説明

照明装置の取付構造及び取付方法

【課題】照明装置をガーニッシュに取付ける際に、取付作業工数の削減を図ると共に、取付精度が高く、取付場所選定時の自由度を向上させる照明装置の取付構造及び取付方法を提供する。
【解決手段】照明装置本体1Aと取付用台座8とによって構成され、取付用台座8には取付孔8B及び配線用挿通孔8Cとガーニッシュ5への位置決め孔8Aを備えており、ガーニッシュ5の裏面に位置決め用の罫書部位5Bを設けると共に、罫書部位5Bに尖鋭手段7を用いて貫通保持させ、ガーニッシュ5に貫通した尖鋭手段7を取付用台座8に設けた位置決め孔8Aに挿通させることで位置決めしてなることにより、ガーニッシュ5の裏面形状が複雑な場合においても、取付位置の位置決めを容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用室内照明装置に関し、車両側部品に取付けを行う際に好適な照明装置の取付構造及び取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、取付用雌ネジに螺合するビスを挿通する2個の取付用挿通穴と、固定用雌ネジ部に螺合するビスを挿通する1個の固定用挿通穴と、ワイヤーハーネスを外部へ引き出すワイヤー用挿通穴とからなる取付構造を有し、ハウジング内に設けた反射板に出射光軸を指向させたLEDによって、該LEDの出射光を反射部に反射させ、ハウジング外に照射させる車両用照明装置(例えば特許文献1)が提案されている。
【0003】
また、車両の成形天井に取付けられるルームランプ取付部材の組付けに関して、開口穴から突片に引っかけるようにしてルームランプ取付部材を挿通させ、該突片にルームランプ取付部材を係合支持させた状態で、ルームランプ取付部材をルーフの補強部材に羅着させることで、組付け作業性を向上させ、取付部材の形状を単純化しコストダウンを図るルームランプの取付構造(例えば特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−203958号公報
【特許文献2】実開平1−145638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えばピラー部等に照明装置の設置を行う場合、樹脂ガーニッシュ等の車両部品に灯体取付用の穿孔を施す必要があり、正しい位置に穿孔するためには位置決め用の型紙を使用しなければならず、型紙投資におけるコスト面の課題が生じる。また、型紙の代用手段として、樹脂ガーニッシュ成型用の金型に、穿孔位置に対応してケガキを入る場合、車両の生技性等により、樹脂ガーニッシュ裏面のリブ(隆起物)などが障害になることがあり、裏面からの穿孔加工ができず、取付場所が制限される問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、型紙部材の削減による低コスト化を図ると共に、ガーニッシュ裏面にリブなどを有する車両部品に対しても、正確な位置に取付けることができ、より取付精度が高く、取付場所選定時に自由度も向上させる照明装置の取付構造及び取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両に対して着脱自在な内装部材に取り付けた照明装置の取付構造において、前記照明装置は照明装置本体と取付用台座とを備え、前記取付用台座には前記照明装置本体との係合手段と前記内装部材への位置決め手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記取付用台座の位置決め手段が複数の貫通孔であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項2記載の照明装置を前記内装部品に取り付ける照明装置の取付方法において、前記内装部材の裏面に位置決め用の罫書部位を設けると共に、前記罫書部位に尖鋭手段を貫通保持させ、前記内装部材に貫通した尖鋭手段を前記取付用台座に設けた複数の貫通孔に挿通させることで位置決めすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の照明装置の取付構造によれば、照明装置本体の取付時に、取付用台座自体が取付の位置決め手段となる型紙の機能を兼ねることにより、型紙費用削減による低コスト化及び取付工数の削減を図ることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の照明装置の取付構造によれば、取付用台座への最小限の加工によって位置決め作業を行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の照明装置の取付方法によれば、内装部材の裏面形状が複雑な場合においても、取付位置の位置決めを容易にできるようになる。また、取付位置を明確にできることで、高精度且つ作業自体を容易にすると共に、取付場所選定時の自由度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例に係る照明装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】同上、車両ガーニッシュの裏面の使用状態を示す斜視図である。
【図3】同上、照明装置の全体構成を示す分解斜視図である。
【図4】同上、内装部品に取付用台座を位置合わせした状態を示す分解斜視図である。
【図5】同上、取付用台座を用いてガーニッシュに印を付けた後の状態を示す分解斜視図である。
【図6】同上、取付用台座の構成を示す正面図である。
【図7】同上、照明装置の構成を示す縦断面図である。
【図8】同上、照明装置の下部箇所の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の照明装置の好適な実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1に示す本発明の照明装置の取付例では、車両の前部座席と後部座席との間に位置する、所謂センターピラーたるピラー部4に照明装置1が取付けられている。前記照明装置1は、照明装置本体1Aと取付用台座8とを備える。前記照明装置本体1Aはハウジング2を備え、該ハウジング2内部には、後述する光源ユニットが内蔵されている。また、前記照明装置1の光源の出射光は、車室3の天井6上面部に向かって照射し得るようにピラー部4の上端部に位置している。前記照明装置1は、薄型の平板状に形成されており、車室3内を広範囲に渡り明るく照射することができるような構成となっている。また、ピラー部4の図示しないフレーム内部構成部分を被覆するようにガーニッシュ5が着脱自在に取付けられている。前記ガーニッシュ5は、スチレン樹脂(ABS)やポリカーボネート(PC)等の様々な成型材料を用いて形成されている。
【0016】
次に、本発明の照明装置1の構成及び取付手順について図2〜図6を基に詳述する。図2では、前述したピラー部4よりガーニッシュ5を取り外した際の裏面の状態を示している。また、前記ガーニッシュ5の裏面には、プラスチック成型品等の強度向上等の為の畝状の隆起物たるリブ5Cが不規則な形状にて形成されている。また、ガーニッシュ5の裏面には、着脱手段たる固定用フック5A及び固定用凸部5Dが設けられ、これら固定用フック5A及び固定用凸部5Dがガーニッシュ5の着脱時に車両側への取付けに用いられる。前記固定用フック5Aは車両側に段発的に係脱し、前記固定用凸部5Dは下部が開口した略箱型をなし、その下部開口が車両側の受部(図示せず)に係脱する。
【0017】
また、図2〜図4を用いて位置決め用作業の手順について説明すると、前記ガーニッシュ5の裏面部に、用品等の取付の作業性や生技性共に支障の無い部位に、罫書線たる罫書部位5Bを、予め二箇所入れておく。この場合、ガーニッシュ5を成型する金型に、罫書部位5Bを形成する罫書線形成部を設けておく。また、照明装置1の取付用台座8には、前述した二箇所の罫書部位5Bに対応する箇所に、貫通孔たる位置決め孔8Aが穿設されている。この位置決め孔8Aは、取付用台座8の製造時に形成されるが、位置決め前に現場で穿設してもよい。次に、前記罫書部位5Bに、専用の針又は画鋲等の尖鋭手段7を用いて穿孔を施し、図3に示すように、穿孔した状態で尖鋭手段7をガーニッシュ5に仮固定しておく。
【0018】
以上のように、前記ガーニッシュ5の裏面部の湾曲した3D形状面に、型紙等の部品追加をせずに所望する位置に正確な穿孔を行うことが可能となる。また、前記ガーニッシュ5の裏面に前記尖鋭手段7を穿孔させたことにより、前記ガーニッシュ5の表面に、貫通した前記尖鋭手段7の先端側が突出する。また、前記取付用台座8には、固定手段を挿通させるための取付孔8B及び照明装置1のハーネス9の配線用挿通孔8Cが穿孔されている。
【0019】
そして、図4に示すように、前記ガーニッシュ5表面に挿通させた専用の針又は画鋲等の尖鋭手段7に対して、前記取付用台座8の位置決め孔8Aを嵌合させることにより取付用台座8の正確な位置決めがなされる。このように尖鋭手段7により取付用台座8をガーニッシュ5に位置決めした状態で、その取付用台座8の取付孔8B及び配線用挿通孔8Cを用いてガーニッシュ5の表面に印を付ける。この場合、サインペンなどの筆記具(図示せず)を用いて取付孔8B及び配線用挿通孔8Cに沿って印たる丸印21B,21Cを記入する。この後、ガーニッシュ5から取付用台座8と尖鋭手段7とを取り外し、ガーニッシュ5の表面側から前記丸印21B,21Cの中心に前記尖鋭手段7を突き刺して小孔22を形成し、この小孔22が丸印21B,21Cの中心の印になる。尚、図5中、23は前記尖鋭手段7により前記罫書部位5Bに穿設した小孔である。
【0020】
前記丸印21B,21Cは、ガーニッシュ5の取付孔5F及び配線用挿通孔5Gの位置を示し、図5のように、丸印21B,21Cの中心から尖鋭手段7を外し、丸印の中心の小孔22に穿設具(図示せず)の先端を合わせ、ガーニッシュ5に取付孔5F及び配線用挿通孔5Gをそれぞれ穿設する。図7に示すように、ガーニッシュ5の配線用挿通孔5Gの裏面側は少なくとも一部が固定用凸部5Gにより覆われているため、裏側から穿設することできないが、表面側から穿設具(図示せず)を用いて配線用挿通孔5Gを穿設することができる。また、このように丸印21B,21Cの中心に尖鋭手段7により小孔22を形成し、この小孔22にドリルなどの穿孔手段の先端を合わせることにより、取付孔5F及び配線用挿通孔5Gの穴あけをスムーズに行うことができる。
【0021】
このようにして、位置決め工程を行うことにより、従来では、前記ガーニッシュ5の裏面側より型紙を使用して、取付孔の位置決めを行っていたのに対して、前記ガーニッシュ5の表面側より、容易に位置決めが可能となり、且つ表面側から取付孔5Fや配線用挿通孔5Gの穿孔加工もできるようになる。
【0022】
以上のように、本実施例では、センターピラー等の着脱自在な内装部材に対して、後付装着品となる照明装置1を取付ける場合、内装部材たるガーニッシュ5に裏面に、2箇所の罫書線を入れることにより、最小限の加工のみで位置決め機能を追加することができるようになる。また、前記ガーニッシュ5の裏面形状がリブ5Cなどによる複雑な構造のような場合であっても、取付位置の決定が容易である。
【0023】
また、本実施例の照明装置1のハウジング2は、例えばポリプロピレン等の汎用樹脂を基材とした薄型の逆三角形状の部材からなるものであり、表面側から裏面側へ向かって外縁が緩やかに湾曲しており、上端に開口部が形成されている。また、取付用台座8は、弾性機能を有するラバーゴム材等を用いるのが好ましく、装着時における密閉性の向上と、照明装置本体内への異物の混入等を抑止する効果も奏するものである。さらに、取付用台座8の厚さを変化させることにより、取付用台座8の取付面(表面)の傾斜を変えることで、照明装置1の照明角度の調整が可能となる。
【0024】
次に、図7示す本実施例での照明装置1の構成及び取付状態について説明すると、前記ガーニッシュ5及び取付用台座8が位置決めされた後、照明装置1のユニットベース部13を合わせることによって取付の位置を決定する。また、ガーニッシュ5及び取付用台座8の取付孔5F,8Bに対応する位置に合わせて、ナット部12を嵌着させ、固定ボルト11を用いて締結を行う。また、配線用挿通孔5G,8Cには、車両側より照明装置1のワイヤーハーネス9を挿通させて、ユニットベース部13の下部に位置する接続端子9Bと前記ワイヤーハーネス9の先端部分に備えたハーネスコネクタ9Aとの結線を行う。また、前記照明装置1の上部に位置する光源ユニット10は、フレキシブル基板と光源10Aとによって構成され、光源10Aは、白熱球や低電力で発光可能なLED等が用いられる。前記光源10Aは、前記接続端子9Bを介してワイヤーハーネス9が電気的に接続されており、前記ワイヤーハーネス9から供給される電源によって発光し得るように構成されている。また、前記ユニットベース部13の上面部は、透過部14Aを有するレンズ14で覆われている。前記レンズ14は一定の厚みを持つ板状部材により形成されており、一端を前記ハウジング2の上部箇所と、他端部はナット部12及びユニットベース部13に係合して取付けられている。
【0025】
また、図8を基に、本実施例におけると取付用台座8による照明装置本体1Aの支持構造に関して説明すると、前記ハウジング2の後端縁2Fは略U字状をなし、この後端縁2Fに対応して、前記取付用台座8の前面に、係合手段たる略U字状のハウジング嵌合凹部8Dを形成し、前記後端縁2Fがハウジング嵌合凹部8Dに嵌合することにより取付用台座8に照明装置本体1Aが支持される。
【0026】
さらに、図8に示すように前記取付用台座8の裏面側には突条部8Eが設けられ、この突条部8Eはハウジング嵌合凹部8Dと同様に略U字状に配置されており、取付用台座8をボルト11により固定すると、突条部8Eがガーニッシュ5の表面に圧接して密着し、良好な取付状態が得られる。
【0027】
前述した構成によって、位置決め工程から取付工程に至るまで、ハウジング2の後端縁2Fがガーニッシュ5のハウジング嵌合凹部8Dに嵌合することにより、取付時に取付用台座8から照明装置本体1Aが外れることがなく、正確な位置決めと取付けを行うことができる。
【0028】
このように本実施例では、請求項1に対応して、車両に対して着脱自在な内装部材たるガーニッシュ5に取り付けた照明装置1の取付構造において、照明装置1は照明装置本体1Aと取付用台座8とを備え、取付用台座8には前記照明装置本体1Aとの係合手段たるハウジング嵌合凹部8Dと前記ガーニッシュ5への位置決め手段たる位置決め孔8Aを備えたことにより、照明装置本体1Aの取付時に、取付用台座8自体が取付の位置決め手段となる型紙の機能を兼ねることにより、型紙費用削減による低コスト化及び取付工数の削減を図ることができる。
【0029】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、取付用台座8の位置決め手段が複数の貫通孔たる位置決め孔8Aであるから、取付用台座8への最小限の加工によって位置決め作業を行うことができる。
【0030】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、内装部材たるガーニッシュ5の裏面に位置決め用の罫書部位5Bを設けると共に、罫書部位5Bに尖鋭手段7を貫通保持させ、前記ガーニッシュ5に貫通した尖鋭手段7を前記取付用台座8に設けた複数の貫通孔たる位置決め孔8Aに挿通させることで位置決めしてなることにより、内装部材の裏面形状が複雑な場合においても、取付位置の位置決めを容易にできるようになる。また、取付位置を明確にできることで、高精度且つ作業自体を容易にすると共に、取付場所選定時の自由度を上げることができる。
【0031】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、ピラー部4に設置した場合に基づいて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、天井部の室内灯やCピラー部のマップランプ、又はテールゲートを開閉した際に点灯するカーゴルーム照明灯に設置することも可能である。また、本実施例での照明装置本体1A及び取付用台座8の形状や位置決め孔8A、取付孔8B、配線用挿通孔8Cの位置及び数量はこれに限定せず、取付けを行う車両の形状、用途、仕様等によって適宜、変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 照明装置
1A 照明装置本体
5 ガーニッシュ(内装部材)
5B 罫書部位
7 尖鋭手段
8 取付用台座
8A 位置決め孔
8D ハウジング嵌合凹部(係合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して着脱自在な内装部材に取り付けた照明装置の取付構造において、前記照明装置は照明装置本体と取付用台座とを備え、前記取付用台座には前記照明装置本体との係合手段と前記内装部材への位置決め手段を備えたことを特徴とする照明装置の取付構造。
【請求項2】
前記取付用台座の位置決め手段が複数の貫通孔であることを特徴とする請求項1記載の照明装置の取付構造。
【請求項3】
請求項2記載の照明装置を前記内装部品に取り付ける照明装置の取付方法において、前記内装部材の裏面に位置決め用の罫書部位を設けると共に、前記罫書部位に尖鋭手段を貫通保持させ、前記内装部材に貫通した尖鋭手段を前記取付用台座に設けた複数の貫通孔に挿通させることで位置決めすることを特徴とする照明装置の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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