が走行することにより地点Bに到達すると、走行制御信号検出部12は、地点Bに設置された発信機から発信される走行制御信号の1つである停止信号を検出する。この停止信号の検出が知らされると、走行制御部51は、駆動装置82に走行の停止を指示し、照度測定装置80を地点Bに停止させる。
【0029】
また、地点Bにおいて、測定点信号検出部21が地点Bに設置された発信機から発信される測定点信号を検出すると、測定制御部52は、この信号検出を測定開始指示として測定処理部3に照度の測定開始を指示する。この測定開始指示に応じて、測定処理部3は、照度センサ84が測定している照度を取得し、この取得した照度に照度の測定日時として現在時刻を対応付けて測定情報記憶部6に登録する。
【0030】
測定の終了を測定制御部52が検知すると、走行制御部51は、磁気検出部11における磁気の検出状況を監視しながら駆動装置82を駆動し、これにより、照度測定装置80は、磁気テープ89により定められた経路に沿って走行する。この例の場合、磁気テープ89は、地点Bにおいて90度左に曲がって埋設されているので、照度測定装置80は、磁気テープ89を検出することで、90度左に方向変換して走行を開始する。
【0031】
あるいは、走行制御信号の1つとして90度左への方向変換を指示するための方向変換信号を発信機に発信させてもよい。すなわち、走行制御部51は、この方向変換信号を受信すると駆動装置82を駆動して、車体87を90度左へ方向変換する。そして、走行を開始することで地点C方向へ進むことになる。
【0032】
この例の場合、地点Bの発信機からは、走行制御信号として停止信号と方向変換信号とが発信されることになるが、各信号を発信するタイミングによっては、例えば、照度測定装置80が停止信号を受信する前に方向変換信号を受信してしまうと、照度の測定を行わずに地点Bを通過してしまう。そこで、信号を発信する順番や照度測定装置80と発信機との間で取り決めをしておく必要がある。
【0033】
例えば、発信機は、常時、停止信号を送出しておくようにする。照度測定装置80は、停止信号を検出すると、停止信号の受信確認信号を発信機に送出する。停止信号の受信確認信号を受信した発信機は、当該地点が測定点の場合、測定点信号を送信する。なお、発信機は、このように受信機としても動作する必要がある。つまり、送受信機である。照度測定装置80は、測定点信号を検出すると測定を開始する。測定が終了すると、測定終了信号を発信機に送出する。測定終了信号を受信した発信機は、90度左への方向変換信号を送信する。照度測定装置80は、測定終了信号に応じて発信機から発信された90度左への方向変換信号を検出すると、90度左へ方向変換した後、走行を開始する。
【0034】
この走行の停止、測定、走行の開始についての上記手法は一例であって、例えば、信号の送受信を行わないで、発信機から各信号を発信する時間の長さ、間隔等を調整するなどして実現するようにしてもよい。
【0035】
走行の開始後は、前述したように、照度測定装置80は、磁気テープ89から発せられる磁気を検出しながら、磁気テープ89により定められた経路に沿って走行する。そして、地点Cに到達すると、走行制御信号検出部12は、地点Cに設置された発信機から発信される90度左への方向変換信号を検出する。すなわち、地点Cは、今回、測定点ではないので、地点Cの発信機からは、90度左への方向変換信号しか発信されていない。走行制御信号検出部12により90度左への方向変換信号が検出されると、走行制御部51は、駆動装置82を駆動して、地点Cにおいて車体87を90度左へ方向変換させ、地点Dの方向へ走行させる。もちろん、磁気テープ89は、90度左に折れ曲がって埋設されているので、走行制御部51は、90度左への方向変換信号の検出の有無に関係なく磁気検出部11による磁気の検出状況に従い、90度左へ方向変換し、地点Dの方向への走行を続けるようにしてもよい。
【0036】
照度測定装置80が地点Dへ到達すると、地点Bの場合と同様に停止し、照度の測定を開始し、その測定結果を測定情報記憶部6に記録する。そして、測定後、走行を自動的に開始する。あるいは、地点Dの発信機が走行の開始を指示するための走行開始信号を発信する場合、照度測定装置80は、測定点信号受信後に受信する走行開始信号に従って走行を開始するようにしてもよい。なお、地点Dの場合、そのまま直進すればよいので、地点Bの場合と異なり、方向変換信号は発信機から発信されない。
【0037】
そして、地点Eでは地点Bと同じ動作を、地点Fでは地点Cと同じ動作を行うことで、照度測定装置80は、スタート地点であり、また終了地点でもある地点Aに到達する。
【0038】
地点Aの発信機からは停止信号が発信されており、この停止信号を検出すると、走行制御部51は、駆動装置82に指示することで、照度測定装置80を停止させる。測定管理者は、照度測定装置80に設けられている停止ボタン(図示せず)を押すことで、駆動装置82の駆動を停止する。停止ボタン押下後、測定情報送信部4は、測定結果を測定情報記憶部6から読み出し、送信用アンテナ86を介して、例えば測定管理者利用の端末装置へ送信する。これにより、測定管理者は、上記照度の測定により収集された測定結果データを自動的に取得できる。測定情報記憶部6に蓄積された測定情報の一例を図5に示す。測定情報は、地点毎に、当該地点で測定された照度と測定した日時とが対応付けして構成される。なお、図5において、地点A,C,Fにおけるハイフンは今回の照度測定において測定されなかったことを示している。
【0039】
なお、本実施の形態では、停止ボタンの押下に応じて各測定点における測定結果を測定管理者に送るようにしたが、地点Aにおいて測定情報送信指示付きの停止信号を発信させることで、地点A到達時に測定結果を測定管理者へ送信するようにしてもよい。これにより、測定管理者は、居室88にいなくても照度測定の終了を測定結果の受信により知ることができ、これにより、照度測定装置80の駆動停止(停止ボタンの押下)のために居室88へ行くタイミングを知ることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、各測定点における測定結果を測定情報記憶部6に蓄積しておき、照度測定の終了時にまとめて測定管理者に送るようにしたが、各測定点における測定結果を蓄積せずに、測定の度にその測定結果を測定管理者へ送信するようにしてもよい。その都度測定結果を送信する場合、測定結果を照度測定装置80に保存しておく必要はないので、測定情報記憶部6をHDD94よりRAM93で構成するのが好適である。また、この場合、照度測定の終了を測定管理者に通知するために、地点Aに設置の発信機からは、測定管理者に測定終了を通知するための終了通知指示付きの停止信号を発信させてもよい。終了通知指示付きの停止信号を検出すると、照度測定装置80の制御部50は、照度測定装置80の走行を停止すると共に、照度測定の終了を通知するメッセージ等を測定管理者のコンピュータへ送信するよう測定情報送信部4に指示する。
【0041】
以上の地点B,D,Eの照度を測定する動作の説明は、一例である。よって、他の地点あるいは全地点で照度を測定するようにしてもよい。もちろん、照度測定装置80を矢印P方向とは逆の方向に走行させてもよい。
【0042】
なお、前述したように、測定点の位置や測定の有無によって各測定点設置の発信機から発信される信号の種類や順番が異なってくるが、これは、測定を実施する前に地点毎に予め設定しておくことになる。もちろん、常に同じ経路に沿って照度測定装置80を走行させ、同じ地点にて照度の測定を行うのであれば、発信する信号の種類や順番は、固定的に設定しておけばよい。
【0043】
また、本実施の形態においては、磁気テープ89を床に埋設した場合を例にしたが、床でなくても居室88の壁や天井などに埋設したり、貼り付けたりしてもよい。また、磁気発生手段としてテープ形状の磁気テープ89を用いなくても、例えばボタン形状の磁気部材を、走行経路を形成するために所定の間隔で並べるように設置してもよい。また、本実施の形態では、測定経路認識手段に経路を認識させる手段として磁気を利用したが、磁気以外の例えば光等を反射する反射テープを敷設して経路を認識できるようにしてもよい。また、経路を非接触で検出するために磁気を利用したが、非接触に限定する必要はなく、床に接触しながら経路を認識するように構成してもよい。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態1では、居室88に磁気テープ89を予め埋設しておき、照度測定装置80に搭載した磁気センサ83にて磁気を検出させることで、照度測定装置80の走行経路を特定するようにした。本実施の形態では、磁気センサを用いずに、経路及び測定点に関する情報を事前にデータベース化し、その情報に基づいて照度測定装置80を走行させ、照度の測定を実施できるようにした。そのため、本実施の形態における照度測定装置80は、図1に示した磁気センサ83を必要としない。また、各測定点設置の発信機からの信号を受信する必要はないので、信号検出用アンテナ85も不要である。その他のハードウェア構成は実施の形態1と同じでよい。
【0045】
図6は、本実施の形態における照度測定装置80に含まれる制御装置のブロック構成図である。実施の形態1において示した図4と同じ構成要素には同じ符号を付ける。本実施の形態における照度測定装置80は、経路を特定する情報及び照度の測定点の位置を特定する情報が予め設定された経路・測定点情報記憶部7を有している。そして、測定経路認識部1は、経路・測定点情報記憶部7から経路を特定する情報を読み出す経路情報取得部13を有しており、この読み出した情報に基づき経路を認識する。また、測定点認識部2は、経路・測定点情報記憶部7から測定点の位置を特定する情報を読み出す測定点情報取得部22を有しており、この読み出した情報に基づき測定点を認識する。経路・測定点情報記憶部7は。HDD94又はRAM93で実現してよい。
【0046】
次に、照度を測定する際の本実施の形態における動作について説明する。
【0047】
測定管理者は、照度測定装置80をスタート地点となる地点Aに矢印P方向へ走行させる向きに置き、照度測定装置80に設けられているスタートボタン(図示せず)を押すことで、照度測定装置80を始動する。照度測定装置80における走行制御部51は、測定経路認識部1が経路・測定点情報記憶部7から読み出した情報に基づき駆動装置82を駆動し、最初の測定点となる地点Bまで照度測定装置80を走行させる。測定点認識部2が読み出した情報に基づき地点Bが測定点であることを認識すると、走行制御部51は、照度測定装置80を停止させる。そして、測定制御部52は、測定処理部3に指示することによって、照度センサ84が測定した照度に照度の測定日時として現在時刻を対応付けて測定情報記憶部6に登録する。
【0048】
測定の終了を測定制御部52が検知すると、走行制御部51は、測定経路認識部1が経路・測定点情報記憶部7から読み出した情報に基づき次の地点Cとの位置関係を認識して90度左への方向変換をした後、地点Cまでの走行を開始するよう駆動装置82に指示する。
【0049】
このようにして、照度測定装置80が次の地点Cに到達するが、測定制御部52が測定点認識部2が読み出した情報に基づき地点Cが測定点でないことを認識すると、走行制御部51は、測定経路認識部1が経路・測定点情報記憶部7から読み出した情報に基づき次の地点Dとの位置関係を認識して90度左への方向変換をした後、地点Dまでの走行を行うよう駆動装置82に指示する。これにより、照度測定装置80は、地点Dまで走行する。
【0050】
測定点認識部2が読み出した情報に基づき地点Dが測定点であることを認識すると、走行制御部51は、照度測定装置80を停止させる。そして、測定制御部52は、測定処理部3に指示することによって、照度センサ84が測定した照度に照度の測定日時として現在時刻を対応付けて測定情報記憶部6に登録する。
【0051】
測定の終了を測定制御部52が検知すると、走行制御部51は、測定経路認識部1が経路・測定点情報記憶部7から読み出した情報に基づき現地点Dと次の地点Eとの位置関係を認識する。この場合、そのまま直進すればよいので、走行制御部51は、地点Eまでの走行を開始するよう駆動装置82に指示する。
【0052】
そして、地点Eでは地点Bと同じ動作を、地点Fでは地点Cと同じ動作を行うことで、照度測定装置80は、スタート地点であり、また終了地点でもある地点Aに到達する。
【0053】
本実施の形態では、以上のように予め設定された経路・測定点情報に基づき、照度測定装置80を走行させ、そして各測定点において照度を測定し記録する処理を全て自動的に行うことができる。
【0054】
ところで、照度測定装置80を動作させる経路・測定点情報の内容としては、次のように構成してもよい。測定対象の居室88の形状や広さは事前に把握できるので、例えば、スタート地点Aから12m直進したところで停止する。なお、この最初の停止地点が地点Bであり、測定点として設定されている地点である。照度の測定を実施し、その後、90度左へ方向変換してから9m直進する。つまり、地点Bから9m直進したところが地点Cである。地点Cは、測定点として設定されていないので、即座に90度左へ方向変換してから12m直進したところで停止する。この停止地点が地点Dである。地点Dにおいて照度の測定を実施した後、12m直進したところで停止する。このような走行指示を経路・測定点情報に含めることで、照度の測定を行う。すなわち、「12m直進」、「測定」、「90度左へ方向変換」、「9m直進」、「90度左へ方向変換」、「12m直進」、「測定」、「12m直進」などのような直進走行距離、方向変換する角度及び測定の実施に関するコマンド列を経路・測定点情報として登録しておき、これらのコマンドを順次実行させることで照度の測定を自動的に実行できるようにしてもよい。
【0055】
あるいは、照度測定装置80に、現在位置を検出する位置検出手段を搭載し、居室88を座標系に当てはめ、走行目標位置となる各地点A〜Fをその座標系における座標データで表し、その座標データで表される各地点A〜Fの座標位置まで順番に走行し、また必要に応じて照度の測定を実施させるように構成して、照度の測定を実行できるようにしてもよい。
【0056】
本実施の形態においては、このような経路・測定点情報に基づき動作するよう測定経路認識部1、測定点認識部2及び制御部5をプログラムしておけば、磁気テープ89を居室88に埋設したり、発信機を測定点となりうる各地点に設置しておかなくても照度の測定を自動的に行うことができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、経路・測定点情報記憶部7を車体87に搭載するように構成したが、経路・測定点情報記憶部7を車体87の外部に設け、その外部から経路・測定点情報を無線などを用いて取得するように構成してもよい。
【0058】
また、実施の形態2では、各測定点設置の発信機からの信号を受信しないようにしたが、測定に関する情報は、経路・測定点情報を利用せずに、測定点特定手段として居室88に設置された発信機から取得するようにしてもよい。あるいは、経路に関する情報は、経路・測定点情報を利用せずに、測定点特定手段として居室88に設置された発信機及び磁気テープ89を利用するようにしてもよい。つまり、実施の形態1にて説明した構成と実施の形態2で説明した構成とを組み合わせて利用するようにしてもよい。
【0059】
上記各実施の形態は、建築設備の非常用照明の測定に適しているが、非常用照明に限らず、事務所や工場等に設置された通常使用の照明の測定にも利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 測定経路認識部、2 測定点認識部、3 測定処理部、4 測定情報送信部、5 制御部、6 測定情報記憶部、7 経路・測定点情報記憶部、11 磁気検出部、12 走行制御信号検出部、13 経路情報取得部、21 測定点信号検出部、22 測定点情報取得部、51 走行制御部、52 測定制御部、80 照度測定装置、81 制御装置、82 駆動装置、83 磁気センサ、84 照度センサ、85 信号検出用アンテナ、86 送信用アンテナ、87 車体、88 居室、89 磁気テープ、91 CPU、92 ROM、93 RAM、94 ハードディスクドライブ(HDD)、95 マウス、96 キーボード、97 ディスプレイ、98 入出力コントローラ、99 通信インタフェース(I/F)、101 センサコントローラ、102 コントローラ、103 内部バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内を移動可能な照度測定装置において、
施設内に設置された経路設定手段を検出することにより、前記照度測定装置が移動する経路を認識する経路認識手段と、
前記経路認識手段により認識された経路に沿って前記照度測定装置を移動させる移動制御手段と、
施設内に設置された測定点位置特定手段を検出することにより、前記照度測定装置の移動経路上に設定された照度の測定点を認識する測定点認識手段と、
前記測定点認識手段により認識された各測定点において照度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された照度に関する情報を記憶する記憶手段と、
を有することを特徴とする照度測定装置。
【請求項2】
前記経路認識手段は、前記経路設定手段の並びを、各測定点を通過する経路として認識することを特徴とする請求項1に記載の照度測定装置。
【請求項3】
前記経路認識手段は、前記経路設定手段として施設内に設置された磁気発生手段から発せられる磁気を検知する磁気検知手段を有し、その検知した磁気を発する磁気発生手段の並びを、前記照度測定装置が移動する経路として認識することを特徴とする請求項2に記載の照度測定装置。
【請求項4】
前記経路認識手段は、前記経路設定手段として施設内に設置された発信手段から発信される移動制御信号を検出する信号検出手段を有し、その検出した移動制御信号に従い、前記照度測定装置が移動する経路を認識することを特徴とする請求項1に記載の照度測定装置。
【請求項5】
前記測定点認識手段は、前記測定点位置特定手段として施設内に設置された発信手段から発信される測定点信号を検出する信号検出手段を有し、測定点信号の検出位置を測定点として認識することを特徴とする請求項1に記載の照度測定装置。
【請求項6】
施設内を移動可能な照度測定装置において、
予め設定された前記照度測定装置の移動経路を特定する経路情報に基づいて、前記照度測定装置が移動する経路を認識する経路認識手段と、
前記経路認識手段により認識された経路に沿って前記照度測定装置を移動させる移動制御手段と、
予め設定された施設内の測定点の位置を特定する測定点情報に基づいて、前記照度測定装置の移動経路上に設定された照度の測定点を認識する測定点認識手段と、
前記測定点認識手段により認識された各測定点において照度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された照度に関する情報を記憶する記憶手段と、
を有することを特徴とする照度測定装置。
【請求項7】
前記経路認識手段は、前記経路情報を記憶する経路情報記憶手段から経路情報を取得することによって、前記照度測定装置が移動する経路を認識することを特徴とする請求項6に記載の照度測定装置。
【請求項8】
前記測定点認識手段は、前記測定点情報を記憶する測定点情報記憶手段から測定点情報を取得することによって照度の測定点を認識することを特徴とする請求項6に記載の照度測定装置。
【請求項9】
施設内を移動可能な照度測定装置と、
施設内の測定点に設置された測定点位置特定手段と、
施設内に設置され、前記照度測定装置の経路を特定する経路特定手段と、
を有し、
前記照度測定装置は、
前記経路設定手段を検出することにより、前記照度測定装置が移動する経路を認識する経路認識手段と、
前記経路認識手段により認識された経路に沿って前記照度測定装置を移動させる移動制御手段と、
前記測定点位置特定手段を検出することにより、前記照度測定装置の移動経路上に設定された照度の測定点を認識する測定点認識手段と、
前記測定点認識手段により認識された各測定点において照度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された照度に関する情報を記憶する記憶手段と、
を有することを特徴とする照度測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−247199(P2012−247199A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116631(P2011−116631)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】