説明

照明変調器の軸外れ照明を使用する画像化のシステム及び方法

【課題】 シャープな画像を生成する。
【解決手段】 画像化システムは、照明変調器が第1の非活性化モードにあるときは0次反射照明フィールドが第1の照明ブロッキング装置に向けて指向され、そして変調器が第2の活性化モードにあるときは別の1次反射照明フィールドが第2の照明ブロッキング装置に向けて指向されると同時に1個の1次反射照明フィールドが画像化面に向けて指向されるように、照明変調器の表面に第1の照明フィールドを提供するための第1の軸外れ照明源を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に画像化システムに関し、特に照明変調器を使用する画像化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたような画像化システムは、照明源、フィールドレンズ系、照明変調器、画像化用光学系、及び画像化面を備える。画像化中、フィールドレンズ系が照明フィールドを光変調器上に指向し、光変調器は、一つのモードにおいては照明フィールドをある画像化面に向けて反射し、そして別のモードにおいては照明フィールドを画像化面から離れるように反射する。変調器は、例えばカルフォルニア州、サニーベールのシリコン・ライト・マシンズ(Silicon Light Machines)より発売のグレーティングライトバルブ(Grating Light Valve,GLV)を含み、システムは、画像化用光学系を介して、0次反射又は1次反射を種々の実施例の画像化面に向けて指向させることができる。
【特許文献1】米国特許第6,433,934号 明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に、画像は、画像化中に、図1Aに示されたように画像化面16において、変調器14からの照明フィールド12の0次反射10から記録される。図1Bに示されるように、変調器14が活性化されたときは、照明フィールド12は1次反射18A及び18Bで反射され、反射の次数が大きくなると大きさが小さくなる(図示せず)。1次反射18A及び18Bは、エネルギーを吸収するブロッキングフィルター20A及び20Bにより画像化面16への到達が阻止される。このため、図1Aに示されたように、変調器14が活性化されていないときに画像化が生ずる。理想的には、図1Bに示されるように変調器14が活性化されたときには、0次反射の経路に沿って指向される照明はない。しかし、実際は0次方向からの照明を完全に無くすことは困難である。照明フィールド12及び反射フィールド10,18A及び18Bは、照明源が、例えば方向性ブロッキングフィルター及びビームスプリッターの使用により反射信号から保護される限り同一面上にある。
【0004】
別の通常の画像化システムは、図2Aに示されるような0次方向10のエネルギー吸収用ブロッキングフィルター22、及び図2Bに示されるような1次反射18A及び18Bを画像化面16に向けて指向させるレンズ24を使用する。しかし、かかる画像化システムは、1次反射18A及び18Bを画像化面16上の共通の焦点において集束させることを確保するために構成要素の極めて正確な整列を必要とする。これら構成要素のいかなる整列誤差も画像の質を著しく低下させる。更に、軸外れ画像化のため、画像化システムにおける利用可能な焦点深度が限定される。
【0005】
また、多くの画像化システムは、画の要素(又は画素)の列を同時に画像化し得る一般に照明列の形状の照明フィールドを使用する。従って、照明フィールド10、12、18A及び18Bは、それぞれ変調器14に沿い及び画像面16に沿って短い距離を伸びる列の形状とすることができる。列状の照明フィールドの使用は、幾つかの軸外れ画像化の制御を更に困難にすることがある。
【0006】
ある種の用途においては、コントラストの大きい画像化システムを提供することが望ましい。これは、変調器が励起されないときは画像化しないだけでなく、多くの構成要素の精密な整列を必要とせず、かつ容易に最適の画質に調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一実施例により、照明変調器が第1の非活性化モードにあるときは0次反射照明フィールドが第1の照明ブロッキング装置に向けて指向され、そして変調器が第2の活性化モードにあるときは別の1次反射照明フィールドが第2の照明ブロッキング装置に向けて指向されると同時に1個の1次反射照明フィールドが画像化面に向けて指向されるように、照明変調器の表面に第1の照明フィールドを提供するための第1の軸外れ照明源を備えた画像化システムを提供する。
【0008】
本発明の更なる実施例により、画像化システムは、変調器が第1の非活性化モードにあるときに0次の第2の反射照明フィールドが第3の照明ブロッキング装置に向けて指向され、そして変調器が第2の活性化モードにあるときは1次の第2の反射照明フィールドが画像化面に向けて指向されるように、照明変調器の表面に第2の照明フィールドを提供するための第2の軸外れ照明源を更に備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の説明は付属図面を参照し更に理解されるであろう。図面は説明の目的にのみ示され、一定の縮尺にはよらない。
【0010】
本発明のシステムは、照明フィールド、照明変調器、及び画像化面(例えば外面式画像化用ドラム)を備えた、例えば、感熱式画像化システムのような種々の画像化システムにおいて使用することができる。変調器はフィールドレンズ系から照明フィールドを受け、そして画像化用光学系を介して変調された照明フィールドを画像化面に指向させる。照明フィールド、フィールドレンズ系、変調器、画像化用光学系及び画像化面は、参考文献としてその開示がここに取り入れられた特許文献1に開示されたようにすることができる。変調器は、例えばカルフォルニア州、サニーベールのシリコン・ライト・マシンズ(Silicon Light Machines)より発売のグレーティングライトバルブ(Grating Light Valve,GLV)を含むことができる。
【0011】
図3Aに示されるように、画像化システムは、本発明の実施例により、変調器が活性化されないときは、0次反射照明フィールド34がエネルギー吸収用ブロッキングフィルター36に向けて指向されるように照明フィールド30を軸外れ方向に沿って照明変調器32に向けて指向させることを含む。この場合、変調器が活性化されないときに画像化面38に向けて指向される照明はない。図3Bに示されたように、画像化中は、+/−1次反射フィールド40及び42は、それぞれ、画像化面38及び別のエネルギー吸収用ブロッキングフィルター44に向けて指向される。1次反射フィールド40は、面38に直角な方向に沿って画像化面38に向けて指向される。反射フィールド42は、画像化には使用されず処理効率を低下させるが、システムは高コントラストを提供する。
【0012】
本発明の別のシステムは、追加の照明フィールド50を更に備え、これは、変調器が活性化されないときは図4Aに示されるように、0次反射照明フィールド52をエネルギー吸収用のブロッキングフィルター54に向けて指向させるように軸外れ方向(例えば、照明フィールド30に関して負の軸外れ方向)に沿って変調器30に向けて指向される。この場合も、変調器が活性化されないときは、画像化面38に向けられる照明はない。図4Bに示されるように、画像化中は、+/−1次反射フィールド56及び58は、それぞれ、画像化面38、及び別のエネルギー吸収用ブロッキングフィルター60に向けて指向される。1次反射フィールド56は、1次反射フィールド40と一致し、両者は面38に直角な方向に沿って画像化面38に向けて指向される。図4A及び4Bのシステムは、照明フィールド30及び50を提供するために2個の独立照明源を使用することができ、又は一つの照明源からの照明フィールドを分割するための光学系を使用することができる。変調器は、図4Aに示されるように、2個の1次反射を提供するために変調器を横切る水平方向に沿って複数の変調器要素を持つことができる。
【0013】
図5A及び5Bは図4A及び4Bのシステムと同様な本発明の更なるシステムを示し、これにおいては入射信号と反射信号とが同一面上にある。このシステムは、図5Aに示されるように変調器が活性化されないときは、0次反射照明フィールド80及び82がエネルギー吸収用ブロッキングフィルター84及び86に向けて指向されるように、ビームスプリッター74及び76を介して照明フィールド70及び72を軸外れ方向に沿って照明変調器78に向けて指向させることを含む。この場合、変調器が活性化されないときは画像化面88に向けて指向される照明はない。図5Bに示されたように、画像化中は、1次反射フィールド90及び92が画像化面88に向けて指向され、そして1次反射フィールド94及び96はそれぞれエネルギー吸収用ブロッキングフィルター98及び100に向けて指向される。1次反射フィールド90及び92は一致し、そして画像化面88と直角な方向に沿って画像化面88に向けて指向される。この場合も、反射フィールド94及び96は画像化には使用されないが、システムは大きいコントラスト比を提供する。同一面の入射フィールド及び反射フィールドの使用の利点は、同一面システムは線状の照明フィールドと比べて、入射フィールドが大きい入射角から変調器に向けて指向されたときの反射フィールド内に生じ得るいかなる収差も減らすことである。
【0014】
図6は、照明フィールド102及び104がフィールドレンズ系106を介して、例えば8.5μmの格子間隔を有するGLV108に向けて指向される画像化システムを示す。照明フィールドは、各が、GLV108において視準された空間内に集束される。活性化されているときは、GLV108からの1次反射フィールドは、110で示されたように互いに一致して指向され、そして画像化用光学系112を経て画像化用ドラム114の画像化面上に指向される。
【0015】
図7A及び7Bは、本発明の更なる実施例による照明システムを示し、これにおいては、変調器は図7においては活性化されず図7Bにおいては活性化されている。特に、照明システムは、照明を光学系122を介してブロードマスク(broad mask)を経て変調器126上に向けて指向させる複数の照明源120を備える。変調器が活性化されないときは、反射された照明は多くの方向に散乱されるが、変調器が活性化されているときは、反射された照明は、図7Bに示されるように画像化用光学系128を介して画像化可能な媒体の面130上に向けられる。図8Aに示されるように、システムは、0次方向(132)の周りに置かれた多くの照明源120を備えることができる。このシステムは、事実上、照明により変調器を溢れさせることができるが、図8Bに示されるように画像化用光学系128を使用して0次に沿った照明だけを反射する。照明源120は、単一軸の均一な角度拡散のための遅軸ディフューザーのある1個又はそれ以上のレンズバー(lenz bar)を備えることができる。変調器における照明されたラインは活動面積より広く、マスクは、処理量を低下させるがコントラスト比には影響を与えない。図9は、図7Bの画像化システムの線9−9に沿って得られた側面図を示し、これにおいては変調器126上及び画像化面130上の画像化用の線の幅を見ることができる。
【0016】
本技術熟練者は、本発明の精神及び範囲から離れることなく上述の実施例に対して多くの変更及び変化をなし得ることを認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】従来技術の画像化システムの略図を示す。
【図1B】従来技術の画像化システムの略図を示す。
【図2A】別の従来技術の画像化システムの略図を示す。
【図2B】別の従来技術の画像化システムの略図を示す。
【図3A】本発明の一実施例による画像化システムの略図を示す。
【図3B】本発明の一実施例による画像化システムの略図を示す。
【図4A】本発明の別の実施例による画像化システムの略図を示す。
【図4B】本発明の別の実施例による画像化システムの略図を示す。
【図5A】本発明の更なる実施例による画像化システムの略図を示す。
【図5B】本発明の更なる実施例による画像化システムの略図を示す。
【図6】本発明の別の実施例による画像化システムの概略平面図を示す。
【図7A】本発明の更なる実施例による画像化システムの概略平面図を示す。
【図7B】本発明の更なる実施例による画像化システムの概略平面図を示す。
【図8A】図7Aに示された画像化システムの線8A−8Aに沿って得られた概略端面図を示す。
【図8B】図7Bに示された画像化システムの線8B−8Bに沿って得られた概略端面図を示す。
【図9】図7Bに示された画像化システムの線9−9に沿って得られた概略側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明変調器が第1の非活性化モードにあるときは0次反射照明フィールドが第1の照明ブロッキング装置に向けて指向され、そして前記変調器が第2の活性化モードにあるときは別の1次反射照明フィールドが第2の照明ブロッキング装置に向けて指向されると同時に1個の1次反射照明フィールドが画像化面に向けて指向されるように、照明変調器の表面に第1の照明フィールドを提供するための第1の軸外れ照明源を備えた画像化システム。
【請求項2】
前記変調器が前記第1の非活性化モードにあるときに0次の第2の反射照明フィールドが第3の照明ブロッキング装置に向けて指向され、そして前記変調器が前記第2の活性化モードにあるときは1次の第2の反射照明フィールドが前記画像化面に向けて指向されるように、前記システムが、前記照明変調器の表面に第2の照明フィールドを提供するための第2の軸外れ照明源を更に備える請求項1に請求された画像化システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の軸外れ照明フィールドが、共通の照明源により作られる請求項2に請求された画像化システム。
【請求項4】
前記1個の1次反射照明フィールドが、前記1個の1次の第2の反射照明フィールドと一致する請求項2に請求された画像化システム。
【請求項5】
前記1個の1次反射照明フィールドが、前記変調器に直角な方向に沿って画像化面に向けて指向される請求項1に請求された画像化システム。
【請求項6】
前記変調器が前記第2のモードにあるときにのみ、前記変調器が、前記1個の1次反射照明フィールドの方向に沿って照明を反射する請求項1に請求された画像化システム。
【請求項7】
第1の方向から照明変調器の表面に第1の照明フィールドを提供するための軸外れ照明源を備え、前記照明変調器は第2の方向に沿って相互に間隔を空けられた変調器要素を有し、前記第1の方向が前記第2の方向と直交しない画像化システム。
【請求項8】
前記変調器が前記第1の非活性化モードにあるとき0次反射照明フィールドが第1の照明ブロッキング装置に向けて指向され、そして前記変調器が前記第2の活性化モードにあるとき1個の1次反射照明フィールドが画像化面に向けて指向され、この間、別の1次反射照明フィールドが第2の照明ブロッキング装置に向けて指向される請求項7に請求された画像化システム。
【請求項9】
前記0次反射照明フィールド、前記1個の1次反射照明フィールド、及び前記別の1次反射照明フィールドが全体として単一の平面を定め、そして前記第1の方向が前記平面外にある請求項8に請求された画像化システム。
【請求項10】
前記0次反射照明フィールド、前記1個の1次反射照明フィールド、及び前記別の1次反射照明フィールドが全体として単一の平面を定め、そして前記第1の方向が前記平面内にある請求項8に請求された画像化システム。
【請求項11】
前記変調器が第1の非活性化モードにあるとき0次の第2の反射照明フィールドが第3の照明ブロッキング装置に向けて指向され、そして前記変調器が第2の活性化モードにあるとき1次の第2の照明フィールドが前記画像化面に向けて指向されるように、前記システムが、前記照明変調器の表面に第2の照明フィールドを提供するための第2の軸外れ照明源を更に備える請求項8に請求された画像化システム。
【請求項12】
前記第1及び第2の軸外れ照明フィールドが共通の照明源により作られる請求項8に請求された画像化システム。
【請求項13】
前記1個の1次反射照明フィールドが、前記1個の1次の第2の反射照明フィールドと一致する請求項8に請求された画像化システム。
【請求項14】
前記1個の1次反射照明フィールドが、前記変調器と直角な方向に沿って画像化面に向けて指向される請求項8に請求された画像化システム。
【請求項15】
前記変調器は、前記変調器が前記第2のモードにあるときにだけ、前記1個の1次反射照明フィールドの方向に沿って照明を反射する請求項8に請求された画像化システム。
【請求項16】
第1の方向から照明変調器の表面に第1の照明フィールドを提供するための軸外れ照明源を備え、前記照明変調器は第2の方向に沿って相互に間隔を空けられた変調器要素を有し、前記第1の方向は、前記変調器が第1の活性化モードにあるとき1次の反射照明フィールドを画像化面に向けて指向させ、かつ前記変調器が第2の活性化モードにあるとき0次反射照明フィールドを画像化面から離れるように指向させるように、前記第2の方向と直交しない画像化システム。
【請求項17】
前記変調器が前記第2の活性化モードにあるとき1次の第2の反射照明フィールドが前記画像化面に向けて指向されるように、前記システムが、前記照明変調器の表面に第2の照明フィールドを提供するための第2の軸外れ照明源を更に備える請求項16に請求された画像化システム。
【請求項18】
前記第1及び第2の軸外れ照明フィールドが共通の照明源により作られる請求項16に請求された画像化システム。
【請求項19】
前記1個の1次反射照明フィールドが、前記1個の1次の第2の反射照明フィールドと一致する請求項16に請求された画像化システム。
【請求項20】
前記1個の1次反射照明フィールドが、前記変調器と直角な方向に沿って画像化面に向けて指向される請求項16に請求された画像化システム。
【請求項21】
前記変調器は、前記変調器が前記第2のモードにあるときにだけ、前記1個の1次反射照明フィールドの方向に沿って照明を反射する請求項16に請求された画像化システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−72322(P2006−72322A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168136(P2005−168136)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(599016958)アグフア・コーポレーシヨン (1)
【Fターム(参考)】