説明

照明装置および投写型映像表示装置

【課題】光変調素子上における照明光の照度ムラを円滑かつ効果的に抑制できる照明装置および投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】第1の方向に略一様な強度分布を有する光を出力する光源部(レーザ光源11)と、この光が入射されるフライアイレンズ12とを備え、フライアイレンズ12におけるレンズセルの縦または横の配列方向に対し前記第1の方向が傾くように光源部(レーザ光源11)とフライアイレンズ12を配置する。レンズセルの縦または横の配列方向に対し前記第1の方向が平行となるように光源部(レーザ光源11)とフライアイレンズ12を配置する場合に比べ、フライアイレンズ12における重畳パターン数が増加し、光の均一化効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびそれを用いた投写型映像表示装置に関するものであり、特に、複数のレーザ光源を直線状に並べて配置する場合に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体レーザ等の固体光源を用いた投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)の開発が進められている。レーザ光源は、広い色空間を高輝度かつ高精細に表現する能力に優れており、次世代プロジェクタの光源として注目されている。
【0003】
特許文献1には、複数のレーザ光源を2次元状に配置してアレイ化する構成が示されている。この構成によれば、照明光の高輝度化を実現することができる。
【0004】
また、特許文献2には、複数のレーザ光源を用いる場合に、各レーザ光源の出力不足や不点灯を検出し、その検出結果に応じて、照明光の不均一性を改善する構成が示されている。
【特許文献1】WO99/49358号公報(再公表公報)
【特許文献2】特開2005−331906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のレーザ光源を互いに接近させて直線状に配列する場合、これらレーザ光源群から出射される照明光の照度分布は、配列方向に一様となりやすい。このため、上記特許文献1および2のように、レーザ光源の配列方向とフライアイレンズセルの配列方向が互いに平行となるようにフライアイレンズを配置すると、フライアイレンズによる照明光の重畳効果が薄れてしまい、光変調素子上における照明光の照度分布にムラが生じるとの問題が生じる。
【0006】
本発明は、かかる課題を解消するためになされたものであり、光変調素子上における照明光の照度ムラを円滑かつ効果的に抑制できる照明装置および投写型映像表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明装置は、第1の方向に略一様な強度分布を有する光を出力する光源部と、前記光が入射されるフライアイレンズとを備え、前記フライアイレンズにおけるレンズセルの縦および横の配列方向に対し前記第1の方向が傾くよう前記光源部と前記フライアイレンズが配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、レンズセルの縦または横の配列方向に対し前記第1の方向が傾くようにして照明光がフライアイレンズに入射されるため、上記引用文献1、2の如くレンズセルの配列方向と前記第1の方向とが互いに平行となるように照明光がフライアイレンズに入射される場合に比べ、フライアイレンズによる照明光の重畳効果を高めることができる。よって、光変調素子上における照明光の照度ムラを抑制することができる。
【0009】
本発明において、光源部は、前記第1の方向に配列された複数のレーザ光源を有する構成とすることができる。ここで、これら複数のレーザ光源を偏光方向が互いに同一となるよう配置すると、光変調素子上における照明光の偏光方向を一方向に揃えることができる。しかし、この場合、フライアイレンズセルの配列方向に対しレーザ光源の配列方向が傾いているため、光変調素子として液晶パネルを用いると、照明光の偏光方向が、液晶パネルにて適正とされる偏光方向に対して傾いてしまう現象が起こり得る。
【0010】
これに対し、フライアイレンズを経由した後の光の偏光方向を光変調素子(液晶パネル)に適合するよう回転させるための偏光回転素子を配すると、液晶パネルに対し照明光を適正な偏光方向にて入射させることができる。この場合、偏光回転素子として、1/2波長板を用いることができる。すなわち、1/2波長板の光学軸を調整することにより、液晶パネル上における照明光の偏光方向を調整することができ、照明光の偏光方向を液晶パネルに適正となる方向に整合させることができる。
【0011】
つまり、液晶パネルの入射側に配される偏光板の偏光方向に対して照明光の偏光方向がθ傾斜しているとすると、1/2波長板の光学軸をθ/2傾斜させて配置すれば、1/2波長板を透過した後の照明光の偏光方向は、照明光の偏光方向の回転方向と逆向きの方向にθ回転し、液晶パネル入射側の偏光方向と一致した方向となる。したがって、1/2波長板の光学軸の向きを調整して液晶パネルに対して適正化することにより、1/2波長板を透過した後の照明光の偏光方向を適正方向に整合させることができる。
【0012】
なお、1/2波長板の光学軸の向きの適正化は、あらかじめ照明光の傾斜方向との関係において光学軸の向きが適正化された1/2波長板を光路中の所望の位置に設置する構成により行うこともできるが、微調整が必要な場合は、1/2波長板を光路中に配置した後光軸を軸として1/2波長板を回転させて行うこともできる。
【0013】
本発明に係る投写型映像表示装置は、上記各構成を有する照明装置と、前記フライアイレンズによって重畳された前記光が照射される光変調素子とを備えることを特徴とする。この場合、上記各構成を有する照明装置による効果と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり本発明によれば、光変調素子上における照明光の照度ムラを円滑かつ効果的に抑制できる照明装置および投写型映像表示装置を提供することができる。
【0015】
本発明およびその他の構成例による効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0017】
まず、図1(a)に、実施の形態に係る光学系の基本構成を示す。同図において、11はレーザ光源(半導体レーザ)である。ここでは、4つのレーザ光源11が直線状に配列されアレイ化されている。レーザ光源11の配列方向は、同図のX軸方向に対して所定の角度だけ傾いている。これらレーザ光源11の発光点はX−Y平面上に位置し、且つ、出射ビームの長軸方向がレーザ光源の配列方向に直交している。各レーザ光源から出射されるレーザ光の偏光方向は全て同一である。
【0018】
これら3つのレーザ光源11から出射されたレーザ光は、一対のフライアイレンズ12に入射される。フライアイレンズ12には、レンズセル群がマトリクス状に配置されている。レンズセル群の行方向は同図のX軸方向に平行である。
【0019】
各レンズセルを通過したレーザ光は、コンデンサレンズ13、14と1/2波長板15を経由して液晶パネル(光変調素子)16の入射面上において重畳される。ここで、レーザ光は、1/2波長板15を透過することにより、上記課題を解決するための手段の項にて述べた如く、偏光方向が液晶パネル17に適合するよう調整される。
【0020】
この構成において、仮に、レーザ光源11の配列方向がX軸方向に平行であるとすると、フライアイレンズ12に入射する際のレーザ光(以下、「照明光」という)の強度分布は、同図(b)のようになる。図において、照明光の強度は黒色に近いほど高くなっている。したがって、照明光の強度分布は、X軸方向に略一様で、Y軸方向においては、中心位置の強度が高く、中心位置からY軸方向に離れるにしたがって、強度が徐々に低くなる。
【0021】
この場合、フライアイレンズ12の行L1上にある5つのレンズセル群には、ほぼ同様の強度パターンにてレーザ光が入射される。また、行L2、L3、L4のレンズセル群にも、それぞれ、ほぼ同様の強度パターンにてレーザ光が入射される。したがって、これらレンズセル群によるレーザ光の重畳パターン数は、レーザ光が入射するレンズセル群の行(L1、L2、L3、L4)の数と等しく、4パターンとなる。このため、フライアイレンズ12による光の重畳効果は低くなり、液晶パネル16上における照明光の均一化効果も低下する。
【0022】
これに対し、本実施の形態では、レーザ光源11の配列方向をX軸方向に対し所定角度だけ傾けたため、フライアイレンズ12に入射する際の照明光の強度分布は、同図(c)のようになる。この場合、行L1、L2、L3、L4上のレンズセル群に入射する照明光の強度分布は、レンズセル毎に異なるようになる。したがって、これらレンズセル群によるレーザ光の重畳パターン数は、照明光が入射するレンズセル群の数と等しくなる。同図(c)では、20個のレンズセルにレーザ光が入射するため、重畳パターン数は20パターンとなる。
【0023】
このように、本実施の形態では、レーザ光源11の配列方向をX軸方向に対して所定角度だけ傾けたため、レーザ光源11をX軸方向に平行に配列する場合に比べ、液晶パネル16の入射面上におけるレーザ光の重畳パターン数が顕著に増加される。その結果、フライアイレンズ12による照明光の重畳効果を顕著に向上させることができ、照明光の照度ムラを抑制することができる。
【0024】
<検証例>
以下に、本実施の形態による照明光の均一化効果の検証例を示す。
【0025】
本検証では、レーザ光源11からフライアイレンズ12に入射される際のレーザ光の強度分布として、図2(a)に示す強度分布を想定した。ここでは、黒に近いほどレーザ光の強度が高くなっている。
【0026】
同図(b)は、同図(a)の横軸(x軸)上0mmの位置(横軸方向の中心位置)における縦軸(y軸)方向のレーザ光の強度分布である。また、同図(c)は、同図(a)の縦軸(y軸)上0mmの位置(縦軸方向の中心位置)における横軸(x軸)方向のレーザ光の強度分布である。なお、縦軸上0mm以外の位置における横軸方向のレーザ光の強度分布も、同図(c)と同様の傾向となっている。すなわち、横軸方向の強度分布は、縦軸上0mmの位置のみならず、その他の縦軸上の位置においても、−20(mm)≦ X ≦20(mm)の範囲において、略一様となっている。
【0027】
本検証では、かかる強度分布をフライアイレンズ12に対して回転させたときの、各回転位置における液晶パネル16上の照明光の照度ムラを、光学シミュレーションソフトを用いて求めた。なお、光学系の基本構成は、図1(a)に示す構成と同様とした。
【0028】
ここで、フライアイレンズ12上における一つのレンズセルの大きさは、縦2.80mm、横3.64mmとし、また、レンズセル数は、縦23個×横17個=391個とした。すなわち、フライアイレンズ12には、縦64.4mm、横61.9mmの方形領域に、391個のレンズセルが縦方向および横方向に直線状に並ぶようにしてマトリクス状に配置されている。
【0029】
本検証では、図2(a)の強度分布の中心位置(x=0、y=0の位置)がフライアイレンズ12におけるレンズセルの配置領域(縦64.4mm、横61.9mmの方形領域)の中心位置に整合するようにして、レーザ光がフライアイレンズ12に入射されるものとした。また、図2(a)の横軸(x軸)方向がフライアイレンズ12の横方向に平行となるときの位置を基準位置(回転角度=0°)とし、この基準位置から強度分布を時計方向に回転させたときの各回転位置における照明光の照度ムラを、光学シミュレーションソフトを用いて求めた。
【0030】
図4に、検証結果を示す。横軸は強度分布の回転角度、縦軸は液晶パネル16上における照度ムラである。ここでは、照度ムラの評価値として、照度の平均偏差(平均偏差=液晶パネル16上における照度の標準偏差/液晶パネル16上における全領域の平均照度)が用いられている。
【0031】
同図の検証結果を参照すると、基準位置から強度分布を回転させることにより、照度ムラが改善されていることが分かる。また、強度分布を基準位置から90度回転させて、強度分布が一様となる方向(図2(a)の横軸方向)がフライアイレンズ12の縦方向に整合すると、照度ムラが悪化していることが分かる。これは、強度分布を基準位置から90度回転させると、フライアイレンズ12上の縦方向1列分の各レンズセルに略同様の強度パターンにてレーザ光が入射されるため、図1(b)の場合と同様、レンズセル群によるレーザ光の重畳パターン数が低下することによるものである。
【0032】
以上のとおり、強度分布が一様となる方向をフライアイレンズ12のレンズセルの配列方向に対して傾けることにより、液晶パネル16上における照明光の照度ムラを改善できることが、本検証において確認された。したがって、上記実施の形態のようにレーザ光源11の配列方向をフライアイレンズ12の横方向または縦方向に対して傾けることにより、フライアイレンズ12による照明光の重畳効果を向上させることができ、液晶パネル16上における照明光の照度ムラを抑制することができる。
【実施例】
【0033】
図4に、上記実施の形態をさらに具体化した実施例を示す。
【0034】
図において、レーザ光源11から液晶パネル16までの光学系は、上記図1の基本構成と同様である。ここで、レーザ光源11は、たとえば、赤色波長帯のレーザ光(以下、「R光」という)を出射する。なお、同図には、4つのレーザ光源11が図示されているが、レーザ光源11の個数は4つに限らず、適宜、変更可能である。
【0035】
これらレーザ光源11は、上記実施の形態にて述べた如く、フライアイレンズ12の行方向に対して配列方向が傾くようにして直線状に配置されアレイ化されている。
【0036】
これらレーザ光源11から出射されたR光は、それぞれ、一対のフライアイレンズ12に入射される。フライアイレンズ12上の各レンズセルを通過したR光は、コンデンサレンズ13、14および1/2波長板15を経由して、液晶パネル16の入射面上において重畳される。重畳されたR光は、上記実施の形態にて述べた如く、照度ムラが抑制されている。また、液晶パネル16に入射する際のR光は、1/2波長板15によって、偏光方向が液晶パネル16に適合するよう調整されている。
【0037】
レーザ光源21から液晶パネル26までの光学系は、緑色波長帯のレーザ光(以下、「G光」という)のための光学系である。この光学系の構成は、上記図1の基本構成と同様である。
【0038】
レーザ光源21は、上記実施の形態にて述べた如く、フライアイレンズ22の行方向に対して配列方向が傾くようにして直線状に配置されアレイ化されている。各レーザ光源21からは、出射ビームの長軸方向がレーザ光源21の配列方向に直交するようにしてG光が出射される。
【0039】
これらレーザ光源21から出射されたG光は、一対のフライアイレンズ22に入射される。フライアイレンズ22上の各レンズセルを通過したG光は、コンデンサレンズ23、24および1/2波長板25を経由して、液晶パネル26の入射面上において重畳される。重畳されたG光は、上記実施の形態にて述べた如く、照度ムラが抑制されている。また、液晶パネル26に入射する際のG光は、1/2波長板25によって、偏光方向が液晶パネル26に適合するよう調整されている。
【0040】
レーザ光源31から液晶パネル36までの光学系は、青色波長帯のレーザ光(以下、「B光」という)のための光学系である。この光学系の構成は、上記図1の基本構成と同様である。
【0041】
レーザ光源31は、上記実施の形態にて述べた如く、フライアイレンズ32の行方向に対して配列方向が傾くようにして直線状に配置されアレイ化されている。各レーザ光源31からは、出射ビームの長軸方向がレーザ光源31の配列方向に直交するようにしてG光が出射される。
【0042】
これらレーザ光源31から出射されたB光は、それぞれ、一対のフライアイレンズ32に入射される。フライアイレンズ32上の各レンズセルを通過したB光は、コンデンサレンズ33、34および1/2波長板35を経由して、液晶パネル36の入射面上において重畳される。重畳されたB光は、上記実施の形態にて述べた如く、照度ムラが抑制されている。また、液晶パネル36に入射する際のB光は、1/2波長板35によって、偏光方向が液晶パネル36に適合するよう調整されている。
【0043】
液晶パネル16、26、36には、それぞれ、入射側偏光板(図示せず)を介して、R光、G光およびB光が入射される。これらR光、G光およびB光は、それぞれ、液晶パネル16、26、36によって変調された後、出射側偏光板(図示せず)を介して、ダイクロイックプリズム40に入射される。
【0044】
R光、G光およびB光は、ダイクロイックプリズム40にて合成され、投写レンズ50に入射される。投写レンズ50は、投写光を被投写面上に結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータを備えている。
【0045】
本実施例によれば、液晶パネル16、26、36の入射面上における照明光の照度ムラが抑制されるため、投写画像のムラを効果的に抑制することができる。
【0046】
なお、図4の光学系における1/2波長板15、16の配置位置には、ダイクロイックプリズム40に対するR光とB光の反射特性を最適とするために、従前の光学系においても、1/2波長板が配されている場合がある。この場合、本実施例のようにレーザ光源11、31をフライアイレンズ12、32の行方向に対して配列方向が傾くようにして直線状に配置すると、この傾きによって、当該1/2波長板に対するR光とB光の偏光方向が適正方向から傾くこととなるため、かかる偏光方向の傾きを是正する必要がある。
【0047】
かかる偏光方向の傾き是正は、上記実施例のように、別途、1/2波長板15、16を追加することによって行うこともできるが、部品点数の削減からは、もともと配されているR光、B光用の1/2波長板の光学軸を適宜調整することにより行うのが望ましい。具体的には、これら1/2波長板の光学軸を、適正方向に対するR光とB光の偏光方向の傾き角をそれぞれ半分に分割にする方向に整合させれば良い。
【0048】
なお、かかる従前の光学系において、G光の光路中には、1/2波長板が配されていない。これは、G光は、ダイクロイックプリズム40を透過するものであるため、特に偏光方向を調整せずともダイクロイックプリズム40に対して最適の透過特性が得られるためである。しかし、本実施例では、レーザ光源21がフライアイレンズ22の行方向に対して配列方向が傾くようにして直線状に配置されているため、この傾きによって、G光の偏光方向が適正方向から傾くこととなる。よって、G光に対しては、上記実施例のように別途1/2波長板25を配置して、偏光方向を適正方向に整合させる必要がある。
【0049】
なお、このように偏光方向が調整される場合、各色光の偏光方向は、ダイクロイックプリズム40に対して最適化されると同時に、液晶パネル16、26、36に対しても最適なものとなっている。すなわち、液晶パネル16、26、36は、このようにダイクロイックプリズム40に対するR光、G光、B光の偏光方向が最適となるときに、これらR光、G光、B光が最適の偏光方向にて入射するよう構成されている。
【0050】
以上、本発明に係る実施の形態および実施例について説明したが、本発明は、これらによって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態および実施例も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0051】
たとえば、レーザ光源11、21、31の配置は、一列に限らず、2列以上としても良い。
【0052】
図5は、複数のレーザ光源11を2列配置する場合の構成例である。同図(a)および(b)は、それぞれ、レーザアレイ111、112の正面図および側面図である。ここでは、発光部が直線状に並ぶようにして、レーザ光源11(レーザ素子)が基板111a、112a上に形成されアレイ化されている。また、基板111a、112aは、冷却部材111b、112bに装着されている。これらレーザ光源11、基板111a、112aおよび冷却部材111b、112bからなるレーザアレイ111、112は、各列のレーザ光源11の発光部が、出射光軸に垂直な平面上に位置する2つの平行直線M1、M2上に並ぶようにして、保持部材(図示せず)に保持されている。
【0053】
図6(a)は、レーザアレイ111、112とフライアイレンズ12の位置関係を示す図である。図示の如く、レーザアレイ111、112は、レーザ光源11の配列方向(直線M1、M2)がフライアイレンズ12の行方向(X軸方向)に対し一定角度だけ傾くようにして配置されている。
【0054】
図6(b)は、レーザ光源11を点灯させたときの、フライアイレンズ12上におけるレーザ光(R光)の強度分布を示す図である。図中、S1、S2は、それぞれ、レーザアレイ111、112から出射されるレーザ光の強度分布を示している。12aはレンズセルである。
【0055】
この場合も、直線M1、M2をX軸に平行とする場合に比べ、フライアイレンズ12による重畳パターン数を顕著に増加させることができるため、フライアイレンズ12による照明光の重畳効果を顕著に向上させることができ、照明光の照度ムラを抑制することができる。
【0056】
なお、図5および図6には、レーザ光源11について説明したが、図4におけるレーザ光源21、31も、図5および図6と同様に構成することができる。また、ここでは、レーザ光源11を2列配置する場合について説明したが、レーザアレイの段数を増やすことにより、レーザ光源11を3列以上配置するようにすることもできる。
【0057】
上記実施例では、レーザ光源11、21、31から出射されたレーザ光を直接フライアイレンズ12、22、32に入射させるようにしたが、図7に示す如く、レーザ光源11、21、31とフライアイレンズ12、22、32の間に横長のシリンドリカルレンズ17、27、37を配置し、レーザ光源11、21、31から出射されたレーザ光をビーム長軸方向に収束させて平行光化した後、フライアイレンズ12、22、32に入射させるようにしても良い。この場合、シリンドリカルレンズ17、27、37は、レーザ光源11、21、31と同様、フライアイレンズ12、22、32の行方向(X軸方向)に対し傾いた状態で配置される。
【0058】
図8は、レーザ光源11を2列配置する場合のレーザアレイ111、112と、シリンドリカルレンズ17a、17bおよびフライアイレンズ12の位置関係を示す図である。リンドリカルレンズ17a、17bは、それぞれ、レーザアレイ111、112に対応して配置されている。
【0059】
図6(a)の場合と同様、レーザアレイ111、112は、レーザ光源11の配列方向(直線M1、M2)がフライアイレンズ12の行方向(X軸方向)に対し一定角度だけ傾くようにして配置されている。また、シリンドリカルレンズ17a、17bも、レーザ光源11の配列と同様、長辺方向がフライアイレンズ12の行方向(X軸方向)に対し一定角度だけ傾くようにして配置されている。各レーザ光源11からは、出射ビームの長軸方向がレーザ光源11の配列方向(直線M1、M2)に直交するようにレーザ光が出射される。シリンドリカルレンズ17a、17bは、レーザ光を、ビーム長軸方向に収束させ平行光化する。
【0060】
なお、ここでは、横長のシリンドリカルレンズ17a、17bを用いてレーザ光を平行光化したが、所定個数のレーザ光源毎に個別にシリンドリカルレンズを配置するようにしても良い。また、さらにレンズ系を追加して、ビーム長軸方向のみならず短軸方向にもレーザ光を収束させ平行光化するようにしても良い。
【0061】
また、回折格子によって、レーザ光を収束させ平行光化するようにしても良い。この場合、スリット型の回折格子の他、たとえば、ブレーズ型の回折格子を用いることができる。これら回折格子には、レーザ光を収束および平行光化するための回折パターンが形成されている。
【0062】
この他、図1および図4、図7の構成例では、コンデンサレンズ14、24、34と液晶パネル16、26、36の間に1/2波長板15、25、35を配置するようにしたが、1/2波長板15、25、35の配置位置はこれに限定されず、レーザ光源11、21、31から液晶パネル16、26、36の間の光路中の任意の位置に1/2波長板15、25、35配置することができる。
【0063】
なお、上記では、光変調素子として液晶パネル16、26、36を用いたが、DMD(ディジタルマイクロミラーデバイス:米TI社のDLP方式光変調素子の名称)等、他の光変調素子を用いたプロジェクタに本発明を適用することも可能である。
【0064】
図9は、光変調素子としてDMDを用いる場合の光学系の構成例である。
【0065】
同図において、201a、201b、201cは、それぞれ、R光、G光、B光を出射するレーザ光源が直線状に配置されたレーザアレイである。ここで、レーザ光源の配置は、1列であっても、2列以上であっても良い。
【0066】
レーザアレイ201a、201b、201cから出射されたレーザ光は、それぞれ、ダイクロイックミラー202a、202bとミラー202cによって反射され、白色光に合成される。合成された白色光は、フライアイレンズ203に入射され、さらに、コンデンサレンズ204を介して、プリズム205に入射される。
【0067】
レーザアレイ201a、201b、201cは、上記実施の形態および実施例と同様、レーザ光の強度分布が一様となる方向(レーザ光源の配列方向)がレンズセルの行方向または列方向に対し所定角度だけ傾く状態にてR光、G光、B光がフライアイレンズ203に入射するように配置されている。
【0068】
プリズム205に入射した白色光は、プリズム205とプリズム206の境界にあるプリズム205の側面(以下、このようにエアギャップを介して対向する側面を「エアギャップ面」という)で全反射され、プリズム207に導かれる。プリズム207に入射した白色光は、プリズム207の出射面に配されたダイクロイックフィルタ面207aでB光が反射され、R光及びG光はプリズム208に入射する。プリズム208に入射したR光とG光は、プリズム208の出射面に配されたダイクロイックフィルタ面208aでR光が反射され、G光はプリズム209に入射する。
【0069】
ダイクロイックフィルタ面207aで反射されたB光は、プリズム205の側面に対向するプリズム207のエアギャップ面で全反射され、B光用の光変調素子であるB-DMD210cに入射し、B光用の映像信号に応じて変調される。ダイクロイックフィルタ面208aで反射されたR光は、プリズム207の側面に対向するプリズム208のエアギャップ面で全反射され、R光用の光変調素子であるR-DMD210aに入射し、R光用の映像信号に応じて変調される。プリズム209に入射したG光は、G光用の光変調素子であるG-DMD210bに入射し、G光用の映像信号に応じて変調される。
【0070】
G-DMD210bで変調されたG光は、順次、プリズム208、207、205、206を通って投写レンズ50へと導かれる。R−RMD210aで変調されたR光は、プリズム207の側面に対向するプリズム208のエアギャップ面で全反射され、さらに、ダイクロイックフィルタ面208aで反射された後、順次、プリズム207、205、206を通って投写レンズ50へと導かれる。B-DMD210cで変調されたB光は、再度、プリズム205に対向するプリズム207のエアギャップ面で全反射され、さらに、ダイクロイックフィルタ面207aで反射された後、順次、プリズム205、206を通って投写レンズ50へと導かれる。
【0071】
この様に、本方式の光学系では、白色入射光が各プリズム内で反射、全反射を繰り返しながらR光、G光、B光に分離され、対応するDMDへと導かれる。そして、これら光変調素子にて変調された後、各プリズム内で反射、全反射を繰り返しながら映像光として合成され、投写レンズ50を介して図示しないスクリーン上に投写される。
【0072】
図9の構成例では、光変調素子としてDMDを用いるため、光変調素子に対してR光、G光、B光の偏光方向を調整する必要がない。よって、この構成例では、図7の構成例のように1/2波長板15、26、36を配する必要がなく、その分、部品点数が削減される。
【0073】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施の形態に係る光学系の基本構成と、レーザ光源の配置状態とフライアイレンズ上におけるレーザ光の強度分布の関係を模式的に示す図
【図2】実施の形態の検証例に係るレーザ光の強度分布を示す図
【図3】実施の形態の検証結果を示す図
【図4】実施の形態をさらに具体化した実施例の構成を示す図
【図5】実施例の変更例(レーザ光源の変更)を示す図
【図6】実施例の変更例(レーザ光源の変更)を示す図
【図7】実施例の変更例(コリメートレンズを追加)を示す図
【図8】実施例の変更例(コリメートレンズを追加)を示す図
【図9】実施例の変更例(DMDを用いる場合の光学系の構成例)を示す図
【符号の説明】
【0075】
11、21、31 … レーザ光源
12、22、32 … フライアイレンズ
15、25、35 … 1/2波長板
16、26、36 … 液晶パネル
17、27、37 … シリンドリカルレンズ
201a、201b、201c … レーザアレイ
202a、202b … ダイクロイックミラー
202c … ミラー
203 … フライアイレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に略一様な強度分布を有する光を出力する光源部と、
前記光が入射されるフライアイレンズとを備え、
前記フライアイレンズにおけるレンズセルの縦および横の配列方向に対し前記第1の方向が傾くよう前記光源部と前記フライアイレンズが配置されている、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光源部は、前記第1の方向に配列された複数のレーザ光源を有する、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数のレーザ光源は偏光方向が互いに同一となるよう配置され、
前記フライアイレンズを経由した後の前記光の偏光方向を光変調素子に適合するよう回転させるための偏光回転素子をさらに有する、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記偏光回転素子は、1/2波長板である、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の照明装置と、
前記フライアイレンズによって重畳された前記光が照射される光変調素子とを備える投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−63619(P2009−63619A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228835(P2007−228835)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】