説明

照明装置

【課題】照明エリアの視環境を向上させることができるとともに、省エネ効果が得られる照明装置を提供することである。
【解決手段】点灯状態切替スイッチ16は、所定の照明エリアを照明する配光可変の複数の照明器具14のうちのすべての照明器具14を点灯した点灯モード及び一部の照明器具を点灯した一部消灯モードに切り替え、照明制御コントローラ11は、点灯状態切替スイッチ16で一部消灯モードが選択されたとき、隣接する照明エリア15が点灯モードであるときは、複数の照明器具のうちの予め定められた照明器具14を点灯し、点灯した照明器具の配光を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の照明器具を有した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビル内の各階の執務場所を照明する照明装置として、照明エリア毎に複数個の照明器具を配置し、それぞれの照明エリア毎に個別に照明器具を点灯または消灯させるように制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、隣接する照明エリアが消灯すると、隣接する照明エリアの照明器具からの光がなくなるので、点灯中の照明エリアは暗くなる。特に、外光の採光量が少ない夜間では明暗の差が大きくなり、点灯中の照明エリアに在席している在席者が違和感を感じ易くなる。
【0003】
そこで、照明エリア毎に対応付けされて人の有無を検出する人感センサを設け、人感センサの検出結果に応じて、この人感センサに対応付けされて照明エリアに配設された照明器具の光出力を制御する一方、人感センサに対応付けされる照明エリアの範囲を変化させるように制御するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−81572号公報
【特許文献2】特開2009−123608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものでは、光の採光条件が変化に応じて隣接する照明エリアの範囲を変化させるので点灯中の照明エリアの明暗の差を小さくできるが、隣接する照明エリアを調光制御する場合には、省エネ効率の向上が低減する。
【0006】
一般に、照明器具は全光の場合に最も効率が良く、調光深度が大きくなるに従って効率が低下していく特性を有する。従って、点灯中の照明エリアの明暗の差を小さくするために点灯した照明エリアは、点灯中の照明エリアの照度より低くても良い場合が多いので、省エネの観点からは調光制御することが望ましいが、調光制御した場合には効率が低下する。
【0007】
本発明の目的は、照明エリアの視環境を向上させることができるとともに、省エネ効果が得られる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係わる照明装置は、所定の照明エリアを照明する配光可変の複数の照明器具と;複数の前記照明器具のうちのすべての照明器具を点灯した点灯モード及び一部の照明器具を点灯した一部消灯モードに切り替える点灯状態切替スイッチと;前記点灯状態切替スイッチで一部消灯モードが選択されたとき、隣接する照明エリアが点灯モードであるときは複数の前記照明器具のうちの予め定められた照明器具を点灯し、点灯した照明器具の配光を制御する照明制御コントローラと;を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は以下による。所定の照明エリアとは、例えば、ビル内の各階の領域を照明領域で区画した単位照明領域をいい、通常状態では、複数の照明器具の点消灯が一括で行われる照明器具によって照射される照明領域をいう。配光可変の照明器具とは、照明器具の光源からの光の照射範囲を可変にできる照明器具をいう。
【0010】
点灯モードとは、通常状態で複数の照明器具を一括して点灯させるモードをいい、一部消灯モードとは、点灯制御を一括で行う複数の照明器具のうちの予め定めた一部の照明器具を消灯するモードをいう。
【0011】
点灯状態切替手段とは、例えば、壁スイッチ、リモコン、センサ等の複数の照明器具を一括制御可能な手段をいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一括制御される複数の照明器具の内一部の照明器具を消灯したときに、点灯している他の照明器具の配光を制御するので、照明器具を調光制御することなく照明エリアの照度を低下させることができるので、調光制御による効率の低下を防止しつつ省エネ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係わる照明装置の構成図。
【図2】本発明の実施の形態における照明エリアの一例の説明図。
【図3】本発明の実施の形態における一部消灯モードの照明エリアでの一部の照明器具の点灯状態の一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係わる照明装置の構成図である。照明制御コントローラ11には2線式の伝送信号線12を介して複数の端末制御器13が接続され、各々の端末制御器13には、複数の照明器具14が接続されている。端末制御器13は予め定められた照明エリア15毎に設けられ、図示省略の壁スイッチにより、同一照明エリア内15の複数の照明器具14は一括して点消灯が行われる。従って、照明エリア15は、壁スイッチにて複数の照明器具の点消灯が一括で行われる照明領域である。本発明の実施の形態では、この壁スイッチに加えて、照明エリア15毎に点灯状態切替手段としての点灯状態切替スイッチ16が設けられている。
【0015】
この点灯状態切替スイッチ16は、照明エリア15内の複数の照明器具14のうちのすべての照明器具を点灯する点灯モード及び一部の照明器具14を消灯する一部消灯モードに切り替えるスイッチであり、例えば、図示省略の人感センサが照明エリア内15に人の存在を検出しているときは、点灯状態切替スイッチ16は点灯モードを選択し、人感センサが照明エリア内15に人の存在を検出していないときは、一部消灯モードを選択する。
【0016】
すなわち、照明エリア15に人がいない場合は地明りを確保できればよいので、照度を下げて照明エリア15の消費電力を低減することができる。
【0017】
また、人感センサに代えて、リモコンによる点灯モード及び一部消灯モードの指令に応動するようにしてもよい。さらに、図示省略の照明器具を点消灯するための壁スイッチに、一部消灯モードを選択できる操作ボタンを追加して設け、この一部消灯モードの操作ボタンが人により選択されたときに一部消灯モードを選択するようにしてもよい。この場合、点灯モードについては通常の点灯ボタンを代用する。
【0018】
照明制御コントローラ11は、ある照明エリア15の点灯状態切替スイッチ16により一部消灯モードが選択されたときは、照明エリア15内の照明器具の一部を消灯するとともに、他の点灯している照明器具14の配光を広げるように制御する。例えば、照明エリア15a内の2つの照明器具を消灯し、残りの2つの照明器具の配光を広げるように制御する。このとき、配光が制御された照明器具14は全光点灯状態が好ましい。
【0019】
図2は、ビル内のあるフロアの照明エリアの説明図である。図2では6個の照明エリア15a〜15fで区分され、各照明エリア15a〜15fにはそれぞれ4個の照明器具が設けられている場合を示している。ここで、図2に示すように4つの照明器具14で照明エリア15aの必要照度を確保しているときに、2つの照明器具14が消灯すると、点灯中の他の照明器具14の配光を制御して対象の照明エリアの地明りを確保しても、消灯している照明器具14の直下が周囲に比べて暗くなる場合がある。このため、例えば隣接する照明エリア15b、15cの作業者は明暗差を感じやすくなる。
【0020】
そこで、照明コントローラ11は、周囲の状況を判断して一部消灯モードで配光制御する照明器具および消灯する照明器具を選択することが好ましい。
【0021】
以下、照明コントローラ11が周囲の照明エリアの状況を判断して一部点灯モードを実行する場合について説明する。
【0022】
照明コントローラ11は、照明エリア15が一部消灯モードが選択された場合、その照明エリア15に隣接する照明エリア15が点灯モードであるかどうかを判断し、点灯モードであるときは、複数の照明器具のうちの予め定められた照明器具だけを点灯し、点灯した照明器具の配光を点灯モード中である照明エリア15に向けて広げた配光となるように配光制御する。
【0023】
照明器具の配光制御は、例えば、照明器具の反射鏡の角度を可動になるように構成しておき、反射光の角度を変えて隣接する照明エリアに向けて広げた配光とする。また、光源の前面に液晶フィルム素子を配置しておき、液晶フィルム素子に印加する電圧を調節して配光を広げたり、出射レンズと光源の位置を可変にして配光を広げるたりして行う。
【0024】
図3は一部消灯モードの照明エリアでの一部の照明器具の点灯状態の説明図である。
【0025】
いま、照明エリア15bが一部消灯モードになり、隣接する照明エリア15a、15c、15eが点灯モードである場合には、照明制御コントローラ11は、図3(a)に示すように、照明エリア15bの4個の照明器具14a〜14dのうち対角線上にある2個の照明器具14a、14dを全点灯し配光を広げた制御を行う。これにより、照明器具14aは主として隣接する照明エリア15aに光を照射し、照明器具14dは主として隣接する照明エリア15c、15eに光を照射する。
【0026】
また、照明エリア15bが一部消灯モードになり、隣接する照明エリア15cだけが点灯モードであるときは、照明制御コントローラ11は、図3(b)に示すように、照明エリア15bの4個の照明器具14a〜14dのうち隣接する照明エリア15c側の2個の照明器具14b、14dを全点灯し配光を広げた制御を行う。逆に、隣接する照明エリア15aだけが点灯モードであるときは、照明制御コントローラ11は、図3(c)に示すように、照明エリア15bの4個の照明器具14a〜14dのうち隣接する照明エリア15a側の2個の照明器具14a、14cを全点灯し配光を広げた制御を行う。
【0027】
また、照明エリア15bが一部消灯モードになり、隣接する照明エリア15eだけが点灯モードであるときは、照明制御コントローラ11は、図3(d)に示すように、照明エリア15bの4個の照明器具14a〜14dのうち隣接する照明エリア15e側の2個の照明器具14c、14dを全点灯し配光を広げた制御を行う。
【0028】
同様に、照明エリア15eが一部消灯モードになり、隣接する照明エリア15bだけが点灯モードであるときは、照明制御コントローラ11は、図3(e)に示すように、照明エリア15eの4個の照明器具14a〜14dのうち隣接する照明エリア15b側の2個の照明器具14a、14bを全点灯し配光を広げた制御を行う。
【0029】
照明制御コントローラ11は、一部消灯モードの照明エリアに隣接する照明エリアが一部消灯モードまたは消灯モードとなったときは、その一部消灯モードの照明エリアを消灯モードとする。
【0030】
このように、本発明の実施の形態によれば、人が存在しない照明エリアとなり、その照明エリアに隣接する照明エリアが点灯モードであるときは、一部の照明器具だけ点灯し配光制御した一部消灯モードとするので、隣接する照明エリアの明暗の差を小さくできる。しかも点灯している一部の照明器具は調光制御ではなく全光点灯であるので、調光制御による効率の低下を防止しつつ省エネ効果が得られる。
【符号の説明】
【0031】
11…照明制御コントローラ、12…伝送信号線、13…端末制御器、14…照明器具、15…照明エリア、16…点灯状態切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の照明エリアを照明し、一括して制御される配光可変の複数の照明器具と;
複数の前記照明器具のうちのすべての照明器具を点灯した点灯モード及び一部の照明器具を消灯した一部消灯モードに切り替える点灯状態切替手段と;
前記点灯状態切替手段で一部消灯モードが選択されたとき、点灯状態の照明器具の配光を制御する照明制御コントローラと;
を備えたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−70875(P2011−70875A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220066(P2009−220066)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】