説明

照明器具移送可能型照明システム

【課題】低WのLED光源を多数設置したときのメンテナンス上の課題を解決し、これらを使用した経済的で効率的な照明システムを提供する。
【解決手段】低WのLED電球12又はLEDランプモジュールを備えた多数の小型照明器具を、移送用ロープ30を移送装置により移送することで、連続したルートで移送することにより、全ての該照明器具の設置・点検・交換等の作業が設置場所と異なる好ましい場所で容易に行える照明器具移送可能型照明システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED電球又はLEDランプモジュールを備えた照明器具等の多数の小型照明器具を連続したルートで移送することにより、全ての該照明器具への設置・点検・交換等の作業を設置場所と異なる好ましい作業場所で容易に行える照明器具移送可能型照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具の設置場所や設置高さのためメンテナンス困難で対象面積が広い場合の照明システムは、高効率・長寿命のセラミックメタルハライドランプ(以下セラメタ)を装着した照明器具(以下セラメタ照明器具)を効率良く配置し、初期投資額とランニングコストを軽減する照明システムが一般的になって来ている。
また、多数の設備や保管棚等が設置される大規模な工場・倉庫や車両が常時通行する長大トンネル等に対しては、メンテナンス時の対象区域の使用制限が大きな障害となるので、メンテナンスの間隔・必要時間は重要な課題である。これらに対しては、セラメタの平均寿命が24000時間に改善され、作業時間の短縮対策として各種の照明器具昇降装置が採用されている。
しかし、セラメタの更なる効率化・長寿命化は、技術的・経済的に困難になりつつあり、照明器具昇降装置以外の作業時間短縮対策は出現していない。
【0003】
セラメタ以外の高効率・長寿命の光源として平均寿命40000時間の点灯用電源が一体化された10W以下のLED電球が市販されているが、セラメタと比較すると以下の理由により前記のメンテナンス性が重要視される照明には実用的な光源とならない。
a)点灯用電源を含めた光源のコスト比較をすると、平均寿命を考慮しても割高である。
b)LED電球が10W以下に対しセラメタは700Wクラス迄が市販されており、照明設計による必要灯数に非常に差があり、メンテナンス上問題となる。
また、セラメタの中・高ワット相当消費電力のLED電球やLEDランプモジュールを組み込んだ照明器具は、LEDの放熱対策上から現状では製作困難で100Wがほぼ限界であり、製作しても高価となり限定用途以外には生産されていない。
しかし、LED電球やLEDランプモジュールを備えた照明器具(以下LED照明器具)は以下に示す方向にある。
a)電源を含めた光源のコストについては、照明以外にも用途範囲が広く大きな需要が期待されるLEDは激烈な競争化にあり、セラメタよりコスト削減ペースが速い。また、照明器具のコスト比較では、配光設計されているLED電球は簡易な照明器具が使用可能であり、所定配光の反射板を備えた照明器具が必要なセラメタより低コストとなり、照明器具を含めたトータルコストの差は、光源と点灯用電源のコスト差より縮小する。
b)電源を含めた光源の効率比較では、セラメタとLED電球とはほぼ同等になってきている。また、配光設計されたLED電球を露出して使用可能なLED照明器具と比較して、セラメタを所定配光の反射板に内蔵することが必要なセラメタ照明器具は光束ロスが通常20%以上ある。従って、総合効率ではLEDが優位である。また、前記の理由により効率改善ペースもLED電球の方が速い。
c)一般用の室内光源でなくセラメタの代替光源としての長寿命化設計をすれば、LED電球やLEDランプモジュールの平均寿命の延長は現状でも可能である。
d)現在市販されているLED電球は10W以下であるが、現在でも技術的には数十WクラスのLED電球は量産可能である。
なお、LED電球の中ワット化に関しては特許文献1〜3で種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-296245 LEDランプ
【特許文献2】特開2007-273209 照明器具、光源体
【特許文献3】特許登録4268472 照明装置及びランブモジュール
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のLED電球やLEDランプモジュールのセラメタとの改善ペースの差に鑑み、小型のLED照明器具を多数設置した場合の設置・点検・交換上の課題を解決すべく創案されたものであって、LED照明器具を連続したルートで移送することにより、全ての該照明器具への設置・点検・交換等の作業を設置場所と異なる好ましい作業場所で容易に行える照明器具移送可能型照明システムを提供することを主たる目的とする。また、中小Wセラメタや蛍光灯を備えた小型照明器具についても、同様のシステムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題を解決するために成した第一の発明は、
照明器具が装着された複数の器具装着部と;
該器具装着部を支持するとともに該器具装着部移送時には誘導部ともなる支持誘導部と;
全ての前記器具装着部に連続して架設された移送用部材を移送する移送装置と;
前記移送用部材で移送される被移送部材に架設された送電線を介して前記照明器具に電力を供給する電源部とで;
構成され、前記器具装着部を連続したルートで移送することにより、全ての前記照明器具への作業が設置場所と異なる場所で行えることを特徴とする照明器具移送可能型照明システムである。
本発明の構成は、以下の通りである。
a)前記照明器具は、比較的小型の多数の照明器具で、LED電球等の点灯用電源一体型ランプ又は各種光源と点灯用電源が装着され、前記器具装着部に装着されて設置・点検・交換等の作業時に連続したルートで移送され、設置場所と作業場所との間を移動する。点灯用電源は、照明器具に内蔵又は別置のいずれかとする。連続したルートとは、照明設計で決定された照明器具の設置場所と作業場所とを連結する連続したルートで、起点と終点が異なるオープンルートでも起点と終点の無いエンドレスルートでもよい。また、照明設計で決定される照明器具の配置場所を連結するルートの端部又は途中に作業場所を設けてもよく、ルートを延長して好ましい作業場所を含むルートとしてもよい。さらに、照明器具を設置された高さから床上近く迄昇降させるルートとしてもよい。
b)前記器具装着部には、各々に必要数の前記照明器具が装着される。器具装着部と照明器具を一体化してもよい。照明器具の外部に設置される点灯用電源等が大きく同一の器具装着部に装着出来ない場合は、照明器具と点灯用電源等とを複数の器具装着部に別々に装着してもよい。また、ボールプランジャーやプランジャー機能付ボールローラー等(以下ボールプランジャー等)を装着して前記支持誘導部を軽く押圧し、外力による器具装着部の振動や揺れを防止してもよい。また、照明器具との結合部に回動部又はボールジョイント部を設け、照射方向を可変としてもよい。さらに、回動部又はボールジョイント部の軸受け側にボールプランジャーを装着し、軸側に予め設定された複数の照射方向に対応するボールプランジャーのボール勘合用の複数の凹部を設けて、照射方向の設定・確認をし易くしてもよい。
c)前記支持誘導部は、前記器具装着部を支持するとともに移送時には誘導部ともなる部材で外部構造物に取り付けられるが、器具装着部等が軽量で支持・移送に支障が無い場合は必ずしも連続して設ける必要はなく、分散設置してもよい。また、ボールプランジャー等を設置して前記器具装着部を軽く押圧し、外力による振動や揺れを防止してもよい。
d)前記移送用部材は、前記器具装着部に連続して架設されたロープ、ベルト、又はチェイン等の移送用部材である。前記移送装置に対応して、ベルトはタイミングベルト、チェインはアタッチメント付チェイン等となる。前記支持誘導部が無い場所では器具装着部を支持するとともに、設置・点検・交換等の作業時に移送装置により移送され、器具装着部等の前記被移送部材を移送する。また、支持誘導部が無い場所又は支持誘導部に器具装着部の下面支持機能が無い場所で、移送用部材を弛ませる様に移送して、被移送部材を昇降させ床上等の好ましい高さで作業が可能としてもよい。さらに、移送用部材をアース線として送電系統に組み込み、前記送電線の架設本数を削減することも出来る。
e)前記移送装置は、前記移送用部材を直接移送する又は引き出し・引き込み・移送用の補助ロープ等を連結して間接移送する減速モーター等により駆動される装置である。移送装置は作業時以外には不必要なので、作業終了後に連結を外して可搬式移送装置とすることも出来る。
f)前記送電線は、点灯用電源各相の送電線で、前記被移送部材に架設され前記照明器具に分岐接続されるとともに、静止状態で前記電源部の点灯用電源に点灯制御回路を経由して接続される。被移送部材とは、器具装着部、器具装着部に装着された照明器具や別置型点灯用電源等の部材、及び、移送用部材に直接装着された送電線架設用部材等の移送される部材である。また、送電線に移送用部材としての機能を持たせ、移送用部材を使用しないことも出来る。
g)前記電源部は、前記照明器具に対する単相二線式、単相三線式、三相三線式、三相四線式等の送電方式の電源で点灯制御回路等の電源制御部を備える。停電時にも照明する場合は非常用電源を含む。必要な場合は、前記移送装置の電源を含む。
本発明の照明器具の設置・点検・交換等の作業の手順の概要例は、以下の通りである。
a)照明器具の設置
外部構造物に取り付けられた支持誘導部に引き込み用ロープを通し、次に移送用部材と送電線が架設された器具装着部の移送用部材と連結して、移送装置により支持誘導部の内部に引き込む。照明器具は当初より器具装着部に装着するか又は引き込みながら支持誘導部の入り口部等で順次に装着する。全ての照明器具の移送完了後、移送用部材の端部を固定し、送電線と電源部とを接続する。
b)照明器具の点検・交換の作業
移送ルートがエンドレスルートの場合は、電源部と送電線との接続を取り外し、移送装置により全ての器具装着部を移送しながら好ましい作業場所で順次に器具装着部と照明器具の点検・交換作業を行う。移送は、移送用部材を直接移送してもよく、補助ロープ等を連結しこれにより移送してもよい。点検・交換作業が終了し当初位置に復帰後に移送用部材を固定し送電線を接続する。
オープンルートの場合は、移送用部材に引き出し・引き込み用ロープを連結し、次に引き出し用ロープと移送装置とで全ての器具装着部と照明器具を支持誘導部から引き出しながら好ましい作業場所で順次に器具装着部と照明器具の点検・交換の作業を行う。点検・交換の作業が終了後、引き込み用ロープと移送装置とで支持誘導部の内部に引き込み、当初位置に復帰後に移送用部材を固定し送電線を接続する。点検・交換作業は、引き込み時に行ってもよい。また、引き出し・引き込み用ロープは、設置時に連結しておいてもよい。
また、エンドレスルート又はオープンルートのいずれの場合でも、本発明の構成d)項で記載した様に移送用部材を弛ませて移送し、照明器具を昇降させることも出来る。
c)照明器具の機種変更、設置数の増減、又は設置場所の変更も点検・交換と同様である。
【0007】
第二の発明は、
前記支持誘導部の所定位置に対応する前記移送用部材への装着位置の前後にスライド可能に装着された前記器具装着部と;
スライド可能な該器具装着部を、位置設定時の移送方向にスライドさせるスライド用コイルバネと;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部に装着されスライド可能な前記器具装着部の当接部位と当接して又は該器具装着部に装着され該支持誘導部の当接部位と当接して該器具装着部を前記所定位置に設定し、前記スライド用コイルバネのスライド力では退避せず、前記移送装置の移送力では少なくとも一方の移送方向には退避可能で、外力消失後は自己復帰する位置設定用リミッターと;
前記移送装置とで;
構成された器具装着部位置設定機構に対応するスライド可能な前記器具装着部を備え、全ての該器具装着部を各々の前記所定位置に対し位置設定時の移送方向後方側の位置に移送後に、全ての該器具装着部のスライド範囲に各々の該所定位置が含まれる様に前記移送用部材を移送し、その後に該移送用部材を固定して、スライド可能な該器具装着部を前記支持誘導部の該所定位置に設定することを特徴とする第一の発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
前記移送ルートが長くなると、支持誘導部の寸法・設置の誤差や移送用部材の伸びの誤差等により位置ずれが発生し、器具装着部を支持誘導部の各々の所定位置に正確に設置することが困難になる。所定位置とは、照明設計で決定された各照明器具の位置である。照明設計上の許容範囲内に設置されても、照明器具配置上の美観等の理由により正確な位置設定が要求される場合がある。本発明は、このような正確な位置設定が必要な器具装着部を、移送完了時に位置設定用リミッターとスライド用コイルバネとで所定位置に正確に設定する方法である。本発明は、全ての器具装着部に対しても適用することが出来るが、スライド用コイルバネの全圧力が移送用部材にかかるので、正確な位置設定が必要な器具装着部に限定した方がよい。
本発明の位置設定用リミッターは、いずれの移送方向に対しても退避可能で外力消失後は自己復帰する双方向退避型位置設定用リミッター、又は、一方の移送方向に対して退避可能で外力消失後は自己復帰し逆方向の移送方向に対しては退避不可の片方向退避型位置設定用リミッター、のいずれかとする。本発明は、位置設定用リミッターを、支持誘導部又は器具装着部のいずれかに装着するか、双方向退避型又は片方向退避型のいずれとするか、移送方向のいずれの側に当接部位を設けるか、によって具体的な構成と操作手順が異なる。
以下に、代表例としてa)〜d)の四例についての各構成と所定位置に設置する手順を記載する。
a)双方向退避型位置設定用リミッターを、器具装着部の移送方向前方側に設けた当接部位に当接する様に、支持誘導部に装着する場合。
スライド可能な前記器具装着部は、前記移送用部材に固定せず前後のストッパー等によりスライド範囲を限定して装着される。スライド範囲は、前記支持誘導部の所定位置に対応する装着位置を含む移送用部材の伸び等の誤差を考慮するとともに、移送用部材に固定された器具装着部がほぼ所定位置となる位置に移送された時に、全てのスライド可能な器具装着部のスライド範囲に各々の所定位置が含まれる範囲とする。
前記スライド用コイルバネは、スライド可能な前記器具装着部を位置設定時の移送方向にスライドさせる様に装着される。位置設定時の移送方向とは、器具装着部を各々の前記所定位置に最終的に設定するときの移送方向であり、双方向退避型位置設定用リミッターの場合はいずれかの移送方向となる。従って、コイルバネのスライド方向は、全ての器具装着部で同一方向となる。コイルバネの装着方法は、器具装着部をスライド可能であれば拘らない。最も単純な構成は、移送部材の位置設定時の移送方向後方側に設けたストッパーと器具装着部との間に圧縮コイルバネを装着し、位置設定時の移送方向前方側に設けたストッパーに押接する構成である。また、支持誘導部に装着する方法もあるが、被移送部材に装着する方法に比べ構造が複雑になる。コイルバネの代わりに、ガススプリングを使用することも出来る。
前記支持誘導部は、第一の発明における支持誘導部である。
前記双方向退避型位置設定用リミッターは、移送方向前方側の当接部位が当接した前記器具装着部が前記所定位置となる様に、前記支持誘導部に設けられる。器具装着部の移送時には前記スライド用コイルバネのスライド力では退避しないが、前記移送装置の移送力では退避する。従って、該リミッターの退避荷重をスライド用コイルバネのスライド力より充分大きくとる必要があるが、必要以上にとると器具装着部を移送する時の移送抵抗が過大になる。
前記移送用部材と前記移送装置は、第一の発明における移送用部材と移送装置である。
本構成の所定位置への設定手順は、以下の通りである。
スライド用コイルバネでスライド範囲の同一の側にスライドされた全てのスライド可能な器具装着部を、支持誘導部の各々の所定位置に対しスライド方向の後方側の位置に(スライド方向に移送する場合は各々の所定位置の手前迄)移送する。次に、全てのスライド可能な器具装着部が各々のスライド範囲に各々の所定位置が含まれるとともに固定された器具装着部がほぼ所定位置となる位置に移送用部材を移送し、その後に移送用部材を固定すれば、スライド可能な器具装着部は、位置設定用リミッターとスライド用コイルバネにより所定位置に正確に設定される。
b)双方向退避型位置設定用リミッターを、支持誘導部の移送方向後方側に設けた当接部位に当接する様に、器具装着部に装着する場合
器具装着部に位置設定用リミッターが装着され、支持誘導部に移送方向後方側が当接面となる当接部位が設けられる以外は、a)項と同様である。
c)片方向退避型位置設定用リミッターを、器具装着部の連続移送方向前方側に設けた当接部位に当接する様に、支持誘導部に装着する場合
片方向退避型位置設定用リミッターが装着されるので、器具装着部の連続移送方向も位置設定時の移送方向も、該リミッターの退避可能な方向に限定される以外は、a)項と同様である。
d)片方向退避型位置設定用リミッターを、器具装着部の連続移送方向後方側に設けた当接部位に当接する様に、支持誘導部に装着する場合
器具装着部の連続移送方向後方側の当接部位が当接面となり、スライド用コイルバネが器具装着部を連続移送方向の逆方向にスライドさせる以外は、c)項の構成と同様である。本構成で、スライド用コイルバネのスライド方向がc)項と逆方向である理由は、以下の操作手順で記載される様に位置設定時の移送方向が連続移送方向に対し逆方向となるためである。
本構成の所定位置への設定手順は、以下の通りである。
スライド用コイルバネでスライド範囲の連続移送方向後方側にスライドされた全てのスライド可能な器具装着部を、支持誘導部の各々の所定位置に対し連続移送方向前方側の位置に移送する。次に、全てのスライド可能な器具装着部が各々のスライド範囲に各々の所定位置が含まれるとともに固定された器具装着部がほぼ所定位置となる位置に移送用部材を逆方向に移送し、その後に移送用部材を固定すれば、スライド可能な器具装着部は、位置設定用リミッターとスライド用コイルバネにより所定位置に正確に設定される。ただし、位置設定のため逆方向移送する時の器具装着部の位置は、逆方向移送中に他の器具装着部の片方向退避型位置設定用リミッターと当接しない位置としなければならない。
この構造では、位置設定用リミッターの退避荷重をスライド用コイルバネのスライド力とは無関係に自己復帰に必要な程度に小さく出来るので位置設定用リミッターによる移送抵抗が小さくなるメリットがある。
【0008】
第三の発明は、
前記支持誘導部の所定位置に対応する前記移送用部材への装着位置の前後にスライド可能に装着された前記器具装着部と;
前記支持誘導部と;
前記移送装置と;
該支持誘導部に装着されスライド可能な前記器具装着部の当接部位と当接して又は該器具装着部に装着され該支持誘導部の当接部位と当接して該器具装着部を前記所定位置に設定し、前記移送装置の移送力では少なくとも一方の移送方向には退避可能で、外力消失後は自己復帰する位置設定用リミッターと;
前記支持誘導部と平行に設置されたスライド用リミッターの移送誘導部と;
該移送誘導部を移送され、スライド可能な該器具装着部の当接部位と当接して該器具装着部を前記所定位置までスライドさせた後に、前記位置設定用リミッターによる抵抗力で退避し、外力消失後は自己復帰するスライド用リミッターと;
該スライド用リミッターが装着された移送操作用部材の移送操作装置とで;
構成された器具装着部位置設定機構に対応するスライド可能な前記器具装着部を備え、全ての該器具装着部を各々のスライド範囲に前記所定位置を含むとともに各々の該所定位置に対し前記当接部位と前記位置設定用リミッターとが当接すれば前記所定位置となる側に移送後に、前記スライド用リミッターを該器具装着部が該所定位置となる方向に移送操作して該器具装着部を順次に該所定位置に設定することを特徴とする第一の発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
本発明は、第二の発明のスライド用コイルバネの代わりに、前記移送誘導部を移送操作されるスライド用リミッターにより器具装着部を所定位置に順次にスライドさせる構成となっている。本発明は、第二の発明に比べ複雑な構成であるが、移送用部材にはスライド用コイルバネの圧力がかからないので、全ての器具装着部について位置設定機構を設けることが出来る。スライド可能な器具装着部の位置設定後の位置変動が懸念される場合は、第一の発明で記載したようにボールプランジャー等を支持誘導部又は器具装着部のいずれかに装着するか、又は、第四〜第七の発明による器具装着部固定機構を使用する。
本発明も、位置設定用リミッターを、支持誘導部又は器具装着部のいずれかに装着するか、双方向退避型又は片方向退避型のいずれとするか、器具装着部の移送方向のいずれの側に当接部位を設けるか、によって具体的な構成と操作手順が異なる。
以下に、代表例としてa)〜d)の四例についての各構成と所定位置に設置する手順を記載する。
a)双方向退避型位置設定用リミッターを、器具装着部の移送方向前方側に設けた当接部位に当接するように、支持誘導部に装着する場合
前記器具装着部は、第二の発明に示す器具装着部で、移送方向前方側に前記位置設定用リミッターとの当接部位を設ける。前記スライド用リミッターとの当接部位は、移送方向後方側に設ける。当接部位は、器具装着部の一部とするか、又は、スライド可能な器具装着部のみに別途装着する。
前記支持誘導部と前記移送装置は、第一又は第二の発明に示す支持誘導部と移送装置である。
前記双方向退避型位置設定用リミッターは、移送方向前方側の当接部位に当接した前記器具装着部が前記所定位置となるように、前記支持誘導部に設けられる。器具装着部の移送時には器具装着部の当接部に当接したら退避するが、前記スライド用リミッターによるスライド時には退避せず器具装着部を所定位置に保持する。従って、双方向退避型位置設定用リミッターの退避荷重をスライド用リミッターの退避荷重より充分大きくとる必要があるが、必要以上にとると器具装着部を移送する時の移送抵抗が過大になる。
前記移送誘導部は、前記支持誘導部と平行に前記スライド用リミッターが移送操作される場所に設けられる。支持構造や移送操作方法等の理由により、支持誘導部の全ての場所に設けてもよい。
前記スライド用リミッターは、前記移送操作部材に装着され前記移送誘導部を移送操作され、スライド可能な器具装着部の当接部位と当接して順次に器具装着部を前記所定位置にスライドさせた後に、前記位置設定用リミッターによる移送抵抗で退避し、外力消失後は自己復帰することを繰り返すリミッターである。また、スライドさせる器具装着部を分担するスライド用リミッターを移送操作部材に複数装着し、移送操作距離を短縮することも出来る。なお、前記移送用部材に固定された器具装着部に対しては、スライド用リミッターは当接しても退避する。
前記移送操作用部材は、前記移送誘導部を前記移送操作装置で移送される。具体的には第一の発明の移送用部材と同様なロープ、ベルト、又はチェイン等である。
本構成の所定位置への設定手順例は、以下の通りである。
全てのスライド可能な器具装着部を、各々のスライド範囲に所定位置を含むとともに各々の所定位置に対して移送方向後方側に移送した後に(支持誘導部の位置設定用リミッターと器具装着部の当接部位とが当接すれば所定位置に設定される側に移送した後に)、スライド用リミッターを移送方向に移送操作して、スライド可能な器具装着部を順次に所定位置に設定する。その後に移送用部材を他の器具装着部を位置設定する静止位置に移送し、固定する。
b)双方向退避型位置設定用リミッターを、支持誘導部の移送方向後方側に設けた当接部位に当接するように、器具装着部に装着する場合
器具装着部に位置設定用リミッターが装着され、支持誘導部に移送方向後方側が当接面となる当接部位が設けられる以外は、a)項の構成と同様である。
c)片方向退避型位置設定用リミッターを、器具装着部の移送方向前方側に設けた当接部位に当接するように、支持誘導部に装着する場合
片方向退避型位置設定用リミッターが装着されるので、器具装着部の連続移送方向も位置設定時の移送方向も、該リミッターの退避可能な方向に限定される以外は、a)項と同様である。
d)片方向退避型位置設定用リミッターを、器具装着部の移送方向後方側に設けられた当接部位に当接するように、支持誘導部に装着する場合
器具装着部の移送方向後方側に設けられた当接部位が当接面となり、スライド用リミッターが連続移送方向の逆方向に移送操作される以外は、c)項の構成と同様である。
本構成の所定位置への設定手順は、以下の通りである。
全てのスライド可能な器具装着部を、各々のスライド範囲に所定位置を含むとともに支持誘導部の各々の所定位置に対し連続移送方向前方側に移送した後に(支持誘導部の位置設定用リミッターと器具装着部の当接部位とが当接すれば所定位置に設定される側に移送した後に)、スライド用リミッターを連続移送方向の逆方向に移送操作すれば、スライド可能な器具装着部は所定位置に正確に設定される。その後に移送用部材を他の器具装着部を位置設定する静止位置に移送し、固定する。
ただし、スライド用リミッターの移送操作前の器具装着部の位置は、移送操作中に他の器具装着部の片方向退避型位置設定用リミッターと当接しない位置としなければならない。
この構造の特徴は、第二の発明のd)構造と同様である。
また、スライド用リミッターを移送操作して順次に位置設定する本発明でなく、スライド用リミッターをスライド可能な器具装着部毎に移送操作用部材に装着すれば、移送操作用部材を各スライド用リミッターがスライド可能な器具装着部を所定位置にスライドするに必要な距離だけ移送操作し、位置設定することも出来る。この場合は、スライド用リミッターの装着個数が増加するものの位置設定は同時に行われ、移送操作用部材と移送操作装置は第四又は第六の発明の操作部材と操作装置と同様になる。また、各スライド用リミッターの押接力を使用してスライド可能な器具装着部を支持誘導部に押接することも出来る。この押接方法は、第二の発明と異なり、移送操作部材に引っ張り力を常時加えない長所がある。
【0009】
第四の発明は、
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部又は前記被移送部材に設けられ、該被移送部材を該支持誘導部に押圧固定する位置と固定解除する位置とを選択可能な回動アームと;
前記被移送部材、前記支持誘導部、又は前記回動アームに設けられたバネ圧による押圧力発生部と;
前記回動アームを連結し、同時に回動操作する操作用部材の操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記操作用部材の操作により前記回動アームを同時に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に押圧固定したり固定解除したりすることを特徴とする第一〜第三のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
外部からの振動や風力による被移送部材の振動や揺れを防止するため、被移送部材又は支持誘導部に押圧固定用のボールプランジャー等を単に装着すると移送時にも押圧力による移送抵抗が発生する。この方法では押圧力を増加させると移送抵抗が増加し、移送装置の必要駆動力や移送・支持関連部材の必要強度が過大となるので、確実な押圧固定が必要な場所の被移送部材に対して本発明の被移送部材固定機構を採用する。確実な押圧固定が必要な被移送部材は、通常、器具装着部となる。
前記被移送部材及び前記支持誘導部は、第一〜第三の発明における被移送部材及び支持誘導部である。
前記回動アームは、前記被移送部材又は前記支持誘導部に装着され、前記操作用部材で回動操作されて押圧固定又は固定解除のいずれかの位置をとる。回動アームの代わりにスライド板を使用することも出来るが、回動方式の方が構造簡単で動作も容易・確実である。
前記押圧力発生部は、前記被移送部材、前記支持誘導部、又は前記回動アームに設けられ、回動アームの押圧固定位置で被移送部材を支持誘導部に押圧する。すなわち、被移送部材に設けた押圧力発生部は支持誘導部に装着した回動アームを、支持誘導部に設けた押圧力発生部は被移送部材に装着した回動アームを、回動アームの押圧固定位置で押圧する。回動アームに設けた押圧力発生部は回動アームの押圧固定位置で支持誘導部又は被移送部材を押圧する。押圧力にはバネ圧を使用する。これには市販のボールプランジャー等が簡便な部材となる。
前記操作用部材は、前記回動アームを同時に回動操作する部材である。回動アームが前記支持誘導部に直線状に配置される場合は鋼板製でもよいが、通常はロープ、ベルト又はチェインを使用する。操作用部材を操作する時には連結した全ての回動アームの回動抵抗が同時発生するので、操作用部材の本数は増加するが対象となる回動アームを分担し操作用部材の操作力を分散することも出来る。
前記操作装置は、前記操作用部材を操作する装置で、手動操作装置でもよいが、動力操作の場合は必要な駆動装置を設ける。
本発明の具体的な構造例とその特徴を以下に示す。
a)ボールプランジャー等を備えた回動アームを支持誘導部に装着する構造。
最も単純な構造であるが、設置後の位置変更や設置数の変更が困難である。
b)ボールプランジャー等を備えた回動アームを被移送部材に装着する構造。
操作用部材が移送側に操作装置が固定側に分離して設置され、操作時に操作用部材と操作装置とを連結する構造となるため、構造や操作方法が複雑になるが、設置後の位置変更や設置数の変更が容易である。
c)ボールプランジャー等を被移送部材に、回動アームを支持誘導部に装着する構造。
ボールプランジャー等の事後交換が容易であることを除けばa)項と同様である。
【0010】
第五の発明は、
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部又は前記被移送部材に装着され、該被移送部材を該支持誘導部に押圧固定する位置と固定解除する位置とを選択可能な回動アームと;
前記被移送部材、前記支持誘導部、又は前記回動アームに設けられたバネ圧による押圧力発生部と;
前記支持誘導部と平行に設置された回動操作具の移送誘導部と;
該移送誘導部を移送され前記回動アームを順次に回動操作する回動操作具と;
該回動操作具が装着された移送操作用部材の移送操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記移送操作用部材の移送操作により前記回動アームを順次に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に押圧固定したり固定解除したりすることを特徴とする第一〜第三のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
本発明は、第四の発明の操作部材による一括回動操作の代わりに回動操作具で順次に回動アームを回動操作するもので、回動必要トルクが分散されるため押圧固定力を大きくすることが出来る。従って、全ての押圧固定が必要な被移送部材に対して採用出来る。
前記被移送部材と前記支持誘導部は、第四の発明と同様である。
前記回動アームは、第四の発明と同様である。回動アームの代わりにインデックス回転板やスライド板を使用することも出来るが、回動方式の方が構造簡単で動作も容易・確実である。
前記押圧力発生部は、第四の発明と同様である。
前記移送誘導部は、第三の発明と同様に、前記支持誘導部と平行に前記回動操作具が移送操作される場所に設けられる。
前記回動操作具は、第三の発明のスライド用リミッターと同様に、前記移送操作部材に装着されて前記移送誘導部を移送操作され、前記回動アームを順次に回動操作する。
前記移送操作用部材は、第三の発明の移送操作用部材と同様に、前記移送誘導部を前記移送操作装置で移送操作される。
前記移送操作装置は、第三の発明と同様である。
回動アームを被移送部材に装着する構造で被移送部材を移送する時には回動操作具を回動アームに接触しない位置に保持し、移送操作する時にのみ回動アームに当接させる。
本発明の具体的な構造例とその特徴を以下に示す。
a)ボールプランジャー等を備えた回動アームを支持誘導部に装着する構造。
回動アームが、支持誘導部に固定されているため動作が確実であるが、設置後の位置変更や設置数の変更が困難である。
b)ボールプランジャー等を備えた回動アームを被移送部材に装着する構造。
回動アームが、被移送部材に装着されているため支持誘導部の断面積が大きくなるが、設置後の位置変更や設置数の変更が容易である。
c)ボールプランジャー等を被移送部材に、回動アームを支持誘導部に装着する構造。
ボールプランジャー等の事後交換が容易であることを除けばa)項と同様である。
また、回動アームと回動操作具の形状や回動操作方法には種々の組み合わせがあり、回動操作具の押圧固定時の移送操作方向に対する固定解除時の移送操作方向もこれらにより決定されるが、一例としては以下の構造と操作方法がある。
支持誘導部に装着した回動アームに、固定解除後の押圧力消失時は回動アームを初期角度に復帰・保持する復帰用バネと押圧力発生部としてのボールプランジャーを装着するとともに、所定の角度で固定用当接部位と固定解除用当接部位を設ける。回動操作具には、回動操作用ローラーを装着する。
この構造の操作方法は、回動操作具を一方向に移送操作して回動操作具のローラーを回動アームの固定用当接部位に当接させ順次に固定側に回動操作し、被移送部材を押圧固定する。固定解除は、同一の回動操作具を逆方向に移送操作してローラーを回動アームの固定解除用当接部位に当接させ順次に固定解除側に回動操作し、固定解除する。ただし、固定解除の移送操作前にはローラーを小径のものに交換し(又は、ローラーに装着した大径リングを取り外し)、逆方向に移送操作した時の固定用当接部位とのロックアップを完全に回避した方がよい。なお、固定解除用当接部位は、初期角度では復帰用バネによりローラーとロックアップしない位置にある。
また、第三の発明の器具装着部位置設定機構を設ける場合は、スライド用リミッターは回動操作具の移送操作方向の前方側に装着される。押圧固定は、スライド用リミッターで位置設定後に回動操作具で回動アームを押圧固定側に回動操作して行う。また、回動アームを器具装着部に設け双方向退避型位置設定用リミッターを使用する場合は、該リミッターの退避荷重を回動操作必要トルクの移送操作方向のベクトル成分より充分大きくして器具装着部の位置ずれを発生させないようにする。固定解除は、再び回動操作具を移送操作し回動アームを固定解除側に回動操作して行う。固定解除時の移送操作方向は、回動操作具と回動アームの構造によって決定される。
【0011】
第六の発明は、
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部に装着されレバーの回動操作により前記被移送部材に設けられた磁性体部を着脱する又は該被移送部材に装着されレバーの回動操作により該支持誘導部に設けられた磁性体部を着脱するマグネットベースと;
前記レバーを連結し、同時に回動操作する操作用部材の操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記操作用部材の操作により前記レバーを同時に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に吸着固定したり固定解除したりすることを特徴とする第一〜第三のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
本発明は、第四の発明のバネ圧による押圧固定に替えてマグネットベースによる吸着固定を使用するものである。
前記被移送部材及び支持誘導部は、第四の発明と同様である。
前記磁性体部は、前記マグネットベースに吸着固定・釈放解除される部材である。前記被移送部材又は前記支持誘導部の一部を磁性体とするか、又は磁性体を被移送部材又は支持誘導部に装着する。
前記マグネットベースは、前記被移送部材又は前記支持誘導部に装着され、マグネットベースに装着されたレバーの回動操作により磁力を断続して前記磁性体部の吸着と釈放を行う永久磁石である。通常は吸着状態すなわち被移送部材を固定した状態とし、被移送部材を移送中は釈放状態すなわち固定解除した状態とする。マグネットベースは、各々の被移送部材固定機構に対して複数設けてもよい。また、マグネットベースの吸着力は吸着面間の距離で大きく変化するので、吸着面間の距離を極力小さくする構造、又は、吸着面を相互に接触させる構造とする。
前記操作用部材と前記操作装置は、第四の発明と同様である。
本発明の具体的な構造例とその特徴を以下に示す。
a)マグネットベースを支持誘導部に装着する構造。
設置後の位置や設置数の変更が困難であるが、構造・操作方法が最も簡便である。
b)マグネットベースを被移送部材に装着する構造。
操作用部材が移送側に操作装置が固定側に分離して設置され、操作時に操作用部材と操作装置とを連結する構造となるため、構造や操作方法が複雑になるが、支持誘導部の吸着位置に鉄板等の磁性体を予め装着しておけば、設置後の位置や設置数の変更が容易である。
【0012】
第七の発明は、
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部に装着されレバーの回動操作により前記被移送部材に設けられた磁性体部を着脱する又は該被移送部材に装着されレバーの回動操作により該支持誘導部に設けられた磁性体部を着脱するマグネットベースと;
前記支持誘導部と平行に設置された回動操作具の移送誘導部と;
該移送誘導部を移送され前記レバーを順次に回動操作する回動操作具と;
該回動操作具が装着された移送操作用部材の移送操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記移送操作用部材の移送操作により前記レバーを順次に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に吸着固定したり固定解除したりすることを特徴とする第一〜第三のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
本発明は、第五の発明のバネ圧による押圧固定に替えてマグネットベースによる吸着固定を使用するものである。
前記被移送部材、前記支持誘導部、前記磁性体部、及び前記マグネットベースは、第六の発明と同様である。
前記移送誘導部、前記回動操作具、前記移送操作用部材、及び前記移送操作装置は、第五の発明と同様である。
本発明の具体的な構造例とその特徴を以下に示す。
a)マグネットベースを支持誘導部に装着する構造。
設置後の位置・設置数の変更が困難であるが、構造・操作方法とも最も簡便である。
b)マグネットベースを被移送部材に装着する構造。
構造が複雑なものの支持誘導部の吸着位置に鉄板等の磁性体を予め装着しておけば、設置後の位置や設置数の変更が容易である。
【0013】
第八の発明は、
前記移送用部材と;
前記移送用部材にスライド可能に装着された前記器具装着部と;
前記移送用部材にスライド可能に装着されるが該移送用部材における静止位置が設定されている位置設定用器具装着部と;
該位置設定用器具装着部を前記静止位置に復帰させるコイルバネと;
前記器具装着部と前記位置設定用器具装着部とに回動可能に連結された器具装着部連結板とで;
構成される器具装着部連結機構を備えることを特徴とする第一〜第七のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
本発明は、器具装着部の移送ルートに円弧部があり、複数の照明器具等を一箇所に装着したり長尺の照明器具を装着したりするため、2個の器具装着部を連結する器具装着部連結板を使用する場合の構造に関するものである。移送ルートの直進部では移送用部材、2個の器具装着部、及び器具装着部連結板の位置関係は固定でもよいが、プーリー等の円弧部では弧と弦の関係により移送用部材と2個の器具装着部とは位置を、2個の器具装着部と器具装着部連結板とは相対角度を変化させる必要があり、これに対応するための構造である。
本発明の構成は、以下の通りである。
前記移送用部材は、第一〜第七の発明における移送用部材である。
スライド可能な前記器具装着部は、前記移送用部材に固定せずスライド可能に装着される。
前記位置設定用器具装着部は、スライド可能に装着されるが、外力消失時に復帰する移送用部材への静止位置が設定されており、移送用部材との位置関係の基準となる器具装着部である。
前記コイルバネは、前記位置設定用器具装着部をスライドさせて当初の静止位置に復帰させることにより、前記器具装着部連結板を前記移送用部材の当初位置に復帰させるバネである。復帰させるに必要なスライド範囲は、円弧部の形状・半径によって決定する。コイルバネの代わりに、ガススプリングを使用することも出来る。
前記器具装着部連結板は、2個の前記器具装着部を必要な間隔で回動可能に連結する連結板で前記照明器具等を装着する。移送ルートに中心角が180度以上の円弧部がある場合は、連結する器具装着部の間隔は円弧部の直径以下としなければならない。
本発明の動作を、位置設定用器具装着部が移送方向の後方側に配置された場合について、以下に記載する。
移送ルートの直進部では、器具装着部及び器具装着部連結板は当初位置・当初取り付け角度で移送される。
円弧部での動作は、以下の通りである。
前方の器具装着部が円弧部に入ると、移送用部材と前方の器具装着部は位置関係が固定される。さらに移送されると弦と弧の関係により移送角度に対応して位置設定用器具装着部は移送用部材に対して後方にスライドするとともに2個の器具装着部と器具装着部連結板の結合部も回動する。この動作は位置設定用器具装着部が円弧部で固定される迄継続される。次に、前方の器具装着部が円弧部より出ると、移送用部材と前方の器具装着部は位置関係が開放される。さらに移送されると弦と弧の関係により移送角度に対応して前方の器具装着部は移送用部材に対して後方にスライドするとともに2個の器具装着部と器具装着部連結板の結合部も回動する。この動作は位置設定用器具装着部が円弧部より出る迄継続される。次に、位置設定用器具装着部も円弧部より出ると、移送用部材と位置設定用器具装着部の位置関係も開放され、コイルバネにより位置設定用器具装着部は当初の静止位置に復帰し、器具装着部連結板も当初位置に復帰する。
【0014】
第九の発明は、
平行に設置された複数の前記支持誘導部と;
該支持誘導部を前記移送用部材で移送される前記器具装着部と;
異なる前記支持誘導部を移送される前記器具装着部を連結する器具装着部平行移送連結板と;
該器具装着部平行移送連結板に連続して架設された移送用部材を移送する移送装置とで;
構成される器具装着部平行移送機構を備えることを特徴とする第一〜第八のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムである。
本発明は、
a)長尺の照明器具又は多数の照明器具が装着された長尺の照明器具装着板を移送方向と直交して器具装着部に装着すれば、単列の支持誘導部では支持・移送が不安定となる場合
b)多数の支持誘導部の設置が必要とされる時に、支持誘導部の構造を統合する場合等に、好適な構造である。
本発明の構成は、以下の通りである。
前記支持誘導部及び前記器具装着部は、第一〜第八の発明と同様である。
前記器具装着部平行移送連結板は、異なる前記支持誘導部を移送される前記器具装着部を連結して器具装着部を平行移送する。該連結板には、長尺照明器具や多数の照明器具等が装着される。器具装着部との連結部は、支持誘導部に円弧部がある場合は回動可能な連結部とする。
前記移送用部材は、第一〜第八の発明における移送用部材である。前記器具装着部平行移送連結板に連続して架設される移送用部材は、支持誘導部の器具装着部に架設された移送用部材又は支持誘導部の外部の器具装着部平行移送連結板に別途架設された移送用部材である。
前記移送装置は、第一〜第八の発明における移送装置で、全ての前記移送用部材に設置してもよいが、中央部のみの又は両端のみの移送用部材に設置してもよい。
なお、前記送電線は、いずれかの支持誘導部又は前記被移送部材に架設される。
【0015】
第十の発明は、
前記送電線の内少なくとも一相の送電線について、複数本の送電線を併設又は一本の送電線を電気的に複数本に分割架設するとともに前記電源部に接続し、予め設定された方式で、送電線単位で点灯制御を行うことを特徴とする第一〜第九のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムの制御方法である。
本発明は、前記照明器具の点灯制御を、併設又は分割架設された送電線を含む送電線単位で行うことにより、間引き点灯等の簡便な点灯制御を行うものである。
併設又は分割架設された前記送電線は、他の送電線と同様に個別に前記電源部の点灯用電源に点灯制御回路を経由して接続される。各々の照明器具は、対応する点灯制御方式の送電線と接続する。点灯制御方式が異なる照明器具が連続したルート上で分散している場合は、複数本の送電線を併設する。また、連続して設置された照明器具のグループ単位で点灯制御方式が異なる場合は、送電線を分割架設した方が電源部との接続箇所が分散されるものの架線構造がコンパクトになる。送電線は、相毎に分割が異なってもよい。
【0016】
第十一の発明は、
前記送電線の少なくとも一相の送電線について、集電面を設けた固定送電材を前記支持誘導部に点灯制御に必要な回路数を架設し、該固定送電材を前記電源部に接続し、前記被移送部材に装着され前記照明器具に電気接続される集電端子で該固定送電材から集電することにより、予め設定された方式で、該固定送電材単位で点灯制御を行うことを特徴とする第一〜第十のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムの制御方法である。
本発明は、前記送電線の架設本数を増加させずに移送ルートの限定された場所で前記送電線又は/及び前記固定送電材単位の複数の予め設定された方式の点灯制御を行う場合、又は、全ての送電線を固定送電材で代替し同様に点灯制御する場合等の制御方法である。
前記固定送電材は、前記送電線の少なくとも一相の送電線について、前記支持誘導部に架設された点灯制御に必要な回路数の固定送電材又は及び該固定送電材を分割架設した固定送電材で、前記集電端子との集電面を持ち、前記送電線と同様に個別に前記電源部の点灯用電源に点灯制御回路を経由して接続される。また、固定送電材と同相の送電線を前記被移送部材に併設して、送電線単位の点灯制御と固定送電材単位の点灯制御とを組み合わせることが出来る。さらに、全ての前記送電線を前記固定送電材で代替し、点灯制御することも出来る。
前記集電端子は、前記被移送部材に装着され、前記固定送電材の集電面から集電し前記照明器具に電気接続される集電端子である。端子部に集電ローラーを装着してもよい。被移送部材のいずれに装着するかによって長所短所があるが、一例としては全ての前記送電線を固定送電材で代替し照明器具に直接に集電端子を装着する方法がある。本発明の個々の照明器具の通電電流は通常1A未満の小容量なので、集電端子は照明器具毎に装着せず、複数の照明器具で極力まとめて設置する。また、集電端子と固定送電材との接触圧力は、外部からの振動・衝撃による接触面離脱を防止する圧力とするが、第四〜第七の発明の押圧固定力又は吸着固定力が接触面にも働く構造とし確実な接触構造としてもよい。また、集電端子と固定送電材との接触圧力を利用して被移送部材を前記支持誘導部に押圧固定してもよい。
なお、固定送電材と集電端子とを、前記電源部から照明器具への送電経路でなく制御信号伝送経路として使用することも出来る。さらに、個別の点灯用電源を支持誘導部に装着し、個別の点灯用電源ごとに設けた固定送電材から集電端子で集電することも出来る。
【0017】
第十二の発明は、
前記照明器具と;
前記照明器具とともに移送され、記憶内容が再生可能な音声装置、記憶内容が再生可能な表示装置、又は/及び、状態認識を行うセンサー部と;
前記照明器具とともに移送され、該照明器具、該音声装置、該表示装置、又は/及び、該センサー部を、制御する端末制御部とで;
構成される制御システムにより予め想定した状態に対応する設定された方式で、前記端末制御部が連携する前記照明器具、前記音声装置、前記表示装置、又は/及び、前記センサー部の制御を行うことを特徴とする第一〜第十一のいずれかの発明にかかる照明器具移送可能型照明システムの制御方法である。
本発明は、予め想定した状態に対応する設定された方式で照明、人員誘導、又は/及び、警告等を、前記端末制御部により分散して行うシステムである。通常は間引き点灯や調光制御等の照明の制御を、緊急時や異常時には人員誘導や警告等を行う。
前記照明器具は、第一〜第十一の発明における照明器具で照明装置としても使用するが、LEDの瞬時再点灯性を利用した点滅制御を行えば表示装置としても使用出来る。
前記音声装置や前記表示装置は、前記器具装着部等の前記被移送部材に装着されて移送される予め想定した状態に対応する複数の記憶内容を備え、前記端末制御部の制御信号により記憶内容を選択して再生可能な装置である。設置スペース等で支障がある場合は、照明器具、音声装置、表示装置、又は、前記センサー部を、同一の器具装着部に装着せず複数の器具装着部に装着したり、個別に器具装着部に装着したりしてもよい。
前記センサー部は、照度センサー、人感センサー等の状態認識が可能なセンサーである。
前記端末制御部は、予め設定されたプログラム、センサーによる状態認識、電源状態等に対応して、設定された方式で制御対象の前記照明器具等を制御する。制御対象の範囲は、同一の器具装着部に限定せず、各端末制御部で設定する。前記照明器具に対しては点灯、消灯、点滅、調光、光色変化等を、前記音声装置や前記表示装置に対しては再生内容、再生回数等を制御する。非常用電源を備えた照明システムでは停電の有無によって通電される照明器具等が異なるので、これに対応した制御方式とする。
前記センサー部や前記端末制御部等を、第十一の発明により被移送部材でなく固定側に装着し、前記固定裸送電材と前記集電端子とを介して被移送部材に装着された照明器具等と接続することも出来る。
【0018】
第十三の発明は、
前記被移送部材に架設された信号線、前記送電線、又は前記固定送電材で伝送される前記電源部と前記端末制御部との間の制御用信号により、予め想定した状態に対応する設定された方式で前記照明器具、前記音声装置、前記表示装置、前記センサー部、又は/及び、前記電源部の制御を全体システムとして行うことを特徴とする第一〜第十二の発明にかかる照明器具移送可能型照明システムの制御方法である。
本発明は、予め想定された状態に対応する設定された方式で照明、人員誘導、又は/及び、警告等を全体の統合制御として行う制御システムである。
統合制御は、通常時パターンと異常・緊急時パターンとに分割し、それぞれに必要な制御を行う。通常時パターンでは、第十二の発明による分散システムのみとしてもよい。
前記照明器具は、第十二の発明と同様である。
前記音声装置や前記表示装置は、第十二の発明と同様である。また、記憶内容を相互に連携して再生させ、人員誘導や警告等を認識し易くすることも出来る。
前記端末制御部は、センサーの信号化処理、前記電源部との送受信、及び、前記電源部からの制御用信号に基づく制御対象の照明器具等の制御を行う。前記照明器具等の個々に端末制御部を設け、直接に前記の電源部との連携を行ってもよい。制御用信号は、端末制御部及び電源部の機能に対応した信号とする。
前記電源部は、前記端末制御部と連携してシステム全体を制御する中央制御部を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明による効果は、以下の通りで詳細については実施例において記載する。
a)第一の発明により、照明器具の設置場所や設置高さのためメンテナンス困難で対象面積が広い場合でも、設置場所から離れた好ましい作業場所で全ての照明器具への作業を容易に行える照明システムが得られる。すなわち、多数の小型照明器具を使用してもメンテナンスが容易となることにより以下の効果がある。
・量産型低WLED電球を装着した小型・軽量・安価なLED照明器具を多数使用することが出来、LED照明に従来必要であった中高Wセラメタ相当の高価なLED専用照明器具が不要となるので、必要投資額が大幅に削減された経済的な照明が出来る。また、長寿命タイプセラメタの約2倍・長寿命タイプ蛍光灯の約4倍の長寿命の低WLED電球によるメンテナンス間隔の長い照明が出来、通常使用では、約10年間ほぼメンテナンス不要となる。
・セラメタ照明器具は、光束ロスが通常20%以上発生する。また、セラメタを利用した照明設計では経済性確保のために設置灯数を極力少なくするので器具配置が制約される。この結果、最低照度と照度の均整度を確保するためには照明器具からの光束のオーバーラップによる利用効率の低下が少なからず避けられない。したがって、前記の光束ロスと光束のオーバーラップによりセラメタ本来の光束の相当割合が有効に利用されない。これに対して、配光設計可能な低WLED電球は照明器具による光束ロスを数%に抑えられる。また、照明設計においても、多数の小型LED照明器具による分散照明は、光束の利用効率の低下を大幅に削減できる。従って、低WLED電球を装着したLED照明器具は、セラメタ照明器具に比較して光束ロスが少なく光束の利用効率の低下が少ない省エネ照明が出来る。
・点検・交換の時の足場作業・タワー車利用等が不要となり作業コストが大幅に削減され、作業時間短縮による対象区域の使用制限が最小限になる。
・設置後の照明器具の機種変更・増減・位置変更が容易となり、照明設計の変更が低コストで簡単に行える。
・高天井照明で中高Wセラメタによる照明が好ましいにも拘らず蛍光灯器具を多数設置した照明設計をする場合がある。これは、落雷等による電源の瞬断や電源電圧の瞬時低下があるとセラメタが消灯し再点灯に30分以上を必要とするので瞬時再点灯が可能な蛍光灯を使用するためである。これに対して、瞬時再点灯が可能な低WLED電球を利用すれば、電源事情が悪い高天井照明においても経済性とメンテナンス性の良いLED照明が出来る。
・支持誘導部を照明システムのみでなく、通信・電力ケーブル架設用ダクトとしても利用すれば、全体の設置工事費が削減される。
b)第二又は第三の発明により、器具装着部移送の度に器具装着部の設置場所で位置調整作業をせずに、所定の位置に正確且つ容易に設置できるので、工事費用と作業時間が大幅に削減される。
c)第四〜第七の発明により、器具装着部移送の度に設置場所で被移送部材の固定と固定解除の作業をせずに、固定と固定解除を自動的に容易に行えるので工事費用と作業時間が大幅に削減される。また、振動や風力に対する照明器具等の被移送部材の充分な固定が可能となる。
d)第八の発明により、移送ルートに円弧部がある場合でも多数の照明器具や音声装置等が設置可能な器具装着部連結板が使用出来るので、設置・点検・交換等の作業時間が短縮されるだけでなくシステムの多様性も拡大する。また、必要な場合は長尺のLED照明器具やセラメタ等の照明器具も設置可能となる。
e)第九の発明により、長尺の照明器具又は多数の照明器具を装着した長尺の器具装着部平行移送連結板を移送方向と直交して設置出来るので、照明器具の種類と設置パターンの条件が緩和される。また、多数の支持誘導部を統合した簡易な構造により初期投資額を削減出来る。
f)第十の発明により、照明器具の分割制御が送電線単位で容易となり、間引き点灯や外光利用区域の消灯による省エネ照明や停電時の非常用電源による避難誘導照明等が容易になる。
g)第十一の発明により、限定された場所での点灯制御等、分割制御対象の照明器具の数が少ない場合には、低コストの点灯制御システムとなる。また、架設可能な送電経路の本数が増加し送電経路の電気的分割も容易となるので照明器具の分割制御がさらに容易になる。さらに、照明器具を移送中も固定送電材からの通電が可能なので、点検・交換の作業時にも照明が出来る。また、送電線を利用せず固定送電材のみによる通電を行えば、架設構造が簡略になる。
h)第十二の発明により、自然外光や人感センサーによる省エネ照明、店舗広告・催事案内、地震・火災・停電・不審者侵入等の異常状態に対する人員誘導・警告等の想定された状態に対応する設定された方式の多彩な分散制御システムが可能になる。また、LED電球の点滅制御により非常用電源の使用可能時間も延長できる。
i)第十三の発明により、システム全体としての更に多彩で効果的な統合システムが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一の実施例(第一の発明)の説明図 但し、支持誘導部は、側面図では想像線で記載。
【図2】第一の実施例(第一の発明)に照射方向設定部を設けた場合の説明図
【図3】第二の実施例(第一の発明・送電線による移送)の説明図
【図4】第三の実施例(第三と第五の発明・位置設定と固定・固定解除)の説明図 但し、支持誘導部は、平面図では想像線で記載。
【図5】第四の実施例(第六の発明・マグネットベースによる固定)の説明図 但し、支持誘導部は、側面図では想像線で記載。
【図6】第五の実施例(第八の発明・器具装着部連結板)の説明図 但し、支持誘導部は記載されていない。
【図7】第五の実施例(第八の発明の円弧部の動作)の説明図
【図8】第六の実施例(第九の発明・平行移送)の説明図
【図9】第七の実施例(第十〜第十三の発明)の説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
第一の発明の実施例を実施例1及び実施例2として、第三と第五の発明の実施例を実施例3として、第六の発明の実施例を実施例4として、第八の発明の実施例を実施例5として、第九の発明の実施例を実施例6として、第十〜第十三の発明の実施例を実施例7として、以下に記載する。なお、以下の実施例では、支持誘導部を固定する外部構造物や固定金具は記載しない。
【実施例1】
【0022】
照明器具を同一高さに配置し、器具装着部に共通の移送用ロープと裸送電線を架設する第一の発明による照明器具移送可能型照明システムである(図1参照)。また、照明器具と器具装着部との結合部に予め設定された複数の照射方向のいずれかに照明器具を固定する照射方向設定部を設ける場合を図2で示す。
主要構成要素は、照明器具10、器具装着部20、移送用ロープ30、ロープ移送装置、支持誘導部40、裸送電線50、照射方向設定部80、及び、電源部である。各構成要素の構成と作用を先に記載し、その後に設置方法を記載する。
【0023】
a)照明器具10は、点灯電源一体型のLED電球12を装着した電球用ソケット11である。図1においては1個のみが装着されているが、必要な場合は補助装着板を使用し必要な間隔を設けて同一の器具装着部20に複数個を装着する。
b)器具装着部20は、器具装着部本体21、支持ローラー部22、裸送電線用絶縁体27、接続リード線押さえ金具28、及び、板バネ29で構成する。
器具装着部本体21は中央で2分割された分割体で、支持ローラー部装着部21a、ロープ・送電線装着部21b、及び器具装着部21cで構成される。分割体の一体化は、移送用ロープ30と中央で2分割された裸送電線用絶縁体27を挟み込み、一体化用ネジで共締めして行う。裸送電線用絶縁体27には、裸送電線50と接続リード線51とが貫通する。器具装着部本体21と裸送電線用絶縁体27は各々一体構造も可能であるが、分割体とした方が移送用ロープ30や裸送電線50を架設した状態で器具装着部20を着脱できるので、照明器具の機種変更、増減、位置変更や交換等のメンテナンスが容易になる。
支持ローラー部装着部21aには支持ローラー部22を軽く圧入し、押しネジで脱落防止する。
ロープ・送電線装着部21bには移送用ロープ30、裸送電線50と接続リード線51とが貫通する裸送電線用絶縁体27、接続リード線押さえ金具28、及び板バネ29が装着される。板バネ29の代わりにプランジャー機能付ボールローラーを使用してもよい。移送用ロープ30は、一体化時に両端面を十分な面取りをしたロープ貫通穴21dで締め付け固定される。移送用ロープ30の締め付け固定部には合成ゴム等の弾性材を装着し、移送用ロープ30の保護と確実な固定を図ってもよい。プーリー35(図3参照)との契合部21fの断面は、契合を円滑にするため台形状とする。
器具装着部21cには接続リード線押さえ金具28と電球用ソケット11が装着される。
支持ローラー部22は、器具装着部本体21を支持誘導部40で支持するために設けられ、ボディ23、ローラー24、及びローラー軸25で構成される。ローラー24は器具装着部20の姿勢を安定させるためボディ23の前後左右各一箇所の合計4箇所に設け、ローラー軸25はボディ23に圧入固定される。また、ボディ23を潤滑性のよいエンジニアリングプラスチック(以下エンプラ)で製作し、ボディ23自体を滑走させてもよい。
裸送電線用絶縁体27も中央で2分割された分割体で、器具装着部本体21の絶縁体用長穴21eに装着後に一体化用ネジで共締めされる。中央には裸送電線貫通穴27aと接続リード線用長穴27bを設ける。裸送電線貫通穴27aは、裸送電線50がスライド可能な程度に固定する内径とし両端面を面取りする。接続リード線用長穴27bは、接続リード線51の圧着端子が貫通する形状とし接続リード線51を固定しない。
接続リード線押さえ金具28は、器具装着部20を移送する時の接続リード線51の噛み込み防止用の固定具である。
また、器具装着部本体21、支持ローラー部22、及び、裸送電線用絶縁体27を、別部品とせずにエンプラで一体成形してもよい。
c)支持誘導部40は、支持誘導部本体41とプランジャー機能付ボールローラー42で構成する。
支持誘導部本体41は、本体上面41aと本体側面41bで構成されたコ字状断面のアルミ押し出し成形品である。外面には支持誘導部固定用のナット装着溝41cを設ける。本体側面41b上部の内面には支持ローラー24のローラーガイド溝41dを、本体側面41b下部の内面には板バネ当て部41eを設ける。ローラーガイド溝41dとローラー24のクリアランスは最小限とする。
プランジャー機能付ボールローラー42は、支持ローラー24をローラーガイド溝41dの下面に軽く押圧して小さな振動や風力による器具装着部20のガタツキや振動を防止するもので、本体上面41aにボディ23を静止時に押圧するように設け、押圧力は必要最小限とする。
d)移送用ロープ30は、上下に各一本計2本のロープが設けられ、移送装置により直接移送、または、移送用ロープ30に引き込み・引き出し用ロープを連結し、該ロープを移送する。移送用ロープ30の材質は、金属、非金属いずれでもよい。2本の移送用ロープ30は、相互に万一の破断時の安全用ロープとする。
e)裸送電線50は、三相三線式の送電線で、接続リード線51で裸送電線50と電球用ソケット11を電気接続する。本発明の送電系統には現場施工の多数の接続部が発生するため接続部の機械的・電気的な信頼性は重要であり、作業性が良く信頼性の高い接続リード線が必要なので、品質管理された工場で事前に製造された接続リード線51を使用する。
接続リード線51には、裸送電線50を両側からバネ板で挟み込む専用接続端子51aを設ける。専用接続端子51aからのリード線は、接続リード線用長穴27bから反対側に引き出し、押さえ金具28で固定後に電球用ソケット11と電気接続する。また、接続リード線51を、複数の照明器具で共有し、必要本数を削減してもよい。
f)照射方向設定部80は、器具装着部本体21の器具装着部21cに装着され、ボールジョイント軸受け部81、ボールジョイント軸部82、及びボールプランジャー83で構成される(図2参照)。ボールジョイント軸受け部81は、2分割された球面状凹部を持つブロックで、ボールジョイント軸部82を挟み込み締め付けネジにより一体化されて装着される。ボールジョイント軸部82は、ジョイント用球状部82aと照明器具装着部82bで構成し、ジョイント用球状部82aの表面には予め設定された照射方向となる位置にボール契合用凹部82cを設ける。ボールプランジャー83は、ボールジョイント固定部81の分割体のいずれかに装着する。
g)電源部(図示されていない)は、点灯用電源、及び電源制御部で構成する。停電時に点灯する場合は、非常用電源を備える。必要な場合は移送装置用電源を設ける。
h)新設時は、支持誘導部40を外部構造部に取り付けた後、照明器具10、照射方向設定部80、移送用ロープ30、及び、裸送電線50を器具装着部20に組み込み、移送用ロープ30に連結した引き込みロープを移送装置で移送し、支持誘導部40の内部にこれらを装着する。この後に電源部と送電線との接続を行う。点検・交換時は、電源部と送電線とを分離し、移送用ロープ30に連結した引き出しロープを移送装置で移送し器具装着部20等を点検・交換後に、再度移送装置で移送し器具装着部20等を支持誘導部40の内部に装着する。この後に電源部と送電線との接続を再度行う。LEDの平均寿命からみて前面交換間隔は通常は10年以上となる。
【実施例2】
【0024】
実施例1における移送用ロープを全く使用しない第一の発明に掛かる実施例で、裸送電線50で移送する。各構成要素の構成と作用は以下の通りである。(図3参照)
設置方法は、実施例1とほぼ同様である。
【0025】
a)照明器具10、裸送電線50、及び電源部は、実施例1と同様である。
b)器具装着部20は、移送用ロープが装着されないこと以外は実施例1と同様である。器具装着部20を裸送電線50に装着するには、裸送電線50のいずれかを裸送電線貫通穴27aで固定するか、又は、裸送電線用絶縁体27の前後にストッパー(図示されていない)を設ける。
c)支持誘導部40は、プランジャー機能付ボールローラー42の代わりに板バネ43が装着されていることを除けば実施例1とほぼ同様である。
e)移送方法は、移送用ロープが裸送電線50となることをのぞけば実施例1と同様である。連続ルート上の円弧部における器具装着部本体21、裸送電線50、プーリー35(想像線で示す)の関係は以下の通りである。器具装着部本体21のプーリー契合部21fに対応する契合凹面を持つ裸送電線絶縁用リング36を、上下2段のプーリー35に装着する。契合凹面には、裸送電線50又はプーリー契合部21fが契合する。
【実施例3】
【0026】
器具装着部を所定位置に設定する第3の発明及び器具装着部を支持誘導部にバネ圧により押圧固定する第五の発明にかかる実施例である。本実施例では、スライド用リミッターは回動操作具に装着されており、押圧力発生部が装着された回動アームを支持誘導部に装着する。また、移送誘導部は、支持誘導部と一体化して設けられる。器具装着部の所定位置への設定及び回動アームの回動操作による押圧固定・固定解除は、移送操作部材で移送される回動操作具により順次行われる。
各構成要素の構成と作用は以下の通りである。(図4参照)
【0027】
a)照明器具10と裸送電線50は、実施例1と同様である。
b)器具装着部20は、移送用ロープ30に固定されず、前後のストッパー32で限定された範囲をスライド可能であり、支持ローラー部ボディ23の上面に押圧回避用凹溝23aを設けること以外は実施例1と同様である。
c)移送用ロープ30は、器具装着部20のスライド範囲を設定するストッパー32を所定位置に対応する装着位置の前後に設ける以外は実施例1と同様である。
d)支持誘導部40は、上部に回動操作具65の移送誘導部41j及び回動アーム装着部41mが、両側面部に分離型側面部41kが、設けられる以外は実施例1と同様である。
移送誘導部41jは、支持誘導部本体上面41aと支持誘導部本体側面41bの上部で構成され、回動操作具65の誘導用ローラー68のローラー誘導部41nを設ける。回動アーム装着部41mは、支持誘導部本体上面41aの下面に設けられる。
位置設定用リミッター60、押圧力発生部61が装着された回動アーム62、及び、回動軸63を基板64に組み付けユニット化したものを回動アーム装着部41mに装着する。回動アーム62は、押圧固定用当接部位62aと固定解除用当接部位62bとを持つ。位置設定用リミッター60と押圧力発生部61には、プランジャー機能付ボールローラーを使用する。また、固定解除後の押圧固定力が働かない角度では、回動アーム62を初期角度に復帰・保持するためのねじりバネ69を、回動アーム62と回動軸63の間に装着する。押圧力発生部61は、初期角度では押圧回避用凹溝23aの位置にあり、器具装着部20を移送中等の時は押圧力が働かない。
回動操作具65は、回動操作具ボディ65aにスライド用リミッター66、回動アーム62の回動操作用ローラー67、及び、回動操作具65の誘導用ローラー68を装着したものである。回動操作具65は、誘導用ローラー68が移送誘導部41jのローラー誘導部41nを誘導されて移送操作用ロープ31により移送操作される。スライド用リミッター66にはプランジャー機能付ボールローラーを使用する。回動アームの回動操作用ローラー67は、カムフロワーを使用し、押圧固定側に回動操作する時はカラー67aを装着してローラー外径を大きくする。固定解除側に回動操作する時はカラー67aを取り外し、回動操作用ローラー67と押圧固定用当接部位62aとのロックアップを防止する。
分離型側面部41kは、前記回動アームユニットの回動アーム装着部41mへの装着作業時に支持誘導部本体側面41bを開放するための部材で両側面に装着される。
e)移送操作用ロープ31は、移送操作装置(図示されていない)で移送操作する。
f)電源部は、実施例1と同様であるが、必要な場合は移送操作装置の電源部を設ける。
g)本実施例の操作手順は、以下の通りである。
器具装着部20を所定位置に押圧固定する時は、全ての器具装着部20を移送用ロープ30で支持誘導部20の各々の所定位置に対して移送方向の後方側に移送する(各々の所定位置の手前まで移送する)。次に、回動操作具65を移送方向に移送操作してスライド用リミッター66で器具装着部を順次に所定位置に設置した後に、回動操作用ローラー67で回動アーム62を回動操作して押圧固定する。移送用ロープ30に固定されている器具装着部20がある場合は、移送用ロープ30を所定の静止位置にまで移送し固定する。
器具装着部20を移送前に固定解除する時は、カラー69を取り外した後に回動操作具65を逆方向に移送操作して器具装着部を順次に固定解除する。
【実施例4】
【0028】
支持誘導部に装着されたマグネットベースで器具装着部を吸着固定する第六の発明にかかる実施例で、レバーの回動操作はレバーを連結した操作用ロープにより一括操作される。各構成要素の構成と作用は以下の通りである。(図5参照)
【0029】
a)照明器具10、移送用ロープ30、裸送電線50は、実施例1と同様である。
b)器具装着部20は、支持ローラー部22のボディ23が磁性体の鋼材であることを除けば実施例1と同様である。
c)支持誘導部40は、吸着固定機構と関連する部位を除き実施例1と同様である。本体上面41aにはマグネットベース装着用角孔41gが設けられる。また、ボディ23を押し上げてマグネットベースの吸着面に押接させるための押し上げ用ボールプランジャー75をリブ41hに設ける。
d)吸着固定部70は、レバー72の回動操作によりボディ23の吸着と釈放を行うマグネットベース71で、支持誘導部上面41aに装着される。通常は吸着状態すなわち器具装着部20を固定し、器具装着部20を移送中は釈放状態すなわち固定解除する。
e)操作用ロープ74は、各レバー72の端部ピン73に巻きつけてレバー72を連結する。器具装着部20を移送前に操作用ロープ74を一方向に操作して釈放し、器具装着部20を移送後に逆方向に操作して吸着する。
f)操作用ロープ74の操作装置は、移送用ロープ30の移送装置とは別個に設ける。
g)電源部は、実施例1と同様であるが、必要な場合は操作装置の電源部を設ける。
h)本実施例の操作手順は、以下の通りである。
器具装着部20を所定の位置に設置後に、操作用ロープ74を操作装置で操作してマグネットベース71のレバー72を回動操作して、支持誘導部のボディ23をマグネットベース71に吸着固定する。固定解除は、操作用ロープ74を逆方向に操作する。
【実施例5】
【0030】
2個の器具装着部と回動可能に結合された器具装着部連結板に長方形照明器具を装着する第八の発明にかかる実施例である。但し、本実施例は双方向に移送可能な構造となっている。各構成要素の構成と作用は以下の通りである。(図6及び図7参照)
【0031】
a)支持誘導部40(図示されていない)及び電源部は、実施例1と同様である。
b)器具装着部は、実施例1の器具装着部20を2個使用する。ただし、移送用ロープ貫通穴21dは移送用ロープより大径とし、器具装着部20を移送用ローブ30に固定しない。
c)器具装着部連結板16には2箇所の回動結合部16aを設け、器具装着部21cの下面中央部と結合する。回動結合部は、ナット装着用溝21g、器具装着部連結板16の2段穴16b、カラー17、及び結合用ネジ・ナットで構成する。カラー17は、結合状態で器具装着部20と器具装着部連結板16を回動可能とするための部品である。
d)長方形照明器具18は、器具装着部連結板16に装着される。他の小型照明器具、音声装置、LED表示装置、端末制御部、又はセンサー等を装着してもよい。
e)移送用ロープ30は、実施例1と同様である。ただし、一方の器具保持20の前後にストッパー32を固定するとともに圧縮コイルバネ33を器具装着部20とストッパー32との間に装着する。ストッパー32は、一方の移送用ロープ30を挟み込んで締め付け固定する分割体で、器具装着部20と並行に保持するために他方の移送用ロープ30にも軸方向に移動可能に連結する。ストッパー32の材質は、エンプラ等の絶縁体とする。
f)裸送電線50は、実施例1と同様である。ただし、接続リード線58は、円弧部では裸送電線50との接触部が大きく移動するので、実施例1の様に板バネの固定式の接続端子部51aとせず、バネ線等で押圧摺動可能な可動接点58aとするとともに、絶縁ブロック部58bを接続リード線貫通穴27bで固定する。
g)円弧部における移送用ロープ30、ストッパー32、圧縮コイルバネ33、器具装着部本体21、及び器具装着部連結板16の相互位置変化を、プーリー35の箇所で反時計回りに180度反転移送されるとして以下に説明する。(図7参照)
器具装着部連結板16は、図中Aの位置までは移送用ロープ30に対して当初の所定位置を保つ。前方の器具装着部本体21がプーリー35に契合すると前方の器具装着部本体21と移送用ロープ30との位置関係が固定される。さらに移送されると弦と弧の関係により後方の位置設定用器具装着部本体21が移送用ロープ30の後方に移動する。従って、反転移送部では図中Bの位置で示すように前方の圧縮コイルバネ33Fは伸び、後方の圧縮コイルバネ33Rは縮み、器具装着部連結板16と器具装着部本体21との2箇所の回動結合部16aは回動する。前方の器具装着部本体21がプーリー35から離脱する図中Cの位置までは、この相互位置関係を保つ。前方の器具装着部本体21がプーリー35から離脱後は弦と弧の関係により前方の器具装着部本体21が移送用ロープ30の後方に移動し、回動結合部16aも回動する。さらに移送され後方の位置設定用器具装着部本体21がプーリー35から離脱すれば、図中Dの位置で示すように後方の位置設定用器具装着部本体21が圧縮コイルバネ33F、33Rにより当初の位置に復帰し、器具装着部連結板16も当初の位置に復帰する。移送用プーリー35が時計回りに回転するときも同様な動作により器具装着部連結板16は移送用ロープ30の当初の位置に復帰する。
なお、移送方向が一方向に限定、例えば反時計方向に限定されるときは圧縮コイルバネ33Fが、時計方向に限定されるときは圧縮コイルバネ33Rが不要となる。
【実施例6】
【0032】
二列の支持誘導部で平行移送される器具装着部平行移送連結板に照明器具を装着する第九の発明にかかる実施例である。本実施例では、13列の照明器具配置を2列の支持誘導部で支持している。各構成要素の構成と作用は以下の通りである。(図8参照)
【0033】
a)照明器具10、器具装着部20、及び支持誘導部40は、実施例1と同様である。
b)器具装着部20は実施例1と同様であるが、器具装着部平行移送連結板19で他の支持誘導部の器具装着部と連結する。器具装着部平行移送連結板19には、照明器具10を装着する。
c)移送用ロープ30は、実施例1と同様であるが移送装置には接続しない。器具装着部平行移送連結板19に連続して架設された移送用ロープ37を移送装置で移送する。
【実施例7】
【0034】
実施例1に2経路の固定裸送電材等を追加し、システム全体として選択された状態に対する予め設定された方式で、省エネ照明、人員誘導・警告等を自動的に行う第十〜第十三の発明にかかる実施例である。各構成要素の構成と作用は以下の通りである。(図9参照)
【0035】
a)電球用ソケット11、端末制御部14、記憶内容を再生可能な音声装置又は表示装置、状態認識センサー等15は、補助装着板13を介して装着される。
b)器具装着部20は、実施例1とほぼ同様であるが、集電端子53が設けられる。集電端子53は、端子取付けベース54にネジ止めされる板バネである。端子取付けベース54は、エンプラ等の絶縁材で製作し、器具装着部本体21に装着される。
c)移送用ロープ30及び移送装置は、実施例1と同様である。
d)支持誘導部40は、実施例1とほぼ同様であるが、固定裸送電材55による点灯制御を行う個所の下部に固定裸送電材55が架設される。固定裸送電材55は、前記の集電端子53との接触面を持つ送電材で架線ベース57に装着される。架線ベース57は分割されており固定裸送電材55を挟み込んだ後に、架線ベース装着用溝41iに装着される。
e)裸送電線50は、実施例1と同様であるが、制御用信号も伝送される。
f)電源部は、固定裸送電材55に対する接続と制御、及び、端末制御部13を制御する機能が追加されること以外は、実施例1と同様である。
g)選択された状態に対する複数の照明方式と人員誘導・警告の具体例を以下に記載する。
・間引き点灯、外光利用等による省エネ照明を照明器具単位又は送電線単位で行う。
・照度センサーと端末制御部による省エネ照明を行う。
・無人想定時間帯での人感センサー信号により端末制御部と電源部制御部とが連携して照明器具、音声装置等による誘導・警告を行う。
・停電時に、端末制御部と電源部制御部とが連携して非常用電源に接続されている照明器具、音声装置等による誘導・警告を行う。
・地震・火災等の異常時に、小型照明器具、音声装置等による分かり易い避難誘導を行う。誘導経路の表示は、静態的な経路表示だけでなく誘導方向が表示できる順次点滅制御を行い誘導方向指示の明確化を図る。
・催事場等の場所表示、誘導を照明器具、音声装置等により行う。
【符号の説明】
【0036】
10 照明器具
11 電球用ソケット
12 LED電球
13 補助装着板
14 端末制御部
15 音声装置、表示装置、状態認識センサー
16 器具装着部連結板
16a 回動結合部
16b 二段穴
17 回動結合部のカラー
18 長方形照明器具
19 器具装着部平行移送連結板

20 器具装着部(21〜29)
21 器具装着部本体
21a 器具装着部本体の支持ローラー部装着部
21b 器具装着部本体のロープ・送電線装着部
21c 器具装着部本体の器具装着部
21d 器具装着部本体のロープ貫通穴
21e 絶縁体用長穴
21f 器具装着部本体のプーリーとの契合部
21g 器具装着部本体のナット装着用溝
22 支持ローラー部(23〜26)
23 支持ローラー部のボディ
24 支持ローラー部のローラー
25 支持ローラー部のローラー軸
27 裸送電線用絶縁体
27a 裸送電線用絶縁体の裸送電線貫通穴
27b 裸送電線用絶縁体の接続リード線用長穴
28 接続リード線押さえ金具
29 板バネ

30 移送用ロープ
31 移送操作用ロープ
32 ストッパー
33F 圧縮コイルバネ(前方)
33R 圧縮コイルバネ(後方)
35 プーリー
36 プーリーの絶縁リング
37 器具装着部平行移送連結板の移送用ロープ

40 支持誘導部(41〜43)
41 支持誘導部本体
41a 支持誘導部本体の上面
41b 支持誘導部本体の側面
41c 支持誘導部本体のナット装着溝
41d 支持誘導部本体のローラーガイド溝
41e 支持誘導部本体の板バネ当て部
41g 支持誘導部本体のマグネットベース装着用角孔
41h 支持誘導部本体のボールプランジャー装着用リブ
41i 支持誘導部の架線部
41J 支持誘導部の回動操作具の移送誘導部
41K 支持誘導部の分離型側面部
41m 支持誘導部の回動アーム装着部
41n 支持誘導部の回動操作具のローラー誘導部
42 支持誘導部上面のプランジャー機能付ボールローラー
43 支持誘導部上面の板バネ

50 器具装着部の裸送電線
51 器具装着部の接続リード線
51a 接続リード線の接続端子部
53 器具装着部の集電端子
54 集電端子部のベース
55 支持誘導部の固定裸送電材
57 支持誘導部の架線用ベース
58 器具装着部の接続リード線(可動式)
58a 接続リード線の可動接点
58b 接続リード線の絶縁ブロック部

60 位置設定用リミッター
61 押圧力発生部
62 回動アーム
62a 回動アームの押圧固定用当接部位
62b 回動アームの固定解除用当接部位
63 回動アームの回動軸
64 基板
65 回動操作具
65a 回動操作具ボディ
66 スライド用リミッター
67 回動操作用ローラー
67a 回動操作用ローラーのカラー
68 誘導用ローラー
69 ねじりバネ

70 吸着固定部(71〜75)
71 マグネットベース
72 マグネットベースのレバー
73 レバーの端部ピン
74 操作用ロープ
75 押し上げ用ボールプランジャー

80 照射方向設定部(81〜83)
81 ボールジョイント軸受け部
82 ボールジョイント軸部
82a ボールジョイント軸部のジョイント用球状部
82b ボールジョイント軸部の小型照明器具装着部
82c ボールジョイント軸部のボール契合用凹部
83 照射方向設定部のボールプランジャー





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具が装着された複数の器具装着部と;
該器具装着部を支持するとともに該器具装着部移送時には誘導部ともなる支持誘導部と;
全ての前記器具装着部に連続して架設された移送用部材を移送する移送装置と;
前記移送用部材で移送される被移送部材に架設された送電線を介して前記照明器具に電力を供給する電源部とで;
構成され、前記器具装着部を連続したルートで移送することにより、全ての前記照明器具への作業が設置場所と異なる場所で行えることを特徴とする照明器具移送可能型照明システム。
【請求項2】
前記支持誘導部の所定位置に対応する前記移送用部材への装着位置の前後にスライド可能に装着された前記器具装着部と;
スライド可能な該器具装着部を、位置設定時の移送方向にスライドさせるスライド用コイルバネと;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部に装着されスライド可能な前記器具装着部の当接部位と当接して又は該器具装着部に装着され該支持誘導部の当接部位と当接して該器具装着部を前記所定位置に設定し、前記スライド用コイルバネのスライド力では退避せず、前記移送装置の移送力では少なくとも一方の移送方向には退避可能で、外力消失後は自己復帰する位置設定用リミッターと;
前記移送装置とで;
構成された器具装着部位置設定機構に対応するスライド可能な前記器具装着部を備え、全ての該器具装着部を各々の前記所定位置に対し位置設定時の移送方向の後方側の位置に移送後に、全ての該器具装着部のスライド範囲に各々の該所定位置が含まれる様に前記移送用部材を移送し、その後に該移送用部材を固定して、スライド可能な該器具装着部を前記支持誘導部の該所定位置に設定することを特徴とする請求項1記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項3】
前記支持誘導部の所定位置に対応する前記移送用部材への装着位置の前後にスライド可能に装着された前記器具装着部と;
前記支持誘導部と;
前記移送装置と;
該支持誘導部に装着されスライド可能な前記器具装着部の当接部位と当接して又は該器具装着部に装着され該支持誘導部の当接部位と当接して該器具装着部を前記所定位置に設定し、前記移送装置の移送力では少なくとも一方の移送方向には退避可能で、外力消失後は自己復帰する位置設定用リミッターと;
前記支持誘導部と平行に設置されたスライド用リミッターの移送誘導部と;
該移送誘導部を移送され、スライド可能な該器具装着部の当接部位と当接して該器具装着部を前記所定位置までスライドさせた後に、前記位置設定用リミッターによる抵抗力で退避し、外力消失後は自己復帰するスライド用リミッターと;
該スライド用リミッターが装着された移送操作用部材の移送操作装置とで;
構成された器具装着部位置設定機構に対応するスライド可能な前記器具装着部を備え、全ての該器具装着部を各々のスライド範囲に前記所定位置を含むとともに各々の該所定位置に対し前記当接部位と前記位置設定用リミッターとが当接すれば前記所定位置となる側に移送後に、前記スライド用リミッターを該器具装着部が該所定位置となる方向に移送操作して該器具装着部を順次に該所定位置に設定することを特徴とする請求項1記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項4】
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部又は前記被移送部材に設けられ、該被移送部材を該支持誘導部に押圧固定する位置と固定解除する位置とを選択可能な回動アームと;
前記被移送部材、前記支持誘導部、又は前記回動アームに設けられたバネ圧による押圧力発生部と;
前記回動アームを連結し、同時に回動操作する操作用部材の操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記操作用部材の操作により前記回動アームを同時に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に押圧固定したり固定解除したりすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項5】
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部又は前記被移送部材に装着され、該被移送部材を該支持誘導部に押圧固定する位置と固定解除する位置とを選択可能な回動アームと;
前記被移送部材、前記支持誘導部、又は前記回動アームに設けられたバネ圧による押圧力発生部と;
前記支持誘導部と平行に設置された回動操作具の移送誘導部と;
該移送誘導部を移送され前記回動アームを順次に回動操作する回動操作具と;
該回動操作具が装着された移送操作用部材の移送操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記移送操作用部材の移送操作により前記回動アームを順次に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に押圧固定したり固定解除したりすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項6】
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部に装着されレバーの回動操作により前記被移送部材に設けられた磁性体部を着脱する又は該被移送部材に装着されレバーの回動操作により該支持誘導部に設けられた磁性体部を着脱するマグネットベースと;
前記レバーを連結し、同時に回動操作する操作用部材の操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記操作用部材の操作により前記レバーを同時に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に吸着固定したり固定解除したりすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項7】
前記被移送部材と;
前記支持誘導部と;
該支持誘導部に装着されレバーの回動操作により前記被移送部材に設けられた磁性体部を着脱する又は該被移送部材に装着されレバーの回動操作により該支持誘導部に設けられた磁性体部を着脱するマグネットベースと;
前記支持誘導部と平行に設置された回動操作具の移送誘導部と;
該移送誘導部を移送され前記レバーを順次に回動操作する回動操作具と;
該回動操作具が装着された移送操作用部材の移送操作装置とで;
構成された被移送部材固定機構に対応する前記被移送部材を備え、前記移送操作用部材の移送操作により前記レバーを順次に回動操作して、該被移送部材固定機構に対応する該被移送部材を前記支持誘導部に吸着固定したり固定解除したりすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項8】
前記移送用部材と;
前記移送用部材にスライド可能に装着された前記器具装着部と;
前記移送用部材にスライド可能に装着されるが該移送用部材における静止位置が設定されている位置設定用器具装着部と;
該位置設定用器具装着部を前記静止位置に復帰させるコイルバネと;
前記器具装着部と前記位置設定用器具装着部とに回動可能に連結された器具装着部連結板とで;
構成される器具装着部連結機構を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項9】
平行に設置された複数の前記支持誘導部と;
該支持誘導部を前記移送用部材で移送される前記器具装着部と;
異なる前記支持誘導部を移送される前記器具装着部を連結する器具装着部平行移送連結板と;
該器具装着部平行移送連結板に連続して架設された移送用部材を移送する移送装置とで;
構成される器具装着部平行移送機構を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システム。
【請求項10】
前記送電線の内少なくとも一相の送電線について、複数本の送電線を併設又は一本の送電線を電気的に複数本に分割架設するとともに前記電源部に接続し、予め設定された方式で、送電線単位で点灯制御を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システムの制御方法。
【請求項11】
前記送電線の少なくとも一相の送電線について、集電面を設けた固定送電材を前記支持誘導部に点灯制御に必要な回路数を架設し、該固定送電材を前記電源部に接続し、前記被移送部材に装着され前記照明器具に電気接続される集電端子で該固定送電材から集電することにより、予め設定された方式で、該固定送電材単位で点灯制御を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システムの制御方法。
【請求項12】
前記照明器具と;
前記照明器具とともに移送され、記憶内容が再生可能な音声装置、記憶内容が再生可能な表示装置、又は/及び、状態認識を行うセンサー部と;
前記照明器具とともに移送され、該照明器具、該音声装置、該表示装置、又は/及び、該センサー部を、制御する端末制御部とで;
構成される制御システムにより予め想定した状態に対応する設定された方式で、前記端末制御部が連携する前記照明器具、前記音声装置、前記表示装置、又は/及び、前記センサー部の制御を行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の照明器具移送可能型照明システムの制御方法。
【請求項13】
前記被移送部材に架設された信号線、前記送電線、又は前記固定送電材で伝送される前記電源部と前記端末制御部との間の制御用信号により、予め想定した状態に対応する設定された方式で前記照明器具、前記音声装置、前記表示装置、前記センサー部、又は/及び、前記電源部の制御を全体システムとして行うことを特徴とする請求項1〜12に記載の照明器具移送可能型照明システムの制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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