説明

照明装置

【課題】スペーサを収納部内に挿入することで、窓部の内側面と光源との間の間隙を小さくし、装置の小型化及び光源の光の配光角度の拡大化を実現する。
【解決手段】この発明の照明装置に係る防爆容器100は、少なくとも一方の側面が開口部12として開放した収納部10内に光源であるLED30を実装した光源用基板31を収納し、収納部10に連通する窓部11を正面1Aに形成し、ガラス板3及びスペーサ50を備え、収納部10に段部20を形成したものである。ガラス板3は、内側面が窓部11の縁部に全周にわたって当接し、内側面に収納部10に収納されたLED30が対向する。スペーサ50は、光源用基板31の背面に当接し、窓部11の周縁部の厚さDに略等しい厚さを呈している。段部20は、開口部12に開放し、スペーサ50が側面1Bから着脱自在に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置に関し、特に、光源の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置として、例えば防爆型照明装置がある。石油化学プラント等の可燃性ガス雰囲気の危険区域内でも、暗所や夜間の作業時に照明が必要とされる場合がある。このため、光源を電源回路等の電気部品とともに防爆構造の防爆容器に収納した防爆型照明装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
防爆型照明装置に用いられる防爆容器は、内部に収納した光源の光を外部に照射するため、一部にガラス板で被覆した窓部を備えている。防爆容器は、筐体の内部で発生した火焔がガラス板の周囲を経由して外部に放出しないように、窓部の周縁部とガラス板の周囲との間を密封する必要がある。
【0004】
この場合に、光源や電気部品を実装した基板は、防爆容器の側面の開口部から、ガラス板に平行に防爆容器の内部に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−053929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の防爆型照明装置のように、光源を容器の側面の開口部から組み込む照明装置の場合、窓部に配置されたガラス板の内側面と光源との間に間隙が形成される。このため、光源から照射された光の配光角度が狭くなる。
【0007】
この発明の目的は、光源を容器の側面から組み込む照明装置において、光源の光の配光角度の拡大化を実現できる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る照明装置は、容器、スペーサを備えている。容器は、少なくとも一方の側面に開放した収納部内に光源を実装した光源用基板を収納し、収納部に連通する窓部を正面に形成し、収納部に段部を形成したものである。スペーサは、光源用基板の背面に当接する。段部は、一方の側面に開放し、スペーサが一方の側面から着脱自在に挿入される。
【0009】
この構成においては、光源用基板の背面の位置を規定するスペーサが、収納部に形成された段部に一方の側面から着脱自在に挿入される。収納部内に光源用基板を収納した後にスペーサを段部に挿入すると、スペーサの厚さだけ光源用基板が窓部方向に移動する。
【0010】
この構成において、段部を正面に平行にして一方の側面に直交する方向に連続して形成することが好ましい。スペーサを収納部の全長にわたって容易に収納することができる。
【0011】
また、正面に平行な方向に沿って段部を含む一様な断面を呈する押出し材に窓部を開設することが好ましい。段部を正面に平行にして一方の側面に直交する方向に連続して形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、スペーサを収納部内に挿入することで、スペーサの厚み分で窓部と光源との間の間隙を小さくすることができ、光源からの光の配光角度の拡大化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態に係る照明装置の組立図である。
【図2】(A)及び(B)は、同照明装置の本体の形成状態を示す側面断面図である。
【図3】同照明装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、この発明の実施形態に係る照明装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、この発明の照明装置用容器である防爆容器100は、耐圧防爆構造の容器であり、本体1、蓋体(図示せず。)カバー13を備えている。本体1は、正面(図1及び図2において上向き。)1Aに矩形状の窓部11を備え、両側面1B,1Cに開口部12を備えた筐体であり、内部の収納部10に光源であるLED30を実装した光源用基板31及び電気部品40を実装した電機部品容器板41をスペーサ50とともに収納する。
【0016】
蓋体は、本体1の側面1B,1Cのそれぞれに固定され、開口部12を塞ぐ。蓋体には、ケーブル引込部が形成されている。ケーブル引込部は、光源及び電気部品に対する電源線及び信号線が挿通された状態で、本体1の内部を外部に対して遮蔽する。
【0017】
ガラス板3は、この発明の透光性の板材に相当し、窓部11よりも面積の大きい矩形状の強化ガラスであり、正面1Aに配置されて窓部11を被覆する。ガラス板3は、光が通過する材質であればよく、プラスチック板でもよい。
【0018】
カバー13は、本体1の正面1A側の外側面に複数の固定ネジ13Bを介して装着される。カバー13には、窓部11と同一形状又は窓部11よりも大きくガラス板3よりも小さい形状の開口13Aが形成さている。留め具4は、ガラス板3において保持部13の両端から露出した部分を被覆する。
【0019】
図2(A)に示すように、本体1は、押出し成形により、一対の段部20が内部の収納部10に一体に形成された状態の一様な断面形状に成形される。この後、図2(B)に示すように、切削加工により、凹部14が形成され、さらに正面1Aに窓部11が開設される。凹部14には、ガラス板3が収容される。
【0020】
したがって、一対の段部20は、収納部10内において、正面1Aに平行な方向の全域にわたって形成される。また、収納部10は、両側面1B,1Cにおいて開口部12として開放している。
【0021】
図3に示すように、本体1の収納部10には、光源であるLED30を実装した光源用基板31、電気部品40を実装した電気部品用基板(具体的には、駆動電源用基板である。)41が、開口部12から挿入される。LED30には、レンズ30Aが装着されている。図2(A),(B)に示したように、正面1Aの存在により、レンズ30Aが正面1Aの内側面に干渉しないように、レンズ30Aをガラス板3の内側面から少なくとも正面1Aの厚みDだけ背面側に離間させて、光源用基板31を開口部12から挿入する必要がある。
【0022】
ガラス板3の内側面とレンズ30Aとの間に厚みD分の間隙が形成されると、収納部10内に無駄なスペースが存在して本体1が大型化するだけでなく、LED30からの光の配光角度が狭くなる。
【0023】
そこで、光源用基板31を収納部10内に収納した後に、光源用基板31の背面側に当接するスペーサ50を段部20内に開口部12から挿入する。スペーサ50の厚さは、正面1Aの厚さDに略等しくされており、光源用基板31を厚さDだけガラス板3の内側面に向けて移動させる。
【0024】
また、段部20の窓部11側に別の段部20Aが段部20と同様に設けられている。レンズ30Aが装着されていないLED30を実装した光源用基板を使用する場合には、この光源用基板を収納部10内に収納した後に、光源基板の背面側に当接するスペーサを段部20A内に開口部12から挿入する。このように、窓部11に向かう方向に段部を複数設けておくことにより、光源用基板の種類に応じて窓部11に最も接近するように光源基板を収納部10内に配置することができる。また、スペーサを複数の段部の何れかに選択的に挿入することで、所望の配光角度を得ることができる。
【0025】
図1に示すように、光源用基板31及び電機部品用基板41は側面1B側から収納部10に収納部10内に挿入され、光源用基板31に固定された金具31Aがネジ31Bで収納部内に固定される。スペーサ50は側面1C側から収納部10に挿入される。このとき、スペーサ50は、挿入方向の先端が金具31Aに当接する位置で停止する。スペーサ50の挿入方向の後端は、収納部に螺合するネジ50Aの頭部に当接する。スペーサ50は、金具31A及びネジ50Aの頭部に両端が当接することで、収納部10内に固定される。
【0026】
なお、一対の段部20のそれぞれは、挿入されたスペーサ50における光源用基板31の背面との当接面から正面1Aの外側面までの長さが、レンズ30Aを実装した光源用基板31の高さに一致する位置に形成されている。
【0027】
これによって、レンズ30Aとガラス板3の内側面との間の間隙が少なくなり、収納部10内に無駄なスペースが形成されることがなく、本体1の大型化を防止できる。また、LED30の光の配光角度を広くすることができる。
【0028】
本体1は、必ずしも押出し成形で形成する必要はなく、段部20を切削加工で収納部10内に形成すること、又は別部品の段部20を収納部10に取り付けることも可能である。
【0029】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、照明装置は、防爆型照明装置に限らない。
【符号の説明】
【0030】
1−本体
1A−正面
1B,1C−側面
3−ガラス板
10−収納部
11−窓部
20−段部
30−LED(光源)
31−光源用基板
50−スペーサ
100−防爆容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の側面に開放した収納部内に光源を実装した光源用基板を収納し、前記収納部に連通する窓部を正面に形成した照明装置用容器と、
前記光源用基板の背面に当接するスペーサと、を備え、
前記一方の側面に開放し、前記スペーサが前記一方の側面から着脱自在に挿入される段部を前記収納部に形成した照明装置。
【請求項2】
前記段部は、前記収納部の全域にわたって前記正面に平行に形成された請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記正面に平行な方向に沿って前記段部を含む一様な断面を呈する押出し材に前記窓部を開設した請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
内側面が前記窓部の縁部に全周にわたって当接する透光性の板材であって、前記内側面に前記収納部に収納された前記光源が対向する透光性の板材をさらに備えた請求項1乃至3の何れかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明装置用容器は、耐圧防爆型の容器である請求項4に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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