説明

照明器具

【課題】枠体を器具本体に取り付けるためのキックバネの変形を抑えた照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具Aは、下面が開口する矩形箱状の器具本体10と、器具本体10の開口端縁に当接する形で器具本体10に着脱自在に取り付けられる枠体20と、V字状に拡開する2本の腕部21a,21aを有し、両腕部21a,21aの連結部位であるコイル部21cで枠体20に取り付けられる複数のキックバネ21と、各キックバネ21にそれぞれ対応する形で器具本体10の側壁に設けられた複数のバネ受け部14とを備える。器具本体10の側壁には放熱用のスリット10dが設けられており、これらのスリット10dのうちキックバネ21の可動範囲内に設けられたスリット10dは、枠体20の器具本体10への着脱方向における開口寸法が、キックバネ21の各腕部21aの先端から外側へ突出する引掛片21bの長さ寸法よりも小さく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、天井に埋込配設される照明器具が提供されている(例えば特許文献1参照)。この照明器具は、下面が開口する矩形箱状の器具本体と、器具本体の開口端縁に当接する形で器具本体に取り付けられる矩形枠状の枠体とを備える。枠体の対向する2辺には、V字状に拡開する2本の腕部を有するキックバネがそれぞれ取り付けられており、器具本体の対向する2つの側壁には、キックバネの両腕部をそれぞれ保持する一対のバネ受け片を有するバネ受け部が各キックバネに対応する形で設けられている。
【0003】
この照明器具では、枠体を器具本体に取り付ける際には、まず一方のキックバネの両腕片を互いに近づく方向に撓めて一対のバネ受け片間に挿通させた後、両腕片に加えた力を取り除くとともに各腕片の先端に設けられた抜け止め片を上記一対のバネ受け片にそれぞれ引っ掛ける。また、もう1つのキックバネも同様にして、各抜け止め片がそれぞれ対応するバネ受け片に引っ掛かる状態に配置し、その後、枠体を上方に押し上げることで枠体が器具本体の開口端縁に当接した状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−235210号公報(段落[0013]−段落[0018]、及び、第1,2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に示した照明器具では、器具本体の内部に光源を収納しているため、光源で発生する熱を放熱するためのスリットを器具本体に設ける必要がある。この場合、スリットを設ける位置や形状によってはキックバネの上記抜け止め片がスリットに引っ掛かる可能性があり、そのためキックバネが変形して操作性が低下する虞があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、枠体を器具本体に取り付けるためのキックバネの変形を抑えた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明器具は、下面が開口する箱状に形成され、少なくとも側壁に放熱用のスリットが設けられた器具本体と、器具本体の開口端縁に当接する形で器具本体に着脱自在に取り付けられる枠体と、V字状に拡開する2本の腕部を有し、両腕部の連結部位で枠体に取り付けられる複数のキックバネと、各キックバネにそれぞれ対応する形で器具本体の側壁に設けられ、各キックバネの両腕部をそれぞれ保持する一対のバネ受け片を有する複数のバネ受け部とを備え、枠体が器具本体の開口端縁に当接した状態では各キックバネの両腕部が互いに離れる方向に拡開し、枠体が器具本体の開口端縁から離れた状態では各キックバネの両腕部が互いに近づく方向に撓められるとともに、両腕部の先端からそれぞれ外側へ突出する引掛片を対応するバネ受け片に引っ掛けることで枠体が器具本体に仮保持され、スリットのうちキックバネの可動範囲内に設けられたスリットは、枠体の着脱方向における開口寸法が引掛片の長さ寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0008】
この照明器具において、スリットは、各バネ受け部の配置部位を除くように設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
枠体を器具本体に取り付けるためのキックバネの変形を抑えた照明器具を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の照明器具の施工例を示す分解斜視図である。
【図2】同上の一部省略せる分解斜視図である。
【図3】(a),(b)は同上の要部拡大図である。
【図4】同上を示し、(a)は上面図、(b)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、照明器具の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態の照明器具Aは、例えば図1に示すように天井100に埋込配設される埋込型の照明器具であり、室内空間を照明するために用いられる。なお、図2は光源部23を省略しているが、実際には図1に示すように枠体20の枠内に光源部23が配置される。
【0012】
本実施形態の照明器具Aは、図1に示すように本体ユニット1と光源ユニット2とで構成される。
【0013】
本体ユニット1は、下面に開口部10aを有する矩形箱状の器具本体10と、光源ユニット2側に点灯電力を供給する点灯装置11と、天井裏に先行配線された電源線L1が接続される端子台12と、天井裏に先行配線された信号線L2が接続される端子台13と、後述のキックバネ21を保持するバネ受け部14とを備える。
【0014】
器具本体10は、例えば金属材料により矩形箱状に形成され、上面の略中央には天井100から垂下された2本のボルトB1,B1がそれぞれ挿通されるねじ挿通孔10b,10bが設けられている(図2及び図4(a)参照)。また、器具本体10の上面において各ねじ挿通孔10b,10bの近傍には、電源線L1又は信号線L2の何れかが挿通される電線挿通孔10c,10cがそれぞれ設けられるとともに、横長且つ矩形状に形成された複数(図4(a)では18個)の放熱用のスリット10dが設けられている(図2及び図4(a)参照)。
【0015】
さらに、器具本体10の対向する2つの側壁には、横長且つ矩形状に形成された複数(図1では18個)の放熱用のスリット10dが設けられ、また残りの2つの側壁には、横長且つ矩形状に形成された複数(図1では10個)の放熱用のスリット10dが、後述のバネ受け部14の配置部位を除くようにして設けられている。
【0016】
バネ受け部14は、図1及び図3に示すように横長且つ矩形板状に形成された主片14bを有し、主片14bの上端縁には、当該主片14bと直交する方向に延出するU字状の一対のバネ受け片14a,14aが、所定の間隔を空けて互いに対向する形で設けられている。このバネ受け部14は、図1に示すように、器具本体10の対向する2つの側壁に、それぞれ2個ずつ取り付けられている(図1では一方のみ図示)。
【0017】
点灯装置11及び端子台12,13は、図1に示すように器具本体10の上面の所定位置に取り付けられている。そして、端子台12,13の各出力端子と、点灯装置11の入力端子との間が電線(図示せず)により接続されるとともに、点灯装置11の出力端子にはコネクタ15が電気的に接続されている。また、端子台12の入力端子には、電線挿通孔10cを通して内部に導入された電源線L1が接続され、端子台13の入力端子には、電線挿通孔10cを通して内部に導入された信号線L2が接続される。
【0018】
一方、光源ユニット2は、器具本体10の開口部10aの開口端縁に当接する形で器具本体10に着脱自在に取り付けられる矩形枠状の枠体20と、枠体20を器具本体10に取り付けるための複数(図1では4個)のキックバネ21と、枠体20の枠(開口)内に配置される光源部23と、光源部23の前面側(図1中の下面側)に配置される透光パネル24(図4(b)参照)とを備える。
【0019】
枠体20は、例えば金属材料により矩形枠状に形成され、対向する2つの枠辺にはキックバネ21がそれぞれ2個ずつ設けられており、これらのキックバネ21を用いて器具本体10に取り付けられる。なお、施工手順については後述する。
【0020】
キックバネ21は、図1〜図3に示すようにV字状に拡開する2本の腕部21a,21aを有し、両腕部21a,21aは基端側(図3(b)中の下側)でコイル部21cにより一体に連結されている。また、各腕部21a,21aの先端には、それぞれ外側に向かって突出する引掛片21b,21bが一体に設けられている。ここにおいて、枠体20の対向する2つの枠辺には、横長且つ矩形板状に形成された取付金具22,22がそれぞれねじ固定されており、各キックバネ21は、それぞれコイル部21cが移動自在となるような形で取付金具22の所定位置に取り付けられている。
【0021】
光源部23は、図1及び図4(b)に示すように、例えば反射率の高い白色塗装が施された鋼板からなり、外形寸法が枠体20の開口寸法と略同寸法に設定された矩形枠状の反射板230を有し、反射板230の枠(開口)内には複数(図4(b)では25個)のLEDチップ231aが実装された複数(図4(b)では4枚)のLED基板231が配置されている。各LED基板231の前面には、各LEDチップ231aから照射された光を前方に反射させる反射板231bが配置されており、またLED基板231の後面側にはLED基板231で発生する熱を放熱させる放熱板232が配置されている。なお、上記の各LED基板231にはコネクタ25が電気的に接続されており、このコネクタ25に上記のコネクタ15を接続することで点灯装置11から各LED基板231に点灯電力が供給される。また、上記の反射板231bは、例えば反射率の高い白色のポリカーボネート樹脂からなる。
【0022】
透光パネル24は、例えばアクリルなどの透光性材料により矩形板状に形成され、外形寸法が枠体20の開口寸法と略同寸法に設定されており、光源部23の前方に配置される。つまり、光源部23から照射された光は、透光パネル24を透過して外部に照射される。
【0023】
次に、照明器具Aの施工手順について図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、点灯装置11、端子台12,13及びバネ受け部14が器具本体10に予め取り付けられ、またキックバネ21、光源部23及び透光パネル24が枠体20に予め取り付けられているものとして説明する。
【0024】
天井100に設けられた埋込孔100aに器具本体10を埋め込むと同時に、器具本体10の上面に設けたねじ挿通孔10b,10bにボルトB1,B1をそれぞれ挿通させた後、ワッシャーW1及びナットN1を用いて器具本体10を天井100に固定する。なおこのとき、天井裏に先行配線された電源線L1及び信号線L2を器具本体10の上面に設けた電線挿通孔10c,10cにそれぞれ挿通させて器具本体10内に導入する。その後、電源線L1の各芯線を端子台12の対応する入力端子に接続するとともに、信号線L2の各芯線を端子台13の対応する入力端子に接続すると、本体ユニット1の取り付けが完了する。
【0025】
続けて、光源ユニット2を本体ユニット1に組み付ける手順について説明する。枠体20の一方の枠辺に設けられた各キックバネ21の各腕部21aを、それぞれ器具本体10の対応するバネ受け部14の各バネ受け片14aの凹溝内に挿入し、各腕部21aの先端に設けた各引掛片21bを、それぞれ対応するバネ受け片14aに引っ掛けて仮吊りする。次に、本体ユニット1側のコネクタ15と、光源ユニット2側のコネクタ25を接続した後、同様にして、枠体20の他方の枠辺に設けられた各キックバネ21を、それぞれ器具本体10の対応するバネ受け部14に引っ掛けて仮吊りする。そして最後に、光源ユニット2を本体ユニット1側に近づけていくと(図2中の矢印aの向き)、枠体20が器具本体10の開口端縁に当接した状態になり、光源ユニット2の組み付けが完了する。
【0026】
なおこのとき、各キックバネ21は、図3(a)及び図3(b)に示すように、それぞれ両腕部21a,21aが互いに離れる方向(図3(a)中の矢印b及び図3(b)中の矢印cの方向)に拡開した状態になり、キックバネ21のばね力で光源ユニット2が本体ユニット1に保持される。
【0027】
逆に、光源ユニット2を本体ユニット1から取り外す場合には、まず光源ユニット2を下向き(本体ユニット1から離れる向き)に引っ張って仮吊り状態にする。なおこのとき、各キックバネ21は、それぞれ両腕部21a,21aが互いに近づく方向に撓められて、各腕部21a,21aの先端に設けた引掛片21b,21bがそれぞれ対応するバネ受け片14a,14aに引っ掛けられた状態になる。そして最後に、各キックバネ21の両腕部21a,21aを内側に撓めて対応するバネ受け部14からそれぞれ取り外すことで、光源ユニット2が本体ユニット1から取り外される。
【0028】
ここで、光源ユニット2を本体ユニット1に組み付ける際には、図3(a)及び図3(b)に示すように、各キックバネ21の両腕部21a,21aが互いに離れる方向に拡開するが、このとき各腕部21aの先端に設けた引掛片21bが器具本体10の側壁に設けたスリット10dに引っ掛かる可能性がある。そこで、本実施形態では、キックバネ21の可動範囲内に設けられたスリット10dの上下方向(器具本体10に対する枠体20の着脱方向)の開口寸法D1を引掛片21bの長さ寸法L1よりも小さく設定しており(D1<L1)、そのためキックバネ21の両腕部21a,21aが拡開する際に引掛片21b,21bがスリット10dに引っ掛かるのを抑えることができる。その結果、キックバネ21が変形するのを抑えられるとともに、キックバネ21の変形に伴う操作性の低下を抑えることができる。
【0029】
また、本実施形態では、器具本体10の側壁においてバネ受け部14の配置部位を除くようにスリット10dを設けており、そのため器具本体10に対するバネ受け部14の取付強度が低下するのを抑えられることから、器具本体10に対する枠体20の取付強度が低下するのを抑えることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、矩形箱状に形成された器具本体10を例に説明したが、器具本体10の形状は本実施形態に限定されるものではなく、箱状であれば他の形状でもよい。また、キックバネ21及びバネ受け部14の個数についても本実施形態に限定されるものではなく、光源ユニット2の重量などに応じて適宜設定すればよい。
【0031】
さらに、放熱用のスリット10dの形状及び個数についても本実施形態に限定されるものではなく、キックバネ21の両腕部21a,21aの可動範囲内に設けられたスリット10dの上下方向(器具本体10に対する枠体20の着脱方向)の開口寸法が、引掛片21bの長さ寸法よりも小さく設定されていれば他の形状でもよい。また、本実施形態では、光源がLEDの場合を例に説明したが、放熱が必要な光源であればよく、例えば白熱灯などであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 器具本体
10d スリット
14 バネ受け部
20 枠体
21 キックバネ
21a 腕部
21b 引掛片
21c コイル部
A 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開口する箱状に形成され、少なくとも側壁に放熱用のスリットが設けられた器具本体と、
前記器具本体の開口端縁に当接する形で前記器具本体に着脱自在に取り付けられる枠体と、
V字状に拡開する2本の腕部を有し、両腕部の連結部位で前記枠体に取り付けられる複数のキックバネと、
前記各キックバネにそれぞれ対応する形で前記器具本体の側壁に設けられ、前記各キックバネの前記両腕部をそれぞれ保持する一対のバネ受け片を有する複数のバネ受け部とを備え、
前記枠体が前記器具本体の開口端縁に当接した状態では前記各キックバネの前記両腕部が互いに離れる方向に拡開し、前記枠体が前記器具本体の開口端縁から離れた状態では前記各キックバネの前記両腕部が互いに近づく方向に撓められるとともに、前記両腕部の先端からそれぞれ外側へ突出する引掛片を対応する前記バネ受け片に引っ掛けることで前記枠体が前記器具本体に仮保持され、
前記スリットのうち前記キックバネの可動範囲内に設けられたスリットは、前記枠体の着脱方向における開口寸法が前記引掛片の長さ寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記スリットは、前記各バネ受け部の配置部位を除くように設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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