照明制御装置およびそれを含む照明装置
【課題】撮像装置の露光期間の長さを変更した場合であっても、撮像装置によって取得される画像内の輝度レベルを安定化することのできる照明制御装置およびそれを含む照明装置を提供する。
【解決手段】ストロボコントローラは、カメラに設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信し、露光開始タイミングに同期して、LEDの点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、LEDの発光強度を決定し、決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された発光強度に応じた波高値を有する、発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する。点灯期間は、露光期間を超えない範囲で決定され、露光期間が短いほどより高い波高値となるようにパルス信号が制御される。
【解決手段】ストロボコントローラは、カメラに設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信し、露光開始タイミングに同期して、LEDの点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、LEDの発光強度を決定し、決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された発光強度に応じた波高値を有する、発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する。点灯期間は、露光期間を超えない範囲で決定され、露光期間が短いほどより高い波高値となるようにパルス信号が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を用いた照明装置を制御するための照明制御装置およびそれを含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)分野などにおいては、各種の画像処理技術が利用されている。典型的には、検査対象物を撮像して得られた画像データに基づいて、検査対象物に印字されている文字を認識したり、検査対象物の表面におけるキズの有無などを検査したりする画像処理技術が広く実用化されている。
【0003】
このような画像処理技術を用いて検査対象物に対する各種計測処理を行う場合には、検査対象物を表す画像を適切に取得する必要がある。そのため、撮像時に適切な照度を確保するために、検査対象物を照らすための照明装置が設けられることが多い。このような照明装置としては、低消費電力でかつ長寿命な発光素子(LED:Light Emitting Diode)を用いたものが実用化されている。
【0004】
このような発光素子を用いた照明装置に関する技術として、たとえば、特開2006−019901号公報(特許文献1)には、照明レベルを制御し、画面全体の明るさを調整するのではなく、画面内での照明均一性を確保することが可能な照明制御機能を備えた視覚センサが開示されている。より具体的には、特許文献1には、照明強度を低下させるために、露光期間を固定したまま発光期間だけを短くし、これに対して、照明強度を強めるために、露光期間を固定したまま発光期間を長くすることで、個々の照明器の照明強度をグループ単位で増減することにより、正方形視野内における上下左右方向の濃度均一性を細かく調整する方法が開示されている。
【0005】
また、特開2003−243713号公報(特許文献2)には、LEDが早期に熱劣化することを防止できるLED照明用電源が開示されている。より具体的には、特許文献2には、LEDを点灯させるためのパルス制御回路にデューティ比を制限する回路を設けることにより、作動時に、LEDが熱劣化しない程度の光量までしか点灯できないようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−019901号公報
【特許文献2】特開2003−243713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際の生産ラインにおいては、画像内での被写体のぶれを抑えるために、検査対象物の移動速度が速いほど撮像装置のシャッタースピードを速くする必要がある。シャッタースピードが速くなるほど、撮像装置の露光期間が短くなるので、1回の撮像において取込まれる光量が少なくなる。すなわち、撮像装置が検査対象物を撮像することで取得される画像内の輝度レベルが小さくなる。そのため、シャッタースピードが速くなるほど、照明装置からの光量を増加させる必要がある。
【0008】
このように、撮像装置の露光期間の長さが変更された場合には、当該撮像装置の視野を照明するための照明装置の光量についても最適化する必要がある。しかしながら、上述の特許文献1および2においては、撮像装置の露光期間の長さと連動して光量を変更するという技術思想は示されていない。そのため、撮像装置の露光期間の長さを変更した場合には、照明装置からの光量についてもユーザが調整する必要があった。
【0009】
そこで、本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、その目的は、撮像装置の露光期間の長さを変更した場合であっても、撮像装置によって取得される画像内の輝度レベルを安定化することのできる照明制御装置およびそれを含む照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面によれば、発光素子を含み、撮像装置と連動して動作する照明装置を制御するための照明制御装置を提供する。本照明制御装置は、撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、露光開始タイミングに応じて、照明装置の発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを含む。第1の決定手段は、露光期間を超えない範囲で点灯期間を決定し、第2の決定手段は、露光期間が短いほどより高い値となるように波高値を決定する。
【0011】
好ましくは、照明装置は、各々が所定数の発光素子の群である点灯ブロックを複数含み、第1の決定手段は、点灯ブロックの別に、点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、生成手段は、第2の決定手段によって決定された波高値を共通に用いて、第1の決定手段によって点灯ブロックの別に決定される、点灯タイミングおよび点灯期間から、点灯ブロックの別にパルス信号を生成する。
【0012】
さらに好ましくは、第1の決定手段は、露光期間に対して、点灯ブロックの別に指示される点灯比率を乗じた期間を、当該点灯ブロックの点灯期間として決定する。
【0013】
あるいは好ましくは、生成手段は、第2の決定手段と各点灯ブロックとの間に配置されたスイッチング手段を含み、スイッチング手段は、第2の決定手段によって決定された波高値を有する電圧信号を、第1の決定手段によって決定された発光素子の点灯期間にわたって、対応する点灯ブロックへ伝達する。
【0014】
好ましくは、本照明制御装置は、照明装置に対して、パルス信号とは独立して、発光素子を駆動するための定電圧の電源を供給する電源供給手段をさらに含む。
【0015】
この発明の別の局面に従えば、撮像装置と連動して動作する照明装置を提供する。本照明装置は、照明光を生成するための発光素子と、撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、露光開始タイミングに応じて、発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを含む。第1の決定手段は、露光期間を超えない範囲で点灯期間を決定し、第2の決定手段は、露光期間が短いほどより高い値となるように波高値を決定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮像装置の露光期間の長さを変更した場合であっても、撮像装置によって取得される画像内の輝度レベルを安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る視覚センサシステムの外観を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る視覚センサシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るストロボコントローラを中心とした機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るストロボコントローラおよび照明装置の回路構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る照明装置の点灯制御動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るカメラの露光期間と照明装置の特性との関係を示す図である。
【図7】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて実際に撮像を行った場合に得られた撮像例(その1)を示す。
【図8】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて実際に撮像を行った場合に得られた撮像例(その2)を示す。
【図9】本発明の実施の形態に係る照明装置の一例を示す外観図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る照明装置の別の一例を示す外観図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る照明装置のさらに別の一例を示す外観図である。
【図12】図11に示す照明装置の断面構造を示す図である。
【図13】本実施の形態に係るストロボコントローラに対して点灯ブロック毎に点灯タイミングを設定するためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図14】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて点灯タイミング調整の一例を示すタイムチャートである。
【図15】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて画像内の輝度分布を調整した結果を示す図である。
【図16】本実施の形態に係るストロボコントローラにおいて実行される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<A.全体構成>
本実施の形態に係る視覚センサシステム1は、生産ラインなどに組込まれて検査対象物(以下、「ワーク」とも称す。)を撮像して得られる画像に基づいて、文字認識やキズ検査といった処理(以下、「計測処理」とも称す。)を実行する。すなわち、本実施の形態に係る視覚センサシステム1は、生産ライン上を搬送されるワーク(移動体)を適切なタイミングで撮像して得られる画像に対して、計測処理を実行する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る視覚センサシステム1の外観を示す模式図である。図2は、本発明の実施の形態に係る視覚センサシステム1の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1を参照して、視覚センサシステム1は、照明制御装置の典型例であるストロボコントローラ10と、撮像装置の典型例であるカメラ20と、照明装置40−1,40−2(以下、「照明装置40」とも総称する。)とを含む。
【0022】
カメラ20は、典型的には、その視野がワークの搬送経路上となるように配置される。カメラ20は、レンズなどの光学系に加えて、CCD(Coupled Charged Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった撮像素子を含んで構成される。なお、搬送速度が相対的に高いワークに対しても計測処理を行えるように、カメラ20は、電子式のシャッタ機構を備えるものを採用することが好ましい。一例として、本実施の形態に従うカメラ20のシャッタースピードは、最速で1/50000[sec]であるとする。
【0023】
このカメラ20は、生産ライン上に設けられたワーク検出センサによってワークがカメラ20の視野内に入ったことが検出されると撮像を行う。あるいは、カメラ20を用いて連続的に視野を撮像しておき、撮像される画像内にワークに相当する被写体が含まれる画像のみを選択的に抽出するようにしてもよい。
【0024】
照明装置40は、ワーク(カメラ20の視野範囲)に対して照明光を供給する照明光源である。この照明装置40は、ストロボコントローラ10からの制御に従って、撮像装置と連動して動作する。なお、図1には、一対の照明装置40−1および40−2を示すが、1つのカメラ20に対応付けて配置される照明装置40の数については、特に制限されず、適用先の生産ラインの状況などに応じて適切に設定される。
【0025】
本実施の形態に係る照明装置40は、発光体として、複数の発光素子(LED:Light Emitting Diode)を有する。図1に示す例では、複数のLEDが発光面に対して整列配置される形態を示す。さらに、照明装置40は、それを構成するLEDが複数の部分(点灯ブロック)に区分されており、各区分された点灯ブロック毎に点灯タイミングおよび発光強度を制御することが可能となっている。すなわち、点灯ブロックは、所定数の発光素子の群である。この点については、後に詳述する。
【0026】
ストロボコントローラ10は、カメラ20による撮像と同期して照明装置40を駆動する装置であり、少なくとも、照明装置40への電源供給機能、タイミング制御機能、および光量制御機能(調光機能)を有する。上述したように、基本的には、カメラ20は、所定のタイミングでワークを撮像するので、この撮像期間において、照明装置40からワーク(すなわち、カメラ20の視野範囲)に対して照明光を供給すればよい。そのため、ストロボコントローラ10は、照明装置40をパルス的に駆動する。これは、照明装置40を構成する発光体の寿命が有限であることに対しても有効である。
【0027】
図2を参照して、視覚センサシステム1は、カメラ20の撮像により取得された画像に対して計測処理を実行するための画像処理装置30をさらに含む。この画像処理装置30は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)、記憶部である揮発性メモリやハードディスク、および、カメラインターフェイスなどを有するコンピュータである。なお、このような画像処理装置30のハードウェア構成や画像処理装置30により提供される各種計測処理については、公知であるので、ここでは詳細な説明は行わない。
【0028】
図2に示すように、視覚センサシステム1では、画像処理装置30およびカメラ20が接続されるとともに、カメラ20およびストロボコントローラ10が接続される。すなわち、ストロボコントローラ10は、カメラ20を介して、画像処理装置30と間接的に接続される。なお、ストロボコントローラ10と画像処理装置30とを直接的に接続してもよい。
【0029】
カメラ20からストロボコントローラ10に対して、照明装置40を駆動するための電源が供給されるとともに、カメラ20の露光期間(露光開始タイミングおよびシャッタースピード)ならびに照明装置40の点灯ブロック毎の発光強度が伝送される。この点灯ブロック毎の発光強度は、基本的には、同一の照明装置40において点灯ブロック間の相対的な発光強度を調整するための設定値である。後述するように、ワークに対して均一の照度が得られるように、点灯ブロック間の相対的な光量が調整される。
【0030】
ストロボコントローラ10は、照明装置40の各々に対して、照明駆動用電源および点灯制御信号を供給する。この照明駆動用電源は、照明装置40を構成する各LEDを駆動するための電源である。点灯制御信号は、各照明装置40を構成する点灯ブロック毎に与えられ、各点灯ブロックに含まれるLEDの発光強度を調整するために用いられる。
【0031】
図2には、各々がN個の点灯ブロックからなる照明装置40−1および40−2を図示する。この点灯ブロックの各々に含まれるLEDは、対応する点灯制御信号の大きさに応じた強度で発光することになる。
【0032】
また、点灯制御信号は、各点灯ブロックに含まれるLEDの点灯タイミングを制御するためにも用いられる。基本的には、各点灯ブロックは、カメラ20の露光期間と同期して、その露光期間の間、発光し続けるように制御される。但し、当該露光期間の長さを基準として、各点灯ブロックの点灯比率を変更することで、同一の照明装置40における点灯ブロック間の相対的な光量(カメラ20による1回の撮像期間において照射される照明光の総量)が調整可能となっている。
【0033】
すなわち、本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、それに接続されている照明装置40を構成する各LEDの発光強度(単位時間あたりの光量)を、カメラ20の露光期間の長さに応じて共通的に(一括して)調整する一方で、各点灯ブロックにおける点灯期間を調整することで、各点灯ブロックから照射される光量が最適化される。
【0034】
したがって、本実施の形態に係るストロボコントローラ10によれば、照明装置40を構成する任意の点灯ブロックを任意の光量(明るさ)で発光させることができる。そのため、適用先の生産ラインなどに応じて、撮像の自由度を高めることができる。
【0035】
なお、図2には、1つのストロボコントローラ10が2つの照明装置40を駆動および制御する構成を例示するが、より多くの照明装置40を駆動および制御するようにしてもよい。
【0036】
<B.照明制御装置および照明装置の構成>
図3は、本発明の実施の形態に係るストロボコントローラ10を中心とした機能ブロック図である。図4は、本発明の実施の形態に係るストロボコントローラ10および照明装置40の回路構成の一例を示す図である。
【0037】
図3を参照して、ストロボコントローラ10は、カメラ20と、照明装置40−1,40−2との間に配置され、照明装置40−1,40−2に対して、カメラ20での露光開始タイミングおよびシャッタースピードに応じた点灯制御信号を与える。
【0038】
具体的には、ストロボコントローラ10は、CPU100と、デジタル/アナログ変換器(DAC:Digital Analog Convert)102と、アナログスケール変換器104と、インターフェイス部(I/F)106と、パルス変調スイッチング回路110−1,110−2(以下、「パルス変調スイッチング回路110」とも総称する。)と、照明用電源部114と、内部回路駆動用電源部116とを含む。
【0039】
CPU100は、予め格納されたプログラムに従って、ストロボコントローラ10の全体制御を司る演算処理部である。CPU100は、インターフェイス部106を介して、カメラ20から、カメラ20に設定されているシャッタースピード(露光期間)、点灯ブロック毎の発光強度、露光開始タイミングなどの情報を受取る。なお、カメラ20のシャッタースピードおよび点灯ブロック毎の発光強度については、その伝送速度の遅れがあってもそれほど影響がないので、汎用的なシリアルまたはパラレル通信が用いられてもよい。これに対して、露光開始タイミングについては、カメラ20の露光タイミングと照明装置40の点灯タイミングとを一致させる必要があるので、パルス信号(電圧信号)を用いて伝送される。
【0040】
CPU100は、カメラ20からの情報に基づいて、パルス変調スイッチング回路110−1,110−2に対して、点灯タイミング信号を与える。この点灯タイミング信号は、パルス変調スイッチング回路110を構成する点灯ブロックの別に生成される(この例では、各照明装置についてN個)。また、CPU100は、照明装置40を構成するLEDの発光強度を調整するための発光強度信号をDAC102へ与える。
【0041】
すなわち、CPU100は、カメラ20の露光開始タイミングに応じて、照明装置40のLEDの点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、それを示すパルス信号として、点灯タイミング信号を生成する。また、CPU100は、照明装置40のLEDの発光させるべき強度に応じた波高値を決定し、それを示す発光強度信号を生成する。
【0042】
さらに、CPU100は、照明用電源部114に対して、制御信号を与える。
DAC102は、CPU100から受けた発光強度信号(デジタル信号)を電圧信号(アナログ信号)に変換して、アナログスケール変換器104へ出力する。アナログスケール変換器104は、DAC102から受けた電圧信号を適切なレベルに変換した上で、パルス変調スイッチング回路110−1,110−2へ与える。
【0043】
パルス変調スイッチング回路110−1は、CPU100から受けた点灯タイミング信号と、アナログスケール変換器104から受けた発光強度信号(スケール変換後の電圧信号)とに応じて、照明装置40−1を構成するそれぞれの点灯ブロックの別に点灯制御信号(典型的には、パルス信号)を出力する。同様に、パルス変調スイッチング回路110−2は、CPU100から受けた点灯タイミング信号と、アナログスケール変換器104から受けた発光強度信号とに応じて、照明装置40−2を構成するそれぞれの点灯ブロックの別に点灯制御信号を出力する。
【0044】
すなわち、点灯タイミング信号は、点灯ブロック毎のLEDの点灯期間を定めるとともに、発光強度信号は、照明装置40を構成するLEDの発光強度(LEDへ供給される駆動電流の大きさ)を定める。
【0045】
照明用電源部114は、カメラ20から供給される電源を受けて、CPU100からの制御信号に従って、照明装置40のLEDを駆動するための照明駆動用電源を生成する。一例として、照明用電源部114は、DC48Vの電源を供給する。すなわち、照明用電源部114は、照明装置40に対して、点灯制御信号とは独立して、LEDを駆動するための定電圧の電源を供給する電源供給手段として機能する。
【0046】
内部回路駆動用電源部116は、後述する電気回路を駆動するための駆動用電源(後述する内部駆動電圧Vcc)を供給する。
【0047】
次に、図4を参照して、より詳細な回路構成について説明する。
図4を参照して、照明装置40は、複数の点灯ブロックを有しており、各点灯ブロックは、直列接続された複数のLEDを含む。なお、それぞれの点灯ブロックに対して、ストロボコントローラ10から供給される照明駆動電圧Vddが共通的に供給される。
【0048】
より具体的には、点灯ブロック1は、照明駆動電圧Vddとグランドとの間に直列接続された、逆流防止用のダイオード407と、トランジスタ401と、制限抵抗404とを含む。さらに、点灯ブロック1は、ダイオード407のカソード側のノード408とグランドとの間に直列接続された、複数のLED406と、トランジスタ402と、制限抵抗405とを含む。
【0049】
トランジスタ401とトランジスタ402とは、いわゆるダーリントン接続されており、トランジスタ401のベースに供給される点灯制御信号(パルス信号)に応じた電流値をもつ投光電流をLED406に供給する。より具体的な回路動作としては、トランジスタ401のベースにパルス信号が与えられると、トランジスタ401が活性化して導通状態となる。すると、照明駆動電圧Vddからグランドに向けて、ダイオード407、トランジスタ401、制限抵抗404の順に電流が流れる。すると、ノード403では、この電流によって制限抵抗404に生じる電圧降下分だけ、グランドに対する電位が上昇する。このノード403の電位上昇に伴って、トランジスタ402が活性化して導通状態となる。すると、ノード408からグランドに向けて、LED406、トランジスタ402、制限抵抗405の順に投光電流が流れる。
【0050】
このとき、トランジスタ401のベースに供給されるパルス信号の波高値(電圧値)に応じて、エミッタ−コレクタ間に流れる電流の大きさが調整される。この電流の調整によって、トランジスタ402のベースに供給される電圧値が間接的に調整される。このトランジスタ402のベースに供給される電圧値に応じて、最終的に投光電流が調整される。
【0051】
このように、ストロボコントローラ10から照明装置40へ供給される点灯制御信号(パルス信号)の波高値を変更することで、LEDに供給される投光電流(すなわち、発光強度)を調整することができる。
【0052】
また、点灯ブロック2は、点灯ブロック1と同様に、照明駆動電圧Vddとグランドとの間に直列接続された、逆流防止用のダイオード417と、トランジスタ411と、制限抵抗414とを含む。また、点灯ブロック2は、ダイオード417のカソード側のノード418とグランドとの間に直列接続された、複数のLED416と、トランジスタ412と、制限抵抗415とを含む。
【0053】
点灯ブロック2の回路動作については、点灯ブロック1と同様である。さらに、照明装置40を構成する他の点灯ブロックの回路構成および回路動作についても、基本的には、点灯ブロック1および2と同様である。
【0054】
なお、図4に示すような、ダーリントン接続を採用することで、ストロボコントローラ10からの点灯制御信号に対する入力インピーダンスを大きくすることができる。しかしながら、上述のようなダーリントン接続に限られず、ストロボコントローラ10からの点灯制御信号(パルス信号)の波高値に応じて、投光電流を調整できれば、公知の任意の回路構成を採用することができる。
【0055】
このように、本実施の形態に従う照明装置40は、投光電流を直接的に調整できるので、駆動電圧を調整する必要がなく、より簡単な回路構成で、LEDの発光強度を制御することができる。
【0056】
パルス変調スイッチング回路110の各々は、接続される照明装置40の点灯ブロックの別にスイッチング回路を含む。すなわち、図4に示すパルス変調スイッチング回路110は、照明装置40−1の点灯ブロック1に対応付けて、トランジスタ1111およびトランジスタ1112とからなるスイッチング回路を有する。このスイッチング回路は、アナログスケール変換器104から出力される発光強度信号(CPU100が決定したLEDの発光強度に応じた波高値を有する電圧信号)を、対応する点灯タイミング信号1がHIレベル(ON)である期間(CPU100が決定したLEDの点灯期間)の間、照明装置40−1の点灯ブロック1へ伝達する。
【0057】
より具体的には、トランジスタ1111は、アナログスケール変換器104の出力端と、照明装置40−1の点灯ブロック1を構成するトランジスタ401のゲートとの間に直列接続される。また、トランジスタ1111のゲートは、トランジスタ1112を介してグランドに接続される。さらに、トランジスタ1112のゲートには、CPU100からの点灯タイミング信号1が入力される。
【0058】
CPU100からの点灯タイミング信号1がHIレベルに駆動されると、トランジスタ1112が活性化して導通状態となる。トランジスタ1111は、pチャネルのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、トランジスタ1112が非活性状態では、そのゲートの電位は浮動電位であるが、トランジスタ1112が活性状態になるとそのゲートはグランドと電気的に接続される。すると、トランジスタ1111は、活性化して導通状態となる。そのため、トランジスタ1111のソースとドレインとの間が電気的に接続されて、アナログスケール変換器104からの出力信号がトランジスタ401のゲートへ伝達される。
【0059】
同様に、パルス変調スイッチング回路110−2は、照明装置40−1の点灯ブロック2に対応付けて、トランジスタ1113およびトランジスタ1114とからなるスイッチング回路を有する。このスイッチング回路についても、上述と同様の回路動作を行って、アナログスケール変換器104から出力される発光強度信号を、対応する点灯タイミング信号2がHIレベル(ON)である期間の間、照明装置40−1の点灯ブロック2へ供給する。
【0060】
このように、パルス変調スイッチング回路110は、CPU100から出力される点灯ブロック毎の点灯タイミング信号と、CPU100から出力される発光強度信号(パルス波高値)とから、照明装置40の各点灯ブロックに含まれるLEDを駆動するための信号を生成する。すなわち、パルス変調スイッチング回路110は、CPU100が決定した点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、CPU100が決定した波高値を有する、LEDを駆動するためのパルス信号を生成する。
【0061】
言い換えれば、パルス変調スイッチング回路110は、CPU100が決定する発光強度信号を共通に用いて、CPU100が点灯ブロックの別に決定する、点灯タイミングおよび点灯期間を示す点灯タイミング信号から、点灯ブロックの別に点灯制御信号(パルス信号)を生成する。
【0062】
CPU100は、カメラ20の露光期間に応じて、出力する発光強度信号のレベルを変更する。すなわち、CPU100は、カメラ20の露光期間が短くなるほど、より発光強度信号のレベルを高くし、一方、カメラ20の露光期間が長くなるほど、より発光強度信号のレベルを低くする。すなわち、露光期間が短くなった場合であっても、カメラ20による1回の撮像において、その露光期間内に照明装置40から照射される照明光の光量(積算量)が維持されるように制御される。
【0063】
なお、本実施の形態に従うストロボコントローラ10においては、後述するように、露光期間のしきい値を設定しておき、カメラ20の露光期間がこのしきい値より短くなった場合に限って、より多くの投光電流をLEDに供給して、その発光強度をより高めるように波高値を決定する。この制御動作については、後述する。
【0064】
CPU100から出力される発光強度信号(デジタル信号)は、DAC102によってアナログ信号(電圧パルス信号)に変換され、アナログスケール変換器104へ伝達される。
【0065】
アナログスケール変換器104は、DAC102から入力される電圧パルス信号の波高値を照明装置40のトランジスタで許容されるベース電圧の範囲に適合するための回路である。より具体的には、アナログスケール変換器104は、オペアンプ1041と、トランジスタ1043と、抵抗1044,1045,1046,1047とを含む。
【0066】
オペアンプ1041の正相入力側にはDAC102の出力電圧(発光強度信号)が入力され、オペアンプ1041の逆相入力側は抵抗1044を介してグランドに接続される。このオペアンプ1041の逆相入力側と抵抗1044との間のノード1042には、抵抗1045の一端が接続される。すなわち、オペアンプの出力側は、抵抗1046および抵抗1045を介して、逆相入力側に帰還される。そのため、オペアンプ1041と、抵抗1044,1045,1046とは、DAC102からの入力信号に対して、いわゆる係数回路として機能し、抵抗1044と抵抗1045との直列抵抗値と、抵抗1044の抵抗値との比率に応じた係数を乗じた波高値をもつ電圧信号を出力する。
【0067】
トランジスタ1043は、そのコレクタ側が内部駆動電圧Vccに接続されるとともに、そのエミッタ側が抵抗1047を介してグランドに接続される。そして、トランジスタ1043のゲートには、オペアンプ1041からの出力信号が供給される。したがって、トランジスタ1043は、一種の電流源として機能し、オペアンプ1041からの出力信号に応じた電流値を、内部駆動電圧Vccからグランドに向けて流す。すると、この電流によって、抵抗1047には、流れる電流に比例して電圧降下が生じ、ノード1049にはこの電圧降下に相当する電位が現れる。この電位が、点灯制御信号(パルス信号)として照明装置40へ与えられる。
【0068】
<C.露光期間に応じた点灯制御動作>
次に、カメラ20の露光期間の長さに応じた、照明装置40の点灯制御動作について説明する。
【0069】
図5は、本発明の実施の形態に係る照明装置40の点灯制御動作を説明するためのタイムチャートである。図6は、本発明の実施の形態に係るカメラ20の露光期間と照明装置40の特性との関係を示す図である。
【0070】
まず、図5(a)には、カメラ20の露光期間が相対的に長い場合の照明装置40の点灯状態を示す図である。本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、原則として、カメラ20の露光期間と同じ期間にわたって、照明装置40を点灯させる。すなわち、カメラ20の露光期間と照明装置40の点灯期間とは原則として一致するように制御される。但し、後述するように、原則としての点灯期間(カメラ20の露光期間)に対して、点灯ブロック毎に点灯する期間をより短くすることが可能である。そのため、LEDの点灯期間は、カメラ20の露光期間を超えない範囲で設定される。
【0071】
次に、図5(a)に示す露光期間より短い露光期間がカメラ20に設定された場合を考える。すなわち、撮像対象のワークの移動速度が速く、その移動速度に対応するために、カメラ20のシャッタースピードをより高めた場合を考える。
【0072】
図5(b)には、カメラ20の露光期間をより短く設定した場合に、照明装置40の発光強度を調整しなかった場合の例を示す。この場合には、カメラ20がワークを1回撮像する間に取込むことのできる光量が減少するので、カメラ20から出力される画像の輝度は相対的に低くなる。そのため、ワークを適切に撮像できない可能性がある。
【0073】
そこで、本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、カメラ20の露光期間に応じて、照明装置40の発光強度を調整する。すなわち、カメラ20の露光期間が相対的に短くなった場合(すなわち、シャッタースピードが相対的に高くなった場合)には、ストロボコントローラ10は、照明装置40の発光強度をより高める。言い換えれば、LEDを駆動するためのパルス信号は、カメラ20の露光期間が短いほどより高い値となるように波高値を決定する。
【0074】
図5(c)には、本実施の形態に係るストロボコントローラ10による発光強度の調整機能が適用されている例を示す。すなわち、カメラ20の露光期間が図5(a)に比較して短くなった場合には、照明装置40の点灯期間をその露光期間に対応させて短くするとともに、照明装置40の発光強度をより高める。これにより、カメラ20の露光期間が短くなった場合であっても、カメラ20に取込まれる光量の絶対値を確保する。そして、カメラ20で生成される画像内の明るさを維持する。
【0075】
原理的には、カメラ20の露光期間の長さに依存することなく、発光期間と発光強度との積がほぼ一定に維持されることが好ましい。
【0076】
本実施の形態に係るストロボコントローラ10では、露光期間が短くなるにつれて、発光強度(投光電流)をより大きくするように発光強度信号を生成する。原理的には、発光強度(投光電流)を露光期間に対して負の傾きを有するように決定することが好ましいが、実装の一例としては、しきい値となる露光期間(たとえば、1/5000[sec](200[μsec]))とこれに対応する発光強度(投光電流)を設定しておき、カメラ20に設定されている露光期間がこのしきい値より短い場合に、高速に移動するワークを撮像する必要があると判断し、その露光期間の長さに応じた発光強度に調整する。
【0077】
図6(a)には、本実施の形態に係るストロボコントローラ10からの発光強度信号によって照明装置40のLEDを流れる投光電流を実測した結果の一例を示す。図6(a)に示すように、カメラ20の露光期間が短くなるほど、より多くの投光電流が流れるように制御される。なお、図6(a)には、本実施の形態に従う発光強度の調整機能を無効化した場合の例(従来例)を比較のために示す。なお、しきい値となる露光期間(および従来例)における投光電流の大きさは、照明装置40を構成するLEDの連続定格電流に基づいて決定される。
【0078】
また、図6(b)には、図6(a)に示す本実施の形態および従来例の特性に対応して、実際にカメラ20を用いて測定を行った場合に得られた画像内の平均輝度を評価した結果を示す。図6(b)に示すように、本実施の形態に係るストロボコントローラ10によれば、従来例に比較して、カメラ20の露光期間が短くなった場合(すなわち、カメラ20のシャッタースピードが高くなった場合)であっても、撮像される画像内の輝度の落ち込みを少なくすることができることがわかる。
【0079】
図6(a)に示す投光電流の最大値は、ストロボコントローラ10の照明駆動用電源の供給能力(図3に示す照明用電源部114の能力)と、カメラ20の最速シャッタースピードとに応じて定められる。
【0080】
なお、図6に示す投光電流および平均輝度の特性は段階的に変化しているが、これは、ストロボコントローラ10の処理ロジックに起因するものであり、理想的には、しきい値となるシャッタースピードから最速のシャッタースピードの間で、投光電流が基準値から最大値まで比例的に増加するように設定される。但し、図6に示す実装例では、露光期間を10[μsec]単位で判断して、発光強度信号を生成しているので、各特性が10[μsec]で段階的に変化している。もちろん、露光期間をより短い単位で判断することで、発光強度信号を露光期間に比例して変化させることができる。
【0081】
<D.撮像例>
図7および図8は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10を用いて実際に撮像を行った場合に得られた撮像例を示す。
【0082】
図7には、カメラ20のシャッタースピードを1/40000[sec](露光期間:25[μsec])とした場合に得られた画像を比較して示す。図7(a)は、図6(a)の従来例と同様に、カメラ20のシャッタースピードとは連動せずに照明装置40の投光電流を固定とした場合の例であり、図7(b)は、図6(a)の本実施形態と同様に、カメラ20のシャッタースピードに連動して照明装置40の投光電流を変更した場合の例である。
【0083】
図8には、カメラ20のシャッタースピードを1/20000[sec](露光期間:50[μsec])とした場合に得られた画像を比較して示す。図8(a)は、図6(a)の従来例と同様に、カメラ20のシャッタースピードとは連動せずに照明装置40の投光電流を固定とした場合の例であり、図8(b)は、図6(a)の本実施形態と同様に、カメラ20のシャッタースピードに連動して照明装置40の投光電流を変更した場合の例である。
【0084】
図7および図8に示すように、従来例では、カメラ20のシャッタースピードが速くなると取得される画像内の輝度はいずれも低下したものとなり、被写体を適切に撮像できていないことがわかる。これに対して、本実施の形態に係るストロボコントローラ10によれば、カメラ20のシャッタースピードが速くなっても画像内の輝度が低下することを抑制できていることがわかる。
【0085】
<E.照明装置の構成>
以下、本実施の形態に係るストロボコントローラ10に接続される照明装置40の詳細な構成について説明する。
(1.直方体形状)
図9は、本発明の実施の形態に係る照明装置の一例を示す外観図である。図9を参照して、典型的な照明装置として、直方体形状の照明装置40Aについて説明する。
【0086】
照明装置40Aは、直方体の筐体の一面を発光面とするものであり、この発光面に、複数のLED406が整列配置される。図9に示す例では、1列あたり12個のLED406が3列にわたって配置される。さらに、この合計36個のLED406は、4つの点灯ブロック0〜3に区分される。すなわち、3個×3個の単位を1つの点灯ブロックとして、紙面左側から順に合計4つの点灯ブロックが構成される。
【0087】
上述したように、本実施の形態に係るストロボコントローラ10では、投光電流の大きさは、点灯ブロック間で共通に設定されるので、共通のストロボコントローラ10に接続されるLEDの間では、発光強度が実質的に同一となるように制御される。その上で、点灯ブロックの単位で、点灯タイミングを調整することで、カメラ20の撮像によって取込まれる光量を調整する。
(2.リング形状)
図10は、本発明の実施の形態に係る照明装置の別の一例を示す外観図である。図10を参照して、別の照明装置として、リング形状の照明装置40Bについて説明する。
【0088】
照明装置40Bは、その中心部に円筒状のカメラ20が貫通するように装着され、カメラ20の視野を均等に照明するように構成される。この照明装置40Bは、その発光面において、複数のLED406が同心円状に配置される。図10に示す例では、4列にわたってLED406が配置されており、中心軸に近い方から、点灯ブロック0〜3に区分される。
(3.同軸落射形式)
図11は、本発明の実施の形態に係る照明装置のさらに別の一例を示す外観図である。図12は、図11に示す照明装置の断面構造を示す図である。
【0089】
図11に示す照明装置40Cは、直方体の筐体420の一部に投光部422が設けられており、筐体420の内部に配置されたLEDが発生する照明光が投光部422を介して、被写体に照射される。
【0090】
より具体的には、図12(a)に示すように、投光部422の開口面に対して実質的に垂直な平面に沿って、複数のLED406が整列配置されている。そして、LED406から紙面横方向に照射された照明光の方向を変換し、投光部422から射出させるために、ハーフミラー424が設けられている。
【0091】
なお、照明装置40Cにおいては、筐体420において投光部422と対向する面において、開口426が設けられており、この開口426と対応付けてカメラ20が配置されている。照明装置40Cからワークに照射された光のうち、ワークから反射された光は、紙面上側に伝搬して、投光部422、ハーフミラー424、および、開口426を通過して、カメラ20に入射する。すなわち、照明装置40Cにおいては、LED406からの照明光が伝搬する光軸と、ワークで生じた反射光の伝搬する光軸とが同一の光軸(紙面上下方向)となるように構成される。
【0092】
このような構成を採用することで、カメラ20の視野内の輝度を均一化できるとともに、省スペース化も実現できる。
【0093】
一例として、図12(b)に示すような範囲が点灯ブロック0〜3として設定される。すなわち、図12(a)において、紙面奥側に並ぶ1列または2列を点灯ブロックの単位とされる。なお、点灯ブロックは、任意に区分することができる。
【0094】
また、照明装置40Cは、コネクタ428でストロボコントローラ10と接続され、照明用駆動電源および点灯制御信号が供給される。
【0095】
<F.露光期間に応じた点灯制御動作>
上述したように、本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、照明装置40を構成する点灯ブロック毎に、点灯タイミング信号を生成する。この点灯タイミング信号は、カメラ20の露光期間の長さを基準として、予め設定された点灯比率に基づいて生成される。
【0096】
図13は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10に対して点灯ブロック毎に点灯タイミングを設定するためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。図14は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10を用いて点灯タイミング調整の一例を示すタイムチャートである。
【0097】
図13に示すユーザインターフェイス画面は、典型的には、カメラ20と接続される画像処理装置30において提供される。なお、設定を行うためのプログラムをパーソナルコンピュータ上で実行することで、図13に示すようなユーザインターフェイス画面を提供し、ユーザがこのユーザインターフェイス画面を用いて設定した内容を、パーソナルコンピュータからストロボコントローラ10に対して転送するようにしてもよい。
【0098】
図13を参照して、ユーザインターフェイス画面300は、点灯ブロックの配列表示部302と、点灯ブロック毎の点灯比率を設定するための設定入力部312とを含む。配列表示部302には、接続されている照明装置40のおける点灯ブロックの配列が可視化される。なお、照明装置40がその向きを回転して配置される場合でも対応できるように、可視化される配列パターンを回転表示するためのボタン304も用意される。
【0099】
設定入力部312においては、点灯ブロック毎(図13に示す例では、部位0〜3が点灯ブロック0〜3を示す)に対応付けて、点灯比率を入力できるようになっている。図13に示す例では、カメラ20の露光期間を基準として、256階調(0〜255)で点灯比率を設定できるようになっている。
【0100】
より具体的には、ユーザは設定入力部312において、目的の点灯ブロックを選択し、続いて、数値入力ボックス316またはスライドバー318を操作して、点灯比率を入力する。
【0101】
なお、ユーザインターフェイス画面300においては、対象のワークの種類に応じて、照明装置40の各点灯ブロックの点灯パターンを複数用意できるように、パターン選択ボタン314が用意されている。このパターン選択ボタン314を選択すると、図示しないプルダウンメニューまたはポップアップメニューが表示され、新規作成または変更されるパターンを呼び出すことができる。
【0102】
このように、点灯ブロック毎に点灯比率を設定することで、図14に示すような点灯パターンが実現される。すなわち、CPU100は、カメラ20の露光期間に対して、点灯ブロックの別に指示される点灯比率を乗じた期間を、当該点灯ブロックの点灯期間として決定する。
【0103】
図14を参照して、たとえば、時刻t1から開始されるカメラ20による撮像においては、露光期間がT1に設定されており、この露光期間T1を基準として、各点灯ブロックの点灯期間(点灯開始時刻および点灯終了時刻)が決定される。図14には、図13に示すユーザインターフェイス画面における点灯比率の設定値に対応したタイムチャートが示されている。
【0104】
すなわち、点灯ブロック0に対しては、点灯比率が「255」、すなわち100[%]が設定されるため、カメラ20の露光期間と同じ期間が点灯期間となる。一方、点灯ブロック1に対しては、点灯比率が「64」、すなわち25[%]が設定されているため、カメラ20の露光期間のうち、開始から25[%]の期間が点灯期間となる。点灯ブロック2および3についても同様に、それぞれ設定されている点灯比率に応じて、点灯期間が設定される。
【0105】
次に、時刻t2から開始されるカメラ20による撮像において、露光期間がT1からT2に変更されたとする。この場合、点灯ブロック0〜3のそれぞれの点灯期間は、カメラ20の露光期間に比例して変動する。すなわち、点灯ブロック0〜3に設定されているそれぞれの点灯比率が同じであるため、基準となるカメラ20の露光期間の変動に伴って、実際の点灯期間も変動する。
【0106】
さらに、時刻t3から開始されるカメラ20による撮像の前に、ユーザが、点灯ブロック0の点灯比率を255から127、すなわち、50[%]に低減したとする。すると、点灯ブロック0の点灯期間は、カメラ20の露光期間の50[%]に相当する期間に変更される。
【0107】
このように、同一の照明装置40を構成する点灯ブロックの間で、点灯期間を自在に変更できる。このような構成を採用することで、ワークの形状などに応じて、適切な輝度を確保することができる。すなわち、カメラ20の視野に入射する光量のバランスを調整することで、カメラ20から出力される画像内の輝度ムラなどを低減できる。
【0108】
<G.実験例>
図15は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10を用いて画像内の輝度分布を調整した結果を示す図である。
【0109】
図15に示す結果は、本実施の形態に係る視覚センサシステム1を用いて白地の紙を撮像した場合に得られた画像に対して、輝度分布を測定したものである。このとき、照明装置40は、図9に示す直方体形状の照明装置40Aを用いた。なお、図15には、輝度の階調値を256段階(0〜255)とした場合の例を示す。
【0110】
図15(a)は、点灯ブロック0〜3の点灯比率をいずれも「128」(50%)に設定した場合の結果を示す。すなわち、図15(a)に示す輝度分布は、すべての点灯ブロックから同一の光量の照明光を照射した場合の測定結果である。この図15(a)に示す例では、照明装置40の長軸側の端部において、輝度が低下していることがわかる。
【0111】
次に、図15(b)には、両端に位置する点灯ブロック0および点灯ブロック3についての点灯比率を「128」から「183」に変更した場合の結果を示す。この図15(b)に示す輝度分布によれば、相対的に輝度分布の高い部分が広がっており、端部における輝度の低下が抑制されていることがわかる。
【0112】
このように、同一の照明装置の中でも、点灯ブロック毎に点灯期間を調整することで、ワークをより均一に照明することができる。
【0113】
<H.制御フロー>
以下、本実施の形態に係るストロボコントローラ10における処理手順について説明する。
【0114】
図16は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10において実行される処理手順を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、CPU100がプログラムに従って処理を行うことで実現される。
【0115】
図16を参照して、ステップS100において、CPU100は、カメラ20に設定されている露光期間(シャッタースピード)を取得する。続くステップS102において、CPU100は、取得した露光期間がしきい値より短いか否かを判断する。取得した露光期間がしきい値より短い場合には、処理はステップS104へ進み、取得した露光期間がしきい値より短くない場合には、処理はステップS108へ進む。
【0116】
ステップS104において、CPU100は、取得した露光期間に対応する投光電流の大きさを取得する。なお、露光期間の長さと投光電流の大きさとの間の関係を規定したテーブルを予め用意しておき、CPU100は、このテーブルを参照することで、適切な投光電流の大きさを取得する。続くステップS106において、CPU100は、取得した大きさの投光電流が照明装置40において生じるように、発光強度信号を出力する。そして、処理は、ステップS110へ進む。
【0117】
これに対して、ステップS108において、CPU100は、予め定めされている標準値の投光電流が照明装置40において生じるように、発光強度信号を出力する。そして、処理は、ステップS110へ進む。
【0118】
その後、ステップS110において、CPU100は、照明装置40に含まれる点灯ブロックに対して設定されているそれぞれの点灯比率を取得する。続くステップS112において、CPU100は、カメラ20から露光開始タイミングが通知されたか否かを判断する。カメラ20から露光開始タイミングが通知されていない場合(ステップS112においてNOの場合)には、ステップS100以下の処理が繰返される。
【0119】
これに対して、カメラ20から露光開始タイミングが通知された場合(ステップS112においてYESの場合)には、CPU100は、ステップS120.1〜S120.Nの処理を実行する。なお、ステップS120.1〜S120.N以下の処理は並列的に実行される。
【0120】
ステップS120.1において、CPU100は、1番目の点灯タイミング信号(点灯タイミング信号1)をHIレベルに活性化する。続くステップS122.1において、CPU100は、カメラ20に設定されている露光期間と、1番目の点灯タイミング信号について設定されている点灯比率との積を算出して、1番目の点灯タイミング信号についての点灯期間を算出する。さらに続くステップS124.1において、1番目の点灯タイミング信号をHIレベルに活性化してから、ステップS122.1において算出した点灯期間が経過したか否かを判断する。
【0121】
1番目の点灯タイミング信号をHIレベルに活性化してから、ステップS122.1において算出した点灯期間が経過していない場合(ステップS124.1においてNOの場合)には、ステップS124.1の処理が繰返される。これに対して、ステップS122.1において算出した点灯期間が経過した場合(ステップS124.1においてYESの場合)には、処理はステップS126.1へ進む。
【0122】
ステップS126.1において、CPU100は、1番目の点灯タイミング信号(点灯タイミング信号1)をLOレベルに非活性化する。その後、処理はステップS130に進む。
【0123】
上述のステップS120.1〜S126.1での処理と同様に、ステップS120.2〜S126.2,・・・,ステップS120.N〜S126.Nの処理が並列的に実行される。
【0124】
その後、ステップS130において、CPU100は、カメラ20からの露光開始タイミングが通知されてから、設定されている露光期間が経過したか否かを判断する。カメラ20からの露光開始タイミングが通知されてから、設定されている露光期間が経過していない場合(ステップS130においてNOの場合)には、ステップS130の処理が繰返される。
【0125】
これに対して、カメラ20からの露光開始タイミングが通知されてから、設定されている露光期間が経過した場合(ステップS130においてYESの場合)には、処理は、ステップS100へリターンされる。
【0126】
上述の処理は、ストロボコントローラ10に電源が供給されている期間の間、繰返される。
【0127】
なお、上述の処理手順において、露光期間の長さと投光電流の大きさとの関係を規定したテーブルを用いたが、露光期間の長さと発光強度信号の波高値との関係を規定したテーブルを用いることにより、ステップS104とステップS106を1つのステップにまとめてもよい。
【0128】
<I.作用・効果>
本実施の形態によれば、カメラ20の露光時間が短くなった場合(シャッタースピードが速くなった場合)には、発光強度を高めて、被写体により多くの照明光を照射する。そのため、被写体であるワークの移動速度が相対的に速くなった場合であっても、画像内での被写体のぶれがなく、かつ、取得された画像内の輝度を適切なレベルに維持することができる。そのため、たとえば、ライン速度が相対的に速い場合であっても計測処理を確実に行うことができる。
【0129】
また、本実施の形態によれば、カメラ20の露光時間が予め定められたしきい値を超えた場合に限って、LEDへ供給する投光電流の大きさを標準値(典型的には、連続定格電流値)より大きくする。そのため、LEDの発熱による熱劣化を極力低減することができる。
【0130】
また、本実施の形態によれば、照明装置40を複数の点灯ブロックに区分しておき、点灯ブロックの別に点灯期間(カメラ20の露光期間に対する相対的な点灯比率)を制御できるので、撮像された画像内の輝度を均一化できるように、被写体に対して照射する照明光のバランスを最適化できる。
【0131】
また、本実施の形態によれば、CPU100から、各LEDの発光強度を示す発光強度信号(カメラ20の露光期間に連動)を出力し、この発光強度信号(波高値)を共通に用いて、それぞれの点灯ブロックを駆動するための点灯制御信号を生成する。そのため、多数の点灯ブロックが存在しても、より簡素化された回路構成で、発光量を制御することができる。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
1 視覚センサシステム、10 ストロボコントローラ、20 カメラ、40,40A,40B,40C 照明装置、30 画像処理装置、100 CPU、102 デジタル/アナログ変換器(DAC)、104 アナログスケール変換器、106 インターフェイス部(I/F)、110 パルス変調スイッチング回路、114 照明用電源部、116 内部回路駆動用電源部、401,402,411,412,1043,1111,1112,1113,1114 トランジスタ、404,405,414,415 制限抵抗、407,417 ダイオード、420 筐体、422 投光部、424 ハーフミラー、426 開口、428 コネクタ、1041 オペアンプ、1044,1045,1046,1047,1044,1044,1045,1046,1045,1046,1047 抵抗。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を用いた照明装置を制御するための照明制御装置およびそれを含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)分野などにおいては、各種の画像処理技術が利用されている。典型的には、検査対象物を撮像して得られた画像データに基づいて、検査対象物に印字されている文字を認識したり、検査対象物の表面におけるキズの有無などを検査したりする画像処理技術が広く実用化されている。
【0003】
このような画像処理技術を用いて検査対象物に対する各種計測処理を行う場合には、検査対象物を表す画像を適切に取得する必要がある。そのため、撮像時に適切な照度を確保するために、検査対象物を照らすための照明装置が設けられることが多い。このような照明装置としては、低消費電力でかつ長寿命な発光素子(LED:Light Emitting Diode)を用いたものが実用化されている。
【0004】
このような発光素子を用いた照明装置に関する技術として、たとえば、特開2006−019901号公報(特許文献1)には、照明レベルを制御し、画面全体の明るさを調整するのではなく、画面内での照明均一性を確保することが可能な照明制御機能を備えた視覚センサが開示されている。より具体的には、特許文献1には、照明強度を低下させるために、露光期間を固定したまま発光期間だけを短くし、これに対して、照明強度を強めるために、露光期間を固定したまま発光期間を長くすることで、個々の照明器の照明強度をグループ単位で増減することにより、正方形視野内における上下左右方向の濃度均一性を細かく調整する方法が開示されている。
【0005】
また、特開2003−243713号公報(特許文献2)には、LEDが早期に熱劣化することを防止できるLED照明用電源が開示されている。より具体的には、特許文献2には、LEDを点灯させるためのパルス制御回路にデューティ比を制限する回路を設けることにより、作動時に、LEDが熱劣化しない程度の光量までしか点灯できないようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−019901号公報
【特許文献2】特開2003−243713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際の生産ラインにおいては、画像内での被写体のぶれを抑えるために、検査対象物の移動速度が速いほど撮像装置のシャッタースピードを速くする必要がある。シャッタースピードが速くなるほど、撮像装置の露光期間が短くなるので、1回の撮像において取込まれる光量が少なくなる。すなわち、撮像装置が検査対象物を撮像することで取得される画像内の輝度レベルが小さくなる。そのため、シャッタースピードが速くなるほど、照明装置からの光量を増加させる必要がある。
【0008】
このように、撮像装置の露光期間の長さが変更された場合には、当該撮像装置の視野を照明するための照明装置の光量についても最適化する必要がある。しかしながら、上述の特許文献1および2においては、撮像装置の露光期間の長さと連動して光量を変更するという技術思想は示されていない。そのため、撮像装置の露光期間の長さを変更した場合には、照明装置からの光量についてもユーザが調整する必要があった。
【0009】
そこで、本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、その目的は、撮像装置の露光期間の長さを変更した場合であっても、撮像装置によって取得される画像内の輝度レベルを安定化することのできる照明制御装置およびそれを含む照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面によれば、発光素子を含み、撮像装置と連動して動作する照明装置を制御するための照明制御装置を提供する。本照明制御装置は、撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、露光開始タイミングに応じて、照明装置の発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを含む。第1の決定手段は、露光期間を超えない範囲で点灯期間を決定し、第2の決定手段は、露光期間が短いほどより高い値となるように波高値を決定する。
【0011】
好ましくは、照明装置は、各々が所定数の発光素子の群である点灯ブロックを複数含み、第1の決定手段は、点灯ブロックの別に、点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、生成手段は、第2の決定手段によって決定された波高値を共通に用いて、第1の決定手段によって点灯ブロックの別に決定される、点灯タイミングおよび点灯期間から、点灯ブロックの別にパルス信号を生成する。
【0012】
さらに好ましくは、第1の決定手段は、露光期間に対して、点灯ブロックの別に指示される点灯比率を乗じた期間を、当該点灯ブロックの点灯期間として決定する。
【0013】
あるいは好ましくは、生成手段は、第2の決定手段と各点灯ブロックとの間に配置されたスイッチング手段を含み、スイッチング手段は、第2の決定手段によって決定された波高値を有する電圧信号を、第1の決定手段によって決定された発光素子の点灯期間にわたって、対応する点灯ブロックへ伝達する。
【0014】
好ましくは、本照明制御装置は、照明装置に対して、パルス信号とは独立して、発光素子を駆動するための定電圧の電源を供給する電源供給手段をさらに含む。
【0015】
この発明の別の局面に従えば、撮像装置と連動して動作する照明装置を提供する。本照明装置は、照明光を生成するための発光素子と、撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、露光開始タイミングに応じて、発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを含む。第1の決定手段は、露光期間を超えない範囲で点灯期間を決定し、第2の決定手段は、露光期間が短いほどより高い値となるように波高値を決定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮像装置の露光期間の長さを変更した場合であっても、撮像装置によって取得される画像内の輝度レベルを安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る視覚センサシステムの外観を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る視覚センサシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るストロボコントローラを中心とした機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るストロボコントローラおよび照明装置の回路構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る照明装置の点灯制御動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るカメラの露光期間と照明装置の特性との関係を示す図である。
【図7】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて実際に撮像を行った場合に得られた撮像例(その1)を示す。
【図8】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて実際に撮像を行った場合に得られた撮像例(その2)を示す。
【図9】本発明の実施の形態に係る照明装置の一例を示す外観図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る照明装置の別の一例を示す外観図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る照明装置のさらに別の一例を示す外観図である。
【図12】図11に示す照明装置の断面構造を示す図である。
【図13】本実施の形態に係るストロボコントローラに対して点灯ブロック毎に点灯タイミングを設定するためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図14】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて点灯タイミング調整の一例を示すタイムチャートである。
【図15】本実施の形態に係るストロボコントローラを用いて画像内の輝度分布を調整した結果を示す図である。
【図16】本実施の形態に係るストロボコントローラにおいて実行される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<A.全体構成>
本実施の形態に係る視覚センサシステム1は、生産ラインなどに組込まれて検査対象物(以下、「ワーク」とも称す。)を撮像して得られる画像に基づいて、文字認識やキズ検査といった処理(以下、「計測処理」とも称す。)を実行する。すなわち、本実施の形態に係る視覚センサシステム1は、生産ライン上を搬送されるワーク(移動体)を適切なタイミングで撮像して得られる画像に対して、計測処理を実行する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る視覚センサシステム1の外観を示す模式図である。図2は、本発明の実施の形態に係る視覚センサシステム1の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1を参照して、視覚センサシステム1は、照明制御装置の典型例であるストロボコントローラ10と、撮像装置の典型例であるカメラ20と、照明装置40−1,40−2(以下、「照明装置40」とも総称する。)とを含む。
【0022】
カメラ20は、典型的には、その視野がワークの搬送経路上となるように配置される。カメラ20は、レンズなどの光学系に加えて、CCD(Coupled Charged Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった撮像素子を含んで構成される。なお、搬送速度が相対的に高いワークに対しても計測処理を行えるように、カメラ20は、電子式のシャッタ機構を備えるものを採用することが好ましい。一例として、本実施の形態に従うカメラ20のシャッタースピードは、最速で1/50000[sec]であるとする。
【0023】
このカメラ20は、生産ライン上に設けられたワーク検出センサによってワークがカメラ20の視野内に入ったことが検出されると撮像を行う。あるいは、カメラ20を用いて連続的に視野を撮像しておき、撮像される画像内にワークに相当する被写体が含まれる画像のみを選択的に抽出するようにしてもよい。
【0024】
照明装置40は、ワーク(カメラ20の視野範囲)に対して照明光を供給する照明光源である。この照明装置40は、ストロボコントローラ10からの制御に従って、撮像装置と連動して動作する。なお、図1には、一対の照明装置40−1および40−2を示すが、1つのカメラ20に対応付けて配置される照明装置40の数については、特に制限されず、適用先の生産ラインの状況などに応じて適切に設定される。
【0025】
本実施の形態に係る照明装置40は、発光体として、複数の発光素子(LED:Light Emitting Diode)を有する。図1に示す例では、複数のLEDが発光面に対して整列配置される形態を示す。さらに、照明装置40は、それを構成するLEDが複数の部分(点灯ブロック)に区分されており、各区分された点灯ブロック毎に点灯タイミングおよび発光強度を制御することが可能となっている。すなわち、点灯ブロックは、所定数の発光素子の群である。この点については、後に詳述する。
【0026】
ストロボコントローラ10は、カメラ20による撮像と同期して照明装置40を駆動する装置であり、少なくとも、照明装置40への電源供給機能、タイミング制御機能、および光量制御機能(調光機能)を有する。上述したように、基本的には、カメラ20は、所定のタイミングでワークを撮像するので、この撮像期間において、照明装置40からワーク(すなわち、カメラ20の視野範囲)に対して照明光を供給すればよい。そのため、ストロボコントローラ10は、照明装置40をパルス的に駆動する。これは、照明装置40を構成する発光体の寿命が有限であることに対しても有効である。
【0027】
図2を参照して、視覚センサシステム1は、カメラ20の撮像により取得された画像に対して計測処理を実行するための画像処理装置30をさらに含む。この画像処理装置30は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)、記憶部である揮発性メモリやハードディスク、および、カメラインターフェイスなどを有するコンピュータである。なお、このような画像処理装置30のハードウェア構成や画像処理装置30により提供される各種計測処理については、公知であるので、ここでは詳細な説明は行わない。
【0028】
図2に示すように、視覚センサシステム1では、画像処理装置30およびカメラ20が接続されるとともに、カメラ20およびストロボコントローラ10が接続される。すなわち、ストロボコントローラ10は、カメラ20を介して、画像処理装置30と間接的に接続される。なお、ストロボコントローラ10と画像処理装置30とを直接的に接続してもよい。
【0029】
カメラ20からストロボコントローラ10に対して、照明装置40を駆動するための電源が供給されるとともに、カメラ20の露光期間(露光開始タイミングおよびシャッタースピード)ならびに照明装置40の点灯ブロック毎の発光強度が伝送される。この点灯ブロック毎の発光強度は、基本的には、同一の照明装置40において点灯ブロック間の相対的な発光強度を調整するための設定値である。後述するように、ワークに対して均一の照度が得られるように、点灯ブロック間の相対的な光量が調整される。
【0030】
ストロボコントローラ10は、照明装置40の各々に対して、照明駆動用電源および点灯制御信号を供給する。この照明駆動用電源は、照明装置40を構成する各LEDを駆動するための電源である。点灯制御信号は、各照明装置40を構成する点灯ブロック毎に与えられ、各点灯ブロックに含まれるLEDの発光強度を調整するために用いられる。
【0031】
図2には、各々がN個の点灯ブロックからなる照明装置40−1および40−2を図示する。この点灯ブロックの各々に含まれるLEDは、対応する点灯制御信号の大きさに応じた強度で発光することになる。
【0032】
また、点灯制御信号は、各点灯ブロックに含まれるLEDの点灯タイミングを制御するためにも用いられる。基本的には、各点灯ブロックは、カメラ20の露光期間と同期して、その露光期間の間、発光し続けるように制御される。但し、当該露光期間の長さを基準として、各点灯ブロックの点灯比率を変更することで、同一の照明装置40における点灯ブロック間の相対的な光量(カメラ20による1回の撮像期間において照射される照明光の総量)が調整可能となっている。
【0033】
すなわち、本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、それに接続されている照明装置40を構成する各LEDの発光強度(単位時間あたりの光量)を、カメラ20の露光期間の長さに応じて共通的に(一括して)調整する一方で、各点灯ブロックにおける点灯期間を調整することで、各点灯ブロックから照射される光量が最適化される。
【0034】
したがって、本実施の形態に係るストロボコントローラ10によれば、照明装置40を構成する任意の点灯ブロックを任意の光量(明るさ)で発光させることができる。そのため、適用先の生産ラインなどに応じて、撮像の自由度を高めることができる。
【0035】
なお、図2には、1つのストロボコントローラ10が2つの照明装置40を駆動および制御する構成を例示するが、より多くの照明装置40を駆動および制御するようにしてもよい。
【0036】
<B.照明制御装置および照明装置の構成>
図3は、本発明の実施の形態に係るストロボコントローラ10を中心とした機能ブロック図である。図4は、本発明の実施の形態に係るストロボコントローラ10および照明装置40の回路構成の一例を示す図である。
【0037】
図3を参照して、ストロボコントローラ10は、カメラ20と、照明装置40−1,40−2との間に配置され、照明装置40−1,40−2に対して、カメラ20での露光開始タイミングおよびシャッタースピードに応じた点灯制御信号を与える。
【0038】
具体的には、ストロボコントローラ10は、CPU100と、デジタル/アナログ変換器(DAC:Digital Analog Convert)102と、アナログスケール変換器104と、インターフェイス部(I/F)106と、パルス変調スイッチング回路110−1,110−2(以下、「パルス変調スイッチング回路110」とも総称する。)と、照明用電源部114と、内部回路駆動用電源部116とを含む。
【0039】
CPU100は、予め格納されたプログラムに従って、ストロボコントローラ10の全体制御を司る演算処理部である。CPU100は、インターフェイス部106を介して、カメラ20から、カメラ20に設定されているシャッタースピード(露光期間)、点灯ブロック毎の発光強度、露光開始タイミングなどの情報を受取る。なお、カメラ20のシャッタースピードおよび点灯ブロック毎の発光強度については、その伝送速度の遅れがあってもそれほど影響がないので、汎用的なシリアルまたはパラレル通信が用いられてもよい。これに対して、露光開始タイミングについては、カメラ20の露光タイミングと照明装置40の点灯タイミングとを一致させる必要があるので、パルス信号(電圧信号)を用いて伝送される。
【0040】
CPU100は、カメラ20からの情報に基づいて、パルス変調スイッチング回路110−1,110−2に対して、点灯タイミング信号を与える。この点灯タイミング信号は、パルス変調スイッチング回路110を構成する点灯ブロックの別に生成される(この例では、各照明装置についてN個)。また、CPU100は、照明装置40を構成するLEDの発光強度を調整するための発光強度信号をDAC102へ与える。
【0041】
すなわち、CPU100は、カメラ20の露光開始タイミングに応じて、照明装置40のLEDの点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、それを示すパルス信号として、点灯タイミング信号を生成する。また、CPU100は、照明装置40のLEDの発光させるべき強度に応じた波高値を決定し、それを示す発光強度信号を生成する。
【0042】
さらに、CPU100は、照明用電源部114に対して、制御信号を与える。
DAC102は、CPU100から受けた発光強度信号(デジタル信号)を電圧信号(アナログ信号)に変換して、アナログスケール変換器104へ出力する。アナログスケール変換器104は、DAC102から受けた電圧信号を適切なレベルに変換した上で、パルス変調スイッチング回路110−1,110−2へ与える。
【0043】
パルス変調スイッチング回路110−1は、CPU100から受けた点灯タイミング信号と、アナログスケール変換器104から受けた発光強度信号(スケール変換後の電圧信号)とに応じて、照明装置40−1を構成するそれぞれの点灯ブロックの別に点灯制御信号(典型的には、パルス信号)を出力する。同様に、パルス変調スイッチング回路110−2は、CPU100から受けた点灯タイミング信号と、アナログスケール変換器104から受けた発光強度信号とに応じて、照明装置40−2を構成するそれぞれの点灯ブロックの別に点灯制御信号を出力する。
【0044】
すなわち、点灯タイミング信号は、点灯ブロック毎のLEDの点灯期間を定めるとともに、発光強度信号は、照明装置40を構成するLEDの発光強度(LEDへ供給される駆動電流の大きさ)を定める。
【0045】
照明用電源部114は、カメラ20から供給される電源を受けて、CPU100からの制御信号に従って、照明装置40のLEDを駆動するための照明駆動用電源を生成する。一例として、照明用電源部114は、DC48Vの電源を供給する。すなわち、照明用電源部114は、照明装置40に対して、点灯制御信号とは独立して、LEDを駆動するための定電圧の電源を供給する電源供給手段として機能する。
【0046】
内部回路駆動用電源部116は、後述する電気回路を駆動するための駆動用電源(後述する内部駆動電圧Vcc)を供給する。
【0047】
次に、図4を参照して、より詳細な回路構成について説明する。
図4を参照して、照明装置40は、複数の点灯ブロックを有しており、各点灯ブロックは、直列接続された複数のLEDを含む。なお、それぞれの点灯ブロックに対して、ストロボコントローラ10から供給される照明駆動電圧Vddが共通的に供給される。
【0048】
より具体的には、点灯ブロック1は、照明駆動電圧Vddとグランドとの間に直列接続された、逆流防止用のダイオード407と、トランジスタ401と、制限抵抗404とを含む。さらに、点灯ブロック1は、ダイオード407のカソード側のノード408とグランドとの間に直列接続された、複数のLED406と、トランジスタ402と、制限抵抗405とを含む。
【0049】
トランジスタ401とトランジスタ402とは、いわゆるダーリントン接続されており、トランジスタ401のベースに供給される点灯制御信号(パルス信号)に応じた電流値をもつ投光電流をLED406に供給する。より具体的な回路動作としては、トランジスタ401のベースにパルス信号が与えられると、トランジスタ401が活性化して導通状態となる。すると、照明駆動電圧Vddからグランドに向けて、ダイオード407、トランジスタ401、制限抵抗404の順に電流が流れる。すると、ノード403では、この電流によって制限抵抗404に生じる電圧降下分だけ、グランドに対する電位が上昇する。このノード403の電位上昇に伴って、トランジスタ402が活性化して導通状態となる。すると、ノード408からグランドに向けて、LED406、トランジスタ402、制限抵抗405の順に投光電流が流れる。
【0050】
このとき、トランジスタ401のベースに供給されるパルス信号の波高値(電圧値)に応じて、エミッタ−コレクタ間に流れる電流の大きさが調整される。この電流の調整によって、トランジスタ402のベースに供給される電圧値が間接的に調整される。このトランジスタ402のベースに供給される電圧値に応じて、最終的に投光電流が調整される。
【0051】
このように、ストロボコントローラ10から照明装置40へ供給される点灯制御信号(パルス信号)の波高値を変更することで、LEDに供給される投光電流(すなわち、発光強度)を調整することができる。
【0052】
また、点灯ブロック2は、点灯ブロック1と同様に、照明駆動電圧Vddとグランドとの間に直列接続された、逆流防止用のダイオード417と、トランジスタ411と、制限抵抗414とを含む。また、点灯ブロック2は、ダイオード417のカソード側のノード418とグランドとの間に直列接続された、複数のLED416と、トランジスタ412と、制限抵抗415とを含む。
【0053】
点灯ブロック2の回路動作については、点灯ブロック1と同様である。さらに、照明装置40を構成する他の点灯ブロックの回路構成および回路動作についても、基本的には、点灯ブロック1および2と同様である。
【0054】
なお、図4に示すような、ダーリントン接続を採用することで、ストロボコントローラ10からの点灯制御信号に対する入力インピーダンスを大きくすることができる。しかしながら、上述のようなダーリントン接続に限られず、ストロボコントローラ10からの点灯制御信号(パルス信号)の波高値に応じて、投光電流を調整できれば、公知の任意の回路構成を採用することができる。
【0055】
このように、本実施の形態に従う照明装置40は、投光電流を直接的に調整できるので、駆動電圧を調整する必要がなく、より簡単な回路構成で、LEDの発光強度を制御することができる。
【0056】
パルス変調スイッチング回路110の各々は、接続される照明装置40の点灯ブロックの別にスイッチング回路を含む。すなわち、図4に示すパルス変調スイッチング回路110は、照明装置40−1の点灯ブロック1に対応付けて、トランジスタ1111およびトランジスタ1112とからなるスイッチング回路を有する。このスイッチング回路は、アナログスケール変換器104から出力される発光強度信号(CPU100が決定したLEDの発光強度に応じた波高値を有する電圧信号)を、対応する点灯タイミング信号1がHIレベル(ON)である期間(CPU100が決定したLEDの点灯期間)の間、照明装置40−1の点灯ブロック1へ伝達する。
【0057】
より具体的には、トランジスタ1111は、アナログスケール変換器104の出力端と、照明装置40−1の点灯ブロック1を構成するトランジスタ401のゲートとの間に直列接続される。また、トランジスタ1111のゲートは、トランジスタ1112を介してグランドに接続される。さらに、トランジスタ1112のゲートには、CPU100からの点灯タイミング信号1が入力される。
【0058】
CPU100からの点灯タイミング信号1がHIレベルに駆動されると、トランジスタ1112が活性化して導通状態となる。トランジスタ1111は、pチャネルのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、トランジスタ1112が非活性状態では、そのゲートの電位は浮動電位であるが、トランジスタ1112が活性状態になるとそのゲートはグランドと電気的に接続される。すると、トランジスタ1111は、活性化して導通状態となる。そのため、トランジスタ1111のソースとドレインとの間が電気的に接続されて、アナログスケール変換器104からの出力信号がトランジスタ401のゲートへ伝達される。
【0059】
同様に、パルス変調スイッチング回路110−2は、照明装置40−1の点灯ブロック2に対応付けて、トランジスタ1113およびトランジスタ1114とからなるスイッチング回路を有する。このスイッチング回路についても、上述と同様の回路動作を行って、アナログスケール変換器104から出力される発光強度信号を、対応する点灯タイミング信号2がHIレベル(ON)である期間の間、照明装置40−1の点灯ブロック2へ供給する。
【0060】
このように、パルス変調スイッチング回路110は、CPU100から出力される点灯ブロック毎の点灯タイミング信号と、CPU100から出力される発光強度信号(パルス波高値)とから、照明装置40の各点灯ブロックに含まれるLEDを駆動するための信号を生成する。すなわち、パルス変調スイッチング回路110は、CPU100が決定した点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、CPU100が決定した波高値を有する、LEDを駆動するためのパルス信号を生成する。
【0061】
言い換えれば、パルス変調スイッチング回路110は、CPU100が決定する発光強度信号を共通に用いて、CPU100が点灯ブロックの別に決定する、点灯タイミングおよび点灯期間を示す点灯タイミング信号から、点灯ブロックの別に点灯制御信号(パルス信号)を生成する。
【0062】
CPU100は、カメラ20の露光期間に応じて、出力する発光強度信号のレベルを変更する。すなわち、CPU100は、カメラ20の露光期間が短くなるほど、より発光強度信号のレベルを高くし、一方、カメラ20の露光期間が長くなるほど、より発光強度信号のレベルを低くする。すなわち、露光期間が短くなった場合であっても、カメラ20による1回の撮像において、その露光期間内に照明装置40から照射される照明光の光量(積算量)が維持されるように制御される。
【0063】
なお、本実施の形態に従うストロボコントローラ10においては、後述するように、露光期間のしきい値を設定しておき、カメラ20の露光期間がこのしきい値より短くなった場合に限って、より多くの投光電流をLEDに供給して、その発光強度をより高めるように波高値を決定する。この制御動作については、後述する。
【0064】
CPU100から出力される発光強度信号(デジタル信号)は、DAC102によってアナログ信号(電圧パルス信号)に変換され、アナログスケール変換器104へ伝達される。
【0065】
アナログスケール変換器104は、DAC102から入力される電圧パルス信号の波高値を照明装置40のトランジスタで許容されるベース電圧の範囲に適合するための回路である。より具体的には、アナログスケール変換器104は、オペアンプ1041と、トランジスタ1043と、抵抗1044,1045,1046,1047とを含む。
【0066】
オペアンプ1041の正相入力側にはDAC102の出力電圧(発光強度信号)が入力され、オペアンプ1041の逆相入力側は抵抗1044を介してグランドに接続される。このオペアンプ1041の逆相入力側と抵抗1044との間のノード1042には、抵抗1045の一端が接続される。すなわち、オペアンプの出力側は、抵抗1046および抵抗1045を介して、逆相入力側に帰還される。そのため、オペアンプ1041と、抵抗1044,1045,1046とは、DAC102からの入力信号に対して、いわゆる係数回路として機能し、抵抗1044と抵抗1045との直列抵抗値と、抵抗1044の抵抗値との比率に応じた係数を乗じた波高値をもつ電圧信号を出力する。
【0067】
トランジスタ1043は、そのコレクタ側が内部駆動電圧Vccに接続されるとともに、そのエミッタ側が抵抗1047を介してグランドに接続される。そして、トランジスタ1043のゲートには、オペアンプ1041からの出力信号が供給される。したがって、トランジスタ1043は、一種の電流源として機能し、オペアンプ1041からの出力信号に応じた電流値を、内部駆動電圧Vccからグランドに向けて流す。すると、この電流によって、抵抗1047には、流れる電流に比例して電圧降下が生じ、ノード1049にはこの電圧降下に相当する電位が現れる。この電位が、点灯制御信号(パルス信号)として照明装置40へ与えられる。
【0068】
<C.露光期間に応じた点灯制御動作>
次に、カメラ20の露光期間の長さに応じた、照明装置40の点灯制御動作について説明する。
【0069】
図5は、本発明の実施の形態に係る照明装置40の点灯制御動作を説明するためのタイムチャートである。図6は、本発明の実施の形態に係るカメラ20の露光期間と照明装置40の特性との関係を示す図である。
【0070】
まず、図5(a)には、カメラ20の露光期間が相対的に長い場合の照明装置40の点灯状態を示す図である。本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、原則として、カメラ20の露光期間と同じ期間にわたって、照明装置40を点灯させる。すなわち、カメラ20の露光期間と照明装置40の点灯期間とは原則として一致するように制御される。但し、後述するように、原則としての点灯期間(カメラ20の露光期間)に対して、点灯ブロック毎に点灯する期間をより短くすることが可能である。そのため、LEDの点灯期間は、カメラ20の露光期間を超えない範囲で設定される。
【0071】
次に、図5(a)に示す露光期間より短い露光期間がカメラ20に設定された場合を考える。すなわち、撮像対象のワークの移動速度が速く、その移動速度に対応するために、カメラ20のシャッタースピードをより高めた場合を考える。
【0072】
図5(b)には、カメラ20の露光期間をより短く設定した場合に、照明装置40の発光強度を調整しなかった場合の例を示す。この場合には、カメラ20がワークを1回撮像する間に取込むことのできる光量が減少するので、カメラ20から出力される画像の輝度は相対的に低くなる。そのため、ワークを適切に撮像できない可能性がある。
【0073】
そこで、本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、カメラ20の露光期間に応じて、照明装置40の発光強度を調整する。すなわち、カメラ20の露光期間が相対的に短くなった場合(すなわち、シャッタースピードが相対的に高くなった場合)には、ストロボコントローラ10は、照明装置40の発光強度をより高める。言い換えれば、LEDを駆動するためのパルス信号は、カメラ20の露光期間が短いほどより高い値となるように波高値を決定する。
【0074】
図5(c)には、本実施の形態に係るストロボコントローラ10による発光強度の調整機能が適用されている例を示す。すなわち、カメラ20の露光期間が図5(a)に比較して短くなった場合には、照明装置40の点灯期間をその露光期間に対応させて短くするとともに、照明装置40の発光強度をより高める。これにより、カメラ20の露光期間が短くなった場合であっても、カメラ20に取込まれる光量の絶対値を確保する。そして、カメラ20で生成される画像内の明るさを維持する。
【0075】
原理的には、カメラ20の露光期間の長さに依存することなく、発光期間と発光強度との積がほぼ一定に維持されることが好ましい。
【0076】
本実施の形態に係るストロボコントローラ10では、露光期間が短くなるにつれて、発光強度(投光電流)をより大きくするように発光強度信号を生成する。原理的には、発光強度(投光電流)を露光期間に対して負の傾きを有するように決定することが好ましいが、実装の一例としては、しきい値となる露光期間(たとえば、1/5000[sec](200[μsec]))とこれに対応する発光強度(投光電流)を設定しておき、カメラ20に設定されている露光期間がこのしきい値より短い場合に、高速に移動するワークを撮像する必要があると判断し、その露光期間の長さに応じた発光強度に調整する。
【0077】
図6(a)には、本実施の形態に係るストロボコントローラ10からの発光強度信号によって照明装置40のLEDを流れる投光電流を実測した結果の一例を示す。図6(a)に示すように、カメラ20の露光期間が短くなるほど、より多くの投光電流が流れるように制御される。なお、図6(a)には、本実施の形態に従う発光強度の調整機能を無効化した場合の例(従来例)を比較のために示す。なお、しきい値となる露光期間(および従来例)における投光電流の大きさは、照明装置40を構成するLEDの連続定格電流に基づいて決定される。
【0078】
また、図6(b)には、図6(a)に示す本実施の形態および従来例の特性に対応して、実際にカメラ20を用いて測定を行った場合に得られた画像内の平均輝度を評価した結果を示す。図6(b)に示すように、本実施の形態に係るストロボコントローラ10によれば、従来例に比較して、カメラ20の露光期間が短くなった場合(すなわち、カメラ20のシャッタースピードが高くなった場合)であっても、撮像される画像内の輝度の落ち込みを少なくすることができることがわかる。
【0079】
図6(a)に示す投光電流の最大値は、ストロボコントローラ10の照明駆動用電源の供給能力(図3に示す照明用電源部114の能力)と、カメラ20の最速シャッタースピードとに応じて定められる。
【0080】
なお、図6に示す投光電流および平均輝度の特性は段階的に変化しているが、これは、ストロボコントローラ10の処理ロジックに起因するものであり、理想的には、しきい値となるシャッタースピードから最速のシャッタースピードの間で、投光電流が基準値から最大値まで比例的に増加するように設定される。但し、図6に示す実装例では、露光期間を10[μsec]単位で判断して、発光強度信号を生成しているので、各特性が10[μsec]で段階的に変化している。もちろん、露光期間をより短い単位で判断することで、発光強度信号を露光期間に比例して変化させることができる。
【0081】
<D.撮像例>
図7および図8は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10を用いて実際に撮像を行った場合に得られた撮像例を示す。
【0082】
図7には、カメラ20のシャッタースピードを1/40000[sec](露光期間:25[μsec])とした場合に得られた画像を比較して示す。図7(a)は、図6(a)の従来例と同様に、カメラ20のシャッタースピードとは連動せずに照明装置40の投光電流を固定とした場合の例であり、図7(b)は、図6(a)の本実施形態と同様に、カメラ20のシャッタースピードに連動して照明装置40の投光電流を変更した場合の例である。
【0083】
図8には、カメラ20のシャッタースピードを1/20000[sec](露光期間:50[μsec])とした場合に得られた画像を比較して示す。図8(a)は、図6(a)の従来例と同様に、カメラ20のシャッタースピードとは連動せずに照明装置40の投光電流を固定とした場合の例であり、図8(b)は、図6(a)の本実施形態と同様に、カメラ20のシャッタースピードに連動して照明装置40の投光電流を変更した場合の例である。
【0084】
図7および図8に示すように、従来例では、カメラ20のシャッタースピードが速くなると取得される画像内の輝度はいずれも低下したものとなり、被写体を適切に撮像できていないことがわかる。これに対して、本実施の形態に係るストロボコントローラ10によれば、カメラ20のシャッタースピードが速くなっても画像内の輝度が低下することを抑制できていることがわかる。
【0085】
<E.照明装置の構成>
以下、本実施の形態に係るストロボコントローラ10に接続される照明装置40の詳細な構成について説明する。
(1.直方体形状)
図9は、本発明の実施の形態に係る照明装置の一例を示す外観図である。図9を参照して、典型的な照明装置として、直方体形状の照明装置40Aについて説明する。
【0086】
照明装置40Aは、直方体の筐体の一面を発光面とするものであり、この発光面に、複数のLED406が整列配置される。図9に示す例では、1列あたり12個のLED406が3列にわたって配置される。さらに、この合計36個のLED406は、4つの点灯ブロック0〜3に区分される。すなわち、3個×3個の単位を1つの点灯ブロックとして、紙面左側から順に合計4つの点灯ブロックが構成される。
【0087】
上述したように、本実施の形態に係るストロボコントローラ10では、投光電流の大きさは、点灯ブロック間で共通に設定されるので、共通のストロボコントローラ10に接続されるLEDの間では、発光強度が実質的に同一となるように制御される。その上で、点灯ブロックの単位で、点灯タイミングを調整することで、カメラ20の撮像によって取込まれる光量を調整する。
(2.リング形状)
図10は、本発明の実施の形態に係る照明装置の別の一例を示す外観図である。図10を参照して、別の照明装置として、リング形状の照明装置40Bについて説明する。
【0088】
照明装置40Bは、その中心部に円筒状のカメラ20が貫通するように装着され、カメラ20の視野を均等に照明するように構成される。この照明装置40Bは、その発光面において、複数のLED406が同心円状に配置される。図10に示す例では、4列にわたってLED406が配置されており、中心軸に近い方から、点灯ブロック0〜3に区分される。
(3.同軸落射形式)
図11は、本発明の実施の形態に係る照明装置のさらに別の一例を示す外観図である。図12は、図11に示す照明装置の断面構造を示す図である。
【0089】
図11に示す照明装置40Cは、直方体の筐体420の一部に投光部422が設けられており、筐体420の内部に配置されたLEDが発生する照明光が投光部422を介して、被写体に照射される。
【0090】
より具体的には、図12(a)に示すように、投光部422の開口面に対して実質的に垂直な平面に沿って、複数のLED406が整列配置されている。そして、LED406から紙面横方向に照射された照明光の方向を変換し、投光部422から射出させるために、ハーフミラー424が設けられている。
【0091】
なお、照明装置40Cにおいては、筐体420において投光部422と対向する面において、開口426が設けられており、この開口426と対応付けてカメラ20が配置されている。照明装置40Cからワークに照射された光のうち、ワークから反射された光は、紙面上側に伝搬して、投光部422、ハーフミラー424、および、開口426を通過して、カメラ20に入射する。すなわち、照明装置40Cにおいては、LED406からの照明光が伝搬する光軸と、ワークで生じた反射光の伝搬する光軸とが同一の光軸(紙面上下方向)となるように構成される。
【0092】
このような構成を採用することで、カメラ20の視野内の輝度を均一化できるとともに、省スペース化も実現できる。
【0093】
一例として、図12(b)に示すような範囲が点灯ブロック0〜3として設定される。すなわち、図12(a)において、紙面奥側に並ぶ1列または2列を点灯ブロックの単位とされる。なお、点灯ブロックは、任意に区分することができる。
【0094】
また、照明装置40Cは、コネクタ428でストロボコントローラ10と接続され、照明用駆動電源および点灯制御信号が供給される。
【0095】
<F.露光期間に応じた点灯制御動作>
上述したように、本実施の形態に係るストロボコントローラ10は、照明装置40を構成する点灯ブロック毎に、点灯タイミング信号を生成する。この点灯タイミング信号は、カメラ20の露光期間の長さを基準として、予め設定された点灯比率に基づいて生成される。
【0096】
図13は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10に対して点灯ブロック毎に点灯タイミングを設定するためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。図14は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10を用いて点灯タイミング調整の一例を示すタイムチャートである。
【0097】
図13に示すユーザインターフェイス画面は、典型的には、カメラ20と接続される画像処理装置30において提供される。なお、設定を行うためのプログラムをパーソナルコンピュータ上で実行することで、図13に示すようなユーザインターフェイス画面を提供し、ユーザがこのユーザインターフェイス画面を用いて設定した内容を、パーソナルコンピュータからストロボコントローラ10に対して転送するようにしてもよい。
【0098】
図13を参照して、ユーザインターフェイス画面300は、点灯ブロックの配列表示部302と、点灯ブロック毎の点灯比率を設定するための設定入力部312とを含む。配列表示部302には、接続されている照明装置40のおける点灯ブロックの配列が可視化される。なお、照明装置40がその向きを回転して配置される場合でも対応できるように、可視化される配列パターンを回転表示するためのボタン304も用意される。
【0099】
設定入力部312においては、点灯ブロック毎(図13に示す例では、部位0〜3が点灯ブロック0〜3を示す)に対応付けて、点灯比率を入力できるようになっている。図13に示す例では、カメラ20の露光期間を基準として、256階調(0〜255)で点灯比率を設定できるようになっている。
【0100】
より具体的には、ユーザは設定入力部312において、目的の点灯ブロックを選択し、続いて、数値入力ボックス316またはスライドバー318を操作して、点灯比率を入力する。
【0101】
なお、ユーザインターフェイス画面300においては、対象のワークの種類に応じて、照明装置40の各点灯ブロックの点灯パターンを複数用意できるように、パターン選択ボタン314が用意されている。このパターン選択ボタン314を選択すると、図示しないプルダウンメニューまたはポップアップメニューが表示され、新規作成または変更されるパターンを呼び出すことができる。
【0102】
このように、点灯ブロック毎に点灯比率を設定することで、図14に示すような点灯パターンが実現される。すなわち、CPU100は、カメラ20の露光期間に対して、点灯ブロックの別に指示される点灯比率を乗じた期間を、当該点灯ブロックの点灯期間として決定する。
【0103】
図14を参照して、たとえば、時刻t1から開始されるカメラ20による撮像においては、露光期間がT1に設定されており、この露光期間T1を基準として、各点灯ブロックの点灯期間(点灯開始時刻および点灯終了時刻)が決定される。図14には、図13に示すユーザインターフェイス画面における点灯比率の設定値に対応したタイムチャートが示されている。
【0104】
すなわち、点灯ブロック0に対しては、点灯比率が「255」、すなわち100[%]が設定されるため、カメラ20の露光期間と同じ期間が点灯期間となる。一方、点灯ブロック1に対しては、点灯比率が「64」、すなわち25[%]が設定されているため、カメラ20の露光期間のうち、開始から25[%]の期間が点灯期間となる。点灯ブロック2および3についても同様に、それぞれ設定されている点灯比率に応じて、点灯期間が設定される。
【0105】
次に、時刻t2から開始されるカメラ20による撮像において、露光期間がT1からT2に変更されたとする。この場合、点灯ブロック0〜3のそれぞれの点灯期間は、カメラ20の露光期間に比例して変動する。すなわち、点灯ブロック0〜3に設定されているそれぞれの点灯比率が同じであるため、基準となるカメラ20の露光期間の変動に伴って、実際の点灯期間も変動する。
【0106】
さらに、時刻t3から開始されるカメラ20による撮像の前に、ユーザが、点灯ブロック0の点灯比率を255から127、すなわち、50[%]に低減したとする。すると、点灯ブロック0の点灯期間は、カメラ20の露光期間の50[%]に相当する期間に変更される。
【0107】
このように、同一の照明装置40を構成する点灯ブロックの間で、点灯期間を自在に変更できる。このような構成を採用することで、ワークの形状などに応じて、適切な輝度を確保することができる。すなわち、カメラ20の視野に入射する光量のバランスを調整することで、カメラ20から出力される画像内の輝度ムラなどを低減できる。
【0108】
<G.実験例>
図15は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10を用いて画像内の輝度分布を調整した結果を示す図である。
【0109】
図15に示す結果は、本実施の形態に係る視覚センサシステム1を用いて白地の紙を撮像した場合に得られた画像に対して、輝度分布を測定したものである。このとき、照明装置40は、図9に示す直方体形状の照明装置40Aを用いた。なお、図15には、輝度の階調値を256段階(0〜255)とした場合の例を示す。
【0110】
図15(a)は、点灯ブロック0〜3の点灯比率をいずれも「128」(50%)に設定した場合の結果を示す。すなわち、図15(a)に示す輝度分布は、すべての点灯ブロックから同一の光量の照明光を照射した場合の測定結果である。この図15(a)に示す例では、照明装置40の長軸側の端部において、輝度が低下していることがわかる。
【0111】
次に、図15(b)には、両端に位置する点灯ブロック0および点灯ブロック3についての点灯比率を「128」から「183」に変更した場合の結果を示す。この図15(b)に示す輝度分布によれば、相対的に輝度分布の高い部分が広がっており、端部における輝度の低下が抑制されていることがわかる。
【0112】
このように、同一の照明装置の中でも、点灯ブロック毎に点灯期間を調整することで、ワークをより均一に照明することができる。
【0113】
<H.制御フロー>
以下、本実施の形態に係るストロボコントローラ10における処理手順について説明する。
【0114】
図16は、本実施の形態に係るストロボコントローラ10において実行される処理手順を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、CPU100がプログラムに従って処理を行うことで実現される。
【0115】
図16を参照して、ステップS100において、CPU100は、カメラ20に設定されている露光期間(シャッタースピード)を取得する。続くステップS102において、CPU100は、取得した露光期間がしきい値より短いか否かを判断する。取得した露光期間がしきい値より短い場合には、処理はステップS104へ進み、取得した露光期間がしきい値より短くない場合には、処理はステップS108へ進む。
【0116】
ステップS104において、CPU100は、取得した露光期間に対応する投光電流の大きさを取得する。なお、露光期間の長さと投光電流の大きさとの間の関係を規定したテーブルを予め用意しておき、CPU100は、このテーブルを参照することで、適切な投光電流の大きさを取得する。続くステップS106において、CPU100は、取得した大きさの投光電流が照明装置40において生じるように、発光強度信号を出力する。そして、処理は、ステップS110へ進む。
【0117】
これに対して、ステップS108において、CPU100は、予め定めされている標準値の投光電流が照明装置40において生じるように、発光強度信号を出力する。そして、処理は、ステップS110へ進む。
【0118】
その後、ステップS110において、CPU100は、照明装置40に含まれる点灯ブロックに対して設定されているそれぞれの点灯比率を取得する。続くステップS112において、CPU100は、カメラ20から露光開始タイミングが通知されたか否かを判断する。カメラ20から露光開始タイミングが通知されていない場合(ステップS112においてNOの場合)には、ステップS100以下の処理が繰返される。
【0119】
これに対して、カメラ20から露光開始タイミングが通知された場合(ステップS112においてYESの場合)には、CPU100は、ステップS120.1〜S120.Nの処理を実行する。なお、ステップS120.1〜S120.N以下の処理は並列的に実行される。
【0120】
ステップS120.1において、CPU100は、1番目の点灯タイミング信号(点灯タイミング信号1)をHIレベルに活性化する。続くステップS122.1において、CPU100は、カメラ20に設定されている露光期間と、1番目の点灯タイミング信号について設定されている点灯比率との積を算出して、1番目の点灯タイミング信号についての点灯期間を算出する。さらに続くステップS124.1において、1番目の点灯タイミング信号をHIレベルに活性化してから、ステップS122.1において算出した点灯期間が経過したか否かを判断する。
【0121】
1番目の点灯タイミング信号をHIレベルに活性化してから、ステップS122.1において算出した点灯期間が経過していない場合(ステップS124.1においてNOの場合)には、ステップS124.1の処理が繰返される。これに対して、ステップS122.1において算出した点灯期間が経過した場合(ステップS124.1においてYESの場合)には、処理はステップS126.1へ進む。
【0122】
ステップS126.1において、CPU100は、1番目の点灯タイミング信号(点灯タイミング信号1)をLOレベルに非活性化する。その後、処理はステップS130に進む。
【0123】
上述のステップS120.1〜S126.1での処理と同様に、ステップS120.2〜S126.2,・・・,ステップS120.N〜S126.Nの処理が並列的に実行される。
【0124】
その後、ステップS130において、CPU100は、カメラ20からの露光開始タイミングが通知されてから、設定されている露光期間が経過したか否かを判断する。カメラ20からの露光開始タイミングが通知されてから、設定されている露光期間が経過していない場合(ステップS130においてNOの場合)には、ステップS130の処理が繰返される。
【0125】
これに対して、カメラ20からの露光開始タイミングが通知されてから、設定されている露光期間が経過した場合(ステップS130においてYESの場合)には、処理は、ステップS100へリターンされる。
【0126】
上述の処理は、ストロボコントローラ10に電源が供給されている期間の間、繰返される。
【0127】
なお、上述の処理手順において、露光期間の長さと投光電流の大きさとの関係を規定したテーブルを用いたが、露光期間の長さと発光強度信号の波高値との関係を規定したテーブルを用いることにより、ステップS104とステップS106を1つのステップにまとめてもよい。
【0128】
<I.作用・効果>
本実施の形態によれば、カメラ20の露光時間が短くなった場合(シャッタースピードが速くなった場合)には、発光強度を高めて、被写体により多くの照明光を照射する。そのため、被写体であるワークの移動速度が相対的に速くなった場合であっても、画像内での被写体のぶれがなく、かつ、取得された画像内の輝度を適切なレベルに維持することができる。そのため、たとえば、ライン速度が相対的に速い場合であっても計測処理を確実に行うことができる。
【0129】
また、本実施の形態によれば、カメラ20の露光時間が予め定められたしきい値を超えた場合に限って、LEDへ供給する投光電流の大きさを標準値(典型的には、連続定格電流値)より大きくする。そのため、LEDの発熱による熱劣化を極力低減することができる。
【0130】
また、本実施の形態によれば、照明装置40を複数の点灯ブロックに区分しておき、点灯ブロックの別に点灯期間(カメラ20の露光期間に対する相対的な点灯比率)を制御できるので、撮像された画像内の輝度を均一化できるように、被写体に対して照射する照明光のバランスを最適化できる。
【0131】
また、本実施の形態によれば、CPU100から、各LEDの発光強度を示す発光強度信号(カメラ20の露光期間に連動)を出力し、この発光強度信号(波高値)を共通に用いて、それぞれの点灯ブロックを駆動するための点灯制御信号を生成する。そのため、多数の点灯ブロックが存在しても、より簡素化された回路構成で、発光量を制御することができる。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
1 視覚センサシステム、10 ストロボコントローラ、20 カメラ、40,40A,40B,40C 照明装置、30 画像処理装置、100 CPU、102 デジタル/アナログ変換器(DAC)、104 アナログスケール変換器、106 インターフェイス部(I/F)、110 パルス変調スイッチング回路、114 照明用電源部、116 内部回路駆動用電源部、401,402,411,412,1043,1111,1112,1113,1114 トランジスタ、404,405,414,415 制限抵抗、407,417 ダイオード、420 筐体、422 投光部、424 ハーフミラー、426 開口、428 コネクタ、1041 オペアンプ、1044,1045,1046,1047,1044,1044,1045,1046,1045,1046,1047 抵抗。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を含み、撮像装置と連動して動作する照明装置を制御するための照明制御装置であって、
前記撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、
前記露光開始タイミングに応じて、前記照明装置の発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、
前記発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、
決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、前記発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを備え、
前記第1の決定手段は、前記露光期間を超えない範囲で前記点灯期間を決定し、
前記第2の決定手段は、前記露光期間が短いほどより高い値となるように前記波高値を決定する、照明制御装置。
【請求項2】
前記照明装置は、各々が所定数の発光素子の群である点灯ブロックを複数含み、
前記第1の決定手段は、前記点灯ブロックの別に、点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、
前記生成手段は、前記第2の決定手段によって決定された波高値を共通に用いて、前記第1の決定手段によって前記点灯ブロックの別に決定される、点灯タイミングおよび点灯期間から、前記点灯ブロックの別に前記パルス信号を生成する、請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記第1の決定手段は、前記露光期間に対して、点灯ブロックの別に指示される点灯比率を乗じた期間を、当該点灯ブロックの前記点灯期間として決定する、請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記第2の決定手段と各点灯ブロックとの間に配置されたスイッチング手段を含み、
前記スイッチング手段は、前記第2の決定手段によって決定された波高値を有する電圧信号を、前記第1の決定手段によって決定された前記発光素子の点灯期間にわたって、対応する点灯ブロックへ伝達する、請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記照明装置に対して、前記パルス信号とは独立して、前記発光素子を駆動するための定電圧の電源を供給する電源供給手段をさらに備える、請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項6】
撮像装置と連動して動作する照明装置であって、
照明光を生成するための発光素子と、
前記撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、
前記露光開始タイミングに応じて、前記発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、
前記発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、
決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、前記発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを備え、
前記第1の決定手段は、前記露光期間を超えない範囲で前記点灯期間を決定し、
前記第2の決定手段は、前記露光期間が短いほどより高い値となるように前記波高値を決定する、照明装置。
【請求項1】
発光素子を含み、撮像装置と連動して動作する照明装置を制御するための照明制御装置であって、
前記撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、
前記露光開始タイミングに応じて、前記照明装置の発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、
前記発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、
決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、前記発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを備え、
前記第1の決定手段は、前記露光期間を超えない範囲で前記点灯期間を決定し、
前記第2の決定手段は、前記露光期間が短いほどより高い値となるように前記波高値を決定する、照明制御装置。
【請求項2】
前記照明装置は、各々が所定数の発光素子の群である点灯ブロックを複数含み、
前記第1の決定手段は、前記点灯ブロックの別に、点灯タイミングおよび点灯期間を決定し、
前記生成手段は、前記第2の決定手段によって決定された波高値を共通に用いて、前記第1の決定手段によって前記点灯ブロックの別に決定される、点灯タイミングおよび点灯期間から、前記点灯ブロックの別に前記パルス信号を生成する、請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記第1の決定手段は、前記露光期間に対して、点灯ブロックの別に指示される点灯比率を乗じた期間を、当該点灯ブロックの前記点灯期間として決定する、請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記第2の決定手段と各点灯ブロックとの間に配置されたスイッチング手段を含み、
前記スイッチング手段は、前記第2の決定手段によって決定された波高値を有する電圧信号を、前記第1の決定手段によって決定された前記発光素子の点灯期間にわたって、対応する点灯ブロックへ伝達する、請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記照明装置に対して、前記パルス信号とは独立して、前記発光素子を駆動するための定電圧の電源を供給する電源供給手段をさらに備える、請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項6】
撮像装置と連動して動作する照明装置であって、
照明光を生成するための発光素子と、
前記撮像装置に設定されている露光期間および露光開始タイミングを受信するインターフェイス手段と、
前記露光開始タイミングに応じて、前記発光素子の点灯タイミングおよび点灯期間を決定する第1の決定手段と、
前記発光素子の発光させるべき強度に応じた波高値を決定する第2の決定手段と、
決定された点灯期間に応じた時間波形をもち、かつ、決定された波高値を有する、前記発光素子を駆動するためのパルス信号を生成する生成手段とを備え、
前記第1の決定手段は、前記露光期間を超えない範囲で前記点灯期間を決定し、
前記第2の決定手段は、前記露光期間が短いほどより高い値となるように前記波高値を決定する、照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【図8】
【図2】
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【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−160083(P2011−160083A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18583(P2010−18583)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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