説明

照明装置

【課題】発光部の冷却効率を維持できるコンパクトな照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、面発光体のエレクトロルミネッセンスパネルとこれを含む隔壁によって内部空間を画定するハウジングとを備える。エレクトロルミネッセンスパネルに、内部空間から外部へ貫通する複数の貫通孔が設けられている。貫通孔の内壁面は防湿バリアフィルムにより保護されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンスパネルを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンスパネルとして、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子という)より高輝度かつ高発光効率が達成されている、電荷輸送性(正孔又は電子の移動性)を有する有機化合物を利用した複数の有機材料層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)が注目されている。フレキシブルな薄型面光源としての有機EL素子は携帯電話やカーナビやTVディスプレイ分野で急速に実用化が進み、さらに、内視鏡など特殊照明へ応用されている。さらに、点発光光源としてのLEDも照明装置への応用が増加している。例えば、空調吸込口または吹出口の枠体にLEDの細い照明装置を固定し、全体として矩形の空調吸込口或いは吹出口装置とする吹出口一体型LED照明装置が提案されている(特許文献1、参照)。また、有機EL素子では、ハンドピースヘッド部に設けられた、診療用工具の着脱または作業媒体の出もしくは入りのための開口部(空気管路または水管路)の周りを包囲するように、EL素子の面発光光源を備える歯科医科用診療器具が提案されている(特許文献2、参照)や、有機EL素子の照明手段と、受光部と、処置具挿入用の貫通孔と、を有し、照明手段が受光部及び貫通孔を避けるようにして形成されている(受光部及び貫通孔の部分に開口を有している)内視鏡用先端チップが提案されている(特許文献3、参照)や、紫外線などを放射する機能を持つ面発光体の面と垂直方向に流体の流路となる複数の貫通孔が形成されているセラミックフィルタ用面発光デバイスが提案されている(特許文献4、参照)など特殊照明分野にも応用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−117678号公報
【特許文献2】特開2010−227157号公報
【特許文献3】特開2010−46282号公報
【特許文献4】国際公開第2005/123246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、電子工業、精密機械工業、精密印刷などの用途の精密製品の高品質化と歩留まり向上とを図るために塵埃を除去するクリーンルームが用いられているが、クリーンルーム内においては蛍光灯の光に含まれる紫外線をカットするため、一般に、蛍光灯のガラス管外面に黄色チューブを被覆して500nm以下の波長の発光と紫外線を吸収している。このためクリーンルーム内は黄色の照明になっている。
【0005】
また、クリーンルームにおいては照明装置と送風装置は別々の機器であり、天井スペースを有効に利用するにはこれらを一体化することが望まれる。このようなクリーンルーム照明装置において、黄色チューブを被覆することにより利用できる光は一部だけになり光の利用効率が悪くなる。また、従来の蛍光灯、電球などでは発光面に送風孔を設けることができないため発光部の冷却効率が低く、発光部と送風部は異なる装置となってしまい場所をとってしまう。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4の照明技術では、紫外線を利用せずに、スペース有効利用、冷却効率向上などには考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明では、発光部の冷却効率を維持できるコンパクトな照明装置を提供することが課題の一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による照明装置は、面発光体と前記面発光体を含む隔壁によって内部空間を画定するハウジングとを備えた照明装置であって、前記面発光体は、透過性の基板を有して可視光を面状に放射するエレクトロルミネッセンスパネルであり、前記エレクトロルミネッセンスパネルは前記内部空間から外部へ貫通する複数の貫通孔を有し、前記貫通孔の内壁面は防湿バリアフィルムにより保護されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による実施形態の照明装置である送風孔付照明パネルを示す概略部分切欠斜視図である。
【図2】本発明による実施形態の有機ELパネルを示す概略部分平面図である。
【図3】図2中のA−A線の断面図である。
【図4】図2中のB−B線の断面図である。
【図5】本発明による実施形態の有機EL素子を示す概略部分断面図である。
【図6】本発明による他の実施形態の照明装置である送風孔付照明パネルを示す概略部分切欠斜視図である。
【図7】本発明による他の実施形態の照明装置である送風孔付照明パネルを示す概略部分切欠斜視図である。
【図8】本発明による他の実施形態の照明装置を示す平面図である。
【図9】図8中のA−A線の断面図である。
【図10】本発明による他の実施形態の有機ELパネルを示す概略部分平面図である。
【図11】本発明による他の実施形態の無機ELパネルを示す概略部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明による実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[照明装置]
図1にエレクトロルミネッセンスパネルとして有機ELパネルを用いた本実施形態の送風孔付照明パネル装置1を示す。照明パネルの本体としては面発光体である板状の有機ELパネル2が用いられる。有機ELパネル2には、その表面に形成され内部空間から外部へ貫通する複数の貫通孔4が設けられている。送風孔付照明パネル装置1は、有機ELパネル2を含む隔壁によって内部空間を画定するハウジング5を備えている。送風装置(図示せず)からの空気3が導管6を介してハウジング5へ供給され、この貫通孔4から送風が行われる。有機ELパネル2の貫通孔4以外の外面は発光して照明として用いられる。図1に示すように、貫通孔4に平行に対向してハウジング5の内部空間に、HEPA(high efficiency particulate air)フィルタやULPA(ultra low penetration air)フィルタなどの塵埃エアフィルタFを設けることができる。
【0012】
図2は本実施形態の送風孔付照明パネルの有機ELパネル2を示す概略部分平面図を示す。図3は図2中の図4中のA−A断面図を示し、図4は図2中のB−B断面図を示す。
【0013】
図3及び図4に示すように、面発光体の有機ELパネル2は、透過性の基板20と、この上に形成された透過性の第1電極21及び光反射性の第2電極22の間に積層配置された少なくとも1種類の発光色の発光層を含む複数の有機材料層23を有する。基板20は第1電極21を支持し、基板20側から可視光を面状に放射する。このように、本発明による実施形態は、有機ELパネル2とこれを含む隔壁によって内部空間を画定するハウジング5とを備えた照明装置である。第2電極22側には保護層24が設けられ積層構造となって有機ELパネル2が構成されている。図4に示すように、有機ELパネル2の貫通孔4の内壁面はすべて防湿バリアフィルムなどの保護膜Pにより、保護されている。
【0014】
平面状の有機ELパネル2の表面に複数の貫通孔4が設けられて、その開口部を送風部として用いるので、本実施形態がクリーンルームに用いられた場合、黄色フィルタが要らないため、照明の構造が簡単になる。照明と送風が同じ装置で行うことができるためクリーンルームのスペース利用効率に優れる。送風することで有機ELパネル2の温度が低下して発光寿命が長くなる。
【0015】
[有機ELパネル]
以下に、本実施形態による有機ELパネル2の一例を詳述する。図5に示すように、ガラスなどの透明基板20上にて、順に、透明な陽極21(第1電極)、正孔注入層33、正孔輸送層34、発光層35、正孔阻止層36、電子輸送層37、電子注入層38及び金属からなる陰極(第2電極)22が積層されて得られるものが挙げられる。正孔注入層33、正孔輸送層34、発光層35、正孔阻止層36、及び電子輸送層37は有機材料層23である。すなわち、有機EL素子において、対向する1対の陽極及び陰極の間に積層配置された複数の有機材料層が正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層を包含する。これら有機材料層などの構成要素については後述する。このように有機ELパネルの各有機EL素子は、対向する1対の陽極及び陰極の間に積層配置されかつ発光層を含む複数の有機材料層を備えた有機EL素子である。なお、発光層、正孔注入層、正孔輸送層などのいずれの有機材料層は、真空蒸着法など乾式成膜方法やインクジェット法など湿式塗布方法にて成膜され得る。
【0016】
なお、図5に示す各層の区切りを「/」で表すものとして、陽極21/正孔注入層33/正孔輸送層34/発光層35/正孔阻止層36/電子輸送層37/電子注入層38/陰極22/の構成の他に、図示しないが、陽極21/正孔注入層33/発光層35/電子輸送層37/電子注入層38/陰極22/の正孔輸送層34、正孔阻止層36を省いた構成や、図示しないが、陽極21/正孔輸送層34/発光層35/電子輸送層37/電子注入層38/陰極22/の正孔注入層33、正孔阻止層36を省いた構成や、図示しないが、陽極21/発光層35/電子輸送層37/電子注入層38/陰極22/の正孔注入層33、正孔輸送層34、正孔阻止層36を省いた構成も本発明に含まれる。また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。いずれにしても、これら積層構成に限定されることなく、少なくとも発光層を含み、或いは兼用できる電荷輸送層を含む構成は本発明に含まれる。
【0017】
[基板]
基板20としては、石英やガラスの板、金属板や金属箔、曲げられる樹脂基板、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機EL素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などを設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
【0018】
[陽極及び陰極]
発光層までの層に正孔を供給する陽極21は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金などの金属、インジウム及び/又はスズ、亜鉛の酸化物(ITOやIZO)などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などにより構成される。
【0019】
陽極の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより陽極を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる。
【0020】
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
【0021】
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板20と一体化されたものであってもよい。また、さらには、異なる導電材料が積層されたものであってもよい。
【0022】
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)処理又はオゾン処理したり、酸素プラズマ又はアルゴンプラズマ表面処理したりすることが好ましい。
【0023】
発光層までの層に電子を供給する陰極22の材料としては、陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、たとえば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀などの適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金などの低仕事関数合金電極が挙げられる。
【0024】
なお、陰極22の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
【0025】
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、たとえば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金などの金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0026】
さらに、陽極及び陰極は、発光の取り出し側となる場合は、透明又は半透明となるように材料、膜厚を選択する。特に陽極及び陰極のうちどちらかは、有機発光材料から得られる発光波長において少なくとも10%以上の透過率を持つ材料を選択することが好ましい。これら電極は、必要に応じてパターニングしても良い。
【0027】
[有機材料層]
正孔注入層33、正孔輸送層34、発光層35、電子輸送層36及び電子注入層37の主成分を構成する有機材料層は、電荷輸送性(正孔及び/又は電子の移動性)を有する有機化合物を利用する。
【0028】
発光層35として用いられる燐光性の有機金属錯体化合物としては、イリジウム錯体であるBis (3,5-difluoro-2- (2-pyridyl) phenyl- (2-carboxypyridyl) iridium III、Tris (2-phenylpyridine) iridium(III) =(Ir(ppy)3)、Bis (2-phenylbenzothiazolato) (acetylacetonate) iridium(III)、オスミウム錯体であるOsmium(II) bis(3-trifluoromethyl -5-(2-pyridyl) -pyrazolate)dimethylphenylphosphine、希土類化合物のTris (dibenzoylmethane) phenanthroline europium(III)、白金錯体である2,3,7,8,12,13,17,18-Octaethyl-21H, 23H- porphine,platinum(II)などを挙げることができる。発光層35は少なくとも1種類の発光色の発光層を含めばよく、混合の発光色としたり、複数色の多層の発光層とすることもできる。
【0029】
また、発光層や電子注入層の主成分の電子輸送性を有する有機化合物としては、p−テルフェニルやクアテルフェニルなどの多環化合物及びそれらの誘導体、ナフタレン、テトラセン、ピレン、コロネン、クリセン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ナフタセン、フェナントレンなどの縮合多環炭化水素化合物及びそれらの誘導体、フェナントロリン、バソフェナントロリン、フェナントリジン、アクリジン、キノリン、キノキサリン、フェナジンなどの縮合複素環化合物及びそれらの誘導体や、フルオロセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、オキシン、アミノキノリン、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、キナクリドン、ルブレンなど及びそれらの誘導体などを挙げることができる。
【0030】
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、金属キレート錯体化合物、特に金属キレート化オキサノイド化合物では、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス[ベンゾ(f)−8−キノリノラト]亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニル−フェノラト)アルミニウム、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウムなどの8−キノリノラト或いはその誘導体を配位子として少なくとも一つ有する金属錯体も挙げることができる。
【0031】
また、電子輸送性を有する有機化合物として、オキサジアゾール類、トリアジン類、スチルベン誘導体及びジスチリルアリーレン誘導体、スチリル誘導体、ジオレフィン誘導体も好適に使用され得る。
【0032】
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として使用できる有機化合物として、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ベンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]スチルベン、2,5−ビス(5.7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−(α,α−ジメチルベンジル)−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−{2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル}ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト(1,2−d)オキサゾールなどのベンゾオキサゾール系、2,2’−(p−フェニレンジピニレン)−ビスベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系、2−{2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル}ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾールなども挙げられる。
【0033】
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼンなども挙げられる。
【0034】
また、さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジンなどが挙げられる。
【0035】
その他、さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4’−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジメチリディン、4,4’−(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルなど、従来有機EL素子の作製に使用されている公知のものを適宜用いることができる。
【0036】
一方、正孔輸送性を有する有機化合物として、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノ−ビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノ−ビフェニルN−フェニルカルバゾール、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]p−ターフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ナフタレン、4,4’−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’’−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニル−アミノ]p−ターフェニル、4,4’−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、4.4’’−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]ターフェニル、4.4’−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4’−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン、4,4’’−ビス(N,N−ジ−p−トリルアミノ)ターフェニル、ビス(N−1−ナフチル)(N−2−ナフチル)アミンなどが挙げられる。
【0037】
さらに、正孔注入層、正孔輸送層、正孔輸送性発光層として、上述の有機化合物をポリマー中に分散したものや、ポリマー化したものも使用できる。ポリパラフェニレンビニレンやその誘導体などのいわゆるπ共役ポリマー、ポリ(N−ビニルカルバゾール)に代表される正孔輸送性非共役ポリマー、ポリシラン類のシグマ共役ポリマーも用いることができる。
【0038】
正孔注入層としては、特に限定はないが、銅フタロシアニン(CuPc:Copper Phthalocyanine)などの金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、カーボン膜、ポリアニリンなどの導電性ポリマーが好適に使用できる。
【0039】
[ファン付照明パネル]
図6は本発明による他の実施形態のファン付照明パネルの照明装置の概略部分切欠斜視図を示す。この照明パネル装置1は、有機ELパネル2を含む隔壁によって内部空間を画定するハウジング5の奥壁側に、有機ELパネル2に対向してファン41を備えている。有機ELパネル2には、上記の実施形態と同様に、その表面に形成され内部空間から外部へ貫通する複数の貫通孔4が設けられている。
【0040】
ファン41と貫通孔4付の有機ELパネル2とを一体にすることで貫通孔4の働きを充分に生かすことができる。
【0041】
[制御基板と一体になった貫通孔付照明パネル]
図7は本発明による他の実施形態の貫通孔付照明パネルの照明装置の概略部分切欠斜視図を示す。この照明パネル装置1は、有機ELパネル2の発光面の反対側の面に有機ELパネル2の制御回路基板43を設けてある。制御回路基板43としては有機ELパネル調光のために有機ELパネル2をパルス駆動する制御回路基板が挙げられる。内部空間を画定するハウジング(図示せず)としては、上記の実施形態と同様に、図1に示す送風装置からの導管に連通したハウジング5としたり、図6に示すファン付の照明パネルのハウジング5とすることができ、有機ELパネル2の貫通孔4を通して送風が行われる。
【0042】
この場合、制御回路基板43にも有機ELパネル2の貫通孔4の位置に合わせて貫通孔を設けることににより、有機ELパネル2の制御回路の様々な電子部品の放熱も行うことが可能になる。
【0043】
[空気清浄機構付照明パネル]
図8は本発明による他の実施形態の空気清浄機構付照明パネルの照明装置の平面図を示す。図9は図8中のA−A線の断面図を示す。
【0044】
図9に示すように、空気清浄機構付照明パネルの照明装置1aは、そのハウジング5の背面側の略中心部に設けられた受電用の引掛金属爪部51(引掛シーリング)によって、家屋の天井62に取り付けられた引掛ローゼット63へ着脱自在に固定される。
【0045】
また、ハウジング5の内部の略中心部には有機ELパネル2を取り付け固定する電気接続部CSが設けられると共に、有機ELパネル2の正面に4つの吸込口となる複数の貫通孔52の群と、テーパ側面に同じく4つの吹出口を複数の貫通孔53の群とが設けられている。
【0046】
一方、吸込貫通孔52は、ハウジング5内に区画形成されたダクト54によって各々吹出貫通孔53に連通していると共に、ダクト54内の途中には集塵装置55が設けられ、ダクト54の吸込貫通孔52側には多翼ファンなどの送風装置56が設けられている。なお、ハウジング5の内部には、引掛金属爪部51から給電され集塵装置55及び送風装置56をオンオフ制御及び状態制御する制御部(図示せず)が設けらている。
【0047】
また、ダクト54の送風装置56側には吸込貫通孔52に近接、対向して有機ELパネル2に沿って吸入エアフィルタ57が設けられていると共に、吹出貫通孔53に近接、対向して有機ELパネル2に沿って吹出エアフィルタ58が設けられている。
【0048】
ハウジング5内に配設した送風装置56のファンを回転することで、吸込貫通孔52よりダクト54内に室内空気を吸引し、吸入エアフィルタ57により空気中の油分を吸着、除去した後、集塵装置55にて空気中に含まれる煙を無煙化したり脱臭して浄化し、その後、吹出エアフィルタ58を通過させて更に脱臭後、吹出貫通孔53より再度室内に排出する。この構成により、室内空気をハウジング5の正面より吸引して側面に向けて排出することで、天井付近の空気を効率的に浄化することができる。
【0049】
また、本実施形態では例えば図9に示すように、有機ELパネル2と一体化され有機ELパネル2をオンオフ制御及び状態制御する駆動部DSが設けらている。有機ELパネル2の駆動部DSに接続した電気接続半体CS2(引掛金属爪部)を、電気接続部CSに係止して受電とともに固定することで、吸入エアフィルタ57及び吹出エアフィルタ58を保護することができる。
【0050】
なお、この実施形態ではハウジング5と有機ELパネル2を平面視において正方形底面の角錐台形状に構成しているが、これに限定されることなく、平面形状が三角形や四角形等の多角形や、円形状、楕円形状の円錐台形状でも良い。すなわち、有機ELパネル2が法線の方向が異なる少なくとも2つの平面を有し、貫通孔4がそれらの平面の双方に設けられていればよい。さらに、図10に示す他の実施形態の送風孔付照明パネルの有機ELパネル2の概略部分平面図のように、複数の貫通孔4の何れの隣接するもの同士の距離vが等しくなるように、貫通孔を配置することにより、有機ELパネル2の輝度分布を均一にすることができ、強度も維持できるようになる。さらに、貫通孔の形状も円形に限らす、楕円や、矩形や、多角形などに形成して用いることができる。
【0051】
[エレクトロルミネッセンスパネルとして無機ELパネルを用いた照明装置]
上記照明装置においては、エレクトロルミネッセンスパネルとして有機ELパネルを用いた照明装置を例示したが、図1、図6、図7又は図8に示した実施形態の照明装置1、1aにおける有機ELパネル2に代えて無機ELパネルを用いることもできる。本実施形態による無機ELパネル71の一例を図11に示す。無機ELパネル71は、ガラスなどの透明基板20上にて、順に、透過性の第1電極72、誘電体層73、光反射性の第2電極74が積層されて得られるものが挙げられる。誘電体層73には、発光層と絶縁層の交互の積層構造が採用できる。発光層には、SrGa24:Eu(緑)、CaS:Eu(赤)、BaAl24:Eu(青)などの硫化物、酸化物が用いられ、絶縁層には、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの酸化物が用いられる。このように無機ELパネルの各無機EL素子は、基板に担持された、対向する1対の第1及び第2電極の間に発光層を含む複数の無機材料層を備えた素子である。送風用の貫通孔4以外の外面は発光して照明として用いられる。第2電極74側には保護層24が設けられ積層構造となって無機ELパネル71が構成されている。
【0052】
本発明によれば、クリーンルーム用の照明として使用した場合でも、コンパクトな照明装置を提供することができ、また、紫外線を出さないエレクトロルミネッセンスパネルを用いるため、黄色フィルタは不要となる。エレクトロルミネッセンス照明パネルに直接、複数の貫通孔が設けられ、その貫通孔を送風に用いている。これにより、黄色フィルタが要らないため、照明装置の構造が簡単になる。照明と送風が同一装置で行うことができるためスペース利用効率が高まる。貫通孔に送風することでエレクトロルミネッセンスパネルの温度が低下して発光寿命が長くなる。本発明によれば、クリーンルーム用照明の他に、エアコン、空気清浄機などと一体化できる照明装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 照明パネル装置
2 有機ELパネル
4 貫通孔
5 ハウジング
6 導管
20 基板
21 陽極(第1電極)
22 陰極(第2電極)
51 引掛金属爪部
52 吸込貫通孔
53 吹出貫通孔
54 ダクト
55 集塵装置
56 送風装置
57 吸入エアフィルタ
58 吹出エアフィルタ
62 天井
63 引掛ローゼット
71 無機ELパネル
CS2 電気接続半体
CS 電気接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面発光体と前記面発光体を含む隔壁によって内部空間を画定するハウジングとを備えた照明装置であって、
前記面発光体は、透過性の基板を有して可視光を面状に放射するエレクトロルミネッセンスパネルであり、
前記エレクトロルミネッセンスパネルは前記内部空間から外部へ貫通する複数の貫通孔を有し、
前記貫通孔の内壁面は防湿バリアフィルムにより保護されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記エレクトロルミネッセンスパネルは有機エレクトロルミネッセンスパネルであることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記エレクトロルミネッセンスパネルは無機エレクトロルミネッセンスパネルであることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記貫通孔に対向して前記内部空間に設けられたエアフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記エレクトロルミネッセンスパネルが法線の方向が異なる少なくとも2つの平面を有し、前記貫通孔が前記2つの平面の双方に設けられており、前記2つの平面の一方と他方との前記貫通孔を連通せしめるダクトを有することを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記貫通孔の隣接するもの同士間の距離が等しくなるように前記貫通孔が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−238575(P2012−238575A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−56176(P2012−56176)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2012−510833(P2012−510833)の分割
【原出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】