説明

照明環境再現システム

【課題】被写体周囲の環境を含め正確な色による照明環境を再現でき、あたかも所望の照明環境下においたときの色を正確に再現して被写体を評価あるいは撮影することができる照明環境再現システムを提供する。
【解決手段】観察者15若しくは撮影装置16により観察若しくは撮影するための被写体14を所望の照明環境で照明する照明環境再現システムであって、照明環境の光分布を画像として投射する照明環境投射装置12を有する照明環境投射手段(11,12)と、被写体14の少なくとも上部を含む周囲を覆うように配置され、照明環境投射装置12により投射された照明環境の光分布を拡散反射または拡散透過して被写体14を照明する拡散スクリーン13と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の被写体を観察または撮影する際の照明環境を所望の照明環境に再現する照明環境再現システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、工業デザイン分野では、製品の色設計を行う際に、さまざまな照明環境の下で製品の色をチェックしたり、評価したりすることが行われている。従来、こうした色のチェックや評価は、仮設計された製品の模型をいくつか作成し、製品使用時に想定される仮想照明の下で行われるが、特に製品が主に屋外で使用されるものである場合には、わざわざ模型を屋外に持ち出すことが困難であるため、室内にて照明機器および照明反射板等を利用して屋外の照明環境を再現して行うことが多い。また、色設計だけでなく、製品のカタログ撮影を行う場合にも、スタジオ内で屋外の照明環境を再現して写真撮影することが多い。
【0003】
ところが、屋外自然光の照明環境をスタジオ内で再現しようとしても、(1)照明器具の発光色(スペクトル)および照明反射板の反射色(スペクトル)が自然光と異なること、(2)照明反射板による拡散光だけでは屋外自然光のような空間的に分布を持つ照明を再現できないこと、(3)屋外周囲の環境(建物、風景など)の写り込みを再現できないことから、屋外の照明環境を正確に再現することは非常に困難である。
【0004】
なお、上記(1)に関しては、例えば、屋外の色温度等を検出し、検出した色温度をもとにRGB3色の光源を制御して調光することにより、室内照明の発光色を屋外自然光の色温度とほぼ同じに調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上記(2)に関しては、例えば、青空を含む屋外自然光の照明環境をビデオカメラにより撮影し、撮影した照明分布を天井に表示して再現することにより、ある程度空間的に分布を持つ屋外の照明環境(分布)を再現する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3200744号公報
【特許文献2】特開平9-81058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、一度に一種類の色温度しか設定できないため、照明環境の色が空間的に均一であれば再現可能であるが、屋外自然光のように空間的に色分布が変化するような複雑な照明環境は再現することができない。また、上記特許文献2に開示の技術では、照明環境の空間的な光分布を画像として表現することはできても、色の再現性までは考慮されていないため、正確な色による照明環境は再現することができない。さらに、上記特許文献1,2に開示の技術では、いずれも再現できる照明環境が観察者上部の天井のみで、被写体周囲の照明環境は任意に再現できないため、上記(3)に挙げたような被写体の写り込みを正確に再現することができない。
【0006】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の主たる目的は、被写体周囲の環境を含め正確な色による照明環境を再現でき、あたかも所望の照明環境下においたときの色を正確に再現して被写体を評価あるいは撮影することができる照明環境再現システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する請求項1に係る発明は、観察者若しくは撮影装置により観察若しくは撮影するための被写体を所望の照明環境で照明する照明環境再現システムであって、
上記照明環境の光分布を画像として投射する照明環境投射装置を有する照明環境投射手段と、
上記被写体の少なくとも上部を含む周囲を覆うように配置され、上記照明環境投射装置により投射された上記照明環境の光分布を拡散反射または拡散透過して上記被写体を照明する拡散スクリーンと、
を有することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、さらに上記観察者または上記撮影装置側の空間の一部を覆うものであり、
上記環境照明投射装置は、少なくとも上記観察者または上記撮影装置側の空間の一部に位置する上記拡散スクリーンへ照明環境の光分布を投射することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、上記観察者または上記撮影装置が上記被写体を上記拡散スクリーンの外側から観察または撮影するための観察窓を有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、球面または円筒面を有するドーム型または円筒型からなることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、上記照明環境投射装置からの光の一部を拡散しないで正反射若しくは直接通過するための鏡若しくは穴を有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境投射手段は、上記照明環境投射装置の原色分光特性および上記拡散スクリーンの分光反射率特性若しくは分光透過率特性に基づいて、上記照明環境投射装置に入力する照明環境の画像の色補正を行う画像色補正手段を有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境投射手段は、上記拡散スクリーンの異なる領域に照明環境の光分布の画像を投射する複数台の照明環境投射装置と、上記複数台の画像投射装置に入力する照明環境の画像の幾何補正を行う幾何補正手段とを有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境投射装置は、上記照明環境の画像を4つ以上の原色により投射することを特徴とするものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記被写体が置かれた地点とは異なる地点における照明環境の光分布を画像として撮像する照明環境撮像装置を有する照明環境撮像手段を備え、
上記照明環境撮像手段で撮像された上記照明環境の光分布を、上記照明環境投射手段により上記拡散スクリーンに画像として投射して、上記被写体を照明することを特徴とするものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境撮像手段は、上記被写体が置かれた地点とは異なる複数の地点におけるそれぞれの照明環境の光分布を画像として撮像する複数の照明環境撮像装置を有し、
上記照明環境撮像手段は、上記照明環境撮像手段から所望の地点の照明環境撮像装置を選択し、その選択した上記照明環境撮像装置で撮像された照明環境の画像をネットワークを介して取得して投射することを特徴とするものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、観察者若しくは撮影装置により観察若しくは撮影するための被写体を所望の照明環境で照明する照明環境再現システムであって、
上記被写体の少なくとも上部を含む周囲を覆うように配置され、上記照明環境の光分布を画像として表示して上記被写体を照明する照明環境表示手段を有することを特徴とするものである。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境表示手段は、さらに上記観察者または上記撮影装置側の空間の一部を覆うことを特徴とするものである。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項11に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境表示手段は、上記観察者または上記撮影装置が上記被写体を上記照明環境表示手段の外側から観察または撮影するための観察窓を有することを特徴とするものである。
【0020】
請求項14に係る発明は、請求項11乃至13のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境表示手段は、球面または円筒面を有するドーム型または円筒型からなることを特徴とするものである。
【0021】
請求項15に係る発明は、請求項11乃至14のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記被写体が置かれた地点とは異なる地点における照明環境の光分布を画像として撮像する照明環境撮像装置を有する照明環境撮像手段を備え、
上記照明環境撮像手段で撮像された上記照明環境の光分布を、上記照明環境表示手段により画像として表示して、上記被写体を照明することを特徴とするものである。
【0022】
請求項16に係る発明は、請求項15に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境撮像手段は、上記被写体が置かれた地点とは異なる複数の地点におけるそれぞれの照明環境の光分布を画像として撮像する複数の照明環境撮像装置を有し、
上記照明環境表示手段は、上記照明環境撮像手段から所望の地点の照明環境撮像装置を選択し、その選択した上記照明環境撮像装置で撮像された照明環境の画像をネットワークを介して取得して表示することを特徴とするものである。
【0023】
請求項17に係る発明は、請求項9,10,15または16に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境撮像装置は、照明環境の光分布を4バンド以上のマルチスペクトル画像として撮像することを特徴とするものである。
【0024】
請求項18に係る発明は、請求項1乃至17のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
さらに、上記被写体を直接照明するスポット照明手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、所望の照明環境から離れた場所にいながら、所望の照明環境を正確に再現して被写体を照明できるので、あたかも所望の照明環境下においたときの色を正確に再現して被写体を評価あるいは撮影することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
(第1実施の形態)
図1〜図10は、本発明による照明環境再現システムの第1実施の形態を示すものである。本実施の形態の照明環境再現システムは、図1に示すように、地点Aにおける天頂から地平周囲にかけての照明の光分布を反射させる凸面鏡1と、凸面鏡1で反射された照明環境の光分布をマルチスペクトル画像として取得するマルチスペクトル照明環境撮像装置2と、取得したマルチスペクトル画像を撮像装置2の特性情報すなわち幾何特性および分光感度特性に基づき幾何補正および分光感度補正して照明環境の分光画像としてデータベース3または記録媒体4に保存若しくはネットワーク5に送信する照明環境画像作成部6と、データベース3、記録媒体4またはネットワーク5から入力される照明環境の分光画像を後述する多原色照明環境投射装置12およびドーム型反射スクリーン13の分光特性および幾何特性に基づいて幾何補正および色補正して多原色照明環境投射装置12に入力する原色画像を作成する色・幾何補正部11と、色・幾何補正部11より出力される原色画像を入力して照明環境の画像を投射する多原色照明環境投射装置12と、投射された照明環境画像を反射拡散して被写体14(例えば、建造物やその模型)に照射するドーム型反射スクリーン13とを有している。
【0028】
ここで、凸面鏡1、マルチスペクトル照明環境撮像装置2および照明環境画像作成部6は照明環境撮像手段を構成し、色・幾何補正部11および多原色照明環境投射装置12は照明環境投射手段を構成している。
【0029】
ドーム型反射スクリーン13は、被写体14の上部を覆い、かつ観察者15または被写体撮影装置16により被写体14を観察または撮影した際に、ドーム型反射スクリーン13に投射された照明環境画像が被写体14に写りこんで見えるように、被写体14よりも観察者15側または撮影装置16側の空間を覆うように設置される。また、ドーム型反射スクリーン13は、スクリーンで反射された光がスクリーン自身に再びあたらないで主に被写体14に向かってのみ反射するように、ある程度指向性を有するシルバースクリーンまたはある程度低反射な特性(例えば、反射率50%以下)を有するグレースクリーン等を使用するのが望ましい。
【0030】
このように、本実施の形態では、マルチスペクトル照明環境撮像装置2により得られた地点Aでの照明環境の光分布を、ドーム型反射スクリーン13上に正確な色で投射して被写体14を照明することで、被写体14の写りこみを含め、あたかも地点Aの照明環境下に被写体14を置いたときと同じ環境を室内にて正確に再現する。
【0031】
以下、各部の詳細な構成について説明する。
【0032】
図2は、図1に示したマルチスペクトル照明環境撮像装置2の一例の構成を示す図である。このマルチスペクトル照明環境撮像装置2は、図1に示した凸面鏡1による照明環境の反射光を取り込んで結像する結像レンズ21と、同一円周上に保持された複数個(ここでは16個)のフィルタ22を結像レンズ21の光路中に順次位置させて光の分光特性を変調するフィルタターレット23と、結像レンズ21に結像位置に配置されて照明環境の反射光を画像信号として取り込むためのCCDやCMOS等からなる撮像素子24と、結像レンズ21のフォーカス制御および撮像素子24からの画像信号取り込み時のシャッタ制御および露光制御を行う撮像制御部25と、撮像素子24による撮像に同期してフィルタターレット23を回転させて複数のフィルタ22を結像レンズ21の光路中に順次位置させるモータ制御部26とを有している。
【0033】
フィルタターレット23に装着されている各フィルタ22は、図3に示すようなそれぞれ異なる狭帯域(バンド)の波長選択性(分光透過率)を有する多層膜フィルタで構成され、これにより照明環境の細かいスペクトル情報(マルチスペクトル画像)をマルチバンドで取得できるようになっている。なお、複数のフィルタ22は、フィルタ毎に厚みが異なる場合があるので、図2に示したように結像レンズ21の光路中で、特に、地点Aの任意の点からの光がフィルタ面にほぼ垂直に入射されるような位置に配置され、これにより各フィルタ22で画像倍率や位置ずれが起こるのを抑制している。
【0034】
図4は、図1に示した照明環境画像作成部6の一例の構成を示すブロック図である。この照明環境画像作成部6では、まずマルチスペクトル照明環境撮像装置2より取り込まれた照明環境のマルチスペクトル画像を撮像画像格納部31に格納し、その格納されたマルチスペクトル画像を、撮像装置2のトーンカーブ特性、幾何特性(撮像装置2の位置、方向、画角、レンズ歪み)、シェーディング特性、感度特性(分光感度特性、露出条件、照明光スペクトル統計情報)に基づいて、トーンカーブ補正部32、幾何補正部33、シェーディング補正部34およびマトリクス演算部35にて順次補正して照明環境の分光画像を作成し、それらの分光画像を必要に応じて画像圧縮部36で例えば分光画像間の相関を利用して圧縮したり、撮像装置2の照明光スペクトル統計情報に基づいて主成分展開することにより圧縮したりして、データベース3、記録媒体4あるいはネットワーク5を経て色・幾何補正部11へ出力する。
【0035】
なお、マルチスペクトル照明環境撮像装置2のトーンカーブ特性、幾何特性、シェーディング特性および感度特性は、予めトーンカーブ補正データ作成・格納部41、幾何補正データ作成・格納部42、シェーディング補正データ作成・格納部43およびマトリクスデータ作成・格納部44にそれぞれ取り込んで補正データを作成して格納しておく。これにより、トーンカーブ補正部32、幾何補正部33、シェーディング補正部34およびマトリクス演算部35において、対応する補正データを参照しながらマルチスペクトル照明環境撮像装置2から取り込まれた画像をリアルタイムに補正して出力することができる。
【0036】
ここで、トーンカーブ補正部32、幾何補正部33、シェーディング補正部34およびマトリクス演算部35の具体的な機能について説明する。
【0037】
トーンカーブ補正部32では、マルチスペクトル照明環境撮像装置2からの各バンドの画像を、撮像装置2のトーンカーブ特性(入出力信号特性)に基づいて補正を行う。
【0038】
図5は、本実施の形態におけるマルチスペクトル照明環境撮像装置2のトーンカーブ特性の一例を示す。ここでは、撮像装置2に入力される最大輝度(1.0)に対して約1/6の入力輝度(0.1616)までは、出力信号が入力輝度に対してほぼ正比例で出力され、それ以上の入力輝度に対しては出力信号が入力輝度の急激な増大に対して鈍く増大して出力されるような特性となっている。これにより屋外の太陽光のように、周りの青空にくらべて著しく輝度の高いような照明光を撮像した場合でも、輝度情報を出力信号として取り込む際に情報を潰さずに取得することができる。
【0039】
ここで、図5に示すトーンカーブ特性をC=ρ(E)(Eはkバンド目における入力輝度、Cはkバンド目における出力信号)の式で定義すると、トーンカーブ補正部32では、下記(1)式で表されるような画像信号の変換を行うことにより、入力輝度に対して線型(正比例)の画像出力信号が得られる。
【0040】
【数1】


ここで、Dは補正後の信号、ρの肩の−1は逆関数を表す。
【0041】
幾何補正部33では、マルチスペクトル照明環境撮像装置2の位置(凸面鏡1との位置関係)、方向、画角、レンズ歪みによって変化する画像の幾何学的な形状を、予め定義された標準的な幾何形状に補正する。
【0042】
図6は、本実施の形態において定義する標準的な照明環境画像の幾何形状の一例を説明するための図である。本実施の形態では、図6(a)に示すような3次元的な球面で表される実際の照明環境を、図6(b)に示すように、天頂を中心とした半球面を等角投影して得られるような2次元画像として照明環境画像を定義する。この場合、実際には、撮像装置2の位置、方向、画角さらにはレンズ歪みにより、図6(b)に示すような形状の画像をそのままマルチスペクトル照明環境撮像装置2から取得するのは困難であるので、幾何補正部33において撮像装置2のレンズ歪み特性および撮影環境の幾何特性に基づいて各画素の位置補正を行い、これにより図6(b)に示すような標準的な幾何形状の照明環境画像に補正する。
【0043】
シェーディング補正部34では、撮像装置2のレンズにより生じる撮像画像のシェーディング特性を補正する。
【0044】
図7は、撮像装置のシェーディング特性の一例を示すものである。図7に示すように、一般的な撮像装置においては、画像周辺に向かうに従って撮像装置で取得される光輝度が実際の輝度に比べ減少してしまう。そこで、本実施の形態では、シェーディング補正部34において、このような特性を画像信号に対して除算することで、画像全面内において実際の輝度と同じ輝度分布が得られるように補正する。
【0045】
マトリクス演算部35では、マルチスペクトル照明環境撮像装置2の感度特性に基づいて、該撮像装置2から得られた照明環境のマルチスペクトル画像のマトリクス演算を行って、照明環境画像の分光画像を作成する。
【0046】
ここで、例えばマルチスペクトル照明環境撮像装置2によって、分光分布E(λ)(λは波長(nm))をもつ照明環境の撮影を行った場合に、マルチスペクトル画像のkバンド目において得られる画像信号(1画素)の値D(k=1〜M、M:バンド数)は、マルチスペクトル照明環境撮像装置2の各バンドの分光感度特性S(λ)を用いて、下記(2)式のように表せる。
【0047】
【数2】

【0048】
上記(2)式を行列表記すると、下記(3)式のように表せる。
【0049】
【数3】

【0050】
以上より、照明環境の分光分布Eは、マルチスペクトル画像の画素信号Dより、下記(7)式により求めることができる。
【0051】
【数4】

【0052】
ただし、上記(7)式において、H−1はHの一般化逆行列を表す。この一般化逆行列H−1は、HからWinner推定等を用いて求めることができる。また、この場合、図4のマトリクスデータ作成・格納部44に照明光スペクトルの統計的な情報があれば、その統計情報を用いてより精度よくWinner推定を行うことも可能である。
【0053】
上記(6)式により求まるマトリクスを使用してマルチスペクトル照明環境撮像装置2で撮像された画像の全画素にマトリクス演算を行うことにより、照明環境の分光画像を得ることができる。
【0054】
図8は、図1に示した色・幾何補正部11の一例の構成を示すブロック図である。この色・幾何補正部11では、まず照明環境画像作成部6で作成された照明環境の分光画像を、圧縮されている場合には画像伸長部51で伸長して照明画像格納部52に格納し、その格納された分光画像を、多原色照明環境投射装置12およびドーム型反射スクリーン13における幾何特性(投射位置、方向、画角、スクリーン形状)、シェーディング特性、分光特性(投射装置12の各原色スペクトル、スクリーン分光反射率)、トーンカーブ特性に基づいて、幾何補正部53、シェーディング補正部54、マトリクスデータ作用部55およびトーンカーブ補正部56で順次処理して、多原色照明環境投射装置12に出力する。
【0055】
なお、多原色照明環境投射装置12およびドーム型反射スクリーン13の幾何特性、シェーディング特性、分光特性およびトーンカーブ特性は、予め幾何補正データ作成・格納部61、シェーディング補正データ作成・格納部62、マトリクスデータ作成・格納部63およびトーンカーブ補正データ作成・格納部64にそれぞれ取り込んで補正データを作成して格納しておく。
【0056】
ここで、幾何補正部53は、多原色照明環境投射装置12からドーム型反射スクリーン13に投射されて形成される投射画像に歪がないように、多原色照明環境投射装置12およびドーム型反射スクリーン13の幾何特性(投射位置、方向、画角、スクリーン形状)に基づいて分光画像を幾何補正する。
【0057】
シェーディング補正部54は、ドーム型反射スクリーン13に投射される画像面内の輝度が均一となるよう、多原色照明環境投射装置12のレンズ特性またはドーム型反射スクリーン13の指向特性、すなわちシェーディング特性に基づいて分光画像を補正する。
【0058】
マトリクスデータ作用部55は、多原色照明環境投射装置12によりドーム型反射スクリーン13上に分光画像として表される照明環境の分光特性を、出来る限り正確に再現して投射するために、多原色照明環境投射装置12における各原色の分光特性およびドーム型反射スクリーン13の分光反射率特性に基づいて、入力された分光画像を投射装置12に入力する各原色成分の値に変換する。この多原色成分への変換方法については、例えば特開2003−141518号公報に開示されているような公知の方法により、分光分布をできるだけ再現して多原色成分に変換することができるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0059】
トーンカーブ補正部56は、入力された画像信号の階調レベルを、多原色照明環境投射装置12の各原色のトーンカーブ特性(入出力信号特性)に基づいて補正する。
【0060】
図9は、図1に示した多原色照明環境投射装置12の一例の構成を示すブロック図である。この多原色照明環境投射装置12は、従来の単板式DLP(登録商標)プロジェクタと同様に、光源71、集光レンズ72、回転フィルタ73、コリメータレンズ74、ミラー75、空間光変調素子であるDMD(Digital Micromirror Device)76、投射レンズ77、フィルタ回転制御部78、空間光変調素子ドライバ79を有しており、色・幾何補正部11からの多原色の表示画像信号に基づいて、空間光変調素子ドライバ79により空間光変調素子17を制御すると共に、フィルタ回転制御部78により回転フィルタ14を制御して、光源71からの光の分光特性を回転フィルタ73により面順次で変更し、その分光特性が変更された光をDMD76により面順次で空間的に変調して、ドーム型反射スクリーン13に投射する。
【0061】
回転フィルタ73は、照明環境の分光分布をより正確に再現するため、従来のRGBによる3原色でなく、例えば図10(a)に平面図を、図10(b)に分光特性を示すように、それぞれ異なる分光特性を有する6つのフィルタP1〜P6を使用して、6原色の画像を投射する。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態においては、図1における地点Aの照明環境をマルチスペクトル照明環境撮像装置2により正確に分光画像として取得し、さらに多原色照明環境投射装置12により、照明環境の分光画像をドーム型反射スクリーン13上に正確に投射して被写体14を照明するようにしたので、地点Aから離れた場所においても、被写体14があたかも地点Aに置かれたかのように観察して色の評価を行うことが可能となる。特に、ドーム型反射スクリーン13により周囲の照明環境が再現されることで、被写体14の写り込みまたは鏡面反射の影響も正確に再現して観察することができる。また、本実施の形態によれば、マルチスペクトル照明環境撮像装置2により取得された画像を照明環境画像作成部6により、分光特性および幾何特性ともに標準的な特性による分光画像として作成できるので、これをデータベース等に保存しておくことにより、様々な地点での照明環境を一般的なコンテンツとしてアーカイブすることができる。したがって、例えば、世界中の様々な地点での照明環境データベースとして広く流通させることも可能である。
【0063】
(第2実施の形態)
図11は、本発明の第2実施の形態に係る照明環境再現システムを示す図である。
【0064】
本実施の形態は、第1実施の形態において、2台の色・幾何補正部11A,11Bと2台の多原色照明環境投射装置12A,12Bとを設け、照明環境画像作成部6からのマルチスペクトルの分光画像を2台の色・幾何補正部11A,11Bで処理して、一方の色・幾何補正部11Aから出力される照明環境画像を一方の多原色照明環境投射装置12Aによりドーム型反射スクリーン13の第1投射領域に投射し、他方の色・幾何補正部11Bから出力される照明環境画像を他方の多原色照明環境投射装置12Bにより第1投射領域と一部オーバーラップする第2投射領域に投射して、ドーム型反射スクリーン13に一枚の照明環境画像を再現するようにしたものである。
【0065】
このため、一方の色・幾何補正部11Aには、対応する一方の多原色照明環境投射装置12Aの特性情報、すなわち幾何特性(投射位置、方向、画角)、シェーディング特性、原色スペクトル、トーンカーブ特性を与え、他方の色・幾何補正部11Bには、対応する他方の多原色照明環境投射装置12Bの特性情報を与えて、2台の多原色照明環境投射装置12A,12Bの幾何特性、色特性の違いを補正し、これによりドーム型反射スクリーン13上に繋ぎ目なく一枚の照明環境画像を投射する。その他の構成および動作は、第1実施の形態と同様である。
【0066】
本実施の形態によれば、2台の多原色照明環境投射装置12A,12Bを用いて照明環境画像を投射するようにしたので、第1実施の形態におけるよりも高解像度で照明環境画像を再現することができる。したがって、被写体14への写り込みも、より高解像度に再現できるので、被写体14をより正確に評価することが可能となる。
【0067】
(第3実施の形態)
図12は、本発明の第3実施の形態に係る照明環境再現システムの要部構成を示す図である。
【0068】
本実施の形態は、第1実施の形態あるいは第2実施の形態において、ドーム型反射スクリーン13にスポット光源81を配置したものである。スポット光源81は、人工太陽光源や、照明光の色温度を例えば3000Kの赤っぽい照明光から9000Kの青っぽい照明光まで指定して調整できる光源を用い、照明光がドーム型反射スクリーン13に当たることなく被写体14を直接照明できるように設置する。なお、スポット光源81は、任意の位置に1個配置するようにしても良いし、太陽の時間位置に対応させて複数個(図12は3個の配置例を示している)配置してもよい。
【0069】
このように、ドーム型反射スクリーン13にスポット光源81を設けて、ドーム型反射スクリーン13による拡散反射光に加えて、スポット光源81からの直接照明光により被写体14を照明するようにすれば、スポット光源81により被写体14を高輝度で照明できるので、例えば晴天の日の屋外照明のようなダイナミックレンジが非常に広い照明環境も正確に再現して被写体14を照明することができる。
【0070】
なお、スポット光源81に代えて、図13に示すように、ドーム型反射スクリーン13に1個または複数個(図13では4個)のミラー82を設けて、ミラー82により多原色照明環境投射装置12からの入射光を反射させて被写体14を照明するように構成することもできる。ここで、ミラー82は、多原色照明環境投射装置12からの入射光の正反射光が被写体14へ向かうように、取り付け角度を調整可能に設置する。
【0071】
この場合も、ミラー82の正反射光は、ドーム型反射スクリーン13による拡散反射光に比べて非常に高輝度となるので、図12の場合と同様に、例えば晴天の日の屋外照明のようなダイナミックレンジが非常に広い照明環境も正確に再現して被写体14を照明することができる。
【0072】
(第4実施の形態)
図14は、本発明の第4実施の形態の要部を示すもので、図14(a)はドーム型反射スクリーンの概略断面図、図14(b)は正面図である。
【0073】
本実施の形態は、上述した実施の形態において、ドーム型反射スクリーン13を被写体14(ここでは、鞄)の後ろ側まで覆うように配置し、さらに被写体14の後ろ側のスクリーン面には背景画像投射装置85により被写体14を観察する際の背景を投射するようにして、被写体14をドーム型反射スクリーン13の外側から観察窓13aを通して観察可能にしたものである。
【0074】
このように、本実施の形態によれば、所望の照明環境下で被写体14を観察する際に、被写体14の後ろの背景も再現することができるので、背景による観察者15の色順応状態も考慮した上で、被写体14の正確な色の見えを再現することが可能となる。また、ドーム型反射スクリーン13に観察窓13aを設け、観察者15がドームの外側から被写体14を観察するようにすることで、観察者15より小さい小型のドーム型反射スクリーンによる照明環境再現システムを構築することができる。なお、ここでは、背景投射用のスクリーンをドーム型による球面としているが、球面でなく平面のスクリーンを使用してもよい。
【0075】
(第5実施の形態)
図15は、本発明の第5実施の形態に係る照明環境再現システムを示すものである。
【0076】
本実施の形態は、照明環境の異なる複数の地点、ここでは2つの地点Aおよび地点Bから、観察者側である照明環境投射手段側において1つの所望の地点を選択可能とし、その選択した地点の照明環境の光分布をネットワーク5を介して取得して、その取得した光分布を上述した実施の形態と同様にしてドーム型反射スクリーン13に投射することにより、選択した地点の照明環境を再現して被写体14を照明するようにしたものである。
【0077】
このため、本実施の形態では、地点Aにおいては、その照明環境の光分布を凸面鏡1Aを介してマルチスペクトル照明環境撮像装置2Aによりマルチスペクトル画像として取得して、その取得したマルチスペクトル画像を照明環境画像作成部6Aで撮像装置2Aの特性情報に基づいて補正して照明環境の分光画像としてネットワーク5に送信可能とする。同様に、地点Bにおいては、その照明環境の光分布を凸面鏡1Bを介してマルチスペクトル照明環境撮像装置2Bによりマルチスペクトル画像として取得して、その取得したマルチスペクトル画像を照明環境画像作成部6Bで撮像装置2Bの特性情報に基づいて補正して照明環境の分光画像としてネットワーク5に送信可能とする。
【0078】
このように、照明環境の異なる複数の地点において、それぞれ照明環境の分光画像を作成可能とし、これら複数の地点から1つの所望の地点を選択してその照明環境の分光画像をネットワーク5を介して取得し、その取得した照明環境の分光画像をドーム型反射スクリーン13に投射するようにすれば、一つのドーム型反射スクリーン13を用いて異なる照明環境を選択的に再現して被写体14を照明できるので、例えば地球の北半球と南半球とに照明環境地点を設定して、夏季および冬季の照明環境を順次再現して被写体14を観察したり、撮影したりすることが可能となる。また、上記照明環境の違いによる被写体14の色の見えの違いを容易に比較検討することもできる。
【0079】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、ドーム型反射スクリーンを用いて被写体を拡散照明するようにしたが、反射スクリーンの形状はドーム型に限らず例えば箱型とすることもできる。また、反射スクリーンに限らず、例えば図16に示すように、箱型の透過スクリーン87を用い、その各面の裏側から多原色照明環境投射装置12により対応する照明環境を投射して透過拡散させることにより被写体14を照明しても同様の効果を得ることができる。さらに、透過スクリーンを用いる場合には、例えば図16に示すように透過スクリーン87に1つまたはそれ以上の穴87aを形成して、多原色照明環境投射装置12からの投射光を拡散することなく被写体14に直接入射させることにより、図13で説明したミラーを使用した場合と同様の効果を得ることもできる。
【0080】
また、多原色照明環境投射装置によりスクリーンに投射する画像の原色数は、6原色に限らず、4原色や5原色、あるいは7原色以上とすることもでき、原色数を増加させるほど、照明環境の分光特性をより細かく再現することができるが、従来の3原色として投射装置のコストダウンを図ることもできる。また、多原色画像は、図9に示した回転フィルタを用いる構成に限らず、例えば、原色の分光特性が異なる複数台のプロジェクタを重ね合わせて投射するようにしてもよい。さらに、多原色照明環境投射装置を構成する空間光変調素子は、DMDに限らず、反射型液晶素子や透過型液晶素子を用いることもできる。
【0081】
さらに、上述した実施の形態では、凸面鏡からの反射光を用いて照明環境のマルチスペクトル画像を取得するようにしたが、凸面鏡に代えて、例えば図17に示すように魚眼レンズ91を用いて照明環境のマルチスペクトル画像を直接取得することもできるし、複数台のマルチスペクトル照明環境撮像装置を用いたり、1つのマルチスペクトル照明環境撮像装置の撮影方向を変更して複数回撮像したりして、全方向の照明環境を複数枚のマルチスペクトル画像に分けて取得することもできる。
【0082】
また、投射装置によりスクリーンに画像を表示して被写体を照明するのに代えて、例えば図18に示すように、LED素子やEL素子等の自発光素子を必要に応じてフィルタと組み合わせて多原色(ここではRGB3原色)表示可能に配列した画像表示パネル93を用いて照明環境表示手段を構成し、その画像表示パネル93に所望の照明環境の光分布を画像として表示して被写体を照明したり、図19に示すように、多原色フィルタ(ここではRGB3原色フィルタ)と組み合わせて多原色表示可能に電子インク(E−ink)を敷き詰めた画像表示パネル95と照明用ライト97とを用いて照明環境表示手段を構成し、画像表示パネル95を照明用ライト97により照明しながら、画像表示パネル95に所望の照明環境の光分布を画像として表示して被写体を照明したりすることもできる。
【0083】
また、被写体は、建造物やその模型、鞄に限らず、例えば、衣服、装飾品、車、家具、オブジェ、絵画、人肌、歯等であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る照明環境再現システムを示す図である。
【図2】図1に示したマルチスペクトル照明環境撮像装置の一例の構成を示す図である。
【図3】図2に示したフィルタターレットに装着されているフィルタの分光透過率を示す図である。
【図4】図1に示した照明環境画像作成部の一例の構成を示すブロック図である。
【図5】マルチスペクトル照明環境撮像装置のトーンカーブ特性の一例を示す図である。
【図6】第1実施の形態において定義する標準的な照明環境画像の幾何形状の一例を説明するための図である。
【図7】図1に示したマルチスペクトル照明環境撮像装置におけるシェーディング特性の一例を示す図である。
【図8】図1に示した色・幾何補正部の一例の構成を示すブロック図である。
【図9】図1に示した多原色照明環境投射装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示した回転フィルタの構成と分光透過率とを示す図である。
【図11】本発明の第2実施の形態に係る照明環境再現システムを示す図である。
【図12】同じく、第3実施の形態に係る照明環境再現システムの要部構成を示す図である。
【図13】第3実施の形態の変形例を示す図である。
【図14】本発明の第4実施の形態を説明するための図である。
【図15】本発明の第5実施の形態に係る照明環境再現システムを示す図である。
【図16】本発明で使用可能なスクリーンの他の例を示す図である。
【図17】本発明の変形例を説明するもので、魚眼レンズを使用して照明環境のマルチスペクトル画像を撮影する場合の構成を示す図である。
【図18】本発明の変形例を説明する画像表示パネルの概略図である。
【図19】同じく、本発明の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B 凸面鏡
2,2A,2B マルチスペクトル照明環境撮像装置
3 データベース
4 記録媒体
5 ネットワーク
6,6A,6B 照明環境画像作成部
11,11A,11B 色・幾何補正部
12,12A,12B 多原色照明環境投射装置
13 ドーム型反射スクリーン
13a 観察窓
14 被写体
15 観察者
16 被写体撮影装置
81 スポット光源
82 ミラー
85 背景画像投射装置
87 透過スクリーン
87a 穴
91 魚眼レンズ
93,95 画像表示パネル
97 照明用ライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者若しくは撮影装置により観察若しくは撮影するための被写体を所望の照明環境で照明する照明環境再現システムであって、
上記照明環境の光分布を画像として投射する照明環境投射装置を有する照明環境投射手段と、
上記被写体の少なくとも上部を含む周囲を覆うように配置され、上記照明環境投射装置により投射された上記照明環境の光分布を拡散反射または拡散透過して上記被写体を照明する拡散スクリーンと、
を有することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、さらに上記観察者または上記撮影装置側の空間の一部を覆うものであり、
上記環境照明投射装置は、少なくとも上記観察者または上記撮影装置側の空間の一部に位置する上記拡散スクリーンへ照明環境の光分布を投射することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項3】
請求項1に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、上記観察者または上記撮影装置が上記被写体を上記拡散スクリーンの外側から観察または撮影するための観察窓を有することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、球面または円筒面を有するドーム型または円筒型からなることを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記拡散スクリーンは、上記照明環境投射装置からの光の一部を拡散しないで正反射若しくは直接通過するための鏡若しくは穴を有することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境投射手段は、上記照明環境投射装置の原色分光特性および上記拡散スクリーンの分光反射率特性若しくは分光透過率特性に基づいて、上記照明環境投射装置に入力する照明環境の画像の色補正を行う画像色補正手段を有することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境投射手段は、上記拡散スクリーンの異なる領域に照明環境の光分布の画像を投射する複数台の照明環境投射装置と、上記複数台の画像投射装置に入力する照明環境の画像の幾何補正を行う幾何補正手段とを有することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境投射装置は、上記照明環境の画像を4つ以上の原色により投射することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記被写体が置かれた地点とは異なる地点における照明環境の光分布を画像として撮像する照明環境撮像装置を有する照明環境撮像手段を備え、
上記照明環境撮像手段で撮像された上記照明環境の光分布を、上記照明環境投射手段により上記拡散スクリーンに画像として投射して、上記被写体を照明することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項10】
請求項9に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境撮像手段は、上記被写体が置かれた地点とは異なる複数の地点におけるそれぞれの照明環境の光分布を画像として撮像する複数の照明環境撮像装置を有し、
上記照明環境撮像手段は、上記照明環境撮像手段から所望の地点の照明環境撮像装置を選択し、その選択した上記照明環境撮像装置で撮像された照明環境の画像をネットワークを介して取得して投射することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項11】
観察者若しくは撮影装置により観察若しくは撮影するための被写体を所望の照明環境で照明する照明環境再現システムであって、
上記被写体の少なくとも上部を含む周囲を覆うように配置され、上記照明環境の光分布を画像として表示して上記被写体を照明する照明環境表示手段を有することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項12】
請求項11に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境表示手段は、さらに上記観察者または上記撮影装置側の空間の一部を覆うことを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項13】
請求項11に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境表示手段は、上記観察者または上記撮影装置が上記被写体を上記照明環境表示手段の外側から観察または撮影するための観察窓を有することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境表示手段は、球面または円筒面を有するドーム型または円筒型からなることを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
上記被写体が置かれた地点とは異なる地点における照明環境の光分布を画像として撮像する照明環境撮像装置を有する照明環境撮像手段を備え、
上記照明環境撮像手段で撮像された上記照明環境の光分布を、上記照明環境表示手段により画像として表示して、上記被写体を照明することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項16】
請求項15に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境撮像手段は、上記被写体が置かれた地点とは異なる複数の地点におけるそれぞれの照明環境の光分布を画像として撮像する複数の照明環境撮像装置を有し、
上記照明環境表示手段は、上記照明環境撮像手段から所望の地点の照明環境撮像装置を選択し、その選択した上記照明環境撮像装置で撮像された照明環境の画像をネットワークを介して取得して表示することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項17】
請求項9,10,15または16に記載の照明環境再現システムにおいて、
上記照明環境撮像装置は、照明環境の光分布を4バンド以上のマルチスペクトル画像として撮像することを特徴とする照明環境再現システム。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか一つに記載の照明環境再現システムにおいて、
さらに、上記被写体を直接照明するスポット照明手段を有することを特徴とする照明環境再現システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−42318(P2007−42318A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222784(P2005−222784)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】