説明

照明器具

【課題】 2本の吊下部材で器具本体を吊しながら、一方の吊下部材が破断しても器具本体の落下を防止できる照明器具を提供する。
【解決手段】 光源11を収容する長尺の器具本体20の長手方向両端部を、一対の紐状の吊下部材30で天井12から吊り下げる。器具本体20には、一方の吊下部材30Aが破断したときに、他方の吊下部材30Bに結合される複数本の紐状の落下防止部材32を設けたので、一方の吊下部材30Aが破断しても、器具本体20の落下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の器具本体を有し、天井から吊下部材で吊り下げて下方を照明する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、長尺の器具本体を有する照明器具では、天井から吊下部材で吊り下げて取り付けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
図11に示すように、特許文献1に記載の照明器具100では、天井面101に沿って天井レール102が取付けられている。天井レール102にはワイヤ103が走行自在に支持されており、ワイヤ103の下端に器具本体104を吊り下げる。
器具本体104は、上方Aに開口すると共に内面に反射面105が形成され、且つ内部に間接照明用のランプ106が収納される型材107を有する。型材107の吊り下げ位置は、天井レール102の長さ方向Bに沿って移動調整自在である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−171809号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したような長尺の器具本体104を、吊下部材である2本のワイヤ103により吊り下げる場合、1本のワイヤ103が破断すると、他方のワイヤ103のみで吊り下げられるので、器具本体104が落下して危険である。
また、落下防止部材としてさらに1本のワイヤ103を加えて、3本のワイヤ103で吊すことも可能であるが、施工性および外観の点で好ましくないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、2本の吊下部材で器具本体を吊しながら、一方の吊下部材が破断しても器具本体の落下を防止できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明器具は、長尺の器具本体と、前記器具本体に収容され下方へ光を照射する光源と、前記器具本体の長手方向両端部に設けられ、一端が天井に取り付けられ、他端が前記器具本体に取り付けられる紐状の吊下部材と、を備え、前記吊下部材の一方が破断したときに、前記吊下部材の他方に結合される複数本の紐状の落下防止部材で前記器具本体を支持するものである。
【0007】
また、本発明の照明器具では、前記落下防止部材は、前記吊下部材が破断する前には前記器具本体に収容されているものである。
【0008】
また、本発明の照明器具は、前記落下防止部材が絡まるのを防止する絡まり防止手段を有するものである。
【0009】
さらに、本発明の照明器具は、前記吊下部材の下端部に前記器具本体の幅方向と平行となる棒部材を設け、前記器具本体の長手方向両端部付近には、前記棒部材の両端を支持する一対の支持溝を各々設け、前記支持溝が、下方に凸状で前記器具本体の長手方向外側端部が上方に開口しており、前記吊下部材の一方が破断して前記器具本体が傾くと、他方の前記吊下部材の前記棒部材が前記支持溝から脱落して前記落下防止部材に支持され、前記落下防止部材が前記器具本体を支持するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、光源を収容する長尺の器具本体の長手方向両端部を、2本の紐状の吊下部材で天井から吊り下げる。器具本体には、一方の吊下部材が破断したときに、他方の吊下部材に結合される複数本の紐状の落下防止部材が設けられているので、一方の吊下部材が破断しても、器具本体の落下を防止できるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(A)は本発明に係る第1実施形態の照明器具の(B)中A−A位置の断面図であり、(B)は(A)中B方向から見た平面図であり,(C)は(A)中C−C位置の拡大断面図
【図2】天板を取り除いた器具本体の斜視図
【図3】支持溝の形状を示す正面図
【図4】(A)は図1(B)中IV位置の拡大図であり、(B)は(A)中B−B位置の断面図
【図5】(A)ないし(D)は一方の吊下部材が破断したときの落下防止部材の作用を示す説明図
【図6】一方の吊下部材が破断した後に落下防止部材により吊り下げられた照明器具の斜視図
【図7】(A)は本発明に係る第2実施形態の照明器具の平面図であり、(B)は(A)中B−B位置の断面図
【図8】第2実施形態の照明器具において一方の吊下部材が破断した後に落下防止部材により吊り下げられた状態の斜視図
【図9】(A)は本発明に係る第3実施形態の照明器具の平面図であり、(B)は(A)中B−B位置の断面図
【図10】本発明に係る第3実施形態の照明器具の斜視図
【図11】従来の吊下型の照明器具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10は、器具本体20と、器具本体20に収容され下方へ光を照射する光源11と、器具本体20を天井12から吊り下げる紐状の一対の吊下部材30A、30Bを有する。吊下部材30A、30Bの下端には棒部材31が取り付けられており、棒部材31を介して器具本体20を支持する。
なお、以下の説明において、吊下部材を総称する際には、「吊下部材30」で示す。
また、一方の吊下部材30に沿って、商用電源から器具本体20内部に電力を供給する電源線13が配線されている。
【0013】
器具本体20は、天板23および左右の両側板21、21により下方が開口した長尺の箱状を呈しており、長手方向両端部において吊下部材30A、30Bにより天井12から吊り下げられる。
図1(C)および図2に示すように、器具本体20の長手方向両端部付近における左右両側板21の内面211には、吊下部材30の下端部に取り付けられている棒部材31を支持する引っ掛け金具24が取り付けられている。引っ掛け金具24は、側板21の内面211に上下方向に取り付けるための一対の取付部241、241、取付部241から器具本体20内側に突出する一対の脚部242、242、脚部242により支持される支持部243を有する。
従って、支持部243は、側板21の内面211との間に一定の間隔244を有し、内面211と平行に配設される。
【0014】
図2および図3に示すように、支持部243には支持溝22が設けられており、左右側板21、21の引っ掛け金具24の支持溝22は、吊下部材30の下端部に取り付けられている棒部材31の両端部を各々係止する。
なお、器具本体20の長手方向両端に配置される引っ掛け金具24、24は、支持溝22の形状が器具本体20の中心に対して対称な形状となるように配設される。
【0015】
図4にも示すように、支持溝22は、棒部材31の外径よりも大きい幅で、下方に凸状で全体略U字形状をしている。支持溝22において器具本体20の長手方向両端側の一端は、支持部243の上端において上方に開口(開口部221)しており、他端223は開口していない。なお、支持溝22の最下点222は、他端223よりも低く位置する。
通常時においては、吊下部材30は支持溝22の他端223の略真上に位置し、真上に伸びて天井12に固定される。これにより、棒部材31は、支持溝22の他端223に位置し、支持溝22から脱落することなく支持される。
【0016】
図1(C)および図2に示すように、吊下部材30は棒部材31の中心に連結されており、無負荷状態では、棒部材31は吊下部材30の下端において水平に支持される。棒部材31の長さは、器具本体20の側板21の内面211、211間の幅より小さく、かつ、棒部材31の一端が側板21の内面211に当接した状態で、棒部材31の他端が支持部243の支持溝22から脱落しない長さに設定する。
これにより、棒部材31は、支持溝22の開口部221から脱落する場合を除いて、脱落するのを防止できる。
なお、棒部材31の両端に、支持溝22の幅よりも大きな外径を有する鍔部材を設けて、引っ掛け金具24と側板21の内面211との間に配設するのが望ましい。これにより、一層確実に棒部材31が支持溝22から脱落するのを防止できる。
【0017】
図1(B)に示すように、引っ掛け金具24における支持溝22の開口部221に対応する器具本体20の天板23には、棒部材31が通過可能な棒部材用開口部231が、器具本体20の幅方向に設けられている。また、棒部材31の中心に取り付けられている吊下部材30が天板23と干渉しないように、吊下部材用開口部232が、棒部材用開口部231に連続して設けられている(図4参照)。
従って、棒部材31を天板23の開口部231から挿入して、引っ掛け金具24の支持部243の支持溝22の他端223に挿入し、吊下部材30により器具本体20を吊り下げることができる。
【0018】
図1(A)および図2に示すように、器具本体20には、吊下部材30の一方(例えば、吊下部材30A)が破断したときに、吊下部材30の他方(例えば、吊下部材30B)に結合される複数本(ここでは2本)の紐状の落下防止部材32が設けられている。
なお、落下防止部材32は、棒部材31の両端に配置されているので、棒部材31の端部に落下防止部材32が外れないような鍔部材等のストッパを設けるのが望ましい。
【0019】
落下防止部材32は、使用されない通常時において、器具本体20の内部に収容されるのが望ましい。
このため、図1(B)および図4(A)に示すように、天板23には、両端の棒部材用開口部231、231間に、長手方向に沿って一対のスリット233、233を設ける。このスリット233は、落下防止部材32が器具本体20の内部に収容されている通常時は、パッキン等で落下防止部材32を引き出し可能に蓋するのが望ましい。
【0020】
落下防止部材32は、器具本体20の長さに比して十分長く、端部が器具本体20に固定されるとともに、途中部分が一対の棒部材31、31の上に配策されている。
この際、落下防止部材32が絡まるのを防止する絡まり防止手段33を設けるのが望ましい。例えば図1(A)および図2に示すように、落下防止部材32をらせん状のスプリングばねに沿って巻いて(らせん状部分322)収容することができる。
これにより、使用されない通常時には、落下防止部材32はらせん状に収容されるが、引き出す際には、らせん状部分が伸びるので、落下防止部材32は伸びる。
【0021】
次に、一方の吊下部材30(ここでは、吊下部材30Aについて例示する。)が破断した際の、落下防止部材32の作用について説明する。
図1に示すように、通常時においては、器具本体20は長手方向両端部付近に取り付けられている2本の吊下部材30により、水平に吊り下げられている。
この状態から、一方の吊下部材30Aが破断すると、図5(A)に示すように、1本の吊下部材30Bによって器具本体20が吊り下げられるため、器具本体20は矢印A方向に大きく回動する。これに伴って、器具本体20に取り付けられている引っ掛け金具24の支持溝22も回動する。
【0022】
器具本体20が一定の角度以上下方へ回動すると、図5(B)に示すように、吊下部材30Bの下端に取り付けられている棒部材31が、支持溝22の最下点222を通り過ぎて上方へ移動する(図5(B)中矢印B)。
そして、棒部材31は、支持溝22の開口部221および天板23の棒部材用開口部231から器具本体20の外部に脱落する。
【0023】
図5(C)に示すように、棒部材31は、器具本体20の支持溝22から脱落する際に、棒部材31に引っ掛けられている落下防止部材32を器具本体20から引っ張り出す。この際、落下防止部材32は、器具本体20の天板23に設けられているスリット233(図1および図4参照)から引っ張り出す。
そして、図5(D)に示すように、棒部材31が落下防止部材32に沿って中央側へ移動し、吊下部材30Bの棒部材31を中心として、落下防止部材32により器具本体20を吊り下げる。これに伴い、器具本体20は、吊下部材30Bの真下で水平状態となる(図6参照)。
【0024】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、光源11を収容する長尺の器具本体20の長手方向両端部を、一対の紐状の吊下部材30で天井12から吊り下げる。器具本体20には、一方の吊下部材30Aが破断したときに、他方の吊下部材30Bに結合される複数本の紐状の落下防止部材32が設けたので、一方の吊下部材30Aが破断しても、器具本体20の落下を防止できる。
【0025】
また、落下防止部材32は、吊下部材30Aが破断する前には器具本体20に収容されているので、外観を損ねない。
【0026】
また、落下防止部材32には、絡まり防止手段33としてらせん状部分322が設けられているので、吊下部材30Aが破断して落下防止部材32が、器具本体20の外に引き出されて器具本体20を支持する際に絡まるのを防止できる。
【0027】
さらに、常時は、吊下部材30の下端部に取り付けられている器具本体20の幅方向と平行な棒部材31の両端が、器具本体20の一対の支持溝22を支持する。吊下部材30および支持溝22は、器具本体20の長手方向両端部付近に設けられているので、器具本体20は2本の吊下部材30A、30Bによって、略水平に支持される。
【0028】
すなわち、支持溝22は、下方に凸状で、器具本体20の長手方向外側端部が上方に開口(開口部221)しており、長手方向内側端部(他端223)は開口していない。このため、棒部材31は長手方向内側端部を係止することにより、器具本体20を吊り下げることができる。
【0029】
また、一方の吊下部材30Aが破断すると、他方の吊下部材30Bを中心として器具本体20は下方へ回動する。このため、他方の吊下部材30Bの棒部材31は、器具本体20の支持溝22に沿って移動し、開口部221から支持溝22の外へ脱落する。このとき、棒部材31には落下防止部材32が引っ掛かっており、棒部材31は、落下防止部材32を引き出しながら長手方向中央側へ移動する。これにより、器具本体20を、落下防止部材32および他方の吊下部材30Bの棒部材31により吊り下げて、略水平に支持することができる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について説明する。
なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図7に示すように、第2実施形態の照明器具10Bでは、落下防止部材32Bを器具本体20の天板23の上面に収容しておく。このとき、2本の落下防止部材32BをX字形状に交差して配策し、両棒部材31の吊下部材30A、30Bが2本の落下防止部材32Bの間に位置するように配置する。
これにより、一方の吊下部材30Aが破断した場合には、図8に示すように、器具本体20は、X字形状の落下防止部材32Bにより吊り下げられる。
【0031】
以上、説明した第2実施形態の照明器具10Bによれば、前述した第1実施形態の照明器具10と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、落下防止部材32Bを器具本体20の天板23の上に配策したので、天板23にスリット233を設ける必要がなく、製作が簡単になる。
【0032】
また、2本の落下防止部材32BをX字形状に配策し、吊下部材30が2本の落下防止部材32Bの内側(図7(A)参照)に位置するので、落下防止部材32Bにより器具本体20を吊り下げる際に、落下防止部材32Bが棒部材31から脱落するのを防止できる。
【0033】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の照明器具について説明する。
なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10および第2実施形態にかかる照明器具10Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図9および図10に示すように、第3実施形態の照明器具10Cでは、落下防止部材32Cに絡まり防止手段33としてロール34を用いた。
【0034】
以上、説明した第3実施形態の照明器具10Cによれば、前述した第1実施形態の照明器具10と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
なお、本発明の照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10、10B、10C 照明器具
11 光源
12 天井
20 器具本体
22 支持溝
221 開口部
30 吊下部材
30A 吊下部材の一方
30B 吊下部材の他方
31 棒部材
32 落下防止部材
322 らせん状部分(絡まり防止手段)
33 絡まり防止手段
34 ロール(絡まり防止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の器具本体と、
前記器具本体に収容され下方へ光を照射する光源と、
前記器具本体の長手方向両端部に設けられ、一端が天井に取り付けられ、他端が前記器具本体に取り付けられる紐状の吊下部材と、を備え、
前記吊下部材の一方が破断したときに、前記吊下部材の他方に結合される複数本の紐状の落下防止部材で前記器具本体を支持する照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記落下防止部材は、前記吊下部材が破断する前には前記器具本体に収容されている照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明器具において、
前記落下防止部材が絡まるのを防止する絡まり防止手段を有する照明器具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明器具において、
前記吊下部材の下端部に前記器具本体の幅方向と平行となる棒部材を設け、
前記器具本体の長手方向両端部付近には、前記棒部材の両端を支持する一対の支持溝を各々設け、
前記支持溝が、下方に凸状で前記器具本体の長手方向外側端部が上方に開口しており、
前記吊下部材の一方が破断して前記器具本体が傾くと、他方の前記吊下部材の前記棒部材が前記支持溝から脱落して前記落下防止部材に支持され、前記落下防止部材が前記器具本体を支持する照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−221742(P2012−221742A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86443(P2011−86443)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】