説明

照明装置

【課題】安価かつ確実に長期使用されたアルミ電解コンデンサの防爆弁の動作を防ぎ、不快感が生じるのを未然に防止できる照明装置を提供すること。
【解決手段】照明装置2は、アルミ電解コンデンサCの寿命を報知させる報知手段11と、照明灯(主照明具3)の点灯に伴うアルミ電解コンデンサCの使用時間を累計して、使用時間がアルミ電解コンデンサCの寿命時間に達する前である、予め設定した時間に達した時に、報知手段11を作動させる制御手段(制御回路10)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、寿命を検知して報知するようにした照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明装置には、制御電源部に防爆弁付きのアルミ電解コンデンサを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のアルミ電解コンデンサは、長期使用し、寿命を迎えると、防爆弁が動作し、電解液を水蒸気状態で放出する機能を有する。
【0003】
また、照明装置には、アルミ電解コンデンサの異常温度上昇を検知したり、アルミ電解コンデンサのリップル電圧値の上昇を検知して、制御電源部の出力を停止させるようにしたものも考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−289494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、防爆弁付きのアルミ電解コンデンサを用いた照明装置では、長期使用された照明装置が故障する際、照明装置に搭載されたアルミ電解コンデンサの防爆弁の動作を伴うことがあり、その際に発生する水蒸気により使用者が不快な思いをすることがある。従来、このような防爆弁の動作を防ぐ方法が種々考えられているが、防爆弁が作動した後に、温度上昇が起こる場合もあり、確実に防爆弁の動作を防ぐことはできないものであった。
【0006】
また、リップル電圧値の上昇検知をする照明装置では、入力電圧や負荷の変動の影響でリップル電圧値は変化するので、入力電圧や負荷変動を検知して、電源制御部からの出力停止の条件に補正をする必要が生じ、制御が複雑になるという問題があった。
【0007】
そこで、この発明は、安価かつ確実に長期使用されたアルミ電解コンデンサの防爆弁の動作を防ぎ、不快感が生じるのを未然に防止できる照明装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、この発明は、アルミ電解コンデンサが用いられた電源回路の出力をインバータを介して照明灯に供給するようにした照明装置において、前記アルミ電解コンデンサの寿命を報知させる報知手段と、前記照明灯の点灯に伴う前記アルミ電解コンデンサの使用時間を累計して、前記使用時間が、前記アルミ電解コンデンサの寿命時間に達する前である、予め設定した時間に達した時に、前記報知手段を作動させる制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この構成によれば、安価かつ確実に長期使用されたアルミ電解コンデンサの防爆弁の動作を防ぎ、不快感が生じるのを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係る照明装置の制御回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1において、1は商用の電源、2は電源1から供給される電力により作動する照明装置、3は照明装置2から供給される点灯用の電力により点灯させられる蛍光灯等の主照明具(照明灯)、4は照明装置2から供給される点灯用の電力により点灯させられる蛍光灯等の副照明具(保安灯)である。
【0013】
照明装置2は、電源1から交流が入力され且つ高周波成分を除く入力フィルタ5と、入力フィルタ5から供給される交流を整流して昇圧する昇圧回路6を有する。この昇圧回路6には、アルミ電解コンデンサCが用いられている。
【0014】
ここで、照明装置2の寿命時間はアルミ電解コンデンサCの寿命設定時間で決まる。従って、アルミ電解コンデンサCの寿命設定時間Tacを例えば40,000時間とした場合、照明装置2の器具寿命設定時間が40,000時間となる。尚、アルミ電解コンデンサCの寿命時間は、実際には寿命設定時間Tacよりも長いが、確実な制御のために短く設定している。
【0015】
また、照明装置2は、昇圧回路6から供給される電流・電圧を高周波電流・電圧に変換するインバータ回路7と、インバータ回路7から主照明具3に点灯用の電力を出力する主照明出力回路8と、入力フィルタ5から供給される交流を副照明具4に点灯用の電力にして出力する副照明出力回路9を有する。
【0016】
更に、照明装置2は、点灯制御機能および使用時間累計機能を有する制御回路10と、この制御回路(制御手段)10により動作制御されるブザーや表示灯等の報知手段11を有する。また、この制御回路10は、使用時間累計機能を有する使用累計時間カウント部10aと、報知手段11の作動制御機能および照明具3,4の点灯制御機能を有する制御部10bを有する。
【0017】
使用累計時間カウント部10aは、照明装置2がONさせられて、主照明具3が点灯させられると、インバータ回路7の動作から使用時間を累計して累計時間Tをカウントして、累計時間Tを保持する。
【0018】
そして、制御部10bは、使用累計時間カウント部10aにより累計された累計時間Tがアルミ電解コンデンサCの寿命設定時間Tacを迎える直前の報知設定時間になったときに報知手段11を作動させて、アルミ電解コンデンサCの寿命を使用者に音又は光で知らせる。
【0019】
例えば、器具寿命設定時間であるアルミ電解コンデンサCの寿命設定時間Tacが上述したように例えば40,000時間である場合、制御部10bは累計時間Tが例えば報知設定時間である39,500時間になったときに報知手段11を作動させて、アルミ電解コンデンサCの寿命を使用者に音又は光で知らせる。この状態において、累計時間Tが報知設定時間を超えて器具寿命設定時間になるまでは照明装置2を通常通りに使用できる。しかも、制御部10bは、報知手段11により寿命の報知を行った後に、主照明具(照明灯)3の点灯操作が行われた場合、報知手段11を再度作動させて、アルミ電解コンデンサCの寿命を使用者に音又は光で知らせる。尚、上述した寿命時間や設定時間は上述した値に限定されるものではない。
【0020】
そして、制御部10bは累計時間Tが器具寿命設定時間(上述した例では、40,000時間)を迎えたとき、報知手段11を作動させて、主照明具3を消灯させる。
【0021】
また、累計時間Tが器具寿命設定時間を迎えた照明装置2は、主照明具(照明灯)3の点灯操作が行われた場合、制御部10bは、報知手段11を作動させると共に、あらかじめ決められた回数(例えば30回)のみ短時間(例えば30秒間)主照明具3を点灯させ、その後消灯させる。
【0022】
更に、前記回数の点灯を終えた照明装置2は以後、主照明具3点灯操作が行われた場合、制御部10bは報知手段11を作動させ、主照明具3を消灯させる。
【0023】
しかも、制御部10bは、報知手段11により寿命の報知を行った後に、副照明灯である副照明具4の点灯操作が行われた場合、副照明出力回路9を作動制御して、副照明出力回路9により副照明具4を点灯させる。尚、累計時間Tが器具寿命設定時間になって主照明具3を消灯させられた後であっても、制御部10bは副照明出力回路9により副照明具4を点灯させることができる。
【0024】
以上説明したように、この発明の実施の形態の照明装置2は、アルミ電解コンデンサCが用いられた電源回路(昇圧回路6)の出力をインバータ(インバータ回路7)を介して照明灯(主照明具3)に供給するようになっている。しかも、照明装置2は、前記アルミ電解コンデンサCの寿命を報知させる報知手段11と、前記照明灯(主照明具3)の点灯に伴う前記アルミ電解コンデンサCの使用時間を累計して、前記使用時間が前記アルミ電解コンデンサの寿命時間に達する前である、予め設定した時間に達した時に、前記報知手段11を作動させる制御手段(制御回路10)を有する。
【0025】
この構成によれば、安価かつ確実に長期使用されたアルミ電解コンデンサCの防爆弁の動作を防ぎ、不快感が生じるのを未然に防止できる。
【0026】
また、この発明の実施の形態の照明装置2において、前記報知手段11は音発生手段と表示灯の少なくとも一方、すなわち前記報知手段11は音発生手段又は表示灯、若しくは音発生手段及び表示灯である。この構成によれば、報知手段をブザーや音声用のスピーカ等の音発生手段とできる。この音発生手段にブザーを用いた場合、ブザー音で使用者にアルミ電解コンデンサCの寿命時間を知らせることができる。また、この音発生手段に音声用のスピーカを用いた場合、使用者にアルミ電解コンデンサCの寿命時間を「寿命が後10時間です。」,「後10時間以内に交換してください。」等その他の寿命に関するメッセージを音声で知らせることができる。
【0027】
更に、報知手段を表示灯とした場合、アルミ電解コンデンサCの寿命時間を表示灯の点灯又は表示灯の点滅で知らせることができる。また、表示灯の点滅時間を数段階に分けておいて、表示灯の点滅時間が短くなるに従って、寿命時間がより迫っていることを使用者に知らせることができる。
【0028】
また、報知手段を音発生手段および表示灯とした場合、音(ブザー音や音声メッセージ)と光で使用者にアルミ電解コンデンサCの寿命時間を知らせることができる。
【0029】
更に、報知手段11により、寿命の報知を行った後に、主照明具(照明灯)3の点灯操作が行われた場合、再度、前記報知手段11により寿命の報知を行うようになっている。
【0030】
この構成によれば、アルミ電解コンデンサCの寿命の報知を一度行った後でも、照明灯(主照明具3)の点灯操作が行われる際に、報知手段11を作動させるので、照明装置2の寿命を忘れること無しに交換等の準備を進めることができる。しかも、最終的には装置を停止させるので、アルミ電解コンデンサCの防爆弁が動作する前に、確実に照明装置2の交換が可能となる。
【0031】
また、この発明の実施の形態の照明装置2において、前記制御手段(制御回路10)は、前記報知手段11により寿命の報知を行った後に、前記照明灯(主照明具3)の点灯操作が行われた場合、照明灯(主照明具3)を短時間だけ点灯させた後、照明灯(主照明具3)を消灯させるようになっている。
【0032】
この構成によれば、照明装置2の寿命がくる前に寿命を知ることができるので、照明装置2の交換の準備中でも、照明装置2を使用できる。しかも、最終的には装置を停止させるので、アルミ電解コンデンサCの防爆弁が動作する前に、確実に照明装置2の交換が可能となる。
【0033】
また、器具寿命による主照明具の消灯を迎える前から、報知手段11により、段階的な報知を行うことで、使用者から、いきなり主照明の明るさを奪うことなく、照明装置2の寿命が近いことを知らせることができる。
【0034】
また、この発明の実施の形態の照明装置2において、前記照明灯(主照明具3)は主照明灯(主照明具3)であると共に、副照明灯(副照明具4)をさらに備え、前記制御手段(制御回路10)は、前記報知手段11により寿命の報知を行った後に、前記副照明灯(副照明具4)の点灯操作が行われた場合、副照明灯(副照明具4)を点灯させるようになっている。
【0035】
この構成によれば、照明装置2の寿命前に副照明灯(副照明具4)を点灯させることができるので、照明装置2の寿命が早くきてしまった場合でも、照明装置2の寿命が設定時間より長ければ、副照明灯(副照明具4)による照明を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・電源
2・・・照明装置
3・・・主照明具(照明灯)
4・・・副照明具(副照明灯)
6・・・昇圧回路(電源回路)
7・・・インバータ回路(インバータ)
10・・・制御回路(制御手段)
11・・・報知手段
C・・・アルミ電解コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ電解コンデンサが用いられた電源回路の出力をインバータを介して照明灯に供給するようにした照明装置において、
前記アルミ電解コンデンサの寿命を報知させる報知手段と、
前記照明灯の点灯に伴う前記アルミ電解コンデンサの使用時間を累計して、前記使用時間が、前記アルミ電解コンデンサの寿命時間に達する前である、予め設定した時間に達した時に、前記報知手段を作動させる制御手段を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、前記報知手段は音発生手段と表示灯の少なくとも一方であることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明装置において、前記制御手段は、前記報知手段により寿命の報知を行った後に、照明灯を消灯させることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の照明装置において、前記制御手段は、前記報知手段により寿命の報知を行った後に、前記照明灯の点灯操作が行われた場合、前記報知手段により寿命の報知を行わせて、照明灯を短時間だけ点灯させた後、照明灯を消灯させることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の照明装置において、前記制御手段は、前記報知手段により寿命の報知を行った後に、前記照明灯の点灯操作が行われた場合、前記報知手段により寿命の報知を行わせて、照明灯を消灯させることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の照明装置において、前記照明灯は主照明灯であると共に、副照明灯をさらに備え、前記制御手段は、前記報知手段により寿命の報知を行った後に、前記副照明灯の点灯操作が行われた場合、副照明灯を点灯させることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−38598(P2012−38598A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178285(P2010−178285)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000180450)四変テック株式会社 (55)
【Fターム(参考)】