説明

照明具

【課題】 複数の部材の組み合わせ方を変えることでデザインを変化させることができる照明具を提供する。
【解決手段】 ベースと、中間カバーと、表面カバーと、照明とを備え、照明が、ベースの前側に取り付けてあり、中間カバーが、前後方向に貫通する挿通部を有し、挿通部に照明を通して、ベースの前側に取り付けてあって、取付角度がベースに対して前後方向軸周りに可変であり、表面カバーが、照明を覆って中間カバーの前側に取り付けてあって、取付角度が中間カバーに対して前後方向軸周りに可変である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として玄関周りの壁面や門柱などに取り付ける照明具に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関周りの壁面や門柱などに取り付ける照明具として、様々なデザインのものが存在している。図11に示すのはその一例であり、(a)は照明104を半球形状で半透明のカバー103で覆ったものである。また、(b)は照明104を下面が開口した立方体形状のカバー103で覆ったものである。従来は、こうした品々の中から、自分の好みに合うものを選択していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年ではこのような照明具においても、他とは異なる自分仕様のデザインのものが求められるようになっているが、個人が自分で一からデザインをすることは困難であるし、業者に注文すれば非常にコストが高くなってしまう。そこで、安価であって、容易に自分の好みのデザインに形成できる照明具が求められていた。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、複数の部材の組み合わせ方を変えることでデザインを変化させることができる照明具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1の発明は、ベースと、中間カバーと、表面カバーと、照明とを備え、照明が、ベースの前側に取り付けてあり、中間カバーが、前後方向に貫通する挿通部を有し、挿通部に照明を通して、ベースの前側に取り付けてあって、取付角度がベースに対して前後方向軸周りに可変であり、表面カバーが、照明を覆って中間カバーの前側に取り付けてあって、取付角度が中間カバーに対して前後方向軸周りに可変であることを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項2の発明は、中間カバーと表面カバーの前面視形状又は前面視寸法が異なっていることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項3の発明は、中間カバーが、前後方向に裏返して取付可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項4の発明は、中間カバーが、外縁から挿通部に連通する切欠部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1の発明によれば、表面カバーや中間カバーの取付角度を変えることで、照明具全体のデザインを変化させることができる。そして、デザインを変化させることにより、光の照射の仕方や、それに伴ってできる影の形も変化させることができる。
【0010】
本発明のうち請求項2の発明によれば、中間カバーや表面カバーの取付角度を変えた際のデザインの変化をより大きくすることができる。
【0011】
本発明のうち請求項3の発明によれば、中間カバーを裏返して取り付けることで、デザインの変化のパターンをさらに増やすことができる。
【0012】
本発明のうち請求項4の発明によれば、照明の光が切欠部を通って外側に照射されるので、切欠部の向きを変えることで、任意の方向を照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の照明具の第一実施形態の斜視図である。
【図2】第一実施形態の側面図である。
【図3】第一実施形態の分解図である。
【図4】ベースの前面図、A−A線断面図及び後面図である。
【図5】中間カバーの前面図、B−B線断面図及び後面図である。
【図6】表面カバーの前面図、側面図及び後面図である。
【図7】第一実施形態の組み合わせパターンの例を示す説明図である。
【図8】第二実施形態の組み合わせパターンの例を示す説明図である。
【図9】第三実施形態の組み合わせパターンの例を示す説明図である。
【図10】第四実施形態の組み合わせパターンの例を示す説明図である。
【図11】従来の照明具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この照明具は、玄関周りの壁面や門柱を始めとした、様々な場所の壁面に設置することができるものである。その第一実施形態は、図1及び図2に示すように、ベース1と、中間カバー2と、表面カバー3と、照明4とを備えており、ベース1に取り付けた照明4が中間カバー2及び表面カバー3によって覆われている。ベース1と、中間カバー2と、表面カバー3は、何れもアルミ鋳造により作られたものである。以下、図1〜図6に基づいて、より詳しく説明する。なお、図2の左側を前側、右側を後側とし、上下左右とは照明具を前面視した際の上下左右とする。
【0015】
ベース1は、図4((a)は前面図、(b)はA−A線断面図、(c)は後面図)に示すように、基部11と、鍔部12とを有する。基部11は正四角錐台で前側に向けて広がっており、鍔部12は正方形平板形状で基部11の前側端から外周側に広がっていて、基部11の前面と鍔部12の前面とは面一になっている。そして、基部11の前面中央には照明4が納まる円形の取付穴13を形成してあり、取付穴13の周囲には、中間カバー2と連結するための連結部14を設けてある。連結部14は、台形形状の突起であり、円周上に90度間隔で四つ設けてあって(左上、右上、右下、左下)、各連結部14には、内外周方向に貫通する通し孔15を形成してある。なお、取付穴13の底面には、照明4を取り付け、かつベース1を設置面に固定するためのネジを通す固定用孔16と、照明4の配線(図示省略)を通すための配線用孔17を形成してある。
【0016】
中間カバー2は、図5((a)は前面図、(b)はB−B線断面図、(c)は後面図)に示すように、中間板23と、挿通部21を有する。中間板23は、平板形状であって、ベース1の鍔部12と同じ大きさの正方形の上辺と下辺を曲線状に切り取った上下対称の形状である。そして、中間板23の中央には、前後方向に貫通する円形の孔である挿通部21を形成してあり、挿通部21の周囲には、前面と後面の両側に、連結部(前側連結部24及び後側連結部25)を設けてある。前側連結部24は表面カバー3と連結するためのものであり、後側連結部25はベース1と連結するためのものである。これらは何れも、ベース1の連結部14と同様に、台形形状の突起であり、円周上に90度間隔で四つ設けてあって(左上、右上、右下、左下)、各連結部24,25には、内外周方向に貫通するネジ孔26を形成してある。なお、前側連結部24と後側連結部25とは、中間板23の前後面の対向する位置に設けてあり、これらが配置されている円周の大きさは、ベース1の連結部14が配置されている円周よりも一回り小さい。
【0017】
表面カバー3は、図6((a)は前面図、(b)は側面図、(c)は後面図)に示すように、表面板31からなる。表面板31は、平板形状であって、ベース1の鍔部12と同じ大きさの正方形の上辺を曲線状に切り取った形状である。なお、切取面積は、中間カバー2の上辺部分(又は下辺部分)の切取面積よりも大きい。そして、表面板31の後面には、中間カバー2と連結するための連結部32を設けてある。連結部32は、ベース1の連結部14と同様に、台形形状の突起であり、円周上に90度間隔で四つ設けてあって(左上、右上、右下、左下)、各連結部14には、内外周方向に貫通する通し孔33を形成してある。なお、表面カバー3の連結部32が配置されている円周の大きさは、ベース1の連結部14が配置されている円周と同じである。
【0018】
照明4には、略円柱形状のLED照明を用いている。ベース1への取り付けに際しては、ベース1の取付穴13の底面に高さを調整するための台座5を敷いて、その上に照明4を固定する。台座5は、取付穴13に嵌る大きさの円形平板であり、ベース1の固定用孔16及び配線用孔17に対応した箇所に孔を設けてある。
【0019】
続いて、これらの各部材の組立について説明する。まず、ベース1の取付穴13の底面に台座5を敷いて、その上に照明4をネジ止めして固定する。次に、ベース1に対して中間カバー2を取り付ける。この際、ベース1の連結部14の内側に中間カバー2の後側連結部25が納まるので、ベース1の連結部14の通し孔15にネジ6を通し、中間カバー2の後側連結部25のネジ孔26に螺合して固定する。なお、ベース1の連結部14と、中間カバー2の後側連結部25は、何れも90度間隔で設けてあるから、ベース1に対して中間カバー2を90度単位の任意の角度で取り付けることができる。次に、中間カバー2に対して表面カバー3を取り付ける。この際、表面カバー3の連結部32の内側に中間カバー2の前側連結部24が納まるので、表面カバー3の連結部32の通し孔33にネジ6を通し、中間カバー2の前側連結部24のネジ孔26に螺合して固定する。なお、中間カバー2の前側連結部24と、表面カバー3の連結部32は、何れも90度間隔で設けてあるから、中間カバー2に対して表面カバー3を90度単位の任意の角度で取り付けることができる。
【0020】
このように構成した本発明の照明具は、表面カバー及び中間カバーの前面視形状を異ならせてあり、表面カバーや中間カバーの取付角度を変えることで、照明具全体のデザインを変化させることができる。そして、デザインを変化させることにより、光の照射の仕方や、それに伴ってできる影の形も変化させることができる。
【0021】
ここで、第一実施形態について、図7に基づき、表面カバーや中間カバーの取付角度を変化させた場合の組み合わせパターンの例を示す。(a)は表面カバー3、(b)は中間カバー2の前面図であり、この向きを基準とし、以下の回転角度は時計回りとする。(c)は、表面カバー、中間カバーともに基準状態のまま取り付けたものである。(d)は、表面カバーは基準状態のままで、中間カバーを180度回転させたものである。(e)は、表面カバーを90度回転させ、中間カバーは基準状態のままとしたものである。(f)は、表面カバーを180度、中間カバーを270度回転させたものである。(g)は、表面カバーを270度、中間カバーを180度回転させたものである。このように、表面カバー及び中間カバーの前面視形状を異ならせてあるので、取付角度を変えると、表面カバーの後側の中間カバーやベースの見え方が異なる様々なデザインパターンを作り出すことができる。
【0022】
次に、照明具の第二実施形態について、図8に基づき、その構成及び表面カバーや中間カバーの取付角度を変化させた場合の組み合わせパターンの例を示す。第二実施形態は、第一実施形態に対して、表面カバー3の表面板31及び中間カバー2の中間板23の形状が異なっており、その他の構成は同じである。中間カバー2は、(b)に示すように、中間板23がベースの鍔部12より一回り小さな正方形であって、その中心が左下にずれていて、左辺及び下辺が鍔部12の左辺及び下辺に一致している。そして、表面カバー3は、(a)に示すように、表面板31が中間カバー2の中間板23より一回り小さな正方形であって、その中心が左下にずれていて、左辺及び下辺が鍔部12の左辺及び下辺に一致している。そして、以下は実例であり、(c)は、表面カバー、中間カバーともに基準状態のまま取り付けたものである。(d)は、表面カバーは基準状態のままで、中間カバーを270度回転させたものである。(e)は、表面カバーを270度、中間カバーを90度回転させたものである。(f)は、表面カバーを180度、中間カバーを180度回転させたものである。(g)は、表面カバーは基準状態のままで、中間カバーを90度回転させたものである。このように、表面カバー及び中間カバーの前面視形状が同じであっても、その前面視寸法を異ならせると、取付角度を変えることでデザインを変化させることができる。
【0023】
次に、照明具の第三実施形態について、図9に基づき、その構成及び表面カバーや中間カバーの取付角度を変化させた場合の組み合わせパターンの例を示す。第三実施形態は、第一実施形態に対して、表面カバー3の表面板31及び中間カバー2の中間板23の形状が異なっており、その他の構成は同じである。表面カバー3は、(a)に示すように、表面板31がベースの鍔部と同じ大きさの正方形であって、右上部分に円形の孔を形成してある。そして中間カバー2は、(b)に示すように、中間板23がベースの鍔部と同じ大きさの正方形であって、右上部分に長方形の孔を、左下部分に円形の孔を形成してある。なお、表面カバー3の右上には連結部32がなく、それに合わせて中間カバー2の右上には前側連結部24がないが、残りの箇所でネジ止めすれば、問題なく連結できる。そして、以下は実例であり、(c)は、表面カバー、中間カバーともに基準状態のまま取り付けたものである。(d)は、表面カバーは基準状態のままで、中間カバーを180度回転させたものである。(e)は、表面カバーを90度、中間カバーを90度回転させたものである。(f)は、表面カバーを180度回転させ、中間カバーは基準状態のままとしたものである。(g)は、表面カバーを270度、中間カバーを270度回転させたものである。このように、表面カバー及び中間カバーの前面視外縁形状が同じであっても、それぞれに異なる形状の孔を設けると、取付角度を変えることで、表面カバーの孔から見える中間カバーやベース態様が異なる様々なデザインパターンを作り出すことができる。
【0024】
次に、照明具の第四実施形態について、図10に基づき、その構成及び表面カバーや中間カバーの取付角度を変化させた場合の組み合わせパターンの例を示す。第四実施形態は、第一実施形態に対して、表面カバー3の表面板31及び中間カバー2の中間板23の形状が異なっており、その他の構成は同じである。表面カバー3は、(a)に示すように、表面板31がベースの鍔部と同じ大きさの正方形であって、右上部分を直線状に切り取った形状である。そして中間カバー2は、(b)に示すように、中間板23がベースの鍔部と同じ大きさの正方形であって、左辺上端部から上辺右端部にかけて、外縁から挿通部21に連通する切欠部22を形成してある。なお、表面カバー3の右上には連結部32がなく、それに合わせて中間カバー2の右上には前側連結部24がないが、残りの箇所でネジ止めすれば、問題なく連結できる。また、前側連結部24と後側連結部25とは、中間板23の前後面の対向する位置に設けてあるから、(c)に示すように中間カバー2を前後方向に裏返した状態でも、ベース及び表面カバーに連結できる。そして、以下は実例であるが、(d)〜(h)は、中間カバー2を前後方向について(b)に示す向きに取り付ける場合である。(d)は、表面カバー、中間カバーともに基準状態のまま取り付けたものである。(e)は、表面カバーは基準状態のままで、中間カバーを180度回転させたものである。(f)は、表面カバーを90度、中間カバーを180度回転させたものである。(g)は、表面カバーを180度、中間カバーを180度回転させたものである。(h)は、表面カバーを270度、中間カバーを270度回転させたものである。そして、(i)〜(m)は、中間カバー2を前後方向について(c)に示す向きに取り付ける場合である。(i)は、表面カバー、中間カバーともに基準状態のまま取り付けたものである。(j)は、表面カバーは基準状態のままで、中間カバーを180度回転させたものである。(k)は、表面カバーを90度、中間カバーを180度回転させたものである。(l)は、表面カバーを180度、中間カバーを180度回転させたものである。(m)は、表面カバーを270度、中間カバーを270度回転させたものである。このように、表面カバー及び中間カバーの前面視形状を異ならせてあるので、取付角度を変えると、表面カバーの後側の中間カバーやベースの見え方が異なる様々なデザインパターンを作り出すことができ、中間カバーを裏返して取り付けることで、デザインの変化のパターンを倍増させることができる。そして、照明の光が切欠部を通って外側に照射されるので、切欠部の向きを変えることで、任意の方向を照らすことができる。本実施形態においては、(d)、(i)の場合は上側を、(e)、(f)、(g)、(j)、(k)、(l)の場合は下側を、(h)、(m)の場合は左側を照らす。
【0025】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、連結部を増やすことによって、ベースに対する中間カバーの取付角度及び中間カバーに対する表面カバーの取付角度をより小さい角度単位で変更できるようにしてもよい。また、中間カバーを複数備えていて、ベースと表面カバーの間に中間カバーを重ねて取り付けるようにしてもよい。その場合、中間カバー同士の取付角度も可変であることが望ましい。さらに、ベースは、照明と中間カバーを取り付けることができるものであればどのような形状であってもよく、壁面以外に床面や天井面に固定するものであってもよい。また、中間カバーや表面カバーについても平板形状のものに限られない。たとえば、中間カバーが円環形状のものであってもよいし、表面カバーの前面が前側に膨らむドーム形状のもの、前面が波打った形状のものや、前面に突起を有するものなどであってもよく、何れも意匠性を考慮して自由に設計できる。
【符号の説明】
【0026】
1 ベース
2 中間カバー
3 表面カバー
4 照明
21 挿通部
22 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、中間カバーと、表面カバーと、照明とを備え、照明が、ベースの前側に取り付けてあり、中間カバーが、前後方向に貫通する挿通部を有し、挿通部に照明を通して、ベースの前側に取り付けてあって、取付角度がベースに対して前後方向軸周りに可変であり、表面カバーが、照明を覆って中間カバーの前側に取り付けてあって、取付角度が中間カバーに対して前後方向軸周りに可変であることを特徴とする照明具。
【請求項2】
中間カバーと表面カバーの前面視形状又は前面視寸法が異なっていることを特徴とする請求項1記載の照明具。
【請求項3】
中間カバーが、前後方向に裏返して取付可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の照明具。
【請求項4】
中間カバーが、外縁から挿通部に連通する切欠部を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の照明具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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