説明

照明器具

【課題】利用者が目覚めた後、覚醒度の上昇や交感神経活動の亢進を促し、速やかに眠気を取ることのできる照明器具を提供する。
【解決手段】この照明器具3は、あらかじめ設定されたアラーム時刻になると、アラームが鳴動し、利用者の目覚めを促す。アラーム釦の操作により赤色LED15を発光させる機能を備えたことで、利用者が目覚めた後、覚醒度の上昇や交感神経活動の亢進を促し、速やかに眠気を取ることができる。赤色LED15が発光する光の波長は、ピーク波長が600nm以上780nm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目覚まし装置として、照明とアラームにより目覚ましを促進する目覚まし付き電気スタンドがある。このような電気スタンドでは、目覚まし時刻を設定可能にする計時部、アラーム及び設定時刻にアラームを発音するアラーム制御部などが備えられており、設定時刻のアラーム発音及び照明点灯によって目覚ましを促進するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、天井に取付けられ、目覚まし設定時刻30分前になると部屋全体を照明する照明が徐々に明るくなるよう調光される照明器具も知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003―215279号公報
【非特許文献1】松下電工株式会社[National]、ASSA、[online]、2005年、松下電工株式会社[National]、[平成18年5月23日]、インターネット(http://biz.national.jp/Ebox/newproj2005/assa/index.html)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記の照明器具においては、照明の光を用いて瞼を通して脳を刺激し、徐々に覚醒状態へと導いているだけで、目が覚めた後の覚醒度の上昇や、交感神経活動の亢進を促すものではない。この場合には目が覚めた後もなかなか眠気が取れず不快感を招くという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題を解消すべくなされたもので、利用者が目覚めた後、覚醒度の上昇や交感神経活動の亢進を促し、速やかに眠気を取ることのできる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、利用者の血圧を上昇させる機能色で点灯可能な第1の光源と;前記利用者の目覚めを検知する目覚め検知手段と;前記目覚め検知手段により利用者の目覚めが検知された場合、前記第1の光源を点灯させる点灯回路を有する点灯制御手段と;を具備することを特徴とする。
【0007】
利用者とは、本発明の照明器具により、目覚めさせられる対象者のことである。
機能色とは、人間の身体に生理的影響を及ぼす色のことである。後述する『森田らの研究「色光による生理応答の経時変化」森田健ほか、日本生理人類学会第32回大会抄録集,1994』によると、赤色は、人間の身体に生理的影響を及ぼす機能色である。
【0008】
例えば、ピーク波長が600nm以上780nm以下である赤色の光は、この赤色の光を見た人間の心拍数を上げたり、精神状態を緊張状態にするなどの機能がある。
【0009】
目覚めとは利用者が覚醒度の低い状態で目が覚めている状態である。詳しくいうと、目は覚めた状態であるが、覚醒度が低く布団又はベットから出ていない又は出ようとしていない状態のことである。
【0010】
目覚め検知とは利用者が布団又はベットから出ていない又は出ようとしていない状態を検知することである。
【0011】
第1の光源は特に限定されるものではなく、血圧を上昇させる機能色で照明可能なものであれば、一般的な蛍光灯やLEDなどが使用可能である。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の照明器具において、前記目覚め検知手段は、時刻を計時する時計手段と;アラーム時刻が予め設定され、前記時計手段により計時された時刻が前記アラーム時刻と一致した場合に目覚まし動作を行う目覚まし手段と;前記目覚まし手段により行われた目覚まし動作を停止するための停止操作が行われる操作手段と;前記操作手段に対する前記停止操作を検知する操作検知手段と;を具備することを特徴とする。
【0013】
目覚まし手段としては、例えば、電子音を発生するアラーム音発生部が用いられる。アラーム音発生部を用いる場合、利用者の聴覚を刺激して目を覚まさせることができる。アラーム音発生部としては、例えばアンプとスピーカーとからなるものが用いられる。
【0014】
又、目覚まし手段として、例えば利用者自身又は利用者が知覚可能な場所、物を揺動又は振動させる手段、例えばバイブレータなどを用いることで、物を揺動させ、又は振動させて利用者の目を覚まさせることができる。
【0015】
アラーム時刻は、例えばリモコンに設けられている、書き換え可能でかつ記憶内容を保持可能な不揮発性のメモリを利用して所望の時刻を記憶(設定)しておくものとする。このようにメモリを用いることで、利用者がリモコンのスイッチ操作によりアラーム時刻を任意に設定または変更できる。
【0016】
目覚まし動作を停止するための操作手段としては、例えば利用者が手で直接操作する押しボタンスイッチ(タクトスイッチやトグルスイッチなど)を用いる。なお、この他、操作手段は、利用者が寝ている場所で確実に操作可能であれば、リモコンでなくてもよく、特に限定されない。
【0017】
なお、このようにアラーム停止専用の押し釦スイッチを設けることなく、アラーム動作中には、例えば既存の主点消灯用のスイッチや釦などが操作されたことで、アラームを停止するようにしてもよい。
【0018】
また、操作手段については、設置位置は特に限定されず利用者が寝たままの位置から手が届く範囲であれば、リモコンの外、つまりリモコンとは異なる場所に取り付けておいてもよい。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の照明器具において、利用者が離床したことを検知する離床検知手段を備え、前記離床検知手段により離床が検知された場合、前記第1の光源を消灯させる点灯制御手段を具備する事を特徴とする。
【0020】
離床とは、目覚めた利用者の覚醒度が上昇し、布団又はベットから出ようとする状態又は出た状態のことである。離床検知とはこの利用者が布団又はベットから出ようとする状態又は出た状態を検知するものである。
【0021】
離床検知手段は、利用者の離床を検知するものならば、特に限定されるものではないが、例えば、押圧センサなどを利用者が就寝する布団の下やベッドの敷き布団の下、又はベッドマットの下などに設けることが望ましい。
【0022】
更に、離床検知手段は、利用者の上体(腰から上)の位置の真下(シーツの下など)に設けられることが望ましくこの場合には、押圧センサなどの離床検知手段は、利用者がベッドに寝ると、On状態となり、上体を起こすと、Off状態に切り替わる。
【0023】
離床検知手段がOff状態に切り替わることによって、利用者の離床を検知することができる。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の照明器具において、前記第1の光源とは異なる色で点灯可能な第2の光源を備え、前記離床検知手段により離床が検知された場合、前記点灯制御手段は、前記第2の光源を点灯させ、かつ前記第1の光源を消灯させることを特徴とする。
【0025】
第2の光源は、特に限定されるものではなく、一般的な蛍光ランプ、水銀灯、ハロゲンランプ、発光ダイオードなど任意のものが適用可能である。
【0026】
点灯制御回路による第2の光源の点灯、第1の光源の消灯動作は、第2の光源を点灯させると同時に第1の光源を消灯させることが望ましいが、これに限定されることなく、例えば、第2の光源が点灯され、所定の時刻が経過した後に第1の光源を消灯させてもよい。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか1項に記載の照明器具において、前記第1の光源が発光する光の波長は、ピーク波長が600nm以上780nm以下であることを特徴とする。
【0028】
ピーク波長が600nm以上780nm以下の光であれば、一般に赤色と認識されるので、利用者の血圧を上昇させる機能色として利用できる。
【0029】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5いずれか1項に記載の照明器具において、前記第1の光源は、可視光発領域での分光分布において600nm未満での平均エネルギーより、600nm以上での平均エネルギーが大きいことを特徴とする。
【0030】
可視光発光領域での分光分布において、600nm以上での平均エネルギーが大きい光であれば、一般に赤色と認識されるので、利用者の血圧を上昇させる機能色として利用できる。
【0031】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6いずれか1項に記載の照明器具において、前記第1の光源は、利用者の眼前照度が25lxとなる光源であることを特徴とする。
【0032】
第1の光源の照度は25lxであれば、利用者の血圧を上昇させる機能色として利用できる。
【0033】
第1の光源の照度は25lxであることが望ましいが、第1の光源の光を浴びた利用者の交感神経活動の亢進を促す照度であればこれに限定されず、例えば利用者の眼前照度が5lx以上の照度でもよい。
【0034】
本発明の照明器具は、天井に取付け具を介して着脱自在に取付けられるようにしたものが適しているが、天井に固定したものや、天井以外の梁や壁面に取付ける照明器具についても同様に適用することが可能である。
【発明の効果】
【0035】
請求項1記載の発明によれば、目覚め検知手段により利用者の目覚めが検知された場合、第1の光源が、血圧を上昇させる機能色で点灯されるので、利用者は、目覚めた後、血圧が自然に上昇し、眠気を速やかに取ることができる。
【0036】
請求項2記載の発明によれば、目覚まし手段により目覚まし動作が行われた場合に、目覚めた利用者が操作手段を実際に停止操作したことをトリガにして第1の光源を点灯することで、その後の目覚まし動作が不要になる。
【0037】
請求項3記載の発明によれば、離床検知手段により利用者の離床が検知された場合、第1の光源を消灯することで、利用者が手操作で第1の光源を消す手間をなくすことができる。
【0038】
請求項4記載の発明によれば、第1の光源とは別の、第1の光源と異なる色で点灯する第2の光源を備える場合、離床検知手段により利用者の離床が検知された際には第1の光源を消灯するとともに、第2の照明を点灯することで、利用者が自らスイッチを操作して第2の光源を点灯する手間を省け、離床後、速やかに通常の行動をとることができる。
【0039】
請求項5記載の発明によれば、第1の光源のピーク波長を600nm以上780nm以下とすることで、目覚めた後の利用者の血圧を自然に上げることができる。すなわち、目が覚めた後の利用者の覚醒度の上昇及び交感神経活動の亢進を容易に促進できるので速やかに眠気を取ることができる。
【0040】
請求項6記載の発明によれば、第1の光源のエネルギーを、可視光線発光域での分光分布において600nm未満での平均エネルギーよりも、600nm以上での平均エネルギーが大きい範囲とすることで、目覚めた後の利用者の血圧を自然に上げることができる。すなわち、目覚めた後の利用者の覚醒度の上昇及び交感神経活動の亢進を容易に促進できるので速やかに眠気を取ることができる。
【0041】
請求項7記載の発明によれば、第1の光源を、該第1の光源を照射された利用者の眼前照度が25lxとなる光源とすることで、視覚的にも利用者を刺激してさらに容易に眠気を取ることができる。
【0042】
また、例えば25lx以上の光源を用いる場合には、第1の光源の照度の上限は、一般的な寝室の照度である750lx程度であることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
まず、図1を用いて、利用者が目覚めた後の覚醒度の上昇や、交感神経活動の亢進を促す機能色について説明する。
【0044】
図1は、健康な男子大学生10人を被験者として、これらの被験者の上方約50cmの位置から赤色又は青色の光を20分間照射した時の最高血圧を測定し、平均を求めたものである(森田らの研究「色光による生理応答の経時変化」森田健ほか、日本生理人類学会第32回大会抄録集,1994)。
【0045】
同図は赤色又は青色の光照射開始時の最高血圧を係数1として照射から1分後、6分後、11分後、16分後の最高血圧の経時変化を示している。なお、図中、赤色光を照射した時の最高血圧の経時変化を折れ線グラフ1で示し、青色光を照射した時の最高血圧の経時変化を折れ線グラフ2で示すものとする。
【0046】
まず、赤色光の折れ線グラフ1の変化を時間Tを追って細かくみていく。時間T=1での係数は0.99であり、光照射直後の血圧に比べて若干低く、血圧が低下していることがわかる。しかしその後、折れ線グラフ1は、上昇をはじめ時間T=6で係数1.03という値を示す。その後、折れ線グラフ1はまた徐々に低下してゆき、時間T=11では係数が1.01、時間T=16では係数が1.02となっている。
【0047】
折れ線グラフ1では、最高血圧の最低値は、時間T=1において、0.99であり、最高血圧の最高値は、時間T=6において1.03という数値となっている。
【0048】
この結果から、赤色の光を照射されると、6分以内に血圧が最低値から最高値に上昇することがわかる。また、血圧が最高値まで上昇した後、低下した血圧の値は照射直後の血圧よりも高いこともわかる。
【0049】
次に、青色光の折れ線グラフ2の変化を時間Tを追って細かくみてゆく。折れ線グラフ2の場合も折れ線グラフ1の場合と同様に、時間T=1では係数が0.98となっており、青色光を照射した直後よりも血圧が低下していることがわかる。しかし、青色光の場合、同じ時間Tでの折れ線グラフ1の値よりも数値が大きく低下している。
【0050】
折れ線グラフ2の時間T=6での係数は1.008となっており、時間T=1の時に比べて上昇はしているものの、T=0、すなわち青色光を照射した直後の係数とほぼ同じ値である。
【0051】
また、同じ時間T=6での折れ線グラフ1の係数は1.03であり、さらにこの係数の値は血圧上昇値の最大値であることから、折れ線グラフ2の血圧上昇速度は、折れ線グラフ1の血圧上昇速度よりも遅いということがわかる。
【0052】
さらにグラフを見ていくと、折れ線グラフ2では時間T=11まで血圧は上昇を続ける。T=11での係数は1.01である。この値は同時間T=11での折れ線グラフ1の係数と同じ値である。
【0053】
その後、時間T=16では係数0.98と血圧は大きく低下している。結果として折れ線グラフ2での血圧の係数の最大値は、時間T=11における係数1.01である。
【0054】
すなわち、被験者が青色光を照射された場合には、血圧が最高値を示すまでに11分かかることがわかる。また、最高値まで上昇した後、低下した血圧の値は、青色光を照射した直後の血圧よりも低いこともわかる。
【0055】
折れ線グラフ1と折れ線グラフ2とを比べると、両グラフとも時間T=1で血圧が一旦低下し、その後、上昇した後、再度低下する傾向が共通している。
【0056】
しかしながら、折れ線グラフ1では、係数が最大値を示した時間T=6から、係数が低下した時間T=16までの係数の値は、時間T=0、すなわち赤色光照射直後の係数よりも高い値となっているのに対し、折れ線グラフ2の係数は、時間T=6から時間T=11では青色光照射直後の係数よりも高いものの時間T=16では、むしろ青色光照射直後よりも血圧は低くなっている。
【0057】
血圧の上昇は、交換神経活動の亢進であり、覚醒度の上昇でもあるので、折れ線グラフ1の方が折れ線グラフ2に比べて交感神経活動の亢進及び覚醒度の上昇が顕著であるといえる。
【0058】
以上のことから、被験者が赤色光を照射された場合は6分以内に交感神経活動の亢進が促され、その後も交感神経活動は活発になるといえる。
【0059】
一方、被験者が青色光を照射された場合は、11分以内に交換神経活動の亢進が促されるものの、その後交換神経活動は活発になるとはいえない。
【0060】
すなわち、青色光では、一次的に血圧の上昇は見られるが目が覚めた後の覚醒度の上昇や交感神経活動の亢進を保証するものではない。目が覚めた後の覚醒度の上昇や、交換神経活動の亢進を促す機能色は、赤色であることが望ましいといえる。
【0061】
なお、この測定で使用した赤色光及び青色光は一般的な白熱灯に赤色及び青色のゼラチンフィルターを取り付けたものである。照度はそれぞれ被験者の目の位置(床面より1.1m)垂直照度で25lxに調整してある。
【0062】
次に、上記実験結果を踏まえて、図2乃至図7を参照して、利用者が目覚めた後の覚醒度の上昇や、交換神経活動の亢進を促すよう構成された照明器具の例について説明する。
【0063】
図2及び図3に示すように、この例の照明器具3は、一般家屋の天井に取付けられたシャーシ5と、このシャーシ5に一体的に取り付けられた器具本体7と、器具本体7に固定された化粧台9、保持部材11及びホルダー13と、第1の光源としての赤色発光ダイオード15(以下、LED15と称す。)、ホルダー13に把持された第2の光源としての蛍光灯17と、セード19と、器具本体7の点灯動作を制御するリモコン21と、離床センサ23とを備えている。
【0064】
離床センサ23は、例えば押圧センサなどであり、利用者が就寝するベッド25において、布団27やベッドマット29の上で、かつ利用者の上体(腰から上)の位置の真下(シーツの下など)に配置される。つまり、離床センサ23は、利用者がベッド25に寝ると、On状態となり、上体を起こすと、Off状態に切り替わる。
【0065】
シャーシ5は、略四角の形状をなす金属板の加工品であり、中央部に孔が設けられている。シャーシ5と一体をなす器具本体7には、孔部の位置に取り付けアダプタ6が設けられている。
【0066】
取り付けアダプタ6は、天井に固定された引っ掛けシーリングに着脱自在に取り付けられる。なお、取り付けアダプタ6には、ロック機構が設けられており、引っ掛けシーリングとは着脱自在なものの、ロック機構によって簡単には取り外しができないようにされている。
【0067】
器具本体7の下部には、複数のホルダー13が下方へ向けて取り付けられている。各ホルダー13は、断面C形状の金属部材を主としたものであり、略四角の形状をなす環型の蛍光灯17を数箇所で支持している。
【0068】
また、器具本体7の下部には、化粧台9が同心的に固定されている。この化粧台9は、器具本体7の下部に配置された蛍光灯17よりも幅が広いものである。
【0069】
すなわち、この化粧台9は、略四角盤状をなす平面部と、この平面部の外周部に連続する縁部が下方に向けて一体に形成されており、さらにこの縁部下端には真横外側に向かって鍔部31が一体に形成されている略四角柱状である。
【0070】
したがって、この実施形態の化粧台9は、器具本体7に対応した略四角柱状となる。
化粧台9の鍔部31の所定の位置には複数の赤色LED15が、化粧台9縁部にそう方向に一直線状に、それぞれ外側を向いて取付けられている。化粧台9は略四角柱状をなしているので、一辺に一直線状に配設される赤色LED15は全部で四辺に配設されている。
【0071】
保持部材11は、化粧台9及びセード19を保持する為の部材であり、シャーシ5の中央部に取付けられている。
【0072】
セード19は、例えば透明または半透明のアクリル樹脂などで器具本体7を覆う形状に成型されている。セード19は、光を拡散し光透過性を有する光放射窓として機能するものであり、カバーとも言う。セード19は、器具本体7縁部、照明器具3本体下面に配設された蛍光灯17を覆うような大きさ及び形状のものである。
【0073】
したがって、この実施形態のセード19は、器具本体7に対応した略四角形状となる。セード19は、器具本体7の下面側に蛍光灯17を覆うように、保持部材11に取付けられている。
【0074】
なお、照明器具3にはリモコン21から送信される赤外線を受光する受光部33と、制御部80(図5参照)が設けられている。受光部33は、リモコン21から発光された赤外線通信コマンドを受信する。赤外線通信コマンドは、例えば蛍光灯17の点消灯、調光、赤色LED15点灯時刻の設定などを行うためのコマンドである。
【0075】
リモコン21は、例えば蛍光灯17の入切、目覚まし時刻設定、鳴動しているアラームの切操作、などの各種操作を行うためのものである。壁面に設けた開口内に埋め込み設置され、この開口に操作カバーが覆設されたものや、FRP製の筐体を備え、利用者が容易に持運びできるように構成されたものなどが挙げられる。
【0076】
図4に示すように、リモコン21は、利用者が容易に持ち運びができるタイプのものである。リモコン21は、矩形状の外形をなし、表面には操作面35を有している。操作面35には、現在の設定や点灯内容、操作内容などを表示する表示部37と、各種操作用のスイッチがそれぞれ配設されている。
【0077】
スイッチは、蛍光灯17を入切させるための主光源釦39、目覚まし時刻を設定する目覚まし時刻調整釦41、アラーム釦43は、アラーム動作を開始または停止させるための押し釦スイッチであり、アラームを止めるための操作手段として機能する。つまり、このアラーム釦43は、利用者の目覚めを検知する検知スイッチである。
【0078】
また、リモコン21の表示部37近傍には赤外線を発光する送信窓45が配設されている。この送信窓45の内部に赤外線発光部47が設けられており、赤外線発光部47から発信された赤外線のコマンドが、器具本体7に設けられた受光部で受光される。
【0079】
なお、リモコン21の形状、機能はこの実施例に限定されるものではなく、少なくとも主光源釦39、目覚まし時刻を設定する目覚まし時刻調整釦41及びアラーム釦43が配設されていれば任意の形状としてよい。また、少なくとも目覚まし時刻を設定する時計部49機能を有していれば任意の機能を持たせることができる。
【0080】
次に、図5を参照してこの照明器具3の制御系の構成について説明する。器具本体7には、制御装置81と照明点灯回路82とからなる制御部80と、受光部33と、蛍光灯17および赤色LED15が設けられている。受光部33は、リモコン21から発光された赤外線通信コマンドを受信する。
【0081】
照明点灯回路82は、蛍光灯17及び赤色LED15の点灯及び消灯を行う。制御装置81は、受信された赤外線通信コマンドに応じて照明点灯回路82を制御し、照明の点消灯制御を行う。
【0082】
蛍光灯17は、赤色LED15とは異なる色、例えば白色、昼光色、電球色などで点灯する一般的な照明を行うものである。
【0083】
赤色LED15は、赤色照明を行うため、赤色で点灯する。ここで、赤色LED15の赤色照明の色の範囲について図6の色度図表を用いて説明する。図6は光色の色温度を示す1976U'V’色度図表である。
【0084】
赤色LED15の色は、この色度図上の(U',V’)=(0.368,0.545),(0.26,0.5),(0.25,0.4),(0.41,0.2),(0.62,0.506)の範囲内であることが望ましい。すなわちこの範囲内にある光の色であれば利用者の血圧を自然にかつ速やかに上昇させることができる。
【0085】
また、リモコン21には、セントラルプロセッシングユニット51(以下、CPU51と称す。)、メモリ53、アラーム釦43、覚まし手段としてのアラーム音発生部90、時刻を計時する時計手段としての時計部49、赤外線発光部47などが内蔵されている。この他、リモコン21には、離床センサ23が接続されている。
【0086】
メモリ53には、各種釦操作に応じた赤外線通信コマンドの出力ルール(どの釦の操作でどういったコマンドを出すかなど)が記憶されている。またメモリ53には、CPU51によりアラーム時刻などが設定(記憶)される。
【0087】
CPU51は、目覚まし時刻調整釦41による目覚まし時刻の指定操作があった場合、アラーム時刻をメモリ53に設定する。CPU51は、目覚まし手段としてのアラーム音発生部90を制御してアラーム音を鳴動させる。
【0088】
アラーム釦43は、利用者の目覚めを検知する押し釦スイッチである。離床センサ23は、利用者の離床を検知するものである。
【0089】
アラーム音発生部90は、アンプ91及びスピーカー92を有している。アラーム音発生部90は、CPU51により制御されてアラーム音を鳴動する。つまり、CPU51は、アラーム音発生部90を制御して利用者へ聴覚による目覚まし動作を行う。
【0090】
時計部49は、時刻を計時する。赤外線発光部47は、赤外線通信コマンドを送信するためのLEDである。CPU51は、赤外線発光部47を制御して赤外線通信コマンドを送信する。
【0091】
続いて、図7を参照してこの照明器具3の動作を説明する。図7は照明器具3の動作を示すフローチャートである。
この照明器具3では、リモコン21に内蔵されたCPU51が、あらかじめ目覚まし時刻調整釦41によって設定されてメモリ53に記憶されている任意のアラーム時刻の設定時刻と、時計部49の時刻とを比較する(S1)。
【0092】
この比較の結果、CPU51は、メモリ53のアラーム時刻と時計部49により計時された現在の時刻とが一致した場合、アラーム音発生部90を制御してアラーム音の発生動作(鳴動)を行い、利用者へ聴覚による目覚まし動作を行う(S2)。
【0093】
アラーム音を発生した後、CPU51は、アラーム釦43がOn状態かOff状態かを常に監視する。アラーム釦43がOff状態のままの場合、CPU51は、利用者がまだ目覚めていないため、アラーム音発生部90は鳴動し続ける(S3)。
【0094】
そして、アラーム釦43がOn状態になった場合(S3のOn)、CPU51は、アラーム音発生部90を制御してアラーム音の発生動作を停止させる(S4)。
【0095】
なお、アラーム釦43のスイッチの構造によっては、アラーム釦43のOn、Off状態が逆転するため、その場合は、CPU51の判定も逆になる。
つまり、アラーム釦43がプッシュロックスイッチなどの場合、利用者がこのリモコンを「目覚まし」として機能させるため、アラーム釦43をOnした状態が維持されるため、アラーム時刻になってもアラーム釦43のOn状態が維持されていれば、利用者は目覚めておらず、アラーム釦43が解除、つまりOff状態となって初めて、利用者は目覚めたことになる。この場合、CPU51は、アラーム釦43のOn状態が解除された場合にアラーム音発生部90に対してアラーム動作(鳴動)を開始させる。
【0096】
CPU51は、アラーム動作を停止させるとほぼ同時に、赤外線発光部47を制御し、器具本体7に設置された受光部33に向けて、赤色LED15を点灯するための赤外線通信コマンド(LED点灯コマンド)を送信する。
器具本体7では、赤外線通信コマンドが受光部33により受信されると、受光された赤外線通信コマンドが制御装置81に入力される。制御装置81は、入力された赤外線通信コマンドに応じて、照明点灯回路82を制御して赤色LED15および蛍光灯17を点灯または消灯させる。この場合、受信されたコマンドがLED点灯コマンドなので、赤色LED15だけが点灯される(S5)。
【0097】
CPU51は、LED点灯コマンドを送信した後、離床センサ23の状態(On状態かOff状態か)を監視している。
【0098】
離床センサ23は押圧センサであるので、利用者が起き上がって初めてOff状態に切り替わる。
【0099】
このため、離床センサ23がOn状態のままであれば、利用者は、目覚めてはいるかもしれないがまだ離床していないということになる。この場合、CPU51は、停止コマンドを器具本体7へ送信せず、赤色LED15は、点灯を維持し続ける(S6)。
【0100】
そして、離床センサ23がOff状態に切り替わると、CPU51は、赤外線発光部47を制御し、赤色LED15を消灯させる赤外線通信コマンド(LED停止コマンド)と、蛍光灯17を点灯させる赤外線通信コマンド(蛍光灯点灯コマンド)を送信させる。
【0101】
なお、スイッチの構造によっては、目覚めの場合と同様に、On状態、Off状態が逆の場合があり、その場合は、上記の判定が逆になる。
【0102】
器具本体7では、赤外線通信コマンドが受光部33により受信されると、受光された赤外線通信コマンドが制御装置81に入力される。
【0103】
受光部33は、受光されたLED消灯コマンドと、蛍光灯17を点灯させる赤外線通信コマンドは、制御装置81に入力される。
【0104】
制御装置81は、入力された赤外線通信コマンドが、LED消灯コマンドと蛍光灯点灯コマンドのため、照明点灯回路82を制御して赤色LED15を消灯させ(S7)、蛍光灯17を点灯させる(S8)。
【0105】
赤色LED15の消灯と蛍光灯17の点灯の順序は、上記以外でもよい。すなわち、蛍光灯17を点灯した後で、赤色LED15を消灯するようにしても良く、また2つの照明の点消灯を同時に行ってもよい。
【0106】
このようにこの実施形態の照明器具3によれば、あらかじめ設定されたアラーム時刻になると、アラーム音を発生し、利用者に対して目覚めを促し、このアラーム音が利用者によるアラーム釦43の操作で停止されると、アラーム釦43が操作されたことでCPU51が利用者の目覚めを検知し、赤色LED15を点灯させ、赤色照明が利用者に照射される。
【0107】
この赤色照明の照射により、利用者は、目覚めはしたものの眼を閉じていた場合であっても瞼を赤色光が透過して覚醒度を上昇させ、交感神経活動の亢進を促すので、利用者の眠気を速やかに取ることができる。
【0108】
本発明は、上記実施形態に限定されず、拡張、変更が可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術範囲に含まれる。
【0109】
例えば上記実施形態では、離床センサ23を用いて利用者の離床を検知していたが、赤色光を浴びた利用者の血圧上昇が6分後にピークになることを考慮して、アラーム釦43がOnになってから6分経過した時に、赤色LED15を自動的に消灯させ、かつ蛍光灯17を点灯させるようにしてもよい。
【0110】
また、赤色LED15を自動的に消灯させ、蛍光灯17を点灯させる時間についても、上記実施形態のみに限定されることはなく、利用者が釦操作で任意に設定できるようにしてもよい。
【0111】
さらに、上記実施形態では、リモコン21に多くの機能(アラーム機能、照明制御機能、時計機能など)を盛り込んだが、これらの機能のうち、いずれかの機能を器具本体7の側に内蔵してもよい。
すなわち、本発明を実現するための機能については、器具本体7あるいはリモコン21の少なくとも一方に備えればよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】赤色光及び青色光を照射された時の血圧の径時変化を示す表である。
【図2】本発明の一つの実施形態の照明器具を示す概略図である。
【図3】図2の照明器具を上から見た図である。
【図4】本発明の一つの実施形態のリモコンを表す概略図である。
【図5】図2の照明器具のブロック図である。
【図6】色度図表である。
【図7】本発明の照明器具の動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1…赤色光の折れ線グラフ、2…青色光の折れ線グラフ、3…照明器具、5…シャーシ、
6…アダプタ、7…器具本体、9…化粧台、11…保持部材、13…ホルダー、15…L
ED、17…蛍光灯、19…セード、21…リモコン、23…離床センサ、25…ベッド
27…布団、29…ベッドマット、31…鍔部、33…受光部、35…操作面、37…表示部、39…主光源釦、41…時刻調整釦、43…アラーム釦、45…送信窓、47…赤外線発光部、49…時計部、51…CPU、53…メモリ、80…制御部、81…制御装置、82…照明点灯回路、90…アラーム音発生部、91…アンプ、92…スピーカー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の血圧を上昇させる機能色で点灯可能な第1の光源と;
前記利用者の目覚めを検知する目覚め検知手段と;
前記目覚め検知手段により利用者の目覚めが検知された場合、前記第1の光源を点灯させる点灯回路を有する点灯制御手段と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記目覚め検知手段は、
時刻を計時する時計手段と;
アラーム時刻が予め設定され、前記時計手段により計時された時刻が前記アラーム時刻と一致した場合に目覚まし動作を行う目覚まし手段と;
前記目覚まし手段により行われた目覚まし動作を停止するための停止操作が行われる操作手段と;
前記操作手段に対する前記停止操作を検知する操作検知手段と;
を具備することを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
利用者が離床したことを検知する離床検知手段を備え、前記点灯制御手段は、前記離床検知手段により離床が検知された場合、前記第1の光源を消灯することを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項4】
前記第1の光源とは異なる色で点灯可能な第2の光源を備え、前記離床検知手段により離床が検知された場合、前記点灯制御手段は、前記第2の光源を点灯させ、かつ前記第1の光源を消灯させることを特徴とする請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
前記第1の光源が発光する光の波長は、ピーク波長が600nm以上780nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1記載の照明器具。
【請求項6】
前記第1の光源は、可視光発光領域での分光分布において、600nm未満での平均エネルギーよりも、600nm以上での平均エネルギーが大きいことを特徴とする請求項1乃至5ずれか1記載の照明器具。
【請求項7】
前記第1の光源は、利用者の眼前照度が25lxとなる光源であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−328954(P2007−328954A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157583(P2006−157583)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】