照明装置及び照明装置の駆動方法
【課題】照明光の指向性を変化させることができる照明装置及び照明装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置において、液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させることにより、照明光の指向性を変化させ、照明装置の照明性能の向上を図る。
【解決手段】透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置において、液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させることにより、照明光の指向性を変化させ、照明装置の照明性能の向上を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置及び照明装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの基板間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを用いた照明装置が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載の照明装置は、液晶層に液晶材料に加えて、透過光を拡散する拡散材料を封入し、その拡散材料の選定によって拡散効力を変えるにようしている。また、特許文献2に記載の照明装置は、液晶層を凹レンズとして機能させることにより、発光部による照射光を拡散するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−230887号公報(特に、段落番号[0036]参照)
【特許文献2】特開2010−231976号公報(特に、段落番号[0032]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1,2に記載の照明装置は、照明光(出射光)の拡散の度合いを変化させることはできるようになっている。これに対して、照明光の拡散の度合いを変化させる機能とは別に、照明光を液晶レンズのレンズ軸上外に偏らせるといった指向性を変化させる機能があると照明装置の照明性能を向上できると考えられる。
【0005】
そこで、本開示は、照明光の指向性を変化させることができる照明装置及び照明装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための、本開示の照明装置は、
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えており、
液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する照明装置である。
【0007】
あるいは又、上記目的を達成するための、本開示の照明装置の駆動方法は、
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置の駆動に当たって、
液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させる照明装置の駆動方法である。
【0008】
上記の構成の照明装置、あるいは又、照明装置の駆動方法において、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって、液晶層の位相差(リタデーション)の分布が変わる。これにより、液晶レンズの光学的形状を、中心が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズの焦点距離や出射光の方向・角度を電気的に変えることができる。
【0009】
あるいは又、上記目的を達成するための、本開示の他の照明装置は、
出射光の指向性が可変な照明部、
照明対象物の位置を認識する位置認識部、及び、
位置認識部の認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する制御部を備える照明装置である。
【0010】
あるいは又、上記目的を達成するための、本開示の他の照明装置の駆動方法は、
出射光の指向性が可変な照明部を備える照明装置の駆動に当たって、
照明対象物の位置を認識し、
その位置認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する照明装置の駆動方法である。
【0011】
上記の構成の他の照明装置、あるいは又、他の照明装置の駆動方法において、照明部からの出射光、即ち、照明部の照明光の指向性は可変である。そして、照明部の照明光の指向性が、照明対象物の位置の認識結果に基づいて変化することで、照明対象物が移動する場合、照明部の照明光はその指向性が、移動する照明対象物を追跡して変化することになる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の照明装置、あるいは又、照明装置の駆動方法によれば、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズの焦点距離や出射光の方向・角度を電気的に変えることができることにより、照明光の指向性を変化させることができるため、照明性能を向上できる。
【0013】
また、本開示の他の照明装置、あるいは又、他の照明装置の駆動方法によれば、照明光の指向性が可変な照明部を用い、当該照明部の照明光の指向性を、移動する照明対象物を追跡して変化させることにより、照明光を照明対象物に対して常に照射できるため、照明性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1の実施形態の実施例1に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図2】図2は、円形タイプの液晶レンズの場合の出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図3】図3は、レンチキュラータイプの液晶レンズの場合の出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図4】図4は、フレネルレンズ化された液晶レンズの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、液晶レンズがフレネルレンズを構成しているときの状態を模式的に示す図である。
【図6】図6は、液晶層に電圧が印加されていないときの状態を模式的に示す図である。
【図7】図7は、点光源の場合における出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図8】図8は、面光源(平行光源)の場合における出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図9】図9は、液晶レンズのフレネルレンズ化について説明する図である。
【図10】図10は、第1の実施形態の実施例2に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図11】図11は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【図12】図12は、第1の実施形態の実施例3に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図13】図13は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【図14】図14は、液晶レンズと固定レンズとを組み合わせたときの可変角度及び透過率(効率)について説明する図である。
【図15】図15は、固定レンズの出射面の傾斜角度θ2に対する、照明光の可変角度Xの依存性(A)、及び、透過率の依存性(B)を示す図である。
【図16】図16は、第1の実施形態の実施例4に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図17】図17は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を2通りに変化させるとき(B),(C)の出射光の振る舞いを示す図である。
【図18】図18は、液晶レンズからの出射光の角度と多面体鏡の反射面での反射光の角度との関係を説明する図である。
【図19】図19は、実施例4の変形例に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図20】図20は、第1の実施形態の実施例5に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図21】図21は、本開示の第2の実施形態の基本的なシステム構成を概略的に示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態に基づき本開示について説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の照明装置及び照明装置の駆動方法、全般に関する説明
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
【0016】
[本開示の照明装置及び照明装置の駆動方法、全般に関する説明]
本開示の照明装置に用いる液晶レンズは、液晶を利用した一種の光学素子(光学部品)であり、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置された構造となっている。
【0017】
この構造の液晶レンズにおいて、第1基板の複数の電極と、第2基板の共通電極との間に電圧を与えることで、液晶層に対して電圧を印加することができる。この液晶レンズにあっては、液晶層に印加する電圧を変えて液晶層の位相差(リタデーション)の分布を制御することによって、レンズの屈折力を変えることができる。
【0018】
第1基板の複数の電極の各々は、帯状の電極(以下、単に「帯状電極」と呼ぶ)の群から成る。帯状電極の群において、各帯状電極に印加する電圧の値の設定及び電圧を印加すべき帯状電極の選択の少なくとも一方によって、液晶レンズから出射される出射光の指向性を変化させる構成とすることができる。
【0019】
すなわち、各帯状電極に印加する電圧の値の設定によって、電圧を印加すべき帯状電極の選択によって、あるいは又、各帯状電極に印加する電圧の値の設定及び電圧を印加すべき帯状電極の選択によって、液晶レンズからの出射光の指向性を変化させる構成とすることができる。
【0020】
帯状電極の群において、各帯状電極に印加する電圧の値を適宜設定したり、あるいは又、電圧を印加すべき帯状電極を適宜選択したりすることによって、液晶層に対する電圧の印加の仕方が変わる。従って、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって、液晶層の位相差(リタデーション)の分布を制御することができるため、液晶レンズからの出射光の指向性を変化させる構成とすることができる。
【0021】
液晶層に対して継続的に直流電圧を印加すると液晶材料の劣化を招く。従って、通常の液晶パネルと同様に、共通電極と帯状電極との間に印加する電圧の極性が、例えば一定の周期で順次反転するように液晶レンズを駆動すればよい。
【0022】
第1基板や第2基板は、光に対して透明な材料から構成することができる。第1基板や第2基板を構成する材料として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ガラスを例示することができる。第1基板と第2基板は同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。
【0023】
共通電極や帯状電極は、光透過性を有する金属箔膜や、インジウムとスズの酸化物(ITO)や、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)などの透明導電材料から構成することができる。これらの電極は、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)などの周知の方法によって成膜することができる。また、帯状電極は、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せ、リフトオフ法などの周知の方法によりパターニングすることができる。
【0024】
液晶層を構成する材料として、ネマティック液晶材料などの周知の材料を用いることができる。液晶層を構成する材料は特に限定するものではない。ポジ型の液晶材料を用いた構成とすることができるし、あるいは又、ネガ型の液晶材料を用いた構成とすることもできる。
【0025】
第1基板と第2基板における液晶層側の面の少なくとも一方に、液晶分子の配向方向やプレチルト角を設定するための配向処理が施されていてもよい。配向処理は、例えばラビング処理を施した配向膜を形成するなどといった周知の方法によって行うことができる。配向膜は、ポリイミド材料などといった周知の材料を用いて構成することができる。
【0026】
液晶レンズは、光学的に、円形タイプの液晶レンズ、あるいは又、レンチキュラータイプの液晶レンズとして構成することができる。ここで、レンチキュラー(レンズ)とは、細長いかまぼこ状の凸レンズが多数配置されて成るレンズである。あるいは又、液晶レンズを、光学的に、所謂フレネルレンズとして構成することもできる。
【0027】
液晶レンズに対して光を発する(照射する)光源は特に限定するものではない。光源としては、液晶レンズに対して拡散光を入射させる点光源であってもよいし、あるいは又、液晶レンズに対して平行光を入射させる面光源(平行光源)であってもよい。
【0028】
液晶レンズの出射光側にレンズ部品を設ける構成とすることもできる。このレンズ部品は特に限定するものではない。構成の簡略化を図るといった観点からは、レンズ部品として、レンズ特性(性能)が固定の固定レンズを用いるのが好ましい。但し、レンズ部品は固定レンズに限られない。固定レンズに代えて、レンズ特性が可変な可変レンズを用いるようにすることも可能である。
【0029】
固定レンズとして、凹レンズを用いる構成とすることができる。凹レンズの凹部の形状は特に限定するものではない。凹レンズの凹部の形状は、例えば、縦断面の形状が半円形状であってもよいし、縦断面の形状が台形形状であってもよい。
【0030】
液晶レンズの出射光側に反射体を設ける構成とすることもできる。反射体は、平面鏡であってもよいが、出射光の指向性を様々に変化させるといった観点からは、反射面の角度が多段階に異なる多面体鏡であるのが好ましい。この多面体鏡の中には、反射面の角度(形状)が連続的に変わる反射体(所謂、曲面体鏡)も含まれる。反射体は、液晶レンズの出射光が照射される反射面の角度に応じて出射光の出射方向を設定する。
【0031】
液晶レンズの出射光側にレンズ部品や反射体を設けるに当たっては、各々を単独で設ける構成とすることもできるし、あるいは又、レンズ部品と反射体との組合せで設ける構成とすることもできる。
【0032】
液晶レンズを駆動する駆動回路は、種々の回路から構成することができる。これらは周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0033】
本開示の照明装置は、一般的な照明装置としての他、監視カメラ用の照明装置(光源装置)や、フラッシュ等のカメラ用の照明装置などとして用いることができる。但し、これらの用途に限られるものではない。例えば、自動車用の照明装置などとして用いることもできる。
【0034】
また、本開示の照明装置を用いて、照明対象物が移動する際に、当該照明対象物を追跡して照明光の指向性を変化させる照明装置(本開示の他の照明装置)を構成することができる。移動する照明対象物としては、人や物などを例示することができる。
【0035】
人、物などの照明対象物を追跡するに当たって、移動する照明対象物の位置を位置認識部によって認識するように構成することができる。位置認識部は、例えば、照明対象物を撮像する撮像部、当該撮像部の撮像情報に対して画像処理を施す画像処理部、及び、当該画像処理部の処理結果から照明対象物の位置を演算する演算部などを用いて構成することができる。撮像部としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどを用いた周知の撮像装置(カメラ)を用いることができる。
【0036】
照明部からの出射光の指向性を制御する制御部は、位置認識部から認識結果、即ち、演算部の演算結果が渡させることにより、当該演算部の演算結果に基づいて出射光の指向性を制御する構成とすることができる。制御部は、位置認識部の認識結果、即ち、演算部が算出した位置情報を基に、照明対象物に対して照明光を照射する(即ち、照明光の指向性を照明対象物の方向とする)ために、液晶レンズの液晶層に対する電圧の印加の仕方を制御する構成とすることができる。
【0037】
位置認識部や制御部は、種々の回路から構成することができる。これらは、マイクロコンピュータを含む周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0038】
本明細書に示す各種の条件は、厳密に成立する場合の他、実質的に成立する場合にも満たされる。設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
【0039】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態に係る照明装置は、基本的な構成要素として、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えている。そして、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって、具体的には、複数の電極に印加する電圧の値を適宜設定したり、あるいは又、複数の電極の中から電圧を印加すべき電極を適宜選択したりすることによって液晶レンズからの出射光の指向性を変化させる構成となっている。
【0040】
第1の実施形態に係る照明装置において、液晶レンズの液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶層の位相差(リタデーション)の分布が変わる。これにより、液晶レンズの光学的形状を、中心が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズの焦点距離や出射光の方向・角度を電気的に変えることができる。その結果、照明光の指向性を変化させることができるため、照明装置の照明性能を向上できる。
【0041】
以下に、第1の実施形態に係る照明装置の具体的な実施例について説明する。
【0042】
(実施例1)
図1は、第1の実施形態の実施例1に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。図1において、(A)は照明装置の断面図を、(B)は液晶レンズの断面図をそれぞれ示している。
【0043】
図1の(A)において、実施例1に係る照明装置10Aは、一端が閉塞された筒状、即ち、カップ状の筐体11を有している。筐体11の外形形状や内部形状などは特に限定するものではない。例えば、筐体11の横断面の形状は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、あるいは又、矩形であってもよい。
【0044】
筐体11の凹部12の例えは底部には、本照明装置10Aの光源である発光素子13が配置されている。発光素子13としては、LED、EL、電球などの周知の光源を用いることができる。発光素子13は、拡散光を発する点光源であってもよいし、あるいは又、平行光を発する面光源(平行光源)であってもよい。発光素子13が発する光の有効利用を図るといった観点からは、筐体11の凹部12の少なくとも底面が反射面であることが好ましい。
【0045】
筐体11の例えば開口部には、液晶レンズ14が配されている。ここでは、液晶レンズ14を筐体11の開口部に配するとしているが、液晶レンズ14の配置位置は特に限定するものではない。すなわち、液晶レンズ14を筐体11の凹部12内の任意の場所に配置するようにしてもよい。液晶レンズ14は、第1,第2透明基板と、これら2つの透明基板間に封入された液晶材料から成る液晶層とを有し、液晶層間に印加する電圧に応じてレンズ性能(特性)が可変な構成となっている。
【0046】
具体的には、図1の(B)に示すように、液晶レンズ14は、2つの透明基板である例えばガラス基板141,142と、これらガラス基板141,142間に液晶材料が封止部143によって封止されて成る液晶層144とを有している。2つのガラス基板141,142は、無反射コーティングされている。液晶層144は、例えば、ホモジニアス分子配列のネマティック液晶から成る。
【0047】
2つのガラス基板141,142の内面には、例えば、スズを添加した酸化インジウムのITOといった金属酸化物から成る膜の透明電極が形成されている。具体的には、2つのガラス基板141,142の一方の内面には、電気的な接地面を形成するための透明な共通電極145がガラス基板全面に亘って形成されている。また、2つのガラス基板141,142の他方の内面には、液晶層144に対して必要な電界分布を与えるための透明な帯状電極146が形成されている。
【0048】
上記の構成の液晶レンズ14において、液晶層144を挟む上下の透明電極(共通電極/帯状電極)145,146間に電圧を印加すると、複屈折率(即ち、液晶分子の長軸と短軸の屈折率差)を持つネマティック液晶が電場に沿って傾く。つまり、液晶分子(長軸の向き)と平行な方向の直線偏光をもった光にとって、液晶層144は電圧の分布に応じて局所的に異なった屈折率の分布をもった媒質と等価となる。従って、液晶層144を通過した光の波面には、液晶の印加電圧の面内分布に応じた空間的な波面変調、あるいは、位相変調が加わることになる。
【0049】
液晶レンズ14において、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えると、具体的には、帯状電極146に印加する電圧の値を適宜設定したり、あるいは又、電圧を印加すべき帯状電極146を適宜選択したりすると、液晶層144の位相差(リタデーション)の分布が変わる。従って、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えることにより、液晶レンズ14の焦点距離や、液晶レンズ14からの出射光の指向性(光の角度・方向)を電気的に制御できる。
【0050】
液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズ14からの出射光の指向性が変わることについて、円形タイプの液晶レンズ14の場合と、レンチキュラータイプの液晶レンズ14の場合について説明する。
【0051】
円形タイプの液晶レンズ14の場合、通常、図2の(A)に示すように、位相差分布が2次曲線を示す。そして、例えば点光源の発光素子13から発せられた光は、液晶レンズ14を通過することによって平行光となる。一方、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えることで、図2の(B)に示すように、2次曲線のピークが一方側に偏った位相差分布となる。これにより、液晶レンズ14の光学的形状を、レンズ中心部が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズ14から出射される光の方向、即ち、出射光の指向性を変化させることができる。
【0052】
レンチキュラータイプの液晶レンズ14の場合も、通常、図3の(A)に示すように、位相差分布が2次曲線を示す。そして、例えば点光源の発光素子13から発せられた光は、液晶レンズ14を通過することによって平行光となる。一方、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えることで、図3の(B)に示すように、2次曲線のピークが一方側に偏った位相差分布となる。これにより、液晶レンズ14の光学的形状を、レンズ中心部が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズ14から出射される光の方向、即ち、出射光の指向性を変化させることができる。
【0053】
円形タイプの液晶レンズ14の場合にも、レンチキュラータイプの液晶レンズ14の場合にも、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を、図2/図4の(B)の場合と逆にすることで、2次曲線のピークが他方側に偏った位相差分布となる。
【0054】
このように、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズ14からの出射光、即ち、実施例1に係る照明装置10Aの照明光の指向性を変えることができ、結果として、当該照明装置10Aの照明性能を向上できる。
【0055】
ところで、通常の光学レンズと同様に、液晶レンズにおいても、液晶層の位相差(リタデーション)の分布を所定の領域毎に変化させて鋸歯状の分布とすることにより、所謂フレネルレンズとすることができる。液晶レンズをフレネルレンズの構成とすれば、液晶層の厚さ(セルギャップ)を薄く設定でき、また、応答速度も速くなる。
【0056】
帯状電極146は、一方向に伸びる直線状に形成されている構成とすることができる。この場合には、帯状電極146の群の配置や各帯状電極146に印加する電圧の値の設定によるが、液晶レンズ14は、直線状のフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)として動作する。あるいは又、帯状電極146は、環状(例えば、同心円状)に形成されている構成とすることができる。この場合には、液晶レンズ14は、通常の(環状の)フレネルレンズとして動作する。
【0057】
図4は、フレネルレンズ化された液晶レンズ14の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【0058】
図4に示すように、液晶レンズ14は、2つのガラス基板141,142間に封止部143によって液晶材料を封止した構成となっている。そして、本例に係る液晶レンズ14にあっては、第1の方向に延びるレンズ列147が、第1の方向とは異なる第2の方向にP個並んで配列されている。第p列目(但し、p=1,2,・・・,P)のレンズ列147をレンズ列147pと表わす。
【0059】
後述するように、各レンズ列147は、液晶層のリタデーション分布を領域毎に変化させて構成したフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)から成る。説明の都合上、液晶レンズ14のレンズ群が成す面はX−Z平面と平行であり、レンズ列147は、垂直方向(図においてZ方向)に延び、水平方向(図においてX方向)に並んで配列されているとする。また、液晶レンズ14から光が出射する方向が+Y方向であるとする。
【0060】
図5は、液晶レンズ14がフレネルレンズを構成しているときの状態を模式的に示す図である。
【0061】
図5に示すように、液晶レンズ14において、2つのガラス基板141,142の一方(例えば、ガラス基板141)には、透明な共通電極145が備えられている。また、2つのガラス基板141,142の他方(例えば、ガラス基板142)には、所定の領域AL(ALL3,ALL2,ALL1,ALC,ALR1,ALR2,ALR3)毎に群を構成するように、透明な複数の帯状電極146A,146B,146C,146Dが備えられている。
【0062】
尚、帯状電極146A,146B,146C,146Dを区別する必要がない場合に、これらを単に帯状電極146と表わす場合がある。領域ALなどの他の構成要素においても同様である。
【0063】
共通電極145と帯状電極146は、それぞれ、ガラス基板141とガラス基板142の液晶層144側の面(内面)に形成されている。共通電極145と帯状電極146は、例えばITOといった透明導電材料から構成されており、周知の成膜技術により形成されている。帯状電極146は、周知のパターニング技術によって所定のストライプ形状に形成されている。
【0064】
液晶レンズ14は、例えばポリイミドから成る配向膜148を更に含んでいる。配向膜148は、帯状電極146を含むガラス基板142の内面を覆うように全面に亘って形成されている。配向膜148の表面にはZ方向にラビング処理が施されている。配向膜148によって、共通電極145と帯状電極146との間に電位差がない場合における液晶分子144Aの分子軸(長軸)の方向が規定される。液晶層144は、ポジ型のネマティック液晶材料から成る。
【0065】
そして、2つのガラス基板141,142間において、所定の領域ALの境界に対応する部位には、壁状のスペーサ149が設けられている。スペーサ149は、透明な高分子材料から成り、感光性を有するスペーサ形成用材料層の感光及び現像によって形成されている。各スペーサ149の2つの壁面のうち少なくとも一方(図5に示す例では双方)には、一定値の電圧が印加される遮蔽電極145Sが設けられている。スペーサ149は、ガラス基板141の内面に形成されている。遮蔽電極145Sは、共通電極145と一体の電極として形成されている。
【0066】
液晶レンズ14の動作時にあっては、図示せぬ駆動回路の動作に基づいて、共通電極145及び遮蔽電極145Sには、同じ一定値(例えば、0[ボルト])の電圧が印加される。また、複数の帯状電極146A,146B,146C,146Dのそれぞれには、独立した電圧が印加される。
【0067】
各領域ALにおける帯状電極146の配置、及び、スペーサ149の配置について更に詳しく説明する。
【0068】
帯状電極146は、一方向(図においてZ方向)に伸びる直線状に形成されている。そして、図5に示すように、レンズ列147の中央に位置する領域ALCにあっては、帯状電極146は、左端部(領域ALL1側の端部)から右端部(領域ALR1側の端部)に向かって、帯状電極146D,146C,146B,146A,146B,146C,146Dの順番で配置されている。
【0069】
レンズ列147の左側に位置する領域ALL1,ALL2,ALL3にあっては、帯状電極146は、各領域においてその左端部から右端部に向かって、帯状電極146D,146C,146B,146Aの順番で配置されている。一方、レンズ列147の右側に位置する領域ALR1,ALR2,ALR3にあっては、帯状電極146は、各領域においてその右端部から左端部に向かって、帯状電極146D,146C,146B,146Aの順番で配置されている。尚、説明の都合上、領域ALC以外の領域においては、符号146B,146Cの表示を省略している。
【0070】
スペーサ149は、領域ALL3と領域ALL2との境界に対応する部位、領域ALL2と領域ALL1との境界に対応する部位、領域ALL1と領域ALCとの境界に対応する部位、領域ALCと領域ALR1との境界に対応する部位、領域ALR1と領域ALR2との境界に対応する部位、及び、領域ALR2と領域ALR3との境界に対応する部位に形成されている。尚、スペーサ149も、一方向(図においてZ方向)に伸びる直線状に形成されている。
【0071】
以上、各領域ALにおける帯状電極146の配置、及び、スペーサ149の配置について説明した。そして、図5に示すように、レンズ列147の中心を通り、Y方向に延びる仮想直線に対して、帯状電極146やスペーサ149は線対称の関係となるように配置されている。
【0072】
次いで、図5と図6を参照して、液晶レンズ14の動作について説明する。尚、液晶レンズ14には、図示せぬ偏光フィルムなどによって偏光方向がZ方向とされた光が入射するとする。
【0073】
先述したように、図5は、液晶レンズ14がフレネルレンズを構成しているときの状態を模式的に示す図である。
【0074】
この状態において、共通電極145及び遮蔽電極145Sには0[ボルト]の電圧が印加されている。また、帯状電極146A,146B,146C,146Dには、図示せぬ給電線を介して0[ボルト],1[ボルト],2[ボルト],3[ボルト]といった電圧がそれぞれ印加されている。尚、実際には、液晶層144を交流駆動するために、帯状電極146に印加される電圧の極性は例えば所定の周期で切り換えられる。説明の都合上、電圧の極性の反転は考慮しないで説明を行う。
【0075】
帯状電極146Dと共通電極145との間の電圧は3[ボルト]である。従って、帯状電極146Dと共通電極145との間に当該電圧に応じた電界が形成され、液晶分子144Aの長軸はY方向を向く。また、帯状電極146Cと共通電極145との間の電圧は2[ボルト]である。従って、帯状電極146Cと共通電極145との間には、先ほどよりも弱い電界が形成される。このとき、液晶分子144Aの長軸はY方向を向くが、その程度は若干弱い。
【0076】
同様に、帯状電極146Bと共通電極145との間の電圧は1[ボルト]である。従って、帯状電極146Bと共通電極145との間にも電界が形成され、液晶分子144Aの長軸はY方向を向くが、その程度は更に弱くなる。一方、帯状電極146Aと共通電極145との間の電圧は0[ボルト]である。従って、帯状電極146Aと共通電極145との間には電界が形成されず、液晶分子144Aの長軸はZ方向のままとなる。
【0077】
液晶分子144Aの長軸方向の屈折率は、短軸方向の屈折率よりも大きい。このため、偏光軸がZ方向である光に対しての液晶層144におけるリタデーション(位相差)の分布は、帯状電極146Aに対応する部分が大きく、帯状電極146Dに向かうほど小さくなるといった変化を示す。図4に示すグラフは、リタデーションの分布を模式的に示したものである。他の図面におけるグラフについても同様である。
【0078】
上述したように、レンズ列147の中心を通り、Y方向に延びる仮想直線に対して、帯状電極146は線対称の関係となるように配置されている。結果として、領域ALL3乃至ALR3におけるリタデーションの分布は、レンズ列147の中心を通り、Y方向に延びる仮想直線に対して対称な鋸歯状の分布となる。光学的には、液晶層144は鋸歯状の断面を持つフレネルレンズと同視することができる。
【0079】
このように、本例に係る液晶レンズ14は、共通電極145と帯状電極146との間に印加される電圧によって所定の領域毎にリタデーションの分布が制御されるフレネルレンズとして動作する。より具体的には、レンズ列147はZ方向に延びる直線状のフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)として動作する。
【0080】
続いて、共通電極145と帯状電極146との間に電圧が印加されていないときの動作について、図6を用いて説明する。図6は、液晶層に電圧が印加されていないときの状態を模式的に示す図である。
【0081】
この状態において、共通電極145及び遮蔽電極145Sには0[ボルト]の電圧が印加され、また、帯状電極146A,146B,146C,146Dの全てに0[ボルト]の電圧が印加されている。従って、共通電極145と帯状電極146A,146B,146C,146Dとの間には電界が形成されないため、液晶分子144Aの長軸はZ方向のままとなる。
【0082】
このため、領域ALL3乃至領域ALR3におけるリタデーションの分布は一様となる。光学的には、液晶層144は単なる透明層として作用する。
【0083】
尚、以上では、帯状電極146を一方向に伸びる直線状に形成した構成とすることで、液晶レンズ14を直線状のフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)として動作させる場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。すなわち、帯状電極146を環状(例えば、同心円状)に形成した構成とすることで、液晶レンズ14を通常の(環状の)フレネルレンズとして動作させることも可能である。
【0084】
上述した、直線状のフレネルレンズとして、あるいは又、同心円状のフレネルレンズとして動作する液晶レンズ14を備える実施例1に係る照明装置10Aにおいて、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズ14からの出射光の指向性を変化させることができる。
【0085】
具体的には、発光素子13が液晶レンズ14に拡散光を入射させる点光源の場合、例えば、同心円状のフレネルレンズとして動作する液晶レンズ14を用いるものとする。この場合、図7の(A)に示すように、入射光が光軸に平行な平行光として出射されるのに対して、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって、図7の(B)に示すように、出射光の指向性を変化させることができる。
【0086】
一方、発光素子13が平行光を発する面光源(平行光源)の場合、例えば、直線状のフレネルレンズとして動作する液晶レンズ14を用いるものとする。この場合、図8の(A)に示すように、入射する平行光がそのまま光軸に平行な平行光として出射されるのに対して、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって、図8の(B)に示すように、出射光の指向性を変化させることができる。
【0087】
このように、液晶レンズ14からの出射光、即ち、実施例1に係る照明装置10Aの照明光の指向性を変化させることができることで、当該照明装置10Aの照明性能を向上できる。
【0088】
次いで、液晶レンズのフレネルレンズ化について説明する。ここでは、入射光の波長が550[nm]、焦点距離が30[mm]、レンズ径が5[mm]の条件の下に、図9の(A)に示す2次曲線の位相差分布を持つ液晶レンズを、同心円状のフレネルレンズとする場合について説明する。このときの液晶レンズのセルギャップが550[μm]、実効複屈折率Δnが0.2とする。
【0089】
図9の(B)に、液晶レンズをフレネルレンズ化したときのレンズ径[μm]とセルギャップ[μm]との関係を示す。この図から明らかなように、フレネルレンズ化することで、セルギャップ、即ち、液晶層の厚さをレンズ中心から外周部に亘ってほぼ均一にすることができる。しかも、液晶レンズをフレネルレンズ化することで、セルギャップを、フレネルレンズ化する前のセルギャップ(550[μm])に比べて、1/10以下(50[μm])程度まで薄くすることができる。
【0090】
(実施例2)
図10は、第1の実施形態の実施例2に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0091】
図10に示すように、実施例2に係る照明装置10Bは、液晶レンズ14とレンズ部品との組合せから成る構成となっている。レンズ部品としては、例えば、固定レンズ15Aを用いる。固定レンズ15Aは、例えば、凹レンズであり、その凹部が出射側になるように液晶レンズ14の出射光側に配置されている。固定レンズ15Aは、凹部の縦断面の形状が半円形状、即ち、出射面が半球面となっている。
【0092】
図11は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【0093】
図11の(A)に示すように、指向性を変化させないときは、液晶レンズ14を通過した平行光は、固定レンズ15Aで拡散されて出射される。図11の(B)に示すように、指向性を変化させるときは、液晶レンズ14を通過する際に指向性が変えられ、その状態で固定レンズ15Aに入射する。そして、固定レンズ15Aの凹部から出射する際に、半球面の出射面で拡散され、更に指向性が変えられる。
【0094】
このように、液晶レンズ14と固定レンズ15Aとを組み合わせた構成の実施例2に係る照明装置10Bによれば、実施例1に係る照明装置10Aに比較して、出射光の指向性の可変角度を大きくすることできるため、当該照明装置10Bの照明性能をより向上できる。
【0095】
(実施例3)
図12は、第1の実施形態の実施例3に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0096】
実施例3に係る照明装置10Cは、実施例2に係る照明装置10Bと同様に、液晶レンズ14と固定レンズとの組合せから成る構成となっており、異なるのは、固定レンズ15Bの形状の点である。すなわち、固定レンズ15Bは、凹部の縦断面の形状が台形形状となっている。
【0097】
図13は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【0098】
図13の(A)に示すように、指向性を変化させないときは、液晶レンズ14を通過した平行光は、固定レンズ15Bの縦断面が台形の凹部の頂面が平面であることで、そのまま平行光として出射される。図13の(B)に示すように、指向性を変化させるときは、液晶レンズ14を通過する際に指向性が変えられ、その状態で固定レンズ15Bに入射する。そして、固定レンズ15Bの凹部から出射する際に、傾斜面の出射面で更に指向性が変えられる。
【0099】
このように、液晶レンズ14と固定レンズ15Bとを組み合わせた構成の実施例3に係る照明装置10Cによれば、実施例2に係る照明装置10Bと同様に、出射光の指向性の可変角度を大きくすることできる。但し、固定レンズ15Bの凹部の出射面が平面及び傾斜面であるため、出射面が曲面である、実施例2に係る照明装置10Bの場合のような拡散効果を得ることはできない。
【0100】
ここで、図14を用いて、液晶レンズ14と固定レンズ15Bとを組み合わせたときの可変角度及び透過率(効率)について考察する。
【0101】
図14において、液晶レンズ14の出射角をθ1とし、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度をθ2とする。ここでは、液晶レンズ14から出射される光の角度、即ち、液晶レンズ14の出射角θ1を例えば5度とする。固定レンズ15Bからの出射光、即ち、照明装置10Cの照明光の可変角度Xは、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度θ2に依存する。
【0102】
図15は、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度θ2に対する、照明光の可変角度Xの依存性(A)、及び、透過率(効率)の依存性(B)を示す図である。
【0103】
図15の(A)から明らかなように、θ1=5度のとき、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度θ2を例えば20度に設定すると、照明装置10Cの照明光の可変角度Xは20度となる。そして、図15の(B)から明らかなように、可変角度Xが20度のときの透過率(効率)は約90[%]となる。尚、図15の(B)において、T0sはs波の透過率を表わし、T0pはp波の透過率を表わし、T0はs波、p波の合計の特性を表わしている。
【0104】
(実施例4)
図16は、第1の実施形態の実施例4に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0105】
図16に示すように、実施例4に係る照明装置10Dは、液晶レンズ14と反射体との組合せから成る構成となっている。反射体は、その反射面が筐体11の開口部側を向くように、液晶レンズ14の出射面側に設けられる。本例では、反射体として、反射面の角度が多段階に異なる多面体鏡16を用いている。本例に係る多面体鏡16は、例えば、角度が3段階に異なる3つの反射面16A,16B,16Cを有している。
【0106】
図17は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を2通りに変化させるとき(B),(C)の出射光の振る舞いを示す図である。
【0107】
図17の(A)に示すように、指向性を変化させないときは、液晶レンズ14は通常のレンズの状態、即ち、位相差分布の2次曲線のピークがレンズ中心となる状態にある。このとき、液晶レンズ14から出射される平行光は、多面体鏡16の真ん中の反射面16Aに入射し、当該反射面16Aで反射されて筐体11の外部に照明装置10Dの照明光として出射される。
【0108】
一方、液晶レンズ14を位相差分布の2次曲線のピークがレンズ中心から一方側に偏った状態にすると、図17の(B)に示すように、液晶レンズ14からの出射光の指向性が一方側に変化する。これにより、液晶レンズ14から出射される平行光は、多面体鏡16の反射面16Bに入射し、当該反射面16Bで反射されて筐体11の外部に照明装置10Dの照明光として出射される。
【0109】
また、液晶レンズ14を位相差分布の2次曲線のピークがレンズ中心から他方側に偏った状態にすると、図17の(C)に示すように、液晶レンズ14からの出射光の指向性が他方側に変化する。これにより、液晶レンズ14から出射される平行光は、多面体鏡16の反射面16Cに入射し、当該反射面16Cで反射されて筐体11の外部に照明装置10Dの照明光として出射される。
【0110】
このように、液晶レンズ14と反射体とを組み合わせた、所謂反射型の構成の実施例4に係る照明装置10Dによれば、反射体の作用によって出射光の指向性の可変角度を大きく設定することできるため、当該照明装置10Dの照明性能をより向上できる。
【0111】
具体的には、液晶レンズ14を透過した光を照明光とする透過型の照明装置では、液晶レンズ14の指向性の可変範囲内でしか照明光の指向性を変えることができない。これに対して、図18に示すように、液晶レンズ14の可変角度をΔθ、例えば多面体鏡16の反射面16Cの傾斜角度をαとすると、多面体鏡16を用いた反射型の照明装置10Dでは、反射面16Cでの反射光の角度はΔθ+2αとなり、照明光の指向性の可変角度を透過型に比べて大きく設定することできる。
【0112】
尚、本実施例4では、液晶レンズ14との組合せで用いる反射体として、反射面の角度が多段階に異なる多面体鏡16を用いるとしたが、図19に示すように、反射面の角度(形状)が連続的に変わる所謂曲面体鏡17を用いる構成の照明装置(変形例に係る照明装置10E)とすることもできる。
【0113】
また、本実施例4では、液晶レンズ14と反射体との組合せから成る構成としたが、実施例2や実施例3との組合せ、即ち、液晶レンズ14とレンズ部品と反射体との組合せから成る構成とすることもできる。この場合、レンズ部品は、液晶レンズ14と反射体との間に配置するのが好ましい。これによれば、先述した、指向性を変化させないときと、指向性を2通りに変化させるときのそれぞれに対応してレンズ部品を設ける構成としなくても、1つのレンズ部品で対応できる構成とすることができる。
【0114】
(実施例5)
図20は、第1の実施形態の実施例5に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0115】
図20に示すように、実施例5に係る照明装置10Fは、実施例4に係る照明装置10Dと同様に、液晶レンズ14と反射体との組合せから成る構成となっている。但し、実施例4に係る照明装置10Dでは、反射体として多面体鏡16を用いているのに対して、実施例5に係る照明装置10Fでは、反射体として2枚の反射板18A,18Bを用いている点で相違する。
【0116】
2枚の反射板18A,18Bは、光源である発光素子13及び液晶レンズ14と共に筐体11内に設けられる。筐体11の内部には、例えば樹脂18が充填される。樹脂18が充填された筐体11の出射部は、例えば、凹形状に形成されている。筐体11の出射部は、必ずしも、凹形状である必要はなく、フラットな形状であってもよい。
【0117】
このように、反射体として2枚の反射板18A,18Bを用い、液晶レンズ14との組合せから成る、実施例5に係る照明装置10Fにあっても、実施例1乃至4と同様に、液晶レンズ14の液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって照明光の指向性を変化させることができる。
【0118】
また、筐体11の出射部が凹形状となっていることで、実施例3に係る照明装置10Cで用いた凹レンズの固定レンズ15Bと同様の作用効果を得ることができる。すなわち、図20に一点鎖線で光の振る舞いを示すように、照明装置10Cから出射光、即ち、照明光の指向性の可変角度を大きく設定することできる。
【0119】
[第2の実施形態]
図21は、本開示の第2の実施形態の基本的なシステム構成を概略的に示すシステム構成図である。
【0120】
第2の実施形態に係る照明装置(システム)20は、人や物など照明対象物が移動する際に、当該照明対象物を追跡して照明光の指向性を変化させる、所謂自動追跡型の照明システムの構成となっている。
【0121】
照明装置20は、照明対象物を照明する照明光の指向性が可変な照明部21を備えている。照明部21としては、照明光の指向性が可変なものであればよく、例えば、先述した第1の実施形態の実施例1〜実施例5に係る照明装置10A〜10Fを用いることができる。
【0122】
照明装置20は更に、人や物など照明対象物を撮像する撮像部22を備える。撮像部22としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどを用いた周知の撮像装置(カメラ)を用いることができる。撮像部22の撮像情報は、画像処理部23に渡される。画像処理部23は、撮像部22から与えられる撮像情報に対して、周知の種々の画像処理を施す。
【0123】
画像処理部23の処理結果は、演算部24に渡される。演算部24は、画像処理部23の処理結果を基に、照明対象物の移動方向や移動距離などを求めることによって照明対象物の位置を演算する。この演算部24の演算結果から、照明対象物の位置を認識することができる。すなわち、撮像部22、画像処理部23、及び、演算部24は、移動する照明対象物の位置を認識する位置認識部を構成している。
【0124】
演算部24の演算結果は、制御部25に渡される。制御部25は、演算部24から渡される演算結果を受けて、照明部21からの出射光、即ち、照明光の指向性を制御する。具体的には、制御部25は、演算部24が算出した照明対象物の位置情報を基に、照明対象物に照明光が照射されるように、当該照明光の指向性を照明対象物の方向とするための制御を行う。
【0125】
制御部25による制御は、照明部21として、先述した第1の実施形態の実施例1〜実施例5に係る照明装置10A〜10Fを用いる場合には、液晶レンズの液晶層に対する電圧の印加の仕方によって照明光の指向性を変える制御となる。
【0126】
画像処理部23、演算部24及び、制御部25は、種々の回路から構成することができる。これらは、マイクロコンピュータを含む周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0127】
上述した構成の第2の実施形態に係る照明装置20によれば、人や物など照明対象物が移動する際に、当該照明対象物を追跡して照明光の指向性を変化させる自動追跡型の照明システムを構成できる。
【0128】
尚、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えており、
液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する照明装置。
(2)複数の電極と共通電極との間に印加する電圧の値の設定及び複数の電極の中からの電圧を印加すべき電極の選択の少なくとも一方によって出射光の指向性が変化する前記(1)に記載の照明装置。
(3)液晶レンズの出射光側にレンズ部品が設けられている前記(1)または前記(2)に記載の照明装置。
(4)液晶レンズの出射光側に反射体が設けられている前記(1)から前記(3)のいずれかに記載の照明装置。
(5)反射体は、角度が多段階に、または、連続的に異なる反射面を有し、液晶レンズの出射光が照射される反射面の角度に応じて出射光の出射方向を設定する前記(4)に記載の照明装置。
(6)透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置の駆動に当たって、
液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させる照明装置の駆動方法。
(7)出射光の指向性が可変な照明部、
照明対象物の位置を認識する位置認識部、及び、
位置認識部の認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する制御部を備える照明装置。
(8)照明部は、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを有し、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する前記(7)に記載の照明装置。
(9)出射光の指向性が可変な照明部を備える照明装置の駆動に当たって、
照明対象物の位置を認識し、
その位置認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する照明装置の駆動方法。
【符号の説明】
【0129】
10A,10B,10C,10D,10E,10F,20・・・照明装置、11・・・筐体、12・・・凹部、13・・・発光素子、14・・・液晶レンズ、15A,15B・・・固定レンズ、16・・・多面体鏡、16A,16B,16C・・・反射面、17・・・曲面体鏡、18A,18B・・・反射板、19・・・樹脂、21・・・照明部、22・・・撮像部、23・・・画像処理部、24・・・演算部、25・・・制御部、141,142・・・ガラス基板、143・・・封止部、144・・・液晶層、145・・・共通電極、145S・・・遮蔽電極、146・・・帯状電極、147・・・レンズ列、148・・・配向膜、149・・・スペーサ
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置及び照明装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの基板間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを用いた照明装置が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載の照明装置は、液晶層に液晶材料に加えて、透過光を拡散する拡散材料を封入し、その拡散材料の選定によって拡散効力を変えるにようしている。また、特許文献2に記載の照明装置は、液晶層を凹レンズとして機能させることにより、発光部による照射光を拡散するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−230887号公報(特に、段落番号[0036]参照)
【特許文献2】特開2010−231976号公報(特に、段落番号[0032]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1,2に記載の照明装置は、照明光(出射光)の拡散の度合いを変化させることはできるようになっている。これに対して、照明光の拡散の度合いを変化させる機能とは別に、照明光を液晶レンズのレンズ軸上外に偏らせるといった指向性を変化させる機能があると照明装置の照明性能を向上できると考えられる。
【0005】
そこで、本開示は、照明光の指向性を変化させることができる照明装置及び照明装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための、本開示の照明装置は、
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えており、
液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する照明装置である。
【0007】
あるいは又、上記目的を達成するための、本開示の照明装置の駆動方法は、
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置の駆動に当たって、
液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させる照明装置の駆動方法である。
【0008】
上記の構成の照明装置、あるいは又、照明装置の駆動方法において、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって、液晶層の位相差(リタデーション)の分布が変わる。これにより、液晶レンズの光学的形状を、中心が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズの焦点距離や出射光の方向・角度を電気的に変えることができる。
【0009】
あるいは又、上記目的を達成するための、本開示の他の照明装置は、
出射光の指向性が可変な照明部、
照明対象物の位置を認識する位置認識部、及び、
位置認識部の認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する制御部を備える照明装置である。
【0010】
あるいは又、上記目的を達成するための、本開示の他の照明装置の駆動方法は、
出射光の指向性が可変な照明部を備える照明装置の駆動に当たって、
照明対象物の位置を認識し、
その位置認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する照明装置の駆動方法である。
【0011】
上記の構成の他の照明装置、あるいは又、他の照明装置の駆動方法において、照明部からの出射光、即ち、照明部の照明光の指向性は可変である。そして、照明部の照明光の指向性が、照明対象物の位置の認識結果に基づいて変化することで、照明対象物が移動する場合、照明部の照明光はその指向性が、移動する照明対象物を追跡して変化することになる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の照明装置、あるいは又、照明装置の駆動方法によれば、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズの焦点距離や出射光の方向・角度を電気的に変えることができることにより、照明光の指向性を変化させることができるため、照明性能を向上できる。
【0013】
また、本開示の他の照明装置、あるいは又、他の照明装置の駆動方法によれば、照明光の指向性が可変な照明部を用い、当該照明部の照明光の指向性を、移動する照明対象物を追跡して変化させることにより、照明光を照明対象物に対して常に照射できるため、照明性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1の実施形態の実施例1に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図2】図2は、円形タイプの液晶レンズの場合の出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図3】図3は、レンチキュラータイプの液晶レンズの場合の出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図4】図4は、フレネルレンズ化された液晶レンズの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、液晶レンズがフレネルレンズを構成しているときの状態を模式的に示す図である。
【図6】図6は、液晶層に電圧が印加されていないときの状態を模式的に示す図である。
【図7】図7は、点光源の場合における出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図8】図8は、面光源(平行光源)の場合における出射光の指向性の変化について説明する図である。
【図9】図9は、液晶レンズのフレネルレンズ化について説明する図である。
【図10】図10は、第1の実施形態の実施例2に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図11】図11は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【図12】図12は、第1の実施形態の実施例3に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図13】図13は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【図14】図14は、液晶レンズと固定レンズとを組み合わせたときの可変角度及び透過率(効率)について説明する図である。
【図15】図15は、固定レンズの出射面の傾斜角度θ2に対する、照明光の可変角度Xの依存性(A)、及び、透過率の依存性(B)を示す図である。
【図16】図16は、第1の実施形態の実施例4に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図17】図17は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を2通りに変化させるとき(B),(C)の出射光の振る舞いを示す図である。
【図18】図18は、液晶レンズからの出射光の角度と多面体鏡の反射面での反射光の角度との関係を説明する図である。
【図19】図19は、実施例4の変形例に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図20】図20は、第1の実施形態の実施例5に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【図21】図21は、本開示の第2の実施形態の基本的なシステム構成を概略的に示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態に基づき本開示について説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の照明装置及び照明装置の駆動方法、全般に関する説明
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
【0016】
[本開示の照明装置及び照明装置の駆動方法、全般に関する説明]
本開示の照明装置に用いる液晶レンズは、液晶を利用した一種の光学素子(光学部品)であり、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置された構造となっている。
【0017】
この構造の液晶レンズにおいて、第1基板の複数の電極と、第2基板の共通電極との間に電圧を与えることで、液晶層に対して電圧を印加することができる。この液晶レンズにあっては、液晶層に印加する電圧を変えて液晶層の位相差(リタデーション)の分布を制御することによって、レンズの屈折力を変えることができる。
【0018】
第1基板の複数の電極の各々は、帯状の電極(以下、単に「帯状電極」と呼ぶ)の群から成る。帯状電極の群において、各帯状電極に印加する電圧の値の設定及び電圧を印加すべき帯状電極の選択の少なくとも一方によって、液晶レンズから出射される出射光の指向性を変化させる構成とすることができる。
【0019】
すなわち、各帯状電極に印加する電圧の値の設定によって、電圧を印加すべき帯状電極の選択によって、あるいは又、各帯状電極に印加する電圧の値の設定及び電圧を印加すべき帯状電極の選択によって、液晶レンズからの出射光の指向性を変化させる構成とすることができる。
【0020】
帯状電極の群において、各帯状電極に印加する電圧の値を適宜設定したり、あるいは又、電圧を印加すべき帯状電極を適宜選択したりすることによって、液晶層に対する電圧の印加の仕方が変わる。従って、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって、液晶層の位相差(リタデーション)の分布を制御することができるため、液晶レンズからの出射光の指向性を変化させる構成とすることができる。
【0021】
液晶層に対して継続的に直流電圧を印加すると液晶材料の劣化を招く。従って、通常の液晶パネルと同様に、共通電極と帯状電極との間に印加する電圧の極性が、例えば一定の周期で順次反転するように液晶レンズを駆動すればよい。
【0022】
第1基板や第2基板は、光に対して透明な材料から構成することができる。第1基板や第2基板を構成する材料として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ガラスを例示することができる。第1基板と第2基板は同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。
【0023】
共通電極や帯状電極は、光透過性を有する金属箔膜や、インジウムとスズの酸化物(ITO)や、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)などの透明導電材料から構成することができる。これらの電極は、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)などの周知の方法によって成膜することができる。また、帯状電極は、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せ、リフトオフ法などの周知の方法によりパターニングすることができる。
【0024】
液晶層を構成する材料として、ネマティック液晶材料などの周知の材料を用いることができる。液晶層を構成する材料は特に限定するものではない。ポジ型の液晶材料を用いた構成とすることができるし、あるいは又、ネガ型の液晶材料を用いた構成とすることもできる。
【0025】
第1基板と第2基板における液晶層側の面の少なくとも一方に、液晶分子の配向方向やプレチルト角を設定するための配向処理が施されていてもよい。配向処理は、例えばラビング処理を施した配向膜を形成するなどといった周知の方法によって行うことができる。配向膜は、ポリイミド材料などといった周知の材料を用いて構成することができる。
【0026】
液晶レンズは、光学的に、円形タイプの液晶レンズ、あるいは又、レンチキュラータイプの液晶レンズとして構成することができる。ここで、レンチキュラー(レンズ)とは、細長いかまぼこ状の凸レンズが多数配置されて成るレンズである。あるいは又、液晶レンズを、光学的に、所謂フレネルレンズとして構成することもできる。
【0027】
液晶レンズに対して光を発する(照射する)光源は特に限定するものではない。光源としては、液晶レンズに対して拡散光を入射させる点光源であってもよいし、あるいは又、液晶レンズに対して平行光を入射させる面光源(平行光源)であってもよい。
【0028】
液晶レンズの出射光側にレンズ部品を設ける構成とすることもできる。このレンズ部品は特に限定するものではない。構成の簡略化を図るといった観点からは、レンズ部品として、レンズ特性(性能)が固定の固定レンズを用いるのが好ましい。但し、レンズ部品は固定レンズに限られない。固定レンズに代えて、レンズ特性が可変な可変レンズを用いるようにすることも可能である。
【0029】
固定レンズとして、凹レンズを用いる構成とすることができる。凹レンズの凹部の形状は特に限定するものではない。凹レンズの凹部の形状は、例えば、縦断面の形状が半円形状であってもよいし、縦断面の形状が台形形状であってもよい。
【0030】
液晶レンズの出射光側に反射体を設ける構成とすることもできる。反射体は、平面鏡であってもよいが、出射光の指向性を様々に変化させるといった観点からは、反射面の角度が多段階に異なる多面体鏡であるのが好ましい。この多面体鏡の中には、反射面の角度(形状)が連続的に変わる反射体(所謂、曲面体鏡)も含まれる。反射体は、液晶レンズの出射光が照射される反射面の角度に応じて出射光の出射方向を設定する。
【0031】
液晶レンズの出射光側にレンズ部品や反射体を設けるに当たっては、各々を単独で設ける構成とすることもできるし、あるいは又、レンズ部品と反射体との組合せで設ける構成とすることもできる。
【0032】
液晶レンズを駆動する駆動回路は、種々の回路から構成することができる。これらは周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0033】
本開示の照明装置は、一般的な照明装置としての他、監視カメラ用の照明装置(光源装置)や、フラッシュ等のカメラ用の照明装置などとして用いることができる。但し、これらの用途に限られるものではない。例えば、自動車用の照明装置などとして用いることもできる。
【0034】
また、本開示の照明装置を用いて、照明対象物が移動する際に、当該照明対象物を追跡して照明光の指向性を変化させる照明装置(本開示の他の照明装置)を構成することができる。移動する照明対象物としては、人や物などを例示することができる。
【0035】
人、物などの照明対象物を追跡するに当たって、移動する照明対象物の位置を位置認識部によって認識するように構成することができる。位置認識部は、例えば、照明対象物を撮像する撮像部、当該撮像部の撮像情報に対して画像処理を施す画像処理部、及び、当該画像処理部の処理結果から照明対象物の位置を演算する演算部などを用いて構成することができる。撮像部としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどを用いた周知の撮像装置(カメラ)を用いることができる。
【0036】
照明部からの出射光の指向性を制御する制御部は、位置認識部から認識結果、即ち、演算部の演算結果が渡させることにより、当該演算部の演算結果に基づいて出射光の指向性を制御する構成とすることができる。制御部は、位置認識部の認識結果、即ち、演算部が算出した位置情報を基に、照明対象物に対して照明光を照射する(即ち、照明光の指向性を照明対象物の方向とする)ために、液晶レンズの液晶層に対する電圧の印加の仕方を制御する構成とすることができる。
【0037】
位置認識部や制御部は、種々の回路から構成することができる。これらは、マイクロコンピュータを含む周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0038】
本明細書に示す各種の条件は、厳密に成立する場合の他、実質的に成立する場合にも満たされる。設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
【0039】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態に係る照明装置は、基本的な構成要素として、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えている。そして、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって、具体的には、複数の電極に印加する電圧の値を適宜設定したり、あるいは又、複数の電極の中から電圧を印加すべき電極を適宜選択したりすることによって液晶レンズからの出射光の指向性を変化させる構成となっている。
【0040】
第1の実施形態に係る照明装置において、液晶レンズの液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶層の位相差(リタデーション)の分布が変わる。これにより、液晶レンズの光学的形状を、中心が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズの焦点距離や出射光の方向・角度を電気的に変えることができる。その結果、照明光の指向性を変化させることができるため、照明装置の照明性能を向上できる。
【0041】
以下に、第1の実施形態に係る照明装置の具体的な実施例について説明する。
【0042】
(実施例1)
図1は、第1の実施形態の実施例1に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。図1において、(A)は照明装置の断面図を、(B)は液晶レンズの断面図をそれぞれ示している。
【0043】
図1の(A)において、実施例1に係る照明装置10Aは、一端が閉塞された筒状、即ち、カップ状の筐体11を有している。筐体11の外形形状や内部形状などは特に限定するものではない。例えば、筐体11の横断面の形状は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、あるいは又、矩形であってもよい。
【0044】
筐体11の凹部12の例えは底部には、本照明装置10Aの光源である発光素子13が配置されている。発光素子13としては、LED、EL、電球などの周知の光源を用いることができる。発光素子13は、拡散光を発する点光源であってもよいし、あるいは又、平行光を発する面光源(平行光源)であってもよい。発光素子13が発する光の有効利用を図るといった観点からは、筐体11の凹部12の少なくとも底面が反射面であることが好ましい。
【0045】
筐体11の例えば開口部には、液晶レンズ14が配されている。ここでは、液晶レンズ14を筐体11の開口部に配するとしているが、液晶レンズ14の配置位置は特に限定するものではない。すなわち、液晶レンズ14を筐体11の凹部12内の任意の場所に配置するようにしてもよい。液晶レンズ14は、第1,第2透明基板と、これら2つの透明基板間に封入された液晶材料から成る液晶層とを有し、液晶層間に印加する電圧に応じてレンズ性能(特性)が可変な構成となっている。
【0046】
具体的には、図1の(B)に示すように、液晶レンズ14は、2つの透明基板である例えばガラス基板141,142と、これらガラス基板141,142間に液晶材料が封止部143によって封止されて成る液晶層144とを有している。2つのガラス基板141,142は、無反射コーティングされている。液晶層144は、例えば、ホモジニアス分子配列のネマティック液晶から成る。
【0047】
2つのガラス基板141,142の内面には、例えば、スズを添加した酸化インジウムのITOといった金属酸化物から成る膜の透明電極が形成されている。具体的には、2つのガラス基板141,142の一方の内面には、電気的な接地面を形成するための透明な共通電極145がガラス基板全面に亘って形成されている。また、2つのガラス基板141,142の他方の内面には、液晶層144に対して必要な電界分布を与えるための透明な帯状電極146が形成されている。
【0048】
上記の構成の液晶レンズ14において、液晶層144を挟む上下の透明電極(共通電極/帯状電極)145,146間に電圧を印加すると、複屈折率(即ち、液晶分子の長軸と短軸の屈折率差)を持つネマティック液晶が電場に沿って傾く。つまり、液晶分子(長軸の向き)と平行な方向の直線偏光をもった光にとって、液晶層144は電圧の分布に応じて局所的に異なった屈折率の分布をもった媒質と等価となる。従って、液晶層144を通過した光の波面には、液晶の印加電圧の面内分布に応じた空間的な波面変調、あるいは、位相変調が加わることになる。
【0049】
液晶レンズ14において、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えると、具体的には、帯状電極146に印加する電圧の値を適宜設定したり、あるいは又、電圧を印加すべき帯状電極146を適宜選択したりすると、液晶層144の位相差(リタデーション)の分布が変わる。従って、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えることにより、液晶レンズ14の焦点距離や、液晶レンズ14からの出射光の指向性(光の角度・方向)を電気的に制御できる。
【0050】
液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズ14からの出射光の指向性が変わることについて、円形タイプの液晶レンズ14の場合と、レンチキュラータイプの液晶レンズ14の場合について説明する。
【0051】
円形タイプの液晶レンズ14の場合、通常、図2の(A)に示すように、位相差分布が2次曲線を示す。そして、例えば点光源の発光素子13から発せられた光は、液晶レンズ14を通過することによって平行光となる。一方、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えることで、図2の(B)に示すように、2次曲線のピークが一方側に偏った位相差分布となる。これにより、液晶レンズ14の光学的形状を、レンズ中心部が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズ14から出射される光の方向、即ち、出射光の指向性を変化させることができる。
【0052】
レンチキュラータイプの液晶レンズ14の場合も、通常、図3の(A)に示すように、位相差分布が2次曲線を示す。そして、例えば点光源の発光素子13から発せられた光は、液晶レンズ14を通過することによって平行光となる。一方、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を変えることで、図3の(B)に示すように、2次曲線のピークが一方側に偏った位相差分布となる。これにより、液晶レンズ14の光学的形状を、レンズ中心部が歪んだ形に形成できるため、液晶レンズ14から出射される光の方向、即ち、出射光の指向性を変化させることができる。
【0053】
円形タイプの液晶レンズ14の場合にも、レンチキュラータイプの液晶レンズ14の場合にも、液晶層144に対する電圧の印加の仕方を、図2/図4の(B)の場合と逆にすることで、2次曲線のピークが他方側に偏った位相差分布となる。
【0054】
このように、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズ14からの出射光、即ち、実施例1に係る照明装置10Aの照明光の指向性を変えることができ、結果として、当該照明装置10Aの照明性能を向上できる。
【0055】
ところで、通常の光学レンズと同様に、液晶レンズにおいても、液晶層の位相差(リタデーション)の分布を所定の領域毎に変化させて鋸歯状の分布とすることにより、所謂フレネルレンズとすることができる。液晶レンズをフレネルレンズの構成とすれば、液晶層の厚さ(セルギャップ)を薄く設定でき、また、応答速度も速くなる。
【0056】
帯状電極146は、一方向に伸びる直線状に形成されている構成とすることができる。この場合には、帯状電極146の群の配置や各帯状電極146に印加する電圧の値の設定によるが、液晶レンズ14は、直線状のフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)として動作する。あるいは又、帯状電極146は、環状(例えば、同心円状)に形成されている構成とすることができる。この場合には、液晶レンズ14は、通常の(環状の)フレネルレンズとして動作する。
【0057】
図4は、フレネルレンズ化された液晶レンズ14の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【0058】
図4に示すように、液晶レンズ14は、2つのガラス基板141,142間に封止部143によって液晶材料を封止した構成となっている。そして、本例に係る液晶レンズ14にあっては、第1の方向に延びるレンズ列147が、第1の方向とは異なる第2の方向にP個並んで配列されている。第p列目(但し、p=1,2,・・・,P)のレンズ列147をレンズ列147pと表わす。
【0059】
後述するように、各レンズ列147は、液晶層のリタデーション分布を領域毎に変化させて構成したフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)から成る。説明の都合上、液晶レンズ14のレンズ群が成す面はX−Z平面と平行であり、レンズ列147は、垂直方向(図においてZ方向)に延び、水平方向(図においてX方向)に並んで配列されているとする。また、液晶レンズ14から光が出射する方向が+Y方向であるとする。
【0060】
図5は、液晶レンズ14がフレネルレンズを構成しているときの状態を模式的に示す図である。
【0061】
図5に示すように、液晶レンズ14において、2つのガラス基板141,142の一方(例えば、ガラス基板141)には、透明な共通電極145が備えられている。また、2つのガラス基板141,142の他方(例えば、ガラス基板142)には、所定の領域AL(ALL3,ALL2,ALL1,ALC,ALR1,ALR2,ALR3)毎に群を構成するように、透明な複数の帯状電極146A,146B,146C,146Dが備えられている。
【0062】
尚、帯状電極146A,146B,146C,146Dを区別する必要がない場合に、これらを単に帯状電極146と表わす場合がある。領域ALなどの他の構成要素においても同様である。
【0063】
共通電極145と帯状電極146は、それぞれ、ガラス基板141とガラス基板142の液晶層144側の面(内面)に形成されている。共通電極145と帯状電極146は、例えばITOといった透明導電材料から構成されており、周知の成膜技術により形成されている。帯状電極146は、周知のパターニング技術によって所定のストライプ形状に形成されている。
【0064】
液晶レンズ14は、例えばポリイミドから成る配向膜148を更に含んでいる。配向膜148は、帯状電極146を含むガラス基板142の内面を覆うように全面に亘って形成されている。配向膜148の表面にはZ方向にラビング処理が施されている。配向膜148によって、共通電極145と帯状電極146との間に電位差がない場合における液晶分子144Aの分子軸(長軸)の方向が規定される。液晶層144は、ポジ型のネマティック液晶材料から成る。
【0065】
そして、2つのガラス基板141,142間において、所定の領域ALの境界に対応する部位には、壁状のスペーサ149が設けられている。スペーサ149は、透明な高分子材料から成り、感光性を有するスペーサ形成用材料層の感光及び現像によって形成されている。各スペーサ149の2つの壁面のうち少なくとも一方(図5に示す例では双方)には、一定値の電圧が印加される遮蔽電極145Sが設けられている。スペーサ149は、ガラス基板141の内面に形成されている。遮蔽電極145Sは、共通電極145と一体の電極として形成されている。
【0066】
液晶レンズ14の動作時にあっては、図示せぬ駆動回路の動作に基づいて、共通電極145及び遮蔽電極145Sには、同じ一定値(例えば、0[ボルト])の電圧が印加される。また、複数の帯状電極146A,146B,146C,146Dのそれぞれには、独立した電圧が印加される。
【0067】
各領域ALにおける帯状電極146の配置、及び、スペーサ149の配置について更に詳しく説明する。
【0068】
帯状電極146は、一方向(図においてZ方向)に伸びる直線状に形成されている。そして、図5に示すように、レンズ列147の中央に位置する領域ALCにあっては、帯状電極146は、左端部(領域ALL1側の端部)から右端部(領域ALR1側の端部)に向かって、帯状電極146D,146C,146B,146A,146B,146C,146Dの順番で配置されている。
【0069】
レンズ列147の左側に位置する領域ALL1,ALL2,ALL3にあっては、帯状電極146は、各領域においてその左端部から右端部に向かって、帯状電極146D,146C,146B,146Aの順番で配置されている。一方、レンズ列147の右側に位置する領域ALR1,ALR2,ALR3にあっては、帯状電極146は、各領域においてその右端部から左端部に向かって、帯状電極146D,146C,146B,146Aの順番で配置されている。尚、説明の都合上、領域ALC以外の領域においては、符号146B,146Cの表示を省略している。
【0070】
スペーサ149は、領域ALL3と領域ALL2との境界に対応する部位、領域ALL2と領域ALL1との境界に対応する部位、領域ALL1と領域ALCとの境界に対応する部位、領域ALCと領域ALR1との境界に対応する部位、領域ALR1と領域ALR2との境界に対応する部位、及び、領域ALR2と領域ALR3との境界に対応する部位に形成されている。尚、スペーサ149も、一方向(図においてZ方向)に伸びる直線状に形成されている。
【0071】
以上、各領域ALにおける帯状電極146の配置、及び、スペーサ149の配置について説明した。そして、図5に示すように、レンズ列147の中心を通り、Y方向に延びる仮想直線に対して、帯状電極146やスペーサ149は線対称の関係となるように配置されている。
【0072】
次いで、図5と図6を参照して、液晶レンズ14の動作について説明する。尚、液晶レンズ14には、図示せぬ偏光フィルムなどによって偏光方向がZ方向とされた光が入射するとする。
【0073】
先述したように、図5は、液晶レンズ14がフレネルレンズを構成しているときの状態を模式的に示す図である。
【0074】
この状態において、共通電極145及び遮蔽電極145Sには0[ボルト]の電圧が印加されている。また、帯状電極146A,146B,146C,146Dには、図示せぬ給電線を介して0[ボルト],1[ボルト],2[ボルト],3[ボルト]といった電圧がそれぞれ印加されている。尚、実際には、液晶層144を交流駆動するために、帯状電極146に印加される電圧の極性は例えば所定の周期で切り換えられる。説明の都合上、電圧の極性の反転は考慮しないで説明を行う。
【0075】
帯状電極146Dと共通電極145との間の電圧は3[ボルト]である。従って、帯状電極146Dと共通電極145との間に当該電圧に応じた電界が形成され、液晶分子144Aの長軸はY方向を向く。また、帯状電極146Cと共通電極145との間の電圧は2[ボルト]である。従って、帯状電極146Cと共通電極145との間には、先ほどよりも弱い電界が形成される。このとき、液晶分子144Aの長軸はY方向を向くが、その程度は若干弱い。
【0076】
同様に、帯状電極146Bと共通電極145との間の電圧は1[ボルト]である。従って、帯状電極146Bと共通電極145との間にも電界が形成され、液晶分子144Aの長軸はY方向を向くが、その程度は更に弱くなる。一方、帯状電極146Aと共通電極145との間の電圧は0[ボルト]である。従って、帯状電極146Aと共通電極145との間には電界が形成されず、液晶分子144Aの長軸はZ方向のままとなる。
【0077】
液晶分子144Aの長軸方向の屈折率は、短軸方向の屈折率よりも大きい。このため、偏光軸がZ方向である光に対しての液晶層144におけるリタデーション(位相差)の分布は、帯状電極146Aに対応する部分が大きく、帯状電極146Dに向かうほど小さくなるといった変化を示す。図4に示すグラフは、リタデーションの分布を模式的に示したものである。他の図面におけるグラフについても同様である。
【0078】
上述したように、レンズ列147の中心を通り、Y方向に延びる仮想直線に対して、帯状電極146は線対称の関係となるように配置されている。結果として、領域ALL3乃至ALR3におけるリタデーションの分布は、レンズ列147の中心を通り、Y方向に延びる仮想直線に対して対称な鋸歯状の分布となる。光学的には、液晶層144は鋸歯状の断面を持つフレネルレンズと同視することができる。
【0079】
このように、本例に係る液晶レンズ14は、共通電極145と帯状電極146との間に印加される電圧によって所定の領域毎にリタデーションの分布が制御されるフレネルレンズとして動作する。より具体的には、レンズ列147はZ方向に延びる直線状のフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)として動作する。
【0080】
続いて、共通電極145と帯状電極146との間に電圧が印加されていないときの動作について、図6を用いて説明する。図6は、液晶層に電圧が印加されていないときの状態を模式的に示す図である。
【0081】
この状態において、共通電極145及び遮蔽電極145Sには0[ボルト]の電圧が印加され、また、帯状電極146A,146B,146C,146Dの全てに0[ボルト]の電圧が印加されている。従って、共通電極145と帯状電極146A,146B,146C,146Dとの間には電界が形成されないため、液晶分子144Aの長軸はZ方向のままとなる。
【0082】
このため、領域ALL3乃至領域ALR3におけるリタデーションの分布は一様となる。光学的には、液晶層144は単なる透明層として作用する。
【0083】
尚、以上では、帯状電極146を一方向に伸びる直線状に形成した構成とすることで、液晶レンズ14を直線状のフレネルレンズ(リニアフレネルレンズ)として動作させる場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。すなわち、帯状電極146を環状(例えば、同心円状)に形成した構成とすることで、液晶レンズ14を通常の(環状の)フレネルレンズとして動作させることも可能である。
【0084】
上述した、直線状のフレネルレンズとして、あるいは又、同心円状のフレネルレンズとして動作する液晶レンズ14を備える実施例1に係る照明装置10Aにおいて、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズ14からの出射光の指向性を変化させることができる。
【0085】
具体的には、発光素子13が液晶レンズ14に拡散光を入射させる点光源の場合、例えば、同心円状のフレネルレンズとして動作する液晶レンズ14を用いるものとする。この場合、図7の(A)に示すように、入射光が光軸に平行な平行光として出射されるのに対して、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって、図7の(B)に示すように、出射光の指向性を変化させることができる。
【0086】
一方、発光素子13が平行光を発する面光源(平行光源)の場合、例えば、直線状のフレネルレンズとして動作する液晶レンズ14を用いるものとする。この場合、図8の(A)に示すように、入射する平行光がそのまま光軸に平行な平行光として出射されるのに対して、液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって、図8の(B)に示すように、出射光の指向性を変化させることができる。
【0087】
このように、液晶レンズ14からの出射光、即ち、実施例1に係る照明装置10Aの照明光の指向性を変化させることができることで、当該照明装置10Aの照明性能を向上できる。
【0088】
次いで、液晶レンズのフレネルレンズ化について説明する。ここでは、入射光の波長が550[nm]、焦点距離が30[mm]、レンズ径が5[mm]の条件の下に、図9の(A)に示す2次曲線の位相差分布を持つ液晶レンズを、同心円状のフレネルレンズとする場合について説明する。このときの液晶レンズのセルギャップが550[μm]、実効複屈折率Δnが0.2とする。
【0089】
図9の(B)に、液晶レンズをフレネルレンズ化したときのレンズ径[μm]とセルギャップ[μm]との関係を示す。この図から明らかなように、フレネルレンズ化することで、セルギャップ、即ち、液晶層の厚さをレンズ中心から外周部に亘ってほぼ均一にすることができる。しかも、液晶レンズをフレネルレンズ化することで、セルギャップを、フレネルレンズ化する前のセルギャップ(550[μm])に比べて、1/10以下(50[μm])程度まで薄くすることができる。
【0090】
(実施例2)
図10は、第1の実施形態の実施例2に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0091】
図10に示すように、実施例2に係る照明装置10Bは、液晶レンズ14とレンズ部品との組合せから成る構成となっている。レンズ部品としては、例えば、固定レンズ15Aを用いる。固定レンズ15Aは、例えば、凹レンズであり、その凹部が出射側になるように液晶レンズ14の出射光側に配置されている。固定レンズ15Aは、凹部の縦断面の形状が半円形状、即ち、出射面が半球面となっている。
【0092】
図11は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【0093】
図11の(A)に示すように、指向性を変化させないときは、液晶レンズ14を通過した平行光は、固定レンズ15Aで拡散されて出射される。図11の(B)に示すように、指向性を変化させるときは、液晶レンズ14を通過する際に指向性が変えられ、その状態で固定レンズ15Aに入射する。そして、固定レンズ15Aの凹部から出射する際に、半球面の出射面で拡散され、更に指向性が変えられる。
【0094】
このように、液晶レンズ14と固定レンズ15Aとを組み合わせた構成の実施例2に係る照明装置10Bによれば、実施例1に係る照明装置10Aに比較して、出射光の指向性の可変角度を大きくすることできるため、当該照明装置10Bの照明性能をより向上できる。
【0095】
(実施例3)
図12は、第1の実施形態の実施例3に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0096】
実施例3に係る照明装置10Cは、実施例2に係る照明装置10Bと同様に、液晶レンズ14と固定レンズとの組合せから成る構成となっており、異なるのは、固定レンズ15Bの形状の点である。すなわち、固定レンズ15Bは、凹部の縦断面の形状が台形形状となっている。
【0097】
図13は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を変化させるとき(B)の出射光の振る舞いを示す図である。
【0098】
図13の(A)に示すように、指向性を変化させないときは、液晶レンズ14を通過した平行光は、固定レンズ15Bの縦断面が台形の凹部の頂面が平面であることで、そのまま平行光として出射される。図13の(B)に示すように、指向性を変化させるときは、液晶レンズ14を通過する際に指向性が変えられ、その状態で固定レンズ15Bに入射する。そして、固定レンズ15Bの凹部から出射する際に、傾斜面の出射面で更に指向性が変えられる。
【0099】
このように、液晶レンズ14と固定レンズ15Bとを組み合わせた構成の実施例3に係る照明装置10Cによれば、実施例2に係る照明装置10Bと同様に、出射光の指向性の可変角度を大きくすることできる。但し、固定レンズ15Bの凹部の出射面が平面及び傾斜面であるため、出射面が曲面である、実施例2に係る照明装置10Bの場合のような拡散効果を得ることはできない。
【0100】
ここで、図14を用いて、液晶レンズ14と固定レンズ15Bとを組み合わせたときの可変角度及び透過率(効率)について考察する。
【0101】
図14において、液晶レンズ14の出射角をθ1とし、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度をθ2とする。ここでは、液晶レンズ14から出射される光の角度、即ち、液晶レンズ14の出射角θ1を例えば5度とする。固定レンズ15Bからの出射光、即ち、照明装置10Cの照明光の可変角度Xは、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度θ2に依存する。
【0102】
図15は、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度θ2に対する、照明光の可変角度Xの依存性(A)、及び、透過率(効率)の依存性(B)を示す図である。
【0103】
図15の(A)から明らかなように、θ1=5度のとき、固定レンズ15Bの出射面の傾斜角度θ2を例えば20度に設定すると、照明装置10Cの照明光の可変角度Xは20度となる。そして、図15の(B)から明らかなように、可変角度Xが20度のときの透過率(効率)は約90[%]となる。尚、図15の(B)において、T0sはs波の透過率を表わし、T0pはp波の透過率を表わし、T0はs波、p波の合計の特性を表わしている。
【0104】
(実施例4)
図16は、第1の実施形態の実施例4に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0105】
図16に示すように、実施例4に係る照明装置10Dは、液晶レンズ14と反射体との組合せから成る構成となっている。反射体は、その反射面が筐体11の開口部側を向くように、液晶レンズ14の出射面側に設けられる。本例では、反射体として、反射面の角度が多段階に異なる多面体鏡16を用いている。本例に係る多面体鏡16は、例えば、角度が3段階に異なる3つの反射面16A,16B,16Cを有している。
【0106】
図17は、指向性を変化させないとき(A)と、指向性を2通りに変化させるとき(B),(C)の出射光の振る舞いを示す図である。
【0107】
図17の(A)に示すように、指向性を変化させないときは、液晶レンズ14は通常のレンズの状態、即ち、位相差分布の2次曲線のピークがレンズ中心となる状態にある。このとき、液晶レンズ14から出射される平行光は、多面体鏡16の真ん中の反射面16Aに入射し、当該反射面16Aで反射されて筐体11の外部に照明装置10Dの照明光として出射される。
【0108】
一方、液晶レンズ14を位相差分布の2次曲線のピークがレンズ中心から一方側に偏った状態にすると、図17の(B)に示すように、液晶レンズ14からの出射光の指向性が一方側に変化する。これにより、液晶レンズ14から出射される平行光は、多面体鏡16の反射面16Bに入射し、当該反射面16Bで反射されて筐体11の外部に照明装置10Dの照明光として出射される。
【0109】
また、液晶レンズ14を位相差分布の2次曲線のピークがレンズ中心から他方側に偏った状態にすると、図17の(C)に示すように、液晶レンズ14からの出射光の指向性が他方側に変化する。これにより、液晶レンズ14から出射される平行光は、多面体鏡16の反射面16Cに入射し、当該反射面16Cで反射されて筐体11の外部に照明装置10Dの照明光として出射される。
【0110】
このように、液晶レンズ14と反射体とを組み合わせた、所謂反射型の構成の実施例4に係る照明装置10Dによれば、反射体の作用によって出射光の指向性の可変角度を大きく設定することできるため、当該照明装置10Dの照明性能をより向上できる。
【0111】
具体的には、液晶レンズ14を透過した光を照明光とする透過型の照明装置では、液晶レンズ14の指向性の可変範囲内でしか照明光の指向性を変えることができない。これに対して、図18に示すように、液晶レンズ14の可変角度をΔθ、例えば多面体鏡16の反射面16Cの傾斜角度をαとすると、多面体鏡16を用いた反射型の照明装置10Dでは、反射面16Cでの反射光の角度はΔθ+2αとなり、照明光の指向性の可変角度を透過型に比べて大きく設定することできる。
【0112】
尚、本実施例4では、液晶レンズ14との組合せで用いる反射体として、反射面の角度が多段階に異なる多面体鏡16を用いるとしたが、図19に示すように、反射面の角度(形状)が連続的に変わる所謂曲面体鏡17を用いる構成の照明装置(変形例に係る照明装置10E)とすることもできる。
【0113】
また、本実施例4では、液晶レンズ14と反射体との組合せから成る構成としたが、実施例2や実施例3との組合せ、即ち、液晶レンズ14とレンズ部品と反射体との組合せから成る構成とすることもできる。この場合、レンズ部品は、液晶レンズ14と反射体との間に配置するのが好ましい。これによれば、先述した、指向性を変化させないときと、指向性を2通りに変化させるときのそれぞれに対応してレンズ部品を設ける構成としなくても、1つのレンズ部品で対応できる構成とすることができる。
【0114】
(実施例5)
図20は、第1の実施形態の実施例5に係る照明装置の構成の概略を示す断面図である。
【0115】
図20に示すように、実施例5に係る照明装置10Fは、実施例4に係る照明装置10Dと同様に、液晶レンズ14と反射体との組合せから成る構成となっている。但し、実施例4に係る照明装置10Dでは、反射体として多面体鏡16を用いているのに対して、実施例5に係る照明装置10Fでは、反射体として2枚の反射板18A,18Bを用いている点で相違する。
【0116】
2枚の反射板18A,18Bは、光源である発光素子13及び液晶レンズ14と共に筐体11内に設けられる。筐体11の内部には、例えば樹脂18が充填される。樹脂18が充填された筐体11の出射部は、例えば、凹形状に形成されている。筐体11の出射部は、必ずしも、凹形状である必要はなく、フラットな形状であってもよい。
【0117】
このように、反射体として2枚の反射板18A,18Bを用い、液晶レンズ14との組合せから成る、実施例5に係る照明装置10Fにあっても、実施例1乃至4と同様に、液晶レンズ14の液晶層144に対する電圧の印加の仕方によって照明光の指向性を変化させることができる。
【0118】
また、筐体11の出射部が凹形状となっていることで、実施例3に係る照明装置10Cで用いた凹レンズの固定レンズ15Bと同様の作用効果を得ることができる。すなわち、図20に一点鎖線で光の振る舞いを示すように、照明装置10Cから出射光、即ち、照明光の指向性の可変角度を大きく設定することできる。
【0119】
[第2の実施形態]
図21は、本開示の第2の実施形態の基本的なシステム構成を概略的に示すシステム構成図である。
【0120】
第2の実施形態に係る照明装置(システム)20は、人や物など照明対象物が移動する際に、当該照明対象物を追跡して照明光の指向性を変化させる、所謂自動追跡型の照明システムの構成となっている。
【0121】
照明装置20は、照明対象物を照明する照明光の指向性が可変な照明部21を備えている。照明部21としては、照明光の指向性が可変なものであればよく、例えば、先述した第1の実施形態の実施例1〜実施例5に係る照明装置10A〜10Fを用いることができる。
【0122】
照明装置20は更に、人や物など照明対象物を撮像する撮像部22を備える。撮像部22としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどを用いた周知の撮像装置(カメラ)を用いることができる。撮像部22の撮像情報は、画像処理部23に渡される。画像処理部23は、撮像部22から与えられる撮像情報に対して、周知の種々の画像処理を施す。
【0123】
画像処理部23の処理結果は、演算部24に渡される。演算部24は、画像処理部23の処理結果を基に、照明対象物の移動方向や移動距離などを求めることによって照明対象物の位置を演算する。この演算部24の演算結果から、照明対象物の位置を認識することができる。すなわち、撮像部22、画像処理部23、及び、演算部24は、移動する照明対象物の位置を認識する位置認識部を構成している。
【0124】
演算部24の演算結果は、制御部25に渡される。制御部25は、演算部24から渡される演算結果を受けて、照明部21からの出射光、即ち、照明光の指向性を制御する。具体的には、制御部25は、演算部24が算出した照明対象物の位置情報を基に、照明対象物に照明光が照射されるように、当該照明光の指向性を照明対象物の方向とするための制御を行う。
【0125】
制御部25による制御は、照明部21として、先述した第1の実施形態の実施例1〜実施例5に係る照明装置10A〜10Fを用いる場合には、液晶レンズの液晶層に対する電圧の印加の仕方によって照明光の指向性を変える制御となる。
【0126】
画像処理部23、演算部24及び、制御部25は、種々の回路から構成することができる。これらは、マイクロコンピュータを含む周知の回路素子などを用いて構成することができる。
【0127】
上述した構成の第2の実施形態に係る照明装置20によれば、人や物など照明対象物が移動する際に、当該照明対象物を追跡して照明光の指向性を変化させる自動追跡型の照明システムを構成できる。
【0128】
尚、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えており、
液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する照明装置。
(2)複数の電極と共通電極との間に印加する電圧の値の設定及び複数の電極の中からの電圧を印加すべき電極の選択の少なくとも一方によって出射光の指向性が変化する前記(1)に記載の照明装置。
(3)液晶レンズの出射光側にレンズ部品が設けられている前記(1)または前記(2)に記載の照明装置。
(4)液晶レンズの出射光側に反射体が設けられている前記(1)から前記(3)のいずれかに記載の照明装置。
(5)反射体は、角度が多段階に、または、連続的に異なる反射面を有し、液晶レンズの出射光が照射される反射面の角度に応じて出射光の出射方向を設定する前記(4)に記載の照明装置。
(6)透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置の駆動に当たって、
液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させる照明装置の駆動方法。
(7)出射光の指向性が可変な照明部、
照明対象物の位置を認識する位置認識部、及び、
位置認識部の認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する制御部を備える照明装置。
(8)照明部は、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを有し、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する前記(7)に記載の照明装置。
(9)出射光の指向性が可変な照明部を備える照明装置の駆動に当たって、
照明対象物の位置を認識し、
その位置認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する照明装置の駆動方法。
【符号の説明】
【0129】
10A,10B,10C,10D,10E,10F,20・・・照明装置、11・・・筐体、12・・・凹部、13・・・発光素子、14・・・液晶レンズ、15A,15B・・・固定レンズ、16・・・多面体鏡、16A,16B,16C・・・反射面、17・・・曲面体鏡、18A,18B・・・反射板、19・・・樹脂、21・・・照明部、22・・・撮像部、23・・・画像処理部、24・・・演算部、25・・・制御部、141,142・・・ガラス基板、143・・・封止部、144・・・液晶層、145・・・共通電極、145S・・・遮蔽電極、146・・・帯状電極、147・・・レンズ列、148・・・配向膜、149・・・スペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えており、
液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する照明装置。
【請求項2】
複数の電極と共通電極との間に印加する電圧の値の設定及び複数の電極の中からの電圧を印加すべき電極の選択の少なくとも一方によって出射光の指向性が変化する請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
液晶レンズの出射光側にレンズ部品が設けられている請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
液晶レンズの出射光側に反射体が設けられている請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
反射体は、角度が多段階に、または、連続的に異なる反射面を有し、液晶レンズの出射光が照射される反射面の角度に応じて出射光の出射方向を設定する請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置の駆動に当たって、
液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させる照明装置の駆動方法。
【請求項7】
出射光の指向性が可変な照明部、
照明対象物の位置を認識する位置認識部、及び、
位置認識部の認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する制御部を備える照明装置。
【請求項8】
照明部は、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを有し、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
出射光の指向性が可変な照明部を備える照明装置の駆動に当たって、
照明対象物の位置を認識し、
その位置認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する照明装置の駆動方法。
【請求項1】
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備えており、
液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する照明装置。
【請求項2】
複数の電極と共通電極との間に印加する電圧の値の設定及び複数の電極の中からの電圧を印加すべき電極の選択の少なくとも一方によって出射光の指向性が変化する請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
液晶レンズの出射光側にレンズ部品が設けられている請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
液晶レンズの出射光側に反射体が設けられている請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
反射体は、角度が多段階に、または、連続的に異なる反射面を有し、液晶レンズの出射光が照射される反射面の角度に応じて出射光の出射方向を設定する請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを備える照明装置の駆動に当たって、
液晶レンズからの出射光の指向性を、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって変化させる照明装置の駆動方法。
【請求項7】
出射光の指向性が可変な照明部、
照明対象物の位置を認識する位置認識部、及び、
位置認識部の認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する制御部を備える照明装置。
【請求項8】
照明部は、透明な複数の電極を備える第1基板と、透明な共通電極を備える第2基板との間に液晶層が配置されて成る液晶レンズを有し、液晶層に対する電圧の印加の仕方によって液晶レンズからの出射光の指向性が変化する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
出射光の指向性が可変な照明部を備える照明装置の駆動に当たって、
照明対象物の位置を認識し、
その位置認識結果に基づいて照明部からの出射光の指向性を制御する照明装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−73715(P2013−73715A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210415(P2011−210415)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】
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