説明

照明器具

【課題】可搬性を向上できる照明器具を提供すること。
【解決手段】器具本体10の照射開口11にグローブ16を備え、前記照射開口11の縁部には外側に突出した複数のグローブ固定部20を一体に備え、前記グローブ固定部20同士を連結して成る把持部51を一体に備える照明器具1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具の可搬性を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地下に設けられた電力ケーブル、ガス管、通信ケーブル等の共同溝、或いは石油化学プラント等の工場では漏洩ガスによる着火のおそれがあるため、照明器具として耐圧防爆型または安全増防爆型の器具が使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−150003号公報
【特許文献2】特開平9−63349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、耐圧防爆型または安全増防爆型の照明器具は、重量が非常に重く持ち運びが容易ではない。また例え重量が軽い場合であっても、照明器具の構造によっては、持ち難くて持ち運びが容易でないこともある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、可搬性を向上できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、器具本体の照射開口にグローブを備え、前記照射開口の縁部には外側に突設された複数のグローブ固定部を一体に備え、前記グローブ固定部同士を連結して成る把持部を一体に備えることを特徴とする照明器具を提供する。
【0006】
また本発明は、上記照明器具において、前記照射開口の縁部の全周に、前記グローブが嵌まり込むフランジ部を備え、当該フランジ部に前記グローブ固定部を備えることを特徴とする。
【0007】
また上記目的を達成するために、本発明は、器具本体の照射開口にグローブを備え、前記照射開口の縁部の全周には前記グローブが嵌まり込むフランジ部を備え、前記フランジ部には複数のフランジ補強部を一体に備え、前記フランジ補強部同士を連結して成る把持部を一体に備えることを特徴とする照明器具を提供する。
【0008】
また本発明は、上記照明器具において、前記器具本体内に、LED基板を載置した放熱板を前記フランジ部に合わせた位置に保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、把持部を備えるため、器具の持ち運びが容易となり、また設置作業時の作業性が良好となる。さらに、照射開口の縁部に一体に突設したグローブ固定部を連結して把持部を一体に設けたため、把持部が器具本体に強固に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る照明器具の設置状態を示す図であり、(A)は下側から見た斜視図、(B)は上側からみた斜視図である。
【図2】照明器具の構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は底面図、(C)は背面図である。
【図3】照明器具の断面図である。
【図4】器具本体の斜視図である。
【図5】図1(B)の点線で囲んで示したグローブ固定部を含む部位Aの拡大図である。
【図6】光源をLEDとしたときの照明器具を示す図であり、(A)は断面図、(B)は底面図である。
【図7】本発明の変形例に係る照明器具を示す図である。
【図8】本発明の他の態様に係る照明器具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、防爆型の照明器具を例示する。
図1は本実施形態に係る照明器具1の設置状態を示す図であり、図1(A)は下側から見た斜視図、図1(B)は上側からみた斜視図である。図2は照明器具1の構成を示す図であり、図2(A)は正面図、図2(B)は底面図、図2(C)は背面図である。図3は照明器具1の断面図である。
照明器具1は、図1に示すように、天井面に既設の端子ボックス2に取り付けて設置される。端子ボックス2は、照明器具1の取付ベースとして供されるとともに、商用電力を照明器具1に供給するものであり、複数の固定脚4を備え、当該固定脚4を天井面にボルト等で照明器具1の荷重に耐え得るように強固に固定して設置されている。
また端子ボックス2には、商用電力の電力線を引き込むための開口5と、照明器具1の電力線を引き込む開口(図示略)が設けられており、それぞれから引き込まれた電力線が端子ボックス2の中で結線され、照明器具1に商用電力が供給される。
なお、端子ボックス2には、4方向に開口5が設けられており、適宜の開口5から電力線を引き込み、また他の照明器具1への送り配線を引き出し可能に構成されており、使用しない開口5は例えばプラグ等で閉塞される。
【0012】
照明器具1は、照射面(本実施形態では床面)に対面する底面側が開放して照射開口11が設けられた箱型の器具本体10を備える。器具本体10は、熱伝導性が高い例えばアルミニウム合金等の金属材をダイカストで成形して成り、図1(B)に示すように、設置面(本実施形態では天井面)に対面する本体上面10Aには、放熱性を高めるための複数本の凸条12と、端子ボックス2と連結される連結部14とが設けられている。
【0013】
また図1(A)及び図2(B)に示すように、照明器具1は、照射開口11に、当該照射開口11を閉塞する所定厚み(例えば5mm厚)の強化ガラス製であって平面視矩形状の平板状のグローブ16と、当該グローブ16を保護する格子状のガード18とを備えている。なお、各図面において、照明器具1の内部を示すためにガード18を点線で示している。
これらグローブ16及びガード18の器具本体10への取付構造については後述する。
【0014】
図3に示すように、器具本体10の内部は、仕切板24によって照射開口11側の光源収納室26と、取付面側の電気ボックス収納室28とに仕切られている。仕切板24は、図3及び図4に示すように、器具本体10の天面10Kに立設した複数の支持体29にネジ止めされている。
光源収納室26では、図2(B)に示すように、ソケット25を固定したソケット固定板27が仕切板24に設けられ、このソケット25にコンパクト蛍光ランプ30(以下、単に「ランプ30」と称する)が装着されている。また、ランプ30の左右両側、及び仕切板24との間には、それぞれ反射板32、34が仕切板24に固定して設けられている。
【0015】
電気ボックス収納室28には、図3に示すように、防爆耐圧構造を有する鋳物の容器体36が収納されネジなどで強固に固定されており、この容器体36にランプ30を点灯するインバータ安定器が収められている。
【0016】
光源収納室26は、照射開口11がグローブ16で覆われることで閉塞されるが、図3及び図4に示すように、器具本体10の照射開口11の全周には外側に膨出したフランジ部40が一体に形成され、このフランジ部40に防水用のパッキン42が嵌め込まれる嵌込溝44が形成され、図3に示すように、フランジ部40に上記グローブ16がパッキン42を挟んで嵌め込まれている。
【0017】
グローブ16は、図1〜図3に示すように、その一辺が器具本体10のフランジ部40にヒンジ19でヒンジ結合されて開閉自在に成されるとともに、その開閉端側の一辺が器具本体10にネジ止めされて器具本体10に固定される。
具体的には、照射開口11の縁部であるフランジ部40には外側に膨出するように一体に突設されたグローブ固定部20が同じ辺上で離間した2箇のそれぞれに設けられている。これらグローブ固定部20には、送りネジと螺合するネジ孔が形成されており、グローブ固定片48が送りネジ46(図2(B))でネジ止めされ、このグローブ固定片48にグローブ16の開閉端側がネジ止めされている。
【0018】
図2(B)及び図3に示すように、ヒンジ結合箇所には、ガード支持片49がネジ止め固定され、またグローブ固定片48のグローブ16側の先端部がL字状に起立してガード支持部48Aが形成され、これらガード支持片49、及びガード支持部48Aに上記ガード18がネジ止め固定されることでグローブ16と隙間を設けて支持され、これらガード支持片49、及びガード支持部48Aを通じてグローブ16に連結される。
【0019】
図5は、図1(B)の点線で囲んで示したグローブ固定部20を含む部位Aの拡大図である。
同図に示すように、グローブ固定部20とフランジ部40と繋がる接続端部20Aは、他の箇所よりも設置面側(電気ボックス収納室28側)に膨出して肉厚になされており、器具本体10と強固に結合されている。そして、これら2つのグローブ固定部20を連結する連結棒50を一体に成形することで、手で掴んで把持できる把持部51が設けられている。
これにより、照明器具1の運搬時には把持部51を把持することで容易に持ち運ぶことができ可搬性の向上が図られる。さらに設置時には、把持部51を把持して端子ボックス2に取り付けることができ、設置作業が容易となる。
またグローブ固定部20を連結して把持部51を一体に設けたため、把持部51が器具本体10に強固に設けられる。
【0020】
また例えばフランジ部40に指を引っ掛け、或いはガード18を掴んで照明器具1を持ち上げた場合、照射開口11或いはグローブ16に予期せぬ力が加わり変形等による歪みが生じ気密性が損なわれる、という問題がある。特に防爆型の照明器具1にあっては、インバータ安定器を収容する容器体36が鋳物で構成される等して重量が10kg前後と重いことから、フランジ部40やグローブ16を持ったときには、かかる問題が顕著となる。さらに、フランジ部40やグローブ16を持つ場合、照明器具1をしっかりと把持できないため、手を滑らせて照明器具1を落とす虞があり、この場合、落下による端部及びガード18への外力による変形によりグローブ16とパッキン42との密着性に不具合が発生する。
【0021】
これに対して、本実施形態では、照射開口11の縁部の全周にフランジ部40を設け、当該フランジ部40にグローブ固定部20を設けて把持部51を設けているため、照射開口11がフランジ部40で補強され、また把持部51を把持したときの荷重がフランジ部40で分散されて照射開口11に直接加わることがなく、当該照射開口11の変形を防止できる。
【0022】
ここで、器具本体10は、光源をランプ30からLED70(図6)に置き換え可能に構成されている。すなわち、前掲図4に示すように、器具本体10の内側壁10Lには、天面10Kから照射開口11に向かって延びる複数のリブ60が形成されている。光源をLED70とする場合、仕切板24等の内蔵部品に代えて、図6(A)に示すように、高熱伝導性材から形成された放熱板62が各リブ60に取り付けられ、この放熱板62と天面10Kの間にLED70の電源回路を収めた防爆耐圧構造の容器体68が収納されている。
【0023】
放熱板62は、図6(B)に示すように、縁部62Aが器具本体10の内側壁10Lに接する程度に延び、放熱板62と器具本体10とが熱的に結合されており、この放熱板62の面上に、LED70が実装された複数のLED基板71が直接固定されている。これにより、各LED70の発熱が放熱板62を通じて器具本体10に伝えられて放熱されることとなる。
また、図6(A)に示すように、放熱板62は、器具本体10のフランジ部40の近傍に位置する高さにリブ60で保持されており、フランジ部40がヒートマスとなって放熱板62の熱が吸収され易くなり、近くに配置されたLED70の冷却性能が高められている。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、器具本体10に把持部51を備えるため、器具の持ち運びが容易となり、また設置作業時の作業性が良好となる。さらに、照射開口11の縁部に一体に突設したグローブ固定部20を連結して把持部51を一体に設けたため、把持部51が器具本体10に強固に設けられる。
【0025】
また本実施形態によれば、照射開口11の縁部の全周に、グローブ16が嵌まり込むフランジ部40を備え、当該フランジ部40に上記グローブ固定部20を設けて把持部51を設ける構成としたため、照射開口11がフランジ部40で補強され、また把持部51を把持したときの荷重がフランジ部40で分散されて照射開口11に直接加わることがなく、当該照射開口11の変形を防止できる。
【0026】
また本実施形態によれば、器具本体10内に、LED基板71を載置した放熱板62をフランジ部40に合わせた位置に保持する構成としたため、フランジ部40がヒートマスとなって放熱板62の熱が吸収され易くなり、近くに配置されたLED70の冷却性能が高められる。
【0027】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0028】
例えば、上述した実施形態では、照射開口11の片側にのみ把持部51を設ける構成を例示したが、これに限らない。すなわち、図7に示すように、器具本体110のフランジ部40に、グローブ16のヒンジ19ごとにヒンジ固定部120をグローブ固定部20と同様に一体に設け、当該ヒンジ固定部120を連結して把持部151を一体に設けることで、器具本体110の両側に把持部51、151を備えた照明器具1を構成しても良い。この場合、把持部151にあっては、ヒンジ固定部120がグローブ固定部20に相当する。
また、図7に示すように、フランジ部40の強度増加およびLED基板71の放熱性をより高めるため、フランジ部40の外周にフィン180を形成しても良い。当該フィン180を形成する箇所は、LED基板71のヒートマスとして機能するフランジ部40であれば任意であるが、LED基板71と器具本体110とが近接、或いは接する箇所に対応して設けることが好ましい。
【0029】
また例えば、2つのグローブ固定部20を連結して1つの把持部51を構成したが、これに限らず3つ以上のグローブ固定部20を連結して1つの把持部51を構成しても良い。また器具本体10、及び照射開口11の平面視形状は矩形以外に円形であっても良い。
【0030】
また上述した実施形態では、グローブ固定部20(ヒンジ固定部120)同士を連結して把持部51(把持部151)を構成したが、これに限らない。
すなわち、図8に示すように、グローブ固定部220が照射開口11の内側に向けて突設されている器具本体210の照明器具200においては、照射開口11の縁部の全周に亘って設けたフランジ部40に、上記接続端部20Aと略同一形状の複数のフランジ補強部221を設け、これらフランジ補強部221同士を連結棒50で連結して把持部51を器具本体210に一体に設ける構成としても良い。
また、図8に示すように、グローブ16を照射開口11の縁部に内ヒンジ219によりヒンジ結合されている場合には、ヒンジ結合側においても、フランジ補強部221を設けて把持部51を一体に構成しても良い。
【0031】
また例えば、本発明は、防爆型や安全増型の照明器具に限らず、照射開口にグローブを備える照明器具であれば、任意の照明器具に適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1、100、200 照明器具
10、110、210 器具本体
11 照射開口
16 グローブ
18 ガード
19 ヒンジ
20、220 グローブ固定部
20A 接続端部
40 フランジ部
42 パッキン
44 嵌込溝
48 グローブ固定片
50 連結棒
51、151 把持部
60 リブ
62 放熱板
70 LED
71 LED基板
110 器具本体
120 ヒンジ固定部
219 内ヒンジ
221 フランジ補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体の照射開口にグローブを備え、前記照射開口の縁部には複数のグローブ固定部を一体に備え、前記グローブ固定部同士を連結して成る把持部を一体に備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記照射開口の縁部の全周に、前記グローブが嵌まり込むフランジ部を備え、当該フランジ部に前記グローブ固定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
器具本体の照射開口にグローブを備え、前記照射開口の縁部の全周には前記グローブが嵌まり込むフランジ部を備え、前記フランジ部には複数のフランジ補強部を一体に備え、前記フランジ補強部同士を連結して成る把持部を一体に備えることを特徴とする照明器具。
【請求項4】
前記器具本体内に、LED基板を載置した放熱板を前記フランジ部に合わせた位置に保持したことを特徴とする請求項2又は3に記載の照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−186085(P2012−186085A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49457(P2011−49457)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】