説明

照明装置

【課題】雑音端子電圧を低減できる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置10は、筐体12、電路およびノイズフィルタ回路16を具備する。筐体12には、点灯回路内蔵形ランプ11を配置する。電路は、点灯回路内蔵形ランプ11に外部電源を供給する。ノイズフィルタ回路16は、電路中に設けられ、雑音端子電圧を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、点灯回路内蔵形ランプを用いる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば蛍光管やLEDなどの光源とともに外部電源を入力して光源を点灯させる点灯回路を内蔵した電球形ランプなどの点灯回路内蔵形ランプを用いる照明装置がある。この照明装置は、点灯回路内蔵形ランプを収容する筐体を備え、この筐体内に点灯回路内蔵形ランプを接続するソケット、およびソケットを通じて点灯回路内蔵形ランプに外部電源を供給する電路などが配置されている。
【0003】
また、点灯回路内蔵形ランプは、ランプ単体での電源ラインに伝わる雑音端子電圧が、電気用品安全法、CISPR(国際無線障害特別委員会)で規定されている規格内に収められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−187188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、点灯回路内蔵形ランプを照明装置の筐体に配置した場合、点灯回路内蔵形ランプと筐体との間に浮遊容量が存在することにより、点灯回路内蔵形ランプからの雑音が電路から外部電源に伝わり、雑音端子電圧が規格内に収められない虞がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、雑音端子電圧を低減できる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の照明装置は、筐体、電路およびノイズフィルタ回路を具備する。筐体には、点灯回路内蔵形ランプを配置する。電路は、点灯回路内蔵形ランプに外部電源を供給する。ノイズフィルタ回路は、電路中に設けられ、雑音端子電圧を低減する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、点灯回路内蔵形ランプを用いる照明装置が、点灯回路内蔵形ランプに外部電源を供給する電路中にノイズフィルタ回路を設けているため、雑音端子電圧を低減することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態を示す照明装置の断面図である。
【図2】同上照明装置の一部を省略した正面図である。
【図3】同上照明装置のノイズフィルタ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を、図1ないし図3を参照して説明する。
【0011】
図1および図2に示すように、照明装置10は、防水型器具であり、点灯回路内蔵形ランプ11、この点灯回路内蔵形ランプ11を収容配置する筐体12、点灯回路内蔵形ランプ11を接続するソケット13、ソケット13を通じて外部電源を点灯回路内蔵形ランプ11に供給する電路14(図3参照)、点灯回路内蔵形ランプ11と筐体12とを熱伝導可能に接続する熱伝導部材15、および電路14中に設けられるノイズフィルタ回路16などを備えている。
【0012】
点灯回路内蔵形ランプ11は、例えば金属製で円筒状のケース18を有し、ケース18の一端に例えばLED素子やEL素子などの半導体発光素子を光源とする発光部19が配設されている。ケース18の周囲には放熱用の複数のフィン20が放射状に突設されている。
【0013】
ケース18の他端には、例えば合成樹脂などの絶縁材料で円筒状のカバー21が取り付けられている。カバー21の先端側にソケット13に接続する接続部が設けられている。接続部は、例えば先端に径大部を有する一対のピンを突出した形態や、エジソンタイプの口金の形態など、電気的接続と機械的な保持とが可能であればいずれの形態でもよい。
【0014】
ケース18およびカバー21のうち、少なくともカバー21内には、光源を点灯させる点灯回路22が内蔵されている。点灯回路22は、例えば、外部電源である交流電源電圧を直流電圧に変換する直流回路、直流回路で変換された直流電圧を光源を点灯させる所定の電源電圧に変換するスイッチング素子を有する電力変換回路などで構成されている。
【0015】
また、筐体12は、防水構造を有し、前面側のみ開口された円筒状の器具本体24、およびこの器具本体24の前面側に着脱可能に閉塞する前面カバー体25を備えている。
【0016】
器具本体24は、例えばアルミニウムなどの金属製で、前面に開口部26が形成され、側面に取付部27が形成されている。器具本体24内には、アース接続用および位置決め用として兼用されるボス28が一体に形成されている。器具本体24の内周面は、ボス28とともに、複数の平坦部が形成され、周方向に円形ではなく異形に形成されている。
【0017】
取付部27には、照明装置10を設置するためのブラケット29が取り付けられている。ブラケット29は、例えば壁面などの設置場所に固定される固定ブラケット30、および取付部27に取り付けられる可動ブラケット31を有し、固定ブラケット30と可動ブラケット31とが支点用ねじ32によって回動可能に連結されているとともに、固定ブラケット30に対する可動ブラケット31の角度調整後に調整用ねじ33によって固定ブラケット30と可動ブラケット31とが固定されている。
【0018】
取付部27には、照明装置10に外部電源を供給するケーブル34がパッキング35を介して挿通されている。ケーブル34は、ノイズフィルタ回路16に接続される外部電源供給用の一対の電源線34aと、アース接続用のボス28にねじSで接続される1本のアース線34bとを有している。
【0019】
前面カバー体25は、環状の前面枠36、前面枠36の内側に配置される例えばガラスまたは合成樹脂などの透明材料で円板状に形成された透光カバー37、および前面枠36と透光カバー37との間に介在される環状のパッキング38を有している。そして、前面カバー体25の複数箇所が器具本体24に対してねじ止めされることにより、器具本体24と前面カバー体25とがパッキング38を介在して密閉状態に取り付けられている。
【0020】
また、ソケット13は、点灯回路内蔵形ランプ11の接続部を挿入して接続する円筒状のソケット本体41を有している。ソケット本体41は、例えば合成樹脂などの絶縁材料で形成され、ソケット本体41の内部には点灯回路内蔵形ランプ11の接続部が電気的に接続される一対の端子が配置されている。なお、点灯回路内蔵形ランプ11の接続部の機械的な保持構造は、ソケット本体41が備えていてもよいし、端子が兼用していてもよい。
【0021】
また、電路14は、この電路14中にノイズフィルタ回路16が介在されており、ケーブル34が接続されるノイズフィルタ回路16の接続部(コネクタ47)からソケット13の端子までの間で構成されている。
【0022】
また、熱伝導部材15は、例えばシリコーン樹脂などの絶縁性、熱伝導性および弾性を有する材料で形成されており、点灯回路内蔵形ランプ11のケース18の外周面の形状に沿って密着して取り付けられる円筒状の点灯回路内蔵形ランプ接触部44、およびこの点灯回路内蔵形ランプ接触部44の外周面から突出して器具本体24の内周面の形状に沿って密着して取り付けられる器具本体接触部45を有している。
【0023】
また、ノイズフィルタ回路16は、外部電源側への雑音端子電圧の低減を図るもので、図3に示すように回路が構成されている。外部電源である交流電源Eを供給するケーブル34の電源線34a,34aがコネクタ47の入力端CN1,CN2に接続され、入力端CN1,CN2間にヒューズF1および雷サージ対策用のバリスタVA1の直列回路が接続されている。バリスタVA1と並列に、雑音端子電圧低減用のコンデンサC1およびコモンモードチョークT1の入力側が接続されている。コモンモードチョークT1の出力側に出力端CN3,CN4が接続され、出力端CN3,CN4にソケット13の一対の端子が接続されている。
【0024】
図1および図2に示すように、ノイズフィルタ回路16は、円板状の基板48を有し、この基板48の周辺部に上述したノイズフィルタ回路16の各電子部品が実装されている。
【0025】
ノイズフィルタ回路16は回路ケース49に組み込まれてフィルタユニット50として一体化されている。回路ケース49は、例えば合成樹脂などの絶縁材料で形成され、器具本体24の端面に対向する端面壁部51、器具本体24の内周面に対向する側面壁部52を有し、前面側に向けて開口されている。端面壁部51の中央域には複数の取付孔53が形成されている。そして、回路ケース49内に基板48が収容配置され、さらに回路ケース49内の中央にソケット13が配置され、ソケット13内から挿入されるねじ54が回路ケース49の取付孔53に螺着されることにより、ソケット13、基板48および回路ケース49とが一体に締め付け固定されて一体化されている。また、回路ケース49の側面壁部52の外周面は、器具本体24のボス28に嵌合する窪み部55を含み、器具本体24の内周面形状に合わせて周方向に円形ではなく異形に形成されている。
【0026】
そして、照明装置10を組み立てるには、フィルタユニット50を器具本体24の開口部26から挿入して器具本体24内に配置する。このとき、フィルタユニット50の回路ケース49と器具本体24の内周面とは、窪み部55とボス28との嵌り合うように一定の方向でのみ互いに嵌り合い、嵌り合った状態では点灯回路内蔵形ランプ11の光軸を中心とした回転方向に対して周り止めされる。
【0027】
ケーブル34を筐体12内に引き込み、アース線34bをねじSでボス28に接続し、電源線34aをコネクタ47に接続する。
【0028】
点灯回路内蔵形ランプ11の外周に熱伝導部材15を取り付け、点灯回路内蔵形ランプ11を接続部側から器具本体24に挿入し、接続部をソケット13に接続するとともに、熱伝導部材15を器具本体24の内周面に接触させる。
【0029】
器具本体24の前面に前面カバー体25を被せ、複数のねじで前面カバー体25を器具本体24に締め付け固定する。これにより、器具本体24と前面カバー体25との間にフィルタユニット50および点灯回路内蔵形ランプ11が挟み込まれて保持される。
【0030】
また、照明装置10は、組み立て後も、前面カバー体25を外すことにより、点灯回路内蔵形ランプ11の交換、あるいはフィルタユニット50の交換を可能とする。
【0031】
このように構成され照明装置10において、ケーブル34を通じて外部電源を照明装置10に供給することにより、外部電源がノイズフィルタ回路16を通じてソケット13の端子から点灯回路内蔵形ランプ11に通電される。点灯回路内蔵形ランプ11の点灯回路22により、外部電源を直流電圧に変換するとともに所定の電源電圧に変換して光源に供給し、光源を点灯させる。
【0032】
光源が発生する光は、点灯回路内蔵形ランプ11の前面から透光カバー37を通じて照明装置10の前方へ向けて照射される。
【0033】
光源の点灯によって発生する熱は、点灯回路内蔵形ランプ11のケース18に伝えられ、ケース18と器具本体24とにそれぞれ接触する熱伝導部材15によって器具本体24に効率よく熱伝導され、器具本体24とこの器具本体24に接触する前面枠36およびブラケット29から外気中に放熱される。したがって、筐体12内の密閉された空間に収容されている点灯回路内蔵形ランプ11が発生する熱を熱伝導部材15によって筐体12に効率よく熱伝導して筐体12から放熱でき、点灯回路内蔵形ランプ11の過度な温度上昇を抑制できる。
【0034】
また、点灯回路内蔵形ランプ11を筐体12内に収納配置した場合に、点灯回路内蔵形ランプ11と筐体12との間に形成される浮遊容量により、点灯回路内蔵形ランプ11の点灯回路22が発生する雑音が電路14に伝わることがある。この場合、電路14に設けられたノイズフィルタ回路16によって電路14を伝わる雑音を低減し、照明装置10から外部電源側に伝わる雑音端子電圧を低減できる。
【0035】
また、ノイズフィルタ回路16は絶縁性を有する回路ケース49に組み込んで、フィルタユニット50としてユニット化しているため、筐体12に容易に組み込むことができるとともに、筐体12との絶縁性を容易に保つことができる。
【0036】
ところで、外部電源側に伝わる雑音端子電圧は、点灯回路内蔵形ランプ11の種類や点灯回路内蔵形ランプ11および筐体12の形状や熱伝導部材15などによって変動するため、ノイズフィルタ回路16はどのような周波数の雑音も低減できるものが望ましいが、それでは大形化やコスト高になる場合がある。そこで、ノイズフィルタ回路16を筐体12に対して交換可能としていることにより、照明装置10毎に適切なノイズフィルタ回路16を組み合わせることができる。
【0037】
また、フィルタユニット50によってソケット13とノイズフィルタ回路16とが一体にユニット化されているため、点灯回路内蔵形ランプ11に外部電源を供給する電路14とノイズフィルタ回路16とを一体化でき、小形に構成できる。
【0038】
なお、点灯回路内蔵形ランプ11は、蛍光ランプを光源として用いたものでもよい。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10 照明装置
11 点灯回路内蔵形ランプ
12 筐体
13 ソケット
14 電路
15 熱伝導部材
16 ノイズフィルタ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯回路内蔵形ランプが配置される筐体と;
点灯回路内蔵形ランプに外部電源を供給する電路と;
電路中に設けられた雑音端子電圧低減用のノイズフィルタ回路と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
点灯回路内蔵形ランプと筐体とを熱伝導可能に接続する熱伝導部材を具備している
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
点灯回路内蔵形ランプが接続されるソケットを有し、
ソケットとノイズフィルタ回路とが一体にユニット化されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−115010(P2013−115010A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262840(P2011−262840)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】