説明

照明付き帽子

【課題】夜間などにおいても、反射材によることなく、後方に対しても確実に事故の存在を知らしめる事ができ、かつ装着容易とした照明付き帽子を提供すること。
【解決手段】ブリムを有する帽子であって、当該ブリムの正面側には、2以上のLEDからなる光源の先端をブリムの正面から露出するように埋設してなる正面側照明が設けられており、当該正面側照明を構成する2以上のLEDからなる光源は、その全てのLED又は何れかのLEDだけを選択的に点灯可能に構成されている照明付き帽子とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDなどの照明を一体化してなる帽子に関し、特に帽子のブリム(「ツバ」とも称される)の先端にLEDなどの照明を一体化してなる照明付き帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間や暗所での作業に際して、手持ちの照明器具は作業者の手を塞いでしまうことから、帽子に照明器具を設けることで作業者の両手を開放する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(実用新案登録第3090973号公報)では帽子のひさしに照明ランプを定位させる組立構造が提案されている。この文献で提案されている組立構造では、帽子のひさしの下面に、本体内に電池、ネジ溝段及びLED電球を設けて構成された照明ランプを設けることが提案されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2009−293146号公報)では、従来のツバ有り帽子のツバの前方先端にLEDを取り付け、電源として帽子の表生地と見返しとの間に開閉自在の袋を設けてその中にボタン電池を嵌挿するためのソケットを埋設し、ツバの裏側に埋め込んだスイッチを入れるとLEDが点灯するようにしたツバ有り帽子が提案されている。
【0005】
また、特許文献3(実用新案登録第3049262号公報)では、夜間における歩行者や自転車の運転者の交通安全に役立つ帽子を提供するべく、帽子の正面全体と背面全体に高輝度反射材を配設し、帽子の頭頂部には高輝度反射材で包まれた天ボタンを取付けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3090973号公報
【特許文献2】特開2009−293146号公報
【特許文献3】実用新案登録第3049262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の通り、従前においても帽子のツバ部分に照明を設けることは種々提案されており、特に特許文献2においてはツバ部分の先端にLEDを設けることも提案されている。しかしながら、従来この種のLED照明が設けられたツバ有り帽子は、専ら、夜間や暗所などにおける使用者の視覚を確保する為に設けられているのが実情であり、よって、当該LED照明は専ら着用者の前方、即ちツバの先方を照らす為の照明として設けられていた。
【0008】
一方、夜間等においては、車両の運転者などに歩行者などの存在を早期に知らしめることは、事故を未然に防止する上で有効なことが知られている。このため従前においても帽子や上着あるいは履物の背面側には、反射材などを設けることが種々行われている。
【0009】
しかしながら、反射材は光源がある場合に反射光を生じさせるものであることから、例えば光源がない場合等には、安全対策上の効果は期待できないこととなる。即ち、仮に反射材を装着している歩行者が居たとしても、例えば無灯火の自転車などからは、当該歩行者を確認しにくくなってしまう。また、歩行者が懐中電灯などの照明器具を携行する場合であっても、光は前方に向けて照射されることから、背面側(後方側)に自己の存在を知らしめることはできない。
【0010】
よって本発明は、夜間などにおいても、反射材によることなく、後方に対しても確実に事故の存在を知らしめる事ができ、かつ装着容易とした照明付き帽子を提供することを第一の課題とする。
【0011】
また、従来提供されているLED付きのツバ有り帽子は、ツバの正面側に複数のLEDが設けられているが、ON/OFFの選択のみであって、その何れかだけを選択的に点灯させることはできなかった。即ち、従前のツバ有り帽子において、LED照明は、専ら暗闇において物を照らし、視野を確保する為の照明としてのみ検討されており、自己の存在を知らせる為、即ち夜間における視認性を向上させる為の照明として考慮されていなかったことから、複数のLEDの内の何れかだけを選択的に点灯させることはできなかった。この点、単に夜間における視認性を向上させる為の照明であれば、一定の輝度があれば十分であることから、照明の使用目的に応じて輝度、更には消費電力量を選択できれば、より多くの用途で使用することが可能である。
【0012】
そこで本発明は、物を照らすための照明として使用する場合には全てのLEDを点灯させ、夜間における視認性を向上させる為の照明として使用する場合には、いずれかだけを選択的に点灯させて、消費電力量を抑え、長時間点灯させることのできる照明付き帽子を提供することを第二の課題とする。
【0013】
また一般的にツバ(ブリム)は保形性を有する硬質の材料を用いて形成されていることから、かかるブリムを備える帽子を、作業者の着衣のポケット等にしまう場合には、少なからず当該ブリムが邪魔になってしまうことがあった。そして、ブリムの先端にLEDを配置した場合には、ブリムを折り曲げることが一層困難になり、よってしまう時に支障があった。
【0014】
そこで本発明では、上記のブリムを有する照明付き帽子においても、しまいやすく、ブリムを折り曲げることができるようにした照明付き帽子を提供することを第三の課題とする。
【0015】
そして本発明では、使用者が着用したときの違和感をなくし、長時間着用しても苦痛が生じない照明付き帽子を提供することを第四の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題の少なくとも何れかを解決するべく、本発明にかかる照明付き帽子では、帽子のツバとも称されるブリムに2個以上のLEDを設け、この2個以上のLEDの内、何れか1つ以上のLEDを任意に点灯させることのできるようにし、また望ましくは背面側にもLEDを設けて選択的に発光可能とするように構成するものである。
【0017】
即ち本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するべく、ブリムを有する帽子であって、当該ブリムの正面側には、2以上のLEDからなる光源の先端をブリムの正面から露出するように埋設してなる正面側照明が設けられており、当該正面側照明を構成する2以上のLEDからなる光源は、その全てのLED又は何れかのLEDだけを選択的に点灯できるように構成した照明付き帽子を提供する。
【0018】
上記正面側照明は、2つ以上のLED(発光ダイオード)を直線状に並べて形成することができ、各LEDの先端はブリムの先端から露出させて配置されている。但し、かかるLEDは、必ずしも横一列に並べるだけでなく、横2列、或いはランダムに並べることもできる。また、LEDに代えて光ファイバーを光源として使用することもできる。
【0019】
そしてかかる照明付き帽子では、特に正面側照明が、それを構成する2以上のLEDの何れか、あるいは全てを選択的に点灯させることができるように構成されている。これにより、用途に応じた輝度を任意に調整することができる。すなわち、例えば暗所での作業などにおいて手元の照明目的で使用する場合には、正面側照明を構成する全てのLEDを点灯させて十分な明るさを確保し、一方で暗所における歩行時など、自己の存在を知らせるための照明標識として使用する場合には、電力の消費を抑えるべく、正面側照明を構成するLEDの半分など、一部のLEDだけを点灯させることができる。
【0020】
また、上記照明付き帽子では、更に、前記ブリムが存在する面を正面とすると、その後面(背面)に、1又は2以上のLEDからなる光源の何れかの部位を露出させて埋設してなる背面側照明を設けることが望ましい。
【0021】
かかる背面側照明も複数のLEDで構成することができ、複数のLEDを規則的又は不規則に配置することができる。この背面側照明に関しては、その配置場所にもよるが、複数のLEDを必ずしも直線状に配置するだけでなく、正方形や矩形あるいはV字状など各種形状に配置することができる。また、この背面側照明は、必ずしも複数のLEDで構成する必要はなく、例えば1つのLEDで構成することもできる。そして、かかる背面側照明を構成するLEDは、望ましくは赤色光、青色光、黄色光など各種の着色光を放つLEDであることが望ましい。
【0022】
かかる背面側照明は、帽子の後面側に露出するように設けられる。すなわち、帽子の後ろ側(着用時における後頭部側)に、発光時の光が後方に照射される向きで設けられる。このように背面側照明を設けることにより、例えば夜間等において歩行者がこれを着用した場合には、後続の車両や自転車からの視認性を高めることができ、よって事故の発生などを極力回避することができる。
【0023】
更に上記背面側照明は、必要に応じて明るさを変更できるように、複数のLEDで構成し、点灯させるLEDの数を任意に変更できるようにすることも望ましい。すなわち、当該背面側照明は、2以上のLEDからなる光源で構成されており、当該背面側照明は、それを構成するLEDの一部を選択的にON/OFF可能である照明付き帽子とすることができる。このように形成すれば、使用時の状況により背面側照明の点灯に要する電力量を調整することができ、明るい場所では全てのLEDを点灯させ、反対に暗い場所では一部のLEDだけを点灯させるように構成することもできる。
【0024】
上記のように正面側照明と背面側照明とを設けた照明付き帽子においては、更に何れか一方を選択的に点灯させるように構成される事が望ましい。すなわち、前記正面側照明及び背面側照明に対して電力を供給するバッテリーと、前記正面側照明及び背面側照明をON/OFFするスイッチとを具備しており、当該正面側照明と背面側照明とのON/OFF(即ち点灯/消灯)は、スイッチの操作によって、何れか一方は双方を選択的に行う照明付き帽子とすることが望ましい。例えば正面側照明だけを点灯させたり、背面側照明だけを点灯させたり、両方の照明を点灯させることが望ましい。また、正面側照明の点灯に際しては、これを構成する複数のLEDの内の何れかだけを点灯させたり、全部点灯させたりすることもできる。各照明(即ち正面側照明および背面側照明)の点灯に際しては、それぞれの照明に対する電力の供給をスイッチでオン/オフする他、別途、各照明(即ち正面側照明および背面側照明)或いは各LEDに対する電力の供給を制御する回路を設けて、当該回路の動作をスイッチでオン/オフすることができる。特に回路を伴う場合には、最初のオン動作で照明側照明の一部が点灯し、次のオン動作で照明側照明の全てが点灯し、更に次のオン動作で正面側照明と背面側照明の両方が点灯するように構成することができる。
【0025】
そして上記照明付き帽子において、前記正面側照明を構成する2以上のLEDからなる光源は、前記ブリムを構成する保形性を有するブリム芯に設けられるLED保持部材に、等間隔で保持されている事が望ましい。更に、当該LEDの正面は、ブリムの端面と面一に露出している事が望ましい。
【0026】
かかる照明付き帽子では、1又は2以上のLEDを板状のLED保持部材に設けてモジュール化し、その上で2枚のブリム芯に設けることから、当該光源モジュールを確実に、ブリム内に保持することが出来る。この点、仮に複数のLEDを直接ブリム芯に設ける場合には、LEDを等間隔に配置しなければならず、位置決めなどの製造上の困難を伴い、更に設置した後においてもLEDの脱落や衝撃による破損などの問題が生じることが考えられる。
【0027】
そこで本発明では、1または2以上のLEDを板状のLED保持部材に設けて、各LEDを等間隔に保持すると共に、その側面部分を保護し、衝撃などによりLEDが破損したり、或いは脱落するおそれをなくしたりしている。
【0028】
かかるLED保持部材は、LEDの側面の一部または全部を覆うLED保持領域を備えて形成され、例えば板部材に、LEDを軸方向に嵌入する孔を形成するか、或いは各LEDを並列に並べる溝を形成することにより具体化することができる。
【0029】
またこのLED保持部材を2枚のブリム芯の間に挟んで保持する場合には、当該LED保持部材は、ブリム芯の左右方向の両端部を楔状に傾斜させて形成されることが望ましい。即ち、ブリム芯間にLED保持部材を挟んだ時に、当該ブリム芯同士の間に隙間が生じることが無いように、当該LED保持部材は、その左右の両端部、即ちLEDの配列方向の両端部が楔形に形成され、端部側に向かって徐々に厚さを狭めるように形成されていることが望ましい。このように形成することにより、LED保持部材を挟んだブリム芯同士の正面側に、隙間が生じることは無くなる。
【0030】
また上記本発明にかかる照明付き帽子は、更に、前記LEDに対する電力を供給するバッテリーと、前記LEDに対する電力の供給をON/OFFするスイッチとを具備しており、前記光源モジュールと当該スイッチとは、ブリムにおける左右方向中央に設けられており、当該バッテリーは、帽子の縁部分の裏側に設けることができる。
【0031】
光源モジュールとスイッチとをブリムにおける左右方向中央に設け、そしてバッテリーを帽子の縁部分の裏側に設けることにより、スイッチからバッテリーに至る導線を、使用者が当該帽子を着用する際に、指などが引っ掛からないように処理することができる。
【0032】
そして本発明にかかる照明付き帽子では、上記のようにブリムの正面に正面側照明を設けているが、それでも作業者の着衣のポケットにしまう時など、コンパクトにして保管できるように、上記照明付き帽子において、前記ブリムを、正面側照明が設けられる中心部分と、当該中心部分の側方に連結される側方部分とで構成し、中心部分と側方部分とは両者間で曲折自在に連結する事が望ましい。
【0033】
ブリムに正面側照明を設けないキャップ(帽子)等であれば、ブリムを中心から折るようにして曲げ、ポケットなどにしまっておくこともできるが、本発明の照明付き帽子ように正面側照明を設けた場合には、ブリムを中心から折り曲げることができない。そこで、ブリムを3つの部品で構成し、夫々の接続を少なくとも一方に曲折自在に形成するのが望ましい。
【0034】
なお、本発明にかかる照明付き帽子は、ブリムを有する帽子であれば、その種類を問わず実施でき、キャップのみならず、ハンチングベレー、シルクハットなどでも実施でき、その他にもブリムとブリムを頭部に固定するリング状の保持部材で構成されるサンバイザーなどでも実施できる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように構成される本発明の照明付き帽子によれば、反射材による夜間の視認性確保における問題を解消し、光源がない場合等においても安全対策上の効果を発揮できるようにするすることができ、特に後方に対しても確実に事故の存在を知らしめる事ができて、かつ装着容易とした照明付き帽子を提供することができる。
【0036】
また、本発明の照明付き帽子によれば、物を照らすための照明として使用する場合には全てのLEDを点灯させ、夜間における視認性を向上させる為の照明として使用する場合には、いずれかだけを選択的に点灯させて、消費電力量を抑え、長時間点灯させることのできる照明付き帽子が提供される。
さらに、本発明の照明付き帽子によれば、上記のブリムを有する照明付き帽子においても、しまいやすく、ブリムを折り曲げることができるようにした照明付き帽子が提供される。
【0037】
そして本発明の照明付き帽子により、使用者が着用したときの違和感をなくし、長時間着用しても苦痛が生じない照明付き帽子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施の形態にかかる照明付き帽子の斜視図
【図2】正面側照明を縫製するLED保持部材を示す斜視図
【図3】当該照明付き帽子の背面図
【図4】当該照明付き帽子の底面図
【図5】他の実施の形態にかかる照明付き帽子のブリムを示す分解図
【図6】他の実施の形態にかかる照明付き帽子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明にかかる照明付き帽子50の1つの実施の形態を具体的に説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態にかかる照明付き帽子50の斜視図であり、図2は正面側照明30を縫製するLED保持部材10を示す斜視図であり、図3は当該照明付き帽子50の背面図であり、図4は当該照明付き帽子50の底面図であり、図5は他の実施の形態にかかる照明付き帽子50のブリム20を示す分解図であり、図6は他の実施の形態にかかる照明付き帽子50を示す斜視図である。
【0041】
まず、図1〜4を参照しながら、この実施の形態にかかる照明付き帽子50を説明すると、この実施の形態にかかる帽子は、野球帽、ゴルフ帽、作業帽、その他レジャー、スポーツに用いられているキャップと称される帽子で実施された例を示しており、かかるキャップは、クラウン22に幅広い前ブリム20がついた帽子50である。
【0042】
かかる帽子50において、ブリム20の先端側には、複数のLED12を組み合わせてなる正面側照明30が設けられている。この正面側照明30は3個以上10個以下のLED12を横一列に配置して構成されており、各LED12は図4に示すようにプレート状のLED保持部材10に、等間隔に配置されており、特に本実施の形態ではこのLED保持部材10の正面から幅方向に穿たれた孔14にLED12を埋設して保持している。このLED保持部材10は、図2に示すように、(ブリムに設置した状態での)左右側方を楔状に傾斜させて形成しており、これによりブリム20との間に生じる段差を小さくしている。そしてこのLED保持部材10は、ブリム20の正面側に設けられていることから、当該LED保持部材10の正面側に露出するLED12は、当該ブリム20の正面に露出している。
【0043】
一方、図3に示すように、この帽子50(キャップ)の背面側には、帽子50のサイズを調整するためのアジャスター25が設けられており、このアジャスター25には3個のLED12を直列に配置した背面側照明35が設けられている。特にこの実施の形態では、この3個のLED12を背面側に存在するアジャスター25内に埋設して形成されており、当該背面側照明35を構成するLED12として、赤色光を発するLED12が使用されている。
【0044】
そして、本実施の形態にかかる照明付き帽子50は、上記のようにブリム20の正面に形成された正面側照明30、およびアジャスターの背面に形成された背面側照明35の点灯を制御する為のスイッチ40と点灯制御回路42、および各照明に対する電力を供給する電池44を備えている。この接続及び配置状態を、図4を参照しながら説明する。特に図4に示す底面図では、帽子50の構成を鎖線で示し、照明(LED12)とこれを点灯させる構成(スイッチ40、回路及び配線)を実線で示している。
【0045】
この実施の形態では、ブリム20の中央近傍に、各照明の点灯を制御するスイッチ40と点灯制御回路42を埋設しており、スイッチ40については、特にブリム20の下面から操作できるように設置している。そして、このスイッチ40はブリム20の生地内に埋設されることから、スイッチ40の操作により生地に孔が空くことが無い様に、当該スイッチ40の埋設部分は樹脂シート(図示せず)で補強している。
【0046】
また、各照明に対して電力を供給する電池44は、クラウン22における裾部分の内側に設けられるリボンからなる汗取りバンド24の内側に設置されており、望ましくはボタン電池44と当該ボタン電池44を保持する電池ケース46と、当該電池ケース46を覆う布帛製のカバーとで構成する。
【0047】
この電池44からの配線は、最初にスイッチ40及び回路に案内され、各照明に対する配線は回路から夫々繋がっている。これにより、スイッチ40の操作によって点灯制御回路42の動作を操作し、正面側照明30の一部のLED12の点灯、正面側照明30の他のLED12(前記一部のLED12以外のLED12)の点灯及び背面側照明35のLED12の点灯、正面側照明30の全てのLED12の点灯および背面側照明35のLED12の点灯、全ての照明のLED12の消灯を、この順序で繰り返すように行うことができる。
【0048】
ただし、これらスイッチ40及び回路並びに電池44の配置は、必ずしも上記の例に限られるものではなく、例えば電池44を汗取りバンド24の内側に設置すると共に、その近傍(例えば汗取りバンドの内側)にスイッチ40と回路を設置することもできる。また適宜固定手段を設けることを前提として、電池44をクラウン22における正面の裏側に設置することもできる。
【0049】
更に、各照明の点灯動作を制御する点灯制御回路42は必ずしも必須の構成になるものではなく、例えば正面側照明30を点灯させるスイッチ40と、背面側照明35を点灯させるスイッチ40とを夫々設けることもできる。また、上記のような点灯制御回路42を使用する場合でも、各照明の照明動作は上記の例に限られるものではなく、様々なバリエーションで点灯するように構成することができる。なお、このような電力の供給を行う点灯制御回路42は、照明器具の分野などにおいて使用されている回路から容易に理解でき、当業者であれば実施可能であることから、この明細書では詳細な説明を省略する。
【0050】
以上のように構成された照明付き帽子50によれば、正面側照明30の明るさを複数段階に調節することができることから、照明用途あるいは夜間における安全用途など、夫々の用途において任意に使い分けすることができる。また背面側照明35も任意に点灯させることができることから、夜間歩行時などにおいて自己の存在を知らせたい場合や知らせたくない場合においても、様々なパターンに対応することができる。
【0051】
そして、上記照明付き帽子50においては、更にポケットにしまう時などを想定して、コンパクトに折りたたむことができるように形成するのも望ましい。図5は、特に折りたたみやすく構成した照明付き帽子50に採用されるブリム20を示す分解斜視図である。
【0052】
即ち、この図5に示すように、ブリム20を幅方向に3等分に分割して、夫々を曲折自在につなぎ合わせてブリム20を構成することが望ましい。具体的には、キャップのブリム20における中心部分を構成する中央部分20aと、その両側を構成する側方部分20bとで構成し、各側方部分を中心部分に対して接続部分から折り畳むことができるように繋げる。即ち各部分を布帛のような曲折自在な材料で繋ぎ合せる事が望ましい。このとき、各部分の幅は同じ長さに形成されていることが望ましく、少なくとも側方部分20bは中央部分20aよりも狭い幅に形成されていることが望ましい。また、中央ブリム20の幅は、必然的にLED保持部材10を収める様に形成されることになる。
【0053】
かかる分割したブリム20を用いた照明付き帽子50は、図6に示すように、当該ブリム20の折り曲げ線がブリム20の上面に露出することになるが、これがデザイン上のアクセントとしても機能することができる。
【0054】
以上のように形成された照明付き帽子50では、ブリム20を折り畳むことができることから、よりコンパクトにすることができ、これにより例えばポケットなどにしまうことも可能になる。
【符号の説明】
【0055】
10 保持部材
20 ブリム
22 クラウン
24 バンド
25 アジャスター
30 正面側照明
35 背面側照明
40 スイッチ
42 点灯制御回路
44 電池
46 電池ケース
50 帽子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリムを有する帽子であって、
当該ブリムの正面側には、2以上のLEDからなる光源の先端をブリムの正面から露出するように埋設してなる正面側照明が設けられており、
当該正面側照明を構成する2以上のLEDからなる光源は、その全てのLED又は何れかのLEDだけを選択的に点灯可能に構成されていることを特徴とする、照明付き帽子。
【請求項2】
前記ブリムが存在する面を正面とする帽子の後面には、1又は2以上のLEDからなる光源の何れかの部位を露出させて埋設してなる背面側照明が設けられてなる請求項1に記載の照明付き帽子。
【請求項3】
更に、前記正面側照明及び背面側照明に対して電力を供給するバッテリーと、
前記正面側照明及び背面側照明をON/OFFするスイッチとを具備しており、
当該正面側照明と背面側照明とのON/OFFは、スイッチの操作によって、何れか一方は双方の点灯が選択的に行われる請求項1又は2に記載の照明付き帽子。
【請求項4】
前記背面側照明は、2以上のLEDからなる光源で構成されており、当該背面側照明は、それを構成するLEDの一部を選択的にON/OFF可能である、請求項2又は3に記載の照明付き帽子。
【請求項5】
前記正面側照明を構成する2以上のLEDからなる光源は、前記ブリムを構成する保形性を有するブリム芯に設けられるプレート状のLED保持部材に、等間隔で保持されており、
当該LED保持部材は、ブリム芯の左右方向の両端部が楔状に傾斜している、請求項1〜4の何れか一項に記載の照明付き帽子。
【請求項6】
前記ブリムは、正面側照明が設けられる中心部分と、当該中心部分の側方に連結される側方部分とで構成されており、中心部分と側方部分とは両者間で曲折自在に連結されている、請求項5に記載の照明付き帽子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−246822(P2011−246822A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117858(P2010−117858)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(508160819)ITカーズ株式会社 (8)