説明

照明器具および照明器具の製造方法

【課題】製造コストの低減を図りつつ、光源からの光の利用効率を向上させる。
【解決手段】光透過性を有する材料によって板状に形成された導光板4と、導光板4の端面4cから導光板4に光を入射可能に配設された発光素子12と、導光板4における一方の面4aに配設された光拡散部21と、導光板4における他方の面4bに配設された反射板5とを備え、発光素子12からの光を導光板4における一方の面4aから出射可能に構成された照明器具1であって、光拡散部21は、導光板4における一方の面4aから出射させる光を拡散可能に一方の面4aに形成された微細凹凸で構成され、導光板4は、一方の面4aよりも他方の面4bの方が平滑となるように形成され、反射板5は、導光板4とは別体に形成されて導光板4における他方の面4bに対向配置されると共に他方の面4bから出射した光を反射して他方の面4bから導光板4に入射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、導光板、光拡散部および光反射部を備えて構成された照明器具、並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の照明器具として、光源、導光板、光拡散板および反射フィルムを備えて構成されたエッジライト型照明装置(以下、単に「照明装置」ともいう)が特開2010−177077号公報に開示されている。この場合、この照明装置では、上記の光源がLED等で構成されて、導光板における対向する2つの側端面にそれぞれ対向させて配設されている。また、この照明装置では、上記の導光板が難燃性樹脂組成物で板状に形成されると共に、反射フィルムが配設される側の面に、ドット状、または、ストライプ状にインクを付着させることで乱反射部が形成されている。さらに、この照明装置では、上記の光拡散板が導光板と同様に難燃性樹脂組成物で板状に形成されている。
【0003】
この照明装置では、光源が点灯させられたときに、この光源からの光が、導光板の側端面から導光板内に入射する。また、導光板内に入射した光は、導光板内において、光拡散板側の面(出射面)における反射、および反射フィルム側の面における反射を交互に繰り返すうちに、乱反射部において乱反射して光拡散板側の面から導光板の外部に出射する。また、前記導光板内の光の一部は、乱反射部のドットやストライプの間から導光板の外部に漏出するが、この光は、反射フィルムによって導光板に向けて反射される。これにより、導光板内に入射した光が導光板における光拡散板側の面(出射面)から出射され、この光が光拡散板によって拡散されて、照明光として対象物に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−177077号公報(第3−10頁、第1−3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の照明装置、およびその製造方法には、以下の問題点がある。すなわち、従来の照明装置では、導光板とは別体に形成した光拡散板を導光板の一方の面に配設すると共に、導光板とは別体に形成した反射フィルムを導光板の他方の面に配設することにより、光源からの光の導光板による導光、導光板から漏出した光の反射フィルムによる反射、および導光板から出射した光の光拡散板による拡散が行われるように構成されている。このため、従来の照明装置では、導光板および光拡散板の双方が難燃性樹脂組成物で形成されているにも拘わらず、これらを別個に形成していることに起因して、その製造コストが高騰しているという問題点がある。
【0006】
また、上記公開公報には、光拡散板を0.1〜5mm程度の厚みに形成すると開示されている。この場合、光拡散板を0.1mm程度の薄厚に形成した場合には、単体では所望の形状を維持するのが困難となる。したがって、光拡散板を薄厚に形成した場合には、例えば、光透過性を有する接着剤や粘着剤を用いて、この薄厚の光拡散板を導光板等に貼り付ける必要が生じる。このため、このような構成を採用した場合には、使用する接着剤や粘着剤の分だけ製造コストが高騰するだけでなく、導光板と光拡散板との間に接着剤や粘着剤の層が存在することに起因して、導光板から出射した光が光拡散板に達する前に減衰する結果、この光の分だけ、光源からの光の利用効率が低下するという問題が生じる。
【0007】
さらに、従来の照明装置では、導光板における反射フィルム側の面に乱反射部が形成されている。この場合、前述したように、この乱反射部を構成するドットやストライプの間から導光板の外部に漏出した光は、反射フィルムによって導光板に向けて反射される。しかしながら、反射フィルムによって反射された光の一部は、導光板に設けられた乱反射部によって乱反射されて導光板に対する入射が阻害される。このため、従来の照明装置では、反射フィルムによって反射された光の一部が導光板に対する入射を阻害される結果、この光の分だけ、光源からの光の利用効率が低下しているという問題点がある。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減を図りつつ、光源からの光の利用効率を向上させ得る照明器具およびその製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の照明器具は、光透過性を有する材料によって板状に形成された導光板と、当該導光板の端面から当該導光板に光を入射可能に配設された発光素子と、前記導光板における一方の面に配設された光拡散部と、前記導光板における他方の面に配設された光反射部とを備え、前記発光素子からの光を前記導光板における前記一方の面から出射可能に構成された照明器具であって、前記光拡散部は、前記導光板における前記一方の面から出射させる光を拡散可能に当該一方の面に形成された微細凹凸で構成され、前記導光板は、前記一方の面よりも前記他方の面の方が平滑となるように形成され、前記光反射部は、前記導光板とは別体に形成されて当該導光板における前記他方の面に対向配置されると共に当該他方の面から出射した光を反射して当該他方の面から当該導光板に入射させる。
【0010】
また、請求項2記載の照明器具は、請求項1記載の照明器具において、前記導光板は、前記一方の面が突出するように湾曲させられている。
【0011】
また、請求項3記載の照明器具の製造方法は、光透過性を有する材料によって板状に形成された導光板と、当該導光板の端面から当該導光板に光を入射可能に配設された発光素子と、前記導光板における一方の面に配設された光拡散部と、前記導光板における他方の面に配設された光反射部とを備え、前記発光素子からの光を前記導光板における前記一方の面から出射可能に構成された照明器具を製造する照明器具の製造方法であって、前記導光板における前記一方の面から出射させる光を拡散可能な微細凹凸を前記光拡散部として当該一方の面に形成すると共に、当該一方の面よりも前記他方の面の方が平滑となるように当該導光板を形成し、前記導光板における前記他方の面から出射した光を反射して当該他方の面から当該導光板に入射させるように当該導光板とは別体に形成した前記光反射部を当該他方の面に対向配置する。
【0012】
さらに、請求項4記載の照明器具の製造方法は、請求項3記載の照明器具の製造方法において、前記光透過性を有する材料としての樹脂材料を用いて前記導光板を射出成形する際に前記微細凹凸を前記光拡散部として前記一方の面に形成する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の照明器具によれば、導光板における一方の面から出射させる光を拡散可能に一方の面に形成した微細凹凸によって光拡散部を構成すると共に、一方の面よりも他方の面の方が平滑となるように導光板を形成し、かつ、導光板における他方の面に光反射部を対向配置して他方の面から出射した光を反射させることにより、導光板の一方の面に光拡散部を一体的に形成した分だけ、光拡散部を導光板とは別個に形成する構成と比較して、その製造コストを十分に低減することができ、しかも、部品点数が少数となる分だけ、容易に組み立てることができる。また、導光板に対して光拡散部(光拡散板)を接着剤や粘着剤によって貼り付けた構成と比較して、接着剤や粘着剤を使用しない分だけ、その製造コストを低減することができるだけでなく、導光板からの光を減衰させる要因となる接着剤や粘着剤の層が導光板と光拡散部との間に存在しないため、発光素子からの光の利用効率を十分に向上させることができる。さらに、導光板の他方の面を一方の面よりも平滑に形成したことにより、他方の面から出射して光反射部で反射された光を他方の面から導光板内にスムーズに入射させることができるため、発光素子からの光の利用効率を十分に向上させることができる。したがって、この照明器具によれば、十分に明るく照明することができる。
【0014】
また、請求項2記載の照明器具によれば、一方の面が突出するように導光板を湾曲させたことにより、発光素子から出射されて端面に対して垂直に入射した光が、他方の端面からそのまま出射される事態(端面に対して垂直に入射した光が照明光として利用されない事態)を回避して、この光を一方の面から出射させることができるため、発光素子からの光の利用効率を一層向上させることができる。
【0015】
また、請求項3記載の照明器具の製造方法によれば、導光板における一方の面から出射させる光を拡散可能な微細凹凸を光拡散部として一方の面に形成すると共に、一方の面よりも他方の面の方が平滑となるように導光板を形成し、かつ、導光板の他方の面から出射した光を反射して他方の面から導光板に入射させるように、導光板とは別体に形成した光反射部を他方の面に対向配置して照明器具を製造することにより、導光板の一方の面に光拡散部を一体的に形成した分だけ、光拡散部を導光板とは別個に形成する製造方法と比較して、その製造コストを十分に低減することができ、しかも、部品点数が少数となる分だけ、容易に組み立てることができる。また、導光板に対して光拡散部(光拡散板)を接着剤や粘着剤によって貼り付ける製造方法と比較して、接着剤や粘着剤を使用しない分だけ、その製造コストを低減することができるだけでなく、導光板からの光を減衰させる要因となる接着剤や粘着剤の層が導光板と光拡散部との間に存在しないため、発光素子からの光の利用効率を十分に向上させ得る照明器具を製造することができる。さらに、導光板の他方の面を一方の面よりも平滑に形成したことで、他方の面から出射して光反射部によって反射された光を他方の面から導光板内にスムーズに入射させることができるため、発光素子からの光の利用効率を十分に向上させ得る照明器具を製造することができる。したがって、この製造方法によれば、十分に明るく照明できる照明器具を製造することができる。
【0016】
さらに、請求項4記載の照明器具の製造方法によれば、樹脂材料を用いて導光板を射出成形する際に微細凹凸を光拡散部として一方の面に形成することにより、一方の面および他方の面の双方を平滑に生成した後に一方の面に対する微細凹凸の形成処理を実行して光拡散部を形成する製造方法と比較して、射出成形処理を実行するだけで、導光板の形成、および光拡散部の形成の両工程を完了させることができるため、その製造コストを一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】照明器具1の断面図である。
【図2】導光板4内に入射した光の進行について説明するための説明図である。
【図3】導光板4内に入射した光の進行について説明するための他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る照明器具、および照明器具の製造方法の実施の形態について説明する。
【0019】
図1に示す照明器具1は、一例として、図示しない取付け用アームに取り付けられて卓上に設置される卓上照明器具であって、筐体2、光源3a,3b、導光板4および反射板5と、図示しないコントローラ(電源装置)とを備えて構成されている。なお、本例では、卓上照明器具に適用した例について説明するが、この照明器具1を天井面や梁部材等の各種取付対象体に取付け可能に構成した吊下げ型照明器具に適用することもできる。
【0020】
筐体2は、一例として、ケーシング2aおよび一対の保持部2bを備えて構成されている。この場合、ケーシング2aは、金属板の折曲げ加工や、樹脂材料による射出成形によって底面開口箱状に形成されている。一対の保持部2bは、光源3a,3b、導光板4および反射板5を保持可能に構成されている。光源3aは、基板11aに発光素子(LED)12aが実装されて構成され、光源3bは、基板11bに発光素子(LED)12bが実装されて構成されている。なお、以下の説明において、「光源3a,3b」、「基板11a,11b」および「発光素子12a,12b」を区別しないときには、「光源3」、「基板11」および「発光素子12」ともいう。この場合、本例の照明器具1では、導光板4における短尺方向(図1における左右方向)の両端面4c,4cに光源3(発光素子12)がそれぞれ配設されて、後述するように、光源3からの光を端面4c,4cから導光板4に入射させる構成が採用されている。
【0021】
導光板4は、光透過性を有する樹脂材料(一例として、アクリル樹脂:「光透過性を有する材料」の一例)を成形材料として用いた射出成形によって、厚み2mm〜10mm程度の長尺板状に形成されている。この場合、本例の導光板4は、一方の面4aが突出するように全体として湾曲させられて樋状に形成されている。なお、導光板4の湾曲形状については、図1に示すような断面半円形に限定されず、断面V字形や断面コ字形などの各種形状に湾曲させることができる。また、この導光板4は、射出成形に際して、一方の面4aに微細凹凸が形成されて光拡散部21が形成されると共に、他方の面4b(反射板5が配設される側の面)が実質的に平坦となるように成形されている。この場合、本例の導光板4は、一例として、一方の面4aの表面粗さRzが0.01μm〜1.0μm程度となるように上記の微細凹凸が形成されている。なお、図1および後に参照する図2,3では、光拡散部21を構成する「微細凹凸」の形成部位を破線によって示している。
【0022】
反射板5は、「光反射部」に相当し、一例として、鏡面仕上げをした金属板を導光板4の他方の面4bに沿わせるように湾曲させて樋状に形成されている。なお、金属板で形成した反射板5に代えて、樹脂材料等で形成した板体の一面に、めっき処理や蒸着処理によって金属材料の薄膜を形成した反射板(図示せず)を「光反射部」として採用することもできる。また、「光反射部」としての反射板5の形状は、導光板4の他方の面4bに沿わせた湾曲形状に限定されず、後述するように他方の面4bから出射した光を反射可能な限り、導光板4の湾曲形状とは異なる形状(例えば、断面V字形や断面コ字形)に形成することができるし、また、平板状に形成することもできる。
【0023】
この照明器具1の製造に際しては、まず、導光板4を製作する。具体的には、図示しない金型内に溶融樹脂(本例では、アクリル樹脂)を射出することにより、導光板4を成形する。この場合、本例の導光板4を生成するための射出成形装置(図示せず)では、導光板4における一方の面4aを成形する側の金型の表面が光拡散部21を構成する微細凹凸に対応して凹凸加工されると共に、導光板4における他方の面4bを成形する側の金型の表面が実質的に平坦に処理されている。したがって、射出成形装置による成形処理を実行するだけで、導光板4におけるの一方の面4aに微細凹凸が形成されて、光拡散部21が導光板4と一体的に形成され、かつ、他方の面4bが一方の面4aよりも平滑になると共に、一方の面4aが突出するようにして湾曲した状態の導光板4が成形される。
【0024】
次いで、光源3、導光板4および反射板5を筐体2に組み付ける。なお、基板11に対する各発光素子12の実装工程(光源3の製作工程)については、既に完了しているものとし、この工程に関する説明を省略する。具体的には、まず、筐体2の保持部2bに光源3を組み付ける。次いで、導光板4の他方の面4bに反射板5を対向配置した状態で導光板4および反射板5を重ね合わせ、その状態において、導光板4の各端面4cを各保持部2bにそれぞれ差し込んで保持させる。これにより、各保持部2bによって保持されている各光源3の発光素子12が導光板4の各端面4cにそれぞれ対向配置される(「導光板の端面から導光板に光を入射可能に配設され」との構成の一例)。この状態において、光源3を図示しないコントローラに接続すると共に、両保持部2bにケーシング2aを装着することにより、照明器具1が完成する。
【0025】
この照明器具1では、コントローラから光源3に電源が供給されて発光素子12が点灯させられたときに、発光素子12からの光が図1に矢印Laで示すように端面4cから導光板4に入射する。この際に、光源3a(発光素子12a)から出射されて導光板4内に入射した光は、図2,3に矢印L1a,L1bで示すように、導光板4の一方の面4aおよび他方の面4bにおいて反射されて光源3bの側の端面4cに向かって導光板4内を進行する。なお、図2,3では、導光板4と反射板5との間に生じた隙間を誇張して広く図示している。また、実際には、光源3b(発光素子12b)からも光が出射されるが、光源3a(発光素子12a)から出射された光と進行方向が対称である点が異なるだけで動作的には同一のため、光照明器具1の動作原理についての理解を容易とするために、以下、主として光源3aから出射された光について説明する。
【0026】
この場合、導光板4の一方の面4aに光拡散部21(微細凹凸)が形成されているこの照明器具1では、図2に示すように、導光板4内を進行して一方の面4aに達した光(例えば、矢印L1aで示すように進行した光)の一部が一方の面4aを透過する際に光拡散部21において拡散される。この結果、同図に矢印Lbで示すように、導光板4内を一方の面4aに向かって進行した光の一部が拡散光として一方の面4aから出射される。なお、実際には、光源3a(発光素子12a)からの光が導光板4(端面4c)に対して様々な角度で入射するため、同図に矢印L1aで示す光の他にも、様々な角度で光が一方の面4aを透過させられるが、これらの光についても、矢印L1aで示す光と同様にして、その一部が光拡散部21によって拡散されて、拡散光として一方の面4aから出射される。
【0027】
一方、図3に示すように、一方の面4aから出射されずに一方の面4aにおいて反射された光は、例えば、矢印L1bで示すように導光板4内を他方の面4bに向けて進行する。また他方の面4bに達した光の一部は、矢印L2aで示すように他方の面4bから出射して反射板5に向かって進行し、反射板5において反射されて矢印L2bで示すように導光板4に向かって進行して、他方の面4bから導光板4内に入射する。この際に、他方の面4bが一方の面4aよりも平滑となるように形成された(他方の面4bが実質的に平坦となるように形成された)導光板4を備えたこの照明器具1では、反射板5において反射された光が他方の面4bにおいて乱反射されることなく、他方の面4bから導光板4内にスムーズに入射する。
【0028】
また、他方の面4bから導光板4内に入射した光は、矢印L3で示すように導光板4内を進行して一方の面4aに達し、前述した矢印L1aで示すように導光板4内を進行する光と同様にして、その一部が一方の面4aを透過する際に光拡散部21において拡散される。この結果、同図に矢印Lbで示すように、導光板4内を一方の面4aに向かって矢印L3で示すように進行した光が拡散光として一方の面4aから出射される。なお、実際には、導光板4内を矢印L3で示すように進行して一方の面4aに達した光の一部が一方の面4aにおいて反射されるが、この反射光の進行については、矢印L1bで示す光の進行と同様のため、その説明を省略する。
【0029】
このように、端面4cから入射して導光板4内を進行する(導光される)光は、一方の面4aに達する都度、その一部が拡散光として一方の面4aから導光板4の外部に出射される。したがって、光源3a(発光素子12a)側から遠ざかるほど、一方の面4aから出射される光源3a(発光素子12a)からの光の光量は減少する。しかしながら、この照明器具1では、導光板4における光源3a(発光素子12a)側の端面4cとは反対側の端面4cには、光源3b(発光素子12b)が配設されているため、光源3a(発光素子12a)側から遠ざかるほど、一方の面4aから出射される光源3b(発光素子12b)からの光の光量が増加する。これにより、一方の面4aの全域において、十分な光量の光を出射することが可能となっている。
【0030】
このように、この照明器具1によれば、導光板4における一方の面4aから出射させる光を拡散可能に一方の面4aに形成した微細凹凸によって光拡散部21を構成すると共に、一方の面4aよりも他方の面4bの方が平滑となるように導光板4を形成し、かつ、導光板4における他方の面4bに反射板5を対向配置して他方の面4bから出射した光を反射させることにより、導光板4の一方の面4aに光拡散部21を一体的に形成した分だけ、「光拡散部」を「導光板」とは別個に形成する構成と比較して、その製造コストを十分に低減することができ、しかも、部品点数が少数となる分だけ、容易に組み立てることができる。また、「導光板」に対して「光拡散部(光拡散板)」を接着剤や粘着剤によって貼り付けた構成と比較して、接着剤や粘着剤を使用しない分だけ、その製造コストを低減することができるだけでなく、導光板からの光を減衰させる要因となる接着剤や粘着剤の層が導光板4と光拡散部21との間に存在しないため、光源3(発光素子12)からの光の利用効率を十分に向上させることができる。さらに、導光板4の他方の面4bを一方の面4aよりも平滑に形成したことにより、他方の面4bから出射して反射板5で反射された光を他方の面4bから導光板4内にスムーズに入射させることができるため、光源3(発光素子12)からの光の利用効率を十分に向上させることができる。したがって、この照明器具1によれば、十分に明るく照明することができる。
【0031】
また、この照明器具1によれば、一方の面4aが突出するように導光板4を湾曲させたことにより、発光素子12(光源3)から出射されて端面4cに対して垂直に入射した光が、他方の端面4cからそのまま出射される事態(端面4cに対して垂直に入射した光が照明光として利用されない事態)を回避して、この光を一方の面4aから出射させることができるため、光源3(発光素子12)からの光の利用効率を一層向上させることができる。
【0032】
また、この照明器具1の製造方法によれば、導光板4における一方の面4aから出射させる光を拡散可能な微細凹凸を光拡散部21として一方の面4aに形成すると共に、一方の面4aよりも他方の面4bの方が平滑となるように導光板4を形成し、かつ、導光板4の他方の面4bから出射した光を反射して他方の面4bから導光板4に入射させるように、導光板4とは別体に形成した反射板5を他方の面4bに対向配置して照明器具1を製造することにより、導光板4の一方の面4aに光拡散部21を一体的に形成した分だけ、「光拡散部」を「導光板」とは別個に形成する製造方法と比較して、その製造コストを十分に低減することができ、しかも、部品点数が少数となる分だけ、容易に組み立てることができる。また、「導光板」に対して「光拡散部(光拡散板)」を接着剤や粘着剤によって貼り付ける製造方法と比較して、接着剤や粘着剤を使用しない分だけ、その製造コストを低減することができるだけでなく、導光板からの光を減衰させる要因となる接着剤や粘着剤の層が導光板4と光拡散部21との間に存在しないため、光源3(発光素子12)からの光の利用効率を十分に向上させ得る照明器具1を製造することができる。さらに、導光板4の他方の面4bを一方の面4aよりも平滑に形成したことで、他方の面4bから出射して反射板5によって反射された光を他方の面4bから導光板4内にスムーズに入射させることができるため、光源3(発光素子12)からの光の利用効率を十分に向上させ得る照明器具1を製造することができる。したがって、この製造方法によれば、十分に明るく照明できる照明器具1を製造することができる。
【0033】
さらに、この照明器具1の製造方法によれば、樹脂材料を用いて導光板4を射出成形する際に微細凹凸を光拡散部21として一方の面4aに形成することにより、一方の面4aおよび他方の面4bの双方を平滑に生成した後に一方の面4aに対する微細凹凸の形成処理を実行して光拡散部21を形成する製造方法と比較して、射出成形処理を実行するだけで、「導光板」の形成、および「光拡散部」の形成の両工程を完了させることができるため、その製造コストを一層低減することができる。
【0034】
なお、「照明器具」の構成や製造方法は、上記の例に限定されない。例えば、導光板4の成形処理に際して一方の面4aに微細凹凸を形成して光拡散部21を導光板4と一体的に形成する例について説明したが、一方の面4aおよび他方の面4bの双方が平坦となるように成形した後に、一方の面4aに対して、ショットブラスト加工や、各種薬品によるエッチング処理等の2次加工を施すことにより、一方の面4aに微細凹凸(光拡散部21)を形成することもできる。このような方法で形成した導光板4を有する照明器具1についても、上記の照明器具1と同様の効果を奏することができる。
【0035】
また、全体として湾曲させた導光板4を有する照明器具1を例に挙げて説明したが、「導光板」の構成はこれに限定されず、平板状に形成することもできる。このような構成の導光板を採用した照明器具(図示せず)においても、その導光板の一方の面に光拡散部を一体的に形成した分だけ、製造コストを十分に低減することができ、しかも、部品点数が少数となる分だけ、容易に組み立てることができると共に、導光板の他方の面を一方の面よりも平滑に形成することで、他方の面から出射して「光反射部」によって反射された光を他方の面から導光板内にスムーズに入射させることができるため、「発光素子」からの光の利用効率を十分に向上させて、十分に明るく照明することができる。
【0036】
さらに、導光板4における両端面4c,4cに光源3a,3b(発光素子12a,12b)をそれぞれ配設した構成を例に挙げて説明したが、両端面4c,4cのうちの一方だけに光源3(発光素子12)配設する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 照明器具
3a,3b 光源
4 導光板
4a 一方の面
4b 他方の面
4c 端面
5 反射板
12a,12b 発光素子
21 光拡散部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する材料によって板状に形成された導光板と、当該導光板の端面から当該導光板に光を入射可能に配設された発光素子と、前記導光板における一方の面に配設された光拡散部と、前記導光板における他方の面に配設された光反射部とを備え、前記発光素子からの光を前記導光板における前記一方の面から出射可能に構成された照明器具であって、
前記光拡散部は、前記導光板における前記一方の面から出射させる光を拡散可能に当該一方の面に形成された微細凹凸で構成され、
前記導光板は、前記一方の面よりも前記他方の面の方が平滑となるように形成され、
前記光反射部は、前記導光板とは別体に形成されて当該導光板における前記他方の面に対向配置されると共に当該他方の面から出射した光を反射して当該他方の面から当該導光板に入射させる照明器具。
【請求項2】
前記導光板は、前記一方の面が突出するように湾曲させられている請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
光透過性を有する材料によって板状に形成された導光板と、当該導光板の端面から当該導光板に光を入射可能に配設された発光素子と、前記導光板における一方の面に配設された光拡散部と、前記導光板における他方の面に配設された光反射部とを備え、前記発光素子からの光を前記導光板における前記一方の面から出射可能に構成された照明器具を製造する照明器具の製造方法であって、
前記導光板における前記一方の面から出射させる光を拡散可能な微細凹凸を前記光拡散部として当該一方の面に形成すると共に、当該一方の面よりも前記他方の面の方が平滑となるように当該導光板を形成し、
前記導光板における前記他方の面から出射した光を反射して当該他方の面から当該導光板に入射させるように当該導光板とは別体に形成した前記光反射部を当該他方の面に対向配置する照明器具の製造方法。
【請求項4】
前記光透過性を有する材料としての樹脂材料を用いて前記導光板を射出成形する際に前記微細凹凸を前記光拡散部として前記一方の面に形成する請求項3記載の照明器具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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