説明

照明器具

【課題】複数個の発光ダイオードを光源に用いた照明器具において、拡散性を有する透光パネルのような別部材を用いずに、粒状感および輝度むらを抑制する。
【解決手段】複数個の発光ダイオード2と、配光を制御する反射板4とが器具本体1に設けられる。発光ダイオード2は、一平面上で互いに交差する第1の方向および第2の方向の格子軸を有する二次元格子の格子点上に配列され、かつ第1の方向の配置間隔が、第2の方向の配置間隔よりも狭くなるように配置される。反射板4は、第1の方向に沿って配列された発光ダイオード2の列に対して第2の方向における両側に設けられた2枚の第1の反射面43と、第1の方向において隣接する各一対の発光ダイオード2の間に設けられた第2の反射面44とを備え、第1の反射面43は、発光ダイオード2が配置された面からの高さ寸法が、第2の反射面44に比べて大きく設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源として備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点から、照明器具の光源として発光ダイオード(以下、「LED」と略称する)が採用されるようになってきている。LEDは点光源であるから、照明器具の光源として用いる場合、複数個のLEDを用いる必要がある。例えば、オフィスの天井などに設置され空間全体の照度を確保するベースライトとして用いられる照明器具は、図6および図7に示すように、器具本体10に複数個のLED20が配置される。図示する照明器具は、矩形状の開口窓を有する器具本体10を備え、器具本体10の開口窓の開口面に沿う面内に複数個のLED20が配列されている。LED20は、開口窓の周縁に沿う格子軸を有した二次元正方格子の格子点上に配列されている。以下では、格子軸の一方向を第1の方向と呼び、格子軸の他方向を第2の方向と呼ぶ。言い換えると、第1の方向と第2の方向とは開口窓の開口面に沿う面内の縦方向と横方向とに対応する。
【0003】
器具本体10には、開口面に沿って反射板40が配置されている。反射板40は、LED20をそれぞれ器具本体10の開口窓側に露出させる複数個の孔を有し、LED20から放射された光の配光をLED20ごとに制御するように、各孔から器具本体10の開口窓に向かって拡開する複数の窪みを有している。それぞれの窪みは、第1方向に離間した2枚の反射面430と第2方向に離間した2枚の反射面440とからなる4面の反射面430,440に囲まれている。反射面430と反射面440とは、図8に示すように、開口窓の開口面に直交する方向において、前記孔からの高さ寸法H3が等しく、かつ開口窓の開口面に対する傾斜角度が等しくなるように形成されている。なお、図中の破線はLED20から放射された光線束を示している。
【0004】
上記構成の照明器具は、LED20ごとに対応する窪みによって配光が制御され、しかも、第1方向に離間した反射面430と第2方向に離間した反射面440とは高さ寸法H3が等しいから、照明器具単独では、各LED20から放射された光が混合されない。すなわち、反射板40で配光の制御がなされた光は、LED20ごとに個別に分離されているから、照明器具を見たときに粒状感が生じることになる。また、個々のLED20の特性のばらつきによってLED20の光出力にばらつきがあると、開口窓の部位によって輝度にむらが生じることになる。
【0005】
特許文献1には、拡散性を有する透光パネルを反射板の出射側に配置した構成が記載されている。特許文献1に記載された照明器具では、反射板40が拡散性を有する透光パネルで覆われているから、照明器具を見たときの粒状性が緩和され、また輝度むらも緩和されるという効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−118186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された照明器具のように、透光パネルを用いると、反射板40のほかに、透光パネルが付加されるから、部品点数が多く、コスト高につながるという問題が生じる。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、複数個の発光ダイオードを光源に用いた照明器具において、拡散性を有する透光パネルのような別部材を用いずに、粒状感および輝度むらを抑制した照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、器具本体と、光源としての複数個の発光ダイオードと、前記発光ダイオードから照射された光を反射させることにより配光を制御する反射板とを備え、前記発光ダイオードは、一平面上で互いに交差する第1の方向および第2の方向の格子軸を有する二次元格子の格子点上に配列され、かつ第1の方向の配置間隔が、第2の方向の配置間隔よりも狭くなるように配置され、前記反射板は、第1の方向に沿って配列された前記発光ダイオードの列に対して第2の方向における両側に設けられた2枚の第1の反射面と、第1の方向において隣接する各一対の前記発光ダイオードの間に設けられた第2の反射面とを備え、前記第1の反射面は、前記発光ダイオードが配置された面からの高さ寸法が、前記第2の反射面に比べて大きく設定されていることを特徴とする。
【0010】
この照明器具において、前記第1の反射面および前記第2の反射面は、前記発光ダイオードが配置された面に対して傾斜しており、前記第1の反射面は、前記面に対する傾斜角度が、前記第2の反射面よりも小さく設定されていることが望ましい。
【0011】
この照明器具において、前記反射板は、前記第1の方向における両端部に第3の反射面を備え、前記第3の反射面は、前記発光ダイオードが配置された面からの高さ寸法が、前記第2の反射面よりも大きく設定されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、複数個の発光ダイオードを光源に用いた照明器具において、拡散性を有する透光パネルのような別部材を用いずに、粒状感および輝度むらが抑制されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】(a)は図1におけるA−A線断面の拡大断面図、(b)は図1におけるB−B線断面の拡大断面図である。
【図6】従来構成を示す斜視図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】図6におけるC−C線断面の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態では、例えば、オフィスの天井などに配置される照明器具を例として説明する。この種の照明器具は、主としてベースライトの用途に用いられる。図1ないし図3に示すように、本実施形態において説明する照明器具は、天井などに固定される器具本体1と、複数個の発光ダイオード(以下、「LED」と略称する)2が取り付けられた可動枠7とを備える。可動枠7は、図2に示すように、複数個ずつのLED2を実装した複数枚(図示例は4枚)の実装基板3と、LED2から放射された光を反射することにより配光を制御する反射板4とを保持する。なお、図1、図2は、図の記載の都合上、天地を逆にして示しているが、器具本体1を天井に固定する場合、器具本体1の上部が天井に埋め込まれ、可動枠7の下部が天井面から露出することになる。
【0015】
器具本体1は、矩形状に形成された上壁11と、上壁11の周縁のうち互いに平行な2辺から垂下する(図1、図2では上向きに延設されている)一対の側壁12,13とを備えた断面コ字状に形成される。一方の側壁12には、照明器具に電力を供給する電源線(図示せず)を接続するための端子台15が設けられる。
【0016】
可動枠7は、実装基板3および反射板4を保持する取付板5と、取付板5の周部に結合される化粧枠6とを備える。可動枠7は、図3および図4に示すように、挟みばねからなる保持ばね53を介して器具本体1に取り付けられる。保持ばね53は、取付板5の周部に2個設けられ、器具本体1の上壁11に形成された貫通孔(図示せず)に下方から差し通される。したがって、可動枠7は、2個の保持ばね53により器具本体1に吊下され、器具本体1に対して上下方向の任意の位置で停止させることが可能になる。この種の保持ばね53の機能は周知であるから詳述しない。
【0017】
取付板5の下面には実装基板3と反射板4とが重ねて配置される。実装基板3は、細長い板状に形成される。実装基板3の厚み方向の一面には、長手方向に沿って複数個のLED2が等間隔に配列される。また、実装基板3は、取付板5の下面において長手方向に直交する方向において等間隔に並べられ、例えばねじを用いて取付板5に固定される。さらに、実装基板3の配置間隔は、実装基板3が並ぶ方向におけるLED2の配置間隔が実装基板3の上のLED2の配置間隔よりも大きくなるように設定される。以下では、実装基板3を取付板5に取り付けた状態において、実装基板3の長手方向を第1の方向と呼び、第1の方向に直交する方向(つまり、実装基板3が並ぶ方向)を第2の方向と呼ぶ。すなわち、発光ダイオード2は、第1の方向および第2の方向を格子軸とする二次元格子の格子点上に配置されていることになる。
【0018】
本実施形態では、反射板4は、2枚の反射器41を並べて構成される。反射器41は、例えばねじを用いて取付板5に固定される。また、各反射器41は、2枚の実装基板3に跨るように配置され、実装基板3に実装された複数個のLED2をそれぞれ下面側に露出させる複数個の窓孔46を備える。したがって、1枚の反射器41には、第1の方向に沿って1列に複数個ずつ並んだ窓孔46が第2の方向に離間して2列形成される。
【0019】
反射器41の下面には、第1の方向に沿って4枚の第1の反射面43が形成され、さらに第1の方向において隣接する各一対の窓孔46の間に、それぞれ2枚ずつの第2の反射面44が形成される。また、反射器41は、第1の方向に並ぶ窓孔46の列ごとの両端部に第3の反射面45を備える。すなわち、第1の方向に並ぶ1列の窓孔46を挟んで2枚の第1の反射面43が形成され、第1の方向において1個の窓孔46を挟んで、2枚の第2の反射面44または1枚の第2の反射面44と1枚の第3の反射面45とが形成されることになる。また、第2の反射面44および第3の反射面45は、それぞれ第2の方向において第1の反射面43に当接する。第1の反射面43と第2の反射面44と第3の反射面45とは、拡散反射が可能となるように、通常は、白色の反射性塗料が塗布される。
【0020】
1列の窓孔46を挟む2枚の第1の反射面43は、窓孔46から下方に向かって第2の方向において窓孔46から離れる向きに傾斜する。すなわち、窓孔46に臨む2枚の第1の反射面43は、窓孔46から下方に向かって互いの距離を広げる向きに傾斜する。また、窓孔46に臨む第2の反射面44および第3の反射面45は、窓孔46から下方に向かって第1の方向において窓孔46から離れる向きに傾斜する。第1の反射面43は、窓孔46の開口面を含む平面に対する傾斜角度が、第2の反射面44および第3の反射面45よりも小さく設定される。すなわち、第2の反射面44および第3の反射面45は、第1の反射面43よりも急角度で立ち上がっている。なお、窓孔46の開口面を含む平面は、反射器41を取付板5に固定した状態において、実装基板3における厚み方向の一面と略平行になる。
【0021】
ところで、図5に示すように、第1の反射面43は、窓孔46の開口面を含む平面からの高さ寸法(図5に符号H1で示す)が、第2の反射面44の高さ寸法(図5に符号H2で示す)よりも大きくなるように形成されている。また、第3の反射面45の高さ寸法は、第1の反射面43と等しくしてある。
【0022】
したがって、図5に示すように、第2の反射面44に対しては、個々のLED2から放射された光(図5では光線束を破線で示している)しか照射されないが、第1の反射面43に対しては隣接する2個のLED2から放射された光が照射されることになる。すなわち、第1の反射面43において第2の反射面44よりも下方の部位には、2個のLED2からの光が照射され、この部位において粒状感が緩和され、また、仮に隣接するLED2の光出力に差が生じたとしても、輝度むらが緩和されることになる。
【0023】
上述した構成を採用すれば、LED2の配置間隔は、第2の方向において第1の方向よりも大きくなる。すなわち、LED2を第1の方向と第2の方向とにおいて同じ配置間隔とした場合に比べて、LED2の個数を減らすことが可能になる。
【0024】
上述した構成例では、2枚の実装基板4に跨るサイズの反射器41を用い、2枚の反射器41で反射板4を構成しているが、1枚の実装基板4ごとに1枚の反射器41を用いるようにし、4枚の反射器41で反射板4を構成してもよい。また、4枚の実装基板3に跨る1枚の反射器41を反射板4として用いてもよい。さらに、器具本体1に対して4枚の実装基板3を用いることは必須ではなく、器具本体1に対応付ける実装基板3の枚数は適宜に選択することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 器具本体
2 発光ダイオード(LED)
4 反射板
43 第1の反射面
44 第2の反射面
45 第3の反射面
5 取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、光源としての複数個の発光ダイオードと、前記発光ダイオードから照射された光を反射させることにより配光を制御する反射板とを備え、前記発光ダイオードは、一平面上で互いに交差する第1の方向および第2の方向の格子軸を有する二次元格子の格子点上に配列され、かつ第1の方向の配置間隔が、第2の方向の配置間隔よりも狭くなるように配置され、前記反射板は、第1の方向に沿って配列された前記発光ダイオードの列に対して第2の方向における両側に設けられた2枚の第1の反射面と、第1の方向において隣接する各一対の前記発光ダイオードの間に設けられた第2の反射面とを備え、前記第1の反射面は、前記発光ダイオードが配置された面からの高さ寸法が、前記第2の反射面に比べて大きく設定されていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記第1の反射面および前記第2の反射面は、前記発光ダイオードが配置された面に対して傾斜しており、前記第1の反射面は、前記面に対する傾斜角度が、前記第2の反射面よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記反射板は、前記第1の方向における両端部に第3の反射面を備え、前記第3の反射面は、前記発光ダイオードが配置された面からの高さ寸法が、前記第2の反射面よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−98083(P2013−98083A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241324(P2011−241324)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】