説明

照明器具

【課題】適合光源以外の光源の誤使用を防止することが可能なE形口金を備えたランプを光源とする照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、器具本体11、ソケット12、遮断部材13を具備する。ソケット12は、器具本体に設けられE形口金C1を備えた光源が装着される。遮断部材13は、ソケットと電源Eとを接続する電路Rに設けられ、適合光源以外の光源がソケットに装着された際に電路を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、E形口金付のランプが装着される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のE形口金は、従来から白熱電球の口金として広く用いられ、これら白熱電球を光源とした各種の照明器具が構成されている。これら照明器具において、省エネや長寿命化等の観点から、消費電力が比較的大きい既存の白熱電球に替えて、発光部、点灯装置およびE形口金で構成された蛍光ランプ(一般的には電球形蛍光ランプと称される)が装着され使用されている。
【0003】
また、さらなる省エネや長寿命化のために、より消費電力の少ない発光ダイオード(以下「LED」と称する)を光源とするE形口金で構成されたLEDランプが、既存の照明器具に装着された白熱電球や電球形蛍光ランプに替えて使用されている。また、近年では、器具の設計段階から、これらE形口金で構成された電球形蛍光ランプやLEDランプを装着するために設計された専用の照明器具が普及しつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−097890号公報
【特許文献2】特開2001−084804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら専用の照明器具において、電球形蛍光ランプやLEDランプは、白熱電球に比べて発熱量が少ないために器具本体の耐熱性を低くできる。このため、器具の小形化が可能になるとともに、使用する電線類等の構成部品における電流容量や熱的グレードを下げることが可能で、器具コストを低減することが可能になる。
【0006】
しかしながら、電球形蛍光ランプやLEDランプの口金は、白熱電球と同様にE形口金を用いているため、専用器具として構成した場合でも、既存の白熱電球が装着されてしまう恐れがある。白熱電球が装着されると点灯はするが、白熱電球は電球形蛍光ランプやLEDランプに比べて消費電力が大きいために点灯時に流れる電流が多く発熱量が大きいため、器具本体の部品や電源電線の温度が設計温度より高くなり耐熱性に問題が生じる。
【0007】
一方、白熱電球の外観形状によって装着ができないように器具を構成する手段もあるが、近年では、これら電球形蛍光ランプやLEDランプは、ますます白熱電球に近似させた形状に構成されており、これらランプの外観形状の相違による装着規制を図ることが難しくなり、電球形蛍光ランプやLEDランプの専用器具に対する白熱電球の誤使用を防止することが困難となっている。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、適合光源以外の光源の誤使用を防止することが可能なE形口金を備えたランプを光源とする照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の照明器具は、器具本体、ソケット、遮断部材を具備する。ソケットは、器具本体に設けられE形口金を備えた光源が装着される。遮断部材は、ソケットと電源とを接続する電路に設けられ、適合光源以外の光源がソケットに装着された際に電路を遮断する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、適合光源とは異なる光源を使用しても、点灯を継続することを抑制できるので、器具の損傷を抑制することが可能なE形口金を備えたランプを光源とする照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る照明器具を示し、(a)は斜視図、(b)は一部を切り欠いて示す断面図。
【図2】同じく照明器具の模式的な回路図。
【図3】同じく照明器具の端子台を示す断面図。
【図4】一般的に広く普及しているE形口金を有する白熱電球、電球形蛍光ランプおよびLED電球における消費電力(電流値)と電流ヒューズの設定値の関係を示す図表。
【図5】本発明の実施形態に係る照明器具の変形例を示し、(a)は斜視図、(b)は一部を切り欠いて示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、照明器具の実施形態につき、図に従い説明する。
【0013】
本実施形態は、電球形蛍光ランプ専用のブラケット形の照明器具として構成され、白熱電球の誤使用を防止するため、白熱電球が装着された場合には点灯しないように構成したものである。
【0014】
照明器具10は、図1〜図3に示すように、器具本体11、器具本体に設けられE形口金C1を備えた電球形蛍光ランプL1が装着されるソケット12、ソケットと電源Eとを接続する電路Rに設けられ、白熱電球L2がソケット12に装着された際に電路Rを遮断する遮断部材13で構成する。
【0015】
器具本体11は、図1に示すように、ベース体11a、ベース体に着脱が可能になるように装着される本体カバー11bを有する。ベース体11aは、裏面側にサポート11a1が設けられ、表面側にフランジ11a2が設けられ、フランジの略中央にソケット取付具11a3が設けられている。これらサポート11a1、フランジ11a2およびソケット取付具11a3は、それぞれ鋼板で構成され、特にランプを取り付けるためのフランジ11a2は白色の塗装鋼板で構成されている。
【0016】
本体カバー11bは、裏面側および上下面が開放された略U字形状をなす形状に構成され、裏面側の開放部分がネジ等の固定手段によってベース体11aに着脱が可能になるように取り付けられる。本体カバー11bは、白色の塗装鋼板で構成され、上下面の開口11b1、11b1から、設置された壁面Xの上下方向に向かって光を照射する間接照明を行うように構成されている。
【0017】
ソケット12は、図1(b)、図2に示すように、絶縁ケース12a、受金12b、センターコンタクト12cを有している。絶縁ケース12aは、例えば、磁器等の電気絶縁材によって有底の円筒状をなす形状に構成され、円筒内面に受金12bが設けられている。受金12bは、導電性を有する金属、本実施形態では銅板によって内周面の全体にねじ山12b1を一体に形成した円筒状に構成する。円筒の内径寸法およびねじ山12b1のピッチは、E形口金C1がねじ込むことができるように構成する。本実施形態では、E26形口金がねじ込むことができるように構成した。
【0018】
センターコンタクト12cは、所定の弾性を有し、導電性の良好な金属、本実施形態ではリン青銅板からなり、絶縁ケース12aの円筒の底部に、受金12bと電気絶縁を図って設けられる。
【0019】
上記に構成されたソケット12は、その口金挿入口12dが表面側に面するようにして、ベース体11aにおけるソケット取付具11a3の略中央にネジ等の固定手段によって固定される。そして、ソケット12の受金12bに対してE形口金C1、本実施形態ではE26形口金を有する電球形蛍光ランプL1が装着される。
【0020】
遮断部材13は、点灯時に一定の電流値を越えるE形口金を備えたランプ、すなわち、電球形蛍光ランプL1より消費電力が大で、点灯時に電球形蛍光ランプL1に流れる電流より大きな電流が流れる白熱電球L2がソケット12に装着された際に、電路Rを遮断する過電流保護素子、本実施形態では、電球形蛍光ランプL1に流れる電流値より大きな電流値で電路Rを遮断する電流ヒューズで構成した。
【0021】
遮断部材13は、非復帰形で交換不可であることが安全上好ましい。例えば、手動で復帰させることが可能な復帰形の遮断部材または遮断部材13を交換が可能な位置に設置した場合には、使用者が勝手に復帰または交換をしてしまい白熱電球の誤使用を防止することができない。このため、遮断部材13は非復帰形で交換不可とする必要がある。交換不可とすることは、器具本体11に、取付状態において露出しない位置に設置することによって容易にかつコスト的にも有利に実現することが可能になる。
【0022】
取付状態において露出しない位置とは、例えば、セードを有する器具の場合、セード内であっても、取付具の裏側であっても構わないが、不用意に作業ができない位置であることが望ましい。
【0023】
また、遮断部材13は、通常の使用状態においても、確実に作用することが必要で耐熱性が必要となる。本実施形態においては、ヒューズケースが、約100℃以上の耐熱性を有する電流ヒューズを用いた。また、器具本体11への設置位置も、点灯時のランプ温度の影響を受け難くする必要からランプ下方に位置させることが好ましく、本実施形態では、器具設置状態でランプの下方に位置する端子台14に設けることにより、電球形蛍光ランプL1の点灯時における温度の影響を受け難くして遮断動作の信頼性を高めた。
【0024】
本実施形態の遮断部材である非復帰形の電流ヒューズ13は、図2の模式的な回路図に示すように、ソケット12と電源Eとを接続する電路Rの一方、若しくは両方に接続されている。そして、この電流ヒューズ13は、器具本体11に外側から目視できない位置に設けられる。本実施形態では、図1(b)に示すように、ベース体11aのフランジ11a2とサポート11a1によって形成される空間部S1内で、フランジ11a2の裏面側に取り付けられた端子台14内に設けられている。これにより、電流ヒューズ13は、目視することができず使用者が勝手に交換してしまうことを確実に防ぐことができる。
【0025】
端子台14は、図3に示すように、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の電気絶縁性の良好な合成樹脂で構成され、電源Eに接続される電線w1とソケット12とを電線w2で電気的に接続するための端子台で、SL(スクリューレス)端子14a、14aを有して構成され、この端子台14の裏面の空間部S2に電流ヒューズ13が収容されている。これによって、電流ヒューズ13は、器具本体11の本体カバー11bを取り外した状態でも、端子台14の表面側およびフランジ11a2によって覆い隠され、取付状態において露出しない位置、換言すれば、目視できないように器具本体11に設けられる。
【0026】
本実施形態において電流ヒューズ13は、次のようにして遮断電流値を設定した。図4は、一般的に広く普及しているE形口金を有する白熱電球、電球形蛍光ランプおよびLED電球における消費電力(電流値)と電流ヒューズ13の設定値の関係を示す図表である。
【0027】
この図から明らかなように、電路Rに0.3Aの電流が流れると電路を遮断する電流ヒューズ13Aで構成した場合、E形口金を有する全ての電球形蛍光ランプおよびLEDランプが装着されると電路を遮断せずに点灯させることができる。また、略全ての白熱電球が装着された場合に電路を遮断することができる。
【0028】
また、電路Rに0.2Aの電流が流れると電路を遮断する電流ヒューズ13Bで構成すると、E形口金を有する略全ての電球形蛍光ランプおよび全てのLEDランプが装着されると電路を遮断せずに点灯させることができる。また、全ての白熱電球が装着された場合に電路を遮断することができる。
【0029】
また、電路Rに0.4Aの電流が流れると電路を遮断する電流ヒューズ13Cで構成すると、全ての電球形蛍光ランプおよびLEDランプが装着された場合に、電路を遮断せずに点灯させることができる。また、一般的に最も広く普及しているE26形口金を有する白熱電球が装着された場合に電路を遮断することができ実使用において、支障の少ない照明器具を構成することが可能になる。
【0030】
なお、上記によれば、例えば、より消費電力の少ないLEDランプ専用の器具として設計された照明器具であっても、電球形蛍光ランプが装着された場合に電路を遮断せずに点灯するが、その消費電力は略10W以下であり、電球形蛍光ランプが装着された場合でも温度的な問題が発生する恐れはない。しかし、電路Rに0.1Aの電流が流れると電路を遮断する電流ヒューズ13Dで構成すると、全ての白熱電球および略全ての電球形蛍光ランプが装着された場合に電路を遮断することができ、LEDランプ専用の照明器具を構成することも可能になる。
【0031】
なお、本実施形態において、電路Rを遮断する遮断部材として、電流ヒューズを用いたが、温度を検知して電路を遮断する温度ヒューズであってもよい。この場合、器具本体11の温度、例えば、電線w1、w2等が集中する端子台14近辺の温度を検知する温度ヒューズを、器具本体11に、取付状態において露出しない位置に設けることによって構成する。使用する温度ヒューズの設定温度は、白熱電球を装着した場合、または電球形蛍光ランプを装着した場合における、例えば端子台近辺の温度を予め求めることによって設定することが可能になる。
【0032】
以上から、本実施形態においては、電路Rに0.3Aの電流が流れると電路を遮断する電流ヒューズ13Aを用いて構成した。換言すれば、白熱電球L2より消費電力の少ないE形口金C1を備えた電球形蛍光ランプL1を光源とし、白熱電球L2の誤使用を防止することが可能な照明器具10を構成した。
【0033】
次に、上記のように構成された照明器具の作用を説明する。図1(b)に示すように、照明器具10は、屋内配線に電線w1を接続した状態で、部屋の壁面Xにサポート11a1を取り付け、このサポートにフランジ11a2を取り付けることによって、ベース体11aが壁面Xに設置される。次に、ベース体11aの表面側に露出しているソケット12に対し、電球形蛍光ランプL1のE26形口金C1をねじ込んで装着し、ベース体11aに電球形蛍光ランプL1を囲むようにして本体カバー11bをネジによって取り付ける。この際本体カバー11bの開口11b1、11b1が上下方向に位置するようにして取り付ける。
【0034】
そして、別途設置された壁面のスイッチをONし、電源を投入することにより、上下面の開口11b1、11b1から部屋の壁面Xの上下方向に向かって蛍光ランプの光が照射された間接照明を行うことができる。
【0035】
この際、例えば、長期の使用にわたり電球形蛍光ランプL1の交換が必要となった場合に、使用者が装着されていた電球形蛍光ランプL1と同様のE26形口金C1を有する安価な40Wの白熱電球L2を購入してソケット12装着すると、白熱電球の口金もE26形であり、そのままソケットに装着することができてしまう。
【0036】
しかし、40Wの白熱電球L2が装着されると、電路Rに略0.4Aの電流が流れ、電路Rに設けられた0.3Aの電流ヒューズ13が即時に動作して電路を遮断する。これにより、電球形蛍光ランプ専用の照明器具10に対する白熱電球の誤使用が防止される。
【0037】
以上のように、本実施形態の照明器具10は、電球形蛍光ランプ専用の器具として構成することができ、発熱量の多い白熱電球の装着による諸問題を解消することが可能となる。これにより、発熱量の少ない電球形蛍光ランプやLEDランプによる器具の小形化、さらには器具本体のプラスチック部品、電源電線や端子台等の構成部品における電流容量や熱的グレードを下げる仕様にすることが可能となり、コスト的にも有利な照明器具を提供することが可能になる。
【0038】
以上、本実施形態において、遮断部材13を器具本体11に設ける位置は、器具本体11の裏面側、フランジ11a2の裏面側、ソケット12内、コネクタがある場合には、コネクタ内等の取付状態において露出しない位置であってもよい。さらに、器具内蔵のセンサ部品がある場合には、センサに内蔵してもよい。
【0039】
また、図5に示すように、器具本体11のベース体11aに対してL字アーム11cによってグローブ11dを取り付けた照明器具10´においては、ソケット12と分離されたベース体11a内に遮断部材13を設けるように構成する。この構成によれば、ランプ交換でグローブ11dを取り外した場合でも、遮断部材13が設けられたベース体11aは、ソケット12から完全に分離した位置に存在することから、遮断部材13は、より確実に目視できず、取付状態において露出しない位置に構成することが可能になる。また、ランプからも分離されているので、遮断部材13がランプ温度の影響を受けることを完全に防ぐことが可能になる。
【0040】
また、本実施形態において、照明器具10は、天井直付形、吊下形、壁面取付形、さらには天井埋込形等が許容され、器具本体に制光体としてグローブ、セード、反射体などが取付けられるものであっても、光源となるランプが露出するものであってもよい。また、器具本体に1個のランプを取付けたものに限らず、複数個が配設されるものであってもよい。さらに、オフィス等、施設・業務用の大形の照明器具などを構成してもよい。
【0041】
なお、本実施形態の変形例を示す図5において、図1〜図4と同一部分に同一の符合を付し、詳細な説明は省略した。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
10 照明器具
11 器具本体
12 ソケット
13 遮断部材
C1 E形口金
L1 電球形蛍光ランプ
L2 白熱電球


【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と;
器具本体に設けられE形口金を備えた光源が装着されるソケットと;
ソケットと電源とを接続する電路に設けられ、適合光源以外の光源がソケットに装着された際に電路を遮断する遮断部材と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記遮断部材は、0.1〜0.3Aの電流値で遮断する電流ヒューズで構成したことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記遮断部材は、取付状態において露出しない位置に器具本体に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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