説明

照明装置、及びそれを備えた情報機器、車載用情報機器

【課題】製品を薄型化しつつ、部品点数を少なくし、かつ、すべての点照明部で均一に明るく照明させることができる照明装置、及びそれを備えた情報機器、車載用情報機器を提供する。
【解決手段】複数の露光部2dよりも少ない数の光源3とパネル4との間に、光源に最も近い位置(光源の直上)のパネル側にV字形の切欠2bを有するプリズム2を備えるようにしたので、製品を薄型化して露光部と光源との距離が近くなってしまった場合であっても、部品点数を少なくし、かつ、すべての露光部で均一に明るく照明させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報機器の指標を示す照明装置、及びそれを備えた情報機器、車載用情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載のオーディオ、ナビ等の車載用情報機器や、パーソナルコンピュータや家庭用のリモコン等の情報機器において、操作部等を示す指標として、その操作部の表示位置や操作位置、操作方向などに対応させて、点照明部(露光部)を設ける場合がある。
この際、操作部の表示位置や操作位置、操作方向などに対応させた露光部を照光する場合、各露光部の直下に光源を設けて照光させることが最も容易であり、一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、パーソナルコンピュータの筐体のカバーに配置された複数の操作ボタン表示部を照光する場合に、各操作ボタン表示部の直下にLED光源を1つずつ設けたものが開示されている。また、特許文献2には、車載用電子機器のダイアル操作部に配置された複数の操作表示位置を照光する場合に、各操作表示位置の直下にLED光源を1つずつ設けたものが開示されている。
このように、複数の操作ボタン表示部や操作表示位置等の点照明部(露光部)を照光する場合には、それら複数の操作ボタン表示部や操作表示位置等と同じ個数分の光源が必要となる。
【0004】
ここで、部品点数削減のために、点照明部(露光部)の数よりも少ない光源で照光させることが考えられる。例えば、2箇所の点照明部(露光部)を1個のLED光源で照光させる場合、LED光源の個数が半分しか必要でなくなるため、部品点数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−245359号公報
【特許文献2】特開2008−166108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように部品点数を少なくして点照明部(露光部)の数よりも少ない光源で照光させる場合、製品の薄型化などにより点照明部(露光部)とLED光源との間(LED実装基板間)の距離を縮めようとした場合など、点照明部(露光部)と光源との距離によっては、すべての点照明部(露光部)で均一に明るく照明させることができない、という課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、製品を薄型化しつつ、部品点数を少なくし、かつ、すべての点照明部(露光部)で均一に明るく照明させることができる照明装置、及びそれを備えた情報機器、車載用情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明は、複数の露光部を有する露光面を備えた照明装置において、前記複数の露光部に対応する箇所以外は光を透過しないパネルと、前記パネルに対して前記露光面とは反対側に配置され、前記複数の露光部よりも少ない数の光源と、前記パネルと前記光源との間に配置され、前記光源に最も近い位置の前記パネル側に、前記光源からの光を前記露光部へ反射する反射面を備えた切欠を有するプリズムとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の照明装置によれば、複数の露光部よりも少ない数の光源とパネルとの間に、光源に最も近い位置(光源の直上)のパネル側に、光源からの光を露光部へ反射する反射面を備えた切欠(1つの光源が露光する露光部が2箇所の場合には、V字形の切欠)を有するプリズムを備えるようにしたので、製品を薄型化して露光部と光源との距離が近くなってしまった場合であっても、部品点数を少なくし、かつ、すべての露光部で均一に明るく照明させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】点照明部(露光部)の数よりも少ない光源で照光させた場合の、点照明部(露光部)と光源との距離の関係を説明する図である。
【図2】この発明の実施の形態1における照明装置1の概略構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1における照明装置1の概略断面図である。
【図4】LED光源3の一般的な光の指向特性を示す図である。
【図5】この発明のプリズム2とLED光源3に位置ズレがある場合の光の指向特性を示す図(半円状または半球状の突形状2eがない場合)である。
【図6】この発明のプリズム2とLED光源3に位置ズレがある場合の光の指向特性を示す図(半円状または半球状の突形状2eがある場合)である。
【図7】この発明のプリズムの突起2fについて説明する概略断面図である。
【図8】この発明のプリズムのノコギリ刃形状の反射切欠2cについて説明する概略断面図である。
【図9】この発明の実施の形態2における照明装置を備えた情報機器の操作部を示す概略外観図である。
【図10】この発明の実施の形態2における照明装置11の概略断面図である。
【図11】この発明の実施の形態2における照明装置11においてパネル14を取り外した状態の斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態2におけるリング状プリズム12の斜視図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、点照明部(露光部)の数よりも少ない光源で照光させた場合の、点照明部(露光部)と光源との距離の関係を説明する図である。ここでは、2箇所の露光部を1個のLED光源で照光させる場合について説明する。
図1に示す照明装置は、2箇所の露光部2dに対応する箇所以外は光を透過しないパネル4と1個のLED光源3を備え、2箇所の露光部2dの中間に配置された1個のLED光源3で、その2箇所の露光部2dを照光させるものである。この際、図1(a)に示すように、露光部2dとLED光源3との間にある程度の距離がある場合には、LED光源3からの光が、露光部2dから正面(図1の上方向)に近い角度で(角度θが90度に近い状態で)露光するが、図1(b)に示すように、露光部2dとLED光源3との距離を縮めた場合には、LED光源3からの光が、露光部2dからかなり斜め方向に(角度θが小さい状態で)しか露光しない。このため、正面視状態ではあまり明るく照明されず、また、斜視状態においては、2箇所の露光部2dからの光が均一には照明されない。この発明は、上記のような問題を解決するためのものである。
【0012】
図2は、この発明の実施の形態1における照明装置1の概略構成を示す図である。この照明装置1は、複数の露光部2dに対応する箇所以外は光を透過しないパネル4と、複数の露光部2dの数(この例では2個)よりも少ない数のLED光源3(この例では1個)を備え、2箇所の露光部2dの中間に配置された1個のLED光源3で、その2箇所の露光部2dを照光させるものである。なお、ここでは説明のために、露光部2dを2箇所、LED光源3を1個という例を図示しているが、例えば特許文献1に示すように、露光部2dが6箇所である場合には、LED光源3も3個(2箇所の露光部2dに対して1つずつ)備えるようにすればよい。
【0013】
図3は、実施の形態1における照明装置1の概略断面を示す図である。この照明装置1において、複数の露光部2dを有する面(図3のパネル4上面)を、露光面と呼ぶ。そして、図3に示すとおり、LED光源3は、パネル4に対して露光面とは反対側に配置されており、パネル4とLED光源3との間に、プリズム2を備えている。なお、LED光源3は、基板5上に設置されている。また、図3(a)〜図3(c)は、プリズム2の形状が少しずつ異なるものであり、図3(a)は、図2のA−A断面図である。
【0014】
ここで、プリズム2の構造及び導光について、詳細に説明する。プリズム2は、LED光源3に最も近い位置(LED光源3の直上)のパネル4側に、光源3からの光を露光部2d(図3の例では左右2箇所の露光部2d)へ反射する反射面を備えた切欠として、V字形の切欠2bを有しており、LED光源3からプリズム2内部へ透過した光は、そのV字形の切欠2bにより反射されて屈折し、プリズム2内で反射を繰り返し、各露光部2dへ導光される。このように、パネル4側にV字形の切欠2bを有するプリズム2を備えたことにより、製品を薄型化して露光部と光源との距離が近くなった場合であっても、1個のLED光源3により、2箇所の露光部2dを均一に明るく照明させることができる。なお、このV字形形状は、U字形の半円形状でも同様な効果が得られるものである。
【0015】
また、プリズム2は、複数の露光部2dに対応する箇所においてパネル4と嵌合する複数の突起2fを備えている。この突起2fは、複数の露光部2dと同じ数だけ備えられている。そして、光源3からプリズム2内へ透過して、V字形の切欠2bにより反射された光は、プリズム2内で反射を繰り返し、突起2fを通過して、露光部2dへ導光されて露光する。すなわち、この突起2fの表面(パネル4と嵌合して露光面に現れる面)が露光部2dを構成する。そして、プリズム2が、この突起2fを備えることにより、プリズム2とパネル4との位置決めが容易になり、組立性もよく、また、露光部2dへの光が効率的に届く、という効果がある。なお、この発明においては、突起2fの突起量とパネル4の厚みは等しくなっているが、これは必ずしも一致していなくてもよい。
【0016】
図3(b)に示す照明装置1では、図3(a)に示すプリズム2の構造に加えて、プリズム2が、LED光源3に最も近い位置である光源側(直上部)が緩やかな円弧形状2aとなっている。このように、LED光源3に最も近い位置である光源側(直上部)を緩やかな円弧形状2aにすることにより、光源3からの光の入射角を緩やかにし、プリズム2表面での光の反射を抑え、光源3からの光をプリズム2内部へ透過しやすくすることができる。
【0017】
さらに、図3(c)に示す照明装置1では、図3(b)に示すプリズム2の構造に加えて、プリズム2が、光源3からの光がV字形の切欠2bにより屈折した光を、複数の露光部2dにおいて露光させるためのノコギリ刃形状の反射切欠2cを、複数の露光部2dのほぼ直下に1つずつ、すなわち、複数の露光部2dと同じ数だけ備えている。この場合には、光源3からプリズム2内へ透過して、V字形の切欠2bにより反射された光は、ノコギリ刃形状の反射切欠2cにより再度反射され、突起2fを通過して、露光部2dへ導光されて露光する。このように、ノコギリ刃形状の反射切欠2cを備えることにより、光源3からの光をより効率よく各露光部2dへ導光することができる。
【0018】
プリズム2のV字形の切欠2bは、LED光源3からプリズム2内部へ透過した光を2点の露光部2dへ分光する役割も果たしている。しかし、LED光源3が、基板5における実装ズレや、基板5とパネル4の組み付けガタなどにより、プリズム2のV字形の切欠2bの谷底部と位置ズレした場合には、LED光源3からの光を2点の露光部2dに均等に分光することができず、2点の露光部2d間に輝度差を発生させることになる。
そこで、プリズム2のV字形の切欠2bの谷底部に、半円状または半球状の突形状2eを設けることにより、LED光源3との位置ズレに対して輝度差を軽減することが可能となる。
【0019】
この半円状または半球状の突形状2eについて、図4〜図6を参照しながら詳細に説明する。図4は、LED光源3の一般的な光の指向特性を示す図である。これは、光源3に対して0度方向(直上)の光度(光の強度)を1.0とした場合に、45度方向では約0.7の光度、60度方向では0.5の光度であることを示しており、LED光源3は一般的に直上方向の光度が強い。図4は、プリズム2とLED光源3の位置ズレがない場合を示しており、この場合には、半円状または半球状の突形状2eの有無にかかわらず、LED光源3から出た光は左右に均等に分光される。
【0020】
次に、図5及び図6は、プリズム2とLED光源3に位置ズレがある場合(プリズム2のV字形の切欠2bが光源3の直上ではなく、ずれて配置されている場合)の光の指向特性を示す図であり、図5は、プリズム2のV字形の切欠2bの谷底部に半円状または半球状の突形状2eがない場合、図6は、プリズム2のV字形の切欠2bの谷底部に半円状または半球状の突形状2eがある場合を示している。
【0021】
図5に示すように、光源3がプリズム2のV字形の切欠2bよりも右方向に少しだけずれた状態で配置されてしまった場合、光度の強い直上方向への光が右方向へ分光され、左右2点の露光部2d間で輝度差が生じてしまう。特に、LED光源3に対して−10度〜10度の範囲(直上付近)の光度は強いので、その強い光がずれて一方の露光部2dの方向に分光されると、左右の露光部2d間での輝度差が大きくなる。そこで、このようにずれた場合の輝度差を軽減するために、図6に示すように、プリズム2のV字形の切欠2bの谷底部に半円状または半球状の突形状2eを設けている。
【0022】
図6は、図5に示すものと同じ量だけ、光源3がプリズム2のV字形の切欠2bよりも右方向にずれた状態で配置された場合を示している。しかし、この図6では、V字形の切欠2bの谷底部にある半円状または半球状の突形状2eがあることにより、図5では右方向へ分光されていた−10度から0度までの光を、−5度から0度まで抑制することができ、また、−10度から−5度までの光については、大部分がパネル4側へ通過するとともに、一部を半円状または半球状の突形状2eにより反射させて左方向へ導くことができるため、左右の露光部2d間の輝度差の改善が可能である。すなわち、半円状または半球状の突形状2eにより、光源3の直上付近への光度の強い光の大部分を最初からプリズム2の外部(パネル4側)へ逃がしてしまうことにより、プリズム2と光源3との位置ズレが起こった場合にも、左右の露光部2d間に輝度差を生じにくくすることができるのである。
【0023】
ここで、プリズム2のV字形の切欠2bにより分光、反射された光のその後の導光について説明する。図3(c)に示すように、各露光部2dのほぼ直下にあるノコギリ刃形状の反射切欠2cは、V字形の切欠2bにより分光、反射された光を露光部2dへ再度反射させて露光させることが主な役割である。しかし、照明装置1を斜視状態で見ている場合、どちら方向から見ているか(視点の方向)により、LED光源3と露光部2dとの位置関係によって、各露光部2dからの光の出方に違いが発生し、輝度差を生む原因となる。そこで、パネル4の厚み(この例では、突起2fの突起量と同じ)及びノコギリ刃形状の反射切欠2cにより、斜視状態においても輝度差を抑制できるようにしている。
【0024】
このパネル4の厚み及びノコギリ刃形状の反射切欠2cの役割について、図7及び図8を参照しながら詳細に説明する。なお、ここでは図中の左の露光部2dに着目して説明する。図7は、プリズム2の突起2fが嵌合するパネル4の厚みについて説明する概略断面図である。図7(a)に示すように、パネル4の厚み(この例では、突起2fの突起量(厚み)と同じ)が少ない場合、135度方向(図の左斜め上方向)にLED光源3からの直接の光が左の露光部2dから露光するため、斜視状態でその方向から見た場合に強い光となる。そこで、図7(b)に示すように、パネル4について、135度方向にLED光源3からの直接の光が左の露光部2dから露光することのない厚みを設けることにより、斜視状態における2点の露光部2dの輝度差を抑制することができる。
【0025】
また、図8は、プリズム2のノコギリ刃形状の反射切欠2cについて説明する概略断面図である。図8(a)に示すように、ノコギリ刃形状の反射切欠2cの先端(角部)周辺で反射した光は、左の露光部2dより45度方向(図の右斜め上方向)に露光し、斜視状態でその方向から見た場合に強い光となる。そこで、図8(b)に示すように、ノコギリ刃形状の反射切欠2cの先端(角部)を円弧状にした(先端(角部)にRをつけた)ことにより、すなわち、ノコギリ刃形状の反射切欠2cの反射面が45度方向から見たときに直接見えないようにすることにより、左の露光部2dより45度方向へ露光する光を抑制することができる。
【0026】
つまり、図7及び図8で説明したように、パネル4の厚み(この例では、プリズム2の突起2fの突起量と同じ)をLED光源3からの直接の光が露光部2dから露光することがない厚みにしたり、プリズム2のノコギリ刃形状の反射切欠2cの先端を円弧状にすることにより、45度及び135度の方向へ露光する強い光を抑制し、露光部2dから正面方向に露光するように光を導光させることで、斜視状態においても2点の露光部2d間の輝度差を抑制することができる。
【0027】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、複数の露光部よりも少ない数の光源とパネルとの間に、光源に最も近い位置(光源の直上)のパネル側にV字形の切欠を有するプリズムを備えるようにしたので、製品を薄型化して露光部と光源との距離が近くなってしまった場合であっても、部品点数を少なくし、かつ、すべての露光部で均一に明るく照明させることができる。また、プリズムが、光源に最も近い位置である光源側(直上部)が緩やかな円弧形状であることにより、光源からの光の入射角を緩やかにし、プリズム表面での光の反射を抑え、光源からの光をプリズム内部へ透過しやすくすることができる。さらに、プリズムのV字形の切欠の谷底部に突形状を設けることにより、光源とプリズムとの位置ズレを起こした場合であっても、輝度差を軽減して、すべての露光部で均一に照明させることができる。また、プリズムがパネルと嵌合する突起を備えることにより、プリズムとパネルとの位置決めが容易になり、組立性もよく、また、露光部への光が効率的に届く、という効果もある。さらに、パネルを、光源からの直接の光が露光部から露光することがない厚みにしたり、プリズムのノコギリ刃形状の反射切欠の先端(角部)を円弧状にしたことにより、斜視状態においても露光部間の輝度差を抑制することができる。
【0028】
実施の形態2.
図9は、この発明の実施の形態2における照明装置を備えた情報機器の操作部を示す概略外観図であり、図9(a)は斜視図、図9(b)は正面図である。図9に示すように、照明装置11(図10参照)を備えた情報機器の操作部は、上下、左右の十字方向に操作可能なジョイ操作部10を中心に、その操作方向である上下左右4点の操作位置それぞれに対応させた、合計4点の露光部12dを有している。そして、それら4個の露光部12dに対応する箇所以外は光を透過しないパネル14と、4個の露光部12dよりも少ない2個のLED光源13を、1組の隣り合う2つの露光部12dの中間位置、すなわち、3時と6時の方向にある露光部12dの中間位置(4時半方向)と、もう1組の隣り合う2つの露光部12dの中間位置、すなわち、9時と12時の方向にある露光部12dの中間位置(10時半方向)とにそれぞれ備え、1個のLED光源13で2箇所の露光部12dを照光させるものである。
【0029】
図10は、この実施の形態2における照明装置11の概略断面図(図9(b)のA−A断面図)である。この図10は、符号が異なるのみで図3(c)と同じ構成であり、この照明装置11においても、4個の露光部12dを有する面(図10のパネル14の上面)を、露光面と呼ぶ。そして、LED光源13は、パネル14に対して露光面とは反対側に配置されており、パネル14とLED光源13との間であり、かつ、ジョイ操作部10の周囲に配置されたリング状プリズム12を備えている。なお、LED光源13は、基板15上に設置されている。
なお、この実施の形態2においても、照明装置11の概略断面図が、図3(a)または図3(b)と同じ構成であるものも考えられるが、符号が異なるのみで実施の形態1と同じであるので、図示を省略する。
【0030】
図11は、この発明の実施の形態2における照明装置11において、パネル14を取り外した状態の斜視図である。図11(a)は、リング状プリズム12とLED光源13及びジョイ操作部10を示す斜視図、図11(b)は、リング状プリズム12とLED光源13のみを示す斜視図である。
また、図12は、リング状プリズム12の斜視図及び側面図である。図12(a)は、リング状プリズム12の斜視図、図12(b)は、リング状プリズム12を裏面から見た斜視図、図12(c)は、リング状プリズム12を4時半方向から見た側面図、図12(d)は、リング状プリズム12を6時方向から見た側面図である。
【0031】
ここで、リング状プリズム12の導光については、実施の形態1のプリズム2と同様であるが、構造については異なるため、その構造及び導光について図10〜図12を参照しながら詳細に説明する。リング状プリズム12は、2つのLED光源13に最も近い位置(LED光源13の直上、すなわち、4時半方向と10時半方向)のパネル14側に、光源13からの光を露光部12dへ反射する反射面を備えた切欠として、V字形の切欠12bを有しており、LED光源13からリング状プリズム12内部へ透過した光は、そのV字形の切欠12bにより反射されて屈折し、そのLED光源13が照光する2つの露光部12dへ導光される。具体的には、4時半方向に位置する光源13からリング状プリズム12内へ透過した光は、V字形の切欠12bにより3時方向と6時方向の2つの露光部12dへ導光され、10時半方向に位置する光源13からリング状プリズム12内へ透過した光は、V字形の切欠12bにより9時方向と12時方向の2つの露光部12dへ導光される。このように、パネル14側にV字形の切欠12bを有するリング状プリズム12を備えたことにより、製品を薄型化して露光部と光源との距離が近くなった場合であっても、1個のLED光源13により、2箇所の露光部12dを均一に明るく照明させることができる。なお、このV字形形状は、U字形の半円形状でも同様な効果が得られるものである。
【0032】
また、リング状プリズム12は、複数の露光部12dに対応する箇所においてパネル14と嵌合する複数の突起12fを備えている。この突起12fは、複数の露光部12dと同じ数だけ備えられている。そして、光源13からリング状プリズム12内へ透過して、V字形の切欠12bにより反射された光は、リング状プリズム2内で反射を繰り返し、突起12fを通過して、露光部12dへ導光されて露光する。すなわち、突起12fの表面(パネル14と嵌合して露光面に現れる面)が露光部12dを構成する。そして、リング状プリズム12が、この突起12fを備えることにより、リング状プリズム12とパネル14との位置決めが容易になり、組立性もよく、また、露光部12dへの光が効率的に届く、という効果がある。なお、この発明においては、突起12fの突起量とパネル14の厚みは等しくなっているが、これは必ずしも一致していなくてもよい。
【0033】
また、リング状プリズム12は、4時半方向と10時半方向に配置されたLED光源13に最も近い位置である光源側(直上部)が緩やかな円弧形状12aとなっている。このように、LED光源13に最も近い位置である光源側(直上部)を緩やかな円弧形状12aとすることにより、光源13からの光の入射角を緩やかにし、リング状プリズム12表面での光の反射を抑え、光源13からの光をリング状プリズム12内部へ透過しやすくすることができる。
【0034】
さらに、リング状プリズム12は、光源13からの光がV字形の切欠12bにより屈折した光を、複数の露光部12dにおいて露光させるためのノコギリ刃形状の反射切欠12cを、各露光部12dのほぼ直下に1つずつ、すなわち、複数の露光部12dと同じ数だけ(この例では4個)備えている。この場合には、光源13からリング状プリズム12内へ透過して、V字形の切欠12bにより反射された光は、ノコギリ刃形状の反射切欠12cにより再度反射され、突起12fを通過して、露光部12dへ導光されて露光する。このように、ノコギリ刃形状の反射切欠12cを備えることにより、光源13からの光をより効率よく各露光部12dへ導光することができる。
【0035】
リング状プリズム12のV字形の切欠12bは、LED光源13からリング状プリズム12内部へ透過した光を2点の露光部2dへ分光する役割も果たしている。しかし、LED光源13が、基板15における実装ズレや、基板15とパネル14の組み付けガタなどにより、リング状プリズム12のV字形の切欠12bの谷底部と位置ズレした場合には、LED光源13からの光を2点の露光部12dに均等に分光することができず、2点の露光部12d間に輝度差を発生させることになる。
そこで、リング状プリズム12のV字形の切欠12bの谷底部に、半円状または半球状の突形状12eを設けることにより、LED光源3との位置ズレに対して輝度差を軽減することが可能となる。この半円状または半球状の突形状12eについては、実施の形態1における照明装置1の半円状または半球状の突形状2eと同じであるため、説明を省略する。
【0036】
ここで、リング状プリズム12のV字形の切欠12bにより分光、反射された光のその後の導光について説明する。図10に示すように、各露光部12dのほぼ直下にあるノコギリ刃形状の反射切欠12cは、V字形の切欠12bにより分光、反射された光を露光部12dへ再度反射させて露光させることが主な役割である。しかし、各露光部12dがジョイ操作部10を挟んで向かい合って配置されている照明装置11を斜視状態で見ている場合、どちら方向から見ているか(視点の方向)により、LED光源13と露光部12dとの位置関係によって、各露光部12dからの光の出方に違いが発生し、輝度差を生む原因となる。そこで、パネル14の厚み(この例では、突起12fの突起量と同じ)及びノコギリ刃形状の反射切欠12cにより、斜視状態においても輝度差を抑制できるようにしている。
【0037】
このパネル14の厚み及びノコギリ刃形状の反射切欠12cの役割については、実施の形態1における照明装置1のパネル4及びノコギリ刃形状の反射切欠き2cと同じであるため、説明を省略するが、実施の形態1と同様に、このパネル14の厚み(この例では、リング状プリズム12の突起12fの突起量と同じ)をLED光源13からの直接の光が露光部12dから露光することがない厚みにしたり、リング状のプリズム12のノコギリ刃形状の反射切欠12cの先端(角部)を円弧状にすることにより、45度及び135度の方向へ露光する強い光を抑制し、露光部2dから正面方向に露光するように光を導光させることで、斜視状態においても2点の露光部12d間の輝度差を抑制することができる。
【0038】
なお、この実施の形態2では、ジョイ操作部10の周囲に一体型に形成されたリング状プリズム12を配置したことにより、操作方向に対する露光部12dの位置が正確になり、各露光部12dにおける露光量が安定するとともに、このリング状プリズム12のパネル14との位置決めがさらに容易かつ確実になり、一段と組立性のよいものとすることができる。
【0039】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、複数の露光部よりも少ない数の光源とパネルとの間に、光源に最も近い位置(光源の直上)のパネル側にV字形の切欠を有するリング状プリズムを備えるようにしたので、製品を薄型化して露光部と光源との距離が近くなってしまった場合であっても、部品点数を少なくし、かつ、すべての露光部で均一に明るく照明させることができる。また、リング状プリズムが、光源に最も近い位置である光源側(直上部)が緩やかな円弧形状であることにより、光源からの光の入射角を緩やかにし、リング状プリズム表面での光の反射を抑え、光源からの光をリング状プリズム内部へ透過しやすくすることができる。さらに、リング状プリズムのV字形の切欠の谷底部に突形状を設けることにより、光源とリング状プリズムとの位置ズレを起こした場合であっても、輝度差を軽減して、すべての露光部で均一に照明させることができる。また、リング状プリズムがパネルと嵌合する突起を備えることにより、リング状プリズムとパネルとの位置決めが容易になり、組立性もよく、また、露光部への光が効率的に届く、という効果もある。さらに、パネルを、光源からの直接の光が露光部から露光することがない厚みにしたり、リング状プリズムのノコギリ刃形状の反射切欠の先端(角部)を円弧状にしたことにより、斜視状態においても露光部間の輝度差を抑制することができる。また、1つの操作部の周囲に一体型に形成されたリング状プリズムを配置したことにより、操作方向に対する露光部の位置が正確になり、各露光部12dにおける露光量が安定するとともに、このリング状プリズムのパネルとの位置決めがさらに容易かつ確実になり、一段と組立性のよいものとすることができる。
【0040】
なお、上記実施の形態1においては、1個のLED光源が2箇所の露光部を照光する場合を例に挙げて説明したが、LED光源を、複数のすべての露光部から等距離にある位置、すなわち、各露光部を通る外接円の中心である外心位置に配置することにより、1個のLED光源が3箇所以上の露光部を照光する場合にも適用できる。また、上記実施の形態では、1個のLED光源が2箇所の露光部を照光する場合を例に挙げて説明したため、プリズムが光源に最も近い位置(光源の直上)のパネル側に備える、光源からの光を露光部へ反射する反射面を備えた切欠は、2個の反射面を備えたV字形の切欠であったが、例えば1個のLED光源が3箇所の露光部を照光する場合には、その3箇所の露光部の方向へ光源からの光が導光されるよう、3個の反射面を備えた切欠にすればよい。
【0041】
また、この発明の実施の形態1における照明装置1や実施の形態2における照明装置11は、パーソナルコンピュータ、家庭用のリモコン、携帯電話機、ゲーム機等の様々な情報機器や、車載のオーディオやナビ等の車載用情報機器などに搭載することが考えられる。特に、近年の情報機器や車載用情報機器は、製品が薄型化されており、また、車載用情報機器においては斜視状態で操作することが多いため、すべての露光部で均一に照明されることが望まれているが、この発明における照明装置を備えることにより、それら情報機器の操作部等を示す指標である複数の露光部を均一に明るく照明させることができるという効果がある。
【0042】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1,11 照明装置、2,12 プリズム、2a,12a プリズムの緩やかな円弧形状、2b,12b プリズムのV字形の切欠、2c,12c プリズムのノコギリ刃形状の反射切欠、2d,12d プリズムの露光部、2e,12e プリズムのV字形の切欠(2b,12b)の谷底部の半円状または半球状の突形状、2f,12f プリズムの突起、3、13 光源、4,14 パネル、5,15 基板、10 ジョイ操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の露光部を有する露光面を備えた照明装置において、
前記複数の露光部に対応する箇所以外は光を透過しないパネルと、
前記パネルに対して前記露光面とは反対側に配置され、前記複数の露光部よりも少ない数の光源と、
前記パネルと前記光源との間に配置され、前記光源に最も近い位置の前記パネル側に、前記光源からの光を前記露光部へ反射する反射面を備えた切欠を有するプリズムと
を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記プリズムは、前記光源に最も近い位置の前記光源側が緩やかな円弧形状であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記プリズムは、前記光源からの光を前記露光部へ反射する反射面を備えた切欠の谷底部に突形状を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記プリズムは、前記複数の露光部に対応する箇所において前記パネルと嵌合する複数の突起を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項5】
前記パネルは、前記光源からの直接の光が前記露光部から露光することがない厚みであることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項6】
前記プリズムは、前記光源からの光を前記露光部へ反射する反射面を備えた切欠により屈折した光を、前記複数の露光部において露光させる前記複数の露光部と同じ数の反射切欠を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項7】
前記プリズムに備えられた複数の反射切欠の先端を円弧状にしたことを特徴とする請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源は、当該光源が照光する前記複数の露光部の外心位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項9】
前記プリズムは、リング状プリズムであることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の照明装置を備えたことを特徴とする情報機器。
【請求項11】
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の照明装置を備えたことを特徴とする車載用情報機器。
【請求項12】
4つの露光部を有する露光面を備え、前記4つの露光部に対応する箇所以外は光を透過しないパネルと、
前記パネルに対して前記露光面とは反対側に配置された2つの光源と、
前記4つの露光部の中心位置に配置された操作部と、
前記パネルと前記光源との間であり、かつ、前記操作部の周囲に配置されたリング状プリズムと
を備え、
前記パネルは、
前記光源からの直接の光が前記露光部から露光することがない厚みであり、
前記リング状プリズムは、
前記4つの露光部に対応する箇所において前記パネルと嵌合する4つの突起を備え、
前記4つの突起のうちそれぞれ隣り合う2つの突起の中間位置であり、かつ、前記2つの光源に最も近い位置にそれぞれ配置された2つのV字形の切欠を備え、当該V字形の切欠の谷底部には突形状を備えており、
前記光源からの光が前記V字形の切欠によって屈折した光を、前記4つの露光部において露光させる4つの反射切欠を備え、当該反射切欠の先端が円弧状である
ことを特徴とする車載用情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−248471(P2012−248471A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120538(P2011−120538)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】