説明

照明装置

【課題】発光パネルと配線基板とがワイヤにより接合された照明装置において、熱膨張差による発光パネルや配線基板の湾曲を軽減すると共に、配線基板に対するワイヤ接合を十分に行う。
【解決手段】照明装置1は、発光パネル4と、配線基板5と、これら部材4、5間に介在して両者を接着固定する固定部8と、を備える。発光パネル4と配線基板5は、それぞれの電極パッド42d、5cがワイヤ7により結ばれることで電気的に接続される。固定部8は、配線基板5の電極パッド5cに対応する位置に配置される。発光パネル4と配線基板5とが部分的に接着固定されているので、一方の部材が熱膨張したとしても他方の部材に影響を与え難くなり、熱膨張差に起因する部材4、5の湾曲が軽減される。また、電極パッド5c近傍における発光パネル4と配線基板5との接着が強固になり、超音波接合を効果的に行って電極パッド5cとワイヤ7との接合を十分に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子等の固体発光素子を光源とした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、低電圧で高輝度の発光が可能であり、含有する有機化合物の種類によって様々な発光色が得られ、また、平板状の発光パネルとしての製造が容易である。そのため、近年、照明装置の光源として用いることが注目されている。
【0003】
この種の照明装置は、図8に示すように、発光パネル100と、この発光パネル100に給電するための配線基板200と、発光パネル100及び配線基板200を接着固定する固定部300と、を備える(例えば、特許文献1参照)。発光パネル100は、透光性基板101と、この基板101上に設けられた発光部102と、この発光部102を封止する封止缶103と、を有する。発光部102は、基板101側から順に、透明導電膜から成る正電極102aと、発光性有機材料を含む発光層102bと、光反射性を有する負電極102cと、を積層したものより構成される。正電極102aは、その一部が封止缶103の外側へ導出されており、この導出された部分に電極パッド102dが設けられる。この電極パッド102dにはワイヤ400の一端が超音波接合により接合され、ワイヤ400の他端は配線基板200上に設けられた正電極パッド200aに接合される。正電極102aと同様に、負電極102cも電極パッド(不図示)を有し、この電極パッドと配線基板200上の負電極パッド(不図示)とがワイヤ400により結ばれる。これにより、発光パネル100と配線基板200とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−100071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような照明装置では、発光パネル100の封止缶103と配線基板200との互いに対向する面が全面に亘って固定部300により接着固定されている。そのため、発光パネル100の発光熱によって封止缶103と配線基板200とが互いに異なる割合で熱膨張した場合には、これら部材103、200が湾曲する虞がある。また、封止缶103と配線基板200との固定が十分でないと、配線基板200の電極パッドにワイヤ400を接合する際に、超音波振動が接合部に効果的に伝達されず、電極パッドとワイヤ400との接合が不十分になることがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、有機EL素子等の固体発光素子を光源とした照明装置において、熱膨張差に起因する発光パネルや配線基板の湾曲を軽減することができる照明装置を提供することを目的とする。また、本発明は、配線基板の電極パッドとワイヤとの接合を十分に行うことができるようにすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、平板状の発光パネルと、この発光パネルの一面側に設けられ該発光パネルに給電するための配線基板と、これら発光パネルと配線基板との間に介在して該発光パネルと該配線基板とを接着固定する固定部と、を備え、前記発光パネルは、前記配線基板が設けられる面の該配線基板よりも外方に形成された電極パッドを有し、前記配線基板は、前記発光パネルに対向する面とは反対側の面の前記発光パネルの電極パッドに近接した位置に形成された電極パッドを有し、これら電極パッドは、ワイヤにより互いに電気的に接続され、前記固定部は、前記配線基板の電極パッドに対応する位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
前記発光パネルの電極パッド及び前記配線基板の電極パッドは、それぞれ複数設けられていることが好ましい。
【0009】
前記固定部は、線状又は点状に配置されていることが好ましい。
【0010】
前記照明装置を配線基板側から見たときに、該配線基板はその中央部が開口した枠形状となっていることが好ましい。
【0011】
前記照明装置を配線基板側から見たときに、該配線基板はその中央部から周縁部の一部にかけて開口した形状となっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光パネルと配線基板とが部分的にしか接着固定されていないので、一方の部材が熱膨張したとしても他方の部材に影響を与え難くなり、熱膨張差に起因する発光パネルや配線基板の湾曲が軽減される。また、配線基板の電極パッドに対応する位置に固定部が配置されているので、電極パッド近傍における配線基板と発光パネルとの接着が強固になり、超音波接合を効果的に行って電極パッドとワイヤとの接合を十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置を取付面側から見たときの分解斜視図。
【図2】上記照明装置を発光面側から見たときの分解斜視図。
【図3】上記照明装置を構成する光源部の分解斜視図。
【図4】図3の点線で囲まれた領域の拡大斜視図。
【図5】上記光源部を構成する発光パネル、配線基板及び固定部の配置を示す側断面図。
【図6】上記照明装置における発光パネル、配線基板及び固定部の配置を示す平面図。
【図7】上記実施形態の変形例に係る照明装置における発光パネル、配線基板及び固定部の配置を示す平面図。
【図8】従来の照明装置の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る照明装置について、図1乃至図6を参照して説明する。図1、図2に示すように、照明装置1は、平板状の装着部2と、装着部2に着脱可能に装着される平板状の光源部3と、を備える。装着部2は取付面2Aを介して天井や壁に取り付けられ、光源部3は発光面3Aより居住空間等に対して光を照射する。
【0015】
装着部2は、取付面2A側から見て矩形状とされ、光源部3に対向する面に光源部3を保持するための被係合部21及び被保持部22を有する。被係合部21及び被保持部22は共にフック形状とされ、被係合部21は装着部2の一の辺の中央近傍に設けられ、被保持部22は前記一の辺に対向する辺の中央近傍に設けられる。装着部2は、更に、光源部3に対向する面の中央に光源部3の点灯動作を制御する回路基板23を有する。回路基板23は、装着部2と光源部3との電気的接合に関わる端子受部24a、24bを導出している。
【0016】
光源部3は、発光面3A側から見て矩形状とされ、矩形平板状の発光パネル4を有する。この発光パネル4の装着部2側には、発光パネル4に給電するための配線基板5が設けられる。これら発光パネル4及び配線基板5は、固定部(後述する図4乃至図6参照)により互いに接着された状態でパッケージ6に収容されている。パッケージ6は、光源部3の装着部2側を覆うケース61と、光源部3の発光面3A側を覆うカバー62と、を有する。ケース61は、装着部2側の面に装着部2の被係合部21と係合する係合部61aと、装着部2の被保持部22と係合する保持部61bと、を有する。被係合部21と係合部61a及び被保持部22と保持部61bが互いに係合することで、光源部3は装着部2に着脱可能に装着される。
【0017】
ケース61は、例えば、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等のプラスチック材料や表面に絶縁処理が施されたアルミニウム等の金属材料より構成される。ケース61は、図3に示すように、その中央部が開口した枠形状とされ、配線基板5上に立設された端子部5a、5b(後述する図4乃至図6参照)を挿通するための溝部61cを有する。また、ケース61は、その内周側面にカバー62を保持するための複数の係合溝61dを有する。カバー62は、発光パネル4に対向する面に設けられた矩形平板状の透明保護部材62aと、この透明保護部材62aの周縁部にケース61の係合溝61dと係合するように設けられた複数の係合爪62bと、を有する。ケース61及びカバー62は、それらの係合溝61dと係合爪62bとを互いに係合させることにより、発光パネル4と配線基板5とを内含した状態で一体化される。
【0018】
発光パネル4は、図4乃至図6に示すように、発光面側から順に矩形平板状の透光性基板41と、発光部42と、発光部42を封止する封止缶43と、を有する。発光部42は、基板41側から順に、透明導電膜から成る正電極42aと、発光性有機材料を含む発光層42bと、光反射性を有する負電極42cと、を積層した有機EL素子より構成される。正電極42aは、その複数の部分が封止缶43の外側に導出されており、この導出された部分の各々に配線基板5との電気的接続に用いられる電極パッド42dが設けられる。同様に、負電極42cも、その複数の部分が封止缶43の外側に導出されており、この導出された部分の各々に配線基板5との電気的接続に用いられる電極パッド42eが設けられる。これら電極パッド42d、42eは、発光パネル4の配線基板5が設けられる面の配線基板5よりも外側に配置され、具体的には、基板41の一の辺及び該一の辺に対向する辺の各々に沿って交互に配置される。封止缶43は、例えば、ガラス、金属、セラミック、又はプラスチックより構成され、発光部42を外気、特に水分及び酸素から隔離して発光部42の劣化を防ぐ。
【0019】
配線基板5は、ガラス繊維布にエポキシ樹脂等を含侵させることで硬化させたガラス繊維板、例えば、FR−4等の難燃性と低導電率とを両立した基材より構成される。配線基板5は、照明装置1を配線基板5側から見たときに、その中央部にケース61の開口とほぼ同じ大きさの開口を有する矩形平板枠形状とされる。この開口には、装着部2の回路基板23が収容される。また、配線基板5は、発光パネル4に対向する面とは反対側の面に、装着部2との電気的接合に用いられる端子部5a、5bと、この端子部5a、5bと配線基板5に埋設された配線により接続された複数の電極パッド5c、5dと、を有する。これら電極パッド5c、5dは、それぞれ発光部42の電極パッド42d、42eに近接した位置に配置され、電極パッド42d、42eとワイヤ7により電気的に接続されている。電極パッド42d、42e、5c、5dとワイヤ7との接合部位は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等から成る封止樹脂7aにより封止される(図5参照)。これにより、発光部42が電極パッド42d、42e−ワイヤ7−電極パッド5c、5d−配線基板5に埋設された配線を介して端子部5a、5bに電気的に接続される。端子部5a、5bは、それぞれケース61の溝部61cを通って光源部3の装着部2側に突出し、装着部2の回路基板24の端子受部24a、24bに差し込まれる。これにより、装着部2と光源部3とが電気的に接続される。
【0020】
ワイヤ7は、各電極パッド42d、42e、5c、5d間にそれぞれ複数本(図例では3本)結線される。これにより、いずれかのワイヤ7が断線した場合であっても、他のワイヤ7が断線していなければ各電極パッド42d、42e、5c、5d間の電気的接続が維持される。ワイヤ7は、純アルミニウム線より構成される。この純アルミニウム線は、常温かつ短時間で超音波接合により各電極パッド42d、42e、5c、5dと接合される。ワイヤ7の径は、発光パネル4の消費電流や構成材料等を考慮して決定され、例えば、発光パネル4の消費電流が1Aである場合には、50%の安全率を考慮して溶断電流が2Aの100μm径とされる。なお、ワイヤ7は、アルミニウム線に限定されず、金線や銅線より構成されてもよい。
【0021】
固定部8は、耐熱性、耐湿性及び応力緩和性に優れた芯材入りのアクリル系両面テープや熱硬化性接着材又は紫外線硬化性接着材より構成される。固定部8は、発光パネル4と配線基板5との間に介在し、配線基板5の電極パッド5c、5dが設けられた辺に沿って線状に配置される。これにより、配線基板5は、その矩形の2辺において発光パネル4の封止缶43に接着固定される。配線基板5の電極パッド5c、5dが設けられていない辺及び配線基板5の中央部には固定部8が存在しないので、配線基板5と発光パネル4との間にクリアランスCができる。
【0022】
本実施形態の照明装置1によれば、固定部8により発光パネル4と配線基板5とが部分的に接着固定されているので、これら部材4、5の一方が熱膨張したとしても固定部8がせん断方向の変位を緩和して他方の部材に影響を与え難くなる。これにより、熱膨張差に起因する部材4、5の湾曲が軽減され、例えば、部材4、5のはく離を防いだり、発光パネル4の破損を防いで発光パネル4への水分の侵入を防止して照明装置1の信頼性を向上することができる。また、電極パッド5c、5dに対応する位置に固定部8が配置されているので、電極パッド5c、5d近傍における発光パネル4と配線基板5との接着が強固になり、超音波接合を効果的に行って電極パッド5c、5dとワイヤ7との接合を十分に行うことができる。
【0023】
また、発光部42に電極パッド42d、42eがそれぞれ複数設けられているので、一対の電極パッドしか設けられていない場合に比べて、発光部42における電圧降下を防ぐことができる。これにより、発光部42をより均一に発光させて輝度ばらつきを低減することができる。このような構成は、例えば、導電性材料としては比較的電気伝導度が低いITO(Indium Tin Oxide)を発光部42の正電極42aとして用いた場合に有効である。
【0024】
また、固定部8が発光パネル4と配線基板5との間の一部に線状に配置されているので、発光パネルと配線基板とが固定部によりベタ付けされている従来の照明装置に比べて、固定部8の消費量を少なくすることができる。
【0025】
更に、配線基板5がその中央部に開口を有する枠形状とされているので、装着部2にある回路基板23等の凸部と光源部3とが干渉し難くなって、照明装置1の全厚を薄くすることができる。
【0026】
次に、本実施形態の変形例に係る照明装置について図7を参照して説明する。本照明装置においては、固定部8が配線基板5の電極パッド5c、5dの直下に点状に配置される。そのため、上述の照明装置1に比べて、更に固定部8の消費量を少なくすることができる。また、配線基板5がその中央部から周縁部の一部にかけて開口した形状となっているので、照明装置1に比べて、照明装置内における有効スペースが増大して更に装置全厚を薄くしたり、より多くの部材を照明装置内に搭載することが可能となる。
【0027】
なお、本発明に係る照明装置は、上記実施形態及びその変形例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、発光パネルを構成する固体発光素子は、有機EL素子に限定されず、無機EL素子やLED(Light emitting diode)等より構成されてもよい。また、発光パネルが配線基板を経由せずに直接に回路基板とワイヤボンディング接合されてもよい。更に、発光パネルと配線基板又は回路基板との電気的接合は、ワイヤボンディング接合に限定されず、例えば、リボンボンディング接合により成されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 照明装置
4 発光パネル
42d、42e (発光パネルの)電極パッド
5 配線基板
5c、5d (配線基板の)電極パッド
7 ワイヤ
8 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の発光パネルと、この発光パネルの一面側に設けられ該発光パネルに給電するための配線基板と、これら発光パネルと配線基板との間に介在して該発光パネルと該配線基板とを接着固定する固定部と、を備えた照明装置において、
前記発光パネルは、前記配線基板が設けられる面の該配線基板よりも外側に形成された電極パッドを有し、
前記配線基板は、前記発光パネルに対向する面とは反対側の面の前記発光パネルの電極パッドに近接した位置に形成された電極パッドを有し、
これら電極パッドは、ワイヤにより互いに電気的に接続され、
前記固定部は、前記配線基板の電極パッドに対応する位置に配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光パネルの電極パッド及び前記配線基板の電極パッドは、それぞれ複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記固定部は、線状又は点状に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照明装置を配線基板側から見たときに、該配線基板はその中央部が開口した枠形状となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明装置を配線基板側から見たときに、該配線基板はその中央部から周縁部の一部にかけて開口した形状となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−69912(P2013−69912A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208036(P2011−208036)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】