照明装置およびプロジェクタ
【課題】照明光の空間分布や角度分布の広がりが狭く、高輝度で強度分布の対称性に優れた照明光が得られる照明装置を実現する。
【解決手段】本発明の照明装置1は、第1光源部2と第2光源部3とが照明光軸Lに対して略対称に配置され、第1光源部2と第2光源部3との各々は、発光管4と、発光管4の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されて発光管4から射出された光を照明対象に向けて反射させる主リフレクター5(第1リフレクター)と、発光管4の光軸を挟んで主リフレクター5と対向するように配置されて発光管4から射出された光を主リフレクター5に向けて反射させる副リフレクター6(第2リフレクター)と、を備えている。
【解決手段】本発明の照明装置1は、第1光源部2と第2光源部3とが照明光軸Lに対して略対称に配置され、第1光源部2と第2光源部3との各々は、発光管4と、発光管4の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されて発光管4から射出された光を照明対象に向けて反射させる主リフレクター5(第1リフレクター)と、発光管4の光軸を挟んで主リフレクター5と対向するように配置されて発光管4から射出された光を主リフレクター5に向けて反射させる副リフレクター6(第2リフレクター)と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光変調素子を照明する照明装置と、光変調素子に形成した光学像を投写レンズによりスクリーン上に投写表示するプロジェクタに関し、より詳しくは、複数個の光源部を備えた照明装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
大画面映像を表示可能な装置の一つとして、映像情報に応じて光学像を形成する小型の光変調素子を照明装置からの光で照明し、その光学像を投写レンズによりスクリーン等へ拡大表示するプロジェクタが実用化されている。このようなプロジェクタでは、投写画像の大画面化や高輝度化、輝度ムラや色ムラの低減が強く望まれており、それらを実現するための高性能な照明装置が開発されてきている。
【0003】
一般的なプロジェクタの照明装置では、発光管における発光部の略中心がリフレクター(凹面反射鏡)の焦点位置に一致するように配置されており、発光管から放射された光をリフレクターで反射させ、照明光軸に沿った略一方向に射出する。ここで、発光管から放射された光は、発光管の電極等で遮られる光を除けば、略全周方向に放射される。よって、発光管からの光を無駄なく略一方向に射出させるためには、開口径が大きく焦点距離が短いリフレクター、いわゆる深型のリフレクターが好適である。ところが、開口径の大型化は照明装置の大型化を招くため、装置の小型化が望まれる昨今の市場ニーズに適さない。また、焦点距離を短くすることについては、リフレクターと発光管との物理的な干渉の問題と、発光管からの熱によるリフレクターの損傷を避けなければならないことから限界がある。さらに、リフレクターは、短焦点化するほど反射面が曲率変動幅の大きい凹面形状となるため、反射率の高い反射膜をリフレクターの内表面に形成することが困難になる、等の課題がある。したがって、単一の発光管を使用した照明装置において、装置の小型化を図りつつ射出光量(光出力)を高めるのは限界がある。
【0004】
そこで、光出力の更なる増大を図るために、照明装置の発光管を複数化した構成が提案されている。
例えば、下記の特許文献1に開示されている投写型表示装置(プロジェクタ)では、2つの光源部(発光管とリフレクター)を並べて用いることによりライトバルブ(光変調素子)を照明する光量の増大を図り、各光源部に対応したインテグレータ光学系を備えることにより照明光の輝度ムラや色ムラの低減を図っている。
【0005】
一方、装置の小型化を図る手段として、一般的なリフレクターを照明光軸を含む平面で半分に割った形状(以下、本明細書では「半割状」と称する)のリフレクターとそれに対応した球面リフレクターを発光管の近傍に配置した照明装置が、下記の特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開平6−265887号公報
【特許文献2】特開2003−187604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶ライトバルブに代表される光変調素子や偏光素子、投写レンズ等の光学素子は、いずれも光学特性が入射光に対する角度依存性を有している。そのため、表示画像の高品質化を図るためには、照明装置は角度分布の広がりが狭い照明光を射出できることが望ましい。しかしながら、上記の特許文献1のプロジェクタの構成によれば、2つの光源(発光管)を照明光軸からかなり離れた位置に配置しているため、照明光の空間分布と角度分布はいずれも大きく広がる。また、投写レンズの瞳面に形成される2群の光源像は投写光軸から離れた位置に形成される。
【0007】
その結果、色光分離特性が入射角依存性を有するダイクロイックミラーを色光分離光学系として用いる場合には、分離された色光はその断面内で色ムラを生じるため、表示画像に色ムラやコントラスト低下を生じる。また、期待したほどには表示画像を高輝度化できない。また、投写レンズの結像性能は投写光軸の近傍で高く、投写光軸から離れるにしたがって低下するため、投写レンズの結像性能を十分に発揮できず、表示画像の画質劣化を招く、等の問題を生じる。
【0008】
一方、上記の特許文献2の照明装置を例えばプロジェクタの同軸照明系として用いた場合、照明装置から射出される光の角度分布は軸対称にならない。したがって、表示特性が入射光に対して角度依存性を有する光変調素子、例えば液晶ライトバルブのような光変調素子を照明する場合には、照明光の角度分布の非対称性に起因して大きな照度ムラや色ムラが発生し、表示画像の画質は大きく劣化する。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、照明効率の向上と表示画像の高輝度化、高画質化を実現する観点から、発光管からの放射光を効率良く略一方向に射出するとともに、照明光の空間分布や角度分布の広がりが狭く、高輝度で強度分布の対称性に優れた照明光が得られ、小型化し易い構成の照明装置を実現することを目的とする。また、このような照明装置を備えたプロジェクタを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の照明装置は、第1光源部と第2光源部とが照明光軸に対して略対称に配置され、前記第1光源部と前記第2光源部との各々は、発光管と、前記発光管の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されて前記発光管から射出された光を照明対象に向けて反射させる第1リフレクターと、前記発光管の光軸を挟んで前記第1リフレクターと対向するように配置されて前記発光管から射出された光を前記第1リフレクターに向けて反射させる第2リフレクターと、を備えたことを特徴とする。
なお、ここで言う「照明光軸」とは、照明装置全体としての光軸のことである。また、「発光管の光軸」とは、電力供給時に発光管内に発生する発光部を通り、当該発光管の発光分布における略対称軸のことである。
【0011】
本発明の照明装置によれば、発光管と第1リフレクターと第2リフレクターとから構成された第1光源部、第2光源部の2つの光源部を備えているので、発光管を1個しか持たない照明装置に比べて高輝度の照明光が得られる。また、同様の構成を有する2つの光源部が照明光軸に対して略対称に配置されているので、強度分布の対称性に優れた照明光が得られる。さらに、発光管から第1リフレクターと反対側に向けて射出された光は、第2リフレクターによって第1リフレクターに向けて反射された後、第1リフレクターによって照明対象に向けて反射されるため、発光管からの放射光を無駄なく照明光軸に沿った略一方向に射出することができる。
【0012】
また、従来のリフレクターと同様、照明対象に向けて光を反射させる機能を有する本発明の第1のリフレクターは、発光管の光軸方向から見たときに発光管の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されている。すなわち、本発明の第1のリフレクターは、特許文献1のリフレクターと異なり、発光管の光軸を中心とする全周の全てを囲んでいないため、リフレクター同士が干渉することなく、2つの発光管同士を近接させて配置できる。その結果、2つの発光管から射出される光を照明光軸の近傍に位置させることができるため、空間分布や角度分布の広がりが狭い照明光が得られるとともに、照明装置の小型化を図れる。
【0013】
本発明の照明装置において、前記第1リフレクターおよび前記第2リフレクターは湾曲した反射面同士が互いに対向するように配置され、前記発光管の光軸を中心とする略全周にわたって前記第1リフレクターと前記第2リフレクターの少なくとも一方が配置されていることが望ましい。なお、第1リフレクターおよび第2リフレクターは、これらリフレクターの焦点位置が発光部の略中心の位置に一致するように配置される。
この構成によれば、発光管から略全周に向けて放射された光のうち、第1リフレクターにも第2リフレクターにも反射されずに損失する光(照明光軸に沿った略一方向に射出されない光)を低減でき、発光管から射出された光のうちの大部分を照明対象を照明する光として有効利用できる。
【0014】
本発明の照明装置において、発光部が完全に点状(点光源)であったとすると、第1リフレクター、第2リフレクターの各々の受光可能角度範囲が180度であれば発光管の光軸を中心とする全周(360度)を全てカバーできるが、発光管の光軸を中心とした第1リフレクターの受光可能角度範囲を180度より大きくする構成としても良い。
上記の説明では発光部が完全に点状(点光源)であると仮定したが、実際の発光部は完全な点状(点光源)ではなく、有限の大きさを有する線状あるいは一定の空間を占有する立体形状である。発光部が有限の大きさを有していると、2つのリフレクターの焦点位置から外れた位置から射出される光が存在することになる。したがって、この構成によれば、第1リフレクターにも第2リフレクターにも反射されない光を低減でき、照明光軸に沿った略一方向に射出される光を増大させることができる。また、各光源部の第1リフレクターのネック部(固定部)の面積を大きくできるため、発光管をより確実に固定できる。
【0015】
本発明の照明装置において、第1リフレクターの受光可能角度範囲を180度より大きくすることに加えて、発光管の光軸を中心とした第2リフレクターの受光可能角度範囲を180度より大きくする構成としても良い。
この構成によれば、リフレクターの焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクターで確実に反射できるため、照明光軸に沿った略一方向に射出される光を一層増大させることができる。
【0016】
本発明の照明装置において、第2リフレクターを、発光管の表面に形成された反射膜で構成することができる。
この構成によれば、第2リフレクターを支持するための支持部材が不要であり、第2リフレクターの取り付け位置の調整が不要である。また、照明装置を小型化しやすい。
【0017】
あるいは、第2リフレクターを、発光管と別体であって発光管に近接して配置された反射ミラーで構成することができる。
この構成によれば、例えば発光管を構成する球状のバルブ部のレンズ効果を考慮して、反射ミラーの光学特性(例えば凹面の形状や曲率)を適切に設定したり、反射ミラーの取り付け位置を調整したりすることができる。これにより、反射ミラーでの反射光を所望の位置に戻しやすく、光利用効率を高めやすくなる。また、反射ミラーの取り付け位置の調整により発光管内の電極に反射光が当たらないようにできるため、発光管の長寿命化に有効である。さらに、使用時に高温になるバルブ部と反射ミラーとの間に空隙ができるように、反射ミラーをバルブ部から離して設置できるため、熱による反射ミラーの劣化を防止でき、光学特性や取り付け位置精度を維持しやすい。
【0018】
なお、熱膨張率を合わせることで耐熱性を確保する等の観点から、反射ミラーの基材には発光管と同じ材料(例えば石英ガラス等)を使用することが望ましい。また、反射膜には誘電体多層膜や金属膜を使用することが望ましい。
【0019】
本発明の照明装置において、第1光源部の第1リフレクターと第2光源部の第1リフレクターとを一体化した構成としても良い。
この構成によれば、2つの光源部の発光管の光軸を合わせやすい。また、部品点数の削減によりコスト低減が図れる。
【0020】
本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部との間に、第1光源部と第2光源部との各々の発光管が配置された空間を区画する分離板を設けた構成としても良い。
この構成によれば、分離板により各発光管が配置された空間が区画されるため、例えば第1光源部、第2光源部のいずれか一方の発光管が破損した場合に他方の光源部への影響を抑えることができる。
【0021】
さらに、上記の分離板を、第1光源部側に位置する第1分離板と第2光源部側に位置する第2分離板の2枚の分離板で構成しても良い。
この構成によれば、第1分離板と第2分離板との界面で第1光源部、第2光源部の各々が独立した構成となるため、光源部単位での着脱が容易になる。そのため、例えば第1光源部、第2光源部のいずれか一方が不点灯となったような場合に光源部の交換が容易になる。
【0022】
本発明の照明装置において、第1光源部の発光管に接続された第1リード線と第2光源部の発光管に接続された第2リード線とが、互いに離間するように配置されることが望ましい。
この構成によれば、第1光源部、第2光源部各々からの射出光が第1リード線や第2リード線によって遮られにくくなり、リード線への熱の影響を低減できる。また、各リード線に高電圧の電流を流した場合に生じる電磁波の影響も低減でき、安定した点灯状態を実現できる。
【0023】
本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光を互いに照明光軸側に近接させる光路変更手段を設ける構成としても良い。
この構成によれば、照明光の空間分布や角度分布の広がりをより狭くでき、照明効率を向上できる。また、光路変更手段をリフレクターと一体化しても良く、その場合、照明装置の更なる小型化が図れる。
【0024】
あるいは、本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光の照度を均一化する照度均一化光学系を備え、照度均一化光学系が、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光を互いに照明光軸側に近接させる機能を備えた構成としても良い。
この構成によれば、照度均一化光学系を備えた照明装置において、光路を変更するための光学部品を追加することなく、照明光の空間分布や角度分布の広がりをより狭くでき、照明効率を向上できる。
【0025】
本発明のプロジェクタは、上記の本発明の照明装置と、照明装置からの光を変調する光変調素子と、光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とする。
本発明のプロジェクタによれば、上記の本発明の照明装置を備えたことにより、照明効率の向上と表示画像の高輝度化、高画質化を実現できる。
【0026】
本発明のプロジェクタにおいて、照明装置の第1光源部と第2光源部とが、光変調素子の長手方向に沿って並ぶように配置される構成であることが望ましい。
本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部とが隣接する領域の近傍から射出される照明光の光強度は他の領域に比べて弱くなる場合があり、この領域で光強度の対称性が崩れやすい傾向にある。その点、第1光源部と第2光源部とが光変調素子の長手方向に沿って並んだ構成であれば、第1光源部と第2光源部とが隣接する領域が光変調素子の短手方向に沿って位置することになり、画質低下に及ぼす悪影響を低減できる。
【0027】
本発明のプロジェクタにおいて、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光を異なる波長域の複数の色光に分離する色光分離光学系を備えている場合、第1光源部と第2光源部とが、色光分離光学系における色光分離方向と直交する方向に沿って並ぶように配置される構成であることが望ましい。
上述したように、2つの光源部が隣接する領域の近傍から射出される照明光の光強度は他の領域に比べて弱くなる場合があるため、このような光を色光分離光学系の入射角依存性が大きい方向に位置させることによって、色ムラや明るさムラの発生を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図3を用いて説明する。
本実施形態は、2つの光源部を備えた本発明の照明装置の一例である。
図1(A)、(B)は本実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図1(A)は後述する照明光軸と2つの発光部とを含む平面で切断したときの側断面図、図1(B)は照明光軸が延在する方向(図1(A)の矢印Aの方向)から照明装置を見たときの正面図である。
図2(A)、(B)は副リフレクターを設けたことの効果を示す図であり、図2(A)は各リフレクターでの反射光の経路を示す図、図2(B)は本実施形態の照明装置と比較例の照明装置とで射出光束の光強度分布を比較した図、である。
図3は本実施形態の照明装置と従来例の照明装置とで射出光束の光強度分布を比較した図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0029】
以下の説明では、照明装置全体の光軸を「照明光軸L」と称し、第1光源部、第2光源部各々の主リフレクターの光軸をそれぞれ「ランプ光軸L1」、「ランプ光軸L2」と称する。また後述するように、発光管内の発光部が主リフレクターの焦点位置に配置されていることから、「ランプ光軸」は「発光管の光軸」とも一致している。「発光管の光軸」とは、発光部を通り、当該発光管の発光分布における略対称軸のことである。本実施形態では一対の電極を有する発光管を使用しており、「発光管の光軸」は一対の電極が延在する方向と一致している。
【0030】
本実施形態の照明装置1は、図1(A)、(B)に示すように、照明光軸Lに対して互いに対称配置された第1光源部2、第2光源部3の2つの光源部を有している。第1光源部2、第2光源部3はともに同一の構造を有しており、アーク放電型発光管4(以下、単に「発光管」と称することもある)と、主リフレクター5(第1リフレクター)と、副リフレクター6(第2リフレクター)と、を備えている。主リフレクター5は、発光管4から射出された光を照明対象に向けて反射させる機能を主に担っている。副リフレクター6は、発光管4から射出された光を主リフレクター5に向けて反射させる機能を主に担っている。
【0031】
発光管4は、図1(A)に示すように、バルブ部7と、封止部8と、一対の電極9および給電端子10と、リード線11と、を備えている。バルブ部7は内部空間を有する略球状の管体であり、バルブ部7の両端には棒状の封止部8がバルブ部7と一体に形成されている。バルブ部7および封止部8は、例えば石英ガラス、サファイア等の耐熱性が高い透明材料で構成されている。バルブ部7の内部空間には、先端が尖った一対の電極9が対向するように配置されるとともに、発光物質と気体とが封入されている。発光物質としては例えば水銀、金属ハロゲン化物等が用いられ、気体としては例えば希ガス、ハロゲンガス等が用いられる。本実施形態では、発光管4は、一対の電極9が延在する方向がランプ光軸L1,L2と一致する姿勢で主リフレクター5に固定されている。
【0032】
また、一対の電極9の各々から延在する給電端子10が各封止部8を貫通するように設けられ、一方の給電端子10にはリード線11が接続され、他方の給電端子10には口金16が接続されている。口金16にはリード線11が接続されている。この構成により、各電極9にはリード線11、口金16を介して外部から電力が供給される。また、図1(B)に示すように、第1光源部2のリード線11(第1リード線)と第2光源部3のリード線11(第1リード線)とは、互いに離間する方向に延在するように配置されている。以上の構成を有する発光管4において、一対の電極9間に高電圧を印加すると、電極9間に放電が生じて線状あるいは点状の発光部12が発生し、発光部12から略全周方向に光が放射される。なお、アーク放電型発光管4としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が該当する。
【0033】
主リフレクター5は、例えばガラスや結晶化ガラス等の耐熱性が高く、機械的強度が大きい基材と、基材の内面(発光管が配置された側の面)の全領域に形成された、例えば誘電体多層膜や金属膜からなる反射ミラーと、から構成されている。また、主リフレクター5は、発光管4の封止部8を挿入して固定するための後方貫通孔13を備えたネック部14と、照明対象に向けて光を射出する前方開口部15と、を有している。図1(A)に示すように、主リフレクター5の反射ミラーが形成された反射面5aは放物面となっている。なお、反射面5aは、放物面に限らず、楕円面や非球面であっても良い。
【0034】
また、ランプ光軸L1,L2に直交する平面で見ると、図1(B)に示すように、一般のリフレクターではランプ光軸L1,L2を中心として全周(360度)にわたって反射ミラーが存在するのに対し、本実施形態の主リフレクター5では半周(180度)の部分が反射ミラーが存在する反射面5aとなっている。なお、主リフレクター5の内面のうち、反射ミラーが存在し、発光管4および副リフレクター6からの光を受光可能な角度範囲のことを「主リフレクター5の受光可能角度範囲θM」と称する。言い換えると、ランプ光軸L1,L2に直交する平面で見たときに、反射ミラーの各端部とランプ光軸L1(L2)とを結ぶ2本の線分がなす角度が受光可能角度範囲θMである。この例ではθM=180度である。すなわち、本実施形態の主リフレクター5は、ランプ光軸L1,L2を中心として全周(360度)を覆う一般のリフレクターを、反射ミラーの各端部とランプ光軸L1(L2)とを含む平面P1によって半分に割った形状(いわゆる半割状)となっている。
【0035】
主リフレクター5は、主リフレクター5(反射ミラー)の光軸が発光管4の光軸(一対の電極の延在方向)と一致するように配置されている。すなわち、主リフレクター5は、主リフレクター5の焦点位置が発光部12の位置に一致するように、発光管4に対して位置合わせされている。本実施形態においては、上述したように、互いに一致する主リフレクター5(反射ミラー)の光軸および発光管4の光軸がランプ光軸L1,L2である。
【0036】
副リフレクター6は、発光管4のバルブ部7の外表面であって、ランプ光軸L1,L2を中心として主リフレクター5が存在しない側の半分の領域に形成された反射膜で構成されている。すなわち、副リフレクター6は、図1(B)に示すように、バルブ部7の外表面において、ランプ光軸L1(L2)を含む平面P1によってバルブ部7を半分に割った領域(図1(B)の斜線を施した部分)に設けられている。副リフレクター6においても、主リフレクター5と同様、反射膜が存在し、発光管4からの光を受光可能な角度範囲のことを「受光可能角度範囲θS」と定義すると、θS=180度である。
【0037】
副リフレクター6を構成する反射膜には高い耐熱性が要求されるため、例えば五酸化タンタル(Ta2O5)と酸化珪素(SiO2)からなる多層膜、酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)からなる多層膜等が好適に用いられる。あるいは、酸化ニオブ(Nb2O5)を含む多層膜を用いれば、発光部12から放射された紫外線を吸収してバルブ部7を保温できるため、発光効率の向上に効果がある。
【0038】
本実施形態の照明装置1は、図1(A)に示すように、以上の構成要素を備えた同一構成の第1光源部2と第2光源部3とが照明光軸Lに対して対称に配置されて構成されている。第1光源部2のランプ光軸L1と第2光源部3のランプ光軸L2とが照明光軸Lと略平行で、かつ、ランプ光軸L1とランプ光軸L2との間の距離が可能な限り短くなるように、第1光源部2と第2光源部3とが配置されている。本実施形態の場合、図1(B)に示すように、第1光源部2の主リフレクター5と第2光源部3の主リフレクター5との間に間隙Sがある。この間隙Sの寸法(P1−P1間の距離)はバルブ部7の直径よりも若干大きい程度である。
【0039】
上記構成の照明装置1において、図2(A)に示すように、発光部12からは略全周方向に光が放射されるが、主リフレクター5に向けて放射された光B1は主リフレクター5の反射ミラーで反射され、ランプ光軸L1,L2と略平行な光となって第1光源部2、第2光源部3からそれぞれ射出される。一方、副リフレクター6を構成する反射膜は略球状のバルブ部7の外表面に形成されていることから、その反射面の曲面形状は球面状である。したがって、副リフレクター6に向けて放射された光B2は反射膜で反射され、集光状態で発光部12を通過し、あたかも発光部12から放射された光の如く主リフレクター5に向かい、主リフレクター5の反射ミラーで反射され、ランプ光軸L1,L2と略平行な光となって第1光源部2、第2光源部3からそれぞれ射出される。すなわち、主リフレクター5の反射ミラーは、発光部12からの放射光を直接受光して照明対象に向けて反射させるとともに、副リフレクター6を構成する反射膜で反射した光を受光して照明対象に向けて反射させる作用を有している。
【0040】
図2(B)は、本実施形態の照明装置1における射出光束の光強度分布を比較例の照明装置における射出光束の光強度分布と比較して示したものである。ここで言う「比較例の照明装置」としては、本実施形態と同様の半割状の主リフレクターを備える一方、副リフレクターを備えていない照明装置を想定している。図2(B)に示すように、ランプ光軸L1,L2に直交する平面において、ランプ光軸L1,L2と主リフレクター5の端部との中間位置で光強度はピーク値を示している。また、ランプ光軸L1とランプ光軸L2との間の領域とその近傍の領域では光強度がゼロ、すなわち光が射出されない。
【0041】
比較例の照明装置は、副リフレクターを備えていないため、図2(A)に示す発光部12からその発光部12に対応しない主リフレクター5(隣の発光部に対応する主リフレクター)側に放射された光B3の大部分は、照明光軸Lに沿って前方へ射出される光とはならない。これは、発光部12が隣の主リフレクターの焦点位置から大幅に外れているためである。よって、比較例の照明装置の射出光量は発光部12と対応する主リフレクター5に向けて直接放射された光のみで決まるため、射出光量は発光部12から放射された光の全光量の50%程度に留まる。これに対し、本実施形態の照明装置1では、主リフレクター5を介して副リフレクター6からの反射光を射出できるため、その射出光量を比較例の照明装置に比べて例えば1.8〜2倍程度に向上できる。
【0042】
図3は、本実施形態の照明装置1における射出光束の光強度分布を従来例の照明装置における射出光束の光強度分布と比較して示したものである。ここで言う「従来例の照明装置」としては、一般のリフレクターを備えた同一の光源部100を2つ並置した構成の照明装置101、例えば上述の特許文献1の図1の照明装置を想定している。なお、図3では、図3の上側の光強度分布図の横軸にあたる射出位置が図3の下側の照明装置1,101の位置に略対応するように、上下の図の位置関係を設定して描いている。
【0043】
図3から判るように、本実施形態の照明装置1では、従来例の照明装置101に比べて発光部12同士を近接させて配置できるため、光束径が小さい照明光を得ることができる。一般に、照明系における照明効率は、角度分布が同じであれば、照明光の光束径が小さいほど照明効率(集光効率)は高くなる。このことから、本実施形態の照明装置1は、従来例の照明装置101に比べて後段の光学系でより利用しやすい照明光が得られていることが判る。
【0044】
ここで、発光管4のバルブ部7は、少なくとも反射膜が形成される領域では完全な球状であることが、より正確には(電極側の)内表面と外表面がともに球面であり、両面の曲率中心が一致していることが望ましく、反射膜の焦点位置に発光部12を位置させることが望ましい。これは、理想的には点状と見なせる発光部12から放射された光を、反射膜によって再び点状に集光された光として発光部12に戻せるからである。このような形状とすることで、バルブ部7の管面(石英ガラス面)に対して光が垂直に入射するため、バルブ部7の管面における光反射を低減でき、バルブ部7から放射される光の光量を向上できる。また、バルブ部7の形状精度が高い場合には、反射膜としての副リフレクター6の形成位置の調整が不要となり、製造が容易になる。
【0045】
ただし、実際の発光部12の形状は理想的な点状ではなく、有限の大きさを有する線状あるいは一定の空間を占有する立体形状であることを考慮すると、バルブ部の形状は必ずしも球状でなくても良く、ランプ光軸L1,L2を対称軸とする回転楕円形状にしても良い(この場合も内表面と外表面の曲率中心が一致していることが望ましい)。このような形状とすることで、反射膜からの反射光を効率良く発光部12に戻し、反射膜を介して主リフレクター5に至る光の光量を実質的に増大させることができる。
【0046】
本実施形態の照明装置1は、半割状の主リフレクター5とこれに向けて光を反射する副リフレクター6とを備えているため、発光管4から射出される光の光量をほとんど減少させることなく、一般のリフレクターを備えた光源部を2つ並置した従来の照明装置に比べて装置を大幅に小型化できる。また本実施形態の場合、発光管4のバルブ部7の外表面に形成した反射膜を副リフレクター6として用いたことも光源部の小型化、ひいては照明装置の小型化に寄与する。
【0047】
プロジェクタ等で使用される液晶ライトバルブ、微小ミラーアレイ素子、投写レンズ等の光学素子はいずれもその表示性能が入射光に対する角度依存性を有している。そのため、照明効率を高めるためには、平行性の高い照明光をより多く射出できる照明装置とすることが重要である。すなわち、照明光軸L上あるいはその近傍の照明光軸Lに対して対称な位置に、より多くの光束が存在するような強度分布を有する照明光を生成できる照明装置とすることが重要である。その点、先に図2や図3を用いて説明したように、本実施形態の照明装置1は、従来の照明装置と比べて射出光量を大きく減少させることなく、光強度が大きな光束を照明光軸Lの近傍で、かつ、照明光軸Lに対して対称な位置に生成する。したがって、本実施形態の照明装置1は、従来の照明装置と比べて、照明装置の大きさあたりの射出光量を大幅に増大できるとともに、より平行性が高く、光利用効率の高い照明光を生成できる。
【0048】
また、本実施形態の照明装置1では、図1(B)に示すように、給電用のリード線11を2つの主リフレクター5の間の射出光が存在しない空間に配置できるため、リード線11によって射出光が遮られることがなく、射出光を損失することがない。また、リード線11が射出光による熱の影響を受けることがほとんどないため、発光管4の給電部の信頼性を高められる。さらに、2本のリード線11が互いに離間するように配置されているため、リード線11に高電圧の電流を供給した場合に生じる電磁波の影響を低減でき、安定した点灯状態を実現できる。
【0049】
[変形例1−1]
上記実施形態では、主リフレクター5と副リフレクター6とがともに半割状(θM=θS=180度)であったが、完全な半割状でなくても良い。例えば図4に示すように、主リフレクター17の受光可能角度範囲θMを180度より大きく、副リフレクター18の受光可能角度範囲θSを180度より小さくしても良い。図4の構成では、主リフレクター17は、ランプ光軸L1,L2を含む平面P1を越えて僅かに副リフレクター18側に回り込むような形状とし、θM>180度としている。一方、副リフレクター18を構成する反射膜は、主リフレクター17の回り込みの程度に応じて半割状よりも少ない領域に形成され、θS<180度としている。すなわち、ランプ光軸L1,L2に直交する平面において、発光部から略全周方向に放射される光を主リフレクター、副リフレクターのいずれかで受光できる構成であれば良い。図4のような主リフレクター17が副リフレクター18側に多少回り込む程度の形状であれば、照明装置をほとんど大型化することがない。したがって、バルブ部7の存在によって第1光源部2の主リフレクター5と第2光源部3の主リフレクター5との間に必然的に生じる間隙Sが増大しない範囲で、主リフレクター17が回り込む程度に設定することが望ましい。そして、主リフレクター17のネック部が略筒状もしくはC字状となることで発光管4の封止部8を保持する部分が増え、発光管4をより確実に保持しやすくなる。
【0050】
[変形例1−2]
あるいは、図5に示すように、主リフレクター17の反射ミラーと副リフレクター6の反射膜とが多少オーバーラップする部分を有する構成としても良い。すなわち、主リフレクター17と副リフレクターとが、ともにθM≧180度、θS≧180度となるように構成されたものであっても良い。上述したように、発光管4内の発光部12は有限の大きさを有しているため、主リフレクター17および副リフレクター6の焦点位置から外れた位置から射出される光が存在する。このとき、図5に示すような構成であれば、各リフレクター17,6の焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクター17,6で反射できるため、そのような光もランプ光軸L1,L2に沿って照明装置から射出する光とすることができ、照明光として有効利用できる光量の増大を図ることができる。
【0051】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図6を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、副リフレクターの構成が第1実施形態と異なるのみである。
図6(A)、(B)は本実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図6(A)は後述する照明光軸と2つの発光部とを含む平面で切断したときの側断面図、図6(B)は照明光軸が延在する方向(図6(A)の矢印Aの方向)から照明装置を見たときの正面図である。図6(A)、(B)において、図1(A)、(B)と共通の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0052】
第1実施形態では、副リフレクター6として発光管4のバルブ部7表面に形成した反射膜を用いたのに対し、本実施形態では、副リフレクター24として発光管4とは別体で発光管4に近接あるいは密着させて配置した反射ミラーを用いている。本実施形態の照明装置21において、副リフレクター24は、図6(A)、(B)に示すように、球面状に窪んだ反射面を有する反射ミラーで構成され、反射ミラーが支持体25によって主リフレクター5のネック部14に固定されている。反射ミラーは、球面状に窪んだ凹部を有する基材の凹部内面に反射膜を形成したものである。また、反射ミラーは、発光管4内の発光部12が焦点位置に位置するように、発光管4に密着するか、あるいは僅かな間隙をおいて近接して配置されている。
【0053】
ここで、反射ミラーの基材や支持体は、例えば石英ガラスやサファイア等の発光管4と同じ材料を用いることが好ましく、反射膜としては第1実施形態の副リフレクター6の反射膜と同様の材料を用いることが好ましい。反射ミラーの基材や支持体に発光管4と同じ材料を用いることで熱膨張率を合わせられるため、反射ミラーの取り付け位置精度を維持しやすく、反射ミラーからの反射光を所望の位置に効率良く戻すことができる。また、石英ガラスやサファイアは耐熱性が高いため、破損しにくいという利点もある。
【0054】
本実施形態の照明装置21においても、照明装置の小型化が図れる、光強度が大きな光束を照明光軸の近傍で照明光軸に対して対称な位置に生成させることで光利用効率の高い照明光を生成できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。また、発光管表面に反射膜を形成して副リフレクターを構成した第1実施形態に比べて、照明装置のサイズは若干大型化するが、以下の効果が得られる。
【0055】
すなわち、発光管4のバルブ部7は、バルブ部7を構成する球状の透明体が厚みを有するため、その透明体を光が透過する際に屈折作用、いわゆるレンズ効果を受ける。このようなバルブ部7のレンズ効果を考慮して反射ミラーの凹面形状や曲率等の光学特性を設定したり、反射ミラーの取り付け位置を調整したりすることができる。これにより、反射ミラーでの反射光を所望の位置に戻しやすく、各光源部22,23の光利用効率を高めやすい。また、反射ミラーの取り付け位置を適宜調整することで発光管4内の電極9に反射光が当たらないようにできるため、発光管4の長寿命化に有効である。さらに、使用時に高温になるバルブ部7と反射ミラーとの間に空隙ができるように反射ミラーをバルブ部7から離して設置した場合、熱による反射ミラーの劣化を防止でき、光学特性や取り付け位置精度を維持しやすい。
【0056】
[変形例2−1]
上記実施形態では、第1光源部22側の副リフレクター24と第2光源部23側の副リフレクター24とが別体であったが、これら2つの光源部の副リフレクターを一体化しても良い。すなわち、図7に示す照明装置31のように、一つの支持体の両面に球面状に窪んだ凹部をそれぞれ設け、凹部の内面に反射膜を形成した反射ミラーを作製し、この反射ミラーを照明光軸Lに対して対称に配置した構成の副リフレクター26を用いることができる。このような構成では、副リフレクター26を薄型化することで第1、第2光源部32,33(2つの発光管4)の間隔を狭められるため、射出光束の小径化、照明装置の小型化が図れる。また、副リフレクターの部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
【0057】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について図8を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1、第2実施形態と同様であり、主リフレクターの構成が第1、第2実施形態と異なるのみである。
図8は本実施形態の照明装置を照明光軸が延在する方向から見た正面図である。図8において、図1(B)と共通の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0058】
上記実施形態では、第1光源部32側の主リフレクター5と第2光源部33側の主リフレクター5とが別体であった。これに対して、本実施形態の照明装置41では、図8に示すように、第1光源部42の主リフレクターと第2光源部43の主リフレクターとが一体化された一つのリフレクター27で構成されている。したがって、ランプ光軸L1を含む平面P1とランプ光軸L2を含む平面P1との間の領域の主リフレクター27の基材内面にも反射ミラーが形成されている。
【0059】
本実施形態の照明装置41においても、装置の小型化が図れる、光強度が大きな光束を照明光軸の近傍で照明光軸に対して対称な位置に生成させることで光利用効率の高い照明光を生成できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1、第2光源部42,43の主リフレクター27を一体化したことにより各光源部42,43のランプ光軸L1,L2を位置合わせしやすく、部品点数の削減によりコスト低減が図れる。また、[変形例1−2]の構成のように、主リフレクター27の反射ミラーと副リフレクター6の反射膜とがオーバーラップする形態となるため、各リフレクター27,6の焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクター27,6で反射できるため、そのような光もランプ光軸L1,L2に沿って照明装置から射出する光とすることができ、照明光として有効利用できる光量の増大を図ることができる。
【0060】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について図9を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1〜第3実施形態と同様であり、第1光源部と第2光源部とを分離板で区画した点が第1〜第3実施形態と異なっている。
図9(A)、(B)は本実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図9(A)は後述する照明光軸と2つの発光部とを含む平面で切断したときの側断面図、図9(B)は照明光軸が延在する方向(図9(A)の矢印Aの方向)から照明装置を見たときの正面図である。図9(A)、(B)において、図1(A)、(B)と共通の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0061】
本実施形態の照明装置51は、図9(A)、(B)に示すように、第1光源部52と第2光源部53との間に照明光軸Lに沿って1枚の板体からなる分離板56が配置されている。この分離板56によって第1光源部52と第2光源部53との各々の発光管4が配置された空間が区画されている。また、主リフレクター55の端部は、基材の部分のみがランプ光軸L1,L2を含む平面P1を越えて分離板56に接触する位置まで延在している。したがって、主リフレクター55の内面のうち、ランプ光軸L1を含む平面P1とランプ光軸L2を含む平面P1との間の領域には反射ミラーが形成されておらず、この部分は主リフレクター55と分離板56とを接続する接続部57として機能している。すなわち、第1光源部52、第2光源部53の各々において主リフレクター55と分離板56と接続部57とにより囲まれた空間が形成され、この空間内に発光管4が位置することになる。
【0062】
本実施形態の照明装置51においても、照明装置の小型化が図れる、光強度が大きな光束を照明光軸の近傍で照明光軸に対して対称な位置に生成させることで光利用効率の高い照明光を生成できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態の場合、分離板56によって発光管4が配置された空間が光源部毎に区画されるため、例えば第1光源部52、第2光源部53のいずれか一方の発光管4が破損した場合に他方の光源部への影響を抑えることができる。
【0063】
なお、上記実施形態においては、接続部57の部分には反射ミラーが形成されていないと説明したが、反射ミラーが形成されていてもかまわない。接続部57に反射ミラーが形成されている場合、主リフレクターの反射ミラーと副リフレクターの反射膜とがオーバーラップする形態と同等になり、各リフレクターの焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクターで反射できる。そのため、そのような光もランプ光軸L1,L2に沿って照明装置から射出する光とすることができ、照明光として有効利用できる光量の増大を図ることができる、という第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
[変形例4−1]
上記実施形態では、発光管4のバルブ部表面に形成した反射膜からなる副リフレクター6を用いたが、この構成に代えて、図10(A)、(B)に示すように、発光管とは別体の反射ミラーからなる副リフレクター24を用いても良い。この場合、副リフレクター24と分離板56は別体でも良いし、副リフレクター24の反射ミラーが形成された支持体を主リフレクター55および前方開口部15まで延伸させて分離板として利用しても良い。その場合、部品点数の削減と光源部の小型化が図れる。
【0065】
また、図9(A)、図10(A)に示したように、主リフレクター55の前方開口部15に透光性を有する前面板58を配置しても良い。その場合、前面板58に反射防止膜を形成しておくことが望ましい。この構成によれば、主リフレクター55と分離板56と接続部57と前面板58とに囲まれた空間内に発光管4を略密閉できるため、プロジェクタ等に使用する場合に他の部品との不要な干渉を防止できる。また、発光管が破裂した場合には、発光管のガラス片などが光源部の前方開口部15から飛散するのを防止でき、安全性を高められる。
【0066】
なお、図10(A)、(B)に示すように、別体の反射ミラーからなる副リフレクター24を用いる場合、副リフレクター24の支持体や分離板56を前面板58で固定しても良い。これにより、反射ミラーの取り付け位置精度を向上できる。また、光透過板からなる前面板58に代えて、インテグレータ素子や集光素子などの光学部品を前面板として代用しても良い。この構成によれば、部品点数の削減と照明装置の小型化が図れる。また、完全な密閉構造とするのではなく、発光管4を囲むいずれかの部材の一部に開口部を設けても良い。その場合、開口部を通して風の導入や排出が可能となり、発光管4を冷却しやすくなる。
【0067】
[変形例4−2]
上記実施形態では、2つの発光管を空間的に分離する分離板を1枚の板体で構成し、第1光源部、第2光源部でこの分離板を共有したが、この構成に代えて、光源部毎に分離板を備える構成としても良い。すなわち、図11(A)、(B)、図12(A)、(B)に示すように、分離板が、第1光源部72,82側の第1分離板74と第2光源部73,83側の第2分離板75の2枚の分離板で構成されている。図11(A)、(B)は発光管4表面の反射膜からなる副リフレクター6を用いた例、図12(A)、(B)は発光管4とは別体の反射ミラーからなる副リフレクター26を用いた例、である。これらの構成によれば、第1分離板74と第2分離板75との界面で第1光源部72,82、第2光源部73,83の各々が独立した構成となるため、光源部単位での着脱が容易になる。そのため、例えば第1光源部72,82、第2光源部73,83のいずれか一方が不点灯となった場合に、他方の光源を消灯することなく光源部の交換が可能となり、使い勝手が向上する。
【0068】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について図13〜図15を用いて説明する。
本実施形態は、第1〜第4実施形態の照明装置を備えたプロジェクタである。
図13(A)は本実施形態のプロジェクタの概略構成図、図13(B)は光路変更光学素子を図13(A)と異なる方向から見た図である。図14は図13(A)のプロジェクタの特定の位置における照明光の光強度分布を示す図である。図15は特定の位置における照明光軸と直交する平面における照明光の光強度分布を示す図である。
【0069】
本実施形態のプロジェクタ110は、図13(A)に示すように、例えば第1実施形態の照明装置1と、光路変更光学素子111(光路変更手段)と、2枚のレンズアレイ112,113からなるレンズアレイインテグレータ114(照度均一化光学系)と、偏光変換素子115と、重畳レンズ116と、ダイクロイックミラー(色光分離光学系)117,118と、反射ミラー119と、リレー光学系120と、平行化レンズ121と、液晶ライトバルブユニット122R,122G,122B(光変調素子)と、ダイクロイックプリズム123と、投写レンズ124(投写光学系)と、を備えている。また、液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bの各々は、入射側偏光板125、透過型液晶ライトバルブ126、射出側偏光板127を備えている。照明装置1の後段には光路変更光学素子111が備えられているが、この光路変更光学素子111は、照明装置1からの照明光の2つの光軸を互いに照明光軸Lに近付ける機能を有している。
【0070】
照明装置1から射出された光は、光路変更光学素子111を透過した後、レンズアレイインテグレータ114および偏光変換素子115により照度が均一化されるとともに、特定の直線偏光に変換されて射出される。偏光変換素子115から射出された光は、重畳レンズ116を経て、ダイクロイックミラー117,118で波長域が異なる3種類の色光(B光、G光、R光)に分離され、平行化レンズ121を経て、各色光に対応する液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bにそれぞれ入射する。なお、B光については、他の2つの色光と光学的な照明光路の長さを一致させるために、平行化レンズ128、リレーレンズ129、反射ミラー130,131等を含むリレー光学系120を介して液晶ライトバルブユニット122Bに入射する。
【0071】
各色光に対応する液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bでは画像信号に応じて入射光の変調が行われ、画像情報を内包した各色光が射出される。液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bから射出された各色光は、クロスダイクロイックプリズム123で一つに合成された後、その合成光が投写レンズ124によって投写面上に投写され、カラー画像を形成する。
【0072】
光路変更光学素子111は、ガラスや樹脂で形成された入射端面と射出端面とが互いに平行な平板状の透光性の光学素子であり、照明光軸Lを中心として照明光軸Lから遠い側の端部をレンズアレイインテグレータ114側に折り曲げた形状をしている。すなわち、光路変更光学素子111は、xz平面における断面形状として見たときの平行四辺形を、照明光軸Lを中心として対称に配置した形状(図13(A)における外形)であり、yz平面における断面形状(図13(B)における外形)は矩形形状である。光路変更光学素子111の入射端面111aに入射した光は、xz平面においては屈折して照明光軸L方向に偏向された後、射出端面111bで再度屈折し、入射時の角度に戻されて射出される。一方、yz平面においては屈折することなく、光路変更光学素子111を直線的に通過して射出される。すなわち、光路変更光学素子111は、光束の角度分布をほぼ維持したまま、xz平面における光束の位置を照明光軸L寄りに移動(平行シフト)させる。したがって、この光路変更光学素子111では、光束の位置は一方向にのみ移動(平行シフト)される。そして、この光束位置を移動させる方向は、照明装置1において2つの光源部2,3が並置される方向と対応している。なお、光束の照明光軸L方向への移動量(平行シフト量)は光路変更光学素子111を形成する材料の屈折率と厚さ(z軸方向の寸法)とで調整できる。
【0073】
図14は、照明装置1と光路変更光学素子111との間の位置(図13(A)の破線Aの位置)、および光路変更光学素子111とレンズアレイインテグレータ114との間の位置(図13(A)の破線Bの位置)にける照明光の強度分布を示している。図14に示すように、本発明の照明装置では主リフレクターで反射された光のみが照明光として射出されるため、照明光軸Lを含んで2つの発光管の間の領域とその近傍からは光が射出されない。したがって、A位置での光強度分布が示すように、照明装置1から射出される照明光はいわゆる中抜けの分布形状となる。このような照明光が光路変更光学素子111を透過することによって各光源部から射出された光は照明光軸L側に平行シフトするため、光束径はx軸方向に小さくなる。その結果、B位置での光強度分布が示すように、中抜け状態がかなり改善された照明光に変換される。
【0074】
一般に、照明系における照明効率は、角度分布が同じであるならば、照明光の光束径が小さいほど照明効率(集光効率)は高くなる。したがって、上記の構成のように光路変更光学素子111を用いることによって、照明装置1から射出された照明光を、後段の光学系でより利用しやすい照明光へと変換することができる。
このように、本実施形態のプロジェクタ110によれば、上記実施形態の照明装置1を備えたことにより、照明効率の向上と表示画像の高輝度化、高画質化を実現できる。
【0075】
ところで、本実施形態のプロジェクタ110においては、横長で矩形状の表示領域を有する液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bを用いている。ここで、「横長」とは、図13(A)における液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bがy方向よりもx方向に長いことに対応している。そこで、照明装置1において第1光源部2と第2光源部3とが並ぶ方向を、表示にとって有効に利用できる方向に一致させている。例えば本実施形態の場合、第1光源部2と第2光源部3とが並ぶ方向を、液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bの表示領域の長辺方向と一致させている。
【0076】
発光管4内の発光部12は点光源ではなく、有限のサイズを有しているため、主リフレクター5および副リフレクター6の焦点位置から外れた位置から放射される光が存在する。このような光はいずれのリフレクターでも反射されず、主リフレクター5の前方開口部から射出される照明光とはならない場合がある。そのため、2つの発光管4に挟まれた領域とその近傍から射出される照明光の光強度は、他の領域に比べてやや弱くなる場合があり、この部分において光強度の対称性が崩れやすい傾向にある。図15は、図13(A)のB位置での照明光軸Lに直交する断面における照明光の光強度分布を示しているが、図15の破線Wで囲んだ領域が光強度の対称性が崩れやすい照明光に相当する。図15においては、光強度が大きい領域ほど黒く表示している。
【0077】
したがって、本実施形態では、図15で示したような強度分布の光で液晶ライトバルブ(照明対象)を照明するには、光強度の対称性が崩れやすい傾向にある光束を照明領域の短辺方向(図13(A)のy方向)に配置することにより、上記の光束を照明領域の長辺方向(図13(A)のx方向)に配置した場合に比べて、光強度の対称性の低下によって生じる明るさムラや色ムラ、コントラストムラ等を低減できる。
ただし、他の要因を考慮した場合には、光強度の対称性が崩れやすい傾向にある光束を必ずしも照明領域の短辺方向に配置する必要はなく、長辺方向に配置しても良い。
【0078】
なお、図1(B)や図6(B)に示したように、2つの主リフレクター5間に間隙を有する照明装置を用いた場合、第1、第2光源部を水平方向に並べたとすると、2つの主リフレクター5間に鉛直方向に開いた空間ができるため、この空間を利用して効率的な排熱を行える。すなわち、一般に発光管4は鉛直方向の上部ほど高温になるため、ここで発生した熱を上部の開放空間に対してスムーズに排熱でき、発光管4の近傍に配置される副リフレクターの熱による劣化を低減できる。またこの場合、2つの光源部で生じる熱分布が略同じになるため、光源部を冷却する場合の環境や条件を整えやすく、照明装置の冷却を効率的に行える。
【0079】
[変形例5−1]
上記実施形態のプロジェクタにおいて、G光の照明光路を直線的に示したのが図16(B)である。この図では説明を容易とする観点から、照明装置1とダイクロイックミラー117と液晶ライトバルブ122のみを抜き出して斜視図として示している。一般にプロジェクタで用いるダイクロイックミラー(ダイクロイック膜)は、その光学特性が入射面内において大きな入射角依存性を有しており、図16(B)の配置ではダイクロイックミラーの入射面はxz平面である。一方、照明装置において2つの発光管4(光源部)が並ぶ方向では、光路変更光学素子111を用いた場合であっても、それと直交する方向と比べて相対的に照明光の角度分布が広がりやすい、あるいは大きな角度成分を有する光の割合が大きくなる傾向にある。その理由は、先に図15で説明した事象や、光路変更光学素子111で光路を移動する場合に屈折率分散などにより角度成分が僅かに増大するためである。したがって、ダイクロイックミラー117を色光分離光学系や色光合成光学系に用いた場合、図16(B)に示す配置とすると、2つの発光管4(光源部)が並ぶ方向がダイクロイックミラー117の色光分離方向と一致しているため、ダイクロイックミラー117の入射角依存性に起因して色ムラや明るさムラが発生する懸念がある。すなわち、図16(B)に示す配置は、2つの発光管4が並ぶ方向と液晶ライトバルブ122の長手方向が一致している点で液晶ライトバルブ122に起因する明るさムラや色ムラ、コントラストムラ等を低減できるという利点が得られる。その反面、2つの発光管4が並ぶ方向とダイクロイックミラー117の入射角依存性が大きい方向が一致しているという点では、ダイクロイックミラー117に起因する明るさムラや色ムラ等が発生しやすい点であまり好ましくない。
【0080】
これに対して、図16(A)に示すプロジェクタ130では、2つの発光管4が並ぶ方向が、ダイクロイックミラー117の色光分離方向(ダイクロイックミラーの入射面はyz平面である)と直交する方向に一致し、かつ、液晶ライトバルブ122の長手方向に一致するように、照明装置1とダイクロイックミラー117と液晶ライトバルブ122の配置を決めている。この構成によれば、ダイクロイックミラー117に起因する明るさムラや色ムラ等を低減できるとともに、液晶ライトバルブ122に起因する明るさムラや色ムラ、コントラストムラ等も低減できる。このように、本構成によれば、双方の効果が相俟って表示画像の画質劣化を十分に低減できる。
【0081】
[変形例5−2]
上記実施形態では、照明光軸を中心に平板状の光学素子を折り曲げた形状の光路変更光学素子を用いたが、これに限らず、他の形状を有する光路変更光学素子を用いても良い。例えば図17(A)に示すように、一つの面141aが凸状の円錐面で他の面141bが平面の第1光学素子141と、一つの面142aが凹状の円錐面で他の面142bが平面の第2光学素子142とを照明光軸Lが共通の対称軸になるように配置した光路変更光学系143を用いても良い。なお、上記の第1、第2光学素子141,142の一つの面141a,142aは、必ずしも円錐面である必要はなく、例えば非球面であっても良い。
【0082】
あるいは、図17(B)に示すように、一つの面145aが凸レンズ面で他の面145bが平面の第1光学素子145と、一つの面146aが凹レンズ面で他の面146bが平面の第2光学素子146とを照明光軸Lが共通の対称軸になるように配置した光路変更光学系147を用いても良い。
なお、図17(A)、(B)には第1光学素子141,145、第2光学素子142,146の2つの光学素子で光路変更光学系143,147を構成した例を示したが、凸状面と凹状面の双方を有する一つの素子で光路変更光学素子を構成しても良い。すなわち、共通の光が通過する微小領域において平行平面が存在し得る形状を有する光学系あるいは光学素子であれば、本発明の光路変更手段として使用できる。
【0083】
上記実施形態の光路変更光学素子111は照明光を1方向(例えば図13におけるx方向)にのみ平行シフトする機能を有していたが、図17(A)、(B)に示す変形例の光路変更光学系143,147を用いた場合は照明光軸Lを中心に2方向(例えば図13(A)におけるx方向とy方向)に照明光を平行シフトするとともに集束することができる。これにより、照明光をより一層小径化できるとともに照明光軸Lにより一層近付けることができ、照明装置から射出された照明光を、後段の光学系でより利用しやすい照明光へと変換することができる。
【0084】
[変形例5−3]
照明光の中抜けの分布形状を解消する方法として、上記実施形態では光路変更光学系を用いたが、光路変更光学系を用いる方法に代えて、レンズアレイインテグレータの構成を工夫することでも実現が可能である。
例えば図18に示すように、レンズアレイインテグレータ154として、偏心レンズを用いて第1レンズアレイ151、第2レンズアレイ152をそれぞれ構成し、照明装置1に近い側の第1レンズアレイ151は各光源部2,3から射出される照明光の位置に対応させて、2つのサブレンズアレイ153に分離して配置する。このサブレンズアレイ153は空間的に分離して配置しても良いし、共通の支持基板の両側にレンズ部を配置した一体型の構成としても良い。
【0085】
以上の構成により、2つのサブレンズアレイ153に入射した光はそれぞれ照明光軸L寄りに偏向し、第2レンズアレイ152に入射する。このようにして、照明光の中抜けの分布形状を解消できる。この構成によれば、光路変更光学系を使用することなく、照明光の空間分布や角度分布の広がりをより狭くでき、照明効率を向上できるため、装置の小型化と部品点数の削減が図れる。また、偏心レンズの使用は、第1レンズアレイ151や第2レンズアレイ152の各小レンズの集光性とx軸方向への偏向性とを独立に制御できる点で好適である。さらに、第1レンズアレイ151や第2レンズアレイ152の各小レンズに非球面の偏心レンズを用いることも一層効果的である。これによれば、x軸方向に加えてy軸方向の偏向性も独立に制御できるため、第1レンズアレイ151と第2レンズアレイ152間での照明光の伝達効率を一層高められるとともに、照明光の角度分布の広がりを狭くでき、よって、照明効率の一層の向上を実現できる。
【0086】
[変形例5−4]
上記の全ての実施形態では、発光管の光軸が照明光軸L(照明装置の光軸)と平行な状態となるように各光源部を配置していたが、この配置形態に限定されない。すなわち、照明装置の後段(照明対象側)に配置される光路変更手段やインテグレータ等の照度均一化光学系によって光の進行方向を変えられるため、2つの光源部が照明光軸Lに対して対称な位置関係を保ちつつ、発光管の光軸が照明光軸Lと交わるように傾斜させて配置しても良い。ここで、図1(B)に示した様に、2つの光源部2,3は間隙Sの距離を有して離れて配置され、この間隔Sで示された空間はリフレクターが配置されない、いわば無駄な空間であるため、この無駄な空間を小さくし、かつ、2つの光源部が物理的に干渉しない範囲で、2つの光源部を互いに傾斜させた配置とすることができる。
【0087】
例えば、図19に示すプロジェクタでは、照明装置91の第1光源部92のランプ光軸L1と第2光源部93のランプ光軸L2とが、照明光軸Lに対して各々傾斜角+θ、−θをなすように、各光源部92,93から射出される光が照明光軸Lの側に内向するように配置されている。各光源部92,93から射出された光は、それぞれのランプ光軸L1,L2の傾斜角(+θ、−θ)で光路変更光学素子161に入射し、光路変更光学素子161で照明光軸Lと略平行な状態に進行方向を変えられて射出される。そのため、本変形例における光路変更光学素子161のxz平面における断面形状は第5実施形態の光路変更光学素子111の場合とは異なり、入射端面161aと射出端面161bとが非平行な状態で形成されている。各光源部92,93から入射した光は入射端面161aまたは射出端面161b、あるいはその両方の端面161a,161bで屈折され、光の進行方向を変えられる。換言すれば、各光源部92,93から入射した光が照明光軸Lと略平行な状態で光路変更光学素子161から射出されるように、光路変更光学素子161の入射端面161aや射出端面161bの傾き、曲面の場合にはその曲率を設定すれば良い。なお、光路変更光学素子161から射出された照明光の振る舞いは第5実施形態の場合と同じであるため、以降の説明は省略する。
【0088】
このような構成においても、各光源部92,93から射出される光の角度分布を殆ど増大させることなく、照明装置91から射出された照明光の光束径を小径化して、後段の光学系でより利用しやすい照明光とすることができる。また、2つの光源部92,93が物理的に接触しない範囲で、主リフレクター65の前方開口部66が互いに接近するように、2つの光源部92,93を照明光軸Lに対して傾斜させて配置しているため、照明装置91を一層小型化でき、特に2つの光源部92,93が並置される方向の寸法を小さくできる。
【0089】
なお、本変形例では光路変更光学素子を用いた場合について説明したが、変形例5−3で説明したように、照度均一化光学系であるインテグレータ等の構成を工夫することによっても、本変形例の光路変更光学素子と同様の作用を実現することができる。さらに、光路変更手段やインテグレータ等の照度均一化光学系によって2つの光源部から射出される光の進行方向を各々独立に制御可能な構成とすれば、照明光軸Lに対して2つの光源部を非対称な位置関係で配置することもできる。この場合、例えば、第5実施形態(図13(A))の光路変更光学素子111の形状を、照明光軸Lを境に非対称な形状とし、各光源部2,3からの光に対応させて入射端面111aと射出端面111bの傾きや曲面の場合(変形例5−2の場合)にはその曲率、光学素子を形成する透光性材料の屈折率を適宜設定して、照明光軸Lと略平行な状態で光路変更光学素子から光が射出される構成とすれば良い。
【0090】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態において、主リフレクターの曲面形状は放物面を想定したが、これに限定されるものではなく、楕円面や非球面であっても良い。楕円面の場合には、照明装置から射出される光が平行光ではなく集束光となるため、照明光束をより小径化でき、後段の光学系において照明効率をより向上できる。また、射出光が集束光であるため、後段に光路変更光学系を配置する場合に屈折界面を1面に削減できるなど、光路変更光学系の構成を簡略化できる。
【0091】
照明対象上において均一な照度分布を形成するための照度均一化光学系や、特定の偏光によって均一な照度分布を形成するための均一偏光照明光学系として、2枚のレンズアレイを用いたレンズアレイ方式や、棒状または管状の導光体を用いたロッド方式を用いることができる。特に、主リフレクターを楕円面とした場合には、照明装置からの射出光は集束光となるため、ロッド方式を採用した光学系との相性が良い。
【0092】
また、本発明の照明装置において、発光管の点灯姿勢は特に限定されるものではない。すなわち、発光管の一対の電極および封止部の延在方向を水平方向、鉛直方向、それ以外の方向のいずれに設定しても良い。特に、鉛直方向に設定する場合には主リフレクターの前面開口部が鉛直方向の上方を向く配置にできる。これにより、発光管で発生した熱をスムーズに空気中に放散できるため、冷却が比較的容易になり、熱による劣化を防止しやすい。
【0093】
また、上記実施形態では放電型の発光管を用いたが、放電型以外の発光管を用いても良く、例えばタングステンハロゲンランプのように一対の電極がフィラメント等で物理的に繋がっており、通電することでフィラメントが発光するタイプの発光管を用いても良い。また、発光管の点灯方式は限定されるものではなく、直流点灯型、交流点灯型のいずれの発光管も本発明への適用が可能である。また、照明対象となる光変調素子は限定されるものではない。例えば、透過型液晶素子、反射型液晶素子、多数の微小ミラーを用いたミラーアレイ素子(DMD素子)等を照明する照明装置に本発明が適用可能である。さらに、光変調素子以外のものを照明対象としても良い。その他、上記実施形態で挙げた種々の構成要素の形状、配置、構成材料等は実施形態に限定されることなく、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図1(A)は側断面図、図1(B)は正面図である。
【図2】本照明装置における副リフレクターの効果を示す図であり、図2(A)は各リフレクターでの反射光経路を示す図、図2(B)は本照明装置と比較例の照明装置の光強度分布を比較した図、である。
【図3】本照明装置と従来例の照明装置との光強度分布を比較した図である。
【図4】変形例1−1の照明装置の正面図である。
【図5】変形例1−2の照明装置の正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図6(A)は側断面図、図6(B)は正面図である。
【図7】変形例2−1の照明装置の側断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の照明装置の構成を示す正面図である。
【図9】本発明の第4実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図9(A)は側断面図、図9(B)は正面図である。
【図10】変形例4−1の照明装置の構成を示す図であり、図10(A)は側断面図、図10(B)は正面図である。
【図11】変形例4−2の照明装置の構成を示す図であり、図11(A)は側断面図、図11(B)は正面図である。
【図12】変形例4−2の照明装置の他の構成を示す図であり、図12(A)は側断面図、図12(B)は正面図である。
【図13】図13(A)は本発明の第5実施形態のプロジェクタの概略構成図であり、図13(B)は光路変更光学素子を図13(A)と異なる方向から見た図である。
【図14】本プロジェクタの特定位置での光強度分布を示す図である。
【図15】特定位置での照明光軸と直交する平面における光強度分布を示す図である。
【図16】図17(A)は変形例5−1のプロジェクタの特定の光学要素の配置を直線的に示す図、図17(B)は図13のプロジェクタの特定の光学要素の配置を直線的に示す図である。
【図17】図18(A)、(B)ともに光路変更光学系の他の例を示す図である。
【図18】変形例5−3のプロジェクタの概略構成図である。
【図19】変形例5−4のプロジェクタの概略構成図である。
【符号の説明】
【0095】
1,21,31,41,51,61,71,81,91…照明装置、2,22,32,42,52,62,72,82,92…第1光源部、3,23,33,43,53,63,73,83,93…第2光源部、4…発光管、5,17,27,55,65…主リフレクター(第1リフレクター)、6,18,24,26…副リフレクター(第2リフレクター)、11…リード線、56…分離板、74…第1分離板、75…第2分離板、110…プロジェクタ、111…光路変更光学素子(光路変更手段)、114,154…レンズアレイインテグレータ(照度均一化光学系)、117,118…ダイクロイックミラー(色光分離光学系)、122R,122G,122B…液晶ライトバルブユニット(光変調素子)、124…投写レンズ(投写光学系)、143,147…光路変更光学系(光路変更手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光変調素子を照明する照明装置と、光変調素子に形成した光学像を投写レンズによりスクリーン上に投写表示するプロジェクタに関し、より詳しくは、複数個の光源部を備えた照明装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
大画面映像を表示可能な装置の一つとして、映像情報に応じて光学像を形成する小型の光変調素子を照明装置からの光で照明し、その光学像を投写レンズによりスクリーン等へ拡大表示するプロジェクタが実用化されている。このようなプロジェクタでは、投写画像の大画面化や高輝度化、輝度ムラや色ムラの低減が強く望まれており、それらを実現するための高性能な照明装置が開発されてきている。
【0003】
一般的なプロジェクタの照明装置では、発光管における発光部の略中心がリフレクター(凹面反射鏡)の焦点位置に一致するように配置されており、発光管から放射された光をリフレクターで反射させ、照明光軸に沿った略一方向に射出する。ここで、発光管から放射された光は、発光管の電極等で遮られる光を除けば、略全周方向に放射される。よって、発光管からの光を無駄なく略一方向に射出させるためには、開口径が大きく焦点距離が短いリフレクター、いわゆる深型のリフレクターが好適である。ところが、開口径の大型化は照明装置の大型化を招くため、装置の小型化が望まれる昨今の市場ニーズに適さない。また、焦点距離を短くすることについては、リフレクターと発光管との物理的な干渉の問題と、発光管からの熱によるリフレクターの損傷を避けなければならないことから限界がある。さらに、リフレクターは、短焦点化するほど反射面が曲率変動幅の大きい凹面形状となるため、反射率の高い反射膜をリフレクターの内表面に形成することが困難になる、等の課題がある。したがって、単一の発光管を使用した照明装置において、装置の小型化を図りつつ射出光量(光出力)を高めるのは限界がある。
【0004】
そこで、光出力の更なる増大を図るために、照明装置の発光管を複数化した構成が提案されている。
例えば、下記の特許文献1に開示されている投写型表示装置(プロジェクタ)では、2つの光源部(発光管とリフレクター)を並べて用いることによりライトバルブ(光変調素子)を照明する光量の増大を図り、各光源部に対応したインテグレータ光学系を備えることにより照明光の輝度ムラや色ムラの低減を図っている。
【0005】
一方、装置の小型化を図る手段として、一般的なリフレクターを照明光軸を含む平面で半分に割った形状(以下、本明細書では「半割状」と称する)のリフレクターとそれに対応した球面リフレクターを発光管の近傍に配置した照明装置が、下記の特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開平6−265887号公報
【特許文献2】特開2003−187604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶ライトバルブに代表される光変調素子や偏光素子、投写レンズ等の光学素子は、いずれも光学特性が入射光に対する角度依存性を有している。そのため、表示画像の高品質化を図るためには、照明装置は角度分布の広がりが狭い照明光を射出できることが望ましい。しかしながら、上記の特許文献1のプロジェクタの構成によれば、2つの光源(発光管)を照明光軸からかなり離れた位置に配置しているため、照明光の空間分布と角度分布はいずれも大きく広がる。また、投写レンズの瞳面に形成される2群の光源像は投写光軸から離れた位置に形成される。
【0007】
その結果、色光分離特性が入射角依存性を有するダイクロイックミラーを色光分離光学系として用いる場合には、分離された色光はその断面内で色ムラを生じるため、表示画像に色ムラやコントラスト低下を生じる。また、期待したほどには表示画像を高輝度化できない。また、投写レンズの結像性能は投写光軸の近傍で高く、投写光軸から離れるにしたがって低下するため、投写レンズの結像性能を十分に発揮できず、表示画像の画質劣化を招く、等の問題を生じる。
【0008】
一方、上記の特許文献2の照明装置を例えばプロジェクタの同軸照明系として用いた場合、照明装置から射出される光の角度分布は軸対称にならない。したがって、表示特性が入射光に対して角度依存性を有する光変調素子、例えば液晶ライトバルブのような光変調素子を照明する場合には、照明光の角度分布の非対称性に起因して大きな照度ムラや色ムラが発生し、表示画像の画質は大きく劣化する。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、照明効率の向上と表示画像の高輝度化、高画質化を実現する観点から、発光管からの放射光を効率良く略一方向に射出するとともに、照明光の空間分布や角度分布の広がりが狭く、高輝度で強度分布の対称性に優れた照明光が得られ、小型化し易い構成の照明装置を実現することを目的とする。また、このような照明装置を備えたプロジェクタを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の照明装置は、第1光源部と第2光源部とが照明光軸に対して略対称に配置され、前記第1光源部と前記第2光源部との各々は、発光管と、前記発光管の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されて前記発光管から射出された光を照明対象に向けて反射させる第1リフレクターと、前記発光管の光軸を挟んで前記第1リフレクターと対向するように配置されて前記発光管から射出された光を前記第1リフレクターに向けて反射させる第2リフレクターと、を備えたことを特徴とする。
なお、ここで言う「照明光軸」とは、照明装置全体としての光軸のことである。また、「発光管の光軸」とは、電力供給時に発光管内に発生する発光部を通り、当該発光管の発光分布における略対称軸のことである。
【0011】
本発明の照明装置によれば、発光管と第1リフレクターと第2リフレクターとから構成された第1光源部、第2光源部の2つの光源部を備えているので、発光管を1個しか持たない照明装置に比べて高輝度の照明光が得られる。また、同様の構成を有する2つの光源部が照明光軸に対して略対称に配置されているので、強度分布の対称性に優れた照明光が得られる。さらに、発光管から第1リフレクターと反対側に向けて射出された光は、第2リフレクターによって第1リフレクターに向けて反射された後、第1リフレクターによって照明対象に向けて反射されるため、発光管からの放射光を無駄なく照明光軸に沿った略一方向に射出することができる。
【0012】
また、従来のリフレクターと同様、照明対象に向けて光を反射させる機能を有する本発明の第1のリフレクターは、発光管の光軸方向から見たときに発光管の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されている。すなわち、本発明の第1のリフレクターは、特許文献1のリフレクターと異なり、発光管の光軸を中心とする全周の全てを囲んでいないため、リフレクター同士が干渉することなく、2つの発光管同士を近接させて配置できる。その結果、2つの発光管から射出される光を照明光軸の近傍に位置させることができるため、空間分布や角度分布の広がりが狭い照明光が得られるとともに、照明装置の小型化を図れる。
【0013】
本発明の照明装置において、前記第1リフレクターおよび前記第2リフレクターは湾曲した反射面同士が互いに対向するように配置され、前記発光管の光軸を中心とする略全周にわたって前記第1リフレクターと前記第2リフレクターの少なくとも一方が配置されていることが望ましい。なお、第1リフレクターおよび第2リフレクターは、これらリフレクターの焦点位置が発光部の略中心の位置に一致するように配置される。
この構成によれば、発光管から略全周に向けて放射された光のうち、第1リフレクターにも第2リフレクターにも反射されずに損失する光(照明光軸に沿った略一方向に射出されない光)を低減でき、発光管から射出された光のうちの大部分を照明対象を照明する光として有効利用できる。
【0014】
本発明の照明装置において、発光部が完全に点状(点光源)であったとすると、第1リフレクター、第2リフレクターの各々の受光可能角度範囲が180度であれば発光管の光軸を中心とする全周(360度)を全てカバーできるが、発光管の光軸を中心とした第1リフレクターの受光可能角度範囲を180度より大きくする構成としても良い。
上記の説明では発光部が完全に点状(点光源)であると仮定したが、実際の発光部は完全な点状(点光源)ではなく、有限の大きさを有する線状あるいは一定の空間を占有する立体形状である。発光部が有限の大きさを有していると、2つのリフレクターの焦点位置から外れた位置から射出される光が存在することになる。したがって、この構成によれば、第1リフレクターにも第2リフレクターにも反射されない光を低減でき、照明光軸に沿った略一方向に射出される光を増大させることができる。また、各光源部の第1リフレクターのネック部(固定部)の面積を大きくできるため、発光管をより確実に固定できる。
【0015】
本発明の照明装置において、第1リフレクターの受光可能角度範囲を180度より大きくすることに加えて、発光管の光軸を中心とした第2リフレクターの受光可能角度範囲を180度より大きくする構成としても良い。
この構成によれば、リフレクターの焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクターで確実に反射できるため、照明光軸に沿った略一方向に射出される光を一層増大させることができる。
【0016】
本発明の照明装置において、第2リフレクターを、発光管の表面に形成された反射膜で構成することができる。
この構成によれば、第2リフレクターを支持するための支持部材が不要であり、第2リフレクターの取り付け位置の調整が不要である。また、照明装置を小型化しやすい。
【0017】
あるいは、第2リフレクターを、発光管と別体であって発光管に近接して配置された反射ミラーで構成することができる。
この構成によれば、例えば発光管を構成する球状のバルブ部のレンズ効果を考慮して、反射ミラーの光学特性(例えば凹面の形状や曲率)を適切に設定したり、反射ミラーの取り付け位置を調整したりすることができる。これにより、反射ミラーでの反射光を所望の位置に戻しやすく、光利用効率を高めやすくなる。また、反射ミラーの取り付け位置の調整により発光管内の電極に反射光が当たらないようにできるため、発光管の長寿命化に有効である。さらに、使用時に高温になるバルブ部と反射ミラーとの間に空隙ができるように、反射ミラーをバルブ部から離して設置できるため、熱による反射ミラーの劣化を防止でき、光学特性や取り付け位置精度を維持しやすい。
【0018】
なお、熱膨張率を合わせることで耐熱性を確保する等の観点から、反射ミラーの基材には発光管と同じ材料(例えば石英ガラス等)を使用することが望ましい。また、反射膜には誘電体多層膜や金属膜を使用することが望ましい。
【0019】
本発明の照明装置において、第1光源部の第1リフレクターと第2光源部の第1リフレクターとを一体化した構成としても良い。
この構成によれば、2つの光源部の発光管の光軸を合わせやすい。また、部品点数の削減によりコスト低減が図れる。
【0020】
本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部との間に、第1光源部と第2光源部との各々の発光管が配置された空間を区画する分離板を設けた構成としても良い。
この構成によれば、分離板により各発光管が配置された空間が区画されるため、例えば第1光源部、第2光源部のいずれか一方の発光管が破損した場合に他方の光源部への影響を抑えることができる。
【0021】
さらに、上記の分離板を、第1光源部側に位置する第1分離板と第2光源部側に位置する第2分離板の2枚の分離板で構成しても良い。
この構成によれば、第1分離板と第2分離板との界面で第1光源部、第2光源部の各々が独立した構成となるため、光源部単位での着脱が容易になる。そのため、例えば第1光源部、第2光源部のいずれか一方が不点灯となったような場合に光源部の交換が容易になる。
【0022】
本発明の照明装置において、第1光源部の発光管に接続された第1リード線と第2光源部の発光管に接続された第2リード線とが、互いに離間するように配置されることが望ましい。
この構成によれば、第1光源部、第2光源部各々からの射出光が第1リード線や第2リード線によって遮られにくくなり、リード線への熱の影響を低減できる。また、各リード線に高電圧の電流を流した場合に生じる電磁波の影響も低減でき、安定した点灯状態を実現できる。
【0023】
本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光を互いに照明光軸側に近接させる光路変更手段を設ける構成としても良い。
この構成によれば、照明光の空間分布や角度分布の広がりをより狭くでき、照明効率を向上できる。また、光路変更手段をリフレクターと一体化しても良く、その場合、照明装置の更なる小型化が図れる。
【0024】
あるいは、本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光の照度を均一化する照度均一化光学系を備え、照度均一化光学系が、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光を互いに照明光軸側に近接させる機能を備えた構成としても良い。
この構成によれば、照度均一化光学系を備えた照明装置において、光路を変更するための光学部品を追加することなく、照明光の空間分布や角度分布の広がりをより狭くでき、照明効率を向上できる。
【0025】
本発明のプロジェクタは、上記の本発明の照明装置と、照明装置からの光を変調する光変調素子と、光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とする。
本発明のプロジェクタによれば、上記の本発明の照明装置を備えたことにより、照明効率の向上と表示画像の高輝度化、高画質化を実現できる。
【0026】
本発明のプロジェクタにおいて、照明装置の第1光源部と第2光源部とが、光変調素子の長手方向に沿って並ぶように配置される構成であることが望ましい。
本発明の照明装置において、第1光源部と第2光源部とが隣接する領域の近傍から射出される照明光の光強度は他の領域に比べて弱くなる場合があり、この領域で光強度の対称性が崩れやすい傾向にある。その点、第1光源部と第2光源部とが光変調素子の長手方向に沿って並んだ構成であれば、第1光源部と第2光源部とが隣接する領域が光変調素子の短手方向に沿って位置することになり、画質低下に及ぼす悪影響を低減できる。
【0027】
本発明のプロジェクタにおいて、第1光源部と第2光源部との各々から射出された光を異なる波長域の複数の色光に分離する色光分離光学系を備えている場合、第1光源部と第2光源部とが、色光分離光学系における色光分離方向と直交する方向に沿って並ぶように配置される構成であることが望ましい。
上述したように、2つの光源部が隣接する領域の近傍から射出される照明光の光強度は他の領域に比べて弱くなる場合があるため、このような光を色光分離光学系の入射角依存性が大きい方向に位置させることによって、色ムラや明るさムラの発生を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図3を用いて説明する。
本実施形態は、2つの光源部を備えた本発明の照明装置の一例である。
図1(A)、(B)は本実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図1(A)は後述する照明光軸と2つの発光部とを含む平面で切断したときの側断面図、図1(B)は照明光軸が延在する方向(図1(A)の矢印Aの方向)から照明装置を見たときの正面図である。
図2(A)、(B)は副リフレクターを設けたことの効果を示す図であり、図2(A)は各リフレクターでの反射光の経路を示す図、図2(B)は本実施形態の照明装置と比較例の照明装置とで射出光束の光強度分布を比較した図、である。
図3は本実施形態の照明装置と従来例の照明装置とで射出光束の光強度分布を比較した図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0029】
以下の説明では、照明装置全体の光軸を「照明光軸L」と称し、第1光源部、第2光源部各々の主リフレクターの光軸をそれぞれ「ランプ光軸L1」、「ランプ光軸L2」と称する。また後述するように、発光管内の発光部が主リフレクターの焦点位置に配置されていることから、「ランプ光軸」は「発光管の光軸」とも一致している。「発光管の光軸」とは、発光部を通り、当該発光管の発光分布における略対称軸のことである。本実施形態では一対の電極を有する発光管を使用しており、「発光管の光軸」は一対の電極が延在する方向と一致している。
【0030】
本実施形態の照明装置1は、図1(A)、(B)に示すように、照明光軸Lに対して互いに対称配置された第1光源部2、第2光源部3の2つの光源部を有している。第1光源部2、第2光源部3はともに同一の構造を有しており、アーク放電型発光管4(以下、単に「発光管」と称することもある)と、主リフレクター5(第1リフレクター)と、副リフレクター6(第2リフレクター)と、を備えている。主リフレクター5は、発光管4から射出された光を照明対象に向けて反射させる機能を主に担っている。副リフレクター6は、発光管4から射出された光を主リフレクター5に向けて反射させる機能を主に担っている。
【0031】
発光管4は、図1(A)に示すように、バルブ部7と、封止部8と、一対の電極9および給電端子10と、リード線11と、を備えている。バルブ部7は内部空間を有する略球状の管体であり、バルブ部7の両端には棒状の封止部8がバルブ部7と一体に形成されている。バルブ部7および封止部8は、例えば石英ガラス、サファイア等の耐熱性が高い透明材料で構成されている。バルブ部7の内部空間には、先端が尖った一対の電極9が対向するように配置されるとともに、発光物質と気体とが封入されている。発光物質としては例えば水銀、金属ハロゲン化物等が用いられ、気体としては例えば希ガス、ハロゲンガス等が用いられる。本実施形態では、発光管4は、一対の電極9が延在する方向がランプ光軸L1,L2と一致する姿勢で主リフレクター5に固定されている。
【0032】
また、一対の電極9の各々から延在する給電端子10が各封止部8を貫通するように設けられ、一方の給電端子10にはリード線11が接続され、他方の給電端子10には口金16が接続されている。口金16にはリード線11が接続されている。この構成により、各電極9にはリード線11、口金16を介して外部から電力が供給される。また、図1(B)に示すように、第1光源部2のリード線11(第1リード線)と第2光源部3のリード線11(第1リード線)とは、互いに離間する方向に延在するように配置されている。以上の構成を有する発光管4において、一対の電極9間に高電圧を印加すると、電極9間に放電が生じて線状あるいは点状の発光部12が発生し、発光部12から略全周方向に光が放射される。なお、アーク放電型発光管4としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が該当する。
【0033】
主リフレクター5は、例えばガラスや結晶化ガラス等の耐熱性が高く、機械的強度が大きい基材と、基材の内面(発光管が配置された側の面)の全領域に形成された、例えば誘電体多層膜や金属膜からなる反射ミラーと、から構成されている。また、主リフレクター5は、発光管4の封止部8を挿入して固定するための後方貫通孔13を備えたネック部14と、照明対象に向けて光を射出する前方開口部15と、を有している。図1(A)に示すように、主リフレクター5の反射ミラーが形成された反射面5aは放物面となっている。なお、反射面5aは、放物面に限らず、楕円面や非球面であっても良い。
【0034】
また、ランプ光軸L1,L2に直交する平面で見ると、図1(B)に示すように、一般のリフレクターではランプ光軸L1,L2を中心として全周(360度)にわたって反射ミラーが存在するのに対し、本実施形態の主リフレクター5では半周(180度)の部分が反射ミラーが存在する反射面5aとなっている。なお、主リフレクター5の内面のうち、反射ミラーが存在し、発光管4および副リフレクター6からの光を受光可能な角度範囲のことを「主リフレクター5の受光可能角度範囲θM」と称する。言い換えると、ランプ光軸L1,L2に直交する平面で見たときに、反射ミラーの各端部とランプ光軸L1(L2)とを結ぶ2本の線分がなす角度が受光可能角度範囲θMである。この例ではθM=180度である。すなわち、本実施形態の主リフレクター5は、ランプ光軸L1,L2を中心として全周(360度)を覆う一般のリフレクターを、反射ミラーの各端部とランプ光軸L1(L2)とを含む平面P1によって半分に割った形状(いわゆる半割状)となっている。
【0035】
主リフレクター5は、主リフレクター5(反射ミラー)の光軸が発光管4の光軸(一対の電極の延在方向)と一致するように配置されている。すなわち、主リフレクター5は、主リフレクター5の焦点位置が発光部12の位置に一致するように、発光管4に対して位置合わせされている。本実施形態においては、上述したように、互いに一致する主リフレクター5(反射ミラー)の光軸および発光管4の光軸がランプ光軸L1,L2である。
【0036】
副リフレクター6は、発光管4のバルブ部7の外表面であって、ランプ光軸L1,L2を中心として主リフレクター5が存在しない側の半分の領域に形成された反射膜で構成されている。すなわち、副リフレクター6は、図1(B)に示すように、バルブ部7の外表面において、ランプ光軸L1(L2)を含む平面P1によってバルブ部7を半分に割った領域(図1(B)の斜線を施した部分)に設けられている。副リフレクター6においても、主リフレクター5と同様、反射膜が存在し、発光管4からの光を受光可能な角度範囲のことを「受光可能角度範囲θS」と定義すると、θS=180度である。
【0037】
副リフレクター6を構成する反射膜には高い耐熱性が要求されるため、例えば五酸化タンタル(Ta2O5)と酸化珪素(SiO2)からなる多層膜、酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)からなる多層膜等が好適に用いられる。あるいは、酸化ニオブ(Nb2O5)を含む多層膜を用いれば、発光部12から放射された紫外線を吸収してバルブ部7を保温できるため、発光効率の向上に効果がある。
【0038】
本実施形態の照明装置1は、図1(A)に示すように、以上の構成要素を備えた同一構成の第1光源部2と第2光源部3とが照明光軸Lに対して対称に配置されて構成されている。第1光源部2のランプ光軸L1と第2光源部3のランプ光軸L2とが照明光軸Lと略平行で、かつ、ランプ光軸L1とランプ光軸L2との間の距離が可能な限り短くなるように、第1光源部2と第2光源部3とが配置されている。本実施形態の場合、図1(B)に示すように、第1光源部2の主リフレクター5と第2光源部3の主リフレクター5との間に間隙Sがある。この間隙Sの寸法(P1−P1間の距離)はバルブ部7の直径よりも若干大きい程度である。
【0039】
上記構成の照明装置1において、図2(A)に示すように、発光部12からは略全周方向に光が放射されるが、主リフレクター5に向けて放射された光B1は主リフレクター5の反射ミラーで反射され、ランプ光軸L1,L2と略平行な光となって第1光源部2、第2光源部3からそれぞれ射出される。一方、副リフレクター6を構成する反射膜は略球状のバルブ部7の外表面に形成されていることから、その反射面の曲面形状は球面状である。したがって、副リフレクター6に向けて放射された光B2は反射膜で反射され、集光状態で発光部12を通過し、あたかも発光部12から放射された光の如く主リフレクター5に向かい、主リフレクター5の反射ミラーで反射され、ランプ光軸L1,L2と略平行な光となって第1光源部2、第2光源部3からそれぞれ射出される。すなわち、主リフレクター5の反射ミラーは、発光部12からの放射光を直接受光して照明対象に向けて反射させるとともに、副リフレクター6を構成する反射膜で反射した光を受光して照明対象に向けて反射させる作用を有している。
【0040】
図2(B)は、本実施形態の照明装置1における射出光束の光強度分布を比較例の照明装置における射出光束の光強度分布と比較して示したものである。ここで言う「比較例の照明装置」としては、本実施形態と同様の半割状の主リフレクターを備える一方、副リフレクターを備えていない照明装置を想定している。図2(B)に示すように、ランプ光軸L1,L2に直交する平面において、ランプ光軸L1,L2と主リフレクター5の端部との中間位置で光強度はピーク値を示している。また、ランプ光軸L1とランプ光軸L2との間の領域とその近傍の領域では光強度がゼロ、すなわち光が射出されない。
【0041】
比較例の照明装置は、副リフレクターを備えていないため、図2(A)に示す発光部12からその発光部12に対応しない主リフレクター5(隣の発光部に対応する主リフレクター)側に放射された光B3の大部分は、照明光軸Lに沿って前方へ射出される光とはならない。これは、発光部12が隣の主リフレクターの焦点位置から大幅に外れているためである。よって、比較例の照明装置の射出光量は発光部12と対応する主リフレクター5に向けて直接放射された光のみで決まるため、射出光量は発光部12から放射された光の全光量の50%程度に留まる。これに対し、本実施形態の照明装置1では、主リフレクター5を介して副リフレクター6からの反射光を射出できるため、その射出光量を比較例の照明装置に比べて例えば1.8〜2倍程度に向上できる。
【0042】
図3は、本実施形態の照明装置1における射出光束の光強度分布を従来例の照明装置における射出光束の光強度分布と比較して示したものである。ここで言う「従来例の照明装置」としては、一般のリフレクターを備えた同一の光源部100を2つ並置した構成の照明装置101、例えば上述の特許文献1の図1の照明装置を想定している。なお、図3では、図3の上側の光強度分布図の横軸にあたる射出位置が図3の下側の照明装置1,101の位置に略対応するように、上下の図の位置関係を設定して描いている。
【0043】
図3から判るように、本実施形態の照明装置1では、従来例の照明装置101に比べて発光部12同士を近接させて配置できるため、光束径が小さい照明光を得ることができる。一般に、照明系における照明効率は、角度分布が同じであれば、照明光の光束径が小さいほど照明効率(集光効率)は高くなる。このことから、本実施形態の照明装置1は、従来例の照明装置101に比べて後段の光学系でより利用しやすい照明光が得られていることが判る。
【0044】
ここで、発光管4のバルブ部7は、少なくとも反射膜が形成される領域では完全な球状であることが、より正確には(電極側の)内表面と外表面がともに球面であり、両面の曲率中心が一致していることが望ましく、反射膜の焦点位置に発光部12を位置させることが望ましい。これは、理想的には点状と見なせる発光部12から放射された光を、反射膜によって再び点状に集光された光として発光部12に戻せるからである。このような形状とすることで、バルブ部7の管面(石英ガラス面)に対して光が垂直に入射するため、バルブ部7の管面における光反射を低減でき、バルブ部7から放射される光の光量を向上できる。また、バルブ部7の形状精度が高い場合には、反射膜としての副リフレクター6の形成位置の調整が不要となり、製造が容易になる。
【0045】
ただし、実際の発光部12の形状は理想的な点状ではなく、有限の大きさを有する線状あるいは一定の空間を占有する立体形状であることを考慮すると、バルブ部の形状は必ずしも球状でなくても良く、ランプ光軸L1,L2を対称軸とする回転楕円形状にしても良い(この場合も内表面と外表面の曲率中心が一致していることが望ましい)。このような形状とすることで、反射膜からの反射光を効率良く発光部12に戻し、反射膜を介して主リフレクター5に至る光の光量を実質的に増大させることができる。
【0046】
本実施形態の照明装置1は、半割状の主リフレクター5とこれに向けて光を反射する副リフレクター6とを備えているため、発光管4から射出される光の光量をほとんど減少させることなく、一般のリフレクターを備えた光源部を2つ並置した従来の照明装置に比べて装置を大幅に小型化できる。また本実施形態の場合、発光管4のバルブ部7の外表面に形成した反射膜を副リフレクター6として用いたことも光源部の小型化、ひいては照明装置の小型化に寄与する。
【0047】
プロジェクタ等で使用される液晶ライトバルブ、微小ミラーアレイ素子、投写レンズ等の光学素子はいずれもその表示性能が入射光に対する角度依存性を有している。そのため、照明効率を高めるためには、平行性の高い照明光をより多く射出できる照明装置とすることが重要である。すなわち、照明光軸L上あるいはその近傍の照明光軸Lに対して対称な位置に、より多くの光束が存在するような強度分布を有する照明光を生成できる照明装置とすることが重要である。その点、先に図2や図3を用いて説明したように、本実施形態の照明装置1は、従来の照明装置と比べて射出光量を大きく減少させることなく、光強度が大きな光束を照明光軸Lの近傍で、かつ、照明光軸Lに対して対称な位置に生成する。したがって、本実施形態の照明装置1は、従来の照明装置と比べて、照明装置の大きさあたりの射出光量を大幅に増大できるとともに、より平行性が高く、光利用効率の高い照明光を生成できる。
【0048】
また、本実施形態の照明装置1では、図1(B)に示すように、給電用のリード線11を2つの主リフレクター5の間の射出光が存在しない空間に配置できるため、リード線11によって射出光が遮られることがなく、射出光を損失することがない。また、リード線11が射出光による熱の影響を受けることがほとんどないため、発光管4の給電部の信頼性を高められる。さらに、2本のリード線11が互いに離間するように配置されているため、リード線11に高電圧の電流を供給した場合に生じる電磁波の影響を低減でき、安定した点灯状態を実現できる。
【0049】
[変形例1−1]
上記実施形態では、主リフレクター5と副リフレクター6とがともに半割状(θM=θS=180度)であったが、完全な半割状でなくても良い。例えば図4に示すように、主リフレクター17の受光可能角度範囲θMを180度より大きく、副リフレクター18の受光可能角度範囲θSを180度より小さくしても良い。図4の構成では、主リフレクター17は、ランプ光軸L1,L2を含む平面P1を越えて僅かに副リフレクター18側に回り込むような形状とし、θM>180度としている。一方、副リフレクター18を構成する反射膜は、主リフレクター17の回り込みの程度に応じて半割状よりも少ない領域に形成され、θS<180度としている。すなわち、ランプ光軸L1,L2に直交する平面において、発光部から略全周方向に放射される光を主リフレクター、副リフレクターのいずれかで受光できる構成であれば良い。図4のような主リフレクター17が副リフレクター18側に多少回り込む程度の形状であれば、照明装置をほとんど大型化することがない。したがって、バルブ部7の存在によって第1光源部2の主リフレクター5と第2光源部3の主リフレクター5との間に必然的に生じる間隙Sが増大しない範囲で、主リフレクター17が回り込む程度に設定することが望ましい。そして、主リフレクター17のネック部が略筒状もしくはC字状となることで発光管4の封止部8を保持する部分が増え、発光管4をより確実に保持しやすくなる。
【0050】
[変形例1−2]
あるいは、図5に示すように、主リフレクター17の反射ミラーと副リフレクター6の反射膜とが多少オーバーラップする部分を有する構成としても良い。すなわち、主リフレクター17と副リフレクターとが、ともにθM≧180度、θS≧180度となるように構成されたものであっても良い。上述したように、発光管4内の発光部12は有限の大きさを有しているため、主リフレクター17および副リフレクター6の焦点位置から外れた位置から射出される光が存在する。このとき、図5に示すような構成であれば、各リフレクター17,6の焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクター17,6で反射できるため、そのような光もランプ光軸L1,L2に沿って照明装置から射出する光とすることができ、照明光として有効利用できる光量の増大を図ることができる。
【0051】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図6を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、副リフレクターの構成が第1実施形態と異なるのみである。
図6(A)、(B)は本実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図6(A)は後述する照明光軸と2つの発光部とを含む平面で切断したときの側断面図、図6(B)は照明光軸が延在する方向(図6(A)の矢印Aの方向)から照明装置を見たときの正面図である。図6(A)、(B)において、図1(A)、(B)と共通の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0052】
第1実施形態では、副リフレクター6として発光管4のバルブ部7表面に形成した反射膜を用いたのに対し、本実施形態では、副リフレクター24として発光管4とは別体で発光管4に近接あるいは密着させて配置した反射ミラーを用いている。本実施形態の照明装置21において、副リフレクター24は、図6(A)、(B)に示すように、球面状に窪んだ反射面を有する反射ミラーで構成され、反射ミラーが支持体25によって主リフレクター5のネック部14に固定されている。反射ミラーは、球面状に窪んだ凹部を有する基材の凹部内面に反射膜を形成したものである。また、反射ミラーは、発光管4内の発光部12が焦点位置に位置するように、発光管4に密着するか、あるいは僅かな間隙をおいて近接して配置されている。
【0053】
ここで、反射ミラーの基材や支持体は、例えば石英ガラスやサファイア等の発光管4と同じ材料を用いることが好ましく、反射膜としては第1実施形態の副リフレクター6の反射膜と同様の材料を用いることが好ましい。反射ミラーの基材や支持体に発光管4と同じ材料を用いることで熱膨張率を合わせられるため、反射ミラーの取り付け位置精度を維持しやすく、反射ミラーからの反射光を所望の位置に効率良く戻すことができる。また、石英ガラスやサファイアは耐熱性が高いため、破損しにくいという利点もある。
【0054】
本実施形態の照明装置21においても、照明装置の小型化が図れる、光強度が大きな光束を照明光軸の近傍で照明光軸に対して対称な位置に生成させることで光利用効率の高い照明光を生成できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。また、発光管表面に反射膜を形成して副リフレクターを構成した第1実施形態に比べて、照明装置のサイズは若干大型化するが、以下の効果が得られる。
【0055】
すなわち、発光管4のバルブ部7は、バルブ部7を構成する球状の透明体が厚みを有するため、その透明体を光が透過する際に屈折作用、いわゆるレンズ効果を受ける。このようなバルブ部7のレンズ効果を考慮して反射ミラーの凹面形状や曲率等の光学特性を設定したり、反射ミラーの取り付け位置を調整したりすることができる。これにより、反射ミラーでの反射光を所望の位置に戻しやすく、各光源部22,23の光利用効率を高めやすい。また、反射ミラーの取り付け位置を適宜調整することで発光管4内の電極9に反射光が当たらないようにできるため、発光管4の長寿命化に有効である。さらに、使用時に高温になるバルブ部7と反射ミラーとの間に空隙ができるように反射ミラーをバルブ部7から離して設置した場合、熱による反射ミラーの劣化を防止でき、光学特性や取り付け位置精度を維持しやすい。
【0056】
[変形例2−1]
上記実施形態では、第1光源部22側の副リフレクター24と第2光源部23側の副リフレクター24とが別体であったが、これら2つの光源部の副リフレクターを一体化しても良い。すなわち、図7に示す照明装置31のように、一つの支持体の両面に球面状に窪んだ凹部をそれぞれ設け、凹部の内面に反射膜を形成した反射ミラーを作製し、この反射ミラーを照明光軸Lに対して対称に配置した構成の副リフレクター26を用いることができる。このような構成では、副リフレクター26を薄型化することで第1、第2光源部32,33(2つの発光管4)の間隔を狭められるため、射出光束の小径化、照明装置の小型化が図れる。また、副リフレクターの部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
【0057】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について図8を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1、第2実施形態と同様であり、主リフレクターの構成が第1、第2実施形態と異なるのみである。
図8は本実施形態の照明装置を照明光軸が延在する方向から見た正面図である。図8において、図1(B)と共通の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0058】
上記実施形態では、第1光源部32側の主リフレクター5と第2光源部33側の主リフレクター5とが別体であった。これに対して、本実施形態の照明装置41では、図8に示すように、第1光源部42の主リフレクターと第2光源部43の主リフレクターとが一体化された一つのリフレクター27で構成されている。したがって、ランプ光軸L1を含む平面P1とランプ光軸L2を含む平面P1との間の領域の主リフレクター27の基材内面にも反射ミラーが形成されている。
【0059】
本実施形態の照明装置41においても、装置の小型化が図れる、光強度が大きな光束を照明光軸の近傍で照明光軸に対して対称な位置に生成させることで光利用効率の高い照明光を生成できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1、第2光源部42,43の主リフレクター27を一体化したことにより各光源部42,43のランプ光軸L1,L2を位置合わせしやすく、部品点数の削減によりコスト低減が図れる。また、[変形例1−2]の構成のように、主リフレクター27の反射ミラーと副リフレクター6の反射膜とがオーバーラップする形態となるため、各リフレクター27,6の焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクター27,6で反射できるため、そのような光もランプ光軸L1,L2に沿って照明装置から射出する光とすることができ、照明光として有効利用できる光量の増大を図ることができる。
【0060】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について図9を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1〜第3実施形態と同様であり、第1光源部と第2光源部とを分離板で区画した点が第1〜第3実施形態と異なっている。
図9(A)、(B)は本実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図9(A)は後述する照明光軸と2つの発光部とを含む平面で切断したときの側断面図、図9(B)は照明光軸が延在する方向(図9(A)の矢印Aの方向)から照明装置を見たときの正面図である。図9(A)、(B)において、図1(A)、(B)と共通の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0061】
本実施形態の照明装置51は、図9(A)、(B)に示すように、第1光源部52と第2光源部53との間に照明光軸Lに沿って1枚の板体からなる分離板56が配置されている。この分離板56によって第1光源部52と第2光源部53との各々の発光管4が配置された空間が区画されている。また、主リフレクター55の端部は、基材の部分のみがランプ光軸L1,L2を含む平面P1を越えて分離板56に接触する位置まで延在している。したがって、主リフレクター55の内面のうち、ランプ光軸L1を含む平面P1とランプ光軸L2を含む平面P1との間の領域には反射ミラーが形成されておらず、この部分は主リフレクター55と分離板56とを接続する接続部57として機能している。すなわち、第1光源部52、第2光源部53の各々において主リフレクター55と分離板56と接続部57とにより囲まれた空間が形成され、この空間内に発光管4が位置することになる。
【0062】
本実施形態の照明装置51においても、照明装置の小型化が図れる、光強度が大きな光束を照明光軸の近傍で照明光軸に対して対称な位置に生成させることで光利用効率の高い照明光を生成できる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態の場合、分離板56によって発光管4が配置された空間が光源部毎に区画されるため、例えば第1光源部52、第2光源部53のいずれか一方の発光管4が破損した場合に他方の光源部への影響を抑えることができる。
【0063】
なお、上記実施形態においては、接続部57の部分には反射ミラーが形成されていないと説明したが、反射ミラーが形成されていてもかまわない。接続部57に反射ミラーが形成されている場合、主リフレクターの反射ミラーと副リフレクターの反射膜とがオーバーラップする形態と同等になり、各リフレクターの焦点位置から外れた位置から射出される光もいずれか一方のリフレクターで反射できる。そのため、そのような光もランプ光軸L1,L2に沿って照明装置から射出する光とすることができ、照明光として有効利用できる光量の増大を図ることができる、という第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
[変形例4−1]
上記実施形態では、発光管4のバルブ部表面に形成した反射膜からなる副リフレクター6を用いたが、この構成に代えて、図10(A)、(B)に示すように、発光管とは別体の反射ミラーからなる副リフレクター24を用いても良い。この場合、副リフレクター24と分離板56は別体でも良いし、副リフレクター24の反射ミラーが形成された支持体を主リフレクター55および前方開口部15まで延伸させて分離板として利用しても良い。その場合、部品点数の削減と光源部の小型化が図れる。
【0065】
また、図9(A)、図10(A)に示したように、主リフレクター55の前方開口部15に透光性を有する前面板58を配置しても良い。その場合、前面板58に反射防止膜を形成しておくことが望ましい。この構成によれば、主リフレクター55と分離板56と接続部57と前面板58とに囲まれた空間内に発光管4を略密閉できるため、プロジェクタ等に使用する場合に他の部品との不要な干渉を防止できる。また、発光管が破裂した場合には、発光管のガラス片などが光源部の前方開口部15から飛散するのを防止でき、安全性を高められる。
【0066】
なお、図10(A)、(B)に示すように、別体の反射ミラーからなる副リフレクター24を用いる場合、副リフレクター24の支持体や分離板56を前面板58で固定しても良い。これにより、反射ミラーの取り付け位置精度を向上できる。また、光透過板からなる前面板58に代えて、インテグレータ素子や集光素子などの光学部品を前面板として代用しても良い。この構成によれば、部品点数の削減と照明装置の小型化が図れる。また、完全な密閉構造とするのではなく、発光管4を囲むいずれかの部材の一部に開口部を設けても良い。その場合、開口部を通して風の導入や排出が可能となり、発光管4を冷却しやすくなる。
【0067】
[変形例4−2]
上記実施形態では、2つの発光管を空間的に分離する分離板を1枚の板体で構成し、第1光源部、第2光源部でこの分離板を共有したが、この構成に代えて、光源部毎に分離板を備える構成としても良い。すなわち、図11(A)、(B)、図12(A)、(B)に示すように、分離板が、第1光源部72,82側の第1分離板74と第2光源部73,83側の第2分離板75の2枚の分離板で構成されている。図11(A)、(B)は発光管4表面の反射膜からなる副リフレクター6を用いた例、図12(A)、(B)は発光管4とは別体の反射ミラーからなる副リフレクター26を用いた例、である。これらの構成によれば、第1分離板74と第2分離板75との界面で第1光源部72,82、第2光源部73,83の各々が独立した構成となるため、光源部単位での着脱が容易になる。そのため、例えば第1光源部72,82、第2光源部73,83のいずれか一方が不点灯となった場合に、他方の光源を消灯することなく光源部の交換が可能となり、使い勝手が向上する。
【0068】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について図13〜図15を用いて説明する。
本実施形態は、第1〜第4実施形態の照明装置を備えたプロジェクタである。
図13(A)は本実施形態のプロジェクタの概略構成図、図13(B)は光路変更光学素子を図13(A)と異なる方向から見た図である。図14は図13(A)のプロジェクタの特定の位置における照明光の光強度分布を示す図である。図15は特定の位置における照明光軸と直交する平面における照明光の光強度分布を示す図である。
【0069】
本実施形態のプロジェクタ110は、図13(A)に示すように、例えば第1実施形態の照明装置1と、光路変更光学素子111(光路変更手段)と、2枚のレンズアレイ112,113からなるレンズアレイインテグレータ114(照度均一化光学系)と、偏光変換素子115と、重畳レンズ116と、ダイクロイックミラー(色光分離光学系)117,118と、反射ミラー119と、リレー光学系120と、平行化レンズ121と、液晶ライトバルブユニット122R,122G,122B(光変調素子)と、ダイクロイックプリズム123と、投写レンズ124(投写光学系)と、を備えている。また、液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bの各々は、入射側偏光板125、透過型液晶ライトバルブ126、射出側偏光板127を備えている。照明装置1の後段には光路変更光学素子111が備えられているが、この光路変更光学素子111は、照明装置1からの照明光の2つの光軸を互いに照明光軸Lに近付ける機能を有している。
【0070】
照明装置1から射出された光は、光路変更光学素子111を透過した後、レンズアレイインテグレータ114および偏光変換素子115により照度が均一化されるとともに、特定の直線偏光に変換されて射出される。偏光変換素子115から射出された光は、重畳レンズ116を経て、ダイクロイックミラー117,118で波長域が異なる3種類の色光(B光、G光、R光)に分離され、平行化レンズ121を経て、各色光に対応する液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bにそれぞれ入射する。なお、B光については、他の2つの色光と光学的な照明光路の長さを一致させるために、平行化レンズ128、リレーレンズ129、反射ミラー130,131等を含むリレー光学系120を介して液晶ライトバルブユニット122Bに入射する。
【0071】
各色光に対応する液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bでは画像信号に応じて入射光の変調が行われ、画像情報を内包した各色光が射出される。液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bから射出された各色光は、クロスダイクロイックプリズム123で一つに合成された後、その合成光が投写レンズ124によって投写面上に投写され、カラー画像を形成する。
【0072】
光路変更光学素子111は、ガラスや樹脂で形成された入射端面と射出端面とが互いに平行な平板状の透光性の光学素子であり、照明光軸Lを中心として照明光軸Lから遠い側の端部をレンズアレイインテグレータ114側に折り曲げた形状をしている。すなわち、光路変更光学素子111は、xz平面における断面形状として見たときの平行四辺形を、照明光軸Lを中心として対称に配置した形状(図13(A)における外形)であり、yz平面における断面形状(図13(B)における外形)は矩形形状である。光路変更光学素子111の入射端面111aに入射した光は、xz平面においては屈折して照明光軸L方向に偏向された後、射出端面111bで再度屈折し、入射時の角度に戻されて射出される。一方、yz平面においては屈折することなく、光路変更光学素子111を直線的に通過して射出される。すなわち、光路変更光学素子111は、光束の角度分布をほぼ維持したまま、xz平面における光束の位置を照明光軸L寄りに移動(平行シフト)させる。したがって、この光路変更光学素子111では、光束の位置は一方向にのみ移動(平行シフト)される。そして、この光束位置を移動させる方向は、照明装置1において2つの光源部2,3が並置される方向と対応している。なお、光束の照明光軸L方向への移動量(平行シフト量)は光路変更光学素子111を形成する材料の屈折率と厚さ(z軸方向の寸法)とで調整できる。
【0073】
図14は、照明装置1と光路変更光学素子111との間の位置(図13(A)の破線Aの位置)、および光路変更光学素子111とレンズアレイインテグレータ114との間の位置(図13(A)の破線Bの位置)にける照明光の強度分布を示している。図14に示すように、本発明の照明装置では主リフレクターで反射された光のみが照明光として射出されるため、照明光軸Lを含んで2つの発光管の間の領域とその近傍からは光が射出されない。したがって、A位置での光強度分布が示すように、照明装置1から射出される照明光はいわゆる中抜けの分布形状となる。このような照明光が光路変更光学素子111を透過することによって各光源部から射出された光は照明光軸L側に平行シフトするため、光束径はx軸方向に小さくなる。その結果、B位置での光強度分布が示すように、中抜け状態がかなり改善された照明光に変換される。
【0074】
一般に、照明系における照明効率は、角度分布が同じであるならば、照明光の光束径が小さいほど照明効率(集光効率)は高くなる。したがって、上記の構成のように光路変更光学素子111を用いることによって、照明装置1から射出された照明光を、後段の光学系でより利用しやすい照明光へと変換することができる。
このように、本実施形態のプロジェクタ110によれば、上記実施形態の照明装置1を備えたことにより、照明効率の向上と表示画像の高輝度化、高画質化を実現できる。
【0075】
ところで、本実施形態のプロジェクタ110においては、横長で矩形状の表示領域を有する液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bを用いている。ここで、「横長」とは、図13(A)における液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bがy方向よりもx方向に長いことに対応している。そこで、照明装置1において第1光源部2と第2光源部3とが並ぶ方向を、表示にとって有効に利用できる方向に一致させている。例えば本実施形態の場合、第1光源部2と第2光源部3とが並ぶ方向を、液晶ライトバルブユニット122R,122G,122Bの表示領域の長辺方向と一致させている。
【0076】
発光管4内の発光部12は点光源ではなく、有限のサイズを有しているため、主リフレクター5および副リフレクター6の焦点位置から外れた位置から放射される光が存在する。このような光はいずれのリフレクターでも反射されず、主リフレクター5の前方開口部から射出される照明光とはならない場合がある。そのため、2つの発光管4に挟まれた領域とその近傍から射出される照明光の光強度は、他の領域に比べてやや弱くなる場合があり、この部分において光強度の対称性が崩れやすい傾向にある。図15は、図13(A)のB位置での照明光軸Lに直交する断面における照明光の光強度分布を示しているが、図15の破線Wで囲んだ領域が光強度の対称性が崩れやすい照明光に相当する。図15においては、光強度が大きい領域ほど黒く表示している。
【0077】
したがって、本実施形態では、図15で示したような強度分布の光で液晶ライトバルブ(照明対象)を照明するには、光強度の対称性が崩れやすい傾向にある光束を照明領域の短辺方向(図13(A)のy方向)に配置することにより、上記の光束を照明領域の長辺方向(図13(A)のx方向)に配置した場合に比べて、光強度の対称性の低下によって生じる明るさムラや色ムラ、コントラストムラ等を低減できる。
ただし、他の要因を考慮した場合には、光強度の対称性が崩れやすい傾向にある光束を必ずしも照明領域の短辺方向に配置する必要はなく、長辺方向に配置しても良い。
【0078】
なお、図1(B)や図6(B)に示したように、2つの主リフレクター5間に間隙を有する照明装置を用いた場合、第1、第2光源部を水平方向に並べたとすると、2つの主リフレクター5間に鉛直方向に開いた空間ができるため、この空間を利用して効率的な排熱を行える。すなわち、一般に発光管4は鉛直方向の上部ほど高温になるため、ここで発生した熱を上部の開放空間に対してスムーズに排熱でき、発光管4の近傍に配置される副リフレクターの熱による劣化を低減できる。またこの場合、2つの光源部で生じる熱分布が略同じになるため、光源部を冷却する場合の環境や条件を整えやすく、照明装置の冷却を効率的に行える。
【0079】
[変形例5−1]
上記実施形態のプロジェクタにおいて、G光の照明光路を直線的に示したのが図16(B)である。この図では説明を容易とする観点から、照明装置1とダイクロイックミラー117と液晶ライトバルブ122のみを抜き出して斜視図として示している。一般にプロジェクタで用いるダイクロイックミラー(ダイクロイック膜)は、その光学特性が入射面内において大きな入射角依存性を有しており、図16(B)の配置ではダイクロイックミラーの入射面はxz平面である。一方、照明装置において2つの発光管4(光源部)が並ぶ方向では、光路変更光学素子111を用いた場合であっても、それと直交する方向と比べて相対的に照明光の角度分布が広がりやすい、あるいは大きな角度成分を有する光の割合が大きくなる傾向にある。その理由は、先に図15で説明した事象や、光路変更光学素子111で光路を移動する場合に屈折率分散などにより角度成分が僅かに増大するためである。したがって、ダイクロイックミラー117を色光分離光学系や色光合成光学系に用いた場合、図16(B)に示す配置とすると、2つの発光管4(光源部)が並ぶ方向がダイクロイックミラー117の色光分離方向と一致しているため、ダイクロイックミラー117の入射角依存性に起因して色ムラや明るさムラが発生する懸念がある。すなわち、図16(B)に示す配置は、2つの発光管4が並ぶ方向と液晶ライトバルブ122の長手方向が一致している点で液晶ライトバルブ122に起因する明るさムラや色ムラ、コントラストムラ等を低減できるという利点が得られる。その反面、2つの発光管4が並ぶ方向とダイクロイックミラー117の入射角依存性が大きい方向が一致しているという点では、ダイクロイックミラー117に起因する明るさムラや色ムラ等が発生しやすい点であまり好ましくない。
【0080】
これに対して、図16(A)に示すプロジェクタ130では、2つの発光管4が並ぶ方向が、ダイクロイックミラー117の色光分離方向(ダイクロイックミラーの入射面はyz平面である)と直交する方向に一致し、かつ、液晶ライトバルブ122の長手方向に一致するように、照明装置1とダイクロイックミラー117と液晶ライトバルブ122の配置を決めている。この構成によれば、ダイクロイックミラー117に起因する明るさムラや色ムラ等を低減できるとともに、液晶ライトバルブ122に起因する明るさムラや色ムラ、コントラストムラ等も低減できる。このように、本構成によれば、双方の効果が相俟って表示画像の画質劣化を十分に低減できる。
【0081】
[変形例5−2]
上記実施形態では、照明光軸を中心に平板状の光学素子を折り曲げた形状の光路変更光学素子を用いたが、これに限らず、他の形状を有する光路変更光学素子を用いても良い。例えば図17(A)に示すように、一つの面141aが凸状の円錐面で他の面141bが平面の第1光学素子141と、一つの面142aが凹状の円錐面で他の面142bが平面の第2光学素子142とを照明光軸Lが共通の対称軸になるように配置した光路変更光学系143を用いても良い。なお、上記の第1、第2光学素子141,142の一つの面141a,142aは、必ずしも円錐面である必要はなく、例えば非球面であっても良い。
【0082】
あるいは、図17(B)に示すように、一つの面145aが凸レンズ面で他の面145bが平面の第1光学素子145と、一つの面146aが凹レンズ面で他の面146bが平面の第2光学素子146とを照明光軸Lが共通の対称軸になるように配置した光路変更光学系147を用いても良い。
なお、図17(A)、(B)には第1光学素子141,145、第2光学素子142,146の2つの光学素子で光路変更光学系143,147を構成した例を示したが、凸状面と凹状面の双方を有する一つの素子で光路変更光学素子を構成しても良い。すなわち、共通の光が通過する微小領域において平行平面が存在し得る形状を有する光学系あるいは光学素子であれば、本発明の光路変更手段として使用できる。
【0083】
上記実施形態の光路変更光学素子111は照明光を1方向(例えば図13におけるx方向)にのみ平行シフトする機能を有していたが、図17(A)、(B)に示す変形例の光路変更光学系143,147を用いた場合は照明光軸Lを中心に2方向(例えば図13(A)におけるx方向とy方向)に照明光を平行シフトするとともに集束することができる。これにより、照明光をより一層小径化できるとともに照明光軸Lにより一層近付けることができ、照明装置から射出された照明光を、後段の光学系でより利用しやすい照明光へと変換することができる。
【0084】
[変形例5−3]
照明光の中抜けの分布形状を解消する方法として、上記実施形態では光路変更光学系を用いたが、光路変更光学系を用いる方法に代えて、レンズアレイインテグレータの構成を工夫することでも実現が可能である。
例えば図18に示すように、レンズアレイインテグレータ154として、偏心レンズを用いて第1レンズアレイ151、第2レンズアレイ152をそれぞれ構成し、照明装置1に近い側の第1レンズアレイ151は各光源部2,3から射出される照明光の位置に対応させて、2つのサブレンズアレイ153に分離して配置する。このサブレンズアレイ153は空間的に分離して配置しても良いし、共通の支持基板の両側にレンズ部を配置した一体型の構成としても良い。
【0085】
以上の構成により、2つのサブレンズアレイ153に入射した光はそれぞれ照明光軸L寄りに偏向し、第2レンズアレイ152に入射する。このようにして、照明光の中抜けの分布形状を解消できる。この構成によれば、光路変更光学系を使用することなく、照明光の空間分布や角度分布の広がりをより狭くでき、照明効率を向上できるため、装置の小型化と部品点数の削減が図れる。また、偏心レンズの使用は、第1レンズアレイ151や第2レンズアレイ152の各小レンズの集光性とx軸方向への偏向性とを独立に制御できる点で好適である。さらに、第1レンズアレイ151や第2レンズアレイ152の各小レンズに非球面の偏心レンズを用いることも一層効果的である。これによれば、x軸方向に加えてy軸方向の偏向性も独立に制御できるため、第1レンズアレイ151と第2レンズアレイ152間での照明光の伝達効率を一層高められるとともに、照明光の角度分布の広がりを狭くでき、よって、照明効率の一層の向上を実現できる。
【0086】
[変形例5−4]
上記の全ての実施形態では、発光管の光軸が照明光軸L(照明装置の光軸)と平行な状態となるように各光源部を配置していたが、この配置形態に限定されない。すなわち、照明装置の後段(照明対象側)に配置される光路変更手段やインテグレータ等の照度均一化光学系によって光の進行方向を変えられるため、2つの光源部が照明光軸Lに対して対称な位置関係を保ちつつ、発光管の光軸が照明光軸Lと交わるように傾斜させて配置しても良い。ここで、図1(B)に示した様に、2つの光源部2,3は間隙Sの距離を有して離れて配置され、この間隔Sで示された空間はリフレクターが配置されない、いわば無駄な空間であるため、この無駄な空間を小さくし、かつ、2つの光源部が物理的に干渉しない範囲で、2つの光源部を互いに傾斜させた配置とすることができる。
【0087】
例えば、図19に示すプロジェクタでは、照明装置91の第1光源部92のランプ光軸L1と第2光源部93のランプ光軸L2とが、照明光軸Lに対して各々傾斜角+θ、−θをなすように、各光源部92,93から射出される光が照明光軸Lの側に内向するように配置されている。各光源部92,93から射出された光は、それぞれのランプ光軸L1,L2の傾斜角(+θ、−θ)で光路変更光学素子161に入射し、光路変更光学素子161で照明光軸Lと略平行な状態に進行方向を変えられて射出される。そのため、本変形例における光路変更光学素子161のxz平面における断面形状は第5実施形態の光路変更光学素子111の場合とは異なり、入射端面161aと射出端面161bとが非平行な状態で形成されている。各光源部92,93から入射した光は入射端面161aまたは射出端面161b、あるいはその両方の端面161a,161bで屈折され、光の進行方向を変えられる。換言すれば、各光源部92,93から入射した光が照明光軸Lと略平行な状態で光路変更光学素子161から射出されるように、光路変更光学素子161の入射端面161aや射出端面161bの傾き、曲面の場合にはその曲率を設定すれば良い。なお、光路変更光学素子161から射出された照明光の振る舞いは第5実施形態の場合と同じであるため、以降の説明は省略する。
【0088】
このような構成においても、各光源部92,93から射出される光の角度分布を殆ど増大させることなく、照明装置91から射出された照明光の光束径を小径化して、後段の光学系でより利用しやすい照明光とすることができる。また、2つの光源部92,93が物理的に接触しない範囲で、主リフレクター65の前方開口部66が互いに接近するように、2つの光源部92,93を照明光軸Lに対して傾斜させて配置しているため、照明装置91を一層小型化でき、特に2つの光源部92,93が並置される方向の寸法を小さくできる。
【0089】
なお、本変形例では光路変更光学素子を用いた場合について説明したが、変形例5−3で説明したように、照度均一化光学系であるインテグレータ等の構成を工夫することによっても、本変形例の光路変更光学素子と同様の作用を実現することができる。さらに、光路変更手段やインテグレータ等の照度均一化光学系によって2つの光源部から射出される光の進行方向を各々独立に制御可能な構成とすれば、照明光軸Lに対して2つの光源部を非対称な位置関係で配置することもできる。この場合、例えば、第5実施形態(図13(A))の光路変更光学素子111の形状を、照明光軸Lを境に非対称な形状とし、各光源部2,3からの光に対応させて入射端面111aと射出端面111bの傾きや曲面の場合(変形例5−2の場合)にはその曲率、光学素子を形成する透光性材料の屈折率を適宜設定して、照明光軸Lと略平行な状態で光路変更光学素子から光が射出される構成とすれば良い。
【0090】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態において、主リフレクターの曲面形状は放物面を想定したが、これに限定されるものではなく、楕円面や非球面であっても良い。楕円面の場合には、照明装置から射出される光が平行光ではなく集束光となるため、照明光束をより小径化でき、後段の光学系において照明効率をより向上できる。また、射出光が集束光であるため、後段に光路変更光学系を配置する場合に屈折界面を1面に削減できるなど、光路変更光学系の構成を簡略化できる。
【0091】
照明対象上において均一な照度分布を形成するための照度均一化光学系や、特定の偏光によって均一な照度分布を形成するための均一偏光照明光学系として、2枚のレンズアレイを用いたレンズアレイ方式や、棒状または管状の導光体を用いたロッド方式を用いることができる。特に、主リフレクターを楕円面とした場合には、照明装置からの射出光は集束光となるため、ロッド方式を採用した光学系との相性が良い。
【0092】
また、本発明の照明装置において、発光管の点灯姿勢は特に限定されるものではない。すなわち、発光管の一対の電極および封止部の延在方向を水平方向、鉛直方向、それ以外の方向のいずれに設定しても良い。特に、鉛直方向に設定する場合には主リフレクターの前面開口部が鉛直方向の上方を向く配置にできる。これにより、発光管で発生した熱をスムーズに空気中に放散できるため、冷却が比較的容易になり、熱による劣化を防止しやすい。
【0093】
また、上記実施形態では放電型の発光管を用いたが、放電型以外の発光管を用いても良く、例えばタングステンハロゲンランプのように一対の電極がフィラメント等で物理的に繋がっており、通電することでフィラメントが発光するタイプの発光管を用いても良い。また、発光管の点灯方式は限定されるものではなく、直流点灯型、交流点灯型のいずれの発光管も本発明への適用が可能である。また、照明対象となる光変調素子は限定されるものではない。例えば、透過型液晶素子、反射型液晶素子、多数の微小ミラーを用いたミラーアレイ素子(DMD素子)等を照明する照明装置に本発明が適用可能である。さらに、光変調素子以外のものを照明対象としても良い。その他、上記実施形態で挙げた種々の構成要素の形状、配置、構成材料等は実施形態に限定されることなく、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図1(A)は側断面図、図1(B)は正面図である。
【図2】本照明装置における副リフレクターの効果を示す図であり、図2(A)は各リフレクターでの反射光経路を示す図、図2(B)は本照明装置と比較例の照明装置の光強度分布を比較した図、である。
【図3】本照明装置と従来例の照明装置との光強度分布を比較した図である。
【図4】変形例1−1の照明装置の正面図である。
【図5】変形例1−2の照明装置の正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図6(A)は側断面図、図6(B)は正面図である。
【図7】変形例2−1の照明装置の側断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の照明装置の構成を示す正面図である。
【図9】本発明の第4実施形態の照明装置の構成を示す図であり、図9(A)は側断面図、図9(B)は正面図である。
【図10】変形例4−1の照明装置の構成を示す図であり、図10(A)は側断面図、図10(B)は正面図である。
【図11】変形例4−2の照明装置の構成を示す図であり、図11(A)は側断面図、図11(B)は正面図である。
【図12】変形例4−2の照明装置の他の構成を示す図であり、図12(A)は側断面図、図12(B)は正面図である。
【図13】図13(A)は本発明の第5実施形態のプロジェクタの概略構成図であり、図13(B)は光路変更光学素子を図13(A)と異なる方向から見た図である。
【図14】本プロジェクタの特定位置での光強度分布を示す図である。
【図15】特定位置での照明光軸と直交する平面における光強度分布を示す図である。
【図16】図17(A)は変形例5−1のプロジェクタの特定の光学要素の配置を直線的に示す図、図17(B)は図13のプロジェクタの特定の光学要素の配置を直線的に示す図である。
【図17】図18(A)、(B)ともに光路変更光学系の他の例を示す図である。
【図18】変形例5−3のプロジェクタの概略構成図である。
【図19】変形例5−4のプロジェクタの概略構成図である。
【符号の説明】
【0095】
1,21,31,41,51,61,71,81,91…照明装置、2,22,32,42,52,62,72,82,92…第1光源部、3,23,33,43,53,63,73,83,93…第2光源部、4…発光管、5,17,27,55,65…主リフレクター(第1リフレクター)、6,18,24,26…副リフレクター(第2リフレクター)、11…リード線、56…分離板、74…第1分離板、75…第2分離板、110…プロジェクタ、111…光路変更光学素子(光路変更手段)、114,154…レンズアレイインテグレータ(照度均一化光学系)、117,118…ダイクロイックミラー(色光分離光学系)、122R,122G,122B…液晶ライトバルブユニット(光変調素子)、124…投写レンズ(投写光学系)、143,147…光路変更光学系(光路変更手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源部と第2光源部とが照明光軸に対して略対称に配置され、
前記第1光源部と前記第2光源部との各々は、発光管と、前記発光管の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されて前記発光管から射出された光を照明対象に向けて反射させる第1リフレクターと、前記発光管の光軸を挟んで前記第1リフレクターと対向するように配置されて前記発光管から射出された光を前記第1リフレクターに向けて反射させる第2リフレクターと、を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1リフレクターおよび前記第2リフレクターは湾曲した反射面同士が互いに対向するように配置され、前記発光管の光軸を中心とする略全周にわたって前記第1リフレクターと前記第2リフレクターの少なくとも一方が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光管の光軸を中心とした前記第1リフレクターの受光可能角度範囲が180度より大きいことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光管の光軸を中心とした前記第2リフレクターの受光可能角度範囲が180度より大きいことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2リフレクターが、前記発光管の表面に形成された反射膜で構成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第2リフレクターが、前記発光管と別体であって前記発光管に近接して配置された反射ミラーで構成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1光源部の前記第1リフレクターと前記第2光源部の前記第1リフレクターとが一体化されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1光源部と前記第2光源部との間に、前記第1光源部と前記第2光源部との各々の発光管が配置された空間を区画する分離板が設けられたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記分離板が、前記第1光源部側に位置する第1分離板と前記第2光源部側に位置する第2分離板の2枚の分離板で構成されたことを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1光源部の前記発光管に接続された第1リード線と前記第2光源部の前記発光管に接続された第2リード線とが、互いに離間するように配置されたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光を互いに前記照明光軸側に近接させる光路変更手段が設けられたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光の照度を均一化する照度均一化光学系を備え、前記照度均一化光学系が、前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光を互いに前記照明光軸側に近接させる機能を備えたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の照明装置と、前記照明装置からの光を変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項14】
前記第1光源部と前記第2光源部とが、前記光変調素子の長手方向に沿って並ぶように配置されたことを特徴とする請求項13に記載のプロジェクタ。
【請求項15】
前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光を異なる波長域の複数の色光に分離する色光分離光学系を備え、
前記第1光源部と前記第2光源部とが、前記色光分離光学系における色光分離方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されたことを特徴とする請求項13または14に記載のプロジェクタ。
【請求項1】
第1光源部と第2光源部とが照明光軸に対して略対称に配置され、
前記第1光源部と前記第2光源部との各々は、発光管と、前記発光管の光軸を中心とする全周のうちの一部を囲むように配置されて前記発光管から射出された光を照明対象に向けて反射させる第1リフレクターと、前記発光管の光軸を挟んで前記第1リフレクターと対向するように配置されて前記発光管から射出された光を前記第1リフレクターに向けて反射させる第2リフレクターと、を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1リフレクターおよび前記第2リフレクターは湾曲した反射面同士が互いに対向するように配置され、前記発光管の光軸を中心とする略全周にわたって前記第1リフレクターと前記第2リフレクターの少なくとも一方が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光管の光軸を中心とした前記第1リフレクターの受光可能角度範囲が180度より大きいことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光管の光軸を中心とした前記第2リフレクターの受光可能角度範囲が180度より大きいことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2リフレクターが、前記発光管の表面に形成された反射膜で構成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第2リフレクターが、前記発光管と別体であって前記発光管に近接して配置された反射ミラーで構成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1光源部の前記第1リフレクターと前記第2光源部の前記第1リフレクターとが一体化されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1光源部と前記第2光源部との間に、前記第1光源部と前記第2光源部との各々の発光管が配置された空間を区画する分離板が設けられたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記分離板が、前記第1光源部側に位置する第1分離板と前記第2光源部側に位置する第2分離板の2枚の分離板で構成されたことを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1光源部の前記発光管に接続された第1リード線と前記第2光源部の前記発光管に接続された第2リード線とが、互いに離間するように配置されたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光を互いに前記照明光軸側に近接させる光路変更手段が設けられたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光の照度を均一化する照度均一化光学系を備え、前記照度均一化光学系が、前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光を互いに前記照明光軸側に近接させる機能を備えたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の照明装置と、前記照明装置からの光を変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項14】
前記第1光源部と前記第2光源部とが、前記光変調素子の長手方向に沿って並ぶように配置されたことを特徴とする請求項13に記載のプロジェクタ。
【請求項15】
前記第1光源部と前記第2光源部との各々から射出された光を異なる波長域の複数の色光に分離する色光分離光学系を備え、
前記第1光源部と前記第2光源部とが、前記色光分離光学系における色光分離方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されたことを特徴とする請求項13または14に記載のプロジェクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−62019(P2010−62019A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226979(P2008−226979)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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