説明

照明システム

【課題】天板側方等に形成される通路を人が通行した際の人感センサの誤検知により照明器具に通電され、電力消費の削減効果が損なわれる不具合の発生を抑制する。
【解決手段】天板と、天板の反使用端上に照明器具を支持する支持要素2と、天板を使用する使用者の作業領域に特定して照準を合わせており照射範囲内に使用者の存在を検知した際に照明器具に対する通電が行われるようにするための人感センサたる人感センサ本体41を有する人感センサ部4と、前記人感センサ本体による通路側の照射を抑制する照射抑制手段5とを備える照明システムを採用する。前記照射抑制手段が、前記人感センサの通路側を少なくとも被覆する被覆材51である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において用いられ、主として天板を使用する人の作業領域を照明するための照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィス等において、電力消費の削減を図るべく、従来の天井照明に代えて支持要素に支持された照明器具を天板の反使用端上に配するとともに、天板の使用端に該天板を使用する者が着座していることを検知する人感センサを配し、この人感センサが天板前方に該天板を使用する者が着座していることを検知している際にのみ前記照明器具に通電が行われるようにしている照明システムが考えられてきている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、このような照明システムにおいて、従来は人感センサの照射範囲が天板の使用端側全域に及んでいた。すなわち、人感センサの照射範囲に天板側方等に形成される通路が含まれてしまうことがあった。そのため、天板側方等に形成される通路を人が通行した際にも、人感センサが天板の使用端側に着座者が着座したと誤検知して照明器具に通電され、電力消費の削減効果が損なわれるという不具合が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−147666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に着目し、通路を人が通行した際の人感センサの誤検知により照明器具に通電され、電力消費の削減効果が損なわれる不具合の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明の照明システムは、天板と、天板の反使用端上に照明器具を支持する支持要素と、天板を使用する使用者の作業領域に特定して照準を合わせており照射範囲内に使用者の存在を検知した際に照明器具に対する通電が行われるようにするための人感センサを有する人感センサ部と、前記人感センサによる通路側の照射を抑制する照射抑制手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、通路を人が通行し、通行人が天板付近に達した場合であっても、前記照射抑制手段により人感センサによる通路側の照射が抑制され、従って人感センサによる誤検知が抑制される。なお、本発明において、「天板の反使用端」とは、対向する両端をともに使用端としている天板における前記両端の中間部分を含む概念である。
【0008】
このような照射抑制手段を容易に実現するための態様の一例として、この照射抑制手段が、前記人感センサの通路側を少なくとも被覆する被覆材であるものが挙げられる。このようなものであれば、被覆材により人感センサの通路側が被覆されているので通路を人が通行していても通行人が照射を受けることなく、通行人が検知されることがないからである。
【0009】
また、人感センサ部の取付態様の一例として、前記支持要素が、対をなす支柱と、これら支柱の上端間を接続しているとともに下面に照明器具を支持させてなる横架材とを備え、この横架材に前記人感センサ部をさらに支持させているものが挙げられる。
【0010】
前記作業領域内に使用者が存在していることを有効に検知させるようにするための構成の一例として、前記横架材と前記支柱とが形成する隅部又はその近傍に前記人感センサ部を設けているものが挙げられる。
【0011】
このような照明システムの好適な一例として、前記天板を備えた天板付き家具の反使用端上方に前記支持要素を設けているとともに、この支持要素にオプション部材を取り付け可能であるものが挙げられる。
【0012】
このような照明システムの他の好適な一例として、前記天板を備えた天板付き家具と、自立可能な前記支持要素とを別体に設けているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通路を人が通行した際の人感センサの誤検知により照明器具に通電され、電力消費の削減効果が損なわれる不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明システムを示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る照明システムを示す正面図。
【図3】同実施形態に係る照明システムを示す平面図。
【図4】同実施形態に係る人感センサ部の取付態様を示す底面斜視図。
【図5】同実施形態に係る人感センサ部を示す底面図。
【図6】同実施形態に係る人感センサ部を示す正面図。
【図7】同実施形態に係る人感センサ部を示す側面図。
【図8】同実施形態に係る人感センサ部を示す平面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る照明システムを示す分解斜視図。
【図10】同実施形態に係る照明システムを示す斜視図。
【図11】本発明の他の実施形態に係る照明システムを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の一実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る照明システムSは、図1〜図3に示すように、脚12に天板11を支持させてなる天板付き家具1と、この天板付き家具1の天板の反使用端11bから起立する支柱21を介して照明器具3を支持させてなる支持要素2と、この支持要素2に取り付けられ天板11を使用する使用者の作業領域R1に特定して照準を合わせており照射範囲R2内に使用者の存在を検知した際に照明器具3に対する通電が行われるようにするための人感センサ部4とを備えている。
【0017】
より具体的には、前記天板付き家具1は、図1〜図3に示すように、互いに反使用端11bを対向させた1対の矩形状をなす天板11と、これら1対の天板11の側端縁をそれぞれ支持する脚12と、前記天板11の反使用端11b間に形成される配線挿通空間を被覆する蓋体13とを備えている。前記天板11の使用端11aには、それぞれ2名ずつが着座可能であり、幅方向中央1xを境界として天板面の半分ずつをそれぞれ各着座者すなわち使用者の作業領域R1としている。そして、この天板11の両側端縁11cの外側に、通路Aを設定している。
【0018】
前記支持要素2は、図1〜図3に示すように、前記脚12に支持させてなるとともに前記天板11の反使用端11bの幅方向両端から起立する1対の支柱21と、これら支柱21の上端間を接続しているとともに、下面に照明器具3を支持させてなる横架材22とを備えている。また本実施形態では、前記支柱21内に前記照明器具3に電力を供給するための電力コードを収納可能な図示しない配線収納空間を備えている。さらに、この支持要素2には、パネル9等のオプション部材を取り付け可能である。
【0019】
前記照明器具3は、複数のLEDを組み合わせてなるもので、上述したように天板11の反使用端11bの上方に前記支持要素2を介して支持されている。また、この照明器具3は、前記支持要素2の幅方向中央、より具体的には前記横架材22の幅方向中央を挟んで幅方向両側にそれぞれ1つずつ、合わせて2つ設けている。
【0020】
前記人感センサ部4は、本実施形態では上述したように、また図4〜図8に示すように、天板11を使用する使用者の作業領域R1に特定して照準を合わせられ照射範囲R2内に使用者の存在を検知した際に前記照明器具3に対する通電を行わせるべく信号を発する人感センサ本体41と、前記人感センサ本体41が前記信号を発した際、すなわち該人感センサ本体41の照射範囲R2内に使用者の存在を検知した際に通電状態となるスイッチング素子42と、これら人感センサ本体41及びスイッチング素子42に接続してなりこれらの制御を行う制御装置43と、これら人感センサ本体41、スイッチング素子42及び制御装置43を収納するとともに下面に前記人感センサを露出させるためのセンサ露出孔44xを有する略直方体状の筐体44とを備えている。前記人感センサ本体41は、その一部が前記センサ露出孔44xを通過して外部に露出しており、照射範囲R2内、すなわち主として天板面上の作業領域R1内において作業者の手等の熱源の動きを検知した際に、照射範囲R2内に使用者の存在を検知していることを示す信号を出力する。前記制御装置43は、例えばCPU、記憶装置、入出力インタフェース、及びタイマを少なくとも備えたマイクロコンピュータシステムを主体に構成したものであり、前記人感センサ本体41からその照射範囲R2内に使用者の存在を検知していることを示す信号を受け付けた際に、信号を受け付けた時刻を起点として所定時間、例えば3分間だけ前記スイッチング素子42を通電状態とする制御を行う。また、前記信号を受け付けてから前記所定時間経過する以前に再度前記信号を受け付けた場合には、前記所定時間のカウントは破棄して再度前記信号を受け付けた時刻を起点として前記所定時間だけ前記スイッチング素子42を通電状態とする制御を行う。すなわち、天板11の使用端11aに使用者が着座している際には、天板11の使用領域内において使用者の手等の動きが前記所定時間よりも短い間隔で検知されるので、使用者が天板11の使用端11aに着座した時刻を起点として使用者が天板11の使用端11aから離れてから前記所定時間が経過するまでの間、前記スイッチング素子42が通電状態となり、前記照明装置に電力が供給される。前記筐体44は、前述したように前記人感センサ本体41、前記スイッチング素子42及び前記制御装置43をその内部に収納するとともに、その下面44aに前記人感センサを露出させるためのセンサ露出孔44xを有する。また、この筐体44に上面には磁石45が設けられており、図1〜図4に示すように、この磁石45を介して前記支持要素2の横架材22の長手方向両端の下面に設けられ鉄等の磁性体により形成された板状の人感センサ取付部材22aの下面にこの人感センサ部4が取り付けられる。換言すれば、この人感センサ部4は、前記横架材22と前記支柱21とが形成する隅部に設けられている。さらに、この人感センサ部4及び前記照明装置3の高さ位置は、人感センサ本体41が前記作業領域R1に作業者が着座していることの検知を効果的に行えるようにすべく、天板11の天板面から上方に750〜900mmの位置、より望ましくは天板11の天板面から上方に840〜850mmの位置、さらに具体的には天板11の天板面から上方に846mmの位置に設定している。
【0021】
しかして本実施形態に係る照明システムSは、前記人感センサ部4、より具体的には人感センサ本体41による通路A側の照射を抑制する照射抑制手段5をさらに備えている。
【0022】
具体的には、この照射抑制手段5は、図4〜図7に示すように、前記人感センサ部4の筐体44の下面44aに設けられ、前記センサ露出孔44xのうち所定角度範囲、例えば130度の領域のみを開放し、その他の領域、すなわち通路A側半分全体を含む領域を被覆する半球状の被覆材51を利用して形成されている。そして、この被覆材51が前記センサ露出孔44xの下方の領域、換言すれば前記人感センサ本体41の下方の領域の一部を被覆していることにより、前記人感センサ本体41による照射範囲R2は、各天板面の左右各半分の使用領域の中央部、及び天板11の使用端11a前方の一部の領域に限定され、人感センサ本体41による通路A側の照射は抑制される。
【0023】
すなわち本発明の照明システムSの構成によれば、通路Aを人が通行し、通行人が天板11の側端縁11c近傍に達した場合であっても、前記照射抑制手段5により人感センサ本体41による通路A側の照射は抑制されているので、人感センサによる誤検知が抑制される。従って、通路Aを人が通行した際の人感センサの誤検知により照明器具3に通電され、電力消費の削減効果が損なわれる不具合の発生を抑制することができる。
【0024】
また、前記照射抑制手段5を、前記人感センサ本体41の通路A側を少なくとも被覆する被覆材51を利用して形成しているので、通路A側を人が通行していても通行人が照射されず、通行人が検知されることがない。従って、このような照射抑制手段5を少ない部品点数で容易に実現することができる。
【0025】
さらに、前記支持要素2が、対をなす支柱21と、これら支柱21の上端間を接続しているとともに下面に照明器具3を支持させてなる横架材22とを備え、この横架材22の長手方向端部に前記人感センサ部4をさらに支持させているので、簡単な構成によりこのような人感センサ部4の照射範囲R2を天板11の使用領域に設定できる。
【0026】
加えて、前記照明器具3がその光源としてLEDを利用しているので、更なる電力消費の削減を図ることができる。
【0027】
そして、前記横架材22と前記支柱21とが形成する隅部に前記人感センサ部4を設けているので、天板11の左右両半部にそれぞれ設定した前記作業領域R1内に作業者が存在していることを有効に検知させることができる。
【0028】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0029】
例えば、図9及び図10に示すように、対をなす支柱X21と、これら支柱X21の上端間を接続するとともに図示しない照明器具を支持する上横架材X22と、前記支柱X21の下端間を接続する下横架材X23と、この下横架材X23の下方に設けられ前記支柱X21、前記上横架材X22及び前記下横架材X23を支持する脚X24とを有する自立可能な枠状の支持要素X2と、天板X11及び天板X11を支持する脚X12を備え前記支持要素X2の前後いずれかの面に天板X11の反使用端X11bを対向させた天板付き家具X1と、天板X1を使用する使用者の作業領域に特定して照準を合わせており照射範囲内に使用者の存在を検知した際に前記照明器具に対する通電が行われるようにするための人感センサを有する人感センサ部X4とを備えた家具システムXSに本発明を適用してもよい。すなわち、この家具システムXSにおいて、人感センサ部X4の人感センサ本体による通路XA側の照射を抑制する照射抑制手段を設けてもよい。この照射抑制手段の一例として、例えば上述した実施形態に係るものと同様に人感センサ本体の通路側XAを被覆する被覆材を利用したものが挙げられる。
【0030】
また、図11に示すように、天板Y11及びこの天板Y11を支持する脚Y12を備えた天板付き家具Y1と、この天板付き家具Y1の天板Y11の反使用端の長手方向中央から起立する支柱Y21、この支柱Y21の左右両側にそれぞれ設けられ天板付き家具の天板面を照明する第1の照明器具Y31を支持する第1の支持要素Y22、及び前記支柱Y21の上端に設けられ天井を照明する第2の照明器具Y32を支持する第2の支持要素を有する支持要素Y2と、天板Y1を使用する使用者の作業領域に特定して照準を合わせており照射範囲内に使用者の存在を検知した際に照明器具Y31、Y32に対する通電が行われるようにするための人感センサを有する人感センサ部Y4とを備えた家具システムYSに本発明を適用してもよい。すなわち、この家具システムYSにおいて、人感センサ部Y4の人感センサ本体Y41による通路YA側の照射を抑制すべくこの人感センサ本体Y41の通路YA側を被覆する被覆材を利用した照射抑制手段Y5を設けるようにしてもよい。
【0031】
さらに、人感センサを被覆する被覆材を利用するものに限らず、人感センサに黒色インクによる塗装を施す等、他の方法により照射抑制手段を形成してもよい。
【0032】
加えて、光源としてLED以外を利用した照明器具を利用した家具システムに本発明を適用してももちろんよい。
【0033】
また、図1〜図8を参照しつつ前述した実施形態において、天板を1枚のみ設け、その一端縁のみを使用端としている天板付き家具を利用するとともに、該天板付き家具の反使用端側に支持要素を設けている照明システムに本発明を適用してもよい。この場合、人感センサ本体を露出させるためのセンサ露出孔のうち130度の領域のみを開放した被覆材を利用した前述した実施形態に係る照射抑制手段に代えて、前記センサ露出孔のうち65度の領域のみを開放した被覆材を利用した照射抑制手段を採用するとよい。さらに、図9及び図10を参照しつつ前述した態様において、支持要素の前後いずれか一面にのみ天板付き家具を配している照明システムに本発明を適用してももちろんよい。これらの態様において、支持要素の天板付き家具を配していない側は、建築壁面に近づける、或いはオプション部材として該支持要素に視線を遮断するためのパネル要素を取り付ける等の構成が考えられる。
【0034】
そして、人感センサ部の設置箇所は、支持要素の支柱と対をなす前記支柱の上端間を接続する横架材とが形成する隅部に限らず、例えば、天板の使用端に1名のみが着座する態様や3名が着座する態様においては、前記横架材の長手方向中央部に設けるようにしてもよい。
【0035】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0036】
11…天板
2…支持要素
3…照明器具
4…人感センサ部
5…照射抑制手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、天板の反使用端上に照明器具を支持する支持要素と、天板を使用する使用者の作業領域に特定して照準を合わせており照射範囲内に使用者の存在を検知した際に照明器具に対する通電が行われるようにするための人感センサを有する人感センサ部と、前記人感センサによる通路側の照射を抑制する照射抑制手段とを備えることを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記照射抑制手段が、前記人感センサの通路側を少なくとも被覆する被覆材である請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記支持要素が、対をなす支柱と、これら支柱の上端間を接続しているとともに下面に照明器具を支持させてなる横架材とを備え、この横架材に前記人感センサ部をさらに支持させている請求項1又は2記載の照明システム。
【請求項4】
前記横架材と前記支柱とが形成する隅部又はその近傍に前記人感センサ部を設けている請求項3記載の照明システム。
【請求項5】
前記天板を備えた天板付き家具の反使用端上方に前記支持要素を設けているとともに、この支持要素にオプション部材を取り付け可能である請求項1、2、3又は4記載の照明システム。
【請求項6】
前記天板を備えた天板付き家具と、自立可能な前記支持要素とを別体に設けている請求項1、2、3又は4記載の照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−105663(P2013−105663A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249807(P2011−249807)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】