説明

照明装置

【課題】光の利用効率を高めることができる照明装置を提供する。
【解決手段】基板1と、第1照明光を発する第1照明部2と、第1照明部2よりも狭い範囲に第2照明光を発する第2照明部3と、を備えた照明装置10A。第1照明部2は、基板1に沿う導光体12と、導光体12に光を導入し第1照明光L12を得る第1光源11とを有する。第2照明部3は、基板1に実装された第2光源13と、第2光源13からの光を、出射範囲を狭めた第2照明光L24とする光路変更部14Aを有する。光路変更部14Aは、第2光源13からの光を透過させる透光部材20と、透光部材20を経た光の出射範囲を狭める集光素子21とを備えている。透光部材20は、屈折率が1より大きい材料からなる板状とされ、第2光源13からの光を一方の面20aから入射させ、広がり角を抑えつつ透過させて他方の面20bから集光素子21に向けて出射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の室内灯などに使用できる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図24に示すように、照明装置としては、光源101と反射器102とからなる発光部103と、反射器102の開口側に設けられたレンズ104とを備えた発光装置100がある(特許文献1参照)。反射器102は光源101からの光を反射して開口部側に向けることができる。発光部103はレンズ104の光軸方向に沿って移動可能である。
この発光装置100では、発光部103とレンズ104との距離の調節によって光の出射範囲を調整し、所望のスポット径の照明光を得ることができる。
【0003】
車両の室内灯などに用いられる照明装置としては、広い範囲(例えば車内全体)を照明するルームランプと、狭い範囲(例えば運転者や助手席の同乗者の手元)を選択的に照明するマップランプとを備えたものがある。前記マップランプには、トップビュータイプのLEDを基板に実装して使用するのが好適である。
マップランプには狭い範囲の光照射が要求されるため、光の出射範囲の調整が可能な上述の発光装置100の適用が考えられるが、発光装置100は、発光部103とレンズ104との距離によっては、レンズ104を外れる光L26が多くなり、光の利用効率が低くなるという問題があった。
また、発光装置100は反射器102を有するため、光源を基板に実装することができなくなることから、マップランプへの適用は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4061637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光の利用効率を高めることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明は、基板と、第1照明光を発する第1照明部と、前記第1照明部よりも狭い範囲に第2照明光を発する第2照明部と、を備え、前記第1照明部が、前記基板の一方の面に沿うシート状の導光体と、前記導光体に光を導入し面方向に伝搬させて前記第1照明光を得る第1光源とを有し、前記第2照明部が、前記基板の一方の面側に実装された第2光源と、前記第2光源からの光を、出射範囲を狭めた前記第2照明光とする光路変更部とを有し、前記光路変更部が、前記第2光源からの光を透過させる透光部材と、前記透光部材を経た光の出射範囲を狭める集光素子とを備え、前記透光部材は、屈折率が1より大きい材料からなる板状とされ、前記第2光源からの光を一方の面から入射させ、広がり角を抑えつつ透過させて他方の面から前記集光素子に向けて出射させる照明装置を提供する。
前記透光部材は、少なくとも前記光が透過する部分が略一定の厚さとされていることが好ましい。
前記透光部材は、前記基板と略平行であることが好ましい。
前記光路変更部は、前記集光素子を経た光を屈折させて前記基板に垂直な方向に対し傾斜した方向に向けるプリズム部を有する光屈折素子を備えた構成としてよい。
本発明の照明装置は、厚さおよび/または屈折率が互いに異なる複数の前記透光部材と、前記複数の透光部材が設けられた可動体とを備え、前記可動体が、前記第2光源および前記集光素子に対して移動可能であり、前記移動によって、前記第2光源からの光を透過させる透光部材を前記複数の透光部材のうちから選択可能である構成としてよい。
前記基板は、被検出体の近接または接触を検出する検知センサを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第2光源からの光を広がり角を抑えつつ透過させる透光部材を有するので、第2光源からの光を、広角度成分を含めて集光素子に入射させることができる。従って、光の利用効率を高めることができる。
また、第2照射光の特性は透光部材の厚さや屈折率によって定められるため、透光部材の厚さや材料の選択によって第2照射光の特性(スポット径など)を任意に設定できる。
また、反射器を使用せずに光の利用効率を高めることができるため、第2光源を基板に実装できることから、装置の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の主要部を模式的に示す断面図である。
【図2】透光部材および集光素子の構造を示す模式図である。
【図3】透光部材がない場合の構造を示す模式図である。
【図4】試験結果を示すグラフである。
【図5】試験結果を示すグラフである。
【図6】導光体の一例を示す平面図である。
【図7】導光体の他の例の要部を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の主要部を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の主要部を模式的に示す断面図である。
【図10】光屈折素子を模式的に示す構造図である。
【図11】本発明の照明装置の第3の実施形態の具体例の主要部を示す断面図である。
【図12】図11の照明装置の第2照明部を示す断面図である。
【図13】図11の照明装置の集光素子と光屈折素子を示す断面図である。
【図14】図11の照明装置の集光素子と光屈折素子を示す拡大断面図である。
【図15】図11の照明装置の全体断面図であり、図17のA1−A1断面を示す図である。
【図16】図11の照明装置の全体断面図であり、図17のA2−A2断面を示す図である。
【図17】図11の照明装置の平面図である。
【図18】図11の照明装置の第2照明部を分解して示す断面図であり、図17のX方向に沿う断面図である。
【図19】図11の照明装置の第1照明部を分解して示す断面図であり、図17のY方向に沿う断面図である。
【図20】図11の照明装置の第1照明部の断面図である。
【図21】図11の照明装置に使用できる基板の一例の断面図である。
【図22】光源がレンズに対して移動可能である照明装置を示す模式図である。
【図23】レンズが光源に対して移動可能である照明装置を示す模式図である。
【図24】従来の照明装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である照明装置10Aの主要部を模式的に示す断面図である。
照明装置10Aは、基板1と、第1照明光を発する第1照明部2と、第1照明部よりも狭い範囲に第2照明光を発する第2照明部3と、カバー部4とを備えている。
第1照明部2は、基板1の一方の面1aに沿うシート状の導光体12と、導光体12に光を導入する第1光源11とを備えている。
導光体12の上面12cには、入射光を散乱させて導光体12の下面12d側に取り出す(出射させる)光取出部16を形成することができる。
【0010】
第1照明部2では、第1光源11から出射した光L11は、一端縁部12aから導光体12に入射し、導光体12内を面方向に伝搬する。導光体12内を伝搬する光L11の一部は、光取出部16で散乱して下面12d側に取り出される。光取出部16が導光体12の上面12cの広い範囲にわたって形成されているため、面的な発光である第1照明光L12が得られる。
第1照明光L12は、照明装置10Aが設置されている空間の広い範囲(例えば車内全体)を照明する。
【0011】
第2照明部3は、基板1の一方の面1aに実装された第2光源13と、第2光源13からの光を、出射範囲を狭めた第2照明光とする光路変更部14Aとを有する。
光路変更部14Aは、第2光源13からの光を透過させる透光部材20と、透光部材20を経た光の出射範囲を狭める集光素子21とを備えている。
集光素子21としては、例えばフレネルレンズ、凸レンズ等を採用できる。フレネルレンズについては後述する。凸レンズとしては、例えば球面、楕円球面、放物面、円柱面、楕円円柱面のうち1以上の曲面を主形状として有するものを使用できる。
【0012】
以下、透光部材20の構成について説明する。
図1に示すように、透光部材20は、屈折率が1より大きい材料からなる板状体(またはシート状体)である。透光部材20の屈折率は、目的とする照射光の特性(スポット径など)に応じて定めることができるが、例えば1.1以上、好ましくは1.4以上とすると、光の利用効率を高めることができるため好ましい。
透光部材20の材料としては、例えばウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレート等を用いることができる。
【0013】
図示例の透光部材20は、平板状の本体部20cとその周縁部から外方にフランジ状に延出する延出部20dとを有する。
本体部20cは第2光源13からの光が透過する部分である。本体部20cは、略一定の厚さとすると、出射光L23の出射範囲が過度に広がることがないため好ましい。
本体部20cの厚さは、目的とする照射光の特性(スポット径など)に応じて定めることができるが、例えば1〜5mmとすることができる。
本体部20cは、薄すぎれば光の利用効率を高める効果が低くなり、厚すぎれば照明装置10Aの厚さ寸法を増大させることになるが、厚さを前記範囲とすることによって、装置の厚さ寸法を増大させずに光の利用効率を高めることができる。
【0014】
透光部材20は、一方の面20a(入射面)(図1の上面)を第2光源13に向け、他方の面20b(出射面)(図1の下面)を集光素子21に向けて、第2光源13と集光素子21との間に設置されている。透光部材20は、少なくとも本体部20cが基板1と略平行であると、光路変更部14の厚さ寸法を抑えることができるため、照明装置10の薄型化の点で望ましい。
図示例では本体部20cは第2光源13および集光素子21から間隔をおいて配置されている。延出部20dは、導光体12とカバー部4との隙間に配置される。
【0015】
図2は、透光部材20の構造を模式的に示すものである。この図に示すように、第2光源13から出射した光L21は広がり角の大きい拡散光であるが、本体部20cは集光素子21よりも第2光源13に近い位置にあるため、広角度成分(例えば光L21a)も本体部20cに入射する。
透光部材20の屈折率は1より大きいため、一方の面20aから透光部材20に入射した光L22は、入射前の光L21に比べて広がり角が小さくなって透光部材20の厚さ分だけ進み、他方の面20bで再び広がり角が大きくなって光L23として出射する。
【0016】
透光部材20内では広がり角が抑えられるため、第2光源13からの光を、広角度成分(例えば光L21a)を含めて集光素子21に入射させることができる。このため、光の利用効率を高めることができる。
透光部材20を透過した光L23は、集光素子21で出射範囲が狭められて光L24(第2照明光)として出射する。光L24は、第1照明光に比べて狭い範囲(例えば運転者や助手席の同乗者の手元)を選択的に照明する。
【0017】
図3に示すように、透光部材20がない場合には、第2光源13から出射した光L21は広がり角が変化しないため、一部の広角度成分(例えば光L21a)は集光素子21には入射しない。このため、光の利用効率は低くなってしまう。
【0018】
図2に示すように、透光部材20は、第2光源13からの光を広がり角を抑えつつ透過させることによって、集光素子21への入射光量を、透光部材20がない場合(図3参照)に比べて多くできるものであれば、その形状は図示例に限定されない。例えば、本体部20cの厚さが一定ではなく、中央部が周縁部よりも厚く形成されていてもよい。
また、出射光L23の広がり角は、第2光源13からの出射光L21の広がり角と同じか、これより小さいことが望ましい。出射光L23の広がり角は出射光L21の広がり角より大きくてもよいが、その場合でも、集光素子21への入射光量が、透光部材20がない場合に比べて多くなることが必要である。
【0019】
次に、図4および図5を参照して、透光部材20を用いた試験の結果を説明する。
図2に示すように、第2光源13と集光素子21との間に、一定厚さの平板状の透光部材20を設置した試験装置を用意した。第2光源13はトップビュータイプのLEDであり、集光素子21は焦点距離5mm、直径12mmのフレネルレンズである。第2光源13からの集光素子21までの距離は5mmとした。
第2光源13を発光させ、透光部材20および集光素子21を透過した照明光をスクリーンに投影した。第2光源13からスクリーンまでの距離は700mmとした。
【0020】
図4は、透光部材20の屈折率と、スクリーン上の照射光の径(スポット径)の関係を調べた結果を示す。透光部材20の屈折率は1.4〜1.9とし、透光部材20の厚さは4mmとした。この図に示すように、透光部材20の屈折率が大きいほど照射光の径は大きくなった。
図5は、透光部材20の厚さと、スクリーン上の照射光の径(スポット径)の関係を調べた結果を示す。透光部材20の厚さは0〜5mmとし、透光部材20の屈折率は1.4とした。この図に示すように、透光部材20が厚いほど照射光の径は大きくなった。なお、厚さ0mmは透光部材20がない場合を意味する。
このように、照射光の径が透光部材20の屈折率または厚さに応じて変化したことから、透光部材20の屈折率および厚さの設定によって、照射光の径を調整できることがわかる。
【0021】
図6および図7は、導光体12および透光部材20の具体的構成の例を示す平面図である。
図6に示すように、この例の導光体12は長方形状であり、長辺方向(図6の左右方向)に互いに離れて2つの開口部15が形成されている。開口部15は、導光体12の短辺方向(図6の上下方向)に延在する略長方形状とされている。各開口部15の中央部15dは、第2光源13および集光素子21(図1参照)の中央部の平面視位置と一致する。
【0022】
図7に示すように、この例の照明装置は、第2照明光の特性を調節する調節機構を備えている。この調節機構は、開口部15内に相当する位置に設けられた可動体19を有する。可動体19は、開口部15の長手方向(図7の上下方向)に沿って延在する長方形状の板状体とされ、長手方向(図7の上下方向)に沿って一列に並んだ複数の円形の透光部材20(20A1〜20A4)を備えている。
【0023】
透光部材20A1〜20A4のうち少なくとも2つ(好ましくは全部)は、厚さおよび/または屈折率が互いに異なる。透光部材20A1〜20A4は、厚さのみが互いに異なっていてもよいし、屈折率のみが互いに異なっていてもよい。透光部材20A1〜20A4は厚さと屈折率の両方が互いに異なっていてもよい。
透光部材20A1〜20A4の厚さおよび/または屈折率は、第2照明光の径(スポット径)が互いに異なるように設定されていることが好ましい。
【0024】
可動体19は、第2光源13および集光素子21に対して開口部15の長手方向(図7の上下方向)に移動可能である。
図7に矢印で示すように、可動体19の位置を調整し、4つの透光部材20(20A1〜20A4)のうちいずれかを中央部15dに配置することによって、その透光部材20の平面視位置を第2光源13および集光素子21の平面視位置に一致させることができる。これによって、第2光源13からの光を透過させる透光部材20を選択することができる。中央部15dに配置された透光部材20を透過した光は、集光素子21を経て第2照明光となる。
【0025】
第2照明光の特性(スポット径など)は透光部材20の厚さや屈折率の影響を受ける(図4および図5を参照)。このため、例えば4つの透光部材20A1〜20A4の厚さが互いに異なり、透光部材20A1が最も薄く、透光部材20A4が最も厚い場合には、透光部材20A1が中央部15dに配置されたときに第2照明光の径(スポット径)が最も小さく、透光部材20A4が中央部15dに配置されたときに第2照明光の径(スポット径)が最も大きくなる。
このように、可動体19の位置の調整によって第2照射光の特性(径など)を調節できる。
【0026】
なお、図7に示す例では、透光部材20A1〜20A4は上下方向に沿って一列に並んで配置されているが、透光部材20A1〜20A4の配置はこれに限らず、可動体19の移動によって、光を透過させる透光部材20を選択可能であれば、複数列であってもよいし、列をなしていなくてもよい。
【0027】
図8は、本発明の第2の実施形態である照明装置10Bであって、この照明装置10Bは、光路変更部14Bの透光部材20B以外は図1に示す照明装置10Aと同じ構成である。以下に示す各実施形態の説明においては、既出の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化することがある。
透光部材20Bの本体部20eは、図1に示す透光部材20の本体部20cに比べて厚く形成されている。
図示例の本体部20eは、上面20e1が第2光源13に当接(または近接)し、下面20e2が集光素子21に当接(または近接)して形成されている。すなわち、本体部20eは、第2光源13と集光素子21の間の空間の全厚さ範囲(または略全厚さ範囲)に設けられている。なお、厚さ範囲とは基板1の厚さ方向の範囲である。
【0028】
この照明装置10Bは、透光部材20Bの本体部20eが、第2光源13と集光素子21の間の空間の全厚さ範囲に設けられているので、第2光源13と集光素子21の間の空間を最大限に利用して厚さを確保できる。従って、光の利用効率を最大限に高めることができる。
【0029】
図9および図10は、本発明の第3の実施形態である照明装置10Cを示す図である。図9に示すように、この照明装置10Cの光路変更部14は、透光部材20と、透光部材20を経た光の出射範囲を狭める集光素子21と、前記光を屈折させる光屈折素子22とを有する。
【0030】
図10に示すように、光屈折素子22は、一方の面22a(図10では上面)(第2光源13側の面)に、1または複数のプリズム部23を有する。図示例では、光屈折素子22の面22aには、複数のプリズム部23が左右に連なって形成されている。
光屈折素子22の他方の面22b(図10では下面)は、基板1に沿う平坦面であり、基板1の一方の面1a(図9参照)にほぼ平行である。このため、光屈折素子22は基板1に沿う姿勢とされている。
【0031】
プリズム部23は、光の方向を変換する光路変換面を有する多面形の凹凸(凹状および/または凸状の構造)である。図示例ではプリズム部23はプリズム面23a(光路変換面)と、これに隣接する背面23b(光路変換面)とを有する断面逆V字形の凸部である。なお、プリズム部23は、多面形の凹部であってもよい。
【0032】
図10に示すように、プリズム部23のプリズム面23aは基板1の面1a(図1参照)に対し角度φで傾斜している。プリズム面23aの傾斜角度や方向は、必要となる第2照明光L25の傾斜角度および方向に応じて定められる。図示例のプリズム面23aは左方に向かって徐々に下降するように傾斜している。図示例の背面23bは基板1の面1aに対し垂直(または略垂直)となっている。
【0033】
図9に示すように、第2光源13から出射した光L21は透光部材20を通過し、透光部材20を経た光L23は集光素子21に入射し、光L24として出射する。光L24はプリズム部23側から光屈折素子22に入射し、出射光L25(第2照明光)として他方の面22bから出射する。基板1に垂直な方向V1に対する出射光L25の傾斜角度(光軸変換角度)をθとする。
【0034】
以下、図9に示す照明装置10Cの具体例について説明する。
図11は、照明装置10Cの具体例である照明装置10の主要部を示す断面図であり、図17のX方向に沿う断面(A1−A1断面)を示す図である。図12は、照明装置10の第2照明部3を示す断面図である。図13は、照明装置10の集光素子21と光屈折素子22を示す断面図である。図14は、集光素子21と光屈折素子22を示す拡大断面図である。図15は、照明装置10の全体断面図であり、図17のA1−A1断面を示す図である。図16は、照明装置10の全体断面図であり、図17のA2−A2断面を示す図である。図17は、照明装置10の平面図である。図18は、照明装置10の第2照明部3を分解して示す断面図であり、図17のX方向に沿う断面図である。図19は、照明装置10の第1照明部2を分解して示す断面図であり、図17のY方向に沿う断面図である。図20は、照明装置10の第1照明部2の断面図である。図21は、照明装置10に使用できる基板1の一例の断面図である。
【0035】
図11、図15〜図17に示すように、照明装置10は、基板1と、第1照明光を発する第1照明部2と、第1照明部2よりも狭い範囲に第2照明光を発する第2照明部3と、これらを覆うカバー部4と、カバー部4が取り付けられるフレーム部5とを備えている。
照明装置10は、例えば車両の天井部に設置して、室内灯として使用できる。図15および図16に示すように、照明装置10は、例えばフレーム部5を車両の内装材6に固定することで車両内に設置できる。
【0036】
図16および図17に示すように、第1照明部2は、基板1の一方の面1a(下面または表面)に沿って設置されたシート状の導光体12と、導光体12に光を導入する第1光源11とを備えている。第1照明部2は、広い範囲(例えば車内全体)を照明するルームランプとして使用できる。
【0037】
第1光源11は、基板1の一方の面1aに実装された1または複数の光源11aからなる。この例では、図17に示すように、第1光源11は複数の光源11aからなり、これら光源11aは、導光体12の一端縁部12aに沿って並べられている。
この例の光源11aが設けられた一端縁部12aは、平面視略矩形の導光体12の4つの辺部のうち1つであり、詳細には、略長方形の導光体12の一方の長辺である。
光源11aは、一端縁部12aの長さ方向の中央部を含む一部範囲に設置することができる。光源11aの設置数および位置は、導光体12内に導入して面発光させた第1照明光の明るさに不均一が生じることがないように定められる。
【0038】
図19および図20に示すように、光源11aは、発光面11bを導光体12の一端縁部12aの端面12bに対面させて設置される。
光源11aとしては、発光ダイオード(以下、LEDという)(発光素子)を使用できる。なお、光源11aとして使用される発光素子は、LEDに限らず、冷陰極管などでもよい。
【0039】
導光体12は、透明な光透過性樹脂からなり、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレート等を用いることができる。
図20に示すように、導光体12の厚さT1は、光源11aの高さH1と同じ、またはこれより大きく設定すると、光源11aからの光の導入効率を高め、第1照明光の輝度および照度を高めることができる。
【0040】
図20に示すように、導光体12の基板1側の面である上面12c(一方の面または裏面)には、入射光を散乱させて導光体12の下面12d(他方の面または表面)側に取り出す(出射させる)光取出部16を形成することができる。光取出部16は、上面12cの一部または全部の領域に形成することができる。光取出部16が広い範囲に形成されることによって、導光体12内の光は、面的な発光(第1照明光)として下面12d側に取り出される。
光取出部16は、上面12cのほぼ全域にわたって均一に形成することによって、導光体12のほぼ全域を面的に発光させることができる。第1照明部2は、面状発光装置として機能する。
【0041】
光取出部16は、例えば印刷により形成された複数の微小ドット状のインク層(以下、単に微小ドットという)とすることができる。微小ドットの平面視形状は円形、楕円形、多角形(矩形等)など任意としてよい。微小ドットはスクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法などの印刷法により形成することができる。
【0042】
微小ドットを構成するインクとしては、例えば顔料として酸化チタンを用いた白色インクが好適である。酸化チタンは白色顔料として機能するため、前記インクは白色を呈する。インクの酸化チタン含有率は、5〜50質量%以上、好ましくは10〜40質量%以上とすると高輝度が得られる。
酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型等があり、特に、ルチル型の酸化チタンが好ましい。
白色光を発光させるためには可視光全域を満遍なく散乱させる必要がある。ここで、散乱させる波長と、酸化チタンの粒径の関係を考慮すると、酸化チタンの粒径は10nm〜0.5μmが望ましい。
なお、光取出部はインク層に限らず、導光体表面に形成された切り欠きでもよいし、サンドブラスト等によって形成した粗面部などであってもよい。
【0043】
図15および図16に示すように、基板1の他方の面1b(上面または裏面)には、例えば光源11、13の点灯、消灯、光量調整などを行うための半導体素子などの電子部品17(17a〜17c)が実装されている。電子部品17としては、公知のものを使用できる。
【0044】
図21に示すように、基板1としては、タッチパッド30(検知センサ)を備えたものが好適である。タッチパッド30は、入力センサ31と、その一方の面に形成されたレジスト層32(被覆樹脂層)とを備えている。
入力センサ31は、人間の手指等の被検出体の近接または接触を検出するセンサである。ここでは、入力センサ31は静電容量式の入力センサであって、基材33の一方の面に配線層34が設けられた構成である。静電容量式の入力センサ31は、1枚の基材33と配線層34からなる単純な構造であるため、薄型化が可能である。
【0045】
基材33は、例えばPETなどの樹脂で形成された板材である。基材33は、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド等からなるフレキシブル基板や、ガラスエポキシ樹脂等からなるリジッド基板であってもよい。
【0046】
配線層34は、例えば複数の電極34aを有する。人間の手指等の被検出体が近づくと、被検出体と電極34aとの間には静電容量が形成され、この静電容量は被検出体と電極34aとの間の対向面積や離間距離によって変化する。このため、被検出体と電極34aは可変容量部を形成する。
可変容量部の静電容量の変化は検出手段(図示略)で検出され、その検出値に基づいて制御部(図示略)で被検出体による入力操作、その位置等が把握される。
【0047】
配線層34は、例えば、銀粒子を含む銀ペーストを基材33上にスクリーン印刷した後に加熱することで形成することができる。配線層34は、基材33に積層した銅箔をエッチングすることにより形成してもよい。
レジスト層32は、配線層34間の電気絶縁性を確保するとともに酸化を防止するもので、入力センサ31の一方の面(導光体12側の面)側に、基材33および配線層34を覆って形成される。レジスト層32としては、例えば汎用のソルダレジストを使用できる。
【0048】
図16、図19および図20に示すように、第1光源11および導光体12の一端縁部12aを含む範囲の下面側には、遮光性を有するマスク18を設けることができる。図示例のマスク18は、第1光源11から導光体12の一端縁部12aにかけて形成されている。マスク18には、白色材料を使用するのが好ましい。
マスク18を設けることによって、第1光源11からの光が外部に漏れるのを防ぎ、前記光の導光体12への導入効率を高めることができる。また、第1光源11およびその近傍における輝度が局所的に高くなるのを防ぐことができる。
【0049】
図11〜図15および図17に示すように、第2照明部3は、基板1の一方の面1aに実装された第2光源13と、第2光源13からの光を基板1に垂直な方向V1に対し傾斜した方向に向けて第2照明光とする光路変更部14とを有する。
第2照明部3は、狭い範囲(例えば運転者や助手席の同乗者の手元)を選択的に照明するマップランプ(スポットランプ)として使用できる。
【0050】
図11、図12、図15および図17に示すように、第2光源13は、基板1の一方の面1aに実装されている。この例では、2つの第2光源13が互いに離間して基板1に設けられている。
第2光源13としては、発光ダイオード(以下、LEDという)(発光素子)を使用できる。LEDはトップビュータイプが好適である。なお、第2光源13として使用される発光素子は冷陰極管などでもよい。第2光源13の数は図示例に限らず、1であってもよいし、3以上であってもよい。
【0051】
図12に示すように、導光体12には、第2光源13を収容可能な開口部15が形成されている。
この例の開口部15は、上面12cから下面12dに向けて徐々に拡径するように形成されている。すなわち、開口部15の周縁部15aの内面15bは、上面12cから下面12dに向けて徐々に第2光源13から離れるように傾斜している。
この開口部15では、周縁部15aの内面15bで反射した光は下方に向かうため、第2照明光の光量が大きくなる。
【0052】
周縁部15aの内面15bの少なくとも一部は、第2光源13からの光を反射する反射面とすることができる。内面15bは、全面が反射面であることが好ましい。
内面15bの反射面は、第2光源13からの光を効率よく反射できるものが好ましく、例えば金属粉末を含有する塗料(例えばミラーインク)を用いて内面15bを反射面とすることができる。内面15bを反射面とするには、公知の方法により内面15bに金属薄膜を形成してもよい。
内面15bを反射面とすることによって、第2光源13からの光を効率よく光路変更部14に向け、光の利用効率を高めることができる。
【0053】
周縁部15aの内面15bの少なくとも一部は、第1光源11からの光を遮る遮光面としても機能させることができる。これによって、導光体12内部を伝搬する第1光源11からの光が内面15bから漏れるのを防止でき、第1光源11からの光の利用効率が低下するのを防ぐことができる。
前記第2光源13からの光を反射する反射面は、第1光源11からの光を遮る遮光面としても機能する。また、内面15bに反射面を形成すると、第1光源11からの光も導光体12内で反射させ、その利用効率を高めることができる。
【0054】
図12〜図14に示すように、光路変更部14は、第2光源13からの光を透過させる透光部材20と、透光部材20を経た光の出射範囲を狭める集光素子21と、第2光源13からの光を屈折させる光屈折素子22とを有する。
図12に示すように、透光部材20は、屈折率が1より大きい材料からなる板状体(またはシート状体)である。
図示例の透光部材20は、第2光源13からの光が透過する平板状の本体部20cとその周縁部から外方にフランジ状に延出する延出部20dとを有する。
【0055】
第2光源13から出射した光は広がり角の大きい拡散光であるが、本体部20cは集光素子21よりも第2光源13に近い位置にあるため、前記出射光のうち広角度成分も本体部20cに入射する。透光部材20の屈折率は1より大きいため、第2光源13側の面から透光部材20に入射した光は、入射前の光に比べて広がり角が小さくなって透光部材20の厚さ分だけ進み、集光素子21側の面から出射する。
透光部材20内では広がり角が抑えられるため、広角度成分も集光素子21に入射させることができることから、光の利用効率を高めることができる。
【0056】
集光素子21は、第2光源13からの光の広がり角と、光屈折部22から出射する光に要求される光の傾斜角度などに応じて設計すればよいが、球面、楕円球面、放物面、円柱面、楕円円柱面等の曲面の一部を主形状とする形状としてもよいし、あるいはこれらの曲面を複数組み合わせた形状としてもよい。
【0057】
図13に示すように、図示例の集光素子21は、複数の凸レンズを同心円状に組み合わせたフレネルレンズであり、中央部21aと、中央部21aの外周側に形成された第1外周部21bと、第1外周部21bの外周側に形成された第2外周部21cと、第2外周部21cの外周側に形成された第3外周部21dとを有する。中央部21aおよび外周部21b〜21dは、下面21e側が曲面となるレンズである。
【0058】
第2外周部21cの最外周部は第3外周部21dの最内周部より薄く、第1外周部21bの最外周部は第2外周部21cの最内周部より薄く、中央部21aの最外周部は第1外周部21bの最内周部より薄くされている。この構造のため、この例の集光素子21は、通常の凸レンズに比べて薄型となっている。
集光素子21の上面21fは、基板1の一方の面1aに沿う平坦面であり、面1aにほぼ平行である(図12参照)。このため、集光素子21は基板1に沿う姿勢とされている。
【0059】
集光素子21は、透光部材20を経た光を平行化することができることが好ましい。図13および図14に示す例では、透光部材20を経た光L1は、集光素子21によって平行光である光L2となっている。なお、集光素子21は、第2光源13からの光の出射範囲を十分に狭めることができるものであれば、平行化は必須ではない。
【0060】
図12〜図14に示すように、光路変更部14は、集光素子21の下面側(第2光源13側とは反対側)に光屈折素子22が設けられた構造となっている。
光屈折素子22は、第2光源13からの光を屈折させて、基板1に垂直な方向V1に対し傾斜した方向に向けるものである。
図11における左に位置する第2照明部3(3A)では、光屈折素子22によって、方向V1に対し左に傾斜した第2照明光LAが得られ、右に位置する第2照明部3(3B)では、光屈折素子22によって、方向V1に対し右に傾斜した第2照明光LBが得られる。
基板1に垂直な方向V1に対する第2照明光LA、LBの角度(図11に示す傾斜角度θ)は、例えば1°以上、45°以下である。
第2照明光の傾斜角度は、例えば第2照明光の光束中心における光の進行方向の方向V1に対する角度である。
図11等では、第2照明光LA、LBが左右方向に傾斜していることが示されているが、第2照明光の傾斜方向はこれに限らず、図示した方向以外の方向に第2照明光が傾斜するように光屈折素子22を設置することもできる。例えば第2照明光は図11における紙面に垂直な方向(紙面に対し手前側または奥側)に傾斜してもよい。
【0061】
図13および図14に示すように、光屈折素子22は、光を屈折させる1または複数のプリズム部23を有する。図示例では、光屈折素子22の上面22aに、複数のプリズム部23が連なって形成されている。プリズム部23の一方の面(内周面23a)(図14参照)は方向V1に対し傾斜している。
内周面23aの傾斜方向は、必要となる第2照明光LAの傾斜方向に応じて定められる。例えば、図11における左に位置する第2照明部3(3A)のプリズム部23の内周面23aは、図12〜図14に示すように、右方に向けて下降するように傾斜している。プリズム部23の外周面23bは方向V1に沿う面とすることができる。
光屈折素子22の下面22bは、基板1の一方の面1aに沿う平坦面であり、面1aにほぼ平行である(図12参照)。このため、光屈折素子22は基板1に沿う姿勢とされている。
【0062】
図12、図13、図17および図18に示すように、集光素子21および光屈折素子22は、カバー部4の下板部4bに形成された取付口部4aに嵌め込み、取付口部4aの周縁部に固定することができる。
この例では、光屈折素子22の下面22bは、カバー部4の下板部4bの下面4e(第2光源13側とは反対の面)に面一となっている。光屈折素子22は、下面22bが下板部4bの下面4eよりも奥側(図12、図13において下面4eよりも上方)にあってもよい。
集光素子21および光屈折素子22は、カバー部4の取付口部4a内に設置されているため、カバー部4から突出していない。このため、外力による集光素子21および光屈折素子22の破損が起こりにくい。
なお、集光素子21と光屈折素子22の位置関係は図示例に限定されず、光屈折素子22の下面側に集光素子21を設置してもよい。
【0063】
図15および図16に示すように、カバー部4は、基板1、第1照明部2および第2光源13を覆い、これらを保護するものであり、平板状の下板部4bと、その周縁に形成された側板部4cとを備えている。カバー部4は、側板部4cに外方に向けて形成された係止爪部4dをフレーム部5の係止穴5aに係止させることでフレーム部5に取り付けることができる。
カバー部4は、光が透過可能な透明材料からなることが好ましく、例えば樹脂やガラスなどからなる。
【0064】
次に、照明装置10の第1照明部2および第2照明部3で得られる照明光について説明する。
図16、図17および図20に示すように、第1照明部2では、第1光源11(光源11a)から出射した光は、一端縁部12aの端面12bから導光体12に入射し、上面12c、下面12d等に反射しつつ、主に他端部12f(図16および図17参照)に向けて導光体12内を伝搬する。
導光体12内を伝搬する光の一部は、光取出部16で散乱して下面12d側に取り出される。光取出部16は導光体12の上面12cの広い範囲にわたって形成されているため、面的な発光である第1照明光が得られる。
第1照明光は、照明装置10が設置されている空間の広い範囲(例えば車内全体)を照明する。このため、第1照明部2はルームランプとして使用することができる。
【0065】
図12に示すように、第2照明部3では、第2光源13から出射した光(図2のL21)は、出射方向に向けて広がる拡散光であるが、透光部材20は集光素子21よりも第2光源13に近い位置にあるため、広角度成分も本体部20cに入射する。
透光部材20の屈折率は1より大きいため、透光部材20に入射した光は、入射前の光に比べて広がり角が小さくなって透光部材20の厚さ分だけ進み、再び広がり角が大きくなって集光素子21に向けて出射する。
透光部材20内では広がり角が抑えられるため、広角度成分も集光素子21に入射させることができる。このため、光の利用効率を高めることができる。
【0066】
図13に示すように、透光部材20を透過した光L1は、集光素子21で出射範囲が狭められる。図示例では、集光素子21を透過した光L2は平行光となっている。
図13および図14に示すように、光L2は光屈折素子22に向かい、プリズム部23の傾斜面である内周面23aに入射し、光屈折素子22を透過して下面22bから光L3として出射する。光屈折素子22での屈折によって、光L3は方向V1に対して傾斜する方向に向けられる。
光L3(第2照明光)は、第1照明光に比べて狭い範囲(例えば運転者や助手席の同乗者の手元)を選択的に照明する。このため、第2照明部3はマップランプ(スポットランプ)として使用できる。
【0067】
照明装置10では、第2光源13からの光を広がり角を抑えつつ透過させて集光素子21に向けて出射させる透光部材20を有するので、第2光源13からの光を、広角度成分を含めて集光素子21に入射させることができる。従って、光の利用効率を高めることができる。
また、第2照射光の特性は透光部材20の厚さや屈折率によって定められるため、透光部材20の厚さや材料の選択によって第2照射光の特性(スポット径など)を任意に設定できる(図4および図5を参照)。
また、反射器を使用せずに光の利用効率を高めることができるため、第2光源13を基板1に実装できることから、照明装置10の薄型化を図ることができる。
【0068】
光の出射範囲を適正化するため、マップランプの光源とレンズの距離を調整する構成としては、図22に示すように、レンズ21に対し移動可能な光源実装用の移動基板111を主基板1とは別に用いる構成と、図23に示すように、レンズ21を光源13に対して移動可能とする構成とが考えられる。しかしながら、移動基板111を用いる場合には装置内部構造の複雑化および移動基板111における放熱性の悪化という問題があり、レンズ21を光源13に対して移動可能とする場合にはレンズ21が装置前面に突出することとなり見栄えの問題がある。
これに対し、照明装置10では、光の利用効率を十分に高めることができるため、光源13と集光素子21との距離を調整するための構造が不要であることから、図22および図23に示す構成を採用する必要はなく、上記問題(内部構造の複雑化、放熱性の悪化、および見栄えの悪化)は生じない。
【0069】
また、照明装置10では、光路変更部14が集光素子21と光屈折素子22とを有するので、集光素子21で十分に出射範囲を狭くした光を光屈折素子22に入射させることができる。このため、十分な角度で傾斜した第2照明光が得られる。これによって、集光素子21と光屈折素子22とを傾斜配置する必要がなくなることから、装置の薄型化および小型化を図ることができる。
また、集光素子21および光屈折素子22が基板1に沿う姿勢とされることができるため、装置を平板状の構造とすることができる。
照明装置10は、第1照明部2および第2照明部3の両方が1つの基板1に設けられ、かつ導光体12も基板1に沿って設けられるため、複数の基板が必要となる場合や、導光体等の傾斜配置が必要となる場合に比べ、装置構成が簡単であり、この点からも薄型化および小型化に適している。
【0070】
照明装置10は、予め電子部品17を実装した基板1の一方の面1a側に、導光体12、光源11、13等を設けるという簡単な手順により作製できるため、製造が容易であり、低コスト化が可能であるという利点もある。
また、第2照明部3が基板1に設けられるため、高出力の第2光源13を用いる場合でも、光源13が発した熱を基板1全体に分散させ、局部的な温度上昇を防ぎ、安定した動作を確保できる。
特に、第1照明部2および第2照明部3の両方が1つの基板1に設けられるため、光源11、13として高出力のものを用いる場合でも、光源11、13が発した熱を基板1全体に分散させ、局部的な温度上昇を防ぎ、安定した動作を確保できる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・基板、1a・・・基板の一方の面、2・・・第1照明部、3・・・第2照明部、10、10A、10B、10C・・・照明装置、11・・・第1光源、12・・・導光体、13・・・第2光源、14、14A、14B・・・光路変更部、19・・・可動体、20、20B・・・透光部材、20a・・・一方の面、20b・・・他方の面、20c・・・本体部(光が透過する部分)、20A1〜20A4・・・透光部材、21・・・集光素子、22・・・光屈折素子、23・・・プリズム部、30・・・タッチパッド(検知センサ)、L12・・・第1照明光、L24、L25・・・第2照明光、V1・・・基板に垂直な方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1照明光を発する第1照明部と、前記第1照明部よりも狭い範囲に第2照明光を発する第2照明部と、を備え、
前記第1照明部が、前記基板の一方の面に沿うシート状の導光体と、前記導光体に光を導入し面方向に伝搬させて前記第1照明光を得る第1光源とを有し、
前記第2照明部が、前記基板の一方の面側に実装された第2光源と、前記第2光源からの光を、出射範囲を狭めた前記第2照明光とする光路変更部とを有し、
前記光路変更部が、前記第2光源からの光を透過させる透光部材と、前記透光部材を経た光の出射範囲を狭める集光素子とを備え、
前記透光部材は、屈折率が1より大きい材料からなる板状とされ、前記第2光源からの光を一方の面から入射させ、広がり角を抑えつつ透過させて他方の面から前記集光素子に向けて出射させることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記透光部材は、少なくとも前記光が透過する部分が略一定の厚さとされていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記透光部材は、前記基板と略平行であることを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
前記光路変更部は、前記集光素子を経た光を屈折させて前記基板に垂直な方向に対し傾斜した方向に向けるプリズム部を有する光屈折素子を備えていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の照明装置。
【請求項5】
厚さおよび/または屈折率が互いに異なる複数の前記透光部材と、前記複数の透光部材が設けられた可動体とを備え、
前記可動体は、前記第2光源および前記集光素子に対して移動可能であり、前記移動によって、前記第2光源からの光を透過させる透光部材を前記複数の透光部材のうちから選択可能であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の照明装置。
【請求項6】
前記基板は、被検出体の近接または接触を検出する検知センサを備えていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−43539(P2013−43539A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182371(P2011−182371)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】