説明

照明付手摺

【課題】施工時において、発光体に給電するための給電配線を簡単かつ確実にブラケット内に収容することができ、施工の手間をかけることなく仕上がり状態の美観を確保することができる照明付手摺を提供する。
【解決手段】照明付手摺10を、使用者が把持する手摺棒12と、手摺棒12が取り付けられる手摺取付部32を有しており、壁面Aに取り付けられるブラケット14と、ブラケット14内に収容された発光体16と、給電配線18とで構成し、手摺棒12には、給電配線18を嵌め込む配線溝20を形成し、手摺取付部32には、配線溝20に嵌め込まれる位置決め用ガイド70を凸設するとともに、給電配線18を外部からブラケット14内に挿通するための給電配線挿通孔56を、位置決め用ガイド70の両側方に隣接して形成することで、上記課題を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の階段や廊下に設置される照明付手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、新築時やリフォーム時はもとより、既存の住宅等においても、廊下や階段等の壁面に歩行ガイド用あるいは歩行補助用の手摺を取り付けることが非常に多くなっている。
【0003】
このような手摺のなかでも、夜間等の暗がりで安全に歩行できるように廊下や階段を照らすランプを備えるものが開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1の手摺1は、図4に示すように、手摺棒2と、ブラケット支持板3を介して壁面4に取り付けられているとともに、手摺棒2を支持するブラケット5と、ブラケット5の傾斜側面5aに取り付けられた発光体6とで構成されている。
【0005】
この手摺1において、発光体6が取り付けられたブラケット5の傾斜側面5aは、手摺1が設けられた廊下や階段の中央寄り斜め下方に向けられており、発光体6を点灯することによって廊下や階段の中央寄りを照らすことができるので、夜間等における歩行の安全性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−161018号公報
【特許文献2】特開平8−120875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の手摺1には問題があった。すなわち、上述のように、手摺1には発光体6が取り付けられており、この発光体6に給電するための給電配線7は、ブラケット5のブラケット支持板3に対する取付面5bに設けられた配線挿通孔5cを通じて、ブラケット支持板3の表面に設けられた配線収容溝3aに収容されるようになっており、別のブラケット5から延びる給電配線7と結線させるカプラー(図示せず)も当該配線収容溝3aに収容されるようになっている。
【0008】
このように、手摺1では、給電配線7がブラケット5の取付面5bの設けられた配線挿通孔5cを出た直後にほぼ直角に折れ曲がるようにしてブラケット支持板3の配線収容溝3aに収容されることから、ブラケット5をブラケット支持板3に取り付けた後で配線収容溝3aおよび配線挿通孔5cを通じて給電配線7を外部から入れ込むことは殆ど不可能であり、加えて、直角に折れ曲がるようにして収容された給電配線7は、折れ曲がり部8であたかも固定されたような状態になってしまいスムーズに摺動できなくなる。
【0009】
このため、ブラケット5をブラケット支持板3に取り付ける前に、給電配線7を予め必要な長さだけブラケット5内に入れ込んでおかねばならず、給電配線7を気にかけつつブラケット5を取り付けなければならないことから、現場での施工に手間がかかっていた。
【0010】
加えて、ブラケット5をブラケット支持板3に取り付けた後から余分な給電配線7をブラケット5に押し入れることができず、当該余分な給電配線7を配線収容溝3aで始末しなければならなくなることから、現場での施工にさらに手間がかかるだけでなく、給電配線7がはみ出して露出するおそれがある等、仕上がり状態の美観を損なうおそれもあった。
【0011】
また、特許文献2に開示された階段手摺り装置では、手摺棒の下面に凹溝を設け、当該凹溝に対してブラケットから延出された連結金具を嵌め込んだ後、給電配線を収容するようになっているが、連結金具が嵌め込まれた凹溝に給電配線を収容するのは容易ではなく、特許文献1の技術と同様に、現場での施工に手間がかかっていた。
【0012】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、施工時において、発光体に給電するための給電配線を簡単かつ確実にブラケット内に収容することができ、施工の手間をかけることなく仕上がり状態の美観を確保することができる照明付手摺を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載した発明は、
「使用者が把持する手摺棒12と、
前記手摺棒12が取り付けられる手摺取付部32を有しており、壁面Aに取り付けられるブラケット14と、
前記ブラケット14内に収容された発光体16と、
前記発光体16に給電するための給電配線18とを備えており、
前記手摺棒12には、前記給電配線18を嵌め込む配線溝20が形成されており、
前記ブラケット14の前記手摺取付部32には、前記配線溝20に嵌め込まれる位置決め用ガイド70が凸設されているとともに、前記給電配線18を外部から前記ブラケット14内に挿通するための給電配線挿通孔56が前記位置決め用ガイド70の両側方に隣接して形成されていることを特徴とする照明付手摺10」である。
【0014】
本発明が適用された照明付手摺10では、ブラケット14の手摺取付部32において、手摺棒12の配線溝20に嵌め込まれる位置決め用ガイド70が凸設されており、また、当該位置決め用ガイド70の両側方に隣接する位置には、給電配線18を外部からブラケット14内に挿通するための給電配線挿通孔56が形成されている。
【0015】
これにより、図3に示すように、位置決め用ガイド70を手摺棒12の配線溝20に嵌め込むようにして、手摺棒12をブラケット14の手摺取付部32に取り付け(図3(a))、然る後、給電配線18の先端を配線溝20の内側から給電配線挿通孔56を通してブラケット14内に送り込むとき、給電配線挿通孔56と配線溝20の底との間には、少なくとも手摺取付部32から凸設された位置決め用ガイド70の高さ分の距離が確保されているので、給電配線18の先端を位置決め用ガイド70の側端に対してやや下向きに押しつけることで、当該給電配線18の先端を位置決め用ガイド70に隣接して形成された給電配線挿通孔56に容易に滑り込ませることができる(図3(b))。また、先端が給電配線挿通孔56に入った後は、給電配線18をブラケット14内に容易に手繰り入れることができる(図3(c))。
【0016】
本発明の照明付手摺10によれば、ブラケット14に手摺棒12を取り付ける作業と、給電配線18をブラケット14内に入れ込む作業とを分けることができるので、現場での施工が容易になる。
【0017】
加えて、ブラケット14の取付後であっても、余分な給電配線18を当該ブラケット14内に押し入れることができるので、容易に、給電配線18がはみ出して露出するおそれの無い、すっきりとした仕上がり状態にすることができる。
【0018】
請求項2に記載した発明は、請求項1の照明付手摺10に関し、
「前記ブラケット14は、その底面36が直下、あるいは直下から前記壁面A寄りに向かうように形成されており、
前記発光体16は、発光部17が前記底面36に設けられた出光開口44から奥まった位置に配設されている」ことを特徴とする。
【0019】
上述した特許文献1の手摺1にはさらに別の問題があった。すなわち、手摺1におけるブラケット5の傾斜側面5aは通路や階段の中央寄り斜め下方に向けられており、当該手摺1を正面から見た場合、ブラケット5の傾斜側面5aに配置された発光体6が直視できるようになっていることから、使用者(とりわけ、背の低い子供)の目に発光体6からの直射光が入ってしまい、不快な眩しさを感じさせてしまうおそれがあり、また、手摺1の外観上、発光体6が必要以上に目立ってしまい、手摺棒2やブラケット5のデザイン性を向上させることが困難という問題があった。
【0020】
また、複数のブラケット5を用いて長尺の手摺棒2を支持する場合において、全てのブラケット5に発光体6を取り付ける必要がなく、例えば、所定間隔で並んでいるブラケット5群のひとつおきに発光体6を取り付ける態様では、発光体6が取り付けられたブラケット5と、そうでないブラケット5とが交互に並ぶことになる。このとき、上述のように発光体6の有無が正面から一目でわかることから、手摺1全体としての統一感を得ることが困難という問題もあった。特に傾斜側面5aに発光体6からの光を拡散透過させる透光性乳白色樹脂カバーを設けるような場合、このような樹脂カバーが取り付けられたブラケット5と、樹脂カバーなしブラケット5とではその外観形状が明らかに異なり、全体としての統一感はさらに損なわれることになる。
【0021】
このような問題に対し、本発明のブラケット14では、出光開口44が設けられた底面36は、直下、あるいは直下から壁面A寄りに向かうように設定されていることから、当該底面36は、照明付手摺10の正面方向から見えないようになっている。このように底面36が見えない以上、当該底面36に設けられた出光開口44も直視できず、しかも、発光体16はブラケット14内において、その発光部17が出光開口44から奥まった位置に配設されていることから、使用者が発光体16を直視することはなく不快な眩しさを感じることがない。また、発光体16は、直下、あるいは直下から壁面A寄りに出光するので、発光体16からの光の一部が壁面Aへの間接照明にもなり、柔らかで洗練された雰囲気を醸し出すことができる。
【0022】
したがって、本発明の照明付手摺10によれば、使用者が正面から発光体の発光面を直視できないようになっているので、使用者に不快な眩しさを感じさせることがなく、デザイン性を向上させることが容易で、さらに、発光体の取り付けの有無に拘わらず正面視外観が共通しており、全体としての統一感を得ることができる。
【0023】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載の照明付手摺10に関し、
「前記ブラケット14は、前記壁面Aに取り付けられ、前記給電配線18を収容する収容凹所26を有するブラケット本体22と、前記収容凹所26を覆うカバー24とで構成されており、
前記収容凹所26に引き込まれた前記給電配線18と、前記発光体16とを電気的に接続するカプラー46が、前記収容凹所26に収容されている」ことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、給電配線18と発光体16とを電気的に接続するカプラー46がブラケット本体22の収容凹所26に収容されているので、給電配線18と発光体16との結線作業(すなわち、カプラー46の接続作業)を、ブラケット14を壁面Aに固定した後で楽に行うことが可能となり、施工性が著しく向上する。また、多少の給電配線18が余ったとしても、それらを収容凹所26に入れてしまうことにより、すっきりと見栄えのよい配線仕上げが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、施工時において、ブラケットに手摺棒を取り付けた後から、給電配線を簡単かつ確実にブラケット内に収容することができるので、施工の手間をかけることなく仕上がり状態の美観を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の照明付手摺を示す分解斜視図である。
【図2】ブラケットの断面図である。
【図3】ブラケットの手摺取付部に手摺棒を取り付け、然る後、給電配線をブラケット内に入れ込む手順を示す図である。
【図4】従来技術を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明が適用された実施例について、図1および図2を用いて説明する。本発明に係る照明付手摺10は、大略、手摺棒12と、ブラケット14と、発光体16と、給電配線18で構成されている。
【0028】
手摺棒12は、使用者が把持する丸棒材であり、例えば、ムク材、集成材、単板積層材(LVL)、MDF等の木質材、ABS樹脂、オレフィン系樹脂等の合成樹脂、あるいは、ステンレスやアルミニウム等の金属を使用することができる。これらの中でも、木質材は、触れたときの感触が良く、暖かみが感じられることから好適である。また、手摺棒12の形状についても、丸棒に限られず、四角棒や三角棒といった角棒状のもの、さらに、その表面に意匠が施されたようなものであってもよい。
【0029】
この手摺棒12の下面12aには、発光体16に給電する給電配線18を嵌め込んで配線するための配線溝20が形成されている(後述するように、この配線溝20には、給電配線18のみならず、ブラケット14の手摺取付部32に凸設された位置決め用ガイド70も嵌め込まれる。)。この配線溝20の断面形状も、図示するような四角形状のものに限られず、略半円形状や三角形状でもよい。
【0030】
ブラケット14は、階段や廊下等の壁面Aに取り付けられ、手摺棒12を支持するための部材であり、ブラケット本体22とカバー24とで構成されている。なお、ブラケット本体22とカバー24とを一体的に構成してもよいが、後述するように、給電配線18を収容凹所26に収納し易いことから、本実施例のようにブラケット14をブラケット本体22とカバー24とに分離可能に構成するのが好適である。また、カバー24の位置は、ブラケット本体22の手前側に限られない。
【0031】
ブラケット本体22は、発光体16に給電する給電配線18、および給電配線18と発光体16と電気的に接続するカプラー46を収容する収容凹所26が形成され、壁面Aに取り付けられる、亜鉛ダイカスト、ステンレス、あるいはアルミニウム合金等の金属製部材であり、本実施例では、図示するように、その一端面28aが壁面Aに取り付けられる基部28と、基部28の他端部から上方に延び、その上端面に手摺取付部32が形成された支持部34とで一体形成されている(もちろん、ブラケット本体22の形状は図示するものに限られず、例えば、支持部34を省き、基部28の他端に直接手摺棒12を取り付けてもよい。)。また、ブラケット本体22の両側面には段35が形成されており、カバー24における両側面材42(後述)の端面が当て止まるようになっている。
【0032】
支持部34の手摺取付部32には、手摺棒12の配線溝20に嵌め込まれる、当該配線溝20の長手方向に延びる細長形状の位置決め用ガイド70が凸設されているとともに(図2参照)、当該位置決め用ガイド70の長手方向両側方に隣接して、収容凹所26と外部(本実施例では、手摺棒12の配線溝20に対応する位置)とを連通して給電配線18を外部から収容凹所26に挿通するための、一対の給電配線挿通孔56が形成されている。
【0033】
なお、給電配線挿通孔56の位置は、上述のように、位置決め用ガイド70の長手方向両側方に隣接する位置であればよいが、本実施例のように、さらにブラケット14の側壁にかけて給電配線挿通孔56を設ける方が、ブラケット14に手摺棒12を取り付けた後、ブラケット14の側方から給電配線18を収容凹所26に入れ込み易い点で好適である。
【0034】
また、ブラケット本体22における基部28の底面36は、直下、あるいは直下から壁面A寄りに向かうように形成されており(図示された底面36は、直下に向かうようになっている。)、ブラケット本体22の収容凹所26において、発光体16が、その発光部17をこの底面36と平行にして、かつ、底面36からやや奥まった位置に配設されている。なお、本実施例では、発光体16が面状の発光部17を有する面発光体である場合について記載しているが、面発光体以外の発光体16(例えば、白熱灯やハロゲンランプ等の点発光体)を使用する場合は、当該発光体16の光軸が底面36と直交するようにして、点状の発光部17を収容凹所26における底面36からやや奥まった位置に配設することになる。
【0035】
さらに、基部28における。壁面Aに対向する一端面28a側には、図2に示すように、ブラケット本体22を壁面Aに固定する際に使用する木ネジBを挿通する挿通孔60が形成されている。さらに、支持部34の手摺取付部32には、手摺棒12をブラケット本体22に固定するための木ネジCを挿通する挿通孔62が形成されている。
【0036】
カバー24は、ブラケット本体22に形成された収容凹所26を覆う断面コ字状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)製部材であり、ブラケット本体22の基部28および支持部34の形状に対応する、基部カバー38および支持部カバー40で一体的に形成されている。また、上述のように、ブラケット本体22にカバー24を取り付けたとき、カバー24における両側面材42の端面がブラケット本体22の両側面に形成された段35に当て止まるようになっている。
【0037】
また、カバー24の基部カバー38は、当該カバー24をブラケット本体22に取り付けたとき、底面36に対して平行となるように形成されており、当該基部カバー38の略中央部には、発光体16から放射された光を外部に出光する出光開口44が設けられている。
【0038】
発光体16は、給電配線18を通じて給電されることによって発光するものであり、本実施例では、LEDと光拡散板とを組み合わせることによって、当該光拡散板が面(=発光面)で発光するようにしたものを用いているが、これに限られるものではなく、上述のように、白熱灯やハロゲンランプを使用することもできる。また、発光体16からは、一対の発光体側給電線48が伸びており、その先端には、給電配線18の先端に取り付けられた雄カプラー50に対応する雌カプラー52が取り付けられている(もちろん、雄雌は逆でもよい)。なお、本実施例では、発光体16は、断面L字状の発光体ブラケット64を介してブラケット本体22にボルト留めされているとともに、該発光体ブラケット64がブラケット本体22の内側面に形成された断面コ字状のスロット溝66に差し込まれることによって位置決めされている。
【0039】
次に、本実施例の照明付手摺10を組み立てる手順について説明する。予め、配線溝20を形成した所定本数の手摺棒12、および必要な数のブラケット14を準備しておく。また、廊下等のコーナー部に照明付手摺10を適用する場合には、2本の手摺棒12を繋ぐジョイント54(例えば、90°に曲げることのできるフレキシブルな管であって、内部が空洞で給電配線18を通すことができるもの。)を使用するとよい。さらに、全てのブラケット14に発光体16を取り付けず、例えば、ひとつおきのブラケット14から発光させるような場合には、所定数のブラケット14にのみ発光体16を取り付けておく。
【0040】
準備したブラケット14のブラケット本体22からカバー24を取り外し、当該ブラケット本体22を壁面Aにおける所定の位置に木ネジBで固定する(本実施例では、ブラケット本体22の収容凹所26にドライバーの先端を差し入れて、挿通孔60に挿通した木ネジBを回すことになる。)。
【0041】
ブラケット本体22を壁面Aに固定した後、位置決め用ガイド70を配線溝20に合わせながら、ブラケット本体22における支持部34の手摺取付部32に手摺棒12を載置する。然る後、ブラケット本体22と手摺棒12とを挿通孔62に挿通した木ネジCで固定する。
【0042】
手摺棒12をブラケット本体22に固定した後、先端に雄カプラー50が取り付けられた給電配線18を支持部34の上端部に形成された給電配線挿通孔56を介して外部から収容凹所26に挿通し、然る後、該収容凹所26において発光体16の発光体側給電線48の先端に取り付けられた雌カプラー52を雄カプラー50に接続して、給電配線18と発光体16とを電気的に接続する。
【0043】
全てのブラケット本体22において雌カプラー52と雄カプラー50との接続が完了した後、各ブラケット本体22間の給電配線18を配線溝20に嵌め込み(このとき、未だ余分な給電配線18が配線溝20に残っているようであれば、ブラケット本体22の収容凹所26に手繰り入れてまとめる。)、各ブラケット本体22にカバー24を取り付けて照明付手摺10が完成する。
【0044】
なお、手摺棒12の配線溝20に給電配線18を嵌め込んだ後、より見栄えを良くするため、図1に示すように、断面コ字状の溝カバー58を配線溝20に嵌めていってもよい。
【0045】
照明付手摺10が完成した後、夜間等必要に応じて給電配線18を通じて各発光体16に給電することにより、発光体16が発光して廊下や階段等の壁際を照らす。
【0046】
本実施例の照明付手摺10では、ブラケット14の手摺取付部32において、手摺棒12の配線溝20に嵌め込まれる位置決め用ガイド70が凸設されており、また、当該位置決め用ガイド70の両側方に隣接する位置には、給電配線18を外部からブラケット14内の収容凹所26に挿通するための給電配線挿通孔56が形成されている。
【0047】
これにより、図3に示すように、位置決め用ガイド70を手摺棒12の配線溝20に嵌め込むようにして、手摺棒12をブラケット14の手摺取付部32に取り付け(図3(a))、然る後、給電配線18の先端を配線溝20の内側から給電配線挿通孔56を通してブラケット14内に送り込むとき、給電配線挿通孔56と配線溝20の底との間には、少なくとも手摺取付部32から凸設された位置決め用ガイド70の高さ分の距離が確保されているので、給電配線18の先端を位置決め用ガイド70の側端に対してやや下向きに押しつけることで、当該給電配線18の先端を位置決め用ガイド70に隣接して形成された給電配線挿通孔56に容易に滑り込ませることができる(図3(b))。また、先端が給電配線挿通孔56に入った後は、給電配線18をブラケット14内に容易に手繰り入れることができる(図3(c))。
【0048】
また、出光開口44が設けられた底面36は、直下、あるいは直下から壁面A寄りに向かうように設定されていることから、当該底面36は、照明付手摺10の正面方向から見えないようになっており、底面36が見えない以上、当該底面36に設けられた出光開口44も直視できず、しかも、発光体16はブラケット14内において、その発光部17が出光開口44から奥まった位置に配設されていることから、使用者が発光体16を直視することはなく不快な眩しさを感じることがない。
【0049】
さらに、発光体16は、直下、あるいは直下から壁面A寄りに出光するので、発光体16からの光の一部が壁面Aへの間接照明にもなり、柔らかで洗練された雰囲気を醸し出すことができる。
【0050】
以上のことから、本発明の照明付手摺10によれば、ブラケット14に手摺棒12を取り付ける作業と、給電配線18をブラケット14内に入れ込む作業とを分けることができるので、現場での施工が容易になる。加えて、ブラケット14の取付後であっても、余分な給電配線18を当該ブラケット14内に押し入れることができるので、容易に、給電配線18がはみ出して露出するおそれの無い、すっきりとした仕上がり状態にすることができる。
【0051】
また、使用者が正面から発光体16の発光部17を直視できないようになっているので、使用者に不快な眩しさを感じさせることがなく、デザイン性を向上させることが容易で、さらに、発光体16の取り付けの有無に拘わらず正面視外観が共通しており、全体としての統一感を得ることができる。
【0052】
また、給電配線18と発光体16とを電気的に接続するカプラー46がブラケット本体22の収容凹所26に収容されているので、給電配線18と発光体16との結線作業(すなわち、カプラー46の接続作業)を、ブラケット14を壁面Aに固定した後で楽に行うことが可能となり、施工性が著しく向上する。また、多少の給電配線18が余ったとしても、それらを収容凹所26に入れてしまうことにより、すっきりと見栄えのよい配線仕上げが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
10…照明付手摺
12…手摺棒
14…ブラケット
16…発光体
17…発光部
18…給電配線
20…配線溝
22…ブラケット本体
24…カバー
26…収容凹所
28…基部
32…手摺取付部
34…支持部
35…段
36…(基部の)底面
38…基部カバー
40…支持部カバー
42…(カバーの)両側面材
44…出光開口
46…カプラー
48…発光体側給電線
50…雄カプラー
52…雌カプラー
54…ジョイント
56…給電配線挿通孔
58…溝カバー
60…挿通孔
62…挿通孔
64…発光体ブラケット
66…スロット溝
70…位置決め用ガイド
A …壁面
B …木ネジ
C …木ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する手摺棒と、
前記手摺棒が取り付けられる手摺取付部を有しており、壁面に取り付けられるブラケットと、
前記ブラケット内に収容された発光体と、
前記発光体に給電するための給電配線とを備えており、
前記手摺棒には、前記給電配線を嵌め込む配線溝が形成されており、
前記ブラケットの前記手摺取付部には、前記配線溝に嵌め込まれる位置決め用ガイドが凸設されているとともに、前記給電配線を外部から前記ブラケット内に挿通するための給電配線挿通孔が前記位置決め用ガイドの両側方に隣接して形成されていることを特徴とする照明付手摺。
【請求項2】
前記ブラケットは、その底面が直下、あるいは直下から前記壁面寄りに向かうように形成されており、
前記発光体は、発光部が前記底面に設けられた出光開口から奥まった位置に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の照明付手摺。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記壁面に取り付けられ、前記給電配線を収容する収容凹所26を有するブラケット本体と、前記収容凹所を覆うカバーとで構成されており、
前記収容凹所に引き込まれた前記給電配線と、前記発光体とを電気的に接続するカプラーが、前記収容凹所に収容されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明付手摺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−87545(P2012−87545A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235619(P2010−235619)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 大建工業株式会社発行、「2011 Rシリーズ ドア・収納・造作部材・階段 価格改定版」、2010年10月発行 大建工業株式会社発行、「2011 設計・施工資料 床・壁・ダイライト・住機製品・Rシリーズ」、2010年10月発行
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】