説明

照明機能付き建築用パネル及び建築構造

【課題】通常の建材と同じ施工方法で設置できるため施工性が高く、照明装置へのアクセスが容易で、しかも前方への飛び出しが目立たない薄型で、高品位の照明を行える照明機能付き建築用パネル及びそれを用いた建築構造を提供する。
【解決手段】照明機能付き建築用パネル10は、外枠11と、外枠11に取り付けられた金属フレーム12と、金属フレーム12に着脱可能に取り付けられた前面パネル板13と、金属フレーム12あるいは前面パネル板のどちらか一方に、着脱可能に取り付けられた光源ユニット14と、金属フレーム12と前面パネル板13との間に配置され、光源ユニット14からの光を入射して内部を導光させ,前面パネル板13側の出射面より出射する導光板15とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明機能付き建築用パネル及びそれを用いた建築構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明光源の多様化が進み、種々の照明装置が提案されているが、建材自体に照明装置を組み込んで、周囲とのデザインの統一性を高めたいという要求がある。ところが、建材に照明装置を組み込む際には、施工性、メンテナンス性、薄型・均一発光性といったクリアしなくてはならない課題がある。以下の公知例を参照して、かかる課題について詳述する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−180563号公報
【特許文献2】特開2011−153414号公報
【特許文献3】特開2009−209531号公報
【特許文献4】特開2010−180560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
<施工性>
照明装置を建材に組み込んで、例えば住宅などの建造物の壁や天井、床へ設置する場合、外観の意匠性を高めるため、或いは掃除の邪魔にならないよう、壁や天井など周囲の建材よりなるべく前方に飛び出さないように設置されるケースが多い。しかるに、一般的な照明装置には、光源等の部品を収容するためにある程度の厚みがあるので、従来は、壁や天井などに穴を開けるなどして照明装置を収納するスペースを奥側に確保し設置してきたという実情がある。また、建造物へ設置する際には専用の連結部品を使用するなど、通常の建材の組み付けとは異なる施工を行う必要があった。このような例としては、特許文献1〜3に示すものがある。
【0005】
<メンテナンス性>
建材は、基本的にメンテナンスの手間がかからず20年,30年と長期に渡って使用されるものであるのに対し、電気部品を有する照明装置は、より短時間のサイクルでの点検や故障時の修理などのメンテナンスが必要になる。これに対し、特許文献1〜3に示す例のごとく、建材に照明装置を単純に組み込んだ場合、簡単に部品を着脱できる構造になっていないため、照明装置へのアクセスが容易ではないことから、メンテナンスの際には多くの作業時間が必要になり、ユーザーの大きな負担を招く恐れがある。一方、特許文献4には、内部に電気機器を含み、メンテナンス性を考慮した建築用パネルが開示されているが、照明装置をどのように組み込むかという工夫がなされておらず、施工性や薄型・均一発光性の課題を残したままである。
【0006】
<薄型・均一発光性>
照明装置を組み込んだ建材としての付加価値を高めるためには、照明装置の発光品質を示す1つの指標として、照度の均一性が求められる。一例として、光源から発光した光を直接照明光として利用する直下型タイプの照明装置においては、デザイン性を高めるべく照明装置の光軸方向の全長を短くすると、光源から発光した光を十分に拡散することが困難になるため、例えばLEDを光源に用いた場合、出射側に拡散板を挿入したとしても、拡散板を通して光源が点状に明るく視認され、発光部の粒状感が残ってしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解消すべくなされたものであり、通常の建材と同じ施工方法で設置できるため施工性が高く、照明装置へのアクセスが容易で、しかも前方への飛び出しが目立たない薄型で、高品位の照明を行える照明機能付き建築用パネル及びそれを用いた建築構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の照明機能付き建築用パネルは、
建材から構成された外枠と、
前記外枠に取り付けられた金属フレームと、
前記金属フレームに着脱可能に取り付けられた前面パネル板と、
前記金属フレームあるいは前記前面パネル板のどちらか一方に、着脱可能に取り付けられた光源と、
前記金属フレームと前記前面パネル板との間に配置され、前記光源からの光を入射して内部を導光させ、前記前面パネル板側の出射面より出射する導光板とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記外枠は建材から構成されているので、釘、ビスやステイプル、或いは接着剤など通常の施工手段を用いて建造物に取り付けることができ、特殊な連結部品や工具が不要である。又、前記外枠は建材から構成されているので、現場の取り付け寸法に合わせて切断加工を容易に行えるため、施工性が高く、周囲の建材との一体性を確保でき意匠性も高くなる。一方、前記前面パネル板は、例えばネジなどを用いて、前記金属フレームに着脱可能に取り付けられているので、前記前面パネル板を取り外すことで、前記光源及びその配線、或いは前記導光板に容易にアクセスできるから、メンテナンス性が高まる。特に、前記金属フレームにネジ孔を設けてネジ締結を行うと、何度もネジの取り外しを行ってもネジ山が損傷する恐れが低く、メンテナンス回数に限らず安定して前記前面パネル板を取り付けることができる。更に、前記光源を前記金属フレームに取り付けた場合、金属の高熱伝導性を利用して前記光源の熱を逃がすことができるから、局所的な熱のこもりを解消できる。
【0010】
加えて、前記導光板が、前記光源からの光を入射して内部を導光させ、前記前面パネル板側の出射面より出射するので、これにより前記照明機能付き建築用パネルを薄くできるから、建造物への追加工等を例えば配線口など最小限に留めることができ、建築の手間が少なく、建造物の強度を低下させる恐れも少ない。又、前記導光板を用いることで、照度の均一性を維持でき、高品位な照明を実現できる。尚、前記外枠と前記金属フレームは、接着剤などで一体化されていても良いが、ネジなどを用いて固定する場合、前記金属フレーム側にネジ孔を設けることで、着脱が繰り返されても前記外枠を損傷する恐れが少なく耐久性を確保できる。
【0011】
本明細でいう「建材」とは、化粧合板、化粧ボードなどをいう。化粧合板には、天然木化粧合板と、特殊加工化粧板とがある。特殊加工化粧板としては、合成樹脂化粧板、プリント合板、塩ビ化粧合板、紙・布類のオーバーレイ合板などがある。一方、化粧ボードには、MDF(中質繊維板)、ダイライト、ロックウール板、ケイ酸カルシウム板、インシュレーションボード等がある。特に、現場などで切断加工できるものであると好ましい。
【0012】
請求項2に記載の照明機能付き建築用パネルは、請求項1に記載の発明において、前記導光板は、前記前面パネル板に取り付けられ、前記前面パネル板の着脱時には、前記前面パネル板と一体で着脱可能となっていることを特徴とする。
【0013】
例えば、前記金属フレームに開口部を設けておけば、前記光源からの配線を、前記開口部を介して天井裏などに這わせることができるが、前記導光板を前記前面パネル板と一体で取り外すことにより、前記開口部を介して作業者が天井裏等にアクセスして、配線作業などを容易に行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の照明機能付き建築用パネルは、請求項1に記載の発明において、前記導光板は、前記金属フレームに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
例えば、前記金属フレームに開口部を設けておけば、前記光源からの配線を、前記開口部を介して天井裏などに這わせることができるが、前記導光板を前記金属フレームから取り外すことにより、前記開口部を介して作業者が天井裏等にアクセスして、配線作業などを容易に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の照明機能付き建築用パネルは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記導光板は、弾性部材を介して取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
前記導光板を用いることで、前記照明機能付き建築用パネルの薄形化及び照度の均一化を図ることができる。ところが、前記照明機能付き建築用パネル内は、薄型で且つ建材等に囲われた断熱性が高い空間であるから、その内部に前記導光板を配置した場合、前記光源から放射される熱が前記照明機能付き建築用パネル内にこもり易く、これにより前記導光板に熱膨張による伸張が生じる場合がある。かかる場合、特に前記導光板が線膨張係数の異なる部材に固定されていると、前記導光板が歪んで照度の均一性が保たれなくなったり、場合によっては破損などする恐れがある。そこで本発明によれば、前記導光板を、弾性部材を介して取り付けることで熱膨張が生じても伸張を拘束せず、これにより前記導光板が歪むことを抑制しているのである。
【0018】
請求項5に記載の照明機能付き建築用パネルは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記光源は、その発光部を前記導光板の周囲面に対向して配置しており、前記周囲面より前記発光部からの光を入射するようになっていることを特徴とする。
【0019】
これにより、前記光源を前記導光板の側方に配置できるから、前記照明機能付き建築用パネルの薄形化を図れる。尚、前記光源と前記導光板とを空間をあけて配置することで、前記導光板に熱膨張による伸張が生じても、前記光源の破損を回避できるが、前記光源と前記導光板とを接近して配置する場合、弾性部材を介して前記光源を取り付けることで、伸張した前記導光板の周囲面で押されたとしても、前記光源が破損することを抑制できる。
【0020】
請求項6に記載の照明機能付き建築用パネルは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記光源は、その発光部を前記導光板の表裏いずれか少なくとも一方の面に対向して配置しており、前記表裏いずれか少なくとも一方の面より前記発光部からの光を入射するようになっていることを特徴とする。
【0021】
例え前記導光板に熱膨張による伸張が生じても、前記導光板の表裏いずれか少なくとも一方の面に対向して配置された前記光源の発光部との間隔は殆ど変わらないので、その破損を回避できる。
【0022】
請求項7に記載の照明機能付き建築用パネルは、請求項6に記載の発明において、前記導光板の表裏いずれか少なくとも一方の面に対して傾いた斜面が設けられ、前記導光板に入射した光の少なくとも一部は、前記斜面で反射して前記導光板の内部を導光するようになっていることを特徴とする。
【0023】
前記斜面で反射することにより、前記導光板の表裏面方向に沿って効率良く光を導光させることができ、パネル全体の光利用効率を向上させることができる。
【0024】
請求項8に記載の照明機能付き建築用パネルは、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、少なくとも前記外枠は、別の建材に連結されていることを特徴とする。
【0025】
前記外枠は、釘、ビスやステイプル、或いは接着剤など通常の施工手段を用いて隣接する建材に取り付けることができ、特殊な連結部品や工具が不要である。
【0026】
請求項9に記載の建築構造は、前記照明機能付き建築用パネルと同じ形状を有するが照明機能を持たない建築用パネルと、請求項1〜8のいずれかに記載の照明機能付き建築用パネルとを連結してなることを特徴とする。
【0027】
これにより、前記照明機能付き建築用パネルと同じ形状を有するが照明機能を持たない建築用パネルと、請求項1〜8のいずれかに記載の照明機能付き建築用パネルとを任意に組み合わせることで、意匠性を高めることが出来、また家具などの配置や好みに応じて、前記照明機能付き建築用パネルの位置を変更することが簡単にできる。更には、照明機能を持たない既存の建築用パネルと交換することで、新たに照明機能を持たせることもできる。
【0028】
光源としては、LED(Light Emitting Diode)が好ましいが、冷陰極管や蛍光灯などを用いても良い。
【0029】
導光板としては、プラスチック又はガラスの板に対して、その出射面側に拡散シートを設け、出射面とは反対側に反射シートを設けると好ましい。又、導光板から光を取り出すための光取り出し構造を、その表裏いずれかの面に設けることが望ましく、この場合、例えばシリカ、酸化チタン等の拡散剤の混入したインクを導光板の表裏いずれかの面にドット状に塗布したものを好適に用いることができるが、導光板に凹凸の形状をつけても良い。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、通常の建材と同じ施工方法で設置できるため施工性が高く、照明装置へのアクセスが容易で、しかも前方への飛び出しが目立たない薄型で、高品位の照明を行える照明機能付き建築用パネル及びそれを用いた建築構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態にかかる照明機能付き建築用パネル10の分解図である。
【図2】照明機能付き建築用パネル10を組み付けた状態で、II-II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】反射シート20(又は拡散シート21)を貼り付ける直前の導光板15を、上面側から見た図である。
【図4】図4(a)は、天井CLに、照明機能付き建築用パネル10を取り付けた状態で示す図であり、図4(b)は、照明機能付き建築用パネル10から前面パネル板13を取り外した状態を示す図である。
【図5】照明機能付き建築用パネル10を、天井CLに組み付ける直前の状態で側方から見た図である。
【図6】照明機能付き建築用パネル10の施工例を示す図である。
【図7】導光板15の端部近傍とLED発光部14bとを模式的に記載した図であるが、導光板15と反射シート20と拡散シート21との間隔は、実際と異なり誇張して示している。
【図8】本実施の形態の変形例を示す図であるが、一部の部品を省略している。
【図9】本実施の形態の別な変形例を示す図であるが、一部の部品を省略している。
【図10】別な実施の形態にかかる、図2と同様な断面図であるが、一部の部品を省略している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施の形態にかかる照明機能付き建築用パネル10の分解図である。図2は、照明機能付き建築用パネル10を組み付けた状態で、II-II線で切断して矢印方向に見た図である。ここでは、建造物屋内の天井に設置される照明機能付き建築用パネル10を想定しているが、それに限らず壁や床などに設置しても良い。
【0033】
図1において、照明機能付き建築用パネル10は、外枠11と、外枠11に取り付けられた金属フレーム12と、金属フレーム12に着脱可能に取り付けられた前面パネル板13と、金属フレーム12に着脱可能に取り付けられた光源ユニット14と、金属フレーム12と前面パネル板13との間に配置され、光源ユニット14からの光を入射して内部を導光させ、前面パネル板13側の出射面より出射する導光板15とを有する。
【0034】
外枠11は、建材(ここでは木材)から構成された矩形枠状であり、周囲4カ所に貫通孔11aを有している。鋼板製の金属フレーム12は、図2に示すように、小サイズの矩形枠板12Aの外縁と、それより大サイズの矩形枠板12Bの内縁とを、それらに直交する側壁12Cで全周にわたって連結した一体のフレーム本体12Dと、矩形枠板12Aの下面に溶接等で接合された薄板12Eとからなる。
【0035】
図1に示すように、薄板12Eは、その中央に開口12aを有する。一方、矩形枠板12Bは、周囲4カ所にネジ孔12bを有し、それとは別に周囲4カ所にネジ孔12cを有している。外枠11の貫通孔11aにそれぞれ挿通したネジ16を、矩形枠板12Bのネジ孔12bに螺合させることにより、外枠11は、図2に示すように、その内周を矩形枠板12Bに当接させるようにして、金属フレーム12に取り付けられている。尚、外枠11は金属フレーム12に接着されていても良い。
【0036】
光源ユニット14は、図2に示すように、金属フレーム12の薄板12Eの下面に、不図示のネジ等を用いて着脱自在に固定された細長い基板14aと、基板14aに等間隔に(図2では紙面垂直方向に並んで)配置されたLED発光部14bとを有している。光源ユニット14を金属フレーム12に直付けすることで、金属の高熱伝導性を利用して点灯時の熱を逃がすことができる。また、部材結合部の熱伝導効果をより高めるため、部材間に熱伝導シートを挟んでも良い。LED発光部14bは、その発光面を図2で下方に向けている。図示していないが、基板14aからつながる配線17は、金属フレーム12の開口部12aを介して天井裏にまで延在し、不図示の電灯線に接続されている。
【0037】
図1に示すように、前面パネル板13は矩形枠状であり、その内周縁を13bとする。又、前面パネル板13は、周囲4カ所に貫通孔13aを有している。図2に示すように、前面パネル板13の貫通孔13aにそれぞれ挿通したネジ18を、金属フレーム12の矩形枠板12Bのネジ孔12cに螺合させることにより、前面パネル板13は、矩形枠板12Bの下面に密着するようにして、金属フレーム12に取り付けられている。
【0038】
金属フレーム12と、前面パネル板13との間の薄い空間に、導光板15が配置されている。より具体的には、図2において、前面パネル板13の長手方向両側において、内周近傍上面に、ゴム板などの弾性部材19を介して、導光板15が接着されている。アクリル(又はガラス、ポリカーボネート)製の導光板15は、上面(表面)15aと、出射面である下面(裏面)15bと、短手方向の側面15c(図1参照)と、長手方向の側面15dとを有する。短手方向の側面15cは、上面15a及び下面15bに直交するが、長手方向の側面15dは、図2に示すように上面15a及び下面15bに対して互いに逆側に傾いた斜面であり、よって上面15aの長手方向の長さは、下面15bの同方向の長さより長くなっている。長手方向の側面15dに、反射コートが形成されていると好ましい。或いは、反射コートの代わりに反射材を貼り付けても良い。
【0039】
図7を参照して、導光板15の上面15a(或いは下面15b)には、例えばシリカ、酸化チタン等の拡散剤を混入したインクをドット状に塗布(印刷)することで得られる光取り出し構造としての拡散部15pが設けられている。拡散部15pとしては、ドット径を数10μm程度にすることで、肉眼で視認されないようにでき、ユーザー等に違和感を覚えさせないようにできるが、よりドット径を大きくして、図形や文字などのパターンを描くこともできる。導光板15の面に凹凸形状を設けても良い。
【0040】
導光板15の上面15aには、光源ユニット14のLED発光部14bの発光面が対向する両端近傍を除いて、反射シート20が貼り付けられている。反射シート20の下面20aは、導光板15の上面15aとの間に僅かな空気層を有し、その下面20aは反射面(白色塗装や金属膜を蒸着したものなど)となっていて、導光板15内を導光する光が上面15aから出射したときに、これを反射して再び導光板15内へ戻す機能を有する。一方、導光板15の下面15bの全面には、拡散シート21が貼り付けられている。拡散シート21は、導光板15の下面15bとの間に僅かな空気層を有し、表面(ここでは下面15bに対向する面)が粗し面となっているか、或いは内部に乳白材やビーズなどを混入した樹脂板であって、透過光を拡散する機能を有するものである。反射シート20,拡散シート21は、導光板15の面から離間して配置されても良い。
【0041】
図3に示すように、導光板15は、前面パネル板の内周縁13bよりもサイズが大きくなっていて、反射シート20,拡散シート21は、導光板15の内周縁13bと、導光板15の側面15cとの間に設けられた両面テープ22により固着されると好ましい。これにより導光板15,反射シート20,拡散シート21は、ユニット化される。但し、反射シート20,拡散シート21は、導光板15に直接貼り付けられるのではなく、間接的に設けられても良い。例えば、反射シート21を設ける代わりに、金属フレーム12の薄板12Eを鏡面(反射面)としても良いし、拡散シート21を両面テープ等で前面パネル板13に固定しても良い。
【0042】
図4(a)は、天井CLに、照明機能付き建築用パネル10を取り付けた状態で示す図であり、図4(b)は、照明機能付き建築用パネル10から前面パネル板13を取り外した状態を示す図である。図5は、照明機能付き建築用パネル10を、天井CLに組み付ける直前の状態で側方から見た図である。図6は、照明機能付き建築用パネル10の施工例としての建築構造を示す図である。
【0043】
図5に示すように、天井CLへの施工時に、照明機能を有しない建築用パネル10’の間に、照明機能付き建築用パネル10を設置する際に、天井のサイズや形状によって、寸法上、パネルの収まりが悪い場合には、現物合わせにて、照明機能を有しない建築用パネル10’の端部T’、又は照明機能付き建築用パネル10の端部Tを適宜切断することで容易に設置でき、スキマなく連結することができるから見た目も良い。かかる場合、建築用パネル10’、10の切断は、通常の大工道具であるノコギリ等を用いて行うことができ、また明機能付き建築用パネル10の取り付けは、釘、ビスやステイプル、或いは接着剤など通常の施工手段を用いて、隣接する天井CLの建材等に取り付けることができる。
【0044】
照明機能付き建築用パネル10は、図6に示すように、同じ形状を有するが照明機能を有しない建築用パネル10’に隣接した任意の位置に取り付けることができる。又、一旦取り付けた後においても、好みにより照明機能を有しない建築用パネル10’と位置を変えることもできる。更には、照明機能付き建築用パネル10を、既存の照明機能を有しない建築用パネル10’と置換することで、建造物の付加価値を高めることもできる。
【0045】
図4(a)に示すように、照明機能付き建築用パネル10を天井CLに組み付けた状態で点灯させると、後述するようにして光源ユニット14からの光が導光板15を介して導光され、前面パネル板13の内周縁13bの内側の露出した下面15bから拡散シート21を介して出射するので、これにより照明を行うことができる。
【0046】
一方、メンテナンス時には、図4(b)に示すように、4隅のネジ18をゆるめると、前面パネル板13を金属フレーム12から取り外すことができる。このとき、導光板15を一緒に取り外せるので、その目視点検などを容易に行える。又、導光板15には配線等が接続されていないので、前面パネル板13の脱着は配線に煩わされることなく容易に行える。
【0047】
更に、前面パネル板13と導光板15を取り外すと、金属フレーム12内の光源ユニット14にアクセスできるようになるので、その点検や交換などを容易に行うことができる。同時に、金属フレーム12の開口12aが露出するので、作業者が開口12aを介して天井裏などにアクセスして、内部の電灯線などとの接続や点検などを容易に行うことができる。メンテナンス終了後は、前面パネル板13及び導光板15を、金属フレーム12に取り付けてネジ18で締め付ける。ネジ18は、金属フレーム12のネジ孔12cに螺合しているので、繰り返し締め付けてもネジ山が破損する恐れは低い。
【0048】
照明機能付き建築用パネル10の照明機能について説明する。図7は、導光板15とLED発光部14bとを模式的に記載した図であり、LED発光部14bから出射されて進行する一部の光を矢印で示している。外部から配線17及び基板14aを介してLED発光部14bに電力を供給し、これを発光させると、LED発光部14bから出射された光は、点線で示すように、導光板15の上面15aの端部近傍から内部に進入し、側面(斜面)15dで反射した後、導光板15の上面15a、下面15bの空気に接する界面で全反射しながら導光板15に沿って進行するが、導光板15の上面15aに接する拡散部15pに入射した時点で拡散が生じることとなる。このとき、実線で示すように、拡散光の出射角が変化して、その一部は直接下面15bから出射し、別の一部は反射シート20の下面20aに反射した後、再び導光板15内に戻って下面15bから出射する。下面15bから出射した光は、拡散シート21を透過することで更に拡散されるので、これにより照明機能付き建築用パネル10の下方を、均一な照度で照明を行うことができる。
【0049】
更に本実施の形態によれば、導光板15が熱膨張により伸張した場合、図2に示すように、導光板15は弾性部材19により支持されているので、前面パネル板13に対して伸張が拘束されないため、歪みを生じることがなく、これにより高品位な照明を実現できる。
【0050】
図8は、本実施の形態の変形例を示す図である。図8の変形例では、導光板15の長手方向の側面15dを、上面15a及び下面15bに対して直交させていると共に、金属フレーム(図8では不図示)に取り付けた光源ユニット14のLED発光部14bの発光面を、側面(周囲面)15dに対向させている。LED発光部14bから出射された光束は、側面15dから直接、導光板15内に入射するようになっている。尚、LED発光部14bと、側面15bとは所定の間隔をあけているので、導光板15が熱膨張により伸張した場合にも、両者は接触することがない。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様である。
【0051】
図9は、本実施の形態の別な変形例を示す図である。図9の変形例では、図8に示す導光板15に貫通孔15eを設けて、これに挿通したネジ23をネジ孔13eに螺合させることで、導光板15を前面パネル板13に取り付けている。かかる場合に、上述した導光板15の熱膨張による伸張を考慮して、ネジ23の頭部23aと導光板15との間に、ゴムワッシャ24を挿入している。これによりネジ23の締め付け時に、ゴムワッシャ24が弾性変形し、その付勢力で導光板15が支持されることとなる。尚、導光板15の貫通孔15eの内径は、ネジ23の軸径より大きくなっている。
【0052】
本変形例によれば、導光板15が熱膨張により伸張した場合、導光板15はゴムワッシャ24の付勢力に抗して伸張でき、前面パネル板13に対して滑りが生じるため、歪みを生じることがなく、これにより高品位な照明を実現できる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様である。
【0053】
図10は、別な実施の形態にかかる、図2と同様な断面図である。本実施の形態においては、図9に示す導光板15が、貫通孔15eに挿通したネジ23をネジ孔12eに螺合させることで、金属フレーム12に取り付けられている。よって、金属フレーム12から導光板15を取り外す場合、そのネジ23をゆるめればよい。但し、図9と同様に、ゴムワッシャを用いて取り付けても良い。尚、図2と同様に、長手方向側面を斜面として、光源ユニット14を導光板15の上側に位置させても良い。
【0054】
本実施の形態によれば、前面パネル板13に導光板15の荷重が付与されないので、軽量な素材から前面パネル板13を形成することができる。例えば、導光板15から出射された照明光を遮らず、照明機能付き建築用パネル10内に虫などが入らないようにする為のアクリル板を前面パネル板13として用いても良い。
【0055】
以上の実施の形態に限られず、例えば図2の例では、導光板15の上下を反転させ、下面側から光源ユニット14のLED発光部14bの出射光を入射させるようにしても良い。又、光源ユニット14は、前面パネル板13に取り付けられていても良い。
【符号の説明】
【0056】
10 照明機能付き建築用パネル
10’ 照明機能なし建築用パネル
11 外枠
11a 貫通孔
12 金属フレーム
12A 矩形枠板
12B 矩形枠板
12C 側壁
12D フレーム本体
12E 薄板
12a 開口部
12b ネジ孔
12c ネジ孔
12e ネジ孔
13 前面パネル板
13a 貫通孔
13b 内周縁
13e ネジ孔
14 光源ユニット
14a 基板
14b 発光部
15 導光板
15a 上面
15b 下面
15c 側面
15d 側面
15e 貫通孔
15p 拡散部
16 ネジ
17 配線
18 ネジ
19 弾性部材
20 反射シート
21 拡散シート
22 両面テープ
23 ネジ
23a 頭部
24 ゴムワッシャ
CL 天井
T 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材から構成された外枠と、
前記外枠に取り付けられた金属フレームと、
前記金属フレームに着脱可能に取り付けられた前面パネル板と、
前記金属フレームあるいは前記前面パネル板のどちらか一方に、着脱可能に取り付けられた光源と、
前記金属フレームと前記前面パネル板との間に配置され、前記光源からの光を入射して内部を導光させ,前記前面パネル板側の出射面より出射する導光板とを有することを特徴とする照明機能付き建築用パネル。
【請求項2】
前記導光板は、前記前面パネル板に取り付けられ,前記前面パネル板の着脱時には,前記前面パネル板と一体で着脱可能となっていることを特徴とする請求項1記載の照明機能付き建築用パネル。
【請求項3】
前記導光板は、前記金属フレームに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の照明機能付き建築用パネル。
【請求項4】
前記導光板は、弾性部材を介して取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明機能付き建築用パネル。
【請求項5】
前記光源は、その発光部を前記導光板の周囲面に対向して配置しており,前記周囲面より前記発光部からの光を入射するようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明機能付き建築用パネル。
【請求項6】
前記光源は、その発光部を前記導光板の表裏いずれか少なくとも一方の面に対向して配置しており,前記表裏いずれか少なくとも一方の面より前記発光部からの光を入射するようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明機能付き建築用パネル。
【請求項7】
前記導光板の表裏いずれか少なくとも一方の面に対して傾いた斜面が設けられ、前記導光板に入射した光の少なくとも一部は、前記斜面で反射して前記導光板の内部を導光するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の照明機能付き建築用パネル。
【請求項8】
少なくとも前記外枠は、別の建材に連結されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の照明機能付き建築用パネル。
【請求項9】
前記照明機能付き建築用パネルと同じ形状を有するが照明機能を持たない建築用パネルと、請求項1〜8のいずれかに記載の照明機能付き建築用パネルとを連結してなることを特徴とする建築構造。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図10】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−114982(P2013−114982A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261976(P2011−261976)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】