説明

照明器具の緩衝材

【課題】円盤状の照明器具を容易に箱詰めして、確実に固定できるようにする。
【解決手段】八角形状の底板1の対向する端辺に端板2を、各斜辺に隅板3をそれぞれ連設し、端板2の先端に押圧板4を連設して、押圧板4とその両側の隅板3とを繋部5を介して連結し、繋部5と隅板3の境界に山折線6を、繋部5と押圧板4の境界に谷折線7をそれぞれ入れ、円盤状の照明器具Lを底板1に載せて、押圧板4を引き上げると、端板2及び隅板3が起立して、照明器具Lの外周部が下方から抱持されると共に、繋部5が山折線6と谷折線7に沿って折り込まれ、押圧板4が内側へ折れ曲がって、照明器具Lの外周部が上方から押さえられるようにする。また、底板1を切り込んで、アダプタ固定片8及び器具固定片10を形成し、アダプタ固定片8でアダプタAを固定し、アダプタAを包み込むように山形に折り曲げて起立させた器具固定片10で照明器具Lを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、円盤状の照明器具を梱包する際、照明器具と共に箱に収納し、照明器具を輸送時の衝撃から保護する緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、図8に示すように、シーリングライト等の円盤状の照明器具Lを保護する梱包用緩衝材として、箱61に照明器具Lと共に収納する段ボール製のものが記載されている。
【0003】
この緩衝材は、照明器具Lを載せる八角形状の底板51の周囲各辺のうち、箱61の各側板62に対応する四方の端辺に端板52を、斜辺に隅板53をそれぞれ連設し、端板52と隅板53の基端部を繋ぐ繋部54を設け、底板51の角を起点として、端板52と繋部54の境界に隅板53の方向へ傾斜した斜折線55を入れると共に、端板52の両側部に谷折線56を入れたものとされている。
【0004】
このような緩衝材では、天面のフラップ63を開けた箱61へ挿入すると、端板52が斜折線55及び谷折線56に沿って内側へ傾くように折れ曲がり、端板52により照明器具Lが押さえられ、隅板53が箱61の隣接する2枚の側板62に当接するように外側へ傾いて起立し、隅板53に支持されて箱61が補強される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4349966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような緩衝材では、天面開閉式の箱61に代えて、側面に開閉用のフラップを有する箱を使用した場合、箱への挿入時に、隅板53を傾いた起立状態に維持するのが難しく、作業性がよくないという問題がある。
【0007】
また、照明器具Lの外周部の厚みが大きい場合、端板52では照明器具Lの外周部を包み込むように保持することができず、照明器具Lを安定して所定の位置に固定できないという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、円盤状の照明器具を容易に箱詰めして、確実に固定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、八角形状の底板の対向する端辺に端板を、各斜辺に隅板をそれぞれ連設し、端板の先端に押圧板を連設して、押圧板とその両側の隅板とを繋部を介して連結し、繋部と隅板の境界に山折線を、繋部と押圧板の境界に谷折線をそれぞれ入れ、円盤状の照明器具を底板に載せて、押圧板を引き上げると、端板及び隅板が起立して、照明器具の外周部が下方から抱持されると共に、繋部が山折線と谷折線に沿って折り込まれ、押圧板が内側へ折れ曲がって、照明器具の外周部が上方から押さえられるようにしたのである。
【0010】
また、前記底板を切り込んでアダプタ固定片を形成し、アダプタ固定片を底板の中心部に折り重ね、照明器具の取付用アダプタをアダプタ固定片の係止穴に嵌め込んで固定することとしたのである。
【0011】
さらに、前記底板をアダプタ固定片の折重位置から両側方へ切り込んで、一対の器具固定片を形成し、アダプタを包み込むように各器具固定片を山形に折り曲げて起立させ、器具固定片同士を重ね合わせて一体化し、照明器具を器具固定片に係合させて固定することとしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る緩衝材では、端板の先端に連設した押圧板を介してその両側の隅板が繋がれているので、一対の押圧板を引き上げるだけで、隅板が傾いた起立状態に維持され、円盤状照明器具を端板、隅板及び押圧板で包み込むように保持しつつ、容易に箱詰めして梱包することができ、照明器具のセード等、傷つきやすい部分を保護できる。
【0013】
また、取付用アダプタを包み込んで強度が確保された器具固定片により、照明器具を定位置に固定できるので、樹脂製の固定部材等を別途用いることなく、輸送中の照明器具のがたつきを防止することができ、梱包コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態に係る緩衝材のブランクを示す図
【図2】同上のアダプタ固定片の折重状態を示す斜視図
【図3】同上の器具固定片の起立状態を示す斜視図
【図4】同上の照明器具を載せた状態を示す斜視図
【図5】同上の押圧板を引き上げた状態を示す斜視図
【図6】同上の箱への挿入過程を示す斜視図
【図7】同上の箱へ挿入した梱包状態を示す斜視図
【図8】従来の緩衝材による梱包状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、この緩衝材の段ボール製ブランクでは、底板1が八角形状とされ、その周囲の対向する端辺に先広がりの端板2が、四隅の各斜辺に台形状の隅板3がそれぞれ連設されている。底板1と端板2の境界には、押罫が入れられ、底板1と隅板3の境界には、押罫が入れられると共に、後述する隅板3の起立状態を自立的に維持するため、脚部3aを形成するスロット及び切込が入れられている。
【0017】
端板2の先端には、押圧板4が連設され、端板2と押圧板4の境界には、折曲抵抗を軽減するため、押罫と断続する切目から成るリード罫が入れられている。押圧板4とその両側の隅板3とは、繋部5を介して連結されている。繋部5と隅板3の境界には、折曲抵抗を軽減するため、リード罫の山折線6が入れられ、繋部5と押圧板4の境界には、他の罫線とは逆方向への折り曲げを可能とするため、リード罫の谷折線7が入れられている。
【0018】
底板1には、アダプタ固定片8が中央側から一方の開放された端辺側へかけて切込により形成されている。アダプタ固定片8の基端には、押罫が入れられ、アダプタ固定片8の中央部には、係止穴9が設けられている。
【0019】
また、底板1には、一対の器具固定片10が中央側から両方の端板2側へかけて切込により形成されている。器具固定片10の基端と長さ方向の中央部には、後述するアダプタAを保持するため、僅かにV字状に屈曲した押罫が入れられている。
【0020】
また、底板1には、他方の開放された端辺側に、箱への挿入時や、箱からの取り出し時に手を掛ける取手穴11が設けられている。
【0021】
さらに、端板2の側縁、アダプタ固定片8及び器具固定片10の側縁及び先端に臨む部分には、隣接する部分からの分離起立を容易にするため、抜落穴が設けられている。
【0022】
このようなブランクから成る緩衝材を使用して、シーリングライトのような円盤状の照明器具を梱包する際には、図2に示すように、アダプタ固定片8を底板1の中心部に折り重ね、アダプタ固定片8の係止穴9に照明器具の取付用アダプタAの裏側の凸部を嵌め込んで、アダプタAを移動しないように固定する。
【0023】
次に、図3に示すように、アダプタAを包み込むように各器具固定片10を山形に折り曲げて起立させ、器具固定片10同士を重ね合わせてテープ貼りにより一体化する。
【0024】
続いて、図4に示すように、照明器具Lの器具本体Mを上下反転させて底板1に載せ、器具本体Mの中央部の穴に器具固定片10を挿入して係合させ、器具本体Mを移動しないように固定する。
【0025】
その後、図5に示すように、器具本体Mに上下反転させたセードSを被せ、押圧板4を引き上げると、端板2及び隅板3が起立して、照明器具Lの外周部が下方から抱持されると共に、繋部5が山折線6と谷折線7に沿って折り込まれ、押圧板4が内側へ折れ曲がって、照明器具Lの外周部が上方から押さえられる。
【0026】
そして、底板1の端部にリモコンRをテープ等で固定し、一対の押圧板4を押さえた状態で、図6に示すように、側面のフラップ22を開けた箱21に、照明器具Lを緩衝材と共に挿入し、図7に示すように、フラップ22を閉じると、梱包が完了する。
【0027】
上記のような緩衝材では、端板2の先端に連設した押圧板4を介してその両側の隅板3が繋がれているので、一対の押圧板4を引き上げるだけで、隅板3が傾いた起立状態に維持され、照明器具Lを端板2、隅板3及び押圧板4で包み込むように保持しつつ、容易に箱21に挿入して、梱包することができ、セードSのように、柔らかく傷つきやすい部分を輸送時の衝撃から確実に保護できる。
【0028】
また、アダプタAを包み込んで強度が確保された器具固定片10により、照明器具Lを定位置に保持できるので、樹脂製の固定部材等を別途用いることなく、輸送中の照明器具Lのがたつきを防止することができ、梱包コストを抑制することができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、器具固定片10同士をテープの貼付で一体化したものを例示したが、一方の器具固定片10に設けた係合片を、他方の器具固定片10に設けた係合穴に押し込んで、器具固定片10同士を一体化するようにしてもよい。
【0030】
また、側面開閉式の箱21に挿入する場合について例示したが、通常の天面開閉式の箱を使用して梱包することもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 底板
2 端板
3 隅板
3a 脚部
4 押圧板
5 繋部
6 山折線
7 谷折線
8 アダプタ固定片
9 係止穴
10 器具固定片
11 取手穴
21 箱
22 フラップ
L 照明器具
M 器具本体
S セード
A アダプタ
R リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
八角形状の底板(1)の対向する端辺に端板(2)を、各斜辺に隅板(3)をそれぞれ連設し、端板(2)の先端に押圧板(4)を連設して、押圧板(4)とその両側の隅板(3)とを繋部(5)を介して連結し、繋部(5)と隅板(3)の境界に山折線(6)を、繋部(5)と押圧板(4)の境界に谷折線(7)をそれぞれ入れ、円盤状の照明器具(L)を底板(1)に載せて、押圧板(4)を引き上げると、端板(2)及び隅板(3)が起立して、照明器具(L)の外周部が下方から抱持されると共に、繋部(5)が山折線(6)と谷折線(7)に沿って折り込まれ、押圧板(4)が内側へ折れ曲がって、照明器具(L)の外周部が上方から押さえられるようにした照明器具の緩衝材。
【請求項2】
前記底板(1)を切り込んでアダプタ固定片(8)を形成し、アダプタ固定片(8)を底板(1)の中心部に折り重ね、照明器具(L)の取付用アダプタ(A)をアダプタ固定片(8)の係止穴(9)に嵌め込んで固定することを特徴とする請求項1に記載の照明器具の緩衝材。
【請求項3】
前記底板(1)をアダプタ固定片(8)の折重位置から両側方へ切り込んで、一対の器具固定片(10)を形成し、アダプタ(A)を包み込むように各器具固定片(10)を山形に折り曲げて起立させ、器具固定片(10)同士を重ね合わせて一体化し、照明器具(L)を器具固定片(10)に係合させて固定することを特徴とする請求項2に記載の照明器具の緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−96841(P2012−96841A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247408(P2010−247408)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】