照明装置
【課題】光源としてLED素子を使用するにも拘らず、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態が得るようしたLED照明装置を提供する。
【解決手段】長手状の照明基板2AにLED素子Dを設け、LED素子Dを光源として使用する照明装置である。照明基板2Aは、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部6と第2の取付部7とを有する。第1の取付部6及び第2の取付部7には、それぞれ複数のLED素子Dが照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置されている。第1の取付部6に配置されるLED素子Dの個数は、第2の取付部7に配置されるLED素子Dの個数と同じであり、LED素子D間のピッチも同一である。さらに、全てのLED素子Dの指向特性は同一である。第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1は、LED素子における指向角度θの略2倍以下に設定されている。
【解決手段】長手状の照明基板2AにLED素子Dを設け、LED素子Dを光源として使用する照明装置である。照明基板2Aは、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部6と第2の取付部7とを有する。第1の取付部6及び第2の取付部7には、それぞれ複数のLED素子Dが照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置されている。第1の取付部6に配置されるLED素子Dの個数は、第2の取付部7に配置されるLED素子Dの個数と同じであり、LED素子D間のピッチも同一である。さらに、全てのLED素子Dの指向特性は同一である。第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1は、LED素子における指向角度θの略2倍以下に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として複数のLED素子を用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED素子は長寿命であること、省電力であること等の観点から、蛍光灯を使用した照明装置に代えて、LED素子を光源として使用した照明装置が提案されている(例えば、特許文献1、図2参照)。この従来の照明装置は、平板状の照明基板にLED素子を一列に配置した構成である。
【0003】
【特許文献1】特開2007−122936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蛍光灯のような全方位の指向特性とは異なり、LED素子の指向特性は一定の角度範囲であって、狭いという性質がある。そのため、従来のLED素子を用いた照明装置では、蛍光灯の照明状態と大きく異なり、特に横方向の照度が十分でなかった。一方、横方向の照度範囲を広げるためには、拡散板等を用いてLED素子の光を横方向に拡散するようにすればよい。しかし、このような拡散板等を用いた照明装置では、拡散板等の取付位置、寸法、拡散特性等を考慮する必要があり、構造が複雑になり、また、コストの増大を招くことになる。
【0005】
そこで、従来から、光源としてLED素子を使用するにも拘らず、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態を、簡単な構成で且つ低コストで実現することが可能な照明装置が要望されていた。
【0006】
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものであり、その目的は、光源としてLED素子を使用するにも拘らず、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態を、簡単な構成で且つ低コストで実現することが可能な照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明は、長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする。
【0008】
上記の如く、第1の取付部と第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることにより、横方向(軸方向に直角な方向)に光を拡散できることになり、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保される。この結果、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
ここで、指向特性とは、LED素子が発光(照射)する光の広がり角度であって、光の強度がピーク値の50%のときの出射角度(指向角度)で示される。従って、例えば、LED素子の指向角度が65度の場合、第1の取付部と記第2の取付部との成す角度は例えば略130度以下に設定されることになる。
【0009】
請求項2記載の発明は、長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、180度からLED素子における指向角の略2倍を引いた角度以上に設定されていることを特徴とする。
【0010】
上記の如く、第1の取付部と第2の取付部との成す角度が、180度からLED素子における指向角の略2倍を引いた角度以上に設定されていることにより、第1の取付部のLED素子の法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部のLED素子の法線(強度がピーク値の光線)までの領域においては、均一な強度の光が全方位に照射される蛍光灯と等価な指向特性を有する。この結果、横方向に関して広範囲に十分な明るさが確保される。換言すれば、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態が得られることになる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の照明器具であって、前記第1の取付部に配置された複数のLED素子と前記第2の取付部に配置された複数のLED素子とが、前
記軸方向にずれて配置されていることを特徴とする。
上記構成により、軸方向に関する照明状態の均一化を図ることができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の照明装置であって、前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする。
上記構成により、第1の取付部のLED素子の法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部のLED素子の法線の間の領域では、光の強度が1つのLED素子の光のピーク値と同じような値であり、それ以外の領域(LED素子の法線から横方向までの領域)については、光の強度がピーク値の50%を下回ることなく適度な光の強度を得ることができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置であって、前記第1の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第1の反射部が形成され、前記第2の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第2の反射部が形成されていることを特徴とする。
上記の如く、第1の反射部及び第2の反射部を形成することにより、LED素子からの光が第1の反射部及び第2の反射部で反射して前方側に出射されるので、好ましい拡散光が得られる。この結果、さらに、蛍光灯による照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源としてLED素子を使用するにも拘らず、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態を、簡単な構成で且つ低コストで実現することが可能な照明装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る照明装置を、実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は実施の形態1に係る照明装置の全体構成を示す斜視図、図2は実施の形態1に係る照明装置に使用される照明基板の平面図、図3は図2のA1−A1線矢視断面図である。照明装置1は、例えば天井などに取り付けられ、複数のLED素子が載置される長手状の照明基板2と、照明基板2の裏面側に配置される電源部3と、照明基板2及び電源部3を覆う金属製ケーシング4と、ケーシング4の開口部を閉塞する透明又は半透明の防塵・防水用樹脂製蓋体5とを有する。照明基板2は吊下げ金具(図示せず)によりケーシング4の上側内面に支持固定されている。
【0016】
照明基板2は軸直角断面がW字状に形成されており、複数(本実施の形態では5個)のLED素子Dが軸方向に所定のピッチPで載置される第1の取付部6と、複数(本実施の形態では5個)のLED素子Dが軸方向に所定のピッチPで載置される第2の取付部7と、第1の取付部6の側縁部に連なり前方側に折曲してLED素子Dからの光を反射して前方側に出射する第1の反射部8と、第2の取付部7の側縁部に連なり前方側に折曲してLED素子Dからの光を反射して前方側に出射する第2の反射部9とを備えている。第1の取付部6に設けられるLED素子Dは、第1の取付部6の幅方向(長手方向に直角な方向)中央部に載置され、第2の取付部7に設けられるLED素子Dは、第2の取付部7の幅方向(長手方向に直角な方向)中央部に載置されている。また、ケーシング4の下端部4aは、第1の取付部6と第2の取付部7との接合部80よりも下側に位置するか、若しくは同一高さ位置とされている。これにより、例えばメンテナンスで防塵・防水用樹脂製蓋体5が取り外された金属製ケーシング4を床に置いたとしても、床に照明基板2が接触せず、壊れにくい。
【0017】
第1の取付部6に配置されるLED素子Dの個数は、第2の取付部7に配置されるLED素子Dの個数と同じである。そして、LED素子Dは表面実装タイプのLED素子であり、しかも、全てのLED素子Dの指向特性が同一のものが使用されている。ここで、指向特性とは、LED素子が発光(照射)する光の広がり角度であって、光の強度がピーク値の50%のときの出射角度(指向角度)で示される。本実施の形態におけるLED素子Dの指向角度θは例えば65度とされている。また、第1の取付部6及び第1の反射部8と、第2の取付部7及び第2の反射部9とは、照明基板2の軸を含む鉛直面に関して対称となっている。
【0018】
ここで注目すべきは、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1が、LED素子Dの指向角度θの略2倍(θ×2≧θ1、例えばθが55度〜75度であればθ1は130度)以下に設定されていることである。これにより、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。この理由については後述する。
【0019】
また、第1の取付部6と第1の反射部8との成す角度θ3と、第2の取付部7と第2の反射部9との成す角度θ2とは同一であり、しかも、角度θ2(=θ3)は、所定角度θ1と略同一とされている。従って、LED素子Dの指向角度θが例えば55度〜75度であれば、角度θ2(=θ3)は略130度に設定される。これにより、LED素子Dからの光を反射部8,9で反射して前方側に出射する作用に起因してより好ましい拡散光が得られる。その結果、さらに、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。この理由については後述する。
【0020】
また、図3において、第2の反射部9と第2の取付部7との接続点を基準にして、第2の反射部9のエッジの高さLaは、第2の取付部7におけるLED素子Dの光源の高さLbと比較して短く設定されている。同様に、第1の反射部8と第1の取付部6との接続点を基準にして、第1の反射部8のエッジの高さは第1の取付部6におけるLED素子Dの光源の高さと比較して短く設定されている。これにより、第2の取付部7におけるLED素子Dから放出された強度が50%の光が第2の反射部9に反射されることなく、そのまま横方向(図3の左側方向)へ放出され、第1の取付部6におけるLED素子Dから放出された強度が50%の光が第2の反射部8に反射されることなく、そのまま横方向(図3の右側方向)へ放出される。
【0021】
上記構成の照明装置によれば、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1がLED素子Dの指向角度θの略2倍(θ×2≧θ1、例えばθが55度〜75度であればθ1は130度)以下に設定することにより、横方向(軸方向に直角な方向)に光を拡散できることになり、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保されるので、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0022】
図4を参照して具体的に説明する。なお、図4は、指向角度θ=65度、角度θ1=2×θ=130度の場合の例が示されている。また、図4において、K7,K10は指向角65度の光線(法線K5,K8の50%の強度の光線)を示し、K6,K9は出射角度が25度の光線(強度が50%〜100%の範囲の光線)を示す。この図4の場合において、LED素子Dの法線K5(強度がピーク値の光線)と横軸F1との成す角度は65度であり、LED素子Dの法線K8(強度がピーク値の光線)と横軸F2との成す角度は65度である。従って、横方向(横軸F1方向)の光線の強度は、法線K5の50%の強度であり、横方向(横軸F2方向)の光線の強度は、法線K8の50%の強度である。そうすると、法線K5から横軸F1方向までの領域(法線K8から横軸F2方向までの領域)については、光の強度がピーク値の50%を下回ることなく適度な光の強度が得られている。ここで、特に照明装置1が天井などに取り付けられている場合は、このようなピーク値の50%を下回らない強度の光で照射される横方向の領域では、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【0023】
一方、図4において、角度θ1が130度より大きくなる場合には、横方向の光強度がピーク値の50%を下回る。一方、角度θ1が130度より小さくなる場合には、横方向の光強度がピーク値の50%を上回る。この横方向の光強度がピーク値の50%を上回る場合の条件を、角度θ1,θを用いた一般式で表現すると、θ1≦2×θである。
従って、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1がLED素子Dの指向角度θの略2倍(θ×2≧θ1、例えばθが55度〜75度であればθ1は130度)以下に設定することにより、横方向(軸方向に直角な方向)に光を拡散できることになり、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0024】
なお、角度θ1を指向角度θの略2倍より極端に小さくし過ぎる(θ1≪2×θ)と、横方向に光が拡散しすぎることになり、直下の光強度が小さくなってしまう恐れがある。しかしながら、この場合、角度θ2(=θ3)が角度θ1と略同一であることから、角度θ2(=θ3)も小さくなる。そうすると、LED素子Dからの光のうち反射部8,9で反射した光は、直下側に集まる傾向が大きくなる。この結果、角度θ1を指向角度θの略2倍より極端に小さくし過ぎ(θ1≪2×θ)ても、直下の光強度が適度の強度に維持されることになる。従って、直下付近の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態よりも若干劣るけれども、直下付近を除く横方向の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【0025】
また、角度θ1が、180度からLED素子Dにおける指向角の略2倍を引いた角度以上(θ×2+θ1≧180度)にする構成としてもよい。このように構成することにより、第1の取付部6のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)までの領域の光の強度が、これら2つのLED素子Dの光が合わさることにより、1つのLED素子Dの光のピーク値と同じような値に設定することができる。換言すれば、第1の取付部6のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)までの領域においては、均一な強度の光が全方位に照射される蛍光灯と等価な指向特性を有する。この結果、横方向に関して広範囲に十分な明るさが確保される。換言すれば、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態が得られることになる。
【0026】
図5を参照して具体的に説明する。なお、図5は、指向角度θ=65度、角度θ1=2×θ=50度の場合の例が示されている。この図5の場合、LED素子Dの法線K1,K3(強度がピーク値の光線)の50%の強度である光線K2,K4は、鉛直下方に向けて出射されている。そして、照明装置1は天井などに設置され、床面を照明するものであるから、照明装置1と床面との距離に比べると、光線K2と光線K4との間隔は極めて小さく、無視することが可能である。そうすると、鉛直下方向に関して、光線K2と光線K4とが合わさることにより、1つのLED素子Dの光のピーク値と同じような値の光が照射されているとみなすことができる。加えて、光線K2から法線K1までの領域では、第2の取付部7のLED素子Dからの光(50%以上の強度)に、第1の取付部6のLED素子Dからの光(50%以下の強度)が合わさることにより、略ピーク値と同じような値の光が照射されている。光線K4から法線K3までの領域では、第1の取付部6のLED素子Dからの光(50%以上の強度)に、第2の取付部7のLED素子Dからの光(50%以下の強度)が合わさることにより、略ピーク値と同じような値の光が照射されている。
【0027】
従って、第1の取付部6のLED素子Dの法線のK3(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線K1(強度がピーク値の光線)までの領域においては、均一な強度の光が照射されることになる。このことは、当該領域内において蛍光灯と等価な指向特性を有する光源により照射されることと等価である。よって、当該領域内の照明状態(横方向に関する照明状態)は、蛍光灯を使用する照明状態に近似したものとなる。
【0028】
一方、図5において、角度θ1が50度より小さくなる場合には、50%の強度である光線K2,K4は図5の状態よりも外側に向いて出射される。従って、鉛直下方向の光線は50%の強度を下回る。よって、両者を合わせても、100%の光強度とならず、蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られない。一方、角度θ1が50より大きくなる場合には、50%の強度である光線K2,K4は図5の状態よりも内側に向いて出射される。従って、鉛直下方向の光線は50%の強度を上回る。よって、両者を合わせると100%(正確には100%を若干上回った値)の光強度となり、蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られる。この蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られる後者の条件を、角度θ1,θを用いた一般式で表現すると、θ×2+θ1≧180度である。
【0029】
従って、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1を、180度からLED素子Dにおける指向角の略2倍を引いた角度以上(θ×2+θ1≧180度)に設定することにより、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0030】
なお、角度θ1を、180度からLED素子Dにおける指向角度θの略2倍を引いた角度より極端に大きくし過ぎる(θ1≫180−2×θ)と、横方向に光が拡散がしないことになり、照明装置1の直下付近のみ良好で、横方向の照明状態が悪化する恐れがある。しかしながら、この場合、角度θ2(=θ3)が角度θ1と略同一であることから、角度θ2(=θ3)も大きくなる。そうすると、LED素子Dからの光のうち反射部8,9で反射した光は、横方向に拡散する傾向が大きくなる。この結果、角度θ1を180度からLED素子Dにおける指向角度θの略2倍を引いた角度より極端に大きくし過ぎ(θ1≫180−2×θ)ても、横方向の光強度が適度の強度に維持されることになる。従って、横方向の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態よりも若干劣るけれども、直下付近の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【0031】
また、以上の条件θ×2≧θ1及びθ×2+θ1≧180度を両方とも満たすように構成してもよい。このように構成すれば、第1の取付部6のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線の間の領域では、光の強度が1つのLED素子Dの光のピーク値と同じような値であり、それ以外の領域(LED素子Dの法線から横方向までの領域)については、光の強度がピーク値の50%を下回ることなく適度な光の強度を得ることができる。特に照明装置1が天井などに取り付けられている場合は、縦方向の光はこの程度で充分である。なお、上記2つの条件を満たす場合、両者の式から指向角θが45度以上必要であり、例えば面実装型の指向角の広いLED素子が適用できる。
【0032】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2に係る照明装置に使用される照明基板の平面図、図7は図6のA2−A2線矢視断面図である。本実施の形態2は、実施の形態1とは照明基板におけるLED素子の配列状態が異なることの他は同一の構成である。即ち、本実施の形態における照明基板2Aは、図6に示すように、第1の取付部6に配置されたLED素子Dと、第2の取付部7に配置されたLED素子Dとが、軸方向に1/2ピッチずれて配置されている。このような構成により、実施の形態1に比べて、軸方向に関する照明状態の均一化を改善することができる。
【0033】
以下、その理由について説明する。
実施の形態1では、軸方向に関してLED素子Dの間隔が大きいので、図8(1)に示すように、LED素子Dの間の中央部において光強度が弱い光の分布状態が得られる。従って、実施の形態1では、軸方向に関する均一化は十分ではない。一方、LED素子Dの間隔を小さくすれば、軸方向に関する均一化を向上できるが、LED素子Dの数を多くしなければならず、コストの増大を招く。従って、LED素子Dの間隔を小さくすることなく、軸方向に関する均一化を図る要請がある。そこで、本実施の形態2のように、第1の取付部6に配置されたLED素子Dと、第2の取付部7に配置されたLED素子Dとを、軸方向に1/2ピッチずらすことにより、図8(2)に示すように、軸方向の光強度の分布状態が実施の形態1よりも均一化する。このような分布状態が得られた理由は、以下の通りと考えられる。即ち、本実施の形態2の照明装置をマクロ的に観察すれば、従来の点光源の光強度を1/2として1列のみのLED素子列を設け、且つLED素子間の中央位置に新たな1/2の点光源を追加したことと等価的な配置状態になったものとみなされるからである。
【0034】
また、本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保され、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。以下にその理由について説明する。
本実施の形態2では、実施の形態1のように2列のLED素子が横方向に並んで配置されておらず、軸方向に1/2ピッチずれて配置されている。従って、本実施の形態2における横方向に関する照明状態は、実施の形態1における横方向に関する照明状態そのものではなく、軸方向への分布を考慮したものとなる。しかしながら、1つの列のLED素子と他の列のLED素子との斜め方向の間隔は小さいことから、軸方向への分布の影響はそれほど大きくない。従って、横方向に関する照明状態は、実施の形態2と実施の形態1とは近似したものと考えられる。この結果、角度θ1を指向角度θの略2倍以下(θ×2≧θ1)に設定する構成、角度θ1を180度からLED素子Dにおける指向角の略2倍を引いた角度以上(θ×2+θ1≧180度)にする構成、θ×2≧θ1及びθ×2+θ1≧180度を両方とも満たす構成のいずれにおいても、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保され、蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0035】
こうして、本実施の形態2においては、軸方向及び横方向の光強度の均一性の高い照射角度範囲が得られることになる。この結果、蛍光灯を使用した照明状態に近似した照明状態が得られる。この点に関しては、後述する本発明者の実験結果により立証されている。
【0036】
(実施の形態3)
図9は実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の平面図、図10は実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の側面図、図11は図9のA3−A3線矢視断面図である。本実施の形態の照明装置に使用される照明基板2Bは、底面部21aと、底面部21aの両側から斜め側方に延びる取付部21b,21cと、取付部21b,21cの端部に連なり内方側に略水平の延びる内向きフランジ部21d,21eとを有する。取付部21bの表面には反射層22aが形成され、取付部21cの表面には反射層22bが形成されている。この反射層22a,22bは銀等の反射率の大きい材料による鏡面塗装が施されて形成されていてもよいし、反射率の大きいステンレス基板でもよいし、熱伝導性を考慮して鏡面アルミ基板でもよい。反射層22aには、複数(本実施の形態では10個)のLED素子Dが所定のピッチで載置され、反射層22bには、複数(本実施の形態では10個)のLED素子Dが所定のピッチで載置されている。反射層22a上のLED素子Dと、反射層22b上のLED素子Dとは、照明基板2Bの軸方向に1/2ピッチずれて配置されている。
【0037】
また、照明基板2Bの軸方向両端には端板20が取り付けられている。
ここで、取付部21cと底面部21aとの成す角度θ4は、取付部21bと底面部21aとの成す角度θ5と略同一に設定されている。角度θ4(角度θ5)は、例えば、100〜150の範囲とされている。
【0038】
上記構成の照明装置によれば、反射層22a,22bを設けることにより、LED素子Dからの光が反射層22a,22bにより反射されて前方側に照射される。このとき、反射層22a,22bの反射率が極めて大きいことから、一列に配置されているLED素子列の各LED素子D間の中央位置に、そのLED素子列に対向する側のLED素子列からの光による仮想的なLED光源が付加された状態となる。従って、1つのLED素子列におけるLED素子D間のピッチは、実質的に1/2倍になったとみなせる。この結果、軸方向及び横方向の照明強度が向上する。従って、LED素子Dの個数を増加することなく、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態を得ることができる。この点に関しては、後述する本発明者の実験結果により立証されている。
【0039】
なお、照明状態をさらに向上するためには、角度θ4(角度θ5)を調整して最適な角度に設定すればよい。
【0040】
(その他の事項)
上記実施の形態2では、第1の取付部6に配置されたLED素子Dと、第2の取付部7に配置されたLED素子Dとが、軸方向に1/2ピッチずれて配置されていたけれども、1/2以外の値でずらして配置してもよい。
【実施例】
【0041】
(実験例1)
上記実施の形態2の照明装置(以下、本発明照明装置X1と称する)と、蛍光灯を使用した照明装置(以下、比較照明装置Y1と称する)と、平板状の照明基板にLED素子を軸方向に1列配置した照明装置(以下、比較照明装置Y2と称する)とについて、以下の条件で、床面の照度を測定したので、その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(条件)
・本発明照明装置X1の寸法(図6、図7参照)
照明基板2Aの全長L10=1100[mm]、第1の取付部6の横長さL2=第2の取付部7の横長さL1=36[mm]、第1の反射部8の横長さL4=第2の反射部9の横長さL3=20[mm]、LED素子間のピッチP=200[mm]、一列のLED素子の個数=5個、LED素子の指向角θ=65[度]、角度θ1=角度θ2=角度θ3=130[度]である。
・本発明照明装置X1の発光強度:33[W]、2000[lm]×2である。
・比較照明装置Y1の寸法
蛍光管の全長=1100[mm]である。
比較照明装置Y1の発光強度:400[W]の蛍光管が2本、2910[lm]×2である。
・比較照明装置Y2の寸法
照明基板の全長L10=1100[mm]、一列のLED素子の個数=10個、LED素子間のピッチP=100[mm]である。
【0044】
・測定条件
測定位置:照明装置の直下2[m]の照度、及び、照明装置の直下2[m]の位置から左右横方向に1[m]、2[m]、3[m]、4[m]、5[m]離れ位置の照度をそれぞれ測定した。
【0045】
(試験結果の検討)
表1に示すように、5[m]離れ位置の照度に関して、比較照明装置Y2に比べて、本発明照明装置X1は比較照明装置Y1に近寄った値が得られている。この結果、本発明は、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態が得られることが理解される。
【0046】
(実験例2)
上記実施の形態3の照明装置(以下、本発明照明装置X2と称する)と、蛍光灯を使用した照明装置(以下、比較照明装置Y3と称する)とについて、以下の条件で、床面の照度を測定したので、その結果を表2、表3、図12、図13に示す。なお、表2及び図12は横方向の照明状態の測定結果であり、表3及び図13は軸方向の照明状態の測定結果である。また、図12において、M1は本発明照明装置X2の場合を示し、M2は比較照明装置Y3の場合を示す。図13において、M3は本発明照明装置X2の場合を示し、M4は比較照明装置Y3の場合を示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
(条件)
・本発明照明装置X2の寸法(図9、図11参照)
照明基板2Bの全長L10=1100[mm]、LED素子D間のピッチP=100[mm]、全体のLED素子の個数は20個で、各一列のLED素子の個数=10個、LED素子の指向角θ=65[度]、角度θ5=角度θ6=130[度]である。
・本発明照明装置X2の発光強度:33[W]、2000[lm]×2である。
・比較照明装置Y3の寸法
蛍光管の全長=1100[mm]である。
・比較照明装置Y3の発光強度:400[W]の蛍光管が2本、2910[lm]×2である。
【0050】
・測定条件
測定位置:照明装置の直下2[m]の照度、及び、照明装置の直下2[m]の位置から左右横方向に1[m]、2[m]、3[m]、4[m]、5[m]離れ位置の照度をそれぞれ測定した。
【0051】
(試験結果の検討)
表2、表3、図12、図13に示すように、本発明照明装置X2は、軸方向及び横方向のいずれについても比較照明装置Y3に近寄った値が得られている。この結果、本発明は、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態が得られることが理解される。
【0052】
(実験例3)
上記実施の形態3の照明装置(以下、本発明照明装置X2と称する)と、反射層22a,22bを設けていないこと以外は実施の形態3の照明装置と同様の構成の照明装置(以下、比較照明装置Y4と称する)とについて、以下の条件で、床面の照度を測定したので、その結果を表4、表5、図14、図15に示す。なお、表4及び図14は横方向の照明状態の測定結果であり、表5及び図15は軸方向の照明状態の測定結果である。また、図14において、M5は本発明照明装置X2の場合を示し、M6は比較照明装置Y4の場合を示す。図15において、M7は本発明照明装置X2の場合を示し、M8は比較照明装置Y4の場合を示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
(条件)
上記実験例2と同様に、照明装置の直下2[m]の照度、及び、照明装置の直下2[m]の位置から左右横方向に1[m]、2[m]、3[m]、4[m]、5[m]離れ位置の照度をそれぞれ測定した。
【0056】
(試験結果の検討)
表4、表5、図14、図15に示すように、本発明照明装置X2は、比較照明装置Y4に比べて、横方向及び軸方向のいずれにおいても、良好な照明状態が得られている。従って、反射層22a,22bを設けることにより、軸方向及び横方向の照明強度が向上することが理解される。この結果、反射層22a,22bを設けることにより、LED素子の個数を増加することなく、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、LED素子を光源として使用した照明装置に好適に実施される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施の形態1に係る照明装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態1に係る照明装置に使用される照明基板の平面図。
【図3】図2のA1−A1線矢視断面図。
【図4】横方向の照明状態を説明するための図。
【図5】横方向の照明状態を説明するための図。
【図6】実施の形態2に係る照明装置に使用される照明基板の平面図。
【図7】図6のA2−A2線矢視断面図。
【図8】軸方向の照明状態を説明するための図。
【図9】実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の平面図。
【図10】実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の側面図。
【図11】図9のA3−A3線矢視断面図。
【図12】実験例2の実験結果を示すグラフ。
【図13】実験例2の実験結果を示すグラフ。
【図14】実験例3の実験結果を示すグラフ。
【図15】実験例3の実験結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0059】
1:照明装置 2:照明基板
6:第1の取付部 7:第2の取付部
8:第1の反射部 9:第2の反射部
D:LED素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として複数のLED素子を用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED素子は長寿命であること、省電力であること等の観点から、蛍光灯を使用した照明装置に代えて、LED素子を光源として使用した照明装置が提案されている(例えば、特許文献1、図2参照)。この従来の照明装置は、平板状の照明基板にLED素子を一列に配置した構成である。
【0003】
【特許文献1】特開2007−122936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蛍光灯のような全方位の指向特性とは異なり、LED素子の指向特性は一定の角度範囲であって、狭いという性質がある。そのため、従来のLED素子を用いた照明装置では、蛍光灯の照明状態と大きく異なり、特に横方向の照度が十分でなかった。一方、横方向の照度範囲を広げるためには、拡散板等を用いてLED素子の光を横方向に拡散するようにすればよい。しかし、このような拡散板等を用いた照明装置では、拡散板等の取付位置、寸法、拡散特性等を考慮する必要があり、構造が複雑になり、また、コストの増大を招くことになる。
【0005】
そこで、従来から、光源としてLED素子を使用するにも拘らず、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態を、簡単な構成で且つ低コストで実現することが可能な照明装置が要望されていた。
【0006】
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものであり、その目的は、光源としてLED素子を使用するにも拘らず、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態を、簡単な構成で且つ低コストで実現することが可能な照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明は、長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする。
【0008】
上記の如く、第1の取付部と第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることにより、横方向(軸方向に直角な方向)に光を拡散できることになり、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保される。この結果、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
ここで、指向特性とは、LED素子が発光(照射)する光の広がり角度であって、光の強度がピーク値の50%のときの出射角度(指向角度)で示される。従って、例えば、LED素子の指向角度が65度の場合、第1の取付部と記第2の取付部との成す角度は例えば略130度以下に設定されることになる。
【0009】
請求項2記載の発明は、長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、180度からLED素子における指向角の略2倍を引いた角度以上に設定されていることを特徴とする。
【0010】
上記の如く、第1の取付部と第2の取付部との成す角度が、180度からLED素子における指向角の略2倍を引いた角度以上に設定されていることにより、第1の取付部のLED素子の法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部のLED素子の法線(強度がピーク値の光線)までの領域においては、均一な強度の光が全方位に照射される蛍光灯と等価な指向特性を有する。この結果、横方向に関して広範囲に十分な明るさが確保される。換言すれば、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態が得られることになる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の照明器具であって、前記第1の取付部に配置された複数のLED素子と前記第2の取付部に配置された複数のLED素子とが、前
記軸方向にずれて配置されていることを特徴とする。
上記構成により、軸方向に関する照明状態の均一化を図ることができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の照明装置であって、前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする。
上記構成により、第1の取付部のLED素子の法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部のLED素子の法線の間の領域では、光の強度が1つのLED素子の光のピーク値と同じような値であり、それ以外の領域(LED素子の法線から横方向までの領域)については、光の強度がピーク値の50%を下回ることなく適度な光の強度を得ることができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置であって、前記第1の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第1の反射部が形成され、前記第2の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第2の反射部が形成されていることを特徴とする。
上記の如く、第1の反射部及び第2の反射部を形成することにより、LED素子からの光が第1の反射部及び第2の反射部で反射して前方側に出射されるので、好ましい拡散光が得られる。この結果、さらに、蛍光灯による照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源としてLED素子を使用するにも拘らず、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態を、簡単な構成で且つ低コストで実現することが可能な照明装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る照明装置を、実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は実施の形態1に係る照明装置の全体構成を示す斜視図、図2は実施の形態1に係る照明装置に使用される照明基板の平面図、図3は図2のA1−A1線矢視断面図である。照明装置1は、例えば天井などに取り付けられ、複数のLED素子が載置される長手状の照明基板2と、照明基板2の裏面側に配置される電源部3と、照明基板2及び電源部3を覆う金属製ケーシング4と、ケーシング4の開口部を閉塞する透明又は半透明の防塵・防水用樹脂製蓋体5とを有する。照明基板2は吊下げ金具(図示せず)によりケーシング4の上側内面に支持固定されている。
【0016】
照明基板2は軸直角断面がW字状に形成されており、複数(本実施の形態では5個)のLED素子Dが軸方向に所定のピッチPで載置される第1の取付部6と、複数(本実施の形態では5個)のLED素子Dが軸方向に所定のピッチPで載置される第2の取付部7と、第1の取付部6の側縁部に連なり前方側に折曲してLED素子Dからの光を反射して前方側に出射する第1の反射部8と、第2の取付部7の側縁部に連なり前方側に折曲してLED素子Dからの光を反射して前方側に出射する第2の反射部9とを備えている。第1の取付部6に設けられるLED素子Dは、第1の取付部6の幅方向(長手方向に直角な方向)中央部に載置され、第2の取付部7に設けられるLED素子Dは、第2の取付部7の幅方向(長手方向に直角な方向)中央部に載置されている。また、ケーシング4の下端部4aは、第1の取付部6と第2の取付部7との接合部80よりも下側に位置するか、若しくは同一高さ位置とされている。これにより、例えばメンテナンスで防塵・防水用樹脂製蓋体5が取り外された金属製ケーシング4を床に置いたとしても、床に照明基板2が接触せず、壊れにくい。
【0017】
第1の取付部6に配置されるLED素子Dの個数は、第2の取付部7に配置されるLED素子Dの個数と同じである。そして、LED素子Dは表面実装タイプのLED素子であり、しかも、全てのLED素子Dの指向特性が同一のものが使用されている。ここで、指向特性とは、LED素子が発光(照射)する光の広がり角度であって、光の強度がピーク値の50%のときの出射角度(指向角度)で示される。本実施の形態におけるLED素子Dの指向角度θは例えば65度とされている。また、第1の取付部6及び第1の反射部8と、第2の取付部7及び第2の反射部9とは、照明基板2の軸を含む鉛直面に関して対称となっている。
【0018】
ここで注目すべきは、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1が、LED素子Dの指向角度θの略2倍(θ×2≧θ1、例えばθが55度〜75度であればθ1は130度)以下に設定されていることである。これにより、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。この理由については後述する。
【0019】
また、第1の取付部6と第1の反射部8との成す角度θ3と、第2の取付部7と第2の反射部9との成す角度θ2とは同一であり、しかも、角度θ2(=θ3)は、所定角度θ1と略同一とされている。従って、LED素子Dの指向角度θが例えば55度〜75度であれば、角度θ2(=θ3)は略130度に設定される。これにより、LED素子Dからの光を反射部8,9で反射して前方側に出射する作用に起因してより好ましい拡散光が得られる。その結果、さらに、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。この理由については後述する。
【0020】
また、図3において、第2の反射部9と第2の取付部7との接続点を基準にして、第2の反射部9のエッジの高さLaは、第2の取付部7におけるLED素子Dの光源の高さLbと比較して短く設定されている。同様に、第1の反射部8と第1の取付部6との接続点を基準にして、第1の反射部8のエッジの高さは第1の取付部6におけるLED素子Dの光源の高さと比較して短く設定されている。これにより、第2の取付部7におけるLED素子Dから放出された強度が50%の光が第2の反射部9に反射されることなく、そのまま横方向(図3の左側方向)へ放出され、第1の取付部6におけるLED素子Dから放出された強度が50%の光が第2の反射部8に反射されることなく、そのまま横方向(図3の右側方向)へ放出される。
【0021】
上記構成の照明装置によれば、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1がLED素子Dの指向角度θの略2倍(θ×2≧θ1、例えばθが55度〜75度であればθ1は130度)以下に設定することにより、横方向(軸方向に直角な方向)に光を拡散できることになり、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保されるので、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0022】
図4を参照して具体的に説明する。なお、図4は、指向角度θ=65度、角度θ1=2×θ=130度の場合の例が示されている。また、図4において、K7,K10は指向角65度の光線(法線K5,K8の50%の強度の光線)を示し、K6,K9は出射角度が25度の光線(強度が50%〜100%の範囲の光線)を示す。この図4の場合において、LED素子Dの法線K5(強度がピーク値の光線)と横軸F1との成す角度は65度であり、LED素子Dの法線K8(強度がピーク値の光線)と横軸F2との成す角度は65度である。従って、横方向(横軸F1方向)の光線の強度は、法線K5の50%の強度であり、横方向(横軸F2方向)の光線の強度は、法線K8の50%の強度である。そうすると、法線K5から横軸F1方向までの領域(法線K8から横軸F2方向までの領域)については、光の強度がピーク値の50%を下回ることなく適度な光の強度が得られている。ここで、特に照明装置1が天井などに取り付けられている場合は、このようなピーク値の50%を下回らない強度の光で照射される横方向の領域では、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【0023】
一方、図4において、角度θ1が130度より大きくなる場合には、横方向の光強度がピーク値の50%を下回る。一方、角度θ1が130度より小さくなる場合には、横方向の光強度がピーク値の50%を上回る。この横方向の光強度がピーク値の50%を上回る場合の条件を、角度θ1,θを用いた一般式で表現すると、θ1≦2×θである。
従って、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1がLED素子Dの指向角度θの略2倍(θ×2≧θ1、例えばθが55度〜75度であればθ1は130度)以下に設定することにより、横方向(軸方向に直角な方向)に光を拡散できることになり、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0024】
なお、角度θ1を指向角度θの略2倍より極端に小さくし過ぎる(θ1≪2×θ)と、横方向に光が拡散しすぎることになり、直下の光強度が小さくなってしまう恐れがある。しかしながら、この場合、角度θ2(=θ3)が角度θ1と略同一であることから、角度θ2(=θ3)も小さくなる。そうすると、LED素子Dからの光のうち反射部8,9で反射した光は、直下側に集まる傾向が大きくなる。この結果、角度θ1を指向角度θの略2倍より極端に小さくし過ぎ(θ1≪2×θ)ても、直下の光強度が適度の強度に維持されることになる。従って、直下付近の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態よりも若干劣るけれども、直下付近を除く横方向の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【0025】
また、角度θ1が、180度からLED素子Dにおける指向角の略2倍を引いた角度以上(θ×2+θ1≧180度)にする構成としてもよい。このように構成することにより、第1の取付部6のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)までの領域の光の強度が、これら2つのLED素子Dの光が合わさることにより、1つのLED素子Dの光のピーク値と同じような値に設定することができる。換言すれば、第1の取付部6のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)までの領域においては、均一な強度の光が全方位に照射される蛍光灯と等価な指向特性を有する。この結果、横方向に関して広範囲に十分な明るさが確保される。換言すれば、蛍光灯による照明状態に極めて近似した照明状態が得られることになる。
【0026】
図5を参照して具体的に説明する。なお、図5は、指向角度θ=65度、角度θ1=2×θ=50度の場合の例が示されている。この図5の場合、LED素子Dの法線K1,K3(強度がピーク値の光線)の50%の強度である光線K2,K4は、鉛直下方に向けて出射されている。そして、照明装置1は天井などに設置され、床面を照明するものであるから、照明装置1と床面との距離に比べると、光線K2と光線K4との間隔は極めて小さく、無視することが可能である。そうすると、鉛直下方向に関して、光線K2と光線K4とが合わさることにより、1つのLED素子Dの光のピーク値と同じような値の光が照射されているとみなすことができる。加えて、光線K2から法線K1までの領域では、第2の取付部7のLED素子Dからの光(50%以上の強度)に、第1の取付部6のLED素子Dからの光(50%以下の強度)が合わさることにより、略ピーク値と同じような値の光が照射されている。光線K4から法線K3までの領域では、第1の取付部6のLED素子Dからの光(50%以上の強度)に、第2の取付部7のLED素子Dからの光(50%以下の強度)が合わさることにより、略ピーク値と同じような値の光が照射されている。
【0027】
従って、第1の取付部6のLED素子Dの法線のK3(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線K1(強度がピーク値の光線)までの領域においては、均一な強度の光が照射されることになる。このことは、当該領域内において蛍光灯と等価な指向特性を有する光源により照射されることと等価である。よって、当該領域内の照明状態(横方向に関する照明状態)は、蛍光灯を使用する照明状態に近似したものとなる。
【0028】
一方、図5において、角度θ1が50度より小さくなる場合には、50%の強度である光線K2,K4は図5の状態よりも外側に向いて出射される。従って、鉛直下方向の光線は50%の強度を下回る。よって、両者を合わせても、100%の光強度とならず、蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られない。一方、角度θ1が50より大きくなる場合には、50%の強度である光線K2,K4は図5の状態よりも内側に向いて出射される。従って、鉛直下方向の光線は50%の強度を上回る。よって、両者を合わせると100%(正確には100%を若干上回った値)の光強度となり、蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られる。この蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られる後者の条件を、角度θ1,θを用いた一般式で表現すると、θ×2+θ1≧180度である。
【0029】
従って、第1の取付部6と第2の取付部7との成す角度θ1を、180度からLED素子Dにおける指向角の略2倍を引いた角度以上(θ×2+θ1≧180度)に設定することにより、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0030】
なお、角度θ1を、180度からLED素子Dにおける指向角度θの略2倍を引いた角度より極端に大きくし過ぎる(θ1≫180−2×θ)と、横方向に光が拡散がしないことになり、照明装置1の直下付近のみ良好で、横方向の照明状態が悪化する恐れがある。しかしながら、この場合、角度θ2(=θ3)が角度θ1と略同一であることから、角度θ2(=θ3)も大きくなる。そうすると、LED素子Dからの光のうち反射部8,9で反射した光は、横方向に拡散する傾向が大きくなる。この結果、角度θ1を180度からLED素子Dにおける指向角度θの略2倍を引いた角度より極端に大きくし過ぎ(θ1≫180−2×θ)ても、横方向の光強度が適度の強度に維持されることになる。従って、横方向の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態よりも若干劣るけれども、直下付近の照明状態に関しては、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られることになる。
【0031】
また、以上の条件θ×2≧θ1及びθ×2+θ1≧180度を両方とも満たすように構成してもよい。このように構成すれば、第1の取付部6のLED素子Dの法線(強度がピーク値の光線)から第2の取付部7のLED素子Dの法線の間の領域では、光の強度が1つのLED素子Dの光のピーク値と同じような値であり、それ以外の領域(LED素子Dの法線から横方向までの領域)については、光の強度がピーク値の50%を下回ることなく適度な光の強度を得ることができる。特に照明装置1が天井などに取り付けられている場合は、縦方向の光はこの程度で充分である。なお、上記2つの条件を満たす場合、両者の式から指向角θが45度以上必要であり、例えば面実装型の指向角の広いLED素子が適用できる。
【0032】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2に係る照明装置に使用される照明基板の平面図、図7は図6のA2−A2線矢視断面図である。本実施の形態2は、実施の形態1とは照明基板におけるLED素子の配列状態が異なることの他は同一の構成である。即ち、本実施の形態における照明基板2Aは、図6に示すように、第1の取付部6に配置されたLED素子Dと、第2の取付部7に配置されたLED素子Dとが、軸方向に1/2ピッチずれて配置されている。このような構成により、実施の形態1に比べて、軸方向に関する照明状態の均一化を改善することができる。
【0033】
以下、その理由について説明する。
実施の形態1では、軸方向に関してLED素子Dの間隔が大きいので、図8(1)に示すように、LED素子Dの間の中央部において光強度が弱い光の分布状態が得られる。従って、実施の形態1では、軸方向に関する均一化は十分ではない。一方、LED素子Dの間隔を小さくすれば、軸方向に関する均一化を向上できるが、LED素子Dの数を多くしなければならず、コストの増大を招く。従って、LED素子Dの間隔を小さくすることなく、軸方向に関する均一化を図る要請がある。そこで、本実施の形態2のように、第1の取付部6に配置されたLED素子Dと、第2の取付部7に配置されたLED素子Dとを、軸方向に1/2ピッチずらすことにより、図8(2)に示すように、軸方向の光強度の分布状態が実施の形態1よりも均一化する。このような分布状態が得られた理由は、以下の通りと考えられる。即ち、本実施の形態2の照明装置をマクロ的に観察すれば、従来の点光源の光強度を1/2として1列のみのLED素子列を設け、且つLED素子間の中央位置に新たな1/2の点光源を追加したことと等価的な配置状態になったものとみなされるからである。
【0034】
また、本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保され、蛍光灯を使用した場合の照明状態に近似した照明状態が得られる。以下にその理由について説明する。
本実施の形態2では、実施の形態1のように2列のLED素子が横方向に並んで配置されておらず、軸方向に1/2ピッチずれて配置されている。従って、本実施の形態2における横方向に関する照明状態は、実施の形態1における横方向に関する照明状態そのものではなく、軸方向への分布を考慮したものとなる。しかしながら、1つの列のLED素子と他の列のLED素子との斜め方向の間隔は小さいことから、軸方向への分布の影響はそれほど大きくない。従って、横方向に関する照明状態は、実施の形態2と実施の形態1とは近似したものと考えられる。この結果、角度θ1を指向角度θの略2倍以下(θ×2≧θ1)に設定する構成、角度θ1を180度からLED素子Dにおける指向角の略2倍を引いた角度以上(θ×2+θ1≧180度)にする構成、θ×2≧θ1及びθ×2+θ1≧180度を両方とも満たす構成のいずれにおいても、横方向に関して広範囲に適度な明るさが確保され、蛍光灯を使用する照明状態に近似した照明状態が得られる。
【0035】
こうして、本実施の形態2においては、軸方向及び横方向の光強度の均一性の高い照射角度範囲が得られることになる。この結果、蛍光灯を使用した照明状態に近似した照明状態が得られる。この点に関しては、後述する本発明者の実験結果により立証されている。
【0036】
(実施の形態3)
図9は実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の平面図、図10は実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の側面図、図11は図9のA3−A3線矢視断面図である。本実施の形態の照明装置に使用される照明基板2Bは、底面部21aと、底面部21aの両側から斜め側方に延びる取付部21b,21cと、取付部21b,21cの端部に連なり内方側に略水平の延びる内向きフランジ部21d,21eとを有する。取付部21bの表面には反射層22aが形成され、取付部21cの表面には反射層22bが形成されている。この反射層22a,22bは銀等の反射率の大きい材料による鏡面塗装が施されて形成されていてもよいし、反射率の大きいステンレス基板でもよいし、熱伝導性を考慮して鏡面アルミ基板でもよい。反射層22aには、複数(本実施の形態では10個)のLED素子Dが所定のピッチで載置され、反射層22bには、複数(本実施の形態では10個)のLED素子Dが所定のピッチで載置されている。反射層22a上のLED素子Dと、反射層22b上のLED素子Dとは、照明基板2Bの軸方向に1/2ピッチずれて配置されている。
【0037】
また、照明基板2Bの軸方向両端には端板20が取り付けられている。
ここで、取付部21cと底面部21aとの成す角度θ4は、取付部21bと底面部21aとの成す角度θ5と略同一に設定されている。角度θ4(角度θ5)は、例えば、100〜150の範囲とされている。
【0038】
上記構成の照明装置によれば、反射層22a,22bを設けることにより、LED素子Dからの光が反射層22a,22bにより反射されて前方側に照射される。このとき、反射層22a,22bの反射率が極めて大きいことから、一列に配置されているLED素子列の各LED素子D間の中央位置に、そのLED素子列に対向する側のLED素子列からの光による仮想的なLED光源が付加された状態となる。従って、1つのLED素子列におけるLED素子D間のピッチは、実質的に1/2倍になったとみなせる。この結果、軸方向及び横方向の照明強度が向上する。従って、LED素子Dの個数を増加することなく、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態を得ることができる。この点に関しては、後述する本発明者の実験結果により立証されている。
【0039】
なお、照明状態をさらに向上するためには、角度θ4(角度θ5)を調整して最適な角度に設定すればよい。
【0040】
(その他の事項)
上記実施の形態2では、第1の取付部6に配置されたLED素子Dと、第2の取付部7に配置されたLED素子Dとが、軸方向に1/2ピッチずれて配置されていたけれども、1/2以外の値でずらして配置してもよい。
【実施例】
【0041】
(実験例1)
上記実施の形態2の照明装置(以下、本発明照明装置X1と称する)と、蛍光灯を使用した照明装置(以下、比較照明装置Y1と称する)と、平板状の照明基板にLED素子を軸方向に1列配置した照明装置(以下、比較照明装置Y2と称する)とについて、以下の条件で、床面の照度を測定したので、その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(条件)
・本発明照明装置X1の寸法(図6、図7参照)
照明基板2Aの全長L10=1100[mm]、第1の取付部6の横長さL2=第2の取付部7の横長さL1=36[mm]、第1の反射部8の横長さL4=第2の反射部9の横長さL3=20[mm]、LED素子間のピッチP=200[mm]、一列のLED素子の個数=5個、LED素子の指向角θ=65[度]、角度θ1=角度θ2=角度θ3=130[度]である。
・本発明照明装置X1の発光強度:33[W]、2000[lm]×2である。
・比較照明装置Y1の寸法
蛍光管の全長=1100[mm]である。
比較照明装置Y1の発光強度:400[W]の蛍光管が2本、2910[lm]×2である。
・比較照明装置Y2の寸法
照明基板の全長L10=1100[mm]、一列のLED素子の個数=10個、LED素子間のピッチP=100[mm]である。
【0044】
・測定条件
測定位置:照明装置の直下2[m]の照度、及び、照明装置の直下2[m]の位置から左右横方向に1[m]、2[m]、3[m]、4[m]、5[m]離れ位置の照度をそれぞれ測定した。
【0045】
(試験結果の検討)
表1に示すように、5[m]離れ位置の照度に関して、比較照明装置Y2に比べて、本発明照明装置X1は比較照明装置Y1に近寄った値が得られている。この結果、本発明は、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態が得られることが理解される。
【0046】
(実験例2)
上記実施の形態3の照明装置(以下、本発明照明装置X2と称する)と、蛍光灯を使用した照明装置(以下、比較照明装置Y3と称する)とについて、以下の条件で、床面の照度を測定したので、その結果を表2、表3、図12、図13に示す。なお、表2及び図12は横方向の照明状態の測定結果であり、表3及び図13は軸方向の照明状態の測定結果である。また、図12において、M1は本発明照明装置X2の場合を示し、M2は比較照明装置Y3の場合を示す。図13において、M3は本発明照明装置X2の場合を示し、M4は比較照明装置Y3の場合を示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
(条件)
・本発明照明装置X2の寸法(図9、図11参照)
照明基板2Bの全長L10=1100[mm]、LED素子D間のピッチP=100[mm]、全体のLED素子の個数は20個で、各一列のLED素子の個数=10個、LED素子の指向角θ=65[度]、角度θ5=角度θ6=130[度]である。
・本発明照明装置X2の発光強度:33[W]、2000[lm]×2である。
・比較照明装置Y3の寸法
蛍光管の全長=1100[mm]である。
・比較照明装置Y3の発光強度:400[W]の蛍光管が2本、2910[lm]×2である。
【0050】
・測定条件
測定位置:照明装置の直下2[m]の照度、及び、照明装置の直下2[m]の位置から左右横方向に1[m]、2[m]、3[m]、4[m]、5[m]離れ位置の照度をそれぞれ測定した。
【0051】
(試験結果の検討)
表2、表3、図12、図13に示すように、本発明照明装置X2は、軸方向及び横方向のいずれについても比較照明装置Y3に近寄った値が得られている。この結果、本発明は、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態が得られることが理解される。
【0052】
(実験例3)
上記実施の形態3の照明装置(以下、本発明照明装置X2と称する)と、反射層22a,22bを設けていないこと以外は実施の形態3の照明装置と同様の構成の照明装置(以下、比較照明装置Y4と称する)とについて、以下の条件で、床面の照度を測定したので、その結果を表4、表5、図14、図15に示す。なお、表4及び図14は横方向の照明状態の測定結果であり、表5及び図15は軸方向の照明状態の測定結果である。また、図14において、M5は本発明照明装置X2の場合を示し、M6は比較照明装置Y4の場合を示す。図15において、M7は本発明照明装置X2の場合を示し、M8は比較照明装置Y4の場合を示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
(条件)
上記実験例2と同様に、照明装置の直下2[m]の照度、及び、照明装置の直下2[m]の位置から左右横方向に1[m]、2[m]、3[m]、4[m]、5[m]離れ位置の照度をそれぞれ測定した。
【0056】
(試験結果の検討)
表4、表5、図14、図15に示すように、本発明照明装置X2は、比較照明装置Y4に比べて、横方向及び軸方向のいずれにおいても、良好な照明状態が得られている。従って、反射層22a,22bを設けることにより、軸方向及び横方向の照明強度が向上することが理解される。この結果、反射層22a,22bを設けることにより、LED素子の個数を増加することなく、蛍光灯使用の照明装置の照明状態に近似した照明状態を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、LED素子を光源として使用した照明装置に好適に実施される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施の形態1に係る照明装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態1に係る照明装置に使用される照明基板の平面図。
【図3】図2のA1−A1線矢視断面図。
【図4】横方向の照明状態を説明するための図。
【図5】横方向の照明状態を説明するための図。
【図6】実施の形態2に係る照明装置に使用される照明基板の平面図。
【図7】図6のA2−A2線矢視断面図。
【図8】軸方向の照明状態を説明するための図。
【図9】実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の平面図。
【図10】実施の形態3に係る照明装置に使用される照明基板の側面図。
【図11】図9のA3−A3線矢視断面図。
【図12】実験例2の実験結果を示すグラフ。
【図13】実験例2の実験結果を示すグラフ。
【図14】実験例3の実験結果を示すグラフ。
【図15】実験例3の実験結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0059】
1:照明装置 2:照明基板
6:第1の取付部 7:第2の取付部
8:第1の反射部 9:第2の反射部
D:LED素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、
前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、
前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、
前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、
前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、
前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、
前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、
前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、
前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、
前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、
前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、180度からLED素子における指向角の略2倍を引いた角度以上に設定されていることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記第1の取付部に配置された複数のLED素子と前記第2の取付部に配置された複数のLED素子とが、前記軸方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第1の反射部が形成され、前記第2の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第2の反射部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項1】
長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、
前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、
前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、
前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、
前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、
前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
長手状の照明基板にLED素子を設け、LED素子を光源として使用する照明装置であって、
前記照明基板は、軸直角断面がV字状であって、軸を含む鉛直面に関して対称な第1の取付部と第2の取付部とを有し、
前記第1の取付部には、複数のLED素子が照明基板の軸方向に沿って所定ピッチで配置され、
前記第2の取付部には、前記第1の取付部におけるLED素子と同じ個数の複数のLED素子が、照明基板の軸方向に沿って、前記第1の取付部におけるLED素子の所定ピッチと同一ピッチで配置され、
前記第1の取付部及び前記第2の取付部に配置された各LED素子は、全て指向特性が同一であり、
前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、180度からLED素子における指向角の略2倍を引いた角度以上に設定されていることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記第1の取付部に配置された複数のLED素子と前記第2の取付部に配置された複数のLED素子とが、前記軸方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の取付部と前記第2の取付部との成す角度が、LED素子における指向角の略2倍以下に設定されていることを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第1の反射部が形成され、前記第2の取付部の側縁部には、前方側に折曲してLED素子からの光を反射して前方側に出射する第2の反射部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−3644(P2010−3644A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163621(P2008−163621)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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