説明

照明装置

【課題】発光面に輝度ムラが生じても観る者が輝度ムラとして認識しにくい照明装置を提供する。
【解決手段】ガラス基板11における暗部領域に対応してガラス基板11に減光層14を設けたので、ガラス基板11を通して出射される光に対して観る者はELの輝度ムラを感じずに発光領域の輝度が均一であるかのように感じる。そして、周部において意図的に輝度が低下されていると感じ、古くなって周部が黒くなったとは感じないので、悪い印象を与えるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に係り、例えば、EL(Electro Luminescence)による面状発光体を用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、EL(Electro Luminescence)素子等の面状発光体を光源とする照明装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
EL素子を用いた面状発光体は、ガラス基板に透明電極、発光層、金属電極が積層されており、金属電極および透明電極に電圧を印加することにより発光層において生じた光が、ガラス基板を通して出射される。このような面状発光体を用いた照明装置では、ガラス基板の略全域が発光領域となる。
【特許文献1】特開2005−158369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、EL素子を用いた照明装置は、大面積化に伴って透明電極の抵抗値が増大するため、発光領域の中央部と比較して、暗い暗部領域が角部や周部に生じやすい傾向がある。
このような照明装置は、観る者に対して発光面に輝度ムラを感じさせて印象が悪くなる可能性があるという不都合があった。
【0004】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光面に輝度ムラが生じても観る者が輝度ムラとして認識しにくい照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明は、ガラス基板および発光層が積層された面状発光体を備え、前記発光層の光が前記ガラス基板から出射される照明装置であって、前記ガラス基板の表面に設けられた減光層を有し、前記減光層が、前記ガラス基板における暗部領域に対応して設けられている。
【0006】
このように構成された照明装置においては、ガラス基板の周部における暗部領域に対応してガラス基板に減光層を設けたので、ガラス基板を通して出射される光に対して観る者はELの輝度ムラを感じずに発光領域の輝度が均一であるかのように感じる。
そして、周部は意図的に輝度が低下されていると感じ、悪い印象を与えるのを防止することができる。ここで、減光層とは輝度を減少させる部分であり、減光層全体として発光領域における暗部領域以外(中央部)よりも減光されていればよい。
なお、減光層としては、光透過性の有無や色は不問であり、円形や角形の多数の点、並行ライン、メッシュ等を設けることにより減光率を変化させることができるものである。
【0007】
また、本発明は、前記発光面の周部に向かって減光率が高くなっている。
【0008】
このように構成された照明装置においては、周部の暗部領域の暗部程度が均一ではないので、発光面の周部に向かって減光率を高めることにより、自然な形で減光することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガラス基板の周部における暗部領域に対応してガラス基板に減光層を設けたので、ガラス基板を通して出射される光に対して観る者はELの輝度ムラを感じずに発光領域の輝度が均一であるかのように感じる。
そして、周部は意図的に輝度が低下されていると感じ、悪い印象を与えるのを防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の照明装置の使用例を示す斜視図、図2は本発明に係る第1実施形態を示す斜視図、図3は照明装置の断面図、図4照明装置減光層の拡大平面図、図5(A)は減光層の配置を示す照明装置の正面図、図5(B)は照明装置の発光の状態を示す斜視図である。
【0011】
(第1実施形態)
図2に示すように、本発明の第1実施形態である照明装置10Aは、ガラス基板11および発光層12が積層された面状発光体13を備え、発光層12の光がガラス基板11から出射されるようになっている。
ガラス基板11は、表面に設けられた減光層14を有しており、減光層14が、ガラス基板11の周部における暗部領域15に対応して設けられている。
【0012】
図3に示すように、面状発光体13はEL素子が用いられており、ガラス基板11、透明電極16、発光層12、金属電極17を積層して形成されている。
従って、透明電極16と金属電極17に電圧を印加して発光層を発光させ、ガラス基板11を通って光を出射するようになっている。この面状発光体13は、一面が開口された矩形箱状の枠体18に収容されており、発光面であるガラス基板11を開口側(図3においては上方)に向けている。
これにより、ガラス基板11側に光を出射する照明装置10A形成している。
【0013】
発光面を構成するガラス基板11の周部には、暗部領域15に応じて減光層14が設けられている。
図4に示すように、減光層14は透過性を有するものであり、ガラス基板11の表面に多数の円形や多角形等の点14aを印刷、塗装、シールの貼り付け等で形成することができる。
減光層14全体としては、発光領域における暗部領域15以外(中央部)よりも減光されるようになっている。
【0014】
減光層14における減光率は、図4に示すように、点14aの直径を変化させることにより、点14a部分の面積と、隙間の面積との比率を変化させることにより調整することができる。この場合には、周部に行くほど直径を大きくすることにより減光率を上げることができる。
【0015】
あるいは、図示はしないが、点14aの直径を一定として、点14aの密度を変えることにより調整することができる。この場合には、周部に行くほど密集するように配置することにより減光率を上げることができる。
また、点14aの着色濃度を変化させて減光率を調整することもできる。すなわち、周部に向かうほど着色濃度を濃くすることによりグラデーションを設けることができる。
【0016】
さらに、減光層14が塗装等によって形成されているため、例えばサンドブラスト等の機械的手段によりガラス基板11の表面に凹凸を形成して減光層を形成した場合に比較して、減光率の調整が容易である。
すなわち、サンドブラスト等による場合には、ガラス基板11の表面に形成した凹凸に粉塵等が溜まることによって必要以上に暗くなったり、汚れて外観性の低下等が生じたりするおそれがあるが、このような不都合が生じるのを回避することができる。
【0017】
図5(A)に示すように、減光層14は矩形のガラス基板11の周部に全周にわたって設けられており、周部に向かうにしたがって減光率が高くなっている。中央部には減光層14は設けられていない。
このため、中央から周部に向かうにしたがって次第に暗くなり、枠体18と発光面との間に明らかな明暗差としてクッキリ生じた境界を曖昧にすることができるので、暗部程度が均一ではない暗部領域15(周部)の減光率を高めることにより、自然な形で減光することができる。
【0018】
図1には、前述した照明装置10Aの使用例が示されている。例えば、学園地区に設けられているペデストリアン(歩行者・自転車用道路)や、近年、駅前によく設けられている歩道橋やペデストリアン・デッキ等の公共屋外空間に設けることができる。
【0019】
この照明装置10Aを例えば歩道に沿って連続あるいは一定の間隔をおいて設置し、例えば、右側の列(図1において下側)の照明装置10Aは右方向(図1において右方向)に向かって点滅させ、左側の列の照明装置10Aは左に向かって点滅させることにより、歩行者を導くことができる。
あるいは、広場において所定の形状に配置しておいて、適宜点灯させることにより、外観を考えた演出のために用いることができる。照明装置10Aは、図3に示したように、枠体18に収容された状態で、舗装等に埋設されている。
【0020】
以上、前述した照明装置10Aにおいては、ガラス基板11における暗部領域15である周部に対応してガラス基板11に減光層14を設けたので、ガラス基板11を通して出射される光に対して観る者はELの輝度ムラと感じずに、周部が意図的に輝度が低下されていると感じる。すなわち、悪い印象を与えるのを防止することができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図6には、本発明に係る照明装置の第2実施形態が示されている。
なお、前述した第1実施形態と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0022】
図6に示すように、この照明装置10Bにおいては、発光面を構成するガラス基板11の周部には、減光層14が設けられている。減光層14は透過性を有するものであり、ガラス基板11の表面に多数の並行ライン14bを印刷、塗装、シールの貼り付け等で形成している。
減光層14全体としては、発光領域における暗部領域15以外(中央部)よりも減光されるようになっている。
【0023】
減光層14における減光率は、図6に示すように、並行ライン14bのライン幅を一定として列間寸法を変化させることにより、並行ライン14b部分の面積と、並行ライン間の隙間の面積との比率を変化させて調整することができる。
この場合には、周部に行くほど列間間隔を小さくして減光率を上げる。
【0024】
あるいは、図示はしないが、並行ライン14bの列間寸法を一定として、並行ライン14bの密度を変えることにより調整することができる。
この場合には、周部に行くほどライン幅の太い並行ライン14bを配置して減光率をあげる。
【0025】
また、並行ライン14bの着色濃度を変化させて減光率を調整することもできる。すなわち、周部に向かうほど並行ライン14bの着色濃度を濃くすることによりグラデーションを設けることができる。
これにより、前述した第1実施形態の場合と同様の作用・効果を得ることができる。
【0026】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図7には、本発明に係る照明装置の第3実施形態が示されている。
なお、前述した第1実施形態あるいは第2実施形態と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0027】
図7に示すように、この照明装置10Cにおいては、発光面を構成するガラス基板11の周部には、減光層14が設けられている。減光層14は透過性を有するものであり、ガラス基板11の表面にメッシュ14cを設けて形成されている。減光層14全体としては、発光領域における暗部領域15以外よりも減光されるようになっている。
【0028】
減光層14における減光率は、減光層14を形成するメッシュ14cを変化させることにより、調整することができる。
すなわち、メッシュ14cの大きさやメッシュ14cを形成しているラインの太さ等を変化させることにより調整する。この場合には、周部に行くほどメッシュ14cの間隔を小さくしたり、あるいは、周部に行くほどメッシュ14cを形成しているラインを太くすることによりグラデーションを設けることができる。
これにより、前述した第1実施形態あるいは第2実施形態の場合と同様の作用・効果を得ることができる。
【0029】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。図8には、本発明に係る照明装置の第4実施形態が示されている。
なお、前述した第1実施形態から第3実施形態のいずれかと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0030】
図8に示すように、この照明装置10Dにおいては、発光面を構成するガラス基板11の周部には、減光層14が設けられている。減光層14は透過性を有するものであり、ガラス基板11の表面にベタ塗り部14dを設けて形成されている。
減光層14全体としては、発光領域における暗部領域15以外よりも減光されるようになっている。
【0031】
減光層14における減光率は、減光層14を形成するベタ塗り部14dを変化させることにより、ベタ塗り部14dの透過率を変化させて、調整することができる。
この場合には、周部に行くほどベタ塗り部14dの濃さを大きくする。
【0032】
あるいは、周部に行くほど透過性の小さな塗料やインク等を用いるようにすることによりグラデーションを設けることができる。
これにより、前述した第1実施形態あるいは第2実施形態の場合と同様の作用・効果を得ることができる。
【0033】
なお、本発明の照明装置は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態においては、周部としてガラス基板11の全周にわたって減光層14を設けた場合を例示したが、本発明の照明装置は、この他、図9に示すように、対向する2辺のみに減光層14を設けるようにすることもできる。
あるいは、図10に示すように、四隅にのみ減光層14を設けるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明に係る照明装置は、ガラス基板の周部における暗部領域に対応してガラス基板に減光層を設けたので、ガラス基板を通して出射される光に対して観る者はELの輝度ムラを感じずに発光領域の輝度が均一であるかのように感じる。そして、周部は意図的に輝度が低下されていると感じ、悪い印象を与えるのを防止することができるという効果を有し、例えばELによる面状発光体を用いた照明装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の照明装置の使用例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る照明装置の断面図である。
【図4】本発明に係る照明装置における減光層を示す拡大平面図である。
【図5】(A)は減光層の配置を示す照明装置の正面図である。(B)は照明装置の発光の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る第4実施形態を示す斜視図である。
【図9】(A)は減光層の別の配置を示す照明装置の正面図である。(B)は(A)の照明装置の発光の状態を示す斜視図である。
【図10】(A)は減光層のさらに別の配置を示す照明装置の正面図である。(B)は(A)の照明装置の発光の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 照明装置
11 ガラス基板
12 発光層
13 面状発光体
14 減光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板および発光層が積層された面状発光体を備え、
前記発光層の光が前記ガラス基板から出射される照明装置であって、
前記ガラス基板の表面に設けられた減光層を有し、
前記減光層が、前記ガラス基板における暗部領域に対応して設けられている照明装置。
【請求項2】
前記発光面の周部に向かって減光率が高くなっていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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