説明

照明装置、投影型表示装置および直視型表示装置

【課題】照明光の輝度むらを低減することが可能な照明装置、ならびにそのような照明装置を用いた投影型表示装置および直視型表示装置を提供する。
【解決手段】照明光学系は、固体発光素子を含む1または複数の光源と、固体発光素子側から入射した光が通過して出射する光学部材とを備え、1または複数の光源全体として、チップの少なくとも1つがレーザダイオードとなっている。光学部材は、固体発光素子側からの光が入射するフライアイレンズ40Aと、フライアイレンズ40A側からの光が入射するフライアイレンズ40Bとからなり、固体発光素子側から入射した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータ40を備えている。フライアイレンズ40Aの入射面における入射光の輝度分布Lindの形状の長軸方向が、フライアイレンズ40Aにおける各セル41の配列方向と異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザダイオード(LD)などの固体発光素子を用いた照明装置、ならびにそれを備えた投影型表示装置および直視型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスだけでなく、家庭でも、スクリーンに映像を投影するプロジェクタが広く利用されている。プロジェクタは、光源からの光をライトバルブで変調することにより画像光を生成し、スクリーンに投射して表示を行うものである(例えば、特許文献1参照)。最近では、手のひらサイズの超小型プロジェクタや、超小型プロジェクタ内蔵の携帯電話機などが普及し始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−134324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロジェクタに用いられる光源としては、高輝度の放電ランプが主流である。しかし、放電ランプでは、サイズが比較的大きく、消費電力も大きいことから、放電ランプに代わる光源として、近年では、発光ダイオード(LED)や、レーザダイオード(LD)、有機EL(OLED)などの固体発光素子が注目されている。これらの固体発光素子は、サイズや消費電力だけでなく、高信頼性という点でも、放電ランプよりも有利である。
【0005】
ここで、このようなプロジェクタでは一般に、フライアイレンズ等を含むインテグレータを用いて、照明光の輝度むらの低減(照明光の輝度の均一化)を図っている。しかしながら、このようなインテグレータを用いたとしても、場合によっては照明光の輝度むらを低減しきれない(輝度分布が一様にはならない)ことがあり得るため、更なる改善が求められる。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、照明光の輝度むらを低減することが可能な照明装置、ならびにそのような照明装置を用いた投影型表示装置および直視型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発する固体発光素子を含む1または複数の光源と、固体発光素子側から入射した光が通過して出射する光学部材とを備えたものである。固体発光素子は、単一もしくは複数の波長帯の光を発する単一のチップ、または同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップからなり、上記1または複数の光源全体として、チップの少なくとも1つがレーザダイオードとなっている。上記光学部材は、固体発光素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、この第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、固体発光素子側から入射した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータを備えている。第1および第2のフライアイレンズはそれぞれ、複数のセルを有し、第1のフライアイレンズの入射面における入射光の輝度分布形状の長軸方向が、第1のフライアイレンズにおける各セルの配列方向と異なっている。
【0008】
本発明の投射型表示装置は、照明光学系と、入力された映像信号に基づいて照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系とを備えたものである。この投射型表示装置に搭載された照明光学系は、上記本発明の照明装置と同一の構成要素を有している。
【0009】
本発明の直視型表示装置は、照明光学系と、入力された映像信号に基づいて照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と、投影光学系から投射された画像光を映し出す透過型スクリーンとを備えたものである。この直視型表示装置に搭載された照明光学系は、上記本発明の照明装置と同一の構成要素を有している。
【0010】
本発明の照明装置、投射型表示装置および直視型表示装置では、第1のフライアイレンズの入射面における入射光の輝度分布形状の長軸方向が、この第1のフライアイレンズにおける各セルの配列方向と異なっている。これにより、レーザダイオードからなるチップを含む光源から出射されるレーザ光が、急峻な輝度分布形状を示す場合(例えば、ファーフィールドパターン(FFP)の形状が円形(等方的)ではない場合(例えば楕円形の場合))であっても、インテグレータにおいて入射光の輝度むらが低減し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明装置、投射型表示装置および直視型表示装置によれば、第1のフライアイレンズの入射面における入射光の輝度分布形状の長軸方向が、この第1のフライアイレンズにおける各セルの配列方向と異なっているようにしたので、インテグレータにおいて入射光の輝度むらを低減し易くすることができる。よって、照明光の輝度むらを低減することが可能となり、表示画質を向上させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図2】図1のプロジェクタ内の光路の一例を示す図である。
【図3】図1の光源においてチップが上面発光型の素子の場合の上面構成および断面構成の一例を示す図である。
【図4】図1の光源においてチップが上面発光型の素子の場合の上面構成および断面構成の他の例を示す図である。
【図5】図1の光源においてチップが上面発光型の素子の場合の上面構成および断面構成のその他の例を示す図である。
【図6】図1の光源においてチップが上面発光型の素子の場合の発光スポットの一例を示す図である。
【図7】図1の光源においてチップが端面発光型の素子の場合の断面構成および固体発光素子を光出射面側から見たときの構成の一例を示す図である。
【図8】図1の光源においてチップが端面発光型の素子の場合の断面構成および固体発光素子を光出射面側から見たときの構成の他の例を示す図である。
【図9】図1の光源においてチップが端面発光型の素子の場合の断面構成および固体発光素子を光出射面側から見たときの構成のその他の例を示す図である。
【図10】図7の光源をXY平面で90度回転させたときの構成例を示す図である。
【図11】図8の光源をXY平面で90度回転させたときの構成例を示す図である。
【図12】図9の光源をXY平面で90度回転させたときの構成例を示す図である。
【図13】図1のフライアイレンズの概略構成を表す図である。
【図14】図1の光源における発光スポットおよびFFPの構成例を示す模式図である。
【図15】図1の前段のフライアイレンズへ入射する入射光の輝度分布の例を示す模式図である。
【図16】図1の照明光学系の要部における詳細構成例を示す斜視図である。
【図17】図1の光源における発光スポットおよびFFPの他の構成例を示す模式図である。
【図18】図1のプロジェクタにおいて後段のフライアイレンズに現れる光源像の一例を表す模式図である。
【図19】図1の照明範囲のサイズについて説明するための模式図である。
【図20】比較例に係るプロジェクタにおける前段のフライアイレンズへ入射する入射光の輝度分布の例を示す模式図である。
【図21】図20に示した輝度分布の詳細について説明するための特性図である。
【図22】比較例に係るプロジェクタにおいて生じる輝度むらの一例を示す図である。
【図23】第1の実施の形態の照明光学系における輝度むらの低減作用について説明するための図である。
【図24】第1の実施の形態の実施例に係る特性例を示す図である。
【図25】第2の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図26】図25の照明光学系の要部における詳細構成例を示す斜視図である。
【図27】図26に示した前段のフライアイレンズの詳細構成例を示す模式図である。
【図28】第2の実施の形態の照明光学系における輝度むらの低減作用について説明するための図である。
【図29】第2の実施の形態に係る前段のフライアイレンズの他の構成例を示す模式図である。
【図30】第3の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図31】図30の照明光学系の要部における詳細構成例を示す斜視図である。
【図32】図31に示したアナモルフィックレンズの作用について説明するための模式図である。
【図33】第3の実施の形態の照明光学系における輝度むらの低減作用について説明するための図である。
【図34】第4の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図35】図34の照明光学系の要部における詳細構成例を示す斜視図である。
【図36】図35に示した光路分岐素子の具体例およびその作用について説明するための模式図である。
【図37】第4の実施の形態の照明光学系における輝度むらの低減作用について説明するための図である。
【図38】第5の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図39】第1〜第5の実施の形態の変形例1に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図40】第1〜第5の実施の形態の変形例2に係るプロジェクタの概略構成を表す図である。
【図41】図40のプロジェクタ内の光路の一例を示す図である。
【図42】第1〜第5の実施の形態の変形例3に係る光源の断面構成例を示す図である。
【図43】図42の光源における発光スポットの配置構成とFFPとの関係の一例を表す図である。
【図44】第1〜第5の実施の形態および変形例1〜3等の照明光学系を用いたリアプロジェクション表示装置の概略構成例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(前段のフライアイレンズへの入射光の輝度分布を傾斜させた例)
2.第2の実施の形態(前段のフライアイレンズにおけるセル配置をずらした例)
3.第3の実施の形態(照明光学系内にアナモルフィックレンズを設けた例)
4.第4の実施の形態(照明光学系内に光路分岐素子を設けた例)
5.第5の実施の形態(照明光学系内にアナモルフィックレンズおよび光路分岐素子の双方を設けた例)
6.第1〜第5の実施の形態に共通の変形例
変形例1(空間変調素子として反射型の素子を用いた例)
変形例2(照明光学系内に1つの光源のみを設けた例)
変形例3(光源内のチップを光軸に対して傾斜配置させた例)
その他の変形例(各実施の形態等の組み合わせ、およびリアプロジェクション表示装置への適用例等)
【0014】
<第1の実施の形態>
[プロジェクタ1の全体構成]
図1(A),(B)は、本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタ(プロジェクタ1)の概略構成を表すものである。なお、このプロジェクタ1が、本発明の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。図1(A)はプロジェクタ1を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図1(B)はプロジェクタ1を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。また、図2(A),(B)は、図1のプロジェクタ1内の光路の一例を表すものである。図2(A)は、プロジェクタ1を上から(y軸方向から)見たときの光路の一例を表し、図2(B)はプロジェクタ1を横から(x軸方向から)見たときの光路の一例を表す。
【0015】
典型的には、y軸は垂直方向を向き、x軸は水平方向を向いているが、その逆に、y軸が水平方向を向き、x軸が垂直方向を向いていてもよい。なお、以下では、便宜的に、y軸は垂直方向を向き、x軸は水平方向を向いているものとして説明するものとする。また、以下において、「横方向」とはx軸方向を指しており、「縦方向」とはy軸方向を指しているものとする。
【0016】
プロジェクタ1は、例えば、照明光学系1Aと、入力された映像信号に基づいて照明光学系1Aからの光を変調することにより画像光を生成する空間変調素子60と、この空間変調素子60で生成された画像光を反射型のスクリーン2に投射する投影光学系70とを備えている。ここで、照明光学系1Aが、本発明の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0017】
[照明光学系1Aの構成]
照明光学系1Aは、空間変調素子60の照明範囲60A(被照射面)を照射する光束を供給するものである。なお、必要に応じて、照明光学系1Aの光が通過する領域上に、何らかの光学素子が設けられていてもよい。例えば、照明光学系1Aの光が通過する領域上に、照明光学系1Aからの光のうち可視光以外の光を減光するフィルタなどが設けられていてもよい。
【0018】
照明光学系1Aは、例えば、図1(A),(B)に示したように、光源10A,10B,10Cと、カップリングレンズ(指向角変換素子)20A,20B,20Cと、光路合成素子30と、インテグレータ40と、コンデンサレンズ50とを有している。光路合成素子30は、光源10A,10B,10Cからの光を合成するものであり、例えば、2つのダイクロイックミラー30A,30Bからなる。インテグレータ40は、照明範囲60Aにおける光の照度分布を均一化するものであり、例えば、一対のフライアイレンズ40A,40Bからなる。光源10Aの光軸上には、カップリングレンズ20Aと、光路合成素子30と、インテグレータ40と、コンデンサレンズ50とが、光源10A側からこの順に配列されている。光源10Bの光軸は、光源10Aの光軸とダイクロイックミラー30Aにおいて直交しており、光源10Bの光軸上には、カップリングレンズ20Bおよびダイクロイックミラー30Aが、光源10B側からこの順に配列されている。光源10Cの光軸は、光源10Aの光軸とダイクロイックミラー30Bにおいて直交しており、光源10Cの光軸上には、カップリングレンズ20Cおよびダイクロイックミラー30Bが、光源10C側からこの順に配列されている。
【0019】
ここで、これらのうち、カップリングレンズ(指向角変換素子)20A,20B,20Cおよびインテグレータ40が、本発明の「光学部材(後述する固体発光素子側から入射した光が通過して出射する光学部材)」の一具体例に相当する。
【0020】
なお、図1(A),(B)では、プロジェクタ1の各構成要素(光源10B,10C、カップリングレンズ20B,20Cを除く)がz軸と平行な線分上に配列されている場合が例示されているが、プロジェクタ1の各構成要素の一部がz軸と非平行な線分上に配列されていてもよい。例えば、図示しないが、照明光学系1A全体を図1(A),(B)の状態から90°回転させて照明光学系1Aの光軸がz軸と直交する方向を向くように照明光学系1Aがレイアウトされていてもよい。ただし、このようにした場合には、照明光学系1Aから出力された光を空間変調素子60に導く光学素子(例えばミラー)を設けることが必要である。また、例えば、光源10A、カップリングレンズ20Aおよび光路合成素子30を図1(A),(B)の状態から90°回転させて、これらの光軸をz軸と直交する方向を向くように光源10A、カップリングレンズ20Aおよび光路合成素子30がレイアウトされていてもよい。ただし、このようにした場合にも、光路合成素子30から出力された光をインテグレータ40に導く光学素子(例えばミラー)を設けることが必要である。
【0021】
(光源10A,10B,10C:チップ11Aが上面発光型の素子の場合)
光源10A,10B,10Cは、それぞれ、例えば、図3(A),(B)〜図5(A),(B)に示したように、固体発光素子11と、固体発光素子11を支持するパッケージ12(固体発光素子11を実装するための基材)とを有している。換言すると、ここでは、各光源10A,10B,10Cは、固体発光素子11を基材上に支持するパッケージとなっている。固体発光素子11は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発するようになっている。固体発光素子11は、例えば、図3(A),(B)に示したように、所定の波長帯の光を発する単一のチップ11Aからなっていてもよいし、例えば、図4(A),(B)および図5(A),(B)に示したように、同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよい。固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、それらのチップ11Aは、例えば、図4(A),(B)に示したように、横方向に一列に配置されていたり、例えば、図5(A),(B)に示したように、横方向および縦方向に格子状に配置されていたりする。固体発光素子11に含まれるチップ11の数は、光源10A,10B,10Cごとに異なっていてもよいし、全ての光源10A,10B,10Cで互いに等しくなっていてもよい。
【0022】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、例えば、図3(A)に示したように、単一のチップ11Aのサイズ(WV1×WH1)に等しい。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズは、例えば、図4(A),図5(A)に示したように、全てのチップ11Aをひとまとまりとしたときのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図4(A)の例では、WV1×2WH1となる。また、複数のチップ11Aが、横方向および縦方向に格子状に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図5(A)の例では、2WV1×2WH1となる。
【0023】
チップ11Aは、発光ダイオード(LED)、有機EL発光素子(OLED)、またはレーザダイオード(LD)からなる。ただし、本実施の形態では、光源10A,10B,10C全体として、チップ11Aの少なくとも1つがLDによって構成されている。なお、このLDからなるチップ11Aを除いた他のチップ11Aについては、LED,OLED,LDのうちの任意のものを組み合わせて構成することが可能である。
【0024】
各光源10A,10B,10Cに含まれるチップ11Aは、例えば、光源10A,10B,10Cごとに互いに異なる波長帯の光を発するようになっている。光源10Aに含まれるチップ11Aは、例えば、波長400nm〜500nm程度の波長の光(青色光)を発するものである。光源10Bに含まれるチップ11Aは、例えば、波長500nm〜600nm程度の波長の光(緑色光)を発するものである。光源10Cに含まれるチップ11Aは、例えば、波長600nm〜700nm程度の波長の光(赤色光)を発するものである。なお、光源10Aに含まれるチップ11Aが、青色光以外の光(緑色光または赤色光)を発するものであってもよい。また、光源10Bに含まれるチップ11Aが、緑色光以外の光(青色光または赤色光)を発するものであってもよい。また、光源10Cに含まれるチップ11Aが、赤色光以外の光(緑色光または青色光)を発するものであってもよい。
【0025】
チップ11Aは、例えば、図3(A),(B)〜図6(A),(B),(C)に示したように、チップ11Aサイズ(WV×WH)よりも小さなサイズ(PV1×PH1)の発光スポット11Bを有している。発光スポット11Bは、チップ11Aに電流を注入してチップ11Aを駆動したときにチップ11Aから光が発せられる領域(光射出領域)に相当する。チップ11AがLEDまたはOLEDからなる場合には、発光スポット11Bは非点状(面状)となっているが、チップ11AがLDからなる場合には、発光スポット11BはLEDまたはOLEDの発光スポット11Bよりも小さな点状となっている。
【0026】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図6(A)に示したように1つである。ただし、後述するように、固体発光素子11がモノリシック構造である場合には、発光スポット11Bの数は複数個になり、以下同様である。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図6(B),(C)に示したようにチップ11Aの数と等しい(ただし、上記したように固体発光素子11がモノリシック構造である場合には、発光スポット11Bの数は、チップ11Aの数よりも多くなる)。ここで、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、発光スポット11Bのサイズ(PV1×PH1)に等しい(ただし、上記したように、固体発光素子11がモノリシック構造である場合を除く)。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図6(B)の例では、PV1×2PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。また、複数のチップ11Aが、横方向および縦方向に格子状に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図6(C)の例では、2PV1×2PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。
【0027】
(光源10A,10B,10C:チップ11Aが端面発光型の素子の場合)
ここで、図3(A),(B)〜図6(A),(B)では、チップ11Aが上面発光型の素子となっている場合を例示したが、チップ11Aは、以下説明するような端面発光型の素子であってもよい。その場合には、光源10A,10B,10Cは、それぞれ、例えば、図7(A),(B)〜図12(A),(B),(C)に示したように、ステム13とキャップ14とによって囲まれた内部空間に、1または複数の端面発光型のチップ11Aからなる固体発光素子11が収容されたキャンタイプの形態となっている。換言すると、ここでは、各光源10A,10B,10Cは、固体発光素子11を内蔵したパッケージとなっている。
【0028】
ステム13は、キャップ14とともに光源10A,10B,10Cのパッケージを構成するものであり、例えば、サブマウント15を支持する支持基板13Aと、支持基板13Aの裏面に配置された外枠基板13Bと、複数の接続端子13Cとを有している。
【0029】
サブマウント15は導電性および放熱性を有する材料からなる。支持基板13Aおよび外枠基板13Bは、それぞれ、導電性および放熱性を有する基材に、1または複数の絶縁性のスルーホールと、1または複数の導電性のスルーホールとが形成されたものである。支持基板13Aおよび外枠基板13Bは、例えば、円板形状となっており、双方の中心軸(図示せず)が互いに重なり合うように積層されている。外枠基板13Bの直径は、支持基板13Aの直径よりも大きくなっている。外枠基板13Bの外縁は、外枠基板13Bの中心軸を法線とする面内において外枠基板13Bの中心軸から放射方向に張り出した環状のフランジとなっている。フランジは、製造過程においてキャップ14を支持基板13Aに嵌合させるときの基準位置を規定する役割を有している。
【0030】
複数の接続端子13Cは、少なくとも支持基板13Aを貫通している。複数の接続端子13Cのうち少なくとも1つの端子を除いた端子(以下、便宜的に「端子α」とする。)は、個々のチップ11Aの電極(図示せず)に1つずつ電気的に接続されている。端子αは、例えば、外枠基板13B側に長く突出しており、かつ支持基板13A側に短く突出している。また、複数の接続端子13Cのうち上記の端子α以外の端子(以下、便宜的に「端子β」とする。)は、全てのチップ11Aの他の電極(図示せず)に電気的に接続されている。端子βは、例えば、外枠基板13B側に長く突出しており、端子βの支持基板13A側の端縁は、例えば、支持基板13A内に埋め込まれている。各接続端子13Cのうち外枠基板13B側に長く突出している部分が、例えば基板などに嵌め込まれる部分に相当する。一方、複数の接続端子13Cのうち支持基板13A側に短く突出している部分が、ワイヤ16を介して個々のチップ11Aと1つずつ電気的に接続される部分に相当する。複数の接続端子13Cのうち支持基板13A内に埋め込まれている部分が、例えば、支持基板13Aおよびサブマウント15を介して全てのチップ11Aと電気的に接続される部分に相当する。端子αは、支持基板13Aおよび外枠基板13Bに設けられた絶縁性のスルーホールによって支持されており、そのスルーホールによって支持基板13Aおよび外枠基板13Bから絶縁分離されている。さらに、個々の端子αは、上記の絶縁部材によって互いに絶縁分離されている。一方、端子βは、支持基板13Aおよび外枠基板13Bに設けられた導電性のスルーホールによって支持されており、そのスルーホールと電気的に接続されている。
【0031】
キャップ14は、固体発光素子11を封止するものである。キャップ14は、例えば、上端および下端に開口が設けられた筒部14Aを有している。筒部14Aの下端が、例えば、支持基板13Aの側面に接しており、筒部14Aの内部空間に、固体発光素子11が位置している。キャップ14は、筒部14Aの上端側の開口を塞ぐようにして配置された光透過窓14Bを有している。光透過窓14Bは、固体発光素子11の光射出面と対向する位置に配置されており、固体発光素子11から出力された光を透過する機能を有している。
【0032】
このように、チップ11Aが端面発光型の素子からなる場合においても、固体発光素子11は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発するようになっている。固体発光素子11は、例えば、所定の波長帯の光を発する単一のチップ11Aからなっていてもよいし、同一の波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよいし、互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよい。固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、それらのチップ11Aは、例えば、図7(A),(B)および図8(A),(B)に示したように、横方向に一列に配置されていたり、例えば、図10(A),(B)および図11(A),(B)に示したように、縦方向に一列に配置されていたりする。固体発光素子11に含まれるチップ11Aの数は、光源10A,10B,10Cごとに異なっていてもよいし、全ての光源10A,10B,10Cで互いに等しくなっていてもよい。
【0033】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、例えば、図9(B)および図12(B)に示したように、単一のチップ11Aのサイズ(WV1×WH1)に等しい。ただし、例えば図9(C)および図12(C)に示したように、固体発光素子11がモノリシック構造である場合には次のようになり、以下同様である。すなわち、図9(C)の例では、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、WV1×2WH1より大きく、図12(C)の例では、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、2WV1×WH1より大きい。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としてのサイズは、例えば、図7(B),図8(B),図10(B),図11(B)に示したように、全てのチップ11Aをひとまとまりとしたときのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図7(B)の例では、WV1×3WH1より大きく、図8(B)の例では、WV1×2WH1より大きい。また、複数のチップ11Aが縦方向に一列に配置されている場合には、固体発光素子11としてのサイズ(WV×WH)は、図10(B)の例では、3WV1×WH1より大きく、図11(B)の例では、2WV1×WH1より大きい。
【0034】
チップ11Aは、例えば、レーザダイオード(LD)からなる。ただし、この場合も前述したように、光源10A,10B,10C全体として、チップ11Aの少なくとも1つがLDによって構成されている。また、このLDからなるチップ11Aを除いた他のチップ11Aについては、LED,OLED,LDのうちの任意のものを組み合わせて構成することが可能である。
【0035】
チップ11Aは、例えば、図7(A),(B)〜図15(A),(B),(C)に示したように、チップ11Aサイズ(WV×WH)よりも小さなサイズ(PV1×PH1)の発光スポット11Bを有している。発光スポット11Bは、チップ11Aに電流を注入してチップ11Aを駆動したときにチップ11Aから光が発せられる領域(光射出領域)に相当する。チップ11AがLDからなる場合には、発光スポット11BはLEDまたはOLEDの発光スポットよりも小さな点状となっている。
【0036】
固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図9(B)および図12(B)に示したように1つである。ただし、例えば図9(C)および図12(C)に示したように、固体発光素子11がモノリシック構造である場合には、発光スポット11Bの数は複数(ここでは2つ)となり、以下同様である。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、発光スポット11Bの数は、例えば、図7(B),図8(B),図10(B)、図11(B)に示したようにチップ11Aの数と等しい。ここで、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、発光スポット11Bのサイズ(PV1×PH1)に等しい。ただし、例えば図9(C)および図12(C)に示したように、固体発光素子11がモノリシック構造である場合には次のようになり、以下同様である。すなわち、図9(C)の例では、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、PV1×2PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。また、図12(C)の例では、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、2PV1×PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。一方、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、固体発光素子11としての光射出領域のサイズ(PV×PH)は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。複数のチップ11Aが横方向に一列に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図7(B)の例では、PV1×3PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。同様に、図8(B)の例では、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、PV1×2PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。また、複数のチップ11Aが縦方向に一列に配置されている場合には、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、図10(B)の例では、3PV1×PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。同様に、図11(B)の例では、光射出領域のサイズ(PV×PH)は、2PV1×PH1よりも大きく、WV×WHよりも小さい。
【0037】
カップリングレンズ20Aは、例えば、図2(A),(B)に示したように、光源10Aから発せられた光を略平行光化するものであり、光源10Aから発せられた光の指向角(θH,θV)を、平行光の指向角と等しくなるように、またはそれに近づくように変換するものである。カップリングレンズ20Aは、光源10Aから発せられた光のうち指向角内の光が入射する位置に配置されている。カップリングレンズ20Bは、例えば、図2(A),(B)に示したように、光源10Bから発せられた光を略平行光化するものであり、光源10Bから発せられた光の指向角(θH,θV)を、平行光の指向角と等しくなるように、またはそれに近づくように変換するものである。カップリングレンズ20Bは、光源10Bから発せられた光のうち指向角内の光が入射する位置に配置されている。カップリングレンズ20Cは、例えば、図2(A),(B)に示したように、光源10Cから発せられた光を略平行光化するものであり、光源10Cから発せられた光の指向角(θH,θV)を、平行光の指向角と等しくなるように、またはそれに近づくように変換するものである。カップリングレンズ20Cは、光源10Cから発せられた光のうち指向角内の光が入射する位置に配置されている。つまり、カップリングレンズ20A,20B,20Cは、光源10A,10B,10Cごとに(パッケージごとに)1つずつ配置されている。なお、カップリングレンズ20A,20B,20Cは、それぞれ、単一のレンズによって構成されていてもよいし、複数のレンズによって構成されていてもよい。
【0038】
ダイクロイックミラー30A,30Bは、波長選択性を持つ1枚のミラーを含むものである。なお、上記のミラーは、例えば、多層の干渉膜を蒸着して構成されたものである。ダイクロイックミラー30Aは、例えば、図2(A),(B)に示したように、ミラーの裏面側から入射した光(光源10A側から入射した光)をミラーの表面側に透過させるとともに、ミラーの表面側から入射した光(光源10B側から入射した光)をミラーで反射するようになっている。一方、ダイクロイックミラー30Bは、図2(A),(B)に示したように、ミラーの裏面側から入射した光(ダイクロイックミラー30A側から入射した光源10A,10Bの光)をミラーの表面側に透過させるとともに、ミラーの表面側から入射した光(光源10C側から入射した光)をミラーで反射するようになっている。従って、光路合成素子30は、光源10A,10B,10Cから発せられた個々の光束を単一の光束に合成するようになっている。
【0039】
フライアイレンズ40A、40Bはそれぞれ、例えば図13(A),(B)に示したように、所定の配列状態(ここでは、縦×横=5×5のマトリクス状)に配置された複数のレンズ(セル)によって構成されたものである。換言すると、フライアイレンズ40A,40Bにおける各セルは、互いに直交する横方向(x軸方向,第1の方向)および縦方向(y軸方向,第2の方向)の各々(配列方向)に沿って配列されている。フライアイレンズ40Bに含まれる複数のセル42は、フライアイレンズ40Aのセル41ごとに1つずつ対向して配置されている。フライアイレンズ40A(第1のフライアイレンズ)は、フライアイレンズ40B(第2のフライアイレンズ)の焦点位置(または略焦点位置)に配置されており、フライアイレンズ40Bは、フライアイレンズ40Aの焦点位置(または略焦点位置)に配置されている。従って、インテグレータ40は、フライアイレンズ40Aで分割形成された光束がフライアイレンズ40Bの像側のレンズ面近傍に焦点を結び、ここに2次光源面(光源像)を形成するようになっている。この2次光源面は投影光学系70の入射瞳と共役な面の位置に位置している。ただし、この2次光源面は、必ずしも厳密に投影光学系70の入射瞳と共役な面の位置に位置している必要はなく、設計上の許容範囲内に位置していればよい。なお、フライアイレンズ40A、40Bは、一体に形成されたものであってもよい。
【0040】
ここで、一般に光源10A,10B,10Cから射出された光束は、その進行方向に垂直な面において不均一な強度分布(輝度分布)をもっている。そのため、これら光束をそのまま照明範囲60A(被照射面)に導くと、照明範囲60Aでの照度分布(輝度分布)が不均一になる。これに対して、上記のように光源10A,10B,10Cから射出された光束を、インテグレータ40によって複数の光束に分割してそれぞれを照明範囲60Aに重畳的に導くようにすれば、照明範囲60A上の照度分布を均一にする(照度分布の不均一性を低減する)ことができる。
【0041】
コンデンサレンズ50は、インテグレータ40により形成された多光源からの光束を集光して照明範囲60Aを重畳的に照明するものである。
【0042】
空間変調素子60は、光源10,10B,10Cの各波長成分に対応した色画像信号に基づいて、照明光学系1Aからの光束を2次元的に変調し、これにより画像光を生成するものである。この空間変調素子60は、例えば図2(A),(B)に示したように、ここでは透過型の素子であり、例えば、透過型の液晶パネルによって構成されている。
【0043】
[プロジェクタ1の特徴部分の構成]
次に、本実施の形態のプロジェクタ1の特徴部分について説明する。
【0044】
(特徴部分その1)
まず、本実施の形態では、光源10A,10B,10C全体として、チップ11Aの少なくとも1つがLD(例えば半導体レーザ等)によって構成されている。したがって、例えば図14に示したように、このLDからなるチップ11Aにおける発光スポット11Bから発せられるレーザ光では、ファーフィールドパターン(FFP)が急峻な輝度分布形状を示している。換言すると、このレーザ光では、FFPの形状が円形(等方的)ではなく、非等方的(ここでは楕円形)となっている(図14中の符号P10参照)。
【0045】
そして本実施の形態では、例えば図15(A),(B)に示したように、フライアイレンズ40Aの入射面(光入射面)における入射光の輝度分布Lindの形状(輝度分布形状)の長軸方向が、フライアイレンズ40Aにおける各セル41の配列方向と異なっている。具体的には、この入射光の輝度分布Lindにおける長軸方向および短軸方向がそれぞれ、各セル41の配列方向(横方向(x軸方向)および縦方向(y軸方向))のいずれとも異なっている。換言すると、図15(A),(B)に示したように、輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向(ここではそのうちのx軸方向)とが、互いに一致しておらず、互いに所定の角度(傾斜角,回転角)θをなすようになっている。これにより詳細は後述するが、インテグレータ40において入射光の輝度むらが低減し易くなる。また、この角度θについては、例えば図15(A)に示したように、フライアイレンズ40Aにおける横方向全体の長さ(周期)において、縦方向のセル41のサイズhFEL1Vと略一致(好ましくは一致)するような角度となっているのが望ましい。すなわち、角度θについて、以下の関係式を満たすようにするのが望ましい。これにより詳細は後述するが、インテグレータ40において、入射光の輝度むらを低減し易くなるからである。なお、詳細は後述するが(図21(A),(B))、図15(A),(B)等で示した「入射光の輝度分布Lindの形状(輝度分布形状)」とは、所定の強度値(輝度値)を示す等高線(等輝度線)の形状を意味しており、以下同様である。
θ=tan-1[hFEL1V/(hFEL1H×nH)]
FEL1H:フライアイレンズ40Aの1つのセル41の第1の方向のサイズ
FEL1V:フライアイレンズ40Aの1つのセル41の第2の方向のサイズ
H:フライアイレンズ40Aにおける第1の方向に沿ったセル41の数(セル数)
【0046】
ここで、このような輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向との間の傾斜配置(回転配置)は、例えば図16に示したように、光源10A,10B,10C等の傾斜配置(回転配置)によって実現することが可能である。すなわち、例えばLDからなるチップ11A自体の回転配置や、このLDからなるチップ11Aを含む固体発光素子11や光源10A,10B,10C等の回転配置などによって、実現することができる。具体的にはこれらの場合、LDからなるチップ11Aの発光スポット11Bから発せられるレーザ光におけるFFPの長軸方向(および短軸方向)が、フライアイレンズ40Aにおける縦方向および横方向(第1および第2の方向)のいずれとも異なるように、LDからなるチップ11Aが傾斜配置(回転配置)されている。ただしこの例には限られず、例えば、照明光学系1A内の他の光学部材(例えば、カップリングレンズ20A,20B,20Cや、ダイクロイックミラー30A,30B等)を傾斜配置(回転配置)させることによって、輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向との間の傾斜配置(回転配置)を実現するようにしてもよい。
【0047】
(特徴部分その2)
また、本実施の形態では、光源10A,10B,10Cのうちの少なくとも1つの光源(第1光源)において、LDからなるチップ11Aにおける発光スポット11Bが複数設けられている場合に、以下のように構成されていることが望ましい。すなわち、まず、各発光スポット11Bから発せられる光におけるFFPの短軸方向がそれぞれ、前述した光学部材(ここではインテグレータ40)の光軸(ここではz軸方向)と直交する面内(ここではxy面内)における短軸方向(ここではy軸方向)と略一致(好ましくは一致)しているのが望ましい。換言すると、上記した第1光源において、各発光スポット11Bから発せられる光のFFPの短軸方向が、プロジェクタ1の装置外形(例えば矩形状の筐体)における短軸方向と略一致(好ましくは一致)しているのが望ましい。また、上記した第1光源が互いに異なる2以上の波長帯の光を発する光源である場合には、各発光スポット11Bから発せられる光のFFPの長軸方向が、これらの2以上の波長帯間で互いに略一致(好ましくは一致)しているのが望ましい。
【0048】
具体的には、図17(A)に示した例では、上記した第1光源において、LDからなる2つのチップ11A−1,11A−2が設けられ、それに伴い、活性層110を含む発光スポット(ニアーフィールドパターン;NFP)11B−1,11B−2が設けられている。一方、図17(B)(前述したモノリシック構造の例)に示した例では、上記した第1光源において、LDからなる1つのチップ11Aが設けられると共に、このチップ11A内に2つの発光スポット11B−1,11B−2が設けられている。そして、ここでは発光スポット11B−1,11B−2では、同一の波長帯の光、または互いに異なる2つの波長帯の光が発せられるものとする。この場合において、各発光スポット11B−1,11B−2から発せられる光におけるFFP(図中の符号P11,P12参照)の短軸方向(ここではy軸方向)がそれぞれ、インテグレータ40の光軸と直交する面内における短軸方向(ここではy軸方向)と一致している。また、各発光スポット11B−1,11B−2から発せられる光におけるFFPの長軸方向(ここではx軸方向)が、これらの発光スポット11B−1,11B−2間で互いに一致している。
【0049】
(特徴部分その3)
更に、本実施の形態では、フライアイレンズ40Aの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離と、フライアイレンズ40A、40Bの焦点距離とが設定されていることが好ましい。これを式で表すと、以下の式(1)〜(3)のようになる。また、これを模式的に表すと、図18のようになる。この図18には、フライアイレンズ40A,40Bの各セルが1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合が例示されている。なお、図18については後に詳述する。
1=P1×(fFEL/fCL1)≦hFEL2…(1)
2=P2×(fFEL/fCL2)≦hFEL2…(2)
3=P3×(fFEL/fCL3)≦hFEL2…(3)
ここで、
1:光源10Aの光によって形成される光源像S(光源像S1)のサイズ
2:光源10Bの光によって形成される光源像S(光源像S2)のサイズ
3:光源10Cの光によって形成される光源像S(光源像S3)のサイズ
1:光源10Aに含まれる固体発光素子11の光射出領域のサイズ
2:光源10Bに含まれる固体発光素子11の光射出領域のサイズ
3:光源10Cに含まれる固体発光素子11の光射出領域のサイズ
FEL:フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離
CL1:カップリングレンズ20Aの焦点距離
CL2:カップリングレンズ20Bの焦点距離
CL3:カップリングレンズ20Cの焦点距離
FEL2:フライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズ
【0050】
なお、光源10Aに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P1は、そのチップ11Aの発光スポット11Bのサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P2は、そのチップ11Aの発光スポット11Bのサイズに等しく、光源10Cに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P3は、そのチップ11Aの発光スポット11Bのサイズに等しい。光源10Aに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P1は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P2は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P3は、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いのサイズに等しい。また、カップリングレンズ20Aが複数のレンズによって構成されている場合には、fCL1は、各レンズの合成焦点距離とする。同様に、カップリングレンズ20Bが複数のレンズによって構成されている場合には、fCL2は、各レンズの合成焦点距離とする。カップリングレンズ20Cが複数のレンズによって構成されている場合には、fCL3は、各レンズの合成焦点距離とする。
【0051】
ここで、上記の式(1)〜(3)とおおよそ等価な式として、以下の式(4)〜(6)を挙げることができる。式(4)〜(6)は、固体発光素子11の光射出領域のサイズが固体発光素子11のサイズと概ね等しい場合に特に有益である。
1=W1×(fFEL/fCL1)≦hFEL2…(4)
2=W2×(fFEL/fCL2)≦hFEL2…(5)
3=W3×(fFEL/fCL3)≦hFEL2…(6)
ここで、
1:光源10Aに含まれる固体発光素子11のサイズ
2:光源10Bに含まれる固体発光素子11のサイズ
3:光源10Cに含まれる固体発光素子11のサイズ
【0052】
なお、固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、Wは、そのチップ11Aのサイズに等しい。また、固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、Wは、全てのチップ11Aを単一のチップとしてみたときの、そのチップのサイズに等しい。
【0053】
ところで、本実施の形態において、例えば、図13(A),(B)に示したように、フライアイレンズ40A,40Bの各セル41,42が1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合には、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離と、フライアイレンズ40A、40Bの焦点距離とが以下の6つの関係式(式(7)〜式(12))を満たしていることが好ましい。さらに、カップリングレンズ20A,20B,20Cの縦横の焦点距離の比(fCL1H/fCL1V,fCL2H/fCL2V,fCL3H/fCL3V)(アナモルフィック比)と、フライアイレンズ40Bの各セル42のサイズの縦横比の逆数(hFEL2V/hFEL2H)とを互いに等しくし、照明光学系1Aをアナモルフィック光学系とすることがより好ましい。例えば、フライアイレンズ40Bの各セル42が第1の方向(例えば横方向)に長い形状となっている場合には、カップリングレンズ20A,20B,20Cとして、焦点距離fCL1V,fCL2V,fCL3Vが焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3Hよりも長いものを用いる。以下の式(7)〜(12)を模式的に表すと、図18のようになる。
1H=P1H×(fFELH/fCL1H)≦hFEL2H…(7)
2H=P2H×(fFELH/fCL2H)≦hFEL2H…(8)
3H=P3H×(fFELH/fCL3H)≦hFEL2H…(9)
1V=P1V×(fFELV/fCL1V)≦hFEL2V…(10)
2V=P2V×(fFELV/fCL2V)≦hFEL2V…(11)
3V=P3V×(fFELV/fCL3V)≦hFEL2V…(12)
ここで、
1H:光源10Aの光によって形成される光源像S(光源像S1)の第1の方向(例えば横方向)のサイズ
2H:光源10Bの光によって形成される光源像S(光源像S2)の第1の方向(例えば横方向)のサイズ
3H:光源10Cの光によって形成される光源像S(光源像S3)の第1の方向(例えば横方向)のサイズ
1V:光源10Aの光によって形成される光源像S(光源像S1)の、第1の方向と直交する第2の方向(例えば縦方向)のサイズ
2V:光源10Bの光によって形成される光源像S(光源像S2)の、第1の方向と直交する第2の方向(例えば縦方向)のサイズ
3V:光源10Cの光によって形成される光源像S(光源像S3)の、第1の方向と直交する第2の方向(例えば縦方向)のサイズ
1H:光源10Aに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
2H:光源10Bに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
3H:光源10Cに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
1V:光源10Aに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
2V:光源10Bに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
3V:光源10Cに含まれる固体発光素子11の光射出領域の、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
FELH:フライアイレンズ40A,40Bの第1の方向の焦点距離
FELV:フライアイレンズ40A,40Bの第2の方向の焦点距離
CL1H:カップリングレンズ20Aの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL2H:カップリングレンズ20Bの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL3H:カップリングレンズ20Cの、第1の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL1V:カップリングレンズ20Aの、第2の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL2V:カップリングレンズ20Bの、第2の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
CL3V:カップリングレンズ20Cの、第2の方向またはそれに対応する方向の焦点距離
FEL2H:フライアイレンズ40Bの1つのセル42の第1の方向のサイズ
FEL2V:フライアイレンズ40Bの1つのセル42の第2の方向のサイズ
【0054】
ここで、「第1の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸上に配置されている場合には第1の方向を指している。また、「第1の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸から外れた光路上に配置されている場合には、光源10A,10B,10Cからインテグレータ40までの光路上に配置された光学素子のレイアウトの関係から第1の方向に対応する方向を指している。
【0055】
また、「第2の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸上に配置されている場合には第2の方向を指している。また、「第2の方向またはそれに対応する方向」は、光源10A,10B,10C、カップリングレンズ20A,20B,20Cがインテグレータ40の光軸から外れた光路上に配置されている場合には、光源10A,10B,10Cからインテグレータ40までの光路上に配置された光学素子のレイアウトの関係から第2の方向に対応する方向を指している。
【0056】
なお、光源10Aに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P1Hは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P2Hは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P3Hは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。また、光源10Aに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P1Hは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P2Hは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P3Hは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。一方、光源10Aに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P1Vは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P2Vは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が単一のチップ11Aからなる場合には、P3Vは、そのチップ11Aの発光スポット11Bの第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。また、光源10Aに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P1Vは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。同様に、光源10Bに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P2Vは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。光源10Cに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、P3Vは、最小面積で全てのチップ11Aの発光スポット11Bを囲ったときのその囲いの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズに等しい。
【0057】
また、本実施の形態において、フライアイレンズ40A,40Bの各セル41,42が1以外の縦横比を有している場合には、フライアイレンズ40Aの各セル41のサイズの縦横比と、照明範囲60Aの縦横比とが以下の関係式(式(13))を満たしていることが好ましい。ここで、照明範囲60Aの縦横比H/V(図19参照)は、空間変調素子60の解像度と相関を有しており、例えば、空間変調素子60の解像度がVGA(640×480)である場合には640/480となっており、例えば、空間変調素子60の解像度がWVGA(800×480)である場合には800/480となっている。
FEL1H/hFEL1V=H/V…(13)
ここで、
FEL1H:フライアイレンズ40Aの1セルの第1の方向のサイズ
FEL1V:フライアイレンズ40Aの1セルの第2の方向のサイズ
H:照明範囲60Aの第1の方向のサイズ
V:照明範囲60Aの第2の方向のサイズ
【0058】
(特徴部分その4)
加えて、本実施の形態では、カップリングレンズ20A,20B,20Cに入射する光のビームサイズが20A,20B,20Cのサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離および開口数が設定されていることが好ましい。これを式で表すと、以下の式(14)〜(16)のようになる。
φCL1=2×fCL1×NA1≦hCL1…(14)
φCL2=2×fCL2×NA2≦hCL2…(15)
φCL3=2×fCL3×NA3≦hCL3…(16)
ここで、
φCL1:カップリングレンズ20Aに入射する光のビームサイズ
φCL2:カップリングレンズ20Bに入射する光のビームサイズ
φCL3:カップリングレンズ20Cに入射する光のビームサイズ
NA1:カップリングレンズ20Aの開口数
NA2:カップリングレンズ20Bの開口数
NA3:カップリングレンズ20Cの開口数
CL1:カップリングレンズ20Aのサイズ
CL2:カップリングレンズ20Bのサイズ
CL3:カップリングレンズ20Cのサイズ
【0059】
ところで、本実施の形態において、カップリングレンズ20A,20B,20Cが1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合には、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離および開口数が、以下の関係式(式(17)〜(22))を満たしていることが好ましい。
φCL1H=2×fCL1H×NA1H≦hCL1H…(17)
φCL2H=2×fCL2H×NA2H≦hCL2H…(18)
φCL3H=2×fCL3H×NA3H≦hCL3H…(19)
φCL1V=2×fCL1V×NA1V≦hCL1V…(20)
φCL2V=2×fCL2V×NA2V≦hCL2V…(21)
φCL3V=2×fCL3V×NA3V≦hCL3V…(22)
ここで、
φCL1H:カップリングレンズ20Aに入射する光の、第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向のビームサイズ
φCL2H:カップリングレンズ20Bに入射する光の、第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向のビームサイズ
φCL3H:カップリングレンズ20Cに入射する光の、第1の方向(例えば横方向)またはそれに対応する方向のビームサイズ
φCL1V:カップリングレンズ20Aに入射する光の、第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向のビームサイズ
φCL2V:カップリングレンズ20Bに入射する光の、第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向のビームサイズ
φCL3V:カップリングレンズ20Cに入射する光の、第2の方向(例えば縦方向)またはそれに対応する方向のビームサイズ
NA1H:カップリングレンズ20Aの、第1の方向またはそれに対応する方向の開口数
NA2H:カップリングレンズ20Bの、第1の方向またはそれに対応する方向の開口数
NA3H:カップリングレンズ20Cの、第1の方向またはそれに対応する方向の開口数
NA1V:カップリングレンズ20Aの、第2の方向またはそれに対応する方向の開口数
NA2V:カップリングレンズ20Bの、第2の方向またはそれに対応する方向の開口数
NA3V:カップリングレンズ20Cの、第2の方向またはそれに対応する方向の開口数
CL1H:カップリングレンズ20Aの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
CL2H:カップリングレンズ20Bの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
CL3H:カップリングレンズ20Cの、第1の方向またはそれに対応する方向のサイズ
CL1V:カップリングレンズ20Aの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
CL2V:カップリングレンズ20Bの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
CL3V:カップリングレンズ20Cの、第2の方向またはそれに対応する方向のサイズ
【0060】
[プロジェクタ1の作用・効果]
次に、本実施の形態のプロジェクタ1の作用・効果について説明する。
【0061】
まず、本実施の形態では、光源10A,10B,10C全体として、チップ11Aの少なくとも1つがLDによって構成されている。したがって、例えば図14に示したように、このLDからなるチップ11Aにおける発光スポット11Bから発せられるレーザ光では、FFPが急峻(非等方的)な輝度分布形状(ここでは惰円形状)を示している。
【0062】
また、本実施の形態では、例えば図15(A),(B)に示したように、フライアイレンズ40Aの入射面における入射光の輝度分布Lindの形状の長軸方向が、フライアイレンズ40Aにおける各セル41の配列方向と異なっている。具体的には、この入射光の輝度分布Lindにおける長軸方向および短軸方向がそれぞれ、各セル41の配列方向(横方向(x軸方向)および縦方向(y軸方向))のいずれとも異なっている。そして、このような輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向との間の傾斜配置(回転配置)は、例えば図16に示したように、光源10A,10B,10C等の傾斜配置(回転配置)によって実現されている。具体的には、LDからなるチップ11Aの発光スポット11Bから発せられるレーザ光におけるFFPの長軸方向(および短軸方向)が、フライアイレンズ40Aにおける縦方向および横方向のいずれとも異なるように、LDからなるチップ11Aが傾斜配置(回転配置)されている。
【0063】
一方、比較例に係るプロジェクタでは、例えば図20に示したように、フライアイレンズ40Aの入射面における入射光の輝度分布Lindの形状の長軸方向が、フライアイレンズ40Aにおける各セル41の配列方向(ここでは横方向(x軸方向))と一致している。すなわち、図15(A),(B)に示した本実施の形態とは異なり、輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向(ここではそのうちのx軸方向)とが、互いに所定の角度θをなしていない(θ=0°となっている)。ここで、図15(A),(B)および図20等において示した「入射光の輝度分布Lindの形状(輝度分布形状)」とは、所定の強度値(輝度値)を示す等高線(等輝度線)の形状を意味している。詳細には、LDからなるチップ11Aにおける発光スポット11Bから発せられるレーザ光が、例えば図21(A),(B)に示したような急峻な輝度分布を示す場合、この図21(A)中の符号P30で示した輝度値からなる等輝度線の形状に相当する。
【0064】
このような比較例のプロジェクタでは、上記したように、LDからなるチップ11Aの発光スポット11Bから発せられるレーザ光が、急峻な輝度分布形状を示す(例えば、FFPの形状が円形(等方的)ではない(例えば楕円形))ことに起因して、以下の問題が生じ得る。すなわち、レーザ光が余りにも急峻な輝度分布形状を示す場合(例えば、フライアイレンズ40A,40Bの各セル41,42のサイズよりも急峻な輝度分布形状である場合)、インテグレータ40の機能によっても、照明光(入射光)の輝度むらを低減しきれない(輝度分布が一様にはならない)場合が起こり得る。その場合、例えば図22に示したように、照明範囲60A上およびスクリーン2上において、照明光および映像光(表示光)における輝度むらが発生することから、表示画質も劣化してしまうことになる。
【0065】
これに対して本実施の形態では、上記したように、フライアイレンズ40Aの入射面における入射光の輝度分布Lindの形状の長軸方向が、フライアイレンズ40Aにおける各セル41の配列方向と異なっている。これにより、LDからなるチップ11Aを含む光源から出射されるレーザ光が、急峻な輝度分布形状を示す場合(例えば、FFPの形状が円形(等方的)ではない場合(例えば楕円形の場合))であっても、インテグレータ40において入射光の輝度むらが低減し易くなる。具体的には、例えば図23(A)に示したように、フライアイレンズ40Aにおいて、入射光の輝度分布Lindの形状を含む複数のセル41における光の重ね合わせ(重畳)作用がなされる結果、例えば図23(B)に示したように、照明光および表示光における輝度むらが効果的に低減される。すなわち、上記比較例と比べ、照明光および表示光における輝度むらが低減され(この例では輝度むらの発生が回避され)、これにより本実施の形態では表示画質を向上させることが可能となる。
【0066】
特に、入射光の輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向(ここではそのうちのx軸方向)とがなす角度θについて、θ=tan-1[hFEL1V/(hFEL1H×nH)]という関係式を満たすようにした場合には、照明光および表示光における輝度むらを更に効果的に低減することができる。これは、フライアイレンズ40Aにおける横方向全体の長さ(周期)において、入射光の輝度分布Lindが縦方向に沿って複数のセル41に跨っていると、同一の輝度分布パターンの繰り返しが生じ、輝度むらの低減効果が最大限に発揮できないためである。
【0067】
ここで、図24は、本実施の形態の実施例に係る各特性(照明範囲60Aにおけるアスペクト比と、前述したnH,hFEL1H,hFEL1Y,θの各パラメータとの関係)の一例を示したものである。これらの実施例では、角度θ=2.7°〜7.1°程度の場合に、インテグレータ40において輝度むらの低減効果が最大限に発揮されることが分かる。
【0068】
また、本実施の形態において、例えば図17(A),(B)に示したように、光源10A,10B,10Cのうちの少なくとも1つの光源(第1光源)において、LDからなるチップ11Aにおける発光スポット11Bが複数設けられている場合に、以下のように構成したときには、以下の作用・効果が生じる。すなわち、まず、各発光スポット11Bから発せられる光におけるFFPの短軸方向がそれぞれ、インテグレータ40の光軸と直交する面内における短軸方向と略一致するようにした場合には、プロジェクタ1の装置外形における短軸方向と上記FFPの短軸方向とが略一致することになるため、プロジェクタ1全体の小型化を図ることが可能となる。また、上記した第1光源が互いに異なる2以上の波長帯の光を発する光源である場合において、各発光スポット11Bから発せられる光のFFPの長軸方向がこれらの2以上の波長帯間で互いに略一致するようにした場合には、例えばIカット形状のレンズを用いた場合などにおいて、光損失が低減される。具体的には、Iカット形状のレンズを用いた場合、Iカットされる部分では光学的有効範囲が犠牲になるものの、LDの放射角度の長軸方向をIカットする方向(有効径が広い方向)に合わせることにより、光損失を低減することができる。
【0069】
更に、本実施の形態において、例えば図18に示したように、フライアイレンズ40Aの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1,fCL2,fCL3と、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELとを設定するようにした場合には、以下の作用・効果が生じる。ここで、固体発光素子11は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発するものであり、例えば、1もしくは複数の発光ダイオード、1もしくは複数の有機EL発光素子、または1もしくは複数のレーザダイオードによって構成されている。そのため、フライアイレンズ40Bがフライアイレンズ40Aの焦点位置に配置されている場合であっても、フライアイレンズ40Aの各セルによってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sが点状ではなく、ある程度の大きさを持っている(図18参照)。しかし、本実施の形態では、1つの光源像Sが複数のセルにまたがって形成されることがないので、フライアイレンズ40Bに入射した光が効率良く照明範囲にまで到達する。よって、照明光学系1Aにおける光利用効率を改善することができる。
【0070】
加えて、本実施の形態において、フライアイレンズ40A,40Bの各セルが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL1V,fCL2V,fCL3Vと、フライアイレンズ40A,40Bの焦点距離fFELH,fFELVとを設定するようにした場合には、照明光学系1Aにおける光利用効率を更に改善することができる。また、本実施の形態において、カップリングレンズ20A,20B,20Cが1以外の縦横比を有している場合に、その縦横比を考慮して、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL1V,fCL2V,fCL3Vおよび開口数NA1H,NA2H,NA3H,NA1V,NA2V,NA3Vを設定するようにした場合には、照明光学系1Aにおける光利用効率を更に改善することができる。また、本実施の形態において、光源10A,10B,10Cの指向角がそれぞれ異なる場合に、それぞれの指向角を考慮して、カップリングレンズ20A,20B,20Cの焦点距離fCL1H,fCL2H,fCL3H,fCL1V,fCL2V,fCL3Vおよび開口数NA1H,NA2H,NA3H,NA1V,NA2V,NA3Vをそれぞれ設定するようにした場合には、照明光学系1Aにおける光利用効率を更に改善することができる。
【0071】
続いて、本発明の他の実施の形態(第2〜第5の実施の形態)について説明する。なお、上記第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0072】
<第2の実施の形態>
図25は、第2の実施の形態に係るプロジェクタ(プロジェクタ3)の概略構成を表すものである。なお、このプロジェクタ3は、本発明の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。ここで、図25(A)はプロジェクタ3を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図25(B)はプロジェクタ3を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。
【0073】
本実施の形態のプロジェクタ3は、照明光学系3Aを備えている点で、照明光学系1Aを備えたプロジェクタ1の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ1との相違点について主に説明し、プロジェクタ1との共通点についての説明を適宜省略するものとする。なお、照明光学系3Aは、本発明の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0074】
[照明光学系3Aの構成]
照明光学系3Aは、照明光学系1Aにおいて、一対のフライアイレンズ40A,40Bを有するインテグレータ40の代わりに、一対のフライアイレンズ40C,40Dを有するインテグレータ43を設けるようにしたものである。すなわち、照明光学系3Aは、照明光学系1Aにおけるフライアイレンズ40A,40Bの代わりに、以下説明するフライアイレンズ40C,40Dを備えている。なお、これらのフライアイレンズ40C,40Dは、互いに対応したセル41,42の配置構成を有していることから、以下ではフライアイレンズ40Cについて代表して説明する。
【0075】
この照明光学系3Aはまた、例えば図26に示したように、照明光学系1A(図16参照)とは異なり、光源10A,10B,10Cおよび他の光学部材がいずれも、傾斜配置(回転配置)されていない。したがって、照明光学系3Aでは例えば図27に示したように、照明光学系1A(図15(A),(B))とは異なり(図20に示した比較例と同様に)、フライアイレンズ40Cにおいて、入射光の輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向とが、傾斜配置(回転配置)されていない。
【0076】
ただし、照明光学系3Aにおけるフライアイレンズ40Cでは、例えば図27に示したように、縦方向(y軸方向,第2の方向)に沿った各セル41の位置が、横方向(x軸方向,第1の方向)に沿って配置された複数のセル列のうちの少なくとも一部のセル列間で、互いに異なっている。すなわち、本実施の形態のフライアイレンズ40Cは、入射光の輝度分布Lindにおける長軸方向(横方向)と直交する短軸方向(縦方向)に沿って、セル列間での位置ずれ構造を有している。具体例には、図27に示した例では、横方向に沿った各セル41の位置が、縦方向に沿った複数のセル列のうちの隣接するセル列間でそれぞれ、同じ向きにずれている(ずれ量:d)。このとき、この隣接するセル列間でのずれ量dについて、以下の関係式を満たすようにするのが望ましい。
d=(hFEL1V/nH
FEL1V:フライアイレンズ40Cにおける1つのセル41の第2の方向のサイズ
H:フライアイレンズ40Cにおける第1の方向に沿ったセル41の数(セル数)
【0077】
[プロジェクタ3の作用・効果]
このような構成からなる本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、LDからなるチップ11Aを含む光源から出射されるレーザ光が急峻な輝度分布形状を示す場合であっても、インテグレータ43において入射光の輝度むらが低減し易くなる。具体的には、例えば図28(A)に示したように、フライアイレンズ40Cにおいて、入射光の輝度分布Lindの形状を含む複数のセル41における光の重ね合わせ作用がなされる結果、例えば図28(B)に示したように、照明光および表示光における輝度むらが効果的に低減される。すなわち、本実施の形態においても、照明光および表示光における輝度むらを低減する(この例では輝度むらの発生を回避する)ことができ、表示画質を向上させることが可能となる。
【0078】
特に、上記した隣接するセル列間でのずれ量dについて、d=(hFEL1V/nH)という関係式を満たすようにした場合には、照明光および表示光における輝度むらを更に効果的に低減することができる。これは、第1の実施の形態で述べたのと同様に、フライアイレンズ40Cにおける横方向全体の長さ(周期)において、入射光の輝度分布Lindが縦方向に沿って複数のセル41に跨っていると、同一の輝度分布パターンの繰り返しが生じ、輝度むらの低減効果が最大限に発揮できないためである。
【0079】
なお、本実施の形態のフライアイレンズ40Cでは、図27および図29(A)に示したように、横方向に沿った各セル41の位置が、縦方向に沿った複数のセル列のうちの隣接するセル列間でそれぞれ同じ向きにずれている場合には限られず、他の位置ずれ構造となっていてもよい。すなわち、縦方向に沿った各セル41の位置が、横方向に沿って配置された複数のセル列のうちの少なくとも一部のセル列間で互いに異なっているのであれば、他の位置ずれ構造を採用してもよい。具体的には、例えば図29(B)に示したように、横方向で隣接するセル列間において、異なる向き(上方向および下方向)のずれ量を有していてもよい。また、例えば図29(C)に示したように、横方向で隣接するセル列間において、位置ずれが生じていない部分が存在していてもよく、また、例えば図29(D)に示したように、横方向で隣接するセル列間において、互い違いの位置ずれ構造(千鳥状の位置ずれ構造)となっていてもよい。
【0080】
<第3の実施の形態>
図30は、第3の実施の形態に係るプロジェクタ(プロジェクタ4)の概略構成を表すものである。なお、このプロジェクタ4は、本発明の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。ここで、図30(A)はプロジェクタ4を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図30(B)はプロジェクタ4を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。
【0081】
本実施の形態のプロジェクタ4は、照明光学系4Aを備えている点で、照明光学系1Aを備えたプロジェクタ1の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ1との相違点について主に説明し、プロジェクタ1との共通点についての説明を適宜省略するものとする。なお、照明光学系4Aは、本発明の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0082】
[照明光学系4Aの構成]
照明光学系4Aは、照明光学系1Aにおいて、光路合成素子30とインテグレータ40との間の光路上に、以下説明するアナモルフィックレンズ91を設けるようにしたものである。
【0083】
この照明光学系4Aはまた、例えば図31に示したように、照明光学系1A(図16参照)とは異なり、光源10A,10B,10Bおよび他の光学部材がいずれも、傾斜配置(回転配置)されていない。したがって、照明光学系4Aでは例えば図32に示したように、照明光学系1A(図15(A),(B))とは異なり(図20に示した比較例および第2の実施の形態の照明光学系3Aと同様に)、フライアイレンズ40Aにおいて、入射光の輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向とが、傾斜配置(回転配置)されていない。
【0084】
アナモルフィックレンズ91は、例えば図32中の矢印で示したように、フライアイレンズ40Aへの入射光における輝度分布形Lindの形状を、その短軸方向(ここでは縦方向(y軸方向,第2の方向))に沿って広げる光学素子である。このアナモルフィックレンズ91は、例えばシリンドリカルレンズ(レンチキュラーレンズ)であり、その光学特性(例えば焦点距離)が、縦方向と横方向(x軸方向,第1の方向)とで非対称となっている。具体的には、ここでは、縦方向の焦点距離と比べて横方向の焦点距離のほうが、相対的に長くなっている(縦方向の焦点距離<横方向の焦点距離)。
【0085】
[プロジェクタ4の作用・効果]
本実施の形態では、例えば図32に示したように、アナモルフィックレンズ91において、フライアイレンズ40Aへの入射光における輝度分布形Lindの形状がその短軸方向に沿って広げられることにより、第1の実施の形態等と同様の作用および効果が得られる。すなわち、LDからなるチップ11Aを含む光源から出射されるレーザ光が急峻な輝度分布形状を示す場合であっても、インテグレータ40において入射光の輝度むらが低減し易くなる。これにより、例えば図33に示したように、本実施の形態においても、照明光および表示光における輝度むらを低減する(この例では輝度むらの発生を回避する)ことができ、表示画質を向上させることが可能となる。
【0086】
なお、本実施の形態では、アナモルフィックレンズ91が単体として設けられている例を挙げて説明したが、これには限られず、例えばアナモルフィックレンズ91が、カップリングレンズ20A,20B,20C等と一体的に形成されているようにしてもよい。
【0087】
<第4の実施の形態>
図34は、第4の実施の形態に係るプロジェクタ(プロジェクタ5)の概略構成を表すものである。なお、このプロジェクタ5は、本発明の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。ここで、図34(A)はプロジェクタ5を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図34(B)はプロジェクタ5を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。
【0088】
本実施の形態のプロジェクタ5は、照明光学系5Aを備えている点で、照明光学系1Aを備えたプロジェクタ1の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ1との相違点について主に説明し、プロジェクタ1との共通点についての説明を適宜省略するものとする。なお、照明光学系5Aは、本発明の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0089】
[照明光学系5Aの構成]
照明光学系5Aは、照明光学系1Aにおいて、光路合成素子30とインテグレータ40との間の光路上に、以下説明する光路分岐素子92を設けるようにしたものである。
【0090】
この照明光学系5Aはまた、例えば図35に示したように、照明光学系1A(図16参照)とは異なり、光源10A,10B,10Bおよび他の光学部材がいずれも、傾斜配置(回転配置)されていない。したがって、照明光学系5Aでは例えば図37(A),(B)に示したように、照明光学系1A(図15(A),(B))とは異なり(図20に示した比較例および第2,第3の実施の形態の照明光学系3A,4Aと同様に)、フライアイレンズ40Aにおいて、入射光の輝度分布Lindにおける長軸方向と各セル41の配列方向とが、傾斜配置(回転配置)されていない。
【0091】
光路分岐素子92は、フライアイレンズ40Aへの入射光の光路を、その輝度分布形Lindの形状の短軸方向(ここでは縦方向(y軸方向,第2の方向))に沿って複数に分岐させる光学素子である。このような光路分岐素子92としては、例えば図36(A)に示したように、複数の次数からなる回折光をそれぞれ出射する回折素子92Aや、例えば図36(B)に示したようなハーフミラー(またはプリズム)92Bなどが挙げられる。
【0092】
[プロジェクタ5の作用・効果]
本実施の形態では、例えば図37(A),(B)に示したように、光路分岐素子92において、フライアイレンズ40Aへの入射光の光路が、その輝度分布形Lindの形状の短軸方向に沿って複数に分岐されることにより、第1の実施の形態等と同様の作用および効果が得られる。すなわち、LDからなるチップ11Aを含む光源から出射されるレーザ光が急峻な輝度分布形状を示す場合であっても、インテグレータ40において入射光の輝度むらが低減し易くなる。これにより、本実施の形態においても、照明光および表示光における輝度むらを低減する(この例では輝度むらの発生を回避する)ことができ、表示画質を向上させることが可能となる。
【0093】
なお、本実施の形態では、光路分岐素子92の具体例として、回折素子92Aおよびハーフミラー(プリズム)92Bを挙げて説明したが、これらには限られず、他の光学素子によって光路分岐素子92を構成してもよい。
【0094】
<第5の実施の形態>
図38は、第5の実施の形態に係るプロジェクタ(プロジェクタ6)の概略構成を表すものである。なお、このプロジェクタ6は、本発明の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。ここで、図38(A)はプロジェクタ6を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図38(B)はプロジェクタ6を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。
【0095】
本実施の形態のプロジェクタ6は、照明光学系6Aを備えている点で、照明光学系1Aを備えたプロジェクタ1の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ1との相違点について主に説明し、プロジェクタ1との共通点についての説明を適宜省略するものとする。なお、照明光学系6Aは、本発明の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0096】
[照明光学系6Aの構成]
照明光学系6Aは、照明光学系1Aにおいて、光路合成素子30とインテグレータ40との間の光路上に、第4の実施の形態で説明した光路分岐素子92と、第3の実施の形態で説明したアナモルフィックレンズ91とを、光路合成素子30側からこの順に設けるようにしたものである。なお、他の構成については、第3および第4の実施の形態の照明光学系4A,5Aと同様となっている。
【0097】
[プロジェクタ6の作用・効果]
このような構成からなる本実施の形態では、上記第3および第4の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。すなわち、照明光および表示光における輝度むらを低減する(この例では輝度むらの発生を回避する)ことができ、表示画質を向上させることが可能となる。また、本実施の形態では、光路分岐素子92およびアナモルフィックレンズ91の双方を設けるようにしたので、輝度むらを更に効果的に低減することができ、更なる高画質化を図ることが可能となる。
【0098】
なお、本実施の形態では、光路合成素子30とインテグレータ40との間の光路上に、光路分岐素子92およびアナモルフィックレンズ91を光路合成素子30側からこの順に設けた場合について説明したが、これには限られず、逆の順序で設けるようにしてもよい。すなわち、光路合成素子30とインテグレータ40との間の光路上に、アナモルフィックレンズ91および光路分岐素子92を光路合成素子30側からこの順に設けるようにしてもよい。
【0099】
<変形例>
続いて、上記第1〜第5の実施の形態に共通の変形例(変形例1〜3)について説明する。なお、これらの実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。また、以下の各変形例では、第1の実施の形態のプロジェクタ1(署名光学系1A)についての変形例を代表して説明するが、他の実施の形態(第2〜第5の実施の形態)のプロジェクタ3〜6(照明光学系3A,4A,5A,6A)についても同様の変形例を適用することが可能である。
【0100】
[変形例1]
図39(A),(B)は、変形例1に係るプロジェクタ(プロジェクタ7)の概略構成を表すものである。なお、このプロジェクタ7は、本発明の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。ここで、図39(A)はプロジェクタ7を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図39(B)はプロジェクタ7を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。
【0101】
本変形例のプロジェクタ7は、照明光学系7Aを備えていると共に空間変調素子60として反射型の素子を用いている点で、照明光学系1Aを備えたプロジェクタ1の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ1との相違点について主に説明し、プロジェクタ1との共通点についての説明を適宜省略するものとする。なお、照明光学系7Aは、本発明の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0102】
照明光学系7Aは、照明光学系1Aにおいて、コンデンサレンズ50の代わりにコンデンサレンズ50Aを設けるようにしたものである。このコンデンサレンズ50Aは、インテグレータ40により形成された多光源からの光束を平行化し、偏光ビームスプリッタ51を介してコンデンサレンズ50Bへ照明させるレンズである。
【0103】
また、本変形例では上記したように、空間変調素子60が、例えば反射型の液晶パネル等の反射型の素子によって構成されている。したがって、プロジェクタ7はプロジェクタ1と比較して、コンデンサレンズ50Bおよび偏光ビームスプリッタ51を更に備えている。偏光ビームスプリッタ51は、特定の偏光(例えばp偏光)を選択的に透過させると共に、他方の偏光(例えばs偏光)を選択的に反射させる光学部材である。また、空間変調素子60は、入射時と出射時とにおける各偏光(例えば、s偏光またはp偏光)が異なるものとなるように反射しつつ、光変調を行うようになっている。これにより、照明光学系7A側から入射した光(例えばs偏光)が選択的に反射されて空間変調素子60へ入射すると共に、この空間変調素子60から出射した画像光(例えばp偏光)が選択的に透過し、投影光学系70側へ入射するようになっている。コンデンサレンズ50Bは、インテグレータ40により形成され、コンデンサレンズ50Aおよび偏光ビームスプリッタ51を介して入射した多光源からの光束を集光し、照明範囲60Aを重畳的に照明するレンズである。
【0104】
このような構成からなる本変形例のプロジェクタ7においても、上記第1の実施の形態のプロジェクタ1等と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。
【0105】
また、特に本変形例では、インテグレータ40の光軸と直交する面内(xy面内)のうち、x軸方向が特に長くなっていることから、プロジェクタ7の装置外形における短軸方向(y軸方向)と各発光スポット11Bから発せられる光におけるFFPの短軸方向とを一致させることにより、プロジェクタ7全体の小型化を図る利点が大きいと言える。
【0106】
[変形例2]
図40(A),(B)は、変形例2に係るプロジェクタ(プロジェクタ8)の概略構成を表すものである。なお、このプロジェクタ8は、本発明の「投射型表示装置」の一具体例に相当する。図40(A)はプロジェクタ8を上から(y軸方向から)見たときの構成例を表し、図40(B)はプロジェクタ8を横から(x軸方向から)見たときの構成例を表す。また、図41(A),(B)は、図20のプロジェクタ8内の光路の一例を表すものである。図41(A)は、プロジェクタ8を上から(y軸方向から)見たときの光路の一例を表し、図41(B)はプロジェクタ8を横から(x軸方向から)見たときの光路の一例を表す。
【0107】
本変形例のプロジェクタ8は、照明光学系8Aを備えている点で、照明光学系1Aを備えたプロジェクタ1の構成と相違する。そこで、以下では、プロジェクタ1との相違点について主に説明し、プロジェクタ1との共通点についての説明を適宜省略するものとする。なお、照明光学系8Aは、本発明の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0108】
照明光学系8Aでは、照明光学系1Aの光源10A,10B,10Cと、ダイクロイックミラー30A,30Bとが省略され、その代わりに、光源10Dが設けられている。光源10Dは、カップリングレンズ20Dの光軸上に配置されており、照明光学系8Aは、光源10Dから発せられた光が直接、カップリングレンズ20Dに入射するように構成されている。
【0109】
光源10Dは、例えば、固体発光素子11と、固体発光素子11を支持するとともに覆うパッケージ12(固体発光素子11を実装するための基材)とを有している。すなわち、この場合にはチップ11Aが、上面発光型の素子となっている。あるいは、光源10Dは、ステム13とキャップ14とによって囲まれた内部空間に、1または複数の端面発光型のチップ11Aからなる固体発光素子11が収容されたキャンタイプの形態であってもよい。すなわち、この場合にはチップ11Aが、端面発光型の素子となっている。
【0110】
光源10Dに含まれる固体発光素子11は、単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発するようになっている。光源10Dに含まれる固体発光素子11は、例えば、所定の波長帯の光を発する単一のチップ11Aからなっていてもよいし、例えば、同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップ11Aからなっていてもよい。光源10Dに含まれる固体発光素子11が複数のチップ11Aからなる場合には、それらのチップ11Aは、例えば、横方向に一列に配置されていたり、例えば、横方向および縦方向に格子状に配置されていたりする。
【0111】
チップ11Aは、発光ダイオード(LED)、有機EL発光素子(OLED)、またはレーザダイオード(LD)からなる。ただしこの場合も、光源10Dに含まれるチップ11Aの少なくとも1つが、LDによって構成されている。
【0112】
光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、光源10Dに含まれるチップ11Aが全て、互いに等しい波長帯の光を発するようになっていてもよいし、互いに異なる波長帯の光を発するようになっていてもよい。光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、全てのチップ11Aが、波長400nm〜500nm程度の波長の光(青色光)を発するもので構成されていてもよいし、波長500nm〜600nm程度の波長の光(緑色光)を発するもので構成されていてもよいし、波長600nm〜700nm程度の波長の光(赤色光)を発するもので構成されていてもよい。また、光源10Dに複数のチップ11Aが含まれている場合に、光源10Dに含まれる複数のチップ11Aが、例えば、波長400nm〜500nm程度の波長の光(青色光)を発するものと、波長500nm〜600nm程度の波長の光(緑色光)を発するものと、例えば、波長600nm〜700nm程度の波長の光(赤色光)を発するものとで構成されていてもよい。
【0113】
[変形例3]
図42は、変形例3に係る光源(光源10A,10B,10C,10D)の断面構成例を表したものである。本変形例の光源では、これまで説明した光源とは異なり、以下のような構成となっている。すなわち、前述した第1光源(例えば、光源10A,10B,10C,10D)内において、LDからなる複数のチップ11Aのうちの少なくとも1つが、光軸Z1に対して傾斜配置されている。具体的には、ここでは、3つのチップ11A−1,11A−2,11A−3のうちの2つのチップ11A−1,11A−2がそれぞれ、第2光源の光軸Z1に対して傾斜配置されている。なお、残りのチップ11A−2はこれらとは異なり、この光軸Z1に対して平行配置されている。このため、チップ11A−2から発せられるレーザ光の光路は光軸Z1に対して平行となっている一方、チップ11A−1,11A−3から発せられるレーザ光の光路はそれぞれ、光軸Z1に対して傾斜された方向となっている。これにより本変形例では、光路変換(光路合成)後の各レーザ光の強度ピークを光軸Z1の方向に揃えることができる。
【0114】
また、本変形例においても例えば図43に示したように、各チップ11A−1,11A−2,11A−3における発光スポット11B−1,11B−2,11B−3から発せられるレーザ光におけるFFPの短軸方向がそれぞれ、インテグレータ40の光軸と直交する面内における短軸方向(ここではy軸方向)と略一致するようにするのが望ましい。また、同様に、上記した第1光源が互いに異なる2以上の波長帯の光を発する光源である場合には、各発光スポット11B−1,11B−2,11B−3から発せられるレーザ光のFFPの長軸方向(ここではx軸方向)が、これらの2以上の波長帯間で互いに略一致するようにするのが望ましい。
【0115】
[その他の変形例]
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0116】
例えば、上記実施の形態等では、照明光学系1A,3A,4A,5A,6A,7A,8Aが、平行光をフライアイレンズ40A,40Cに入射させる無限光学系を含んで構成されていたが、収束光(または発散光)をフライアイレンズ40A,40Cに入射させる有限光学系を含んで構成されていてもよい。この場合には、上記実施の形態等において、カップリングレンズ20A〜20Dの代わりに、光源10A〜10Dから発せられた光を収束するか、または発散する機能を有する指向角変換素子を配置すればよい。ただし、この場合には、フライアイレンズ40A,40Cの各セル41によってフライアイレンズ40Bに形成される各光源像Sのサイズがフライアイレンズ40Bの1つのセル42のサイズを超えない大きさとなるように、上記の指向角変換素子と、フライアイレンズ40A(またはフライアイレンズ40C),40Bとからなる光学系の光学倍率が設定されていることが好ましい。具体的には、上記の指向角変換素子と、フライアイレンズ40A(またはフライアイレンズ40C),40Bとからなる光学系の光学倍率が以下の関係式を満たすことが好ましい。なお、この場合においても、フライアイレンズ40A,40B,40Cの各セル41,42が1以外の縦横比(アスペクト比)を有している場合には、照明光学系1A,3A,4A,5A,6A,7A,8Aが、アナモルフィック光学系となっていることが好ましい。
h=P×m≦hFEL2
m:上記の指向角変換素子と、フライアイレンズ40A(またはフライアイレンズ40C),40Bとからなる光学系の光学倍率
【0117】
また、上記実施の形態等において説明した各照明光学系および各プロジェクタにおける特徴的部分の構成同士を、任意の組み合わせで兼ね備えるようにしてもよい。具体的には、例えば、第1の実施の形態の照明光学系1Aの構成と、第2〜第5の実施の形態の各照明光学系3A,4A,5A,6Aの構成とを組み合わせてもよい。また、例えば、第2の実施の形態の照明光学系3Aの構成と、第3〜第5の実施の形態の各照明光学系4A,5A,6Aの構成とを組み合わせてもよい。このように、複数の実施の形態等における特徴的部分の構成同士を組み合わせた場合、相乗的に輝度むらを低減することができ、更なる高画質化を図ることが可能となる。
【0118】
更に、上記実施の形態等では、本発明を、投射型表示装置に適用した場合について説明されていたが、他の表示装置に適用することももちろん可能である。例えば、図44に示したように、本発明を、リアプロジェクション表示装置9に適用することが可能である。このリアプロジェクション表示装置9は、照明光学系1A,3A,4A,5A,6A,7A,8A(またはこれらのうちの任意の組み合わせ)を含むプロジェクタ1,3,4,5,6,7,8等と、プロジェクタ1,3,4,5,6,7,8等(投影光学系70)から投射された画像光を映し出す透過型スクリーン90とを備えている。このように、リアプロジェクション表示装置9の照明光学系として、照明光学系1A,3A,4A,5A,6A,7A,8A等を用いることにより、照明光(画像光,表示光)における輝度むらを低減することができ、表示画質を向上させることが可能となる。
【0119】
加えて、上記実施の形態等では、空間変調素子60が透過型または反射型の素子によって構成されている場合について説明したが、これには限られず、例えば、空間変調素子60がデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)によって構成されていてもよい。
【0120】
加えて、上記実施の形態等では、照明光学系および表示装置の各構成要素(光学系)を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態等では、本発明の照明装置の用途として、投射型等の表示装置を例に挙げて説明したが、これには限られず、例えばステッパ等の露光装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0122】
1,3,4,5,6,7,8…プロジェクタ、1A,3A,4A,5A,6A,7A,8A…照明光学系、2…スクリーン、9…リアプロジェクション表示装置、90…透過型スクリーン、10A,10B,10C、10D…光源、11…固体発光素子、11A,11A−1,11A−2,11A−3…チップ、11B,11B−1,11B−2,11B−3…発光スポット、12…パッケージ、13…ステム、13A…支持基板、13B…外枠基板、13C…接続端子、14…キャップ、14A…筒部、14B…光透過部、15…サブマウント、16…ワイヤ、20A,20B,20C,20D…カップリングレンズ、30…光路合成素子、30A,30B…ダイクロイックミラー、40,43…インテグレータ、40A,40B,40C,40D…フライアイレンズ、41,42…セル、50,50A,50B…コンデンサレンズ、51…偏光ビームスプリッタ、60…空間変調素子、60A…照明範囲、70…投影光学系、91…アナモルフィックレンズ、92…光路分岐素子、92A…回折素子、92B…ハーフミラー(プリズム)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発する固体発光素子を含む1または複数の光源と、
前記固体発光素子側から入射した光が通過して出射する光学部材と
を備え、
前記固体発光素子は、単一もしくは複数の波長帯の光を発する単一のチップ、または同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップからなり、
前記1または複数の光源全体として、前記チップの少なくとも1つがレーザダイオードであり、
前記光学部材は、
前記固体発光素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、前記固体発光素子側から入射した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータを備え、
前記第1および第2のフライアイレンズはそれぞれ、複数のセルを有し、
前記第1のフライアイレンズの入射面における入射光の輝度分布形状の長軸方向が、前記第1のフライアイレンズにおける各セルの配列方向と異なっている
照明装置。
【請求項2】
前記第1のフライアイレンズにおける各セルが、前記配列方向としての互いに直交する第1および第2の方向の各々に沿って配列されており、
前記入射光における前記長軸方向が、前記第1および第2の方向のいずれとも異なっている
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記レーザダイオードからなるチップの前記発光スポットから発せられるレーザ光におけるファーフィールドパターン(FFP)の長軸方向が、前記第1のフライアイレンズにおける前記第1および第2の方向のいずれとも異なるように、少なくとも前記レーザダイオードからなるチップが傾斜配置されている
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記入射光における前記長軸方向と前記第1の方向とがなす角度θについて、以下の関係式を満たす
請求項2または請求項3に記載の照明装置。
θ=tan-1[hFEL1y/(hFEL1x×nx)]
FEL1x:前記第1のフライアイレンズにおける1つのセルの前記第1の方向のサイズ
FEL1y:前記第1のフライアイレンズにおける1つのセルの前記第2の方向のサイズ
x:前記第1のフライアイレンズにおける前記第1の方向に沿ったセル数
【請求項5】
前記第1のフライアイレンズにおいて、
前記第2の方向に沿った各セルの位置が、前記第1の方向に沿って配置された複数のセル列のうちの少なくとも一部のセル列間で、互いに異なっている
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第2の方向に沿った各セルの位置が、前記第1の方向に沿った前記複数のセル列のうちの隣接するセル列間でそれぞれ、同じ向きにずれている
請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記隣接するセル列間でのずれ量dについて、以下の関係式を満たす
請求項6に記載の照明装置。
d=(hFEL1y/nx
FEL1y:前記第1のフライアイレンズにおける1つのセルの前記第2の方向のサイズ
x:前記第1のフライアイレンズにおける前記第1の方向に沿ったセル数
【請求項8】
前記レーザダイオードからなるチップを含む光源と前記第1のフライアイレンズとの間の光路上に、前記入射光における前記輝度分布形状をその短軸方向に沿って広げる光学素子を更に備えた
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光学素子が、前記第2の方向の焦点距離と比べて前記第1の方向の焦点距離のほうが相対的に長くなっているアナモルフィックレンズである
請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記レーザダイオードからなるチップを含む光源と前記第1のフライアイレンズとの間の光路上に、前記入射光の光路をその輝度分布形状の短軸方向に沿って複数に分岐させる光路分岐素子を更に備えた
請求項8または請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記光路分岐素子が、回折素子、ハーフミラーまたはプリズムである
請求項10に記載の照明装置。
【請求項12】
前記レーザダイオードからなるチップを含む光源と前記第1のフライアイレンズとの間の光路上に、前記入射光の光路をその輝度分布形状の短軸方向に沿って複数に分岐させる光路分岐素子を更に備えた
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記レーザダイオードからなるチップを含む光源と前記第1のフライアイレンズとの間の光路上に、前記入射光における前記輝度分布形状をその短軸方向に沿って広げる光学素子を更に備えた
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記レーザダイオードからなるチップを含む光源と前記第1のフライアイレンズとの間の光路上に、前記入射光の光路をその輝度分布形状の短軸方向に沿って複数に分岐させる光路分岐素子を更に備えた
請求項13に記載の照明装置。
【請求項15】
前記レーザダイオードからなるチップを含む光源と前記第1のフライアイレンズとの間の光路上に、前記入射光の光路をその輝度分布形状の短軸方向に沿って複数に分岐させる光路分岐素子を更に備えた
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項16】
前記第1のフライアイレンズは、前記第2のフライアイレンズの略焦点位置に配置されており、
前記第2のフライアイレンズは、前記第1のフライアイレンズの略焦点位置に配置されている
請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項17】
前記光学部材が、
前記固体発光素子側から入射した光の指向角を変換する1または複数の指向角変換素子と、
前記指向角変換素子を透過した光が照明する前記所定の照明範囲における光の照度分布を均一化する前記インテグレータと
を有する請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項18】
各光源は、前記固体発光素子を内蔵したパッケージ、または前記固体発光素子を基材上に支持するパッケージとなっている
請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項19】
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、
前記空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と
を備え、
前記照明光学系は、
単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発する固体発光素子を含む1または複数の光源と、
前記固体発光素子側から入射した光が通過して出射する光学部材と
を備え、
前記固体発光素子は、単一もしくは複数の波長帯の光を発する単一のチップ、または同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップからなり、
前記1または複数の光源全体として、前記チップの少なくとも1つがレーザダイオードであり、
前記光学部材は、
前記固体発光素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、前記固体発光素子側から入射した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータを備え、
前記第1および第2のフライアイレンズはそれぞれ、複数のセルを有し、
前記第1のフライアイレンズの入射面における入射光の輝度分布形状の長軸方向が、前記第1のフライアイレンズにおける各セルの配列方向と異なっている
投射型表示装置。
【請求項20】
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する空間変調素子と、
前記空間変調素子で生成された画像光を投射する投影光学系と、
前記投影光学系から投射された画像光を映し出す透過型スクリーンと
を備え、
前記照明光学系は、
単一もしくは複数の点状、または単一もしくは複数の非点状の発光スポットからなる光射出領域から光を発する固体発光素子を含む1または複数の光源と、
前記固体発光素子側から入射した光が通過して出射する光学部材と
を備え、
前記固体発光素子は、単一もしくは複数の波長帯の光を発する単一のチップ、または同一の波長帯もしくは互いに異なる波長帯の光を発する複数のチップからなり、
前記1または複数の光源全体として、前記チップの少なくとも1つがレーザダイオードであり、
前記光学部材は、
前記固体発光素子側からの光が入射する第1のフライアイレンズと、前記第1のフライアイレンズ側からの光が入射する第2のフライアイレンズとからなり、前記固体発光素子側から入射した光が照明する所定の照明範囲における光の照度分布を均一化するインテグレータを備え、
前記第1および第2のフライアイレンズはそれぞれ、複数のセルを有し、
前記第1のフライアイレンズの入射面における入射光の輝度分布形状の長軸方向が、前記第1のフライアイレンズにおける各セルの配列方向と異なっている
直視型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−203392(P2012−203392A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71153(P2011−71153)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】