説明

照明装置

【課題】薄型化しても、下方から蛍光管や虫等の死骸が視認されることなく、一様な面照明を実現する照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、光源4と、光源4を覆うように配置される照明カバー2とを有し、照明カバー2は、フレーム枠5と第1の光拡散部材6と第2の光拡散部材7とを有し、フレーム枠5は、光源4が発する光を通すための開口5aを有し、開口5aの光源4側の端部及び反対側の他端部はそれぞれ、第1の光拡散部材6及び第2の光拡散部材7で覆われており、第1及び第2の光拡散部材6,7は、ガラス繊維シートからなり、第1の光拡散部材6の全光線透過率は80%以上であり、ヘーズ値は70%以上であり、第2の光拡散部材7の全光線透過率は40%以上であり、ヘーズ値は80%以上であり、フレーム枠5と、第1の光拡散部材6と、第2の光拡散部材7とにより密閉空間が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ギャラリー、エントランス等において、天井面に取り付けた多数の蛍光管と、照明カバーとにより面照明を実現する照明装置が用いられている。また、照明装置内に入り込んだ虫等の死骸が照明カバー上に溜まることに起因する美観の低下を防止するための構成を備える照明装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1には、枠体の蛍光管側に透光性シートが貼られ、反対側に光拡散シートが貼られた照明カバーを備える照明装置が記載されている。この照明カバーでは、枠体、透光性シート及び光拡散シートにより密閉空間が形成されている。照明装置内に入り込んだ虫の死骸は、照明カバー内には溜まらずに、透光性シート上に溜まる。このため、照明装置を下方から見た場合に、虫の死骸は視認され難いので、美観が維持される。
【特許文献1】特開2006−209978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような照明装置において、建物の構造の都合により、蛍光管と照明カバーの下面との距離を短くし薄型化することが求められている。しかしながら、この距離が短いと、下方から蛍光管が視認されやすくなると共に発光にむらが生じ、一様な面照明が実現されない。また、照明カバーの薄型化により、虫の死骸が照明カバーに投影されやすくなる。
【0004】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、薄型化しても、下方から蛍光管や虫等の死骸が視認されることなく、一様な面照明を実現する照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る照明装置は、光源と、光源を覆うように配置される照明カバーとを有する照明装置であって、照明カバーは、フレーム枠と第1の光拡散部材と第2の光拡散部材とを有し、フレーム枠は、光源が発する光を通すための開口を有し、開口の光源側の端部は、第1の光拡散部材で覆われており、開口の光源側と反対側の他端部は、第2の光拡散部材で覆われており、第1の光拡散部材は、ガラス繊維織物及びガラス繊維織物を被覆する樹脂被覆層を有するガラス繊維シートからなり、第2の光拡散部材は、ガラス繊維織物及びガラス繊維織物を被覆する樹脂被覆層を有するガラス繊維シートからなり、第1の光拡散部材の全光線透過率は80%以上であり、ヘーズ値は70%以上であり、第2の光拡散部材の全光線透過率は40%以上であり、ヘーズ値は80%以上であり、フレーム枠と、第1の光拡散部材と、第2の光拡散部材とにより密閉空間が形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の照明装置では、フレーム枠の開口の両端は、第1及び第2の光拡散部材で覆われており、これらの光拡散部材は、光を透過させると共に、入射した光を拡散する。第1の光拡散部材の全光線透過率は80%以上であり、第2の光拡散部材の全光線透過率は40%以上であるので、光源から発せられた光がフレーム枠の開口を通る際に第1及び第2の光拡散部材を通過しても、照明装置として十分な光量が確保される。また、第1及び第2の光拡散部材は光拡散性を有するので、開口を通る光は、第1及び第2の光拡散部材の双方により拡散される。さらに、第2の光拡散部材のヘーズ値は80%以上であるので、光源と照明カバーの下面に位置する第2の光拡散部材との距離が短くても、照明カバーと光源との間に溜まる虫等の死骸や光源の形は、下方から視認され難い。従って、照明装置の美観が維持されると共に、むらのない一様な面照明が実現される。なお、全光線透過率とは、光拡散部材に入射した光のうち、光拡散部材を透過した光の割合である。また、ヘーズ値とは、全光線透過率に対する拡散透過率の割合である。即ち、ヘーズ値が大きいほど、多くの入射光が拡散されることを意味している。これらの透過率は、JIS K 7105に規定される方法に従って測定される。
【0007】
また、フレーム枠、第1の光拡散部材及び第2の光拡散部材は、密閉空間を形成するので、この密閉空間の中に虫等が侵入することはない。このため、虫等の死骸が第2の光拡散部材上に溜まることはなく、美観が維持される。虫等が照明装置内に侵入した場合であっても、その死骸は照明カバーの上面に位置する第1の光拡散部材上に溜まることとなる。光源からの光は、第1及び第2の光拡散部材で拡散されるので、第1の光拡散部材上の虫等の死骸の影は、下方から視認され難い。さらに、第2の光拡散部材を構成するガラス繊維シートは、ガラス繊維織物とこれを被覆する樹脂被覆層からなるので不燃性を有し、照明装置の防火性能が向上する。
【0008】
また、第1の光拡散部材のヘーズ値が70%以上であるので、光源からの光が十分に拡散され、虫の死骸の影や光源の形が視認され難くなる。
【0009】
また、第2の光拡散部材に加えて、第1の光拡散部材も不燃性のガラス繊維シートからなるので、照明装置の防火性能がより一層向上する。
【0010】
本発明に係る照明装置は、光源との相対位置が固定されるように配置された固定枠を更に有し、固定枠とフレーム枠とは、矩形状の外形を有すると共に、それぞれ対をなす第1及び第2の連結杆により互いに連結されており、対をなす第1の連結杆の端部はそれぞれ、固定枠の互いに対向する2辺の各々における、互いに対向する2辺と他の1辺とからなる角部近傍の第1の部分に、対向する2辺の対向方向を軸として回動可能に取り付けられており、対をなす第1の連結杆の他端部はそれぞれ、フレーム枠の互いに対向する2辺の各々における、互いに対向する2辺と他の1辺とからなる角部近傍の第1の部分に、対向方向を軸として回動可能に取り付けられており、対をなす第2の連結杆の端部はそれぞれ、固定枠の互いに対向する2辺の各々における、固定枠の第1の部分よりも角部からの距離が離れた第2の部分に、対向方向を軸として回動可能に取り付けられており、対をなす第2の連結杆の他端部はそれぞれ、フレーム枠の互いに対向する2辺の各々における、フレーム枠の第1の部分よりも角部からの距離が離れた第2の部分に、対向方向を軸として回動可能に取り付けられており、第2の連結杆の長さは、第1の連結杆の長さよりも長いことを特徴とする。
【0011】
フレーム枠の第2の部分は、第2の連結杆の他端部と回動可能に連結されているので、この連結部分を軸としてフレーム枠を回動させることにより、照明カバーの開閉が可能となる。また、第2の連結杆の端部は、固定枠の第2の部分と回動可能に連結されているので、この連結部分を軸として第2の連結杆を回動させることができる。この回動により、フレーム枠の回動の軸となる第2の連結杆の他端部は、端部を中心とした弧を描きながら、固定枠の角部から遠ざかる方向に移動する。これにより、複数の照明装置を隙間無く隣接させて配置した場合であっても、照明カバーの開閉に際して、隣接する照明装置と干渉することなくフレーム枠を回動させることが可能となる。
【0012】
さらに、第1の連結杆の端部が固定枠の第1の部分と回動可能に連結されていると共に、フレーム枠の第1の部分が第1の連結杆の他端部と回動可能に連結されているので、固定枠の第1の部分とフレーム枠の第1の部分との距離は、第1の連結杆の端部と他端部との距離に規定される。これにより、固定枠に対する第2の連結杆の回動角と、第2の連結杆に対するフレーム枠の回動角とは、一意に対応付けられる。また、第1の連結杆は第2の連結杆よりも短いので、固定枠の角部から離れるに従い固定枠とフレーム枠との距離が広がるように照明カバーを開くことが可能となる。従って、照明カバーの開閉に際して、フレーム枠の回動の軌跡が一定となるので、照明カバーの開閉作業時において、照明カバーが作業者の予期せぬ動作をすることがない。従って、第1及び第2の光拡散部材に大きな力が加わることに起因するしわの発生及び破損が防止でき、一様な面照明の実現に寄与する。さらに、照明カバーの開閉を伴う作業の安全性が向上する。
【0013】
また、本発明に係る照明装置では、第1の連結杆の他端部及び第2の連結杆の他端部は、接続部材を介して前記フレーム枠に取り付けられており、接続部材は、前記フレーム枠の固定枠に対向する面に接続されていることが好ましい。この場合には、第1及び第2の連結杆は接続部材を介して一括にフレーム枠に接続されるので、接続強度を確保することができる。また、第2の光拡散部材は、フレーム枠の、固定枠に対向する面とは反対側に設けられているので、第1及び第2の連結杆とフレーム枠との連結部は、第2の光拡散部材とは干渉しない。このため、フレーム枠に第1及び第2の連結杆との連結部を設けるに際して、第2の光拡散部材やフレーム枠の開口部の第1の光拡散部材に穴を開ける等の加工は不要であり、フレーム枠、第1の光拡散部材及び第2の光拡散部材により完全な密閉空間を形成することができる。さらに、照明カバーの開閉に際して、連結部においてフレーム枠を変形させるような力が加わることを抑制できるので、第1の光拡散部材や第2の光拡散部材にしわ及び破損が生じ難く、むらのない一様な面照明が実現される。
【0014】
また、本発明に係る照明装置では、接続部材が接続されているフレーム枠の辺と平行な方向から見た接続部材の断面形状は、略L字形状であることが好ましい。この場合には、
第1及び第2の連結杆は、接続強度を確保しつつ、より好適にフレーム枠に接続される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薄型化しても、下方から蛍光管や虫等の死骸が視認されることなく、一様な面照明を実現する照明装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る照明装置の実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0017】
図1は、本実施形態の照明装置を天井に設けた状態の概略斜視図である。図1(a)は、照明カバーが閉じられた状態の概略斜視図であり、図1(b)は、照明カバーが開かれた状態の概略斜視図である。また、図2は、本実施形態の照明装置の概略下面図である。さらに、図3は、図2のI−I線に沿った概略断面図である。照明装置1は、照明カバー2と、固定枠3と、光源4とを有する。照明装置1が設けられる空間の面照明を実現するために、例えば、多数の照明装置1が隣接して天井面に配置される。
【0018】
照明カバー2は、光源4を覆うように配置されており、フレーム枠5と第1の光拡散部材6と第2の光拡散部材7とを有する。フレーム枠5は、略矩形状の外形を有すると共に、光源4が発する光を通すための開口5aを有している。この開口5aの光源4側の端部は、第1の光拡散部材6で覆われており、開口5aの光源4と反対側の他端部は、第2の光拡散部材7で覆われている。従って、光源4から発せられた光は、フレーム枠5の開口を通る際に第1の光拡散部材6及び第2の光拡散部材7を透過する。また、フレーム枠5と、第1の光拡散部材6と、第2の光拡散部材7とにより密閉空間が形成されているので、照明カバー2の内部に虫等が侵入することはない。このため、第2の光拡散部材7上に虫等の死骸が溜まることが防止できる。
【0019】
第1の光拡散部材6は、透光性及び光拡散性を有するシート状の部材であり、フレーム枠5の開口5aの光源4側端部を覆うようにフレーム枠5に取り付けられている。第1の光拡散部材6は、例えばねじを用いてフレーム枠5に取り付けられたり、両面テープを用いてフレーム枠5に貼り付けられる(図示せず)。この第1の光拡散部材6の全光線透過率は80%以上であるので、光源4から発せられた光が第1の光拡散部材6を通過しても、照明装置として十分な光量が確保される。また、第1の光拡散部材6は光拡散性を有するので、開口5aを通る光は、第1の光拡散部材6を透過する際に拡散される。このため、照明カバー2と光源4との間に入り込んだ虫等の死骸が第1の光拡散部材6上に溜まっても、この虫等の死骸の影は、下方から視認され難い。また、第1の光拡散部材の光拡散性により、光源4の形状も下方からは視認され難くなる。従って、照明装置の美観が維持されると共に、むらのない一様な面照明が実現される。この第1の光拡散部材6のヘーズ値は70%以上であることが好ましい。ヘーズ値が70%以上である場合には、光源4からの光が十分に拡散されるので、虫の死骸の影や光源の形状が、より一層視認され難くなる。
【0020】
なお、第1の光拡散部材6は、合成樹脂製のシートでもよいが、ガラス繊維シートからなることが好ましい。ガラス繊維シートは、ガラス繊維織物及びガラス繊維織物を被覆する樹脂被覆層を有する。第1の光拡散部材6がガラス繊維シートからなる場合には、ガラス繊維シートは不燃性を有するので、照明装置1の防火性能が向上する。
【0021】
第2の光拡散部材7は、透光性及び光拡散性を有するシート状の部材であり、フレーム枠5の開口5aの光源4側と反対側の他端部を覆うように、ねじ5bによりフレーム枠5に取り付けられている(図6参照)。この第2の光拡散部材7の全光線透過率は40%以上であるので、光源4から発せられた光が第2の光拡散部材7を通過しても、照明装置として十分な光量が確保される。なお、照明装置として十分な光量を得るために、第2の光拡散部材の全光線透過率は50%以上であることがさらに好ましい。また、第2の光拡散部材7は光拡散性を有し、ヘーズ値は80%以上であるので、光源4と第2の光拡散部材7との距離が短くても、照明カバー2と光源4との間に溜まる虫等の死骸や光源の形状は、下方から視認され難い。従って、照明装置の美観が維持されると共に、むらのない一様な面照明が実現される。
【0022】
図4は、第2の光拡散部材7に用いられるガラス繊維シートの一例の概略斜視図である。ガラス繊維シート30は、ガラス繊維織物31及び樹脂被覆層34からなる。ガラス繊維織物31は、樹脂被覆層34により被覆されている。
【0023】
ガラス繊維織物31は、ガラス繊維束を製織して得られ、例えば、経糸32及び緯糸33が平織りされて形成される。製織方法としては、平織りに限られず、例えば二重織り、朱子織り及び綾織等が採用される。光拡散部材としてのガラス繊維シートの光拡散性、透光性、引張り強度の観点から、ガラス繊維織物31の単位面積あたりの質量は、100〜300g/mであることが好ましく、厚さは100〜300μmであることが好ましい。また、ガラス繊維織物31の通気度は10cm/cm/sec以下であることが好ましい。ガラス繊維の素材であるガラスの組成は特に限定されないが、例えばEガラスが用いられる。
【0024】
樹脂被覆層34は、ガラス繊維織物31に樹脂組成物を含浸して固化させることにより、ガラス繊維織物31の経糸32及び緯糸33を覆うように形成された層である。樹脂被覆層34の形成のための好ましい第一の態様として、中空ガラスビーズを含むフッ素樹脂またはシリコーン樹脂の樹脂組成物をガラス繊維織物31に含浸してシート化することを挙げることができる。これらの樹脂組成物を用いることにより、ガラス繊維シート30の透光性及び光拡散性を調整可能とすると共に、不燃性を向上させることができる。また、樹脂被覆層34の樹脂組成物として、ポリ塩化ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂等を用いることが可能である。なお、この場合、光拡散性・透光性・難燃性の観点から、樹脂組成物の単位面積当たりの質量は50〜300g/mが好ましい。
【0025】
さらに、樹脂被覆層34の形成のための好ましい第二の態様として、ガラス繊維織物31のガラス組成の屈折率とほぼ等しい屈折率を有する樹脂をガラス繊維織物に含浸してシート化し、その表面の片面または両面にビーズ層を更に設けることにより樹脂被覆層34を形成することを挙げることができる。この場合樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂やビニルエステル樹脂が好ましい。ビーズ層は、多数の微細なビーズをポリ塩化ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などの樹脂に混ぜ合わせて十分に分散させた後に、このビーズ入り樹脂の被膜が形成された層である。ビーズ層に分散された多数のビーズは、ガラス繊維シート30に入射された光を高い割合で拡散して、ガラス繊維シート30の光拡散性を高め、光源と反対側のビーズ層はグレア防止性を発揮する。ビーズの形状は、例えば球状であり、ビーズの粒子径は、例えば1〜30μm程度の微細なものであることが好ましい。ビーズの材料は、例えばシリカといった無機物やアクリルといった有機物等である。この場合、光拡散性・透光性・難燃性の観点から、樹脂被覆層の単位面積当たりの樹脂量は50〜300g/mであることが好ましい。
【0026】
一方、第1の光拡散部材6は、ガラス繊維シートからなることが好ましく、図4の概略斜視図で示した第2の光拡散部材7に用いられるガラス繊維シート30と同様に、ガラス繊維織物31及び樹脂被覆層34からなり、ガラス繊維織物31は、樹脂被覆層34により被覆されていることが好ましい。この場合、光拡散性や透光性の観点からガラス繊維織物の単位面積当たりの質量は50〜200g/mであることが好ましく、また樹脂被覆層34は上記第2の光拡散部材7における第二の態様により形成されたものであることが好まししく、光拡散性・透光性・難燃性の観点から、樹脂被覆層の単位面積当たりの樹脂量は30〜200g/mが好ましい。
【0027】
固定枠3は、略矩形状の外形を有すると共に、光源4が発する光を通すための開口を有する部材である。この固定枠3は、光源4との相対位置が固定されるように配置されている。例えば、固定枠3は、取り付け部材3aを介して天井20に取り付けられる。光源4も天井20に取り付けられているので、固定枠3と光源4との相対位置が固定される。
【0028】
光源4は、照明のための光を発するためのものであり、例えば蛍光管等により構成される。天井20には多数の光源4が配列されている。
【0029】
固定枠3とフレーム枠5とは、それぞれ対をなす第1の連結杆8及び第2の連結杆9により互いに連結されている。図5は、固定枠3とフレーム枠5との連結部分を拡大して示す図面である。また、図6は、図5のII−II線に沿った断面図である。図5に示すように、第2の連結杆9の長さは、第1の連結杆8の長さよりも長い。
【0030】
対をなす第1の連結杆8の端部8aはそれぞれ、固定枠3の互いに対向する2辺の各々における、当該互いに対向する2辺と他の1辺とからなる角部3b近傍に、接続部材11を介して取り付けられている。より詳しくは、第1の連結杆8の端部8aは、接続部材11の第1の部分11aに、当該対向する2辺の対向方向である方向Dを軸として回動可能に取り付けられている。接続部材11の第1の部分11aはそれぞれ、固定枠3の当該対向する2辺の各々の角部3b近傍に位置する。
【0031】
対をなす第1の連結杆8の他端部8bはそれぞれ、フレーム枠5の互いに対向する2辺の各々における、当該互いに対向する2辺と他の1辺とからなる角部5c近傍に、接続部材10を介して取り付けられている。より詳しくは、第1の連結杆8の他端部8bは、接続部材10の第1の部分10aに、方向Dを軸として回動可能に取り付けられている。接続部材10の第1の部分10aはそれぞれ、フレーム枠5の当該対向する2辺の各々の角部5c近傍に位置する。
【0032】
対をなす第2の連結杆9の端部9aはそれぞれ、固定枠3の互いに対向する2辺の各々に、接続部材11を介して取り付けられている。より詳しくは、第2の連結杆9の端部9aは、接続部材11の第2の部分11bに、方向Dを軸として回動可能に取り付けられている。接続部材11の第2の部分11bは、第1の部分11aよりも固定枠3の角部3bからの距離が離れて配置されている。
【0033】
対をなす第2の連結杆9の他端部9bはそれぞれ、フレーム枠5の互いに対向する2辺の各々に、接続部材10を介して取り付けられている。より詳しくは、第2の連結杆9の他端部9bは、接続部材10の第2の部分10bに、方向Dを軸として回動可能に取り付けられている。接続部材10の第2の部分10bは、第1の部分10aよりもフレーム枠5の角部5cからの距離が離れて配置されている。
【0034】
図7は、図3に示す照明装置1の照明カバー2が開かれた状態の図面である。また、図8は、照明カバー2が開かれた状態における、固定枠3とフレーム枠5との連結部分を拡大して示す図面である。フレーム枠5に取り付けられた接続部材10の第2の部分10bは、第2の連結杆9の他端部9bと回動可能に連結されているので、この連結部分を軸としてフレーム枠5を回動させることにより、照明カバー2の開閉が可能となる。
【0035】
また、第2の連結杆9の端部9aは、固定枠3に取り付けられた接続部材11の第2の部分11bと回動可能に連結されているので、この連結部分を軸として第2の連結杆9を回動させることができる。この回動により、フレーム枠5の回動の軸となる第2の連結杆9の他端部9bは、端部9aを中心とした弧を描きながら、固定枠3の角部3bから遠ざかる方向に移動する(図5及び図8を比較参照)。これにより、複数の照明装置1を隙間無く隣接させて配置した場合であっても、照明カバー2の開閉に際して、隣接する照明装置1と干渉することなくフレーム枠5を回動させることが可能となる。
【0036】
第1の連結杆8の端部8aが接続部材11の第1の部分11aと回動可能に連結されていると共に、接続部材10の第1の部分10aが第1の連結杆8の他端部8bと回動可能に連結されているので、接続部材10の第1の部分10aと接続部材11の第1の部分11aとの距離は、第1の連結杆8の端部8aと他端部8bとの距離に規定される(図5及び図8を比較参照)。これにより、固定枠3に対する第2の連結杆9の回動角と、第2の連結杆9に対するフレーム枠5の回動角とは、一意に対応付けられる。また、第1の連結杆8は第2の連結杆9よりも短いので、固定枠3の角部3bから離れるに従い固定枠3とフレーム枠5との距離が広がるように照明カバー2を開くことが可能となる。従って、照明カバー2の開閉に際して、フレーム枠5の回動の軌跡が一定となるので、照明カバー2の開閉作業時において、照明カバー2が作業者の予期せぬ動作をすることがない。従って、第1の光拡散部材6及び第2の光拡散部材7に大きな力が加わることに起因するしわの発生及び破損が防止でき、一様な面照明の実現に寄与する。さらに、照明カバー2の開閉を伴う作業の安全性が向上する。
【0037】
第1の連結杆8の他端部8b及び第2の連結杆9の他端部9bは、フレーム枠5における、固定枠3に対向する面に接続部材10を介して連結されている。第2の光拡散部材7は、フレーム枠5における、固定枠3に対向する面とは反対側に設けられているので、第1の連結杆8及び第2の連結杆9とフレーム枠5との連結部は、第2の光拡散部材7とは干渉しない。このため、フレーム枠5に第1の連結杆8及び第2の連結杆9との連結部を設けるに際して、第2の光拡散部材7に穴を開ける等の加工は不要である。従って、第2の光拡散部材にしわ及び破損が生じ難く、むらのない一様な面照明が実現される。さらに、フレーム枠の開口5aにおいて第1の光拡散部材6に穴を開ける等の加工は不要であり、フレーム枠、第1の光拡散部材及び第2の光拡散部材により完全な密閉空間を形成することができる。
【0038】
また、図5及び図6に示すように、第1の連結杆8の他端部8b及び第2の連結杆9の他端部9bは、接続部材10を介してフレーム枠5に接続されており、接続部材10が接続されているフレーム枠5の辺と平行な方向から見た接続部材10の断面形状は、略L字形状である。このため、第1の連結杆8及び第2の連結杆9は、接続強度を確保しつつ、より好適にフレーム枠に接続される。
【0039】
なお、本実施形態では、第1の連結杆8及び第2の連結杆9はそれぞれ、接続部材10及び接続部材11を介してフレーム枠5及び固定枠3に連結されているが、接続部材10及び接続部材11を介さずに直接にフレーム枠5及び固定枠3に連結されることとしてもよい。
【0040】
図9は、照明カバー留め具12の近傍部分を拡大して示す図である。図10は、図9のIII−III線に沿った断面図である。照明カバー留め具12は、係止フック12a、レバー部材12b、フック保持部12c及び係止ロッド12dを有する。係止フック12aは、フック保持部12cにより保持される軸を中心として回動可能であり、係止ロッド12dに係止するためのフック部を有する。係止フック12aは、レバー部材12bを操作することにより回動される。フック保持部12cは、係止フック12aを回動させるための軸部を保持する部材であり、フレーム枠5の上面に取り付けられている。係止ロッド12dは、固定枠3の下面に取り付けられたU字状の部材である。レバー部材12bを操作して係止フック12aのフック部を係止ロッド12dに係止することにより、照明カバー2を閉じた状態に保持することができる。また、レバー部材12bを操作して係止フック12aのフック部を係止ロッド12dから外すことにより、フレーム枠5は回動可能となり、照明カバー2を開くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1(a)は、本実施形態の照明装置の照明カバーが閉じられた状態の概略斜視図である。図1(b)は、照明カバーが開かれた状態の概略斜視図である。
【図2】本実施形態の照明装置の概略下面図である。
【図3】図2のI−I線に沿った概略断面図である。
【図4】第1の光拡散部材及び第2の光拡散部材に用いられるガラス繊維シートの一例の概略斜視図である。
【図5】固定枠とフレーム枠との連結部分を拡大して示す図である。
【図6】図5のII−II線に沿った断面図である。
【図7】図3に示す照明装置の照明カバーが開かれた状態の概略断面図である。
【図8】照明カバーが開かれた状態における、固定枠とフレーム枠との連結部分を拡大して示す図である。
【図9】照明カバー留め具の近傍部分を拡大して示す図である。
【図10】図9のIII−III線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…照明装置、2…照明カバー、3…固定枠、4…光源、5…フレーム枠、5a…開口、6…第1の光拡散部材、7…第2の光拡散部材、8…第1の連結杆、9…第2の連結杆、10…接続部材、12…照明カバー留め具、20…天井、30…ガラス繊維シート、31…ガラス繊維織物、32…経糸、33…緯糸、34…樹脂被覆層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源を覆うように配置される照明カバーとを有する照明装置であって、
前記照明カバーは、フレーム枠と第1の光拡散部材と第2の光拡散部材とを有し、
前記フレーム枠は、前記光源が発する光を通すための開口を有し、
前記開口の前記光源側の端部は、前記第1の光拡散部材で覆われており、
前記開口の前記光源側と反対側の他端部は、前記第2の光拡散部材で覆われており、
前記第1の光拡散部材は、ガラス繊維織物及び該ガラス繊維織物を被覆する樹脂被覆層を有するガラス繊維シートからなり、
前記第2の光拡散部材は、ガラス繊維織物及び該ガラス繊維織物を被覆する樹脂被覆層を有するガラス繊維シートからなり、
前記第1の光拡散部材の全光線透過率は80%以上であり、ヘーズ値は70%以上であり、
前記第2の光拡散部材の全光線透過率は40%以上であり、ヘーズ値は80%以上であり、
前記フレーム枠と、前記第1の光拡散部材と、前記第2の光拡散部材とにより密閉空間が形成されていること
を特徴とする照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−33750(P2013−33750A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223254(P2012−223254)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2008−211020(P2008−211020)の分割
【原出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】