照明装置
【課題】LEDを有する照明装置において、発光効率向上および発光放射角度低減を実現する。
【解決手段】LED照明装置のケース4内のヒートシンク7の上にLEDチップ1が搭載されている。LEDチップ1には、外部からリードフレーム3と、ワイヤ2によって電流が供給される。LEDチップ1は、針状蛍光体9を含む蛍光体層を有する封止樹脂5によってカバーされ、封止樹脂5の上には、光を特定方向に集束するレンズ6が配置されている。針状蛍光体9はLEDチップ1からの一次光を吸収して二次光を発する。針状蛍光体9のアスペクト比を2以上とし、針状蛍光体9の長軸を前記蛍光体層の厚さ方向に配向させる。これによって、発光効率が高く、発光放射角度が小さい、すなわち、指向性のよい照明装置を得ることが出来る。
【解決手段】LED照明装置のケース4内のヒートシンク7の上にLEDチップ1が搭載されている。LEDチップ1には、外部からリードフレーム3と、ワイヤ2によって電流が供給される。LEDチップ1は、針状蛍光体9を含む蛍光体層を有する封止樹脂5によってカバーされ、封止樹脂5の上には、光を特定方向に集束するレンズ6が配置されている。針状蛍光体9はLEDチップ1からの一次光を吸収して二次光を発する。針状蛍光体9のアスペクト比を2以上とし、針状蛍光体9の長軸を前記蛍光体層の厚さ方向に配向させる。これによって、発光効率が高く、発光放射角度が小さい、すなわち、指向性のよい照明装置を得ることが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、青色発光ダイオードや紫外発光ダイオードと蛍光体を備えて構成された照明装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明光源として蛍光灯が広く用いられているが、有害物質である水銀を用いていることや寿命が短いなどの短所がある。このため近年では、有害物質を用いていない、長寿命、発光効率が高いなどの特徴から白色LED(Light Emitting Diode)を用いた照明光源が使用されるようになってきている。白色LEDを用いた照明においてはこのほかにも次のような利点がある。
【0003】
(1)直流駆動が可能であるため従来の交流駆動の蛍光灯で発生するちらつきが無く目に優しい。(2)LEDを用いた照明においては従来の蛍光灯に比べて紫外線の発生量が少ないため、人体への影響が少なく、材料劣化を抑えることができる。(3)従来の蛍光灯でも用いられているガラスを使用しないため、万が一天井から落下しても危険が少ない。
【0004】
このような特徴から、発光ダイオード(LED)を光源に用いて構成された発光素子は、家庭照明をはじめとする照明用や、液晶表示素子のバックライト用など、次世代の照明光源として注目され、近年盛んに研究と開発とが進められている。
【0005】
LED発光素子を用いて白色光を得る方式としては、
(1)光の3原色である赤色(R:Red)、緑色(G:Green)、および青色(B:Blue)の3色の発光をそれぞれ実現する3種のLEDを組み合わせて白色光を得る方式、
(2)青色発光する青色LEDを励起源として使用し、黄色発光蛍光体や緑色、赤色等の発光蛍光体を励起することによって光源の青色光と蛍光体の発光色の混合により白色光を得る方式、
(3)410nmより短波長の近紫外領域に発光ピークを有する紫外(UV:UltraViolet)発光LEDを励起源として使用し、赤発光蛍光体、緑発光蛍光体、および青発光蛍光体を励起することによって赤青緑3色の光を得、これらを混合させて、白色を得る方式。
の3つの方式が知られている。
【0006】
これらのうち(2)(3)は蛍光体を用いる方式であり(1)の方式よりも高演色性を実現しやすい利点がある。
【0007】
蛍光体を用いた方法の一例として、図2を用いて上記(2)の方式のLEDの構造について説明する。青色LEDチップ1はワイヤ2によりリードフレーム3に接続されており、外部駆動回路よりリードフレーム3に電力を供給することにより青色LEDチップ1を点灯する。
【0008】
青色LEDチップ1は、ヒートシンク7に接着されており、発光時のチップ発熱を外部に逃がすことによりチップ温度の上昇を抑え、発光を安定化させている。また、青色LEDチップ1は、蛍光体粒子8を混合した封止樹脂5により、ケース4内に封止されている。青色LEDチップからの青色光により蛍光体粒子8が励起され、黄色や赤、緑色等を発光する。これら蛍光体粒子8からの発光色と、青色LEDチップ1からの青色光が混合され、白色光がLEDより放射される。さらに、必要に応じてLED表面にはレンズ6を構成することで、LEDから放射される白色光の放射角を狭めることが可能となる。
【0009】
なお、白色LEDの高効率化について記載されたものとして「非特許文献1」が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】LED2009(日経BP社 2008.12.19刊) P53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図3に示したように、通常の蛍光体粒子は概略球状に近い形状を有し、発光は粒子形状に対してほぼ等方的である。また白色LEDにおける蛍光膜は、図4に示したように数層の蛍光体粒子からなる蛍光膜として形成されており、ある蛍光体粒子からの発光は、他の蛍光体粒子に何度も反射しながら蛍光膜外に放射されるため膜外に放出されるまでの損失が大きく光の取り出し効率が低い。また蛍光膜面から放射される光の放射角も広くなる課題があった。
【0012】
本発明の課題は、LEDを用いた平面照明光源において、発光効率向上を向上させることおよび光放射特性の向上、具体的には出射光の指向性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以上のような課題を解決するものであり、LEDを用いた平面照明光源において、概略針状の蛍光体を蛍光体層の厚さ方向に配向させることにより、発光異方性を発現させ、発光効率の向上および発光放射角の狭小化を実現することを特徴としている。本発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
(a)一次光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードからの一次光を吸収して二次光を発する蛍光体から構成され、蛍光体粒子の1種類は、粒子形状の長径と短径の比であるアスペクト比が2以上の針状粒子であり、蛍光体層の深さ方向に配向していることを特徴とする照明装置である。
【0015】
(b)一次光を発する発光ダイオード、発光ダイオードからの一次光を吸収して二次光を発する蛍光体、導光体、反射シート及び必要な場合は拡散シートから構成され、導光体の面のうち、発光ダイオードからの光入射面および白色光放出面以外の面が反射シートに覆われており、反射シートまたは導光体あるいは拡散シートに蛍光体が配置され、少なくとも蛍光体粒子の1種類は、粒子形状の長径と短径の比であるアスペクト比が2以上の針状粒子であり、蛍光体層の深さ方向に配向していることを特徴とする照明装置である。
【0016】
(c)また、本照明装置においては、少なくともY(P,V)O4:Euまたは(Y,Gd)(P,V)O4:Eu蛍光体を用いることが好ましい。
【0017】
(d)また、本照明装置においては、少なくともLaPO4:Ce,TbまたはZn2SiO4:Mnまたはβ型サイアロン蛍光体((Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04)を用いることが好ましい。
【0018】
(e)また、本照明装置においては、少なくともZnO蛍光体を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
本発明では、図5に示した発光異方性を持った針状蛍光体材料を使用し、図6に示したように発光強度の強い方向を蛍光膜光出射方向に合うように配向させることで発光効率の向上を可能とし、さらには発光放射角度を狭くすることも可能となる。
【0021】
白色LEDにおいては、図7に示したように蛍光体励起用LEDチップ10として、InGaN系の青色発光LEDチップまたは、近紫外励起LEDチップを用い、蛍光体としては発光異方性を持った針状蛍光体粒子9を少なくとも一種類使用する。蛍光体発光は結晶方向に対して異方性を示すため、発光強度の強い方向を蛍光膜発光出射方向に合うように配向させることで発光効率の向上が可能であり、さらには発光放射角度を狭くすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態である照明装置の断面模式図である。
【図2】白色LEDの構造を説明する断面模式図である。
【図3】蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図4】蛍光膜内での蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図5】針状蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図6】蛍光膜内での針状蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図7】本発明における代表的構造を示す断面模式図である。
【図8】配向度を説明する図である。
【図9】蛍光膜構造を説明する図である。
【図10】蛍光体励起LEDと蛍光体塗布反射シートからなる照明装置を示す模図である。
【図11】図10における蛍光体塗布反射シートの構造を示す模式図である。
【図12】蛍光体励起LEDと蛍光体分散導光体からなる照明装置を示す模式図である。
【図13】図12における蛍光体分散導光体構造を示す模式図である。
【図14】蛍光体励起LEDと蛍光体塗布拡散シートからなる照明装置を示す模式図である。
【図15】図14における蛍光体塗布拡散シート構造を示す模式図である。
【図16】白色LEDを用いた照明装置の一例を示す図である。
【図17】白色LEDを用いた照明装置の他の例を示す図である。
【図18】評価用LED構造を示す断面模式図である。
【図19】発光放射角度を説明する図である。
【図20】針状赤色蛍光体の形状写真である。
【図21】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図22】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図23】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図24】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図25】実施例1〜5の効果を示す表である。
【図26】実施例6〜10の効果を示す表である。
【図27】実施例11〜16の効果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
代表例として図7の構造について説明する。本発明においては、概略針状の形状を有し、発光出射方向に異方性をもった蛍光体粒子を用いることを特徴とし、針状蛍光体が蛍光膜の光出射方向に対して配向していることを特徴とする。
【0025】
蛍光体励起用LEDチップ10としては、InGaN系の青色発光LED(発光波長450〜475nm)または、近紫外励起LED(発光波長365-420nm)を用いることが可能である。
【0026】
蛍光体としては、粒子形状が針状に近いものがふさわしく、赤色蛍光体としては、Y(P,V)O4:Euまたは(Y,Gd)(P,V)O4:Euを、また、緑色蛍光体としては、LaPO4:Ce,TbまたはZn2SiO4:Mnまたはβ型サイアロン蛍光体(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04)を、また、青色蛍光体としてはZnO蛍光体を用いることができる。
【0027】
蛍光体構成元素の酸化物、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、リン酸塩などの原料混合物と必要に応じてフラックスやフッ化物などの不純物を添加し、固相反応、水熱反応、均一沈殿法、共沈法、ゾルゲル法、噴霧熱分解法などを用いてこれら蛍光体を合成することが可能である。
【0028】
針状蛍光体の形状としては、長径と短径の比であるアスペクト比が2以上の針状粒子であることが好ましい。また針状蛍光体の長軸方向が蛍光膜の光出射方向に配向していることを特徴とする。
【0029】
針状蛍光体の蛍光膜内における配向度を図8において説明する。蛍光膜における配向度を次のように定義する。針状蛍光体における長軸方向を図8(a)のように示す。また、蛍光膜における光出射方向を図8(b)に矢印で示した。この針状蛍光体長軸方向と光出射方向とのなす角度(θ(単位:°))を図示のように定義する。この際、配向度(O)を次のように定義する。
O=(90−θ)/90 ×100(%)
図8(c)に示したように針状蛍光体長軸方向と光出射方向が一致する場合(θ=0°)、O=100(%)であり、針状蛍光体長軸方向と光放射方向が直交する場合(θ=90°)、O=0(%)となる。実際の蛍光膜においては複数の蛍光体粒子が存在するため、各蛍光体の配向度(O)の平均値として平均配向度(OAV)を定義する。蛍光膜中の針状蛍光体の長軸方向がランダムに分散する場合、平均配向度(OAV)は50%となる。
【0030】
本発明においては、平均配向度(OAV)が55%以上であることを特徴とする。なお、配向度(O)の平均値の測定の仕方は、具体的には、次のように行う。すなわち、照明装置に使用されている蛍光膜から、面積が100μm×100μm、厚さが10μmのサンプルを取り出し、縦方向と横方向の断面における顕微鏡写真を撮り、この写真における各蛍光体の配向度を測定して平均を取る。
【0031】
複数種類の蛍光体を用いる場合、すべての蛍光体が針状である必要はなく、少なくとも一種類の蛍光体が針状形態であればよい。そのため、前述の針状蛍光体と以下の非針状蛍光体とを組み合わせて使用することが可能である。
非針状蛍光体としては、YAG:Ce(Y3Al5O12:Ce)の他、Tb3Al5O12:Ce、Lu3Al5O12:Ce、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu,(Si,Al)6(O,N)8:Eu、CaAlSiN3:Eu、CaS:Eu、SrS:Eu、ZnS:Cu、Al、SrGa2S4:Eu、CaGa2S4:Eu、(Sr,Ca,Ba)SiO4:Eu、(Sr,Ca,Ba)3SiO5:Eu、CaSc2O4:Ce,Ca3Sc2Si3O12:Ce、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu、SrAl2O4:Eu、Y2O3:Eu、(Y,Gd)BO3:Euなどを用いることが可能である。照明装置の発光効率と演色性との設計値により、これら蛍光体を適宜組み合わせて用いる。
【0032】
さらに紫外励起LEDを用いる場合には、BaMgAl10O17:Eu,Mn、BaMg2Al16O27:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Ba)Si2O2N2:Eu、La2O2S:Eu、(Ba,Sr)MgAl10O17:Euと、(Ba,Sr,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Euと、Sr5(PO4)3Cl:Eu、ZnS:Agと、ZnS:Ag,Alなど一般的な紫外励起用蛍光体を用いることもできる。
【0033】
また、針状結晶として前述した蛍光体についても合成条件により概略球状になるものもあり、非針状結晶として利用することも可能である。
【0034】
これら蛍光体をシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂内に分散した膜を形成する。まず、蛍光体と熱硬化前のこれら透明樹脂との混合液を作製する。蛍光体の混合液に対する重量濃度が5〜70wt%となるように秤量し、脱泡攪拌器等を用いて均一な混合液を作製する。この蛍光体混合液をディスペンサ、スクリーン印刷、バーコータ等を用いて蛍光体励起用LEDチップ上に形成する。蛍光膜厚さは、10〜200μm程度が好ましい。蛍光膜形成後、80〜150℃の温度で加熱して透明樹脂を固化させて蛍光膜を形成する。加熱温度、焼成プロファイルは、必要に応じて多段ステップとすることもある。蛍光膜作成時の蛍光体濃度、蛍光膜厚さは必要に応じて上記記載の値以外にも調整することが可能である。
【0035】
複数組成の蛍光体を用いる場合、すべてを混合して用いる方法(図9(b))の他、図9(c)のように層状にする構造、図9(d)のように蛍光膜内で異種の蛍光体を分離する構造を用いることが可能である。
【0036】
これらの針状蛍光体を配向させる方法としては、方向性を持った溝中への塗布方法や、電界による配向方法や、ラビングによる方法、穴あき基板中への配向などの方法を使用し、蛍光膜中で蛍光体粒子を配向させることが可能である。
【0037】
図7示した白色LED構造の他、導光体を用いた照明構造への適用も可能である。図10は反射シートに蛍光体を形成したものである。蛍光体励起LED12からの光を導光する導光体11は、ポリメチルメタクリレート樹脂(Polymethyl Metacrylate;PMMA),ポリカーボネート樹脂(Poly Carbonate;PC),シクロオレフィンポリマー樹脂(Cyclic Olefin Polymer;COP)などの透明樹脂で形成され、角柱状、平板状、くさび形状の形状を有する。導光体11の反射シート13に接する面には反射機能を付加することもある。この場合には二酸化チタン等の白色粒子を含むインクをスクリーン印刷等の方法でパターニングしたり、溝加工を施すこともある。蛍光体励起LED12と導光体11の光結合のため、両者の間にマッチングオイルを挟みこむ場合もある。
【0038】
図11に示したように反射シート14の表面に針状蛍光体配向膜15を前述の方法で形成する。反射シート14としては、拡散反射を用いた白色PETフィルムや、銀蒸着膜を用いた鏡面反射型フィルムを用いることが可能である。蛍光体励起LED12からの励起光は導光体11内を進みながら蛍光体塗布反射シート13に形成された針状蛍光体を励起し白色光を外部に放出する。
【0039】
蛍光体の配置は反射シートのほか、図12,14に示したような導光体や拡散シートに蛍光体を分散してもよい。導光体11に針状蛍光体配向膜15を配置する場合、図13に示したように導光体11内部に配置する他、導光体表面部分に配置してもよい。同様に拡散シート17に針状蛍光体配向膜15を配置する場合についても図15に示したように拡散シート17内部に配置する他、拡散シート17の表面部分に配置してもよい。
【0040】
さらに図16,17に示す構造のように蛍光体励起LED12を複数設置することも可能である。LEDに関しては青色LEDの他、紫外発光LEDを使えることは言うまでもない。
【実施例1】
【0041】
針状赤色蛍光体であるY0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4を以下の合成式に従い固相法により合成した。
0.65×2(NH4)2HPO4+ 0.46Y2O3+0.39Gd2O3+0.15Eu2O3+0.35V2O5 +0.2H3BO3(フラックス)
⇒2Y0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4+0.65×2×NH3↑+0.65×2×1.5H2O+4O2↑+0.2H3BO3(フラックス)
合成原料として(NH4)2HPO4、Y2O3,Gd2O3,Eu2O3、V2O5およびフラックスとして,HBO3をボールミルにて1h混合した。混合品を大気雰囲気にて1100〜1300℃、1〜3h加熱した。本合成品を80℃の温水にて1h攪拌して不純物を溶解させた後、2h静置して上澄み液を除去し沈降物を120℃にて2h乾燥し、針状赤色蛍光体を得た。合成条件を変えることにより、蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)は2〜8となった。1300℃で3h加熱して合成した蛍光体の形状写真を図20に示す。
【0042】
本発明における平均のアスペクト比の測定は次のように行う。すなわち、照明装置に使用されている蛍光膜から、面積が100μm×100μm、厚さが10μmのサンプルを取り出し、縦方向と横方向の断面における顕微鏡写真を撮り、この写真における各蛍光体の短径と長径を測定し、その平均値を取る。
【0043】
本針状蛍光体を用い、図18(A)に示した蛍光体が配向した膜試料を、以下に述べる方法で作製した。アクリル製の樹脂基板19上に、スクリーン印刷法により幅100μmのシリコーン樹脂からなるストライプ状の配向リブ20を作製した(図21)。図21において、黒矢印はスキージスクレッパ移動方向である。
【0044】
合成した針状蛍光体をシリコーン樹脂に混合し、この混合物を脱泡攪拌器を用いて2000rpmで4分間混合した。この際、蛍光体の濃度は40wt%とした。本混合物をスクリーン印刷法により、配向リブ間の溝内に塗布したのち、乾燥炉にて150℃で2h加熱することで硬化させ、蛍光体分散樹脂21内に針状蛍光体粒子22が分散した、図22に示した構造を作製した。本手順を繰り返すことで図23に示した構造を作製した。さらに図23の構造を図示した断面で切断することで図24の構造を得た。図24は図23を点線で切断した断面図である。本切断構造を蛍光体励起用LEDチップ10上にシリコーン樹脂で接着することで図18(A)の構造を作製した。
LEDチップとしては発光中心波長390nmのチップを用いた。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は55―80%、であった。本構造を用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、以下に示す比較例1との比較を行った。その結果を図25の表1に示す。
【0045】
発光効率の単位はlm/Wであり、入力電力に対する全光束を測定したものである。全光束は出射面からの全ての方向の光をデテクタによって測定する。また、発光放射角度は、図19に示したように、LED正面での発光強度に対して、発光強度が半分になる角度(θ(°))を用い、2×θの角度を発光放射角度と定義した。
【0046】
(比較例1)
赤色蛍光体であるY0.9Eu0.1(P0.65V0.35)O4を以下の合成式に従い固相法により合成した。
0.65×2YPO4+ 0.25Y2O3+0.10Eu2O3+1.1[0.35V2O5] +0.2×0.35Na2CO3
⇒2Y0.9Eu0.1 (P0.65V0.35)O4+0.035Na4V2O7(フラックス)+0.07CO2↑
合成原料としてYPO4、Y2O3、Eu2O3、V2O5およびNa2CO3をボールミルにて1h混合した。混合品を大気雰囲気にて1300℃、3h加熱し蛍光体を合成した。本合成品を80℃の温水にて1h攪拌して不純物を溶解させた後、2h静置して上澄み液を除去し沈降物を120℃にて2h乾燥し、赤色蛍光体を得た。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ1であった。
【0047】
本蛍光体をシリコーン樹脂に混合し、この混合物を脱泡攪拌器を用いて2000rpmで4分間混合した。この際、蛍光体の濃度は40wt%とした。本混合物をディスペンサを用いてLEDチップ表面にポッティグしたのち、乾燥炉にて150℃で2h加熱することで硬化させ、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。ただし、LEDチップとしては発光中心波長390nmのチップを用いた。本条件で作成した蛍光膜における蛍光体の平均配向度(OAV)は50%、であった。本構造を用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例1との比較を行った。その結果を図25の表1に示す。
【0048】
表1において、蛍光体特性として、アスペクト表示領域と平均配向度をとり、LEDの特性としては、発光効率と発光放射角度を取っている。本発明の目的からは、発光効率は高い方が良く、発光放射角度は小さい方が良い。表1において、実施例1では、アスペクト比8で平均配向度80%、アスペクト比5で平均配向度70%、アスペクト比2で平均配向度55%、のサンプルについて、発光効率と発光放射角度の測定結果が記載されている。また、比較例1では、アスペクト比1で平均配向度50%のサンプルについて、発光効率と発光放射角度が記載されている。
【0049】
表1に示すように、実施例1における全てのサンプルで、発光効率、発光放射角度とも比較例よりも優れた結果が得られた。また、実施例のなかでも、アスペクト比が高く、平均配向度が高いほど、発光効率が高く、指向性の高い、すなわち、発光放射角度の小さいLEDを得ることが出来る。また、実施例1において、アスペクト比が2以上で、平均配向度が55%以上であれば、発光効率、指向性とも、比較例を上回ることが出来る。
【実施例2】
【0050】
La(NO3)3、H3PO4、Tb4O7,酢酸セリウムを出発原料とし、これらの原料の混合水溶液を作製し、硝酸によりPH調整を行った。PH1,130℃、24Hで沈殿させることにより針状緑色蛍光体であるLaPO4:Ce0.01,Tb0.01を得た。
【0051】
蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)は8であった。本針状蛍光体を用い、図18(A)に示すように蛍光体が配向したLEDを、実施例1と同様の方法で作製した。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は75%、であった。
【0052】
(比較例2)
La(NO3)3、H3PO4、Tb4O7,CeCl3を出発原料とし、従来の固相法により1300℃、3h加熱することにより緑色発光蛍光体であるTb0.01LaPO4:Ce0.01,Tb0.01を合成した。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比は1であった。本蛍光体を用いて比較例1と同様の評価用LED構造を作製した。蛍光体の平均配向度(OAV)は50%であった。
【0053】
実施例2と比較例2の構成において、LEDの発光効率と発光放射角度を評価した結果を表1に示す。表1に示すように、実施例2の構成は、比較例2の構成よりも、発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例3】
【0054】
固相法によりZnO、SiO2,MnCO3を出発原料とし、原料をボールミル混合後、大気中で900℃、1h加熱することで緑色発光蛍光体であるZn2SiO4:Mn0.09を合成し、針状緑色蛍光体を得た。
【0055】
蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)は10であった。本針状蛍光体を用い、図18(A)に示すように蛍光体が配向したLEDを、実施例1と同様の方法で作製した。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は85%であった。
【0056】
(比較例3)
固相法によりZnO、SiO2,MnCO3を出発原料とし、原料をボールミル混合後、大気中で1200℃、3h加熱することで緑色発光蛍光体であるZn2SiO4:Mn0.09を合成し、緑色蛍光体を得た。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ1であった。本蛍光体を用いて比較例1と同様の評価用LED構造を作製した。
蛍光体の平均配向度(OAV)は52%であった。
【0057】
実施例3と比較例3の構成において、LEDの発光効率と発光放射角度を評価した結果を表1に示す。表1に示すように、実施例3の構成は、比較例3の構成よりも、発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例4】
【0058】
窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ユーロピウムを合成原料とし、これら原料の混合物を窒素雰囲気、1900℃で4h焼成することで(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04
針状緑蛍光体を合成した。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ5であった。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は90%である。本蛍光体を用いて実施例1と同様に、図18(A)に示す評価用LEDを製作した。
【0059】
(比較例4)
実施例4と同様の緑蛍光体を合成した。ただし、比較例では、蛍光体の平均配向度(OAV)は20%になるような条件とした。本蛍光体を用いて比較例1と同様な図18(B)に示すLEDを製作した。
【0060】
実施例4のLEDと比較例4のLED用いて発光効率と発光放射角度を評価した結果を表1に示す。実施例4と比較例4とでは、蛍光体のアスペクト比は同じであるが、平均配向度(OAV)が異なる。表1の実施例4と比較例4の比較からわかるように、同じアスペクト比であっても平均配向度(OAV)が大きいほうが、発光効率、発光放射角度のいずれにおいても優れた結果となっている。
【実施例5】
【0061】
ZnOとZnCl2を出発原料とし、水熱合成法により500℃、2h加熱することで青緑色発光蛍光体であるZnOを合成し、針状蛍光体を得た。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ5であった。本蛍光体を用いて実施例1と同様の評価用LED構造を作製した。本実施例における蛍光体の平均配向度(OAV)は90%であった。
(比較例5)
実施例5に示した蛍光体を用い、図18(B)に示した蛍光体が配向した膜試料を、比較例1と同様の方法で作製した。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は30%であった。
【0062】
実施例5と比較例5のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例5と比較例5との比較を行った。表1に結果を示す。本実施例5により、発光効率向上と発光放射角度の低減が実現できた。実施例5と比較例5とでは、蛍光体のアスペクト比は同じであるが、平均配向度(OAV)が異なる。表1の実施例5と比較例5の比較からわかるように、同じアスペクト比であっても平均配向度(OAV)が大きいほうが、発光効率、発光放射角度のいずれにおいても優れた結果となっている。
【実施例6】
【0063】
実施例1で用いた針状赤色蛍光体であるY0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4にほぼ円形のBaMgAl10O17:Eu,Mn蛍光体を混合し、実施例1と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本実施例における針状蛍光体Y0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4のアスペクト比は4であり、平均配向度(OAV)は65である。
【0064】
(比較例6)
比較例1で用いたY0.9Eu0.1(P0.65V0.35)O4にほぼ球状のBaMgAl10O17:Eu,Mn蛍光体を混合し、比較例1と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本比較例におけるアスペクト比は1であり、平均配向度(OAV)は50%である。
【0065】
実施例6と比較例6のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例6と比較例6との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、アスペクト比が4であり、平均配向度(OAV)が65%の針状蛍光体を用いた場合、ほぼ球状のBaMgAl10O17:Eu,Mn蛍光体を混合した場合であっても、ほぼ球状の蛍光体のみを用いた比較例の場合よりも、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例7】
【0066】
実施例2で用いた針状蛍光体であるLaPO4:Ce0.01,Tb0.01にほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合し、実施例2と同様に、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本実施例における針状蛍光体LaPO4:Ce0.01,Tb0.01のアスペクト比は4であり、平均配向度(OAV)は60%である。
【0067】
(比較例7)
比較例2で用いたTb0.01LaPO4:Ce0.01,Tb0.01にほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合し、比較例2と同様に、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。
発光効率、発光放射角度を測定し、実施例7との比較を行った。本比較例におけるアスペクト比は1であり、平均配向度(OAV)は50%である。
【0068】
実施例7と比較例7のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例7と比較例7との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、アスペクト比が4であり、平均配向度(OAV)が60%の針状蛍光体を用いた場合、ほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合した場合であっても、ほぼ球状の蛍光体のみを用いた比較例の場合よりも、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例8】
【0069】
実施例3で用いた針状蛍光体であるZn2SiO4:Mn0.09にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、実施例3と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本実施例における針状蛍光体Zn2SiO4:Mn0.09のアスペクト比は5であり、平均配向度(OAV)は65である。
【0070】
(比較例8)
比較例3で用いたZn2SiO4:Mn0.09にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、比較例3と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本比較例におけるアスペクト比は1であり、平均配向度(OAV)は52%である。
【0071】
実施例8と比較例8のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例8と比較例8との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、アスペクト比が5であり、平均配向度(OAV)が65%の針状蛍光体を用いた場合、ほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合した場合であっても、ほぼ球状の蛍光体のみを用いた比較例の場合よりも、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例9】
【0072】
実施例4で用いた針状蛍光体である(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、実施例4と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製し、発光効率、発光放射角度を測定した。本実施例における針状蛍光体(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04のアスペクト比は2であり、平均配向度(OAV)は45である。
【0073】
(比較例9)
比較例4で用いた(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、比較例4と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本比較例における針状蛍光体(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04のアスペクト比は、実施例9と同様、2であるが、平均配向度(OAV)は20である。
【0074】
実施例9と比較例9のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例9と比較例9との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、ほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合した場合であっても、針状蛍光体において同じアスペクト比2で、平均配向度(OAV)が45と20というように異なる場合は、平均配向度(OAV)が高いほうが、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例10】
【0075】
実施例5で用いた針状蛍光体であるZnOに実施例3で用いたZn2SiO4:Mnと(Y,Gd)BO3:Eu、蛍光体を混合し、実施例5と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。すなわち、本実施例においては、蛍光体はいずれも針状である。また、本実施例における蛍光体のアスペクト比は3であり、平均配向度(OAV)は60である。
【0076】
(比較例10)
比較例5で用いたZnOに比較例3で用いたZn2SiO4:Mnと(Y,Gd)BO3:Eu、蛍光体を混合し、比較例5と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。すなわち、本比較例においては、蛍光体はいずれも針状である。また、本比較例における蛍光体のアスペクト比は2であり、平均配向度(OAV)は25である。
【0077】
実施例10と比較例10のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例9と比較例9との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、同じ成分の蛍光体を用いても、アスペクト比が高く、平均配向度(OAV)が大きいほうが、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例11】
【0078】
実施例1で用いた蛍光体を用い、図24の構造を反射シート上に構成した図10の構造を作製した。すなわち、本実施例では導光板11を囲む反射シート14の表面に針状蛍光体15が図11のように所定の平均配向度(OAV)によって配置している。本実施例における蛍光体のアスペクト比は8で、平均配向度(OAV)は80である。
【0079】
(比較例11)
比較例1で用いた蛍光体を用いて、図10に示した構造を作製し、発光効率を測定し、実施例11との比較を行った。すなわち、本実施例においては、ほぼ球状の蛍光体が導光板11を囲む反射シートの表面に形成されている。
【0080】
実施例11の構成と比較例11の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例11と比較例11との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例11における構成のほうが、比較例11における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【実施例12】
【0081】
実施例1で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図13の構造に加工した。すなわち、本実施例においては、図13に示すように、蛍光体が導光板11の内部に分散されている。図13では、蛍光体15が導光板11の内部に層状に形成されているが、かならずしも、層状である必要はない。但し、蛍光体の長径が導光板の厚さ方向である必要がある。つまり、蛍光体は、導光板の厚さ方向に所定の平均配向度(OAV)をもつ必要がある。本実施例における蛍光体のアスペクト比は8で、平均配向度(OAV)は85である。図13に示す導光板を用いて図12に示す照明構造を作成した。
【0082】
(比較例12)
比較例1で用いた蛍光体を用いて、蛍光体を分散した導光体11を作成し図12に示した照明構造を作成した。本比較例で使用した蛍光体のアスペクト比は1で、平均配向度(OAV)は50である。
【0083】
実施例12の構成と比較例12の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例12と比較例12との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例12における構成のほうが、比較例12における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0084】
なお、実施例12では、針状蛍光体は、導光板の内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を導光板の出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【実施例13】
【0085】
実施例1で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図15に示す拡散シートの構造に加工し、図14に示す照明構造を作成した。図14では、蛍光体15が拡散シート17の内部に層状に形成されているが、かならずしも、層状である必要はない。本実施例における蛍光体のアスペクト比は8で、平均配向度(OAV)は80である。
【0086】
(比較例13)
比較例1で用いた蛍光体を用いて、非針状蛍光体を分散した拡散シートを作成し図14に示した照明構造を作製した。本比較例における蛍光体のアスペクト比は1で、平均配向度(OAV)は50%である。
【0087】
実施例13の構成と比較例13の構成において、拡散シートの出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例13と比較例13との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例13における構成のほうが、比較例13における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0088】
なお、実施例13では、針状蛍光体は、拡散シートの内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を拡散シートの入射面あるいは出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【実施例14】
【0089】
実施例6で用いた蛍光体を用い、図24の構造を反射シート上に構成した図10の構造を作製した。導光板11を囲む反射シート14の表面に針状蛍光体15が図11のように所定の平均配向度(OAV)によって配置している。すなわち、本実施例では照明構造は実施例11と同様であるが、蛍光体が異なっている。本実施例における蛍光体のアスペクト比は4で、平均配向度(OAV)は65である。
【0090】
(比較例14)
比較例6で用いた蛍光体を反射シートの上に形成し、図10に示した構造を作製した。本実施例で用いた蛍光体のアスペクト比は1で平均配向度(OAV)は50%である。
【0091】
実施例14の構成と比較例14の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例14と比較例14との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例14における構成のほうが、比較例14における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【実施例15】
【0092】
実施例6で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図13の構造に加工した。すなわち、本実施例においては、図13に示すように、蛍光体が導光板11の内部に分散されている。図13に示す導光板を用いて図12に示す照明構造を作成した。本実施例の構造は実施例12と同様であるが、蛍光体が異なっている。本実施例における蛍光体のアスペクト比は4で、平均配向度(OAV)は65%である。
【0093】
(比較例15)
比較例6で用いた蛍光体を用いて、非針状蛍光体を分散した導光体11を作成し、図12に示した照明構造を作製した。本比較例で用いた蛍光体のアスペクト比は1で平均配向度(OAV)は50%である。
【0094】
実施例15の構成と比較例15の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例15と比較例15との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例15における構成のほうが、比較例15における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0095】
なお、実施例15では、針状蛍光体は、導光板の内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を導光板の出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【実施例16】
【0096】
OAV
実施例6で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図15の構造に加工し、図14の照明構造を作成した。図15において、針状蛍光体が拡散シート内に分散している。本実施例の構造は実施例13と同様であるが、蛍光体が異なる。本実施例における蛍光体のアスペクト比は4であり、平均配向度(OAV)は65%である。
【0097】
(比較例16)
比較例6で用いた蛍光体を用いて、非針状蛍光体を分散した拡散シートを形成し図14に示した構造を作製した。本比較例の構造は比較例13と同様であるが、蛍光体が異なる。本比較例におけるアスペクト比は1で平均配向度(OAV)は50%である。
【0098】
実施例16の構成と比較例16の構成において、拡散シートの出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例16と比較例16との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例16における構成のほうが、比較例16における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0099】
なお、実施例16では、針状蛍光体は、拡散シートの内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を拡散シートの入射面あるいは出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の発光素子は、信号灯、ディスプレイ装置のバックライト、および各種照明として広く適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 青色LEDチップ
2 ワイヤ
3 リードフレーム
4 ケース
5 封止樹脂
6 レンズ
7 ヒートシンク
8 蛍光体粒子
9 針状蛍光体粒子
10 蛍光体励起用LEDチップ
11 導光体
12 蛍光体励起LED
13 蛍光体塗布反射シート
14 反射シート
15 針状蛍光体配向膜
16 蛍光体分散導光体
17 拡散シート
18 蛍光体分散拡散シート
19 樹脂基板
20 配向リブ
21 蛍光体分散樹脂
22 針状蛍光体粒子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、青色発光ダイオードや紫外発光ダイオードと蛍光体を備えて構成された照明装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明光源として蛍光灯が広く用いられているが、有害物質である水銀を用いていることや寿命が短いなどの短所がある。このため近年では、有害物質を用いていない、長寿命、発光効率が高いなどの特徴から白色LED(Light Emitting Diode)を用いた照明光源が使用されるようになってきている。白色LEDを用いた照明においてはこのほかにも次のような利点がある。
【0003】
(1)直流駆動が可能であるため従来の交流駆動の蛍光灯で発生するちらつきが無く目に優しい。(2)LEDを用いた照明においては従来の蛍光灯に比べて紫外線の発生量が少ないため、人体への影響が少なく、材料劣化を抑えることができる。(3)従来の蛍光灯でも用いられているガラスを使用しないため、万が一天井から落下しても危険が少ない。
【0004】
このような特徴から、発光ダイオード(LED)を光源に用いて構成された発光素子は、家庭照明をはじめとする照明用や、液晶表示素子のバックライト用など、次世代の照明光源として注目され、近年盛んに研究と開発とが進められている。
【0005】
LED発光素子を用いて白色光を得る方式としては、
(1)光の3原色である赤色(R:Red)、緑色(G:Green)、および青色(B:Blue)の3色の発光をそれぞれ実現する3種のLEDを組み合わせて白色光を得る方式、
(2)青色発光する青色LEDを励起源として使用し、黄色発光蛍光体や緑色、赤色等の発光蛍光体を励起することによって光源の青色光と蛍光体の発光色の混合により白色光を得る方式、
(3)410nmより短波長の近紫外領域に発光ピークを有する紫外(UV:UltraViolet)発光LEDを励起源として使用し、赤発光蛍光体、緑発光蛍光体、および青発光蛍光体を励起することによって赤青緑3色の光を得、これらを混合させて、白色を得る方式。
の3つの方式が知られている。
【0006】
これらのうち(2)(3)は蛍光体を用いる方式であり(1)の方式よりも高演色性を実現しやすい利点がある。
【0007】
蛍光体を用いた方法の一例として、図2を用いて上記(2)の方式のLEDの構造について説明する。青色LEDチップ1はワイヤ2によりリードフレーム3に接続されており、外部駆動回路よりリードフレーム3に電力を供給することにより青色LEDチップ1を点灯する。
【0008】
青色LEDチップ1は、ヒートシンク7に接着されており、発光時のチップ発熱を外部に逃がすことによりチップ温度の上昇を抑え、発光を安定化させている。また、青色LEDチップ1は、蛍光体粒子8を混合した封止樹脂5により、ケース4内に封止されている。青色LEDチップからの青色光により蛍光体粒子8が励起され、黄色や赤、緑色等を発光する。これら蛍光体粒子8からの発光色と、青色LEDチップ1からの青色光が混合され、白色光がLEDより放射される。さらに、必要に応じてLED表面にはレンズ6を構成することで、LEDから放射される白色光の放射角を狭めることが可能となる。
【0009】
なお、白色LEDの高効率化について記載されたものとして「非特許文献1」が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】LED2009(日経BP社 2008.12.19刊) P53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図3に示したように、通常の蛍光体粒子は概略球状に近い形状を有し、発光は粒子形状に対してほぼ等方的である。また白色LEDにおける蛍光膜は、図4に示したように数層の蛍光体粒子からなる蛍光膜として形成されており、ある蛍光体粒子からの発光は、他の蛍光体粒子に何度も反射しながら蛍光膜外に放射されるため膜外に放出されるまでの損失が大きく光の取り出し効率が低い。また蛍光膜面から放射される光の放射角も広くなる課題があった。
【0012】
本発明の課題は、LEDを用いた平面照明光源において、発光効率向上を向上させることおよび光放射特性の向上、具体的には出射光の指向性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以上のような課題を解決するものであり、LEDを用いた平面照明光源において、概略針状の蛍光体を蛍光体層の厚さ方向に配向させることにより、発光異方性を発現させ、発光効率の向上および発光放射角の狭小化を実現することを特徴としている。本発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
(a)一次光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードからの一次光を吸収して二次光を発する蛍光体から構成され、蛍光体粒子の1種類は、粒子形状の長径と短径の比であるアスペクト比が2以上の針状粒子であり、蛍光体層の深さ方向に配向していることを特徴とする照明装置である。
【0015】
(b)一次光を発する発光ダイオード、発光ダイオードからの一次光を吸収して二次光を発する蛍光体、導光体、反射シート及び必要な場合は拡散シートから構成され、導光体の面のうち、発光ダイオードからの光入射面および白色光放出面以外の面が反射シートに覆われており、反射シートまたは導光体あるいは拡散シートに蛍光体が配置され、少なくとも蛍光体粒子の1種類は、粒子形状の長径と短径の比であるアスペクト比が2以上の針状粒子であり、蛍光体層の深さ方向に配向していることを特徴とする照明装置である。
【0016】
(c)また、本照明装置においては、少なくともY(P,V)O4:Euまたは(Y,Gd)(P,V)O4:Eu蛍光体を用いることが好ましい。
【0017】
(d)また、本照明装置においては、少なくともLaPO4:Ce,TbまたはZn2SiO4:Mnまたはβ型サイアロン蛍光体((Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04)を用いることが好ましい。
【0018】
(e)また、本照明装置においては、少なくともZnO蛍光体を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
本発明では、図5に示した発光異方性を持った針状蛍光体材料を使用し、図6に示したように発光強度の強い方向を蛍光膜光出射方向に合うように配向させることで発光効率の向上を可能とし、さらには発光放射角度を狭くすることも可能となる。
【0021】
白色LEDにおいては、図7に示したように蛍光体励起用LEDチップ10として、InGaN系の青色発光LEDチップまたは、近紫外励起LEDチップを用い、蛍光体としては発光異方性を持った針状蛍光体粒子9を少なくとも一種類使用する。蛍光体発光は結晶方向に対して異方性を示すため、発光強度の強い方向を蛍光膜発光出射方向に合うように配向させることで発光効率の向上が可能であり、さらには発光放射角度を狭くすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態である照明装置の断面模式図である。
【図2】白色LEDの構造を説明する断面模式図である。
【図3】蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図4】蛍光膜内での蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図5】針状蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図6】蛍光膜内での針状蛍光体粒子の発光を説明する図である。
【図7】本発明における代表的構造を示す断面模式図である。
【図8】配向度を説明する図である。
【図9】蛍光膜構造を説明する図である。
【図10】蛍光体励起LEDと蛍光体塗布反射シートからなる照明装置を示す模図である。
【図11】図10における蛍光体塗布反射シートの構造を示す模式図である。
【図12】蛍光体励起LEDと蛍光体分散導光体からなる照明装置を示す模式図である。
【図13】図12における蛍光体分散導光体構造を示す模式図である。
【図14】蛍光体励起LEDと蛍光体塗布拡散シートからなる照明装置を示す模式図である。
【図15】図14における蛍光体塗布拡散シート構造を示す模式図である。
【図16】白色LEDを用いた照明装置の一例を示す図である。
【図17】白色LEDを用いた照明装置の他の例を示す図である。
【図18】評価用LED構造を示す断面模式図である。
【図19】発光放射角度を説明する図である。
【図20】針状赤色蛍光体の形状写真である。
【図21】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図22】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図23】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図24】実施例1の作製方法の例を説明する図である。
【図25】実施例1〜5の効果を示す表である。
【図26】実施例6〜10の効果を示す表である。
【図27】実施例11〜16の効果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
代表例として図7の構造について説明する。本発明においては、概略針状の形状を有し、発光出射方向に異方性をもった蛍光体粒子を用いることを特徴とし、針状蛍光体が蛍光膜の光出射方向に対して配向していることを特徴とする。
【0025】
蛍光体励起用LEDチップ10としては、InGaN系の青色発光LED(発光波長450〜475nm)または、近紫外励起LED(発光波長365-420nm)を用いることが可能である。
【0026】
蛍光体としては、粒子形状が針状に近いものがふさわしく、赤色蛍光体としては、Y(P,V)O4:Euまたは(Y,Gd)(P,V)O4:Euを、また、緑色蛍光体としては、LaPO4:Ce,TbまたはZn2SiO4:Mnまたはβ型サイアロン蛍光体(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04)を、また、青色蛍光体としてはZnO蛍光体を用いることができる。
【0027】
蛍光体構成元素の酸化物、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、リン酸塩などの原料混合物と必要に応じてフラックスやフッ化物などの不純物を添加し、固相反応、水熱反応、均一沈殿法、共沈法、ゾルゲル法、噴霧熱分解法などを用いてこれら蛍光体を合成することが可能である。
【0028】
針状蛍光体の形状としては、長径と短径の比であるアスペクト比が2以上の針状粒子であることが好ましい。また針状蛍光体の長軸方向が蛍光膜の光出射方向に配向していることを特徴とする。
【0029】
針状蛍光体の蛍光膜内における配向度を図8において説明する。蛍光膜における配向度を次のように定義する。針状蛍光体における長軸方向を図8(a)のように示す。また、蛍光膜における光出射方向を図8(b)に矢印で示した。この針状蛍光体長軸方向と光出射方向とのなす角度(θ(単位:°))を図示のように定義する。この際、配向度(O)を次のように定義する。
O=(90−θ)/90 ×100(%)
図8(c)に示したように針状蛍光体長軸方向と光出射方向が一致する場合(θ=0°)、O=100(%)であり、針状蛍光体長軸方向と光放射方向が直交する場合(θ=90°)、O=0(%)となる。実際の蛍光膜においては複数の蛍光体粒子が存在するため、各蛍光体の配向度(O)の平均値として平均配向度(OAV)を定義する。蛍光膜中の針状蛍光体の長軸方向がランダムに分散する場合、平均配向度(OAV)は50%となる。
【0030】
本発明においては、平均配向度(OAV)が55%以上であることを特徴とする。なお、配向度(O)の平均値の測定の仕方は、具体的には、次のように行う。すなわち、照明装置に使用されている蛍光膜から、面積が100μm×100μm、厚さが10μmのサンプルを取り出し、縦方向と横方向の断面における顕微鏡写真を撮り、この写真における各蛍光体の配向度を測定して平均を取る。
【0031】
複数種類の蛍光体を用いる場合、すべての蛍光体が針状である必要はなく、少なくとも一種類の蛍光体が針状形態であればよい。そのため、前述の針状蛍光体と以下の非針状蛍光体とを組み合わせて使用することが可能である。
非針状蛍光体としては、YAG:Ce(Y3Al5O12:Ce)の他、Tb3Al5O12:Ce、Lu3Al5O12:Ce、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu,(Si,Al)6(O,N)8:Eu、CaAlSiN3:Eu、CaS:Eu、SrS:Eu、ZnS:Cu、Al、SrGa2S4:Eu、CaGa2S4:Eu、(Sr,Ca,Ba)SiO4:Eu、(Sr,Ca,Ba)3SiO5:Eu、CaSc2O4:Ce,Ca3Sc2Si3O12:Ce、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu、SrAl2O4:Eu、Y2O3:Eu、(Y,Gd)BO3:Euなどを用いることが可能である。照明装置の発光効率と演色性との設計値により、これら蛍光体を適宜組み合わせて用いる。
【0032】
さらに紫外励起LEDを用いる場合には、BaMgAl10O17:Eu,Mn、BaMg2Al16O27:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Ba)Si2O2N2:Eu、La2O2S:Eu、(Ba,Sr)MgAl10O17:Euと、(Ba,Sr,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Euと、Sr5(PO4)3Cl:Eu、ZnS:Agと、ZnS:Ag,Alなど一般的な紫外励起用蛍光体を用いることもできる。
【0033】
また、針状結晶として前述した蛍光体についても合成条件により概略球状になるものもあり、非針状結晶として利用することも可能である。
【0034】
これら蛍光体をシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂内に分散した膜を形成する。まず、蛍光体と熱硬化前のこれら透明樹脂との混合液を作製する。蛍光体の混合液に対する重量濃度が5〜70wt%となるように秤量し、脱泡攪拌器等を用いて均一な混合液を作製する。この蛍光体混合液をディスペンサ、スクリーン印刷、バーコータ等を用いて蛍光体励起用LEDチップ上に形成する。蛍光膜厚さは、10〜200μm程度が好ましい。蛍光膜形成後、80〜150℃の温度で加熱して透明樹脂を固化させて蛍光膜を形成する。加熱温度、焼成プロファイルは、必要に応じて多段ステップとすることもある。蛍光膜作成時の蛍光体濃度、蛍光膜厚さは必要に応じて上記記載の値以外にも調整することが可能である。
【0035】
複数組成の蛍光体を用いる場合、すべてを混合して用いる方法(図9(b))の他、図9(c)のように層状にする構造、図9(d)のように蛍光膜内で異種の蛍光体を分離する構造を用いることが可能である。
【0036】
これらの針状蛍光体を配向させる方法としては、方向性を持った溝中への塗布方法や、電界による配向方法や、ラビングによる方法、穴あき基板中への配向などの方法を使用し、蛍光膜中で蛍光体粒子を配向させることが可能である。
【0037】
図7示した白色LED構造の他、導光体を用いた照明構造への適用も可能である。図10は反射シートに蛍光体を形成したものである。蛍光体励起LED12からの光を導光する導光体11は、ポリメチルメタクリレート樹脂(Polymethyl Metacrylate;PMMA),ポリカーボネート樹脂(Poly Carbonate;PC),シクロオレフィンポリマー樹脂(Cyclic Olefin Polymer;COP)などの透明樹脂で形成され、角柱状、平板状、くさび形状の形状を有する。導光体11の反射シート13に接する面には反射機能を付加することもある。この場合には二酸化チタン等の白色粒子を含むインクをスクリーン印刷等の方法でパターニングしたり、溝加工を施すこともある。蛍光体励起LED12と導光体11の光結合のため、両者の間にマッチングオイルを挟みこむ場合もある。
【0038】
図11に示したように反射シート14の表面に針状蛍光体配向膜15を前述の方法で形成する。反射シート14としては、拡散反射を用いた白色PETフィルムや、銀蒸着膜を用いた鏡面反射型フィルムを用いることが可能である。蛍光体励起LED12からの励起光は導光体11内を進みながら蛍光体塗布反射シート13に形成された針状蛍光体を励起し白色光を外部に放出する。
【0039】
蛍光体の配置は反射シートのほか、図12,14に示したような導光体や拡散シートに蛍光体を分散してもよい。導光体11に針状蛍光体配向膜15を配置する場合、図13に示したように導光体11内部に配置する他、導光体表面部分に配置してもよい。同様に拡散シート17に針状蛍光体配向膜15を配置する場合についても図15に示したように拡散シート17内部に配置する他、拡散シート17の表面部分に配置してもよい。
【0040】
さらに図16,17に示す構造のように蛍光体励起LED12を複数設置することも可能である。LEDに関しては青色LEDの他、紫外発光LEDを使えることは言うまでもない。
【実施例1】
【0041】
針状赤色蛍光体であるY0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4を以下の合成式に従い固相法により合成した。
0.65×2(NH4)2HPO4+ 0.46Y2O3+0.39Gd2O3+0.15Eu2O3+0.35V2O5 +0.2H3BO3(フラックス)
⇒2Y0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4+0.65×2×NH3↑+0.65×2×1.5H2O+4O2↑+0.2H3BO3(フラックス)
合成原料として(NH4)2HPO4、Y2O3,Gd2O3,Eu2O3、V2O5およびフラックスとして,HBO3をボールミルにて1h混合した。混合品を大気雰囲気にて1100〜1300℃、1〜3h加熱した。本合成品を80℃の温水にて1h攪拌して不純物を溶解させた後、2h静置して上澄み液を除去し沈降物を120℃にて2h乾燥し、針状赤色蛍光体を得た。合成条件を変えることにより、蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)は2〜8となった。1300℃で3h加熱して合成した蛍光体の形状写真を図20に示す。
【0042】
本発明における平均のアスペクト比の測定は次のように行う。すなわち、照明装置に使用されている蛍光膜から、面積が100μm×100μm、厚さが10μmのサンプルを取り出し、縦方向と横方向の断面における顕微鏡写真を撮り、この写真における各蛍光体の短径と長径を測定し、その平均値を取る。
【0043】
本針状蛍光体を用い、図18(A)に示した蛍光体が配向した膜試料を、以下に述べる方法で作製した。アクリル製の樹脂基板19上に、スクリーン印刷法により幅100μmのシリコーン樹脂からなるストライプ状の配向リブ20を作製した(図21)。図21において、黒矢印はスキージスクレッパ移動方向である。
【0044】
合成した針状蛍光体をシリコーン樹脂に混合し、この混合物を脱泡攪拌器を用いて2000rpmで4分間混合した。この際、蛍光体の濃度は40wt%とした。本混合物をスクリーン印刷法により、配向リブ間の溝内に塗布したのち、乾燥炉にて150℃で2h加熱することで硬化させ、蛍光体分散樹脂21内に針状蛍光体粒子22が分散した、図22に示した構造を作製した。本手順を繰り返すことで図23に示した構造を作製した。さらに図23の構造を図示した断面で切断することで図24の構造を得た。図24は図23を点線で切断した断面図である。本切断構造を蛍光体励起用LEDチップ10上にシリコーン樹脂で接着することで図18(A)の構造を作製した。
LEDチップとしては発光中心波長390nmのチップを用いた。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は55―80%、であった。本構造を用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、以下に示す比較例1との比較を行った。その結果を図25の表1に示す。
【0045】
発光効率の単位はlm/Wであり、入力電力に対する全光束を測定したものである。全光束は出射面からの全ての方向の光をデテクタによって測定する。また、発光放射角度は、図19に示したように、LED正面での発光強度に対して、発光強度が半分になる角度(θ(°))を用い、2×θの角度を発光放射角度と定義した。
【0046】
(比較例1)
赤色蛍光体であるY0.9Eu0.1(P0.65V0.35)O4を以下の合成式に従い固相法により合成した。
0.65×2YPO4+ 0.25Y2O3+0.10Eu2O3+1.1[0.35V2O5] +0.2×0.35Na2CO3
⇒2Y0.9Eu0.1 (P0.65V0.35)O4+0.035Na4V2O7(フラックス)+0.07CO2↑
合成原料としてYPO4、Y2O3、Eu2O3、V2O5およびNa2CO3をボールミルにて1h混合した。混合品を大気雰囲気にて1300℃、3h加熱し蛍光体を合成した。本合成品を80℃の温水にて1h攪拌して不純物を溶解させた後、2h静置して上澄み液を除去し沈降物を120℃にて2h乾燥し、赤色蛍光体を得た。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ1であった。
【0047】
本蛍光体をシリコーン樹脂に混合し、この混合物を脱泡攪拌器を用いて2000rpmで4分間混合した。この際、蛍光体の濃度は40wt%とした。本混合物をディスペンサを用いてLEDチップ表面にポッティグしたのち、乾燥炉にて150℃で2h加熱することで硬化させ、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。ただし、LEDチップとしては発光中心波長390nmのチップを用いた。本条件で作成した蛍光膜における蛍光体の平均配向度(OAV)は50%、であった。本構造を用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例1との比較を行った。その結果を図25の表1に示す。
【0048】
表1において、蛍光体特性として、アスペクト表示領域と平均配向度をとり、LEDの特性としては、発光効率と発光放射角度を取っている。本発明の目的からは、発光効率は高い方が良く、発光放射角度は小さい方が良い。表1において、実施例1では、アスペクト比8で平均配向度80%、アスペクト比5で平均配向度70%、アスペクト比2で平均配向度55%、のサンプルについて、発光効率と発光放射角度の測定結果が記載されている。また、比較例1では、アスペクト比1で平均配向度50%のサンプルについて、発光効率と発光放射角度が記載されている。
【0049】
表1に示すように、実施例1における全てのサンプルで、発光効率、発光放射角度とも比較例よりも優れた結果が得られた。また、実施例のなかでも、アスペクト比が高く、平均配向度が高いほど、発光効率が高く、指向性の高い、すなわち、発光放射角度の小さいLEDを得ることが出来る。また、実施例1において、アスペクト比が2以上で、平均配向度が55%以上であれば、発光効率、指向性とも、比較例を上回ることが出来る。
【実施例2】
【0050】
La(NO3)3、H3PO4、Tb4O7,酢酸セリウムを出発原料とし、これらの原料の混合水溶液を作製し、硝酸によりPH調整を行った。PH1,130℃、24Hで沈殿させることにより針状緑色蛍光体であるLaPO4:Ce0.01,Tb0.01を得た。
【0051】
蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)は8であった。本針状蛍光体を用い、図18(A)に示すように蛍光体が配向したLEDを、実施例1と同様の方法で作製した。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は75%、であった。
【0052】
(比較例2)
La(NO3)3、H3PO4、Tb4O7,CeCl3を出発原料とし、従来の固相法により1300℃、3h加熱することにより緑色発光蛍光体であるTb0.01LaPO4:Ce0.01,Tb0.01を合成した。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比は1であった。本蛍光体を用いて比較例1と同様の評価用LED構造を作製した。蛍光体の平均配向度(OAV)は50%であった。
【0053】
実施例2と比較例2の構成において、LEDの発光効率と発光放射角度を評価した結果を表1に示す。表1に示すように、実施例2の構成は、比較例2の構成よりも、発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例3】
【0054】
固相法によりZnO、SiO2,MnCO3を出発原料とし、原料をボールミル混合後、大気中で900℃、1h加熱することで緑色発光蛍光体であるZn2SiO4:Mn0.09を合成し、針状緑色蛍光体を得た。
【0055】
蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)は10であった。本針状蛍光体を用い、図18(A)に示すように蛍光体が配向したLEDを、実施例1と同様の方法で作製した。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は85%であった。
【0056】
(比較例3)
固相法によりZnO、SiO2,MnCO3を出発原料とし、原料をボールミル混合後、大気中で1200℃、3h加熱することで緑色発光蛍光体であるZn2SiO4:Mn0.09を合成し、緑色蛍光体を得た。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ1であった。本蛍光体を用いて比較例1と同様の評価用LED構造を作製した。
蛍光体の平均配向度(OAV)は52%であった。
【0057】
実施例3と比較例3の構成において、LEDの発光効率と発光放射角度を評価した結果を表1に示す。表1に示すように、実施例3の構成は、比較例3の構成よりも、発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例4】
【0058】
窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ユーロピウムを合成原料とし、これら原料の混合物を窒素雰囲気、1900℃で4h焼成することで(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04
針状緑蛍光体を合成した。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ5であった。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は90%である。本蛍光体を用いて実施例1と同様に、図18(A)に示す評価用LEDを製作した。
【0059】
(比較例4)
実施例4と同様の緑蛍光体を合成した。ただし、比較例では、蛍光体の平均配向度(OAV)は20%になるような条件とした。本蛍光体を用いて比較例1と同様な図18(B)に示すLEDを製作した。
【0060】
実施例4のLEDと比較例4のLED用いて発光効率と発光放射角度を評価した結果を表1に示す。実施例4と比較例4とでは、蛍光体のアスペクト比は同じであるが、平均配向度(OAV)が異なる。表1の実施例4と比較例4の比較からわかるように、同じアスペクト比であっても平均配向度(OAV)が大きいほうが、発光効率、発光放射角度のいずれにおいても優れた結果となっている。
【実施例5】
【0061】
ZnOとZnCl2を出発原料とし、水熱合成法により500℃、2h加熱することで青緑色発光蛍光体であるZnOを合成し、針状蛍光体を得た。蛍光体粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(平均値)はほぼ5であった。本蛍光体を用いて実施例1と同様の評価用LED構造を作製した。本実施例における蛍光体の平均配向度(OAV)は90%であった。
(比較例5)
実施例5に示した蛍光体を用い、図18(B)に示した蛍光体が配向した膜試料を、比較例1と同様の方法で作製した。本条件で作成した蛍光膜における針状蛍光体の平均配向度(OAV)は30%であった。
【0062】
実施例5と比較例5のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例5と比較例5との比較を行った。表1に結果を示す。本実施例5により、発光効率向上と発光放射角度の低減が実現できた。実施例5と比較例5とでは、蛍光体のアスペクト比は同じであるが、平均配向度(OAV)が異なる。表1の実施例5と比較例5の比較からわかるように、同じアスペクト比であっても平均配向度(OAV)が大きいほうが、発光効率、発光放射角度のいずれにおいても優れた結果となっている。
【実施例6】
【0063】
実施例1で用いた針状赤色蛍光体であるY0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4にほぼ円形のBaMgAl10O17:Eu,Mn蛍光体を混合し、実施例1と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本実施例における針状蛍光体Y0.46Gd0.39Eu0.15(P0.65V0.35)O4のアスペクト比は4であり、平均配向度(OAV)は65である。
【0064】
(比較例6)
比較例1で用いたY0.9Eu0.1(P0.65V0.35)O4にほぼ球状のBaMgAl10O17:Eu,Mn蛍光体を混合し、比較例1と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本比較例におけるアスペクト比は1であり、平均配向度(OAV)は50%である。
【0065】
実施例6と比較例6のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例6と比較例6との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、アスペクト比が4であり、平均配向度(OAV)が65%の針状蛍光体を用いた場合、ほぼ球状のBaMgAl10O17:Eu,Mn蛍光体を混合した場合であっても、ほぼ球状の蛍光体のみを用いた比較例の場合よりも、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例7】
【0066】
実施例2で用いた針状蛍光体であるLaPO4:Ce0.01,Tb0.01にほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合し、実施例2と同様に、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本実施例における針状蛍光体LaPO4:Ce0.01,Tb0.01のアスペクト比は4であり、平均配向度(OAV)は60%である。
【0067】
(比較例7)
比較例2で用いたTb0.01LaPO4:Ce0.01,Tb0.01にほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合し、比較例2と同様に、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。
発光効率、発光放射角度を測定し、実施例7との比較を行った。本比較例におけるアスペクト比は1であり、平均配向度(OAV)は50%である。
【0068】
実施例7と比較例7のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例7と比較例7との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、アスペクト比が4であり、平均配向度(OAV)が60%の針状蛍光体を用いた場合、ほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合した場合であっても、ほぼ球状の蛍光体のみを用いた比較例の場合よりも、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例8】
【0069】
実施例3で用いた針状蛍光体であるZn2SiO4:Mn0.09にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、実施例3と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本実施例における針状蛍光体Zn2SiO4:Mn0.09のアスペクト比は5であり、平均配向度(OAV)は65である。
【0070】
(比較例8)
比較例3で用いたZn2SiO4:Mn0.09にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、比較例3と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本比較例におけるアスペクト比は1であり、平均配向度(OAV)は52%である。
【0071】
実施例8と比較例8のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例8と比較例8との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、アスペクト比が5であり、平均配向度(OAV)が65%の針状蛍光体を用いた場合、ほぼ球状のY2O3:Eu蛍光体を混合した場合であっても、ほぼ球状の蛍光体のみを用いた比較例の場合よりも、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例9】
【0072】
実施例4で用いた針状蛍光体である(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、実施例4と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製し、発光効率、発光放射角度を測定した。本実施例における針状蛍光体(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04のアスペクト比は2であり、平均配向度(OAV)は45である。
【0073】
(比較例9)
比較例4で用いた(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04にほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合し、比較例4と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。本比較例における針状蛍光体(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04のアスペクト比は、実施例9と同様、2であるが、平均配向度(OAV)は20である。
【0074】
実施例9と比較例9のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例9と比較例9との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、ほぼ球状の(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体を混合した場合であっても、針状蛍光体において同じアスペクト比2で、平均配向度(OAV)が45と20というように異なる場合は、平均配向度(OAV)が高いほうが、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例10】
【0075】
実施例5で用いた針状蛍光体であるZnOに実施例3で用いたZn2SiO4:Mnと(Y,Gd)BO3:Eu、蛍光体を混合し、実施例5と同様の、図18(A)に示した構造の評価用LED構造を作製した。すなわち、本実施例においては、蛍光体はいずれも針状である。また、本実施例における蛍光体のアスペクト比は3であり、平均配向度(OAV)は60である。
【0076】
(比較例10)
比較例5で用いたZnOに比較例3で用いたZn2SiO4:Mnと(Y,Gd)BO3:Eu、蛍光体を混合し、比較例5と同様の、図18(B)に示した構造の評価用LED構造を作製した。すなわち、本比較例においては、蛍光体はいずれも針状である。また、本比較例における蛍光体のアスペクト比は2であり、平均配向度(OAV)は25である。
【0077】
実施例10と比較例10のLEDを用いて、発光効率、発光放射角度を測定し、実施例9と比較例9との比較を行った。結果を図26である表2に示す。表2に示すように、同じ成分の蛍光体を用いても、アスペクト比が高く、平均配向度(OAV)が大きいほうが、LEDの発光効率が高く、かつ、発光放射角度が低い、すなわち指向性が高い。
【実施例11】
【0078】
実施例1で用いた蛍光体を用い、図24の構造を反射シート上に構成した図10の構造を作製した。すなわち、本実施例では導光板11を囲む反射シート14の表面に針状蛍光体15が図11のように所定の平均配向度(OAV)によって配置している。本実施例における蛍光体のアスペクト比は8で、平均配向度(OAV)は80である。
【0079】
(比較例11)
比較例1で用いた蛍光体を用いて、図10に示した構造を作製し、発光効率を測定し、実施例11との比較を行った。すなわち、本実施例においては、ほぼ球状の蛍光体が導光板11を囲む反射シートの表面に形成されている。
【0080】
実施例11の構成と比較例11の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例11と比較例11との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例11における構成のほうが、比較例11における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【実施例12】
【0081】
実施例1で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図13の構造に加工した。すなわち、本実施例においては、図13に示すように、蛍光体が導光板11の内部に分散されている。図13では、蛍光体15が導光板11の内部に層状に形成されているが、かならずしも、層状である必要はない。但し、蛍光体の長径が導光板の厚さ方向である必要がある。つまり、蛍光体は、導光板の厚さ方向に所定の平均配向度(OAV)をもつ必要がある。本実施例における蛍光体のアスペクト比は8で、平均配向度(OAV)は85である。図13に示す導光板を用いて図12に示す照明構造を作成した。
【0082】
(比較例12)
比較例1で用いた蛍光体を用いて、蛍光体を分散した導光体11を作成し図12に示した照明構造を作成した。本比較例で使用した蛍光体のアスペクト比は1で、平均配向度(OAV)は50である。
【0083】
実施例12の構成と比較例12の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例12と比較例12との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例12における構成のほうが、比較例12における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0084】
なお、実施例12では、針状蛍光体は、導光板の内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を導光板の出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【実施例13】
【0085】
実施例1で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図15に示す拡散シートの構造に加工し、図14に示す照明構造を作成した。図14では、蛍光体15が拡散シート17の内部に層状に形成されているが、かならずしも、層状である必要はない。本実施例における蛍光体のアスペクト比は8で、平均配向度(OAV)は80である。
【0086】
(比較例13)
比較例1で用いた蛍光体を用いて、非針状蛍光体を分散した拡散シートを作成し図14に示した照明構造を作製した。本比較例における蛍光体のアスペクト比は1で、平均配向度(OAV)は50%である。
【0087】
実施例13の構成と比較例13の構成において、拡散シートの出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例13と比較例13との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例13における構成のほうが、比較例13における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0088】
なお、実施例13では、針状蛍光体は、拡散シートの内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を拡散シートの入射面あるいは出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【実施例14】
【0089】
実施例6で用いた蛍光体を用い、図24の構造を反射シート上に構成した図10の構造を作製した。導光板11を囲む反射シート14の表面に針状蛍光体15が図11のように所定の平均配向度(OAV)によって配置している。すなわち、本実施例では照明構造は実施例11と同様であるが、蛍光体が異なっている。本実施例における蛍光体のアスペクト比は4で、平均配向度(OAV)は65である。
【0090】
(比較例14)
比較例6で用いた蛍光体を反射シートの上に形成し、図10に示した構造を作製した。本実施例で用いた蛍光体のアスペクト比は1で平均配向度(OAV)は50%である。
【0091】
実施例14の構成と比較例14の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例14と比較例14との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例14における構成のほうが、比較例14における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【実施例15】
【0092】
実施例6で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図13の構造に加工した。すなわち、本実施例においては、図13に示すように、蛍光体が導光板11の内部に分散されている。図13に示す導光板を用いて図12に示す照明構造を作成した。本実施例の構造は実施例12と同様であるが、蛍光体が異なっている。本実施例における蛍光体のアスペクト比は4で、平均配向度(OAV)は65%である。
【0093】
(比較例15)
比較例6で用いた蛍光体を用いて、非針状蛍光体を分散した導光体11を作成し、図12に示した照明構造を作製した。本比較例で用いた蛍光体のアスペクト比は1で平均配向度(OAV)は50%である。
【0094】
実施例15の構成と比較例15の構成において、導光板の出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例15と比較例15との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例15における構成のほうが、比較例15における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0095】
なお、実施例15では、針状蛍光体は、導光板の内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を導光板の出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【実施例16】
【0096】
OAV
実施例6で用いた蛍光体を用い、図24の構造を図15の構造に加工し、図14の照明構造を作成した。図15において、針状蛍光体が拡散シート内に分散している。本実施例の構造は実施例13と同様であるが、蛍光体が異なる。本実施例における蛍光体のアスペクト比は4であり、平均配向度(OAV)は65%である。
【0097】
(比較例16)
比較例6で用いた蛍光体を用いて、非針状蛍光体を分散した拡散シートを形成し図14に示した構造を作製した。本比較例の構造は比較例13と同様であるが、蛍光体が異なる。本比較例におけるアスペクト比は1で平均配向度(OAV)は50%である。
【0098】
実施例16の構成と比較例16の構成において、拡散シートの出射面における発光効率と発光放射角度を測定し、実施例16と比較例16との比較を行った。結果を図27である表3に示す。表3に示すように、実施例16における構成のほうが、比較例16における構成よりも、発光効率が高く、導光板の出射面における発光放射角度が低い、すなわち、指向性が高い。
【0099】
なお、実施例16では、針状蛍光体は、拡散シートの内部に分散されるとして説明したが、アスペクト比と平均配向度(OAV)を上記のように制御した針状蛍光体を拡散シートの入射面あるいは出射面に配置することでも同様な効果を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の発光素子は、信号灯、ディスプレイ装置のバックライト、および各種照明として広く適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 青色LEDチップ
2 ワイヤ
3 リードフレーム
4 ケース
5 封止樹脂
6 レンズ
7 ヒートシンク
8 蛍光体粒子
9 針状蛍光体粒子
10 蛍光体励起用LEDチップ
11 導光体
12 蛍光体励起LED
13 蛍光体塗布反射シート
14 反射シート
15 針状蛍光体配向膜
16 蛍光体分散導光体
17 拡散シート
18 蛍光体分散拡散シート
19 樹脂基板
20 配向リブ
21 蛍光体分散樹脂
22 針状蛍光体粒子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次光を発する発光ダイオードと、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する蛍光体粒子を含む蛍光体層から構成される照明装置であって、
前記蛍光体粒子は、粒子形状の長径と短径の比である平均アスペクト比が2以上の針状蛍光体粒子であり、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記蛍光体層の法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
面積が100μm×100μm、深さが10μmの範囲の蛍光体層における前記針状蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
一次光を発する発光ダイオードと導光板と反射シートを有する照明装置であって、
前記反射シートが前記導光板に対向する面には、平均アスペクト比が2以上であり、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する針状蛍光体粒子が配置され、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記反射シートの法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
前記反射シートにおける面積が100μm×100μm、深さが10μmの領域の蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
一次光を発する発光ダイオードと導光板と反射シートを有する照明装置であって、
前記導光板の内部または出射面には、平均アスペクト比が2以上であり、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する針状蛍光体粒子が配置され、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記導光板の出射面の法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
前記導光板における面積が100μm×100μm、深さが10μmの領域の前記針状蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
一次光を発する発光ダイオードと導光板と反射シートと、前記導光板の出射面側に拡散シートを有する照明装置であって、
前記拡散シートの内部または表面には、平均アスペクト比が2以上であり、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する針状蛍光体粒子が配置され、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記導光板の出射面の法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
前記反射シートにおける面積が100μm×100μm、深さが10μmの領域の前記針状蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
前記蛍光体層はさらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記反射シートは、さらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記導光板は、さらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記拡散シートは、さらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記針状蛍光体粒子は、Y(P,V)O4:Euまたは(Y,Gd)(P,V)O4:Eu蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記針状蛍光体粒子は、LaPO4:Ce,TbまたはZn2SiO4:Mnまたは(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記針状蛍光体粒子は、ZnO蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の照明装置。
【請求項1】
一次光を発する発光ダイオードと、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する蛍光体粒子を含む蛍光体層から構成される照明装置であって、
前記蛍光体粒子は、粒子形状の長径と短径の比である平均アスペクト比が2以上の針状蛍光体粒子であり、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記蛍光体層の法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
面積が100μm×100μm、深さが10μmの範囲の蛍光体層における前記針状蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
一次光を発する発光ダイオードと導光板と反射シートを有する照明装置であって、
前記反射シートが前記導光板に対向する面には、平均アスペクト比が2以上であり、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する針状蛍光体粒子が配置され、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記反射シートの法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
前記反射シートにおける面積が100μm×100μm、深さが10μmの領域の蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
一次光を発する発光ダイオードと導光板と反射シートを有する照明装置であって、
前記導光板の内部または出射面には、平均アスペクト比が2以上であり、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する針状蛍光体粒子が配置され、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記導光板の出射面の法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
前記導光板における面積が100μm×100μm、深さが10μmの領域の前記針状蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
一次光を発する発光ダイオードと導光板と反射シートと、前記導光板の出射面側に拡散シートを有する照明装置であって、
前記拡散シートの内部または表面には、平均アスペクト比が2以上であり、前記発光ダイオードからの前記一次光を吸収して二次光を発する針状蛍光体粒子が配置され、
前記針状蛍光体粒子の前記長軸の方向が前記導光板の出射面の法線方向となす角をθとした場合、配向度Oは
O=(90−θ)/90 ×100(%)
で定義され、
前記反射シートにおける面積が100μm×100μm、深さが10μmの領域の前記針状蛍光体粒子の配向度の平均は55%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
前記蛍光体層はさらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記反射シートは、さらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記導光板は、さらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記拡散シートは、さらに他の蛍光体を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記針状蛍光体粒子は、Y(P,V)O4:Euまたは(Y,Gd)(P,V)O4:Eu蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記針状蛍光体粒子は、LaPO4:Ce,TbまたはZn2SiO4:Mnまたは(Si,Al)6(O,N)8:Eu0.04蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記針状蛍光体粒子は、ZnO蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−249732(P2011−249732A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124335(P2010−124335)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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