説明

照明装置及び照明装置のリニューアル方法

【課題】 既設の直管形蛍光ランプを適合光源とする照明装置の光源を、LEDや有機EL等の他の光源に容易に置き換えられる照明装置を提供する。
【解決手段】 照明装置1000は、既設の照明装置からランプソケット取付用金具110を有する器具本体100、ランプソケット挿通用の貫通穴310が開けられている反射板300を再利用して設置する。器具本体100にLED光源ユニット400を点灯する電源ユニット200を設置し、出力端子台に電源側ハーネス210を挿入して、ランプソケット取付用金具110を通してぶらさげておく。次に、LED光源ユニット400を反射板300に固定してから、ランプソケット取付用金具110に固定する。ランプソケット取付用金具110にぶら下がっている電源側ハーネス210と光源側ハーネス470を接続してから、反射板300の裏側に押し込み、ランプソケット挿通用の貫通穴310に蓋をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の照明装置から器具本体と反射板を再利用して光源を別の種類の光源に置き換えることができる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寿命がきた照明装置は新しいものに交換することが一般的であった。ところが、サスティナビリティーやゼロエミッションが叫ばれる近年では、使える部材は極力再利用される傾向が強くなってきた。それに伴い、既設の照明装置を再利用したリニューアルが増加している。
【0003】
例えば、特許文献1にユニット部と灯部を備え、既設の屋内用一般照明装置の本体及び反射板を再利用して照明装置を効率よくリニューアルすることができる照明装置リニューアルキットとこれを用いたリニューアル方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−123686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既に取り付けられている直管形蛍光ランプを適合光源とする照明装置の光源を、他の光源、例えば同じような長尺状のLEDや有機ELを用いた光源に置き換える場合、光源の構造上、光源のみを容易に交換できなかった。
【0006】
また、直管形LEDランプは、LED素子からの発熱を外部に放熱するためのヒートシンクを有するため、直管形蛍光ランプに比べて重量があり、直管形蛍光ランプ用のランプソケットをそのまま用いて装着した場合では、耐久性、落下安全の観点から問題があった。
【0007】
また、既設の照明装置が天井埋め込み形の場合、照明装置に合わせて天井に開口穴を開けており、他の光源、例えばLEDや有機ELを光源として用いた照明装置に置き換える場合、天井穴が同一のものを用意することが困難であり、照明装置の交換と共に、天井を再度新規の照明装置に合わせて用意する必要があり、コストもかかるといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、蛍光ランプを適合光源とする照明装置から、他の光源、例えばLEDや有機ELを光源として用いた照明装置に置き換えたとき、照明装置本体や反射板等を再利用して廃棄物を減らし、コストを抑えた環境性の高い照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、蛍光ランプ、蛍光ランプを点灯する安定器及びランプソケットを設けた器具本体と、ランプソケットが挿通する貫通穴を形成した反射板で構成される照明装置において用いられる。この照明装置において、蛍光ランプに代えて蛍光ランプとは種類の異なる光源を有しており、反射板に固定される光源ユニットを器具本体に設置し、光源ユニットに電力を供給して点灯する電源ユニットを器具本体に設置し、光源ユニットと電源ユニットを反射板に開いているランプソケット挿通用の貫通穴を通したハーネスで電気的に接続する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既設の照明装置をそのまま使用し、光源のみ蛍光ランプから他の光源、例えばLEDや有機ELを用いた光源に置き換えることができる。既設の照明装置の器具本体を再利用するため、例えば、照明装置の形態が埋め込み形器具の場合においても天井穴をそのまま使用することができる。
【0011】
また、本発明によれば、ランプソケット自体が不要であり、部品数が減るので、施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の照明装置の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態1の照明装置の分解図である。
【図3】本発明の実施の形態1のLED光源ユニットの外形図である。
【図4】本発明の実施の形態1のLED光源ユニットの分解図である。
【図5】本発明の実施の形態1のLED光源ユニットの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1のLED光源ユニットに取り付ける取付片の外形図である。
【図7】本発明の実施の形態1の照明装置の組立及び設置手順図である。
【図8】本発明の実施の形態1の照明装置の組立及び設置手順図である。
【図9】本発明の実施の形態1のLED光源ユニットを反射板に固定するネジの断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2の照明装置の外観図である。
【図11】本発明の実施の形態2の照明装置の分解図である。
【図12】本発明の実施の形態2の照明装置の上面図及び断面図である。
【図13】本発明の実施の形態3のLED光源ユニットを照明装置に設置した状態の断面図及び斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態3のLED光源ユニットに取り付ける取付片の外形図である。
【図15】本発明の実施の形態3の照明装置の組立及び設置手順図である。
【図16】本発明の実施の形態3の照明装置の組立及び設置手順図である。
【図17】本発明の実施の形態4のLED光源ユニットを照明装置に設置した状態の断面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について図1乃至図9に基づいて説明する。
【0014】
リニューアル用の光源として、長尺状のLED光源ユニットを使用した場合について説明する。
【0015】
図1は照明装置の外観図、図2は照明装置の分解図である。
【0016】
本実施の形態において、リニューアルされる既設の照明装置は、直管形蛍光ランプを光源とし、直管形蛍光ランプを点灯する安定器が器具本体100に設置されており、直管形蛍光ランプが装着されるランプソケットを器具本体100に有している。なお、反射板300には、ランプソケット挿通用の貫通穴310が形成されており、器具本体100に設置されたランプソケットは、ランプソケット挿通用の貫通穴310を通して、器具本体100から反射板300の前面に露出している。
【0017】
図1及び図2に示すように、リニューアルされた照明装置1000は、器具本体100と、この器具本体100に設置され、LED光源ユニット400に電力を供給して点灯させる電源ユニット200と、器具本体100に反射板固定ネジ482で固定される反射板300と、この反射板300に光源ユニット固定ネジ481で固定されるLED光源ユニット400から構成されている。このLED光源ユニット400から光源側ハーネス470が伸びており、ランプソケット挿通用の貫通穴310を通して電源ユニット200から伸びる電源側ハーネス210と接続されている。
【0018】
器具本体100は、天井埋め込み形の照明装置のシャーシ部分である。反射板300を取り付けるためのネジ穴111及びランプソケット挿通用の貫通穴112が開けられたランプソケット取付用金具110及び電源端子台等を有しており、電源線、調光線等の配線類を通すための穴及び各種ネジを止めるための穴等が開けられている。
【0019】
電源ユニット200は、器具本体100の電源端子台を経由して天井から伸びる電源線を挿入する電源端子台、電源側ハーネス210を挿入する出力端子台、調光線を挿入する調光端子台を有する電源モジュール基板を金属製のシャーシ及び蓋を有するケースに収納された構成となっている。
【0020】
反射板300は、両端部にランプソケット挿通用の貫通穴310及び器具本体100のランプソケット取付用金具110に反射板300をネジ止めするためのネジ穴320が開けられている。取付穴330は、既設の照明器具に取り付けられていたときから開けられていた穴ではなく、反射板300にLED光源ユニット400を取り付けるときに工事施工者により追加される穴である。
【0021】
図3はLED光源ユニットの外形図、図4はLED光源ユニットの分解図、図5はリニューアル光源ユニットの断面図である。
【0022】
図3及び図4に示すように、LED光源ユニット400は、LED素子431が実装されたLEDモジュール430と、このLEDモジュール430が発熱する熱を外部に放熱するためのヒートシンク440と、LEDモジュール430をヒートシンク440にネジ止めして固定するLEDモジュール固定ネジ420と、ヒートシンク440にLEDモジュール430を覆うように取り付けられる透光性カバー410と、L字形状の取付片450と、この取付片450をヒートシンク440のネジ固定部444にネジ止めして固定する取付片固定ネジ460と、電源ユニット200の出力端子台から伸びる電源側ハーネス210とLEDモジュール430の入力端子台を、既設の照明装置から直管形蛍光ランプを取り外した際にランプソケットを同時に取り外すことで開いたランプソケット挿通用の貫通穴310を通して接続する光源側ハーネス470から構成されている。
【0023】
図5に示すように、ヒートシンク440は、断面がH字形状となっており、一方側にLEDモジュール430が取り付けられる取付面441と、透光性カバー410が取り付けられるカバー取付部442を有している。また、ヒートシンク440の他方側は、外方向に向かって両側にそれぞれ3つの放熱フィン443を形成し、2つの放熱フィン443の間に取付片固定ネジ460が螺着されるネジ固定部444を有している。また、他方側には、LEDモジュール430に接続するための電線が通るようにするとともに、放熱フィン443の表面積を大きくして放熱効果を高めるための空間を形成するようになっている。
【0024】
次に、LED光源ユニット400の製造工場等での組立手順について説明する。
【0025】
所定数のLEDモジュール430を、ヒートシンク440の取付面441にLEDモジュール固定ネジ420でネジ止めして固定する。LEDモジュール430の入力端子台には、電源ユニット200の出力端子台から伸びる電源側ハーネス210と接続する光源側ハーネス470を挿入する。透光性カバー410を、ヒートシンク440のカバー取付部442にはめ込み、スライドさせてLEDモジュール430を透光性カバー410で覆う。
【0026】
最後に、二つのL字形状の取付片450を各々LED光源ユニット400の両側の端部に密着させて、ヒートシンク440に透光性カバー410がはめ込まれた開口部を覆い、ネジ挿入穴451とヒートシンク440のネジ固定部444を密着させ、重ねて取付片固定ネジ460でネジ止めして固定する。固定する際、LEDモジュール430の入力端子台に接続されている光源側ハーネス470は、開口部452を通してLED光源ユニット400の外部に露出した状態にしておく。以上の手順で、LED光源ユニット400の組み立てが完了する。
【0027】
透光性カバー410の材質は、例えば耐光性に優れたアクリル樹脂で、LED素子431の光を和らげるため乳白色が望ましい。ヒートシンク440は、LEDモジュール430からの発熱を外部に放熱するため、アルミ押出しにて成型し、器具本体100からの放熱性及び意匠性も踏まえ白色塗装したものが望ましい。取付片450は樹脂、もしくはアルミによる成型品が望ましい。
【0028】
40Wタイプの直管形蛍光ランプの光源を有する照明装置との置き換えをする場合、LED光源ユニット400の発光部の全長は40Wタイプの直管形蛍光ランプの全長、例えば1198mmより短くした方がよい。例えば、900mm〜1100mmが適している。
【0029】
40Wタイプの直管形蛍光ランプの光源を有する照明装置との置き換えをする場合、1枚10W相当の4枚のモジュールで構成するとよい。20Wタイプの直管形蛍光ランプの光源を有する照明装置との置き換えをする場合、一般的に20Wタイプの直管形蛍光ランプの長さは40Wタイプの直管形蛍光ランプの長さの約半分なので、2枚のモジュールで構成するとよい。なお、1枚のモジュールの長手方向の長さは、225mm〜275mm程度にするとよい。
【0030】
電源部は、既設の照明装置にも直管形蛍光ランプ用の安定器として取り付けられているが、照明装置のリニューアルにあたり、既設の安定器は再利用できないので、直管形蛍光ランプ置き換え用のLEDモジュール専用の電源ユニット200で既設の安定器を置き換える。取付ネジが再利用できる場合、新たな電源ユニット200の取り付けに使用してもよい。電源ユニット200の出力端子台には、電源側ハーネス210を接続する。既設の安定器を取り外さずに電源ユニット200が取り付け可能であれば、取り外しの手間を省略するために安定器自体は取り付けたままでもよい。
【0031】
図6は、LED光源ユニットに取り付ける取付片の外形図である。
【0032】
本実施の形態では、図6に示すように、取付片450はヒートシンク440に取り付けられた透光性カバー410の断面形状(図5参照)を完全に覆うことができる形状を有する垂直部と既設の反射板300に設置される基部からなり、基部にM4ネジ用の取付穴、ただし取り付けピッチを考慮して、長穴453のような形状の穴を開けたものを使用するとよい。また、取付片450の垂直部には、LED光源ユニット400のヒートシンク440に取り付ける際の取付片固定ネジ460を通すためのネジ挿入穴451が二つと、LED光源ユニット400と電源側ハーネス210とを接続する光源側ハーネス470を通すための開口部452が一つ開けられている。
【0033】
次に、本実施の形態において、照明装置1000を天井に設置する際の作業手順について説明する。
【0034】
図7は照明装置の組立及び設置手順図、図8は照明装置の組立及び設置手順図、図9はLED光源ユニットを反射板に固定するネジの断面図である。図7及び図8は一部のネジ、配線類の表示を省略している。
【0035】
まず、既設の照明装置の取外作業を実施する。既設の照明装置を取り付けたときの工事と逆の手順で進めるとよい。既設の照明装置が天井に取り付けられたままの状態で、蛍光ランプ、反射板300、電源線等の配線類、器具本体100の順で取り外していく。
【0036】
次に、天井から取り外した器具本体100を床に下ろし、器具本体100に取り外されずに残っているランプソケット及び安定器を取り外す。直管形蛍光ランプ、ランプソケット、安定器及び再利用不可能な配線類、ネジ類等は新規に取り付ける照明装置では使用しないので廃却してもよい。既設の照明装置を取り付けるのに使用されていたネジが傷んでおらず、使用可能であれば再利用してもよい。工事前に、設置されている照明装置の製造会社名や形名等を確認して、再利用可能な部品があるか調査しておくと工事途中で手を止めて使用可能か確かめる手間が省けるので工事時間を短縮できる。直管形蛍光ランプ用の安定器は、電源ユニット200を取り付ける際の支障とならなければ、工事の工数削減のため、取り外さずにそのまま残してもよい。
【0037】
既設の照明装置の取外作業が終わったら、本実施の形態の照明装置1000の取付作業を開始する。先ほどの取外作業と逆の手順で工事を行うと効率的に進めることができる。
【0038】
最初に、天井に設置する前段階での照明装置1000の組立作業を行う。図7(a)に示すように、作業開始前の照明装置1000は、各部品に分解された状態になっている。
【0039】
まず、図7(b)に示すように、取り外されて床に下ろされている器具本体100に電源ユニット200を取り付ける。器具本体100の既設のネジ穴を使用し、電源ユニット200を器具本体100にネジ止めして固定する。取付穴が合わない場合は、工事施工者が器具本体100へネジ穴を追加して取り付ける。器具本体100に固定した電源ユニット200の出力端子台に電源側ハーネス210を接続し、器具本体100を這わせてランプソケット取付用金具110に開けられたランプソケット挿通用の貫通穴112を通してぶら下げて器具本体100の外部に出しておく。
【0040】
次に、床に下ろされている器具本体100を天井に再設置し、電源線、調光線等の配線類の接続をしておく。
【0041】
天井への器具本体100の設置作業が完了したら、図8(c)に示す作業に移る。図9に示すように、LED光源ユニット400の両端に取り付けられた取付片450に設けられた長穴453を使用し、LED光源ユニット400を光源ユニット固定ネジ481で反射板300に取付穴330を開けて締め込む。反射板300には、バーリング加工等をされた穴が開いていないので、工事施工者が反射板300に直接、取付穴330を開けて、光源ユニット固定ネジ481を締め込む必要がある。
【0042】
LED光源ユニット400を反射板300に取り付ける作業が完了したら、図8(d)に示す作業に移る。LED光源ユニット400が固定された反射板300を反射板固定ネジ482でネジ穴320を通して、天井に設置されている器具本体100のランプソケット取付用金具110に開けられたネジ穴111にネジ止めする。
【0043】
このとき、ランプソケット取付用金具110に開けられたランプソケット挿通用の貫通穴112と反射板300に開けられたランプソケット挿通用の貫通穴310は重ねられた状態となり、一つの貫通穴を形成する。以下、この貫通穴はランプソケット挿通用の貫通穴310とする。なお、ランプソケット取付用金具110のランプソケット挿通用の貫通穴112と反射板300のランプソケット挿通用の貫通穴310は同じ寸法である。
【0044】
その後、LED光源ユニット400から伸びている光源側ハーネス470を、器具本体100のランプソケット取付用金具110に開けられたランプソケット挿通用の貫通穴112と重ねられたランプソケット挿通用の貫通穴310を通って、ぶら下がって器具本体100の外部に出ている電源側ハーネス210に接続する。接続後に弛んでランプソケット挿通用の貫通穴310からはみ出しているハーネスの余りは、反射板300の裏側に押し込み、シール等で蓋をする。ランプソケット挿通用の貫通穴310をふさぐためのシールを製品として同梱してもよい。この場合、ハーネスを通す側のランプソケット挿通用の貫通穴310用と、ハーネスを通さない側のランプソケット挿通用の貫通穴310用のシール2枚を同梱する。すべての作業が完了すると照明装置1000は、図1に示すような状態になる。
【0045】
以上で、照明装置1000の天井への設置作業が完了となる。
【0046】
本実施の形態によれば、LED光源ユニット400を光源ユニット固定ネジ481で反射板300に取付穴330を開けてネジ止めし、LED光源ユニット400を取り付けた反射板300は、反射板固定ネジ482で器具本体100にネジ止めするため、LED光源ユニット400の長さは既設の照明装置の直管形蛍光ランプと比べて短くなるが、光源ユニット固定ネジ481をネジ止めする位置などの制約を受けないので、対応できる照明装置を多くできる効果がある。
【0047】
また、既設の照明装置の直管形蛍光ランプを置き換えるLED光源ユニット400と、安定器を置き換える電源ユニット200の大きく分けて二つのユニットで構成されており、光源側と電源側の配線を通すのに直管形蛍光ランプのランプソケットを取り外した貫通穴を利用するので、工事の手間が抑えられる。従来、照明装置を丸々全部交換して対応していた直管形蛍光ランプを光源に用いた照明装置から、LEDや有機EL等の異なる光源を用いた照明装置への交換を、既設の照明装置本体及び反射板等を利用したままリニューアル可能となる。
【0048】
また、ランプソケットが不要になるため、例えば直管形LEDランプ専用に重量等の問題点を解決したランプソケットがある場合においても、ランプソケット自体が不要であり、部品数が減るため、施工性を向上することができる。
【0049】
また、各種寸法等の自由度が高いので様々なメーカの製品への取り付けも可能となる。前述のとおり、光源及び電源をユニット化しているので施工性もよく、短時間で直管形蛍光ランプを光源に用いた照明装置から、直管形蛍光ランプ以外のLEDや有機EL等を光源とした照明装置へのリニューアルを実施できる。よって、完全に新規の照明装置に置き換えるのに比べて天井の工事の工数を大幅に削減できるので、費用を抑えられ、廃棄物の削減ができ、環境性の面でも効果がある。
【0050】
実施の形態2.
本実施の形態は、既設の照明装置の反射板300を固定するネジ穴を再利用し、反射板300をLED光源ユニット400とともに反射板固定ネジ482で、反射板300に開けられているネジ穴320、LED光源ユニット400に固定された取付片450の長穴453及びランプソケット取付用金具110に開けられているネジ穴111を重ねて、ネジ止めしていることが実施の形態1と異なる。本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同符号を付して説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0051】
以下、本実施の形態について図10乃至図12に基づいて説明する。
【0052】
図10は照明装置の外観図、図11は照明装置の分解図、図12は照明装置の上面図及び断面図である。
【0053】
図10乃至図12に示すように、LED光源ユニット400を既設の照明装置へ取り付ける際、反射板300に開けられているネジ穴320を再利用し、反射板300とLED光源ユニット400を反射板固定ネジ482で既設のネジ穴320を通して、ランプソケット取付用金具110に開けられているネジ穴111に共締めして固定する。既設の照明装置で使われていたネジが傷んでおらず、LED光源ユニット400に固定されている取付片450を反射板300とともに、器具本体100のランプソケット取付用金具110にネジ止めするのに長さが足りていれば、ネジを再利用してもよい。なお、ネジ止めする際、既設の反射板300の厚さに加えて取付片450の基部の厚さが加わるので、一般的に既設の照明装置で使用されていたネジよりも長いネジを使用したほうがよい。
【0054】
本実施の形態において、取付片450は実施の形態1と同様に図6に示すような形状のものを使用するとよい。
【0055】
このとき、LED光源ユニット400を反射板300に取り付ける際の固定穴ピッチは、既設の照明装置の反射板固定穴ピッチに合わせる必要がある。一般的に1160mm程度のピッチの照明装置が多くあるため、LED光源ユニット400の反射板300への固定穴は長穴453のようにし、1160±10mm程度のピッチに取り付け可能とするとよい。
【0056】
次に、本実施の形態において、照明装置1000を天井に設置する際の作業手順について説明する。
【0057】
天井に器具本体100を再設置し、電源ユニット200を取り付け、配線類の接続をするまでは、実施の形態1の図7(b)に示す手順までと同様なので説明を省略する。
【0058】
LED光源ユニット400を反射板300とともに、反射板固定ネジ482で、LED光源ユニット400の両端に固定された取付片450の長穴453と反射板300のネジ穴320を通して、天井に設置されている器具本体100のランプソケット取付用金具110に開けられているネジ穴111にネジ止めする。
【0059】
以後の手順は、実施の形態1と同様なので省略する。
【0060】
以上で、天井への照明装置1000の設置作業が完了となる。すべての作業が完了すると照明装置1000は、図10に示すような状態になる。
【0061】
本実施の形態によれば、反射板300とLED光源ユニット400を反射板固定ネジ482で、既設のネジ穴320及びネジ穴111を再利用して共締めするため、取付片450の長穴453の位置と反射板300のネジ穴320及びランプソケット取付用金具110のネジ穴111の位置を一致させなければならないという制約があるが、実施の形態1よりもLED光源ユニット400を長くすることができることと、追加部品を必要としないで済むという効果がある。また、照明装置1000の設置工事の工数の削減にも繋がる。
【0062】
実施の形態3.
本実施の形態は、LED光源ユニット400を反射板300に固定するのに専用の固定具を使用していることが、実施の形態1と異なる。本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同符号を付して説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0063】
以下、本実施の形態について図13乃至図16に基づいて説明する。
【0064】
図13はLED光源ユニットを照明装置に設置した状態の断面図及び斜視図、図14はLED光源ユニットに取り付ける取付片の外形図、図15は照明装置の組立及び設置手順図、図16は照明装置の組立及び設置手順図である。図15及び図16は一部のネジ、配線類の表示を省略している。
【0065】
図13に示すように、LED光源ユニット400は、LED素子431が実装されたLEDモジュール430と、このLEDモジュール430が発熱する熱を外部に放熱するためのヒートシンク440と、LEDモジュール430をヒートシンク440にネジ止めして固定するLEDモジュール固定ネジ420と、ヒートシンク440にLEDモジュール430を覆うように取り付けられる透光性カバー410と、L字形状の取付片450と、この取付片450をヒートシンク440のネジ固定部444にネジ止めして固定する取付片固定ネジ460と、電源ユニット200の出力端子台から伸びる電源側ハーネス210とLEDモジュール430の入力端子台を、既設の照明装置から直管形蛍光ランプを取り外した際にランプソケットを同時に取り外すことで開いたランプソケット挿通用の貫通穴310を通して接続する光源側ハーネス470と、コの字形状金具固定ネジ491で取付片450とともにネジ止めされて取付片450を反射板300に固定するコの字形状金具490から構成されている。
【0066】
コの字形状金具490は、側面形状がコの字状をなしており、両端側かつ内側の平面部分が反射板300及に接触する反射板接触面と、コの字形状金具固定ネジ491を締めるためのバーリング加工等がされたネジ切り穴が開けられているネジ挿入面と、穴開きや突起、凹凸等がない所定の高さを持った平面(基部)と、を有する。
【0067】
LED光源ユニット400を既設の照明装置へ取り付ける際、コの字形状金具490の一辺をランプソケット挿通用の貫通穴310を通して反射板300の裏側に係止し、LED光源ユニット400のヒートシンク440に取付片固定ネジ460でネジ止めされている取付片450を、コの字形状金具490の他辺と反射板300との間に挟み込む。さらに、コの字形状金具490の他辺にコの字形状金具固定ネジ491を締め込んで、取付片450を反射板300に固定する。
【0068】
本実施の形態において、取付片450は、図14のようなフランジ部に細い長穴454を開けた形状のものを使用する。コの字形状金具490の上部に開いているネジ穴に、コの字形状金具固定ネジ491のネジ先を当てネジを締め始める。コの字形状金具固定ネジ491を締めていくと、取付片450のフランジ部にある長穴454の縁部にコの字形状金具固定ネジ491のネジ先が達する。そのまま長穴454の縁部にコの字形状金具固定ネジ491のネジ先を当てて締め込むことで、取付片450のフランジ部が反射板300に押し当てられ、コの字が開く方向に力がかかってコの字形状金具490が突っ張って止まる。その作用によって、LED光源ユニット400が反射板300に固定される。取付片450のフランジ部にある長穴454はネジ先のガイドとなり、反射板300に対して斜めに固定されないためのガイド形状を担っている。
【0069】
次に、本実施の形態において、照明装置1000を天井に設置する際の作業手順について説明する。
【0070】
図15(a)及び図15(b)に示すように、天井に器具本体100を再設置し、配線類の接続をするまでは、実施の形態1の図7(b)に示す手順までと同様なので説明を省略する。
【0071】
よって、図16(c)から説明する。まず、反射板300のみを天井に設置された器具本体100に固定する。反射板固定ネジ482で、反射板300に開けられたネジ穴320を通して、ランプソケット取付用金具110に開けられたネジ穴111にネジ止めし、反射板300を器具本体100に固定する。
【0072】
次に、図16(d)の作業に移る。図13(c)に示すように、LED光源ユニット400をコの字形状金具490を用いて、反射板300に開けられているランプソケット挿通用の貫通穴310に係止し、コの字形状金具固定ネジ491をネジ止めして固定する。
【0073】
本実施の形態では、ヒートシンク440の底面が空間部を有し、ネジを避ける形状となっており、図13(a)に示すようにネジ頭が反射板の底面から飛び出した状態でも、LED光源ユニット400のヒートシンク440の底面の空間部と反射板300の底面の間に、ネジ止めした後の反射板固定ネジ482が配置される。
【0074】
以後の手順は、実施の形態1と同様なので省略する。
【0075】
以上で、照明装置1000の天井への取付作業が完了となる。すべての作業が完了すると照明装置1000は、図16(d)に示すような状態になる。
【0076】
本実施の形態によれば、既設の照明装置のランプソケットが取り付けられていたランプソケット挿通用の貫通穴310の位置に、LED光源ユニット400を固定する追加部品として、コの字形状金具490及びコの字形状金具固定ネジ491を必要とするが、実施の形態1及び実施の形態2よりもLED光源ユニット400を長くすることができる。
【0077】
また、コの字形状金具490を使用することで、LED光源ユニット400を反射板300に取り付けるためのコの字形状金具固定ネジ491が取り付け易くなり、作業性の向上にもつながる。
【0078】
また、より確実にLED光源ユニット400を器具本体100に固定できるので、LED光源ユニット400の落下の防止につながり、安全性の向上の面でも効果がある。
【0079】
実施の形態4.
本実施の形態は、LED光源ユニット400を反射板300に固定する固定方法(固定具の形状)が、実施の形態3と異なる。本実施の形態において、実施の形態3と同様の構成については同符号を付して説明を省略し、実施の形態3と異なる部分について説明する。
【0080】
以下、本実施の形態について図17に基づいて説明する。
【0081】
図17は、LED光源ユニットを照明装置に設置した状態の断面図及び斜視図である。
【0082】
図17(a)に示すように、LED光源ユニット400は、LED素子431が実装されたLEDモジュール430と、このLEDモジュール430が発熱する熱を外部に放熱するためのヒートシンク440と、LEDモジュール430をヒートシンク440にネジ止めして固定するLEDモジュール固定ネジ420と、ヒートシンク440にLEDモジュール430を覆うように取り付けられる透光性カバー410と、L字形状の取付片450と、この取付片450をヒートシンク440のネジ固定部444にネジ止めして固定する取付片固定ネジ460と、電源ユニット200の出力端子台から伸びる電源側ハーネス210とLEDモジュール430の入力端子台を、既設の照明装置から直管形蛍光ランプを取り外した際にランプソケットを同時に取り外すことで開いたランプソケット挿通用の貫通穴310を通して接続する光源側ハーネス470と、取付片450を反射板300に固定するLED光源ユニット固定金具492から構成されている。
【0083】
LED光源ユニット固定金具492は、側面形状がU字状をなしており、両端側かつ内側の平面部分が反射板300及び取付片450に接触する反射板接触面、取付片接触面と、弾性を有する曲面(基部)と、を有する。
【0084】
また、LED光源ユニット固定金具492は、穴開きや突起、凹凸等がなく、基部から先端に近づくにつれ幅が狭くなり、先端付近では物を挟みやすくするために外側に開いた構造となっている。固定したい板状の物を2枚重ねて、LED光源ユニット固定金具492の開いた先端を当て、基部まで押し込んで挟み込むことで目的の物同士を固定することができる。なお、物を挟む直前に工事施工者が、LED光源ユニット固定金具492の先端を開く作業が発生するため作業性が悪くなるが、物を挟んで抑える力が強くなり、LED光源ユニット400を反射板300に、より安定して固定できるようになるので、LED光源ユニット固定金具492の先端が閉じている構造としてもよい。
【0085】
図17(b)に示すように、LED光源ユニット400を既設の照明装置へ取り付ける際、LED光源ユニット固定金具492をランプソケット挿通用の貫通穴310を通して、反射板300とLED光源ユニット400のヒートシンク440に取付片固定ネジ460でネジ止めされている取付片450を重ねて挟み込み固定する。
【0086】
本実施の形態における照明装置1000を天井に設置する際の作業手順は、コの字形状金具490をLED光源ユニット固定金具492に変更したこと以外は、実施の形態3と同様なので省略する。
【0087】
本実施の形態では、LED光源ユニット固定金具492を使用することで、実施の形態3において、LED光源ユニット400を反射板300に取り付けるためにコの字形状金具490のネジ止めで使用していたコの字形状金具固定ネジ491が不要となる。また、LED光源ユニット固定金具492で反射板300及び取付片450を重ねて挟むだけなので作業が簡略化でき、作業性の向上にもつながる。
【符号の説明】
【0088】
100 器具本体、110 ランプソケット取付用金具、111 ネジ穴、112 ランプソケット挿通用の貫通穴、200 電源ユニット、210 電源側ハーネス、300 反射板、310 ランプソケット挿通用の貫通穴、320 ネジ穴、330 取付穴、400 LED光源ユニット、410 透光性カバー、420 LEDモジュール固定ネジ、430 LEDモジュール、431 LED素子、440 ヒートシンク、441 取付面、442 カバー取付部、443 放熱フィン、444 ネジ固定部、450 取付片、451 ネジ挿入穴、452 開口部、453 長穴、454 長穴、460 取付片固定ネジ、470 光源側ハーネス、481 光源ユニット固定ネジ、482 反射板固定ネジ、490 コの字形状金具、491 コの字形状金具固定ネジ、492 LED光源ユニット固定金具、1000 照明装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光ランプと、前記蛍光ランプを点灯する安定器及び前記蛍光ランプが装着されるランプソケットを設けた器具本体と、前記器具本体を覆うとともに前記ランプソケットが挿通する貫通穴を形成した反射板を備えた照明装置であって、
前記蛍光ランプとは種類の異なる光源からなり前記蛍光ランプに代えて前記反射板に固定される光源ユニットと、
前記器具本体に取り付けられ前記光源ユニットを点灯するための電力を供給する電源ユニットと、
前記貫通穴を通して配設され前記光源ユニットと前記電源ユニットを電気的に接続するハーネスと、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光源ユニットは、前記光源が発する熱を放熱する放熱部と前記放熱部に取り付けられる取付部を備え、前記取付部を用いて、前記光源ユニットを前記反射板に固定することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源ユニットは、前記反射板に設けられた既設のネジ穴を用いて、前記反射板とともに前記器具本体にネジ止めすることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記貫通穴に挿入されて前記反射板に係止するとともに、前記光源ユニットを前記反射板に固定する取付具を備えることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記取付具は、ネジ止めにより前記反射板に固定することを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記貫通穴に挿入されて前記反射板と前記光源ユニットを重ねて挟み込み、前記光源ユニットを前記反射板に固定する取付具を備えることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光源ユニットは、長尺状のLED光源からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の照明装置であって、
前記蛍光ランプ及び前記ランプソケットを取り外し、
前記器具本体と前記反射板との間の空間部に前記電源ユニットを、
前記反射板に前記光源ユニットを、
新たに設置し、
前記貫通穴を通して配設された前記ハーネスによって、前記電源ユニットと前記光源ユニットを電気的に接続することを特徴とする照明装置のリニューアル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−104324(P2012−104324A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250826(P2010−250826)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】