説明

照明パネル、照明パネル用電源供給装置、及び照明装置

【課題】長寿命で、照明パネルの一方の面全面を発光面として利用できる照明装置を提供する。
【解決手段】ELを利用する照明パネルは、透光性基板21と、EL発光層を含む発光部22と、発光部22に電力を供給する発光電源部23と、透光性基板21とで形成する封止空間内に発光部と発光電源部23を封止する封止部材24とを備える。発光電源部23は、電源供給装置1側の外部巻線111と誘導結合するための誘導巻線231と、誘導巻線231が巻回されたコア部材232とを含む。照明パネル用電源供給装置2は、照明パネル2の発光電源部23に被接触で電力を供給する電源供給部11を備える。電源供給部11は、外部電源に接続された外部巻線111と、外部巻線111が巻回された外部磁路を形成する外部コア部材112を含む。外部コア部材112は、照明パネル2の設置時に、コア部材232と閉磁路を形成するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELや無機EL等のEL(Electro Luminescence)を利用する照明パネル、この照明パネルに電力を供給する照明パネル用電源供給装置、及び照明パネルと照明パネル用電源供給装置とを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長寿命が要求される分野での使用を目的とした照明装置として、発光ダイオード(LED)等の点光源を用いた照明装置や、有機発光ダイオード(OLED)等の面発光素子を用いた照明装置等が提案されている。例えば、有機発光ダイオードを用いた固体素子型の照明装置として、面照明光源と、この面照明光源を着脱可能に保持するソケットとを有する構成のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなソケット式の照明装置にあっては、照明装置を設置する壁面等にソケットを取り付けてあれば、ソケットに面照明光源の電極部分を装着させて接続するだけで電気的な配線工事が不要であるので、その点では都合がよい。しかし、このソケット式の照明装置にあっては、スペース面照明光源をソケットから着脱時の電極部分の磨耗や損傷が避けられず、長期間の使用には不向きである。また、ソケットに取り付ける電極部分は照明装置の周囲に設けられるため、そのスペース確保が簡単ではなく、照明装置全面を発光面とすることが難しい。特に、複数の照明装置を並べて連続した大きな発光面を形成することが簡単ではない。
【0004】
また、有機ELを用いる場合等では、有機EL自体水分に強いものではないので、電極部の構造も封止処理を考慮したものとならざるを得ない。
【0005】
【特許文献1】2004−127910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、長寿命で、照明パネルの一方の面全面を発光面として利用できる照明装置、そのような照明装置を構成する照明パネル及び照明パネル用電源供給装置を提供することを目的とする。照明パネルを電源側に簡単に電気的に接続させることができ、現場での配線工事が不要であるとともに、照明パネルの交換や着脱の際の電極部分の磨耗がなく、長寿命化を図ることができるとともに感電のおそれもなく、しかも設置面から大きく飛び出すことがなく外観上も見栄がよい照明パネル、照明装置用電源供給装置、及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明パネルは、ELを用いる照明パネルであって、1対の電極と、前記1対の電極との間に配置されたEL発光層と、の積層構造を有し、照明用の光を発光する発光部と、前記発光部に発光のための電力を供給する発光電源部と、前記発光部からの光が出射する透光性基板と、前記透光性基板とで形成する封止空間内に前記発光部と前記発光電源部を封止する封止部材と、を備え、前記発光部は、前記透光性基板の前記封止空間側の面に積層され、前記発光電源部は、外部巻線と誘導結合するための誘導巻線と、該誘導巻線が巻回され、外部に開放された磁路を形成するコア部材を含み、前記コア部材は、前記発光部の前記透光性基板とは反対側に、かつ、前記開放された磁路が前記封止部材の透光性基板の前記光が出射する面に交差する方向であって、前記光が出射する面側と反対方向に解放されるように配置されるものである。
【0008】
本発明によれば、発光のための電力の供給を、照明パネルの発光面と反対側の面から非接触で行うことができ、照明パネルの寿命を長くするとともに、一方の面全面を発光面とした照明装置を簡単に構成することができる。
【0009】
本発明の照明パネルは、前記発光部が、前記封止空間内に複数個配置されるものを含む。また、本発明の照明パネルは、前記複数個の発光部が、前記発光電源部に、直列又は並列に接続されるものを含む。本発明によれば、発光部を分割して製造できるので、製造が簡単になる。
【0010】
本発明の照明パネルは、前記発光電源部が、前記誘導巻線に接続され、その誘導巻線に誘導される電圧を整流して前記発光部に供給する駆動回路を備えるものを含む。
【0011】
本発明の照明パネル用電源供給装置は、照明パネルに電力を供給する照明パネル用電源供給装置であって、前記照明パネルの電源部に非接触で電力を供給する電源供給部を備え、前記電源供給部は、外部電源に接続された外部巻線と、該外部巻線が巻回され、外部に開放された外部磁路を形成する外部コア部材を含み、前記外部コア部材は、前記照明パネルの設置時に、前記照明パネルの電源部が有するコア部材と閉磁路を形成するように配置されるものである。
【0012】
本発明の照明装置は、上記した照明パネルと、上記した照明パネル用電源供給装置と、を備えるものである。本発明によれば、照明パネルへの電源供給を簡単に行うことができ、現場での照明パネルへの電気的接続工程が不要になり、照明パネルの交換や着脱を簡単に行うことができる。また、電極部分が外部に露出していないので、長寿命化を図ることができるとともに感電のおそれもなくなる。さらに、照明パネル全面を発光面とすることができるので、外観上も見栄がよい照明装置とすることができる。
【0013】
本発明の照明装置は、前記照明パネル用電源供給装置が、被取付面に固設されて商用電源に接続されるものであり、前記照明パネルが、前記照明パネル用電源供給装置の外部コア部材と当該照明パネルのコア部材が近接かつ対面する状態で設置されるものを含む。本発明によれば、照明パネル用電源供給装置を設置面等に固設しておくことにより、照明パネルの交換や着脱をさらに簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長寿命で、一方の面全面を発光面とした照明パネル、照明パネル用電源供給装置、及び照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の照明装置を示すものであり、この照明装置は、天井面100、壁面等の設置面に埋め込まれた電源供給装置1と、この電源供給装置1に対向する状態で設置又は電源供給装置1に図示外の係合用の適宜の金具又はねじ等で着脱可能に取り付けられた照明パネル2とを備えている。
【0017】
電源供給装置1は、照明パネル2に電力を供給する電源供給部11を備えており、電源供給部11から引き出された図示外の接続コード等で商用電源等の外部電源との接続が図られている。この電源供給部11は、外部電源に接続された外部巻線111と、この外部巻線111が巻回され外部に開放された外部磁路を形成する外部コア部材112とを備えており、外部コア部材112は、照明パネル2の設置時に、照明パネル2の後述するコア部材232との間で閉磁路を形成するように配置されている。
【0018】
照明パネル2は、有機ELを照明源とする構成のものであり、図1〜図3に示すように、透光性基板21と、発光部22と、発光部22に発光のための電力を供給する発光電源部23と、発光部22と発光電源部23を封止する封止部材24と、駆動回路25(図6(B)参照)を備えている。
【0019】
透光性基板21は、発光部22で発光する光を外部に出射するためのもので、透光性を有する透明部材又は半透明部材等で形成される。本実施形態では、透光性基板21の、発光部22からの光が出射する出射面とは反対側の面(後述する、封止空間側の面)に発光部22を固着させでいる。
【0020】
発光部22は、透光性基板21の後述する封止空間側の面に積層されており、この外表面は封止層224で封止されている。この発光部22は、少なくとも、1対の電極、つまりITO電極221及び金属電極222と、このITO電極221及び金属電極222との間に配置されたEL発光層223との3層が積層されて構成されるEL発光層223では、内部で生成されるホール(正孔)と電子とが結合する際に発光するようになっており、この光を照明光として利用するようになっている。なお、本実施形態では、発光部22に有機EL素子を用い、特にこれに限定されるものではなく、発光部に無機EL素子を用いてもよい。また、有機EL素子の駆動は、直流電圧駆動でも交流電圧駆動でもよい。
【0021】
発光電源部23は、図4に示すように、外部巻線111と誘導結合するための誘導巻線231と、この誘導巻線231が巻回され、外部に開放された磁路を形成するフェライト等で形成されたコア部材232とを備えている。
【0022】
コア部材232は、一方の面が開放され、開放側が、発光部22の、透光性基板21に臨む面とは反対側の方向となるように配置されている。したがって、このコア部材232に形成される磁路は、発光部22からの光が出射する透光性基板21の出射面と交差する方向であって、出射面側と反対方向に解放される。本実施形態の誘導巻線231は、図4に示すように、ボビン233の外周に整列巻されており、このボビン233の中心にコア部材232の鉄心部分が挿入されている。なお、このコア部材232は、図5(A)に示すように封止部材24に固着させてもよいし、同図(B)に示すように、発光部22に固着させてもよい。
【0023】
封止部材24は、透光性基板21の一面に固着されており、特に、この透光性基板21と封止部材24との間に形成される空間(これを「封止空間」とよぶ)に外部から湿気が流入しないように気密状態を保持した状態で取り付けられている。
【0024】
次に、照明装置の電源供給について、図6を参照しながら説明する。電源供給装置1は、第1スイッチSW1を介して商用電源Vに接続された整流用のダイオードブリッジD1及び平滑用のコンデンサC1と、交流生成用のインバータIと、1次コイルを構成する外部巻線111と、第2スイッチSW2とを備えている。第1スイッチSW1は、壁面に取り付けて照明装置と商用電源との間の電気的な接続を断接させるためのものであり、第2スイッチSW2は引張することで断接させる手元スイッチである。なお、照明パネル2の発光部22が複数のもので構成されている場合には、この第2スイッチSW2の操作で、一部の発光部22を断接させるように構成してもよい。
【0025】
照明パネル2の誘導巻線231は、1次コイル(外部巻線111)に近接状態で対向配置させ電磁誘導によって起電力を発生させる2次コイルを構成しており、誘導巻線231に誘導された電圧が発光部22に印加され、発光部22が発光する。
【0026】
照明パネル2には、図6(B)に示すように、誘導巻線231に誘導された電圧を整流、平滑する駆動回路25を設けてもよい。駆動回路25は、整流用のダイオードD2及び平滑用のコンデンサC2を含んで構成される。
【0027】
次に、本実施形態の照明装置の取付け方法について説明する。本実施形態の照明装置を設置面(例えば天井面100)に設置する場合、この照明装置を取り付ける建物等を建設する際に、予めこの照明装置を設置する天井面100側に凹所100Aを形成しておくとともに、商用電源からこの照明装置に電力を供給させるため、商用電源と電源供給装置1を電気的に接続させた状態で凹所100Aに電源供給装置1を予め埋設させておく。
そして、この照明装置を使用する使用者が電源供給装置1に合わせて取り付けることができる照明パネル2を用意し、天井面の電源供給装置1に封止部材24が対面するように取り付ける。換言すれば、透光性基板21が室内に臨むような状態で、電源供給装置1又は天井面100に設けてある図示外の取付金具等に照明パネル2を係合若しくは螺着させて取り付ける。
【0028】
以上のように、照明パネル2には電気的な接続を行うことなく取り付けできるので、取り付けを簡単に行うことができる。また、天井面から突出している部分は、照明パネル1だけであり、照明パネル2は、発光部22に有機ELを用いることにより、大幅な薄型化を図ることができるので、外観上も見栄がよい設置が可能となる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の照明装置について説明する。本実施形態の照明装置の照明パネル2は、図7に示すように、1枚の透光性基板21上に、発光部22が複数個(具体的には4個の発光部22A〜22D)設置されたものである。また、本実施形態の照明パネル2には、これらの発光部22に対応してそれぞれの発光部22に電力を供給するため、同数の発光電源部23が設置されているとともに、電源供給装置1の、発光電源部23と対応する部位には、電源供給部11が同数(本実施形態の場合、4個の電源供給部11A〜11Dからなる)設置されている。
【0030】
電源供給部11、発光電源部23、発光部22については、例えば図8(A)に示すように、それぞれ直列に接続させてもよいし、同図(B)に示すように、並列接続させてもよい。並列接続にすれば、電源供給部11や発光電源部23の一部が故障しても全ての発光部22を発光させることができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、長寿命で、照明パネルの一方の面全面を発光面として利用できる照明装置、そのような照明装置を構成する照明パネル及び照明パネル用電源供給装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態の照明装置の概略断面図
【図2】本発明の第1の実施形態の照明装置の照明パネルの横断面図
【図3】本発明の第1の実施形態の照明装置の発光部の破断図
【図4】本発明の第1の実施形態の照明装置の発光電源部の分解斜視図
【図5】(A)は本発明の第1の実施形態の照明装置の発光電源部を封止部材に固着させた構成を示す断面図、(B)は本発明の第1の実施形態の照明装置の発光電源部を発光部に固着させた構成を示す断面図
【図6】本発明の第1の実施形態の照明装置の電気的な接続構成を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態の照明装置の概略断面図
【図8】(A)は本発明の第2の実施形態の照明装置の発光電源部と発光部を直列接続した状態を示す図、(B)は本発明の第2の実施形態の照明装置の発光電源部と発光部を並列接続した状態を示す図
【符号の説明】
【0034】
1 電源供給装置
11 電源供給部
111 外部巻線
2 照明パネル
21 透光性基板(透光性部材)
22、22A〜22D 発光部
221 ITO電極
222 金属電極
223 EL発光層
23、23A〜23D 発光電源部
231 誘導巻線
232 コア部材
24 封止部材
25 駆動回路
100 天井面
100A 凹所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ELを用いる照明パネルであって、
1対の電極と、前記1対の電極との間に配置されたEL発光層と、の積層構造を有し、照明用の光を発光する発光部と、
前記発光部に発光のための電力を供給する発光電源部と、
前記発光部からの光が出射する透光性基板と、
前記透光性基板とで形成する封止空間内に前記発光部と前記発光電源部を封止する封止部材と、
を備え、
前記発光部は、前記透光性基板の前記封止空間側の面に積層され、
前記発光電源部は、外部巻線と誘導結合するための誘導巻線と、該誘導巻線が巻回され、外部に開放された磁路を形成するコア部材を含み、
前記コア部材は、前記発光部の前記透光性基板とは反対側に、かつ、前記開放された磁路が前記封止部材の透光性基板の前記光が出射する面に交差する方向であって、前記光が出射する面側と反対方向に解放されるように配置される照明パネル。
【請求項2】
前記発光部は、前記封止空間内に複数個配置される請求項1に記載の照明パネル。
【請求項3】
前記複数個の発光部は、前記発光電源部に、直列又は並列に接続される請求項2に記載の照明パネル。
【請求項4】
前記発光電源部は、前記誘導巻線に接続され、その誘導巻線に誘導される電圧を整流して前記発光部に供給する駆動回路を備える請求項1又は2に記載の照明パネル。
【請求項5】
照明パネルに電力を供給する照明パネル用電源供給装置であって、
前記照明パネルの電源部に非接触で電力を供給する電源供給部を備え、
前記電源供給部は、外部電源に接続された外部巻線と、該外部巻線が巻回され、外部に開放された外部磁路を形成する外部コア部材を含み、
前記外部コア部材は、前記照明パネルの設置時に、前記照明パネルの電源部が有するコア部材と閉磁路を形成するように配置される照明パネル用電源供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の照明パネルと、
請求項5に記載の照明パネル用電源供給装置と、を備える照明装置。
【請求項7】
前記照明パネル用電源供給装置は、被取付面に固設されて商用電源に接続されるものであり、
前記照明パネルは、前記照明パネル用電源供給装置の外部コア部材と当該照明パネルのコア部材が近接かつ対面する状態で設置される請求項6に記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−220624(P2007−220624A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42758(P2006−42758)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】