説明

照明システム、光源及びビーム制御素子

本発明は、照明システム50、ビーム制御素子及び光源30に関する。該照明システムは、光ビームを発するための光源と、及び該光ビームの形状及び/又は方向を制御するためのビーム制御素子と、を有する。該ビーム制御素子は、互いに対して略平行に配置された弾性層2aと更なる層4aとを有し、該弾性層が、該更なる層に対して略平行に配置された該弾性層の表面に起伏21を有するか、又は、該更なる層が、該弾性層に面する該更なる層の表面に該起伏を有する。該照明システムは更に、該弾性層と該更なる層との間に圧力を加えることによって該起伏を小さくするため、該弾性層と該更なる層とを互いに対して移動させるための移動手段52を有する。該起伏が、該光ビームの形状及び/又は方向を制御する。圧力を加えることによって該起伏が小さくされた場合には、該光ビームは、該ビーム制御素子によって略変化させられない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源及びビーム制御素子を有する照明システムに関する。
【0002】
本発明はまた、光源、照明システムにおける使用のためのビーム制御素子、及びフラッシュライトに関する。
【背景技術】
【0003】
光源及びビーム制御素子を持つ照明システムは、本分野において良く知られている。これらシステムは、とりわけ、スポットライト、フラッシュライト、車両のヘッドライト、店舗照明及びオフィス照明において利用されている。照明システムのコリメーション(collimation)の度合いを増大又は減少させるために、しばしばビーム制御が必要とされる。例えば、比較的近くに配置されたアイテムを照明する場合には、遠くに配置されたアイテムに比べて、少ないコリメーションが必要とされる。アイテムを照明する光の強度も、照明システムのコリメーションの度合いを適合させることにより、適合され得る。
【0004】
光源及び発せられる光のコリメーションの度合いを制御するための手段を持つ照明システムは、例えば米国特許US4,951,183から知られている。該米国特許においては、前面に具備されたヘッドを持つ管を含む、可変光ビームを持つフラッシュライトが開示されている。光反射器が、該ヘッドの前面に配置される。外装は、該管の前面内に加圧されて嵌合される。スイッチは外装に固定される。端部キャップ、ばね及び端部板が、保持器に収容された絶縁体に配置される。電球は、該保持器に保持される。スイッチは、フラッシュライトの電気回路を制御する。電球は管に対して安定しており、これにより該管に対する該ヘッドの回転が、光反射器を電球に対して移動させる。光反射器に対する電球の該移動により、フラッシュライトにより発せられる光ビームの幅が変化させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
該フラッシュライトの欠点は、該フラッシュライトから発せられる光ビームの幅を変化させるために、光反射器の電球に対する比較的大きな移動が必要とされる点である。
【0006】
本発明の目的は、光ビームを拡大するために比較的小さな変位のみが必要とされる、ビーム制御素子を持つ照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、該目的は、請求項1に記載の照明システムにより達成される。本発明による照明システムは、光ビームを発するための光源と、及び前記光ビームの形状及び/又は方向を制御するためのビーム制御素子と、を有し、
前記光源は、前記ビーム制御素子を介して前記光ビームの少なくとも一部を発するように構成され、
前記ビーム制御素子は、弾性層と前記弾性層に対して略平行に配置された更なる層とを有し、前記弾性層が、前記更なる層に対して略平行に配置された前記弾性層の表面に起伏を有するか、又は、前記更なる層が、前記弾性層に面する前記更なる層の表面に起伏を有し、前記起伏は、前記光ビームの形状及び/又は方向を変化させるように構成され、
前記照明システムは更に、前記弾性層と前記更なる層との間に圧力を加えることによって前記起伏を小さくするため、前記弾性層と前記更なる層とを互いに対して移動させるための移動手段を有する。
【0008】
形状及び/又は方向の制御は、光のコリメーションの制御を含む。
【0009】
本発明による照明システムの効果は、前記更なる層に対して前記弾性層を移動させ、前記弾性層と前記更なる層との間に圧力を加えることにより、ビーム制御素子が光ビームの形状及び/又は方向を制御し得る点である。起伏の存在により、光ビームの形状及び/又は方向が変更され、例えば再方向付け又は再成形され、例えば拡散させられる。前記弾性層と前記更なる層とが互いに対して加圧されると、該弾性層は該起伏を小さくさせ、斯くして光の再方向付け及び/又は拡散を低減し、これにより光ビームの元の形状及び/又は方向を略復元する。典型的には、該起伏を構成する構造の大きさは、比較的小さい。斯くして、起伏を小さくし照明システムから発せられる光を制御するために、前記弾性層と前記更なる層との互いに対する比較的小さな変位しか必要とされない。例えば該弾性層が起伏を有する場合には、前記更なる層に対する該起伏の加圧が、該起伏の構造の変形を引き起こし、該起伏を小さくする。例えば前記更なる層が起伏を有する場合には、該起伏に対する前記弾性層の加圧が、該弾性層の弾性物質で該起伏の構造を満たし、該起伏を小さくして、光ビームの元の形状及び/又は方向を略復元する。
【0010】
本発明による照明システムのビーム制御素子は、例えば透過又は反射において利用されても良い。ビーム制御素子が透過において利用される場合には、ビーム制御素子は、光ビームの形状及び/又は方向を制御するため、該光ビームの光路に配置される。典型的には、前記弾性層及び前記更なる層の両方が半透明である。該実施例の利点は、照明システムの比較的単純且つコスト効率の良い構造に帰着する点である。代替として、ビーム制御素子は反射において利用されても良い。ビーム制御素子が反射において利用される場合には、ビーム制御素子は更に反射層を有しても良い。光ビームは例えば、ビーム制御素子に入射し、弾性層及び更なる層により透過され、反射層に到達する。該反射層は好適には、該反射層が、ビーム制御素子から離れる方向に向けて、該更なる層及び該弾性層を介して再び光ビームの光を反射させるように配置される。斯かる実施例においては、光ビームの光は、該弾性層及び該更なる層によって2度透過させられる。光ビームの光が該弾性層及び該更なる層を2度通過する場合に達成される利点は、起伏を形成する構造の大きさが、透過におけるビーム制御素子の構成に比べて著しく低減されることができつつ、同様の効果を達成する点である。該起伏の構造の大きさの低減は、起伏を小さくするために必要とされる圧力もまた低減されるという更なる利点を持つ。
【0011】
該照明システムの一実施例においては、前記移動手段は、前記圧力を加えるため、前記光ビームに対して略平行な方向である軸方向に、前記弾性層と前記更なる層とを互いに対して移動させるように構成される。
【0012】
該照明システムの更なる実施例においては、前記移動手段は、前記起伏を変形させるために、横方向及び/又は回転方向に、前記弾性層と前記更なる層とを互いに対して移動させるように構成され、前記横方向及び前記回転方向は、前記光ビームに対して略垂直な方向である。前記更なる層が例えば前記弾性層に向けたスレッドに沿った回転運動を介して移動するように構成される場合には、該移動手段は、該スレッドに沿った軸方向における平行移動と、該スレッドに沿って前記更なる層を回転させる際の回転移動との組み合わせを有する。本実施例の利点は、比較的単純且つコスト効率の良い構造を有する点である。
【0013】
該照明システムの一実施例においては、前記起伏が微細構造を有する。微細構造を利用する場合の利点は、微細構造を利用した光ビームの再方向付け又は光ビームの再成形が一般に、再方向付けされた又は再成形された光ビームにおける比較的均一な光分布に帰着する点である。微細構造を利用する場合の更なる利点は、前記弾性層と前記更なる層との互いに対する小さな移動しか必要とされない点、及び起伏を小さくするために一般に小さな圧力しか必要とされない点である。微細構造は典型的には、前記弾性層又は前記更なる層に略平行な方向に、1ミリメートルよりも小さな寸法を持つ構造である。前記弾性層又は前記更なる層に略平行な微細構造の別の寸法は、1ミリメートルよりも大きくても良い。既知の照明システムにおいては、発せられる光ビームの均一性は、電球に対する光反射器の移動の間に変化する。本発明による照明システムにおいては、微細構造の利用は、光ビームの比較的均一な制御に帰着する。微細構造は例えば、前記弾性層及び前記更なる層に対して共に平行な長さ寸法及び幅寸法を持つ、細長い微細構造であっても良い。斯かる細長い微細構造は例えば、幅寸法が1ミリメートルよりも小さく、長さ寸法がより大きくても良い、スクラッチ又は円筒形レンズ素子であっても良い。
【0014】
該照明システムの一実施例においては、前記起伏が光ビームを反射させるように構成される。前記弾性層又は前記更なる層は例えば、光ビームが該起伏から反射される前に、該光ビームを透過させるように半透明であっても良い。代替として、該起伏が前記弾性層に配置される場合には、前記更なる層は、入射する光ビームとは反対側の起伏の側に配置されても良い。
【0015】
該照明システムの一実施例においては、前記弾性層及び前記更なる層は半透明層である。本実施例の利点は、光ビームの透過により、前記起伏のビーム成形効果及び/又は再方向付け効果が、比較的単純に予測される点である。
【0016】
該照明システムの一実施例においては、弾性半透明層は、前記更なる層に面する面において起伏を有する。本実施例の利点は、該起伏が比較的単純に生成される点である。
【0017】
該照明システムの一実施例においては、該起伏を有する前記弾性層の面が、該弾性層に埋め込まれる。本実施例の利点は、起伏を該弾性層内に埋め込むことにより、圧力を加えることにより変更されるべき該起伏の能力に影響を与え得る埃のような汚れから、該起伏が保護される点である。
【0018】
該照明システムの一実施例においては、前記弾性層は、起伏を形成する埋め込まれた区画を有する。
【0019】
該照明システムの一実施例においては、前記区画は、前記起伏を小さくするため、前記弾性層を加圧することにより、前記区画から排出される流体を有する。該流体は例えば、該区画から押し出される空気であっても良い。前記弾性層は例えば、加圧されたときに空気を排出し前記起伏を小さくする、空気で満たされた区画を有する発泡体を有しても良い。本実施例の利点は、比較的単純に製造される点である。
【0020】
該照明システムの一実施例においては、前記更なる層は、前記弾性層に比べて比較的剛性である。本実施例の利点は、本発明によるビーム制御素子のために、単一の弾性層しか必要とされない点である。一般に、弾性半透明物質は、弾性特性を得るために高分子を有する。しかしながら、高分子は一般に、光にさらされると時間によって劣化し脆くなり、弾性層の弾性特性を低減させてしまう。該弾性層の低減された弾性特性によって、該弾性層の起伏を小さくする能力が低減される。長い期間に亘って弾性層を利用するために、該弾性層は例えば、比較的高価なシリコンゴムでつくられ得る。それ故、単一の弾性層が必要とされる本実施例による照明システムは、比較的コスト効率の良い態様で製造され得るのである。
【0021】
該照明システムの一実施例においては、前記弾性層の屈折率は、前記更なる層の屈折率と略等しい。前記更なる層が起伏を有する実施例においては、該更なる層が前記弾性層に比べて比較的剛性である場合には、該更なる層に対する該弾性層の加圧が、該起伏を小さくする。該起伏の縮小は、該起伏の構造を満たす弾性物質により引き起こされる。該弾性層の屈折率が該更なる層の屈折率と略合致する場合には、該起伏の構造の充填は、光学的に略一様な層に帰着する。斯かる光学的に一様な層は、光ビームの形状及び/又は方向を変化させない。しかしながら、該弾性層の屈折率が該更なる層の屈折率と合致しない場合には、該起伏の突出及び/又は没入の充填は、光学的に一様な層に帰着しない。斯かる実施例においては、屈折率の違いによって起伏が光学的に存在したままとなり、光ビームを或る程度制御することとなる。
【0022】
該照明システムの一実施例においては、前記起伏は、円形レンズ型、円筒形レンズ型、プリズム型又は略ランダムな形状の、隆起部、没入部又は区画の構成を有する。円形レンズ型の隆起部、没入部又は区画を利用する場合の利点は、該起伏と相互作用する光ビームの拡大が、略2次元で行われる点である。該起伏において円筒形レンズ型の隆起部、没入部又は区画を利用する場合の利点は、該起伏と相互作用する光ビームの拡大が、該円筒形レンズ型の隆起部、没入部又は区画の長軸に垂直な方向で主に行われる点である。該起伏においてプリズム型の隆起部、没入部又は区画を利用する場合の利点は、該起伏と相互作用する光ビームが、該プリズム型の隆起部、没入部又は区画により再方向付けされる点である。該プリズム型の隆起部、没入部又は区画が略同一であり互いに対して略平行に配置されている場合には、該起伏と相互作用する光ビームが再方向付けされる。半透明な弾性層を介して該起伏を小さくすることによって、光ビームの形状及び/又は方向が復元される。勿論、該起伏は、異なった形状の隆起部、没入部又は区画のいずれかの組み合わせを有しても良い。
【0023】
該照明システムの一実施例においては、前記隆起部、没入部又は区画は、ホログラフィック拡散パターンを有する。本実施例の利点は、斯かるホログラフィック拡散パターンが、光ビームの形状、方向及びコリメーションに対する非常に正確な制御を与え得る点である。斯かるホログラムを用いると、ホログラフィックイメージを生成することも可能となり得る。ホログラフィック拡散パターンが低減される場合には、該ホログラフィック拡散パターンにより生成されたホログラフィックイメージの形状、方向及びコリメーションの制御も低減される。
【0024】
該照明システムの一実施例においては、前記移動手段は、スレッドに沿った平行移動を引き起こす回転運動、圧電素子、電磁気力、又はモータを介して、前記更なる層に対して前記弾性層を移動させる。例えば螺旋型のスレッドに沿った平行移動を引き起こす前記更なる層の回転運動を利用する場合の利点は、比較的容易に且つコスト効率良く実装され得る点である。とりわけ該ビーム制御素子を例えばフラッシュライトにおいて利用する場合には、ビーム制御素子の比較的コスト効率の良い実装が重要となる。フラッシュライトにおいては、ユーザが光源に触れることを防ぐために、一般に光出力窓が備えられる。該光出力窓はしばしば、フラッシュライトの筐体にねじ止めされたフランジを介して該フラッシュライトに装着される。該光出力窓は例えば、該ビーム制御素子の前記更なる層を構成しても良いし又は有しても良い。該フラッシュライトにおける光源のコリメータは例えば、前記起伏を有する前記弾性層を有しても良い。前記更なる層と前記弾性層との間の相対運動はこのとき、光出力窓を有するフランジを筐体にねじ止めすることにより生成されても良く、これにより起伏を低減しても良い。
【0025】
該照明システムの一実施例においては、前記更なる層に略平行に配置された前記弾性層の表面と前記弾性層に面する前記更なる層の表面との両方が、起伏を有する。前記弾性層及び前記更なる層の両方が起伏を有する本実施例の利点は、光ビームに対する必要とされるビーム制御素子の制御効果を得るための個々の起伏の隆起部及び/又は没入部の深さが低減され得る点である。更に、本実施例は、前記更なる層の表面における起伏に比べて異なる形状を持つ、前記弾性層の表面における起伏を利用することを可能とする。
【0026】
該照明システムの一実施例においては、前記弾性層の起伏と前記更なる層の起伏とは、略相補的な起伏である。光ビームを成形するために互いに対して移動可能な合致する相補的な起伏の利用は、ドイツ国特許3926618から既に知られている。しかしながら、該システムの欠点は、合致する相補的な起伏によって光が変化させられないように該合致する相補的な起伏を合わせるためには、比較的高い精度が必要とされる点である。このことは、該起伏が微細構造を有する場合には特に重大となる。弾性層の利用により、必要とされる精度が低減される。必要とされる精度の低減は、略相補的な起伏における、又は前記弾性層と前記更なる層とを互いに対して移動させるために機構的な構造における、いずれの不正確さにも適応する弾性層によってもたらされる。更に、略相補的な起伏を利用する場合には、前記弾性層及び前記更なる層の一方が略平坦である実施例に比べて、該起伏を小さくするために必要とされる圧力がかなり小さくなり得る。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、前記目的は、請求項18に記載のビーム制御素子により達成される。本発明によるビーム制御素子は、弾性層と前記弾性層に対して略平行に配置された更なる層とを有し、前記弾性層が、前記更なる層に対して略平行に配置された前記弾性層の表面に起伏を有するか、又は、前記更なる層が、前記弾性層に面する前記更なる層の表面に起伏を有し、前記起伏は、前記光ビームの形状及び/又は方向を変化させるように構成され、
前記ビーム制御素子は更に、前記弾性層と前記更なる層との間に圧力を加えることによって前記起伏を小さくするため、前記弾性層と前記更なる層とを前記光ビームの方向に互いに対して移動させるための移動手段を有する。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、前記目的は、請求項20に記載の光源により達成される。本発明による光源は、光ビームを生成するための発光素子及びコリメータを有し、前記光源の光出口窓は、前記起伏を有する前記弾性層を有する。前記発光素子は例えば、発光ダイオード又は超高圧ランプであっても良い。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、請求項19又は21に記載のフラッシュライトにより達成される。
【0030】
本発明のこれらの及びその他の態様は、以下に記載される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【0031】
図面は単に図式的なものであって、定縮尺で描かれたものではない。特に明確さのため、幾つかの次元が強く誇張されている。図における同様の構成要素は、可能である限り、同じ参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1(A)】弾性層が平行光ビームを再成形するための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図1(B)】弾性層が平行光ビームを再成形するための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図2(A)】弾性層が平行光ビームを再方向付けするための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図2(B)】弾性層が平行光ビームを再方向付けするための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図2(C)】弾性層が平行光ビームを再方向付けするための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図2(D)】弾性層が平行光ビームを再方向付けするための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図3(A)】更なる層が平行光ビームを再成形するための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図3(B)】更なる層が平行光ビームを再成形するための起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図4(A)】起伏を有する更なる層の表面が全体的な曲線状の形状を持つ、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図4(B)】起伏を有する更なる層の表面が全体的な曲線状の形状を持つ、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図5(A)】弾性層が弾性粒子を有する、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図5(B)】弾性層が弾性粒子を有する、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図6(A)】弾性層がスポンジ状構造を有する、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図6(B)】弾性層がスポンジ状構造を有する、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図7(A)】弾性層が区画を有する、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図7(B)】弾性層が区画を有する、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図8(A)】弾性層及び更なる層の両方が、平行光ビームを再成形するための相補的な合致起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図8(B)】弾性層及び更なる層の両方が、平行光ビームを再成形するための相補的な合致起伏を有する、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図9(A)】ビーム制御素子が反射において利用される、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図9(B)】ビーム制御素子が反射において利用される、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図10(A)】弾性層の加圧されていない起伏が全反射により光ビームを反射させるような形状とされた、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図10(B)】弾性層の加圧されていない起伏が全反射により光ビームを反射させるような形状とされた、ビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図11(A)】平行光ビームを再成形するために弾性層がコリメータのレンズの表面に配置された、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図11(B)】平行光ビームを再成形するために弾性層がコリメータのレンズの表面に配置された、本発明によるビーム制御素子の模式的な断面図を示す。
【図12】本発明による照明システムにおける使用のための光源の模式的な断面図を示す。
【図13(A)】本発明による照明システムの模式的な断面図を示す。
【図13(B)】本発明による照明システムの模式的な断面図を示す。
【図14(A)】本発明による照明システムを有するフラッシュライトの模式的な断面図を示す。
【図14(B)】本発明による照明システムを有するフラッシュライトの模式的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1A及び1Bは、本発明によるビーム制御素子10の模式的な断面図を示す。ビーム制御素子10は、互いに対して略平行に且つ光源(図示されていない)からの光制御素子10に入射する光ビーム40に対して略垂直に配置された、弾性層2a及び更なる層4aを有する。本発明によるビーム制御素子10は更に、明確さの理由により図1A及び1Bの模式的な図には示されていない、移動手段52、56(図8及び9を参照)を有する。図1A及び1Bに示されたようなビーム制御素子10においては、更なる層4aに面する弾性層2aの表面が、起伏21を有する。起伏21は、ビーム制御素子10に入射する光ビーム40を制御するように配置される。図1A及び1Bに示された実施例においては、起伏21は、複数の円形のレンズ型の隆起部又は複数の円筒形のレンズ型の隆起部から構成される。光ビーム40が起伏21に当たると、光ビーム40の形状が起伏21によって変化させられる。例えば、起伏21が複数の円形のレンズ型の隆起部から構成されている場合には、起伏21は、弾性層2aに平行な2つの次元において光ビーム40を拡大する。起伏21が複数の円筒形のレンズ型の隆起部から構成されている場合には、起伏21による光ビーム40の拡大は、矢印42により示された円筒形のレンズ型の隆起部の中心軸(図示されていない)に垂直な1つの次元においてのみ起こる。図1A及び1Bの模式的な断面図において、円筒形のレンズ型の隆起部を利用する場合の光ビーム40の拡大は、図1Aに示された断面の平面において起こる。
【0034】
図1Aは、互いに対して離隔された弾性層2a及び更なる層4aを示す。結果として、起伏21は、かなり拡散した光ビーム42を形成するように光ビーム40を制御する。図1Aに示された実施例においては、弾性層2aは、半透明な基板6上に配置される。基板6は半透明であっても良く、例えばガラス若しくは石英又は代替の半透明物質から構成されても良い。図1Bは、弾性層2a及び/又は更なる層4aを軸方向Aに沿って移動させることにより互いに対して加圧された弾性層2a及び更なる層4aを示す。弾性層2aの弾性特性により、起伏21は、弾性層2aと更なる層4aとの間に加えられる圧力によって小さくされる。加えられる圧力は起伏の縮小のレベルを決定し、従ってビーム制御素子10によって透過される光ビームの形状及び/又は方向の復元のレベルを決定する。
【0035】
更なる層4aは例えば、弾性層2aに比べて比較的剛性のものであっても良い。代替として、更なる層4aもまた弾性のものであっても良い(図示されていない)。更なる層4aもまた弾性のものである場合の利点は、弾性層2a及び更なる層4aの両方が起伏21を小さくするように適応し得るため、典型的に起伏21を小さくするために小さな圧力しか必要とされない点である。弾性層2aは、単一の弾性の半透明物質により構成されても良いし、又は例えば、柔軟な膜(図示されていない)に封入された弾性物質から構成されても良い。柔軟な膜に封入された弾性物質は例えば、流体であっても良い。図1A及び1Bに示された実施例においては、封入膜が起伏21を有する。本実施例の利点は、該柔軟な膜のみが例えば高分子でつくられ、一方で該流体は、例えば水又は空気のような光ビームの光に対して半透明な略任意の流体であっても良い。
【0036】
起伏21は例えば、リソグラフィーを介して弾性層2aにおいて起伏21をエッチングすることにより生成されても良い。弾性層2aは、例えば金型にキャスティングされても良い単量体から構成されても良い。重合の後、弾性層2aが生成される。起伏21は金型の一部であっても良く、金型に単量体をキャスティングする際に生成されても良い。単量体の後続する重合が、起伏21を有する弾性層2aを生成する。代替として、起伏21を形成する表面構造は、フォーカスされたレーザビームを用いて形成されても良い。代替として、ホログラフィック手段が、ビームの形状及び/又は方向に対する比較的優れた制御を提供する起伏21内にホログラフィック拡散器を生成するために利用される。層において又は層上に起伏を生成するための、他の多くの手法が、起伏21を形成するために適用されても良い。
【0037】
図2A、2B、2C及び2Dは、本発明によるビーム制御素子11の代替実施例の模式的な断面図を示す。図2A及び2Bに示された実施例においては、弾性層2bが半透明基板6に配置され、入射光ビーム40を再方向付けし、再方向付けされた光ビーム44へとするための、複数のプリズム状の隆起部から構成される起伏22aを有する。該プリズム状の隆起部は例えば、図2A及び2Bに示された断面図に対して垂直方向に延在する細長いプリズムであっても良い。図2Aは、起伏22aが光ビーム40を再方向付けして、再方向付けされた光ビーム44にするように、更なる層4aから離隔された、弾性層2bを示す。図2Bは、軸方向Aに移動した後に更なる層4aに対して加圧される弾性層2bを示す。弾性層2bと更なる層4aとの間に加えられる圧力のため、起伏22aは小さくされ、プリズム状の隆起部は圧力により変形されて、弾性の半透明物質の略均一な層となる。起伏22aの縮小のため、ビーム制御素子11はもはや、変化させられていないビーム制御素子11を通して略透過させられる入射光ビーム40を再方向付けしない。
【0038】
以上に示されたように、更なる層4aは、弾性層に比べて比較的剛性のものであっても良いし、又は例えば同様に弾性のものであっても良い。ここでもまた、弾性層2bは、柔軟な膜に封入された流体から構成されても良い。
【0039】
図2A、2C及び2Dは、更なる層4aが、弾性層2bに対して横方向Tに移動させられる、更なる実施例を示す。図2Cにおいて、横方向Tにおける更なる層4aの移動は、起伏22aに対して圧力を加えることによって起伏22a(図2Aを参照)の形状を変化させ、それにより、該起伏が、かなり拡散した光ビーム42となるように光ビーム40を制御する起伏21へと変化する。更なる層4aが横方向Tに更に移動させられた場合には、図2Cの起伏21は、図2Dに示されたような起伏22bへと変化させられる。図2Dに示されたような起伏22Bは、ここでもまた、入射光ビーム40を再方向付けし、最方向付けされた光ビーム44にするための、複数のプリズム状の隆起部から構成されるが、図2Aに示された実施例とは異なる方向に再方向付けされる。
【0040】
図2A、2C及び2Dに示された実施例はまた、弾性層2bに対して回転方向(図示されていない)に更なる層4aを移動させたときに得られ得る。勿論、更なる層4aに対して弾性層2bを移動させたときにも、同一の効果が達成される。
【0041】
図3A及び3Bは、更なる層4bが光ビーム40を再成形するための起伏21を有する、本発明によるビーム制御素子12の模式的な断面図を示す。起伏21は、ここでもまた、複数の円形のレンズ状の隆起部又は円筒形のレンズ状の隆起部から構成され、それぞれ光ビームの2次元の拡大又は光ビーム40の1次元の拡大に帰着する。弾性層2cは、単一の弾性物質又は柔軟な膜に封入された流体から構成されても良い、比較的平坦な弾性層2cである。図3Aは、光ビーム40がビーム制御素子12を通って進む間に、起伏21が光ビーム40の形状を制御するように、弾性層2cから離隔された更なる層4bを示す。図3Bは、起伏21が小さくなるように、弾性層2cに対して加圧された更なる層4bを示す。図3A及び3Bに示された例においては、更なる層4bは、弾性層2cの弾性物質に比べて比較的剛性であり、従って、弾性層2cと更なる層4bとの間に加えられる圧力のため、弾性層2cの比較的平坦な半透明物質が、更なる層4bの隆起21に比べて略相補的な形状へと加圧される。弾性層2cの弾性の半透明物質は、更なる層4bの起伏21の円形又は円筒形のレンズ状の隆起部間のギャップを略埋め、これにより起伏21が小さくされる。好適には、弾性層2c及び更なる層4bは、略同一の屈折率を持つ。弾性層2c及び更なる層4bが同一の屈折率を持たない場合には、起伏21の隆起部間のギャップの充填は、屈折率の違いにより、起伏を単に変形させるのみであり、起伏を光学的に除去しない。弾性層2c及び更なる層4bが同一の屈折率を持つ場合には、起伏21の隆起部間のギャップの充填が起伏21をも光学的に除去し、それにより、図3Bに示されるように、ビーム制御素子12に入射する光ビーム40が変化させられないまま通過することができる。
【0042】
更なる層4bは例えばガラス又は石英から構成されても良く、起伏21は該ガラス又は石英にエッチングされても良い。代替として、更なる層4bは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリスチレン(PS)若しくはポリカーボネート(PC)のような、弾性層2cの弾性の半透明物質よりも剛性のものであるプラスチック物質から構成されても良い。
【0043】
図4A及び4Bは、起伏23を有する弾性層2dの表面が全体的な曲線状の形状を持つ、ビーム制御素子13の模式的な断面図を示す。斯かる起伏23の全体的に曲線状の形状は、弾性層2dが更なる層4aに対して加圧されたときに、起伏23が徐々に消失するという利点を持つ。このことは、逸らされた光ビーム42が平行光ビーム40へと徐々に変化することを可能とする。本実施例の更なる利点は、更なる層4aから弾性層2dが徐々に離れることを可能とし、このことは弾性層2dが比較的粘性が高いものである場合には有利となり得る。
【0044】
図5A及び5Bは、弾性層2eが弾性粒子24を有する、ビーム制御素子14の模式的な断面図を示す。弾性粒子24の利用は、起伏24の表面を増大させ、斯くして散乱効果を増大させる。圧力が加えられると、図5Bに示されるように、粒子24の弾性効果が弾性層2eを略均一とし、斯くして起伏24を小さくして、入射する光ビーム40が略変化させられずに通過することを可能とする。
【0045】
図6A及び6Bは、弾性層2fがスポンジ状構造25を有する、ビーム制御素子15の模式的な断面図を示す。スポンジ状構造25もまた起伏25の表面を増大させ、弾性層2fの散乱効果を増大させる。弾性層2fは例えば、図6Aに示されるように、加圧されていない状態では空気で満たされていても良い。弾性層2fが加圧されると(図6Bを参照)、略均一な層2fとなるように圧縮された弾性層2fから空気が押し出され、それにより入射光ビーム40が略変化させられずに通過することを可能とする。
【0046】
図7A及び7Bは、弾性層2gが区画26を有する、ビーム制御素子16の模式的な断面図を示す。区画26は、弾性層2gの残りの部分とは異なる屈折率を持つ流体で満たされていても良い。区画26は、空気若しくは水又はその他のいずれかの適切な流体を有しても良い。図7Aに示されたような加圧されていない状態では、入射光ビーム40は区画26により回折させられ、かなり拡散的な散乱光ビーム42に帰着する。弾性層2gと更なる層4aとの間に圧力が加えられると、該区画は、図7Bに示されるように、弾性層2g内の略均一な層へと変形する。ここでもまた、入射光ビーム40は略変化させられずに通過し得る。
【0047】
図8A及び8Bは、弾性層2h及び更なる層4bの両方が、光ビーム40を制御するための起伏21、27を有する、本発明によるビーム制御素子17の模式的な断面図を示す。更なる層4bは、図3及び4に示されたような更なる層4bと略等しく、複数の円形又は円筒形のレンズ状隆起部を有する。弾性層2hは、更なる層4bの起伏21と略相補的な相補的起伏27を有する。弾性層2hの相補的起伏27は、更なる層4bの円形のレンズ状隆起部又は円筒形のレンズ状隆起部に略合致する、円形のレンズ状隆起部又は円筒形のレンズ状隆起部を有する。図8Aは、起伏21及び相補的起伏27が、ビーム制御素子17に入射する光ビーム40の形状及び/又は方向を制御するように離隔された、弾性層2h及び更なる層4bを示す。図8Bは、更なる層4bに対して加圧された弾性層2hを示し、ここでは起伏21が相補的起伏27に略合致する。弾性層2h及び更なる層4bの屈折率が略同一である場合には、図8Bに示されるようなビーム制御素子17の構成に入射する光ビーム40は、略変化させられずにビーム制御素子17を通過する。弾性層2hの弾性特性により、相補的起伏27に対する起伏21のいずれの不整合もが補正され、それにより起伏21及び相補起伏27はかなり大幅に小さくされる。
【0048】
代替として、弾性層2hの起伏27は、更なる層4bの起伏21の相補的起伏27でなくとも良い(図8A及び8Bには図示されていない)。起伏21、27は、光ビーム40の必要とされる成形又は再方向付けが、2つの起伏21、27の組み合わせにより得られるように選択されても良い。斯かる実施例においては、起伏21、27を小さくするために更なる層4bに対して弾性層2hを加圧するために必要な力は小さくなる。なぜなら、個々の起伏21、27のいずれもが、深さの半分を持つ隆起部及び/又は没入部を持つことしか必要とされないからである。光ビーム40を成形又は再方向付けするために2つの異なる起伏21、27を利用することは、ビーム制御素子17による光ビーム40のより複雑な制御を可能とする。
【0049】
弾性層2hは、単一の弾性物質から構成されても良いし、又は柔軟な膜に封入された流体から構成されても良い。該膜が流体を封入するために利用される場合には、該膜が弾性層2hの起伏27を有する。
【0050】
図9A及び9Bは、ビーム制御素子18が反射において利用される、本発明によるビーム制御素子18の模式的な断面図を示す。ビーム制御素子18は、弾性層2cと、起伏21を有する更なる層4bとを有する。図9A及び9Bに示されたビーム制御素子18は更に、入射する光ビーム40を反射するための反射層8を有する。弾性層2c及び更なる層4bは、図3A及び3Bに示された弾性層2c及び更なる層4bに略等しい。しかしながら、図9A及び9Bに示された実施例においては、入射光ビーム40の成形又は再方向付けに対する起伏21の効果は、図3A及び3Bの実施例の効果の略2倍である。なぜなら、光が弾性層2c及び更なる層4bを2度通過するからである。
【0051】
図9A及び9Bに示された実施例においては、光ビーム40は、或る角度で反射層8に入射する。光ビーム40は起伏21にも或る角度で入射し、このことはビーム制御素子18による光ビーム40の再成形を歪める。起伏21は、斯かる歪(図示されていない)を補償するように構成されても良い。
【0052】
図10A及び10Bは、弾性層2iの加圧されていない起伏28が全反射により光ビームを反射させるような形状とされた、ビーム制御素子19の模式的な断面図を示す。起伏28のプリズム状の形状が、更なる層4aに略垂直に入射する光ビーム40を反射させる。本実施例の利点は、全反射を利用した反射が、略無損失である点である。更なる層4aに対して弾性層2iを加圧することによって弾性層2iの弾性物質が圧縮されると、起伏28のプリズム状の構造が小さくなり、図10Bに示されるように弾性物質の略一様な層を形成する。もはやプリズム型ではない起伏28の部分は、入射光ビーム40の光の一部を透過させ始める。従って、起伏28の縮小の間、弾性層2iの屈折特性が低速に減少し、徐々に多くの入射光ビームの光がビーム制御素子19によって透過させられる。図10A及び10Bに示されたようなビーム制御素子19の実施例は、入射光ビーム40の透過率又は反射率を比較的容易に変化させるための光学素子として利用されることができる。
【0053】
図11A及び11Bは、弾性層2jがレンズ状の更なる層4cの表面に配置された、本発明によるビーム制御素子20の模式的な断面図を示す。弾性層2jは、光源34により発せられた光ビームを再成形又は再方向付けするための起伏29を有する。起伏29は、弾性層2jと更なる層4cとの間の界面に配置される。光源34は、発光素子36と、発光素子36により発せられた光を平行にし平行光ビームを形成するレンズ状の更なる層4cとを有する。ビーム制御素子20は更に半透明素子37を有し、該半透明素子37の弾性層2jに面する表面は、弾性層2jが取り付けられるレンズ状の更なる層4cの表面に対して相補的な形状を持つ。半透明素子37は、起伏29を小さくするために更なる層4cに対して弾性層2jを加圧するために利用される。
【0054】
図11Aは、半透明素子37が弾性層2jから離隔された、ビーム制御素子20を示す。半透明素子37と弾性層2jとの間の該離隔により、弾性層2jと更なる層4cとの間に圧力が加えられず、起伏29が光源により発せられた光ビームを制御する。図11Bは、半透明素子37が更なる層4cに対して加圧され、従って弾性層2jを更なる層4cに対して加圧した、ビーム制御素子20を示す。加えられたこの圧力により、弾性層2jの弾性物質は変形し、それにより起伏29を小さくする。縮小された起伏29により、弾性層2jは、半透明素子37と更なる層4cとの間に略均一な層を形成し、光ビーム40が弾性層2j及び半透明素子37を略変化させられずに通過することを可能とする。代替として、弾性層2jは、図11Aの構成における弾性層2jが更なる層4cから離隔されるように、半透明素子37に取り付けられても良い(図示されていない)。
【0055】
図12は、本発明による照明システム50、60(図13及び14を参照)における使用のための光源38の模式的な断面図を示す。光源38は、例えば発光ダイオード32のような発光素子32を有し、発光素子32により発せられた光を平行にするためのコリメータ33を有する。光源38は更に、弾性層2aを有する光出口窓39を有する。弾性層2aは、コリメータ33から発せられた光ビームの形状及び/又は方向を制御するための起伏21を有する。該光源38は例えば、従来の照明システムにおける後付け光源38として利用されても良い。一般に、従来の照明システムは、ユーザが光源に触れることを防ぐためのカバーガラスを持つ。なぜなら、光源は一般に比較的熱くなるからである。カバーガラスは、前記起伏の小さくするために弾性層2aに対して加圧されても良い更なる層として配置されても良く、それ自体が前記光ビームの形状及び/又は方向を略復元しても良い。発光素子32は、超高圧放電ランプ32であっても良い。典型的には、該超高圧放電ランプは、反射器33内に比較的高い精度で配置され、反射器33内の該超高圧放電ランプの位置は、典型的には固定される。反射器33は典型的には、ユーザが超高圧放電ランプ32に触れることを防ぐためのカバー(図示されていない)により封入される。該超高圧放電ランプにより発せられた光が、ビーム制御素子の上述した実施例に示されたように制御されるように、該カバーに弾性層2aが取り付けられても良い。
【0056】
図13A及び13Bは、本発明による照明システム50の模式的な断面図を示す。本発明による照明システム50は、例えば発光ダイオード32のような発光素子32を有する光源を有し、コリメータ33を有する。照明システム50は、光ビームの形状及び/又は方向を制御するための起伏21を有する弾性層2aを有する。照明システム50は更に、弾性層2aに対して平行に配置された更なる層4aを有する。照明システム50は更に、弾性層2aの起伏21の縮小を制御するために、弾性層2aに対して更なる層4aを加圧するため、弾性層2aに対して更なる層4aを移動させるための、例えば圧電素子52のような移動手段52を有する。
【0057】
図13Aは、弾性層2aと更なる層4aとの間に圧力が略加えられていない、弾性層2a及び更なる層4aの構成を示す。結果として、光源30から発せられた光ビームの形状及び/又は方向を制御するための起伏21が存在している。図13Aに示された実施例においては、起伏21は、光源30により発せられた光ビームを発散光ビーム42へと拡大するための、円形又は円筒形のレンズ状突起部を有する。図13Bは、更なる層4aが弾性層2aに対して加圧され、それにより起伏21を小さくした、弾性層2a及び更なる層4aの構成を示す。加えられる圧力が、起伏21の縮小のレベルを決定し、斯くして弾性層2a及び更なる層4aにより透過させられる光ビーム40の形状及び/又は方向の復元のレベルを決定する。
【0058】
図13A及び13Bに示された照明システム50は更に、筐体56と発光素子32を駆動するための駆動回路54とを有する。
【0059】
図14A及び14Bは、本発明による照明システム60を有するフラッシュライト60の模式的な断面図を示す。本発明によるフラッシュライト60は、発光ダイオード32及びコリメータ33を有する光源30を有する。フラッシュライト60は更に、起伏21を有する弾性層2aを有し、弾性層2aに対して平行に配置された更なる層4aを有する。フラッシュライト60は移動手段62を有し、該移動手段62は例えば、螺旋状のスレッドであって該スレッドに沿ってフランジ64が回転運動により移動させられるような螺旋状のスレッド62である。更なる層4aはフランジ64に結合され、該螺旋状のスレッド62に沿ってフランジ64が回転させられたときに、弾性層2aに対して平行移動する。更なる層4aの該平行移動により、更なる層4aは、弾性層2aの起伏21の縮小を制御するために、弾性層2aに対して加圧される。
【0060】
図14Aは、弾性層2aと更なる層4aとの間に圧力が略加えられていない、弾性層2a及び更なる層4aの構成を示す。結果として、光源30から発せられた光ビームの形状及び/又は方向を制御するための起伏21が存在している。図14Bは、更なる層4aがスレッド62に沿ってフランジ64の平行移動を介して平行移動させられ、弾性層2aに対して加圧され、それにより起伏21を小さくした、弾性層2a及び更なる層4aの構成を示す。ここでもまた、更なる層4aと該弾性層との間に加えられた圧力が、起伏21の縮小のレベルを決定し、斯くして弾性層2a及び更なる層4aにより透過させられる光ビーム40の形状及び/又は方向の復元のレベルを決定する。
【0061】
図14A及び14Bに示されたフラッシュライト60は更に、筐体66と発光ダイオード32を駆動するための駆動回路54とを有する。フラッシュライト60は更に、発光ダイオード32にエネルギーを供給するための、例えばバッテリ68のようなエネルギー源68を有する。最後に、バッテリ68の電気回路と駆動回路54とを閉じるための導電線69が配置される。
【0062】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。
【0063】
これら実施例は、限られた数の起伏しか示していない。しかしながら、光ビームを制御するための他の起伏も、本発明の範囲から逸脱することなく利用され得ることは、当業者には明らかである。請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する(comprise)」及びその語形変化の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」は、複数の斯かる要素の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、実装されても良い。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図6A】

【図6B】

【図7A】

【図7B】

【図8A】

【図8B】

【図9A】

【図9B】

【図10A】

【図10B】

【図11A】

【図11B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを発するための光源と、及び前記光ビームの形状及び/又は方向を制御するためのビーム制御素子と、を有する照明システムであって、
前記光源は、前記ビーム制御素子を介して前記光ビームの少なくとも一部を発するように構成され、
前記ビーム制御素子は、弾性層と前記弾性層に対して略平行に配置された更なる層とを有し、前記弾性層が、前記更なる層に対して略平行に配置された前記弾性層の表面に起伏を有するか、又は、前記更なる層が、前記弾性層に面する前記更なる層の表面に起伏を有し、前記起伏は、前記光ビームの形状及び/又は方向を変化させるように構成され、
前記照明システムは更に、前記弾性層と前記更なる層との間に圧力を加えることによって前記起伏を小さくするため、前記弾性層と前記更なる層とを互いに対して移動させるための移動手段を有する、照明システム。
【請求項2】
前記移動手段は、前記圧力を加えるため、前記光ビームに対して略平行な方向である軸方向に、前記弾性層と前記更なる層とを互いに対して移動させるように構成された、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記移動手段は、前記起伏を変形させるために、横方向及び/又は回転方向に、前記弾性層と前記更なる層とを互いに対して移動させるように構成され、前記横方向及び前記回転方向は、前記光ビームに対して略垂直な方向である、請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記起伏を有する前記弾性層の表面は前記弾性層に埋め込まれる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項5】
半透明層である前記弾性層が、前記起伏を形成する埋め込まれた区画を有する、請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記区画は、前記起伏を小さくするため、前記弾性層を加圧することにより、前記区画から排出される流体を有する、請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記更なる層は前記弾性層に比べて比較的剛性である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記弾性層の屈折率は前記更なる層の屈折率と略等しい、請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記起伏は、円形のレンズ型、円筒形のレンズ型、プリズム型、又は略ランダムな形状の隆起部、没入部又は区画から構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項10】
前記移動手段は、
スレッドに沿った平行移動を引き起こす回転運動、
圧電素子、
電磁気力、又は
モータ
を介して、前記更なる層に対して前記弾性層を移動させる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項11】
前記更なる層に略平行に配置された前記弾性層の表面と、前記弾性層に面する前記更なる層の表面と、の両方が起伏を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項12】
ビームの形状及び/又は方向を制御するためのビーム制御素子であって、
前記ビーム制御素子は、弾性層と前記弾性層に対して略平行に配置された更なる層とを有し、前記弾性層が、前記更なる層に対して略平行に配置された前記弾性層の表面に起伏を有するか、又は、前記更なる層が、前記弾性層に面する前記更なる層の表面に起伏を有し、前記起伏は、前記光ビームの形状及び/又は方向を変化させるように構成され、
前記ビーム制御素子は更に、前記弾性層と前記更なる層との間に圧力を加えることによって前記起伏を小さくするため、前記弾性層と前記更なる層とを前記光ビームの方向に互いに対して移動させるための移動手段を有する、
【請求項13】
請求項12に記載のビーム制御素子を有するフラッシュライト。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の照明システムにおける使用のための光源であって、前記光源は、光ビームを生成するための発光素子及びコリメータを有し、前記光源の光出口窓は、前記起伏を有する前記弾性層を有する光源。
【請求項15】
請求項14に記載の光源を有するフラッシュライト。

【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【公表番号】特表2010−539638(P2010−539638A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523627(P2010−523627)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053618
【国際公開番号】WO2009/034511
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】