説明

照準装置及び非接触で又は接触させて使用可能な測定装置

【課題】測定スポットの位置/及び又は大きさのマークを付けることを簡単な手段で且つ高い精度で可能にし、且つ測定装置、加工装置及び/又は作業装置の軸への妨害の影響を最小にした照準装置及び上記の種類の非接触で又は接触させて使用可能な測定装置、加工装置及び/又は作業装置を備える設備を提供する。
【解決手段】対象物に対して視覚的に認めることができる標的マークを発生させるための照準装置は、少なくとも二つの照準光線(6,7)を供給するための少なくとも一つの光源を有する。
この照準装置は前記標的マークの精度を高めるために、両照準光線(6,7)がそれぞれ光学部材(8,9)に向けられ、この光学部材によって照準光線(6,7)がそれぞれ一照明面(10,11)において、前記両照明面(10,11)がある角度で交差するように分割説可能である。
その場合前記両照明面の交差点は前記標的な測定装置、加工装置及び/又は作業装置を備える設備が挙げられている。マークを形成する。
さらに、非接触で又は接触させて使用可能
この設備は設定可能な目標地においてあらゆる種類の対象物と互いに作用し合う。
その場合、前記目標地は本発明の照準装置によって方向を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二本の照準光線を供給する少なくとも一つの光源を有する、視覚的に認めることができる標的マークを対象物に対して発生させる照準装置に関する。
さらに、本発明は、非接触で又は接触させて使用可能な測定装置、加工装置及び/又は作業装置を備え、前記測定装置、加工装置及び/又は作業装置は、設定可能な目標値においてあらゆる種類の対象物と互いに作用し合い、その場合、前記目標値の位置は照準装置によって測定可能である測定装置、加工装置及び/又は作業装置を備える設備に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において説明される種類の照準装置及び設備は、かなり前から実際に知られており、特に、非接触式温度測定の領域において広く用いられている。
非接触式温度測定のための設備は、測定対象物上の測定スポットから出る熱放射の検出のための検出器、前記測定スポットから出る熱放射を検出器に結像する光学系並びに前記測定対象物上の測定スポットの位置の目印を可視光線によって特徴づける照準装置を含む。
さらに、測定スポットの位置だけでなく、前記測定対象物上の測定スポットの大きさも視認できるようにする装置が知られている。
【0003】
実際に対象物上の測定スポットを視認できるようにするために、圧倒的にレーザ光線が利用されている。
その場合、しかし、一連の問題がある。
レーザが、例えば、放射の検出器の光学軸から離れて配置され、レーザ光線が、前記検出器の光学軸に対して小さな角度で前記光学軸の方へ放たれる場合、レーザ照準光線と前記検出器の光学軸は、検出器からある一定の距離ずれたところで交差する二本の傾いた直線を形成する。
このような照準装置は、それ故に、検出器から測定対象物の距離がただ一つの定距離である場合だけ、誤りのない標的マークを提供するに過ぎず、その他の全ての検出器からのずれに対しては、発生した標的マークと実際の測定スポットの間に程度の差こそあれ、多かれ少なかれずれがある。
【0004】
赤外線測定器械において、即ち赤外線温度計及び赤外線カメラにおいて使用される光学系は、しばしば視認できる領域を透過しない。
レーザ照準によって正確な距離に依存しない中心点の表示を得るために、赤外線光学系の中央の領域に、赤外線検出器の光学軸に方向転換反射鏡乃至偏光プリズム及び光学的窓を含む構造が必要である。
全ての構造に共通していることは、それらが非常に複雑なものであることである(これに関しては、例えば、特許文献1参照)。
【0005】
赤外線光学的材料の特殊な材料の加工に基づいて、対物レンズへの中央穴の取り入れは比較的費用のかさむことである。
測定中心点照準のための構造要素は、その構造の大きさによって赤外線測定路の有効開口部を縮小する。
前記構造要素の自己の放射に基づき、さらに、前記構造要素は、特に装置及び対象物の温度の変更時に、光学路に補整困難な妨害変数を示す。
さらに、構造上において端面で生じる回折現象が幾何学的分解を減少させる。
【特許文献1】米国特許第4,315,150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、測定スポットの位置及び/又は大きさのマークを付けることを簡単な手段で且つ高い精度で可能にし、且つ測定装置、加工装置及び/又は作業装置の軸への妨害の影響を最小にした、照準装置及び上記の種類の非接触で又は接触させて使用可能な測定装置、加工装置及び/又は作業装置を備える設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明により、対象物に対して視覚的に認めることができる標的マークを発生させるための照準装置に関して、請求項1に記載の特徴を有する照準装置によって解決される。
それによって冒頭で述べたタイプの対象物に対して視覚的に認めることができる標的マークを発生させるための照準装置は、二つの前記照準光線がそれぞれ光学部材に向けられるように形成され、前記光学部材によって、二つの照明面がある角度で交差するように分割可能であり、その場合前記照明面の交点は前記標的マークを形成するように構成される。
【0008】
本発明の方法において、先ず、照射装置の部材は、測定装置、加工装置及び/又は作業装置の軸線上にあると、測定過程に妨害となる影響を及ぼし、加工過程を事情によっては不可能にすることが分かる。
さらに、本発明によって光学部材を用いて二つの照準光線を二つの交差する照明面に分割することにより、十字線の形態の視認可能な標的マークを発生させることができることが分かる。
その場合、標的マークは、測定対象物までの距離に依存することなく、前記軸線上に何らかの妨害をする部材が配置されることなしに、常に正確に測定装置乃至は加工装置の軸上にある。
結果として、平行軸が無く距離に依存しない照準が可能にされる。
【0009】
具体的に、光源に関しては、二本の照準光線の供給のために光線分割器によって二本の広がらない分割光線に分割されるレーザを扱うことができる。
その場合、レーザは、人間の目に対して無害の、少ない出力のバッテリーで駆動される微小レーザとして、例えばダイオードレーザ又は半導体レーザの形態で、有利に形成することができる。
レーザの出力は、典型的に1mW近辺であり、それ故、測定スポットの温度が照準装置から測定スポットに放射されるエネルギーの影響を確実に受けない。
【0010】
そのように発生された二本の照準光線は、それぞれ光学部材の方に向けられる。
その場合、両光学部材ごとに、二つの照準光線の各々は、一照明面に、即ち扇形光線に分割される。
不必要な損失を回避するために、即ち極力明るいはっきりした標的マークを発生させるために、光学部材を良好な透過性を有する材料で作ることができる。
それ故、ガラス、プレキシガラス又は透明プラスチック等の材料を有利に利用することができ、それらの材料の利用は、その他に光学部材をさらに費用的に有利に製造することができるという利点を有する。
【0011】
光学部材を通過させて照準光線を分割するために、光学部材は、少なくともひとつの凹面又は凸面の湾曲面を有する。
容易な操作可能性及び簡単な調整のために、特に円形又は半円形の面がある。
その場合、卵形又は非対称形に湾曲した面も原則上考えられる。
この場合、重要なことは、光学部材を通過後、照準光線の分割が達成されるように、照準光線がさまざまの角度で光学部材に入ることである。
【0012】
照準光線の分割が一平面内でおこるように、光学部材の筒状の、例えば真円筒の形態の構成が設けられる。
その場合、照準光線は光学部材に入るとき並びに光学部材面からでるとき、湾曲した面を通過し、それによって一照明面が発生せしめられる。
しかし、同様に、光学部材を半円筒に形成し、照準光線が湾曲面だけに入り、照準光線は半円筒の向きに応じて光学部材に入るとき、又は光学部材からでるとき、平らな面に「出会う」ように構成することも考えられる。
【0013】
照準光線を扇形に広げるために、円筒及びプリズム等の屈折する/偏向させる部材の他に、回折する光学要素−所謂ホログラム−及び/又は(マイクロ)機械スキャナも使用することができる。
その場合、扇形に広げるために照準光線を一緒に一機能ユニットを形成する複数の部材を通過させることも考えられる。
【0014】
特に簡単な操作可能性の点で傑出した、繰り返し使用可能な好ましい構成において、光学部材を、筒状ケーシングの外壁に配置することができる。
その場合、筒状ケーシングは、例えば光線検出器及びそれに付属する結像光学系を収容するために使われる。
【0015】
円筒として形成された光学部材は前記ケーシングの外壁に接線方向に取り付けられる。
その場合、光学部材の円筒軸はケーシングの円筒軸に対して直角になるように方向が調節される。
光学部材の前記ケーシングへの、このような配置及び方向調節は、以下に詳述するように、対応する照準光線の相応の方向調節と所望の標的マークとを組み合せて、少ない費用で実現可能である。
【0016】
特に好ましい構成において、一つの光線分割器を経て二つの照準光線に分割される単一のレーザの代わりに、二本のレーザを設けることができることによって、各光学部材に固有のレーザを割り当てることができる。
【0017】
レーザを同様に筒状ケーシングの外壁に配置し、検査すべき対象物又は加工すべき対象物の方に向かない側から光学部材の方に向けることができる。
その場合、レーザは、特に、光学部材の筒軸に対して直角に照準光線が発生するように、向けられる。
その場合、レーザは、ケーシングの軸線に対して平行に方向調節可能であり、、或いは、例えば構造上の理由から必要なときだけに、光学部材に関してケーシングの軸線に対してある角度をとって方向付けることができる。
ケーシング軸線からのレーザの距離は基本的に任意に選択することができる。
【0018】
前記ケーシングの外周に沿ったレーザの正確な位置決めに関して、レーザの位置が前記ケーシングの外壁への光学部材の設置箇所と一致することを定めることができる。
さらにレーザがケーシングの軸に対して平行に向けられている場合、二つの照明面の交点として生ずる標的マークが常に中央のケーシング軸線をマークし、且つ検査すべき対象物又は加工すべき対象物までの距離に依存しないことが確実となる。
【0019】
有利な方法で、ケーシングの外周に沿って光学部材が互いに180°以下の角度を取ることを定めることができる。
二つの光学部材が、正確に対向して位置せしめられるとき、二つの発生する照明面は同一の範囲を有しており、且つその結果、標的マークとしての十字線は得られない。
実際、二つの照明面が互いに垂直に位置し、且つ明らかに視認できる標的マークとしての十字線が形成されるので、90°近辺の角度が有利であることが判明している。
【0020】
ある角度以下にしか方向を取ることができない対象物を加工しなければならない場合、或いは検査しなければならない場合に対して、照明面が、対象物に対して互いに垂直に向いて現れるように、二つの光学部材間の角度を相応に小さくすることができる。
【0021】
特に便利な且つ効率の高い構成に関して、照準装置は、全部で四つのレーザと四つの照準光線を含む。
その場合、各照準光線は、上記したように照明面において、即ち扇形光線において分割される。
二つ以上の複数の扇形光線を有する照準の場合、照明面内の光線密度変動を補償することが可能である。
実際、レーザ照射光線を扇形に広げる光学的手段は、大抵、生じた扇形光線の一方の側の光線密度が前記扇形光線の他方の側の光線密度よりも高い。
前記扇形に広げる手段が対で対向して配置されている場合、即ち180°だけ互いに位置をずらして配置されている場合、一方の扇形光線のより少ない光線密度の端面は他方の扇形光線のより高い扇形密度の端面が重なり、それによってすべてが均一な回転対象の照明が得られる。
このように、その結果、標的マークの極力高い光線密度及び良好な視認可能性が測定スポットにおいて実現される。
二つの測定スポットの中間点で交差する互いに交差して延びる照明線からなる十字線を発生させるために、四つの照準光線を扇形に広げるための光学的手段を90°だけ互いに位置をずらして配置することができる。
【0022】
以下に詳細に説明するように、非接触で加工する温度測定装置と関連して測定スポットの大きさを照準するために特に有利に使用可能な実施例の特別な形態において、切断された扇形光線の幅は横の限界を有する。
このような幅の限界は、例えば光線が広がる構成要素の特別の構成によって、又はスクリーンを考えに入れることによって実現することができる。
【0023】
非接触で又は接触させて使用可能な測定装置、加工装置及び/又は作業装置を有する設備に関して上記の課題は請求項24の特徴を有する設備によって解決される。
それに従って上記の種類の装置は請求項1乃至23に記載の照準装置を特徴とする。
【0024】
測定装置に関しては、例えばパイロメータ、ラジオメータ或いは非接触式温度測定のための赤外線カメラを扱うことができる。
既知のように、これらの測定装置は検出器を含み、この検出器上に、対象物上の測定スポットから放出される電磁放射線を結像光学系によって結像することができる。
検出器は、照準装置の筒状ケーシングの中心に配置することができる。
このような装置の場合照準装置によって十字線の形態で生じた標的マークが、常に測定スポットの中心において、平行軸が無く距離に依存しない照準が実現される。
【0025】
測定スポットの中間点の正確な配置の他に、しばしばその距離に依存しない大きさの表示が重要である。
非常に一般的な赤外線温度計は有限の距離のところに焦点を有する光学系を利用する。
これらの装置において、測定装置のすぐ前の測定スポットの直径はレンズの直径に相当する。
測定装置からの距離が増えるにつれて、測定スポットの直径は、小さくなり、焦点においては最も小さい。
この焦点の後ろで再び測定スポットの直径は大きくなる。
測定スポットの大きさの特徴を示すために、従来、ドイツ特許公開公報DE19654276A1に公表された、レーザ光線がここで論じられた照明面を略斜めに突破する傾斜光線技術が利用されている。
しかし、この技術は十字線を表示するために大変精巧な特殊の解決策を必要とする。
【0026】
既知の傾斜光線技術に代えて、扇形光線の横の限界を、測定スポットの直径を照射するために扇形光線の横の端面を使用できるように選択することができる。
具体的に検出器から見て焦点までは扇形光線の一方の端面が測定スポットの外周をマークし、又焦点の後ろでは扇形光線の他方の端面が測定スポットの外周をマークするように横の限界を調整することができる。
その結果、焦点においては、扇形光線の幅は測定スポットの直径と正確に一致する。
【0027】
測定装置の代わりに加工装置又は作業装置(具体的には、例えば、穿孔機械又は外科手術の器械)を備えることができる。
穿孔機械又は類似の器械に関して、一般に、穿孔過程を複数の個別の段階で行わなければならないという問題がある。
さらに、通常、対象物上の所望の目標位置に手動で標的マークを付けなければならない。
穿孔機は、静止状態で、標的マークの上に取り付けられ、その後初めて穿孔機が駆動され、回転される。
穿孔機の回転が始まるとき、穿孔機が標的マークからわきへ滑ることがしばしばおこり、そのことは、結果として不正確なぞんざいな加工をもたらす。
それに対して、本発明の照準装置を備える穿孔機械の場合、標的マーク、対象物への穿孔機の所定の取り付け位置を常に見ることができるので、加工すべき対象物の上に穿孔機を取り付ける前に既に穿孔機を回転状態にすることができる。
視認可能な標的マークによって回転状態の下で穿孔ヘッドの迅速な前進運動が容易にされる。
【0028】
非接触温度計の範囲における別の具体的な利用は、測定対象物と赤外線測定装置の間の赤外線測定装置の光学的軸線上でのリアルタイム距離測定である。
その場合所謂ビデオ照準器が使用される。
ビデオ照準器においては、レーザはシーンに線を生じさせる。
この線の位置は、ビデオ照準器のカメラのビデオ画面の中央のスリットを評価することによって確かめることができる。
ビデオカメラは、パルス駆動で、帰線消去するように作動する。
そのようにすることに代えて、線の位置を、追加の、位置に反応するフラットダイオード、例えばPSD(Position Sensitive Detector=位置感知検出器)を用いて突き止めることができる。
前記線の位置は、測定対象物と赤外線測定装置の間の距離を決定するために利用される。
この距離の情報は、以下に詳細に説明する赤外線測定装置の鮮鋭位置調整位置に関連して、赤外線測定スポット及び赤外線スポットの大きさに関して自動的に且つ適当に挿入するために必要なビデオ情報を提供する。
シーンのビデオ画像に、個別のモニターに又は測定装置自身のテレビ画面に表示された合成画面が重ねられる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、二本の照準光線を供給する少なくとも一つの光源を有する、視覚的に認めることができる標的マークを対象物に対して発生させる照準装置において、前記二本の照準光線を光学部材に向け、前記光学部材によって、前記照準光線は、それぞれ、一つの照明面において、二つの照明面がある角度で交差するように、分割可能であり、二つの照準光線を二つの交差する照明面に分割することにより、十字線の形態の視認可能な標的マークを発生させることができるように構成された、標的マークが測定対象物までの距離に依存しない照準装置を提供することができる。
又、測定装置、加工装置及び/又は作業装置を備える設備において、測定装置、加工装置及び/又は作業装置の軸線上に何らかの妨害をする部材が配置されることなしに、常に正確に測定装置乃至は加工装置の軸上にあり、結果として、平行軸の無い距離に依存しない照準が可能にされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
有利に本発明を構成し、展開するさまざまの可能性がある。
それに対して、請求項1乃至24に挙げられた請求の範囲及び図面を用いた、後述の本発明の好ましい実施例の説明を参照されたい。
本発明の好ましい実施例の説明に関連して、図面を用いて、本発明の概ね好ましい構成及び展開も示す。
【0031】
図1は、非接触で使用可能な測定装置を備える本発明の設備の第一の実施例の略端面図を示す。
この設備は所定の目標位置にあらゆる種類の対象物と互いに作用する。
その場合において前記目標位置は照準装置によって測定可能である。
前記設備は、検出器1を有する。
この検出器に、図示しない対象物の測定スポットから発せられる電磁放射線がレンズ2によって結像可能である。
【0032】
前記照準装置は、検出器1の光学軸線5から離れた二つの第一のレーザ3及び第二のレーザ4を有する。
第一のレーザ3及び第二のレーザ4は二つの照準光線6,7を発生する。
前記照準光線は、検出器1の光学軸線5に対して平行に走り、レンズ2の外周に配置された二つの光学部材8,9にあたる。
第一のレーザ3及び付属する光学部材8は、図1に示す斜視図によれば、光学軸線5の後ろにあり、一方第二のレーザ4及び付属する光学部材9は、光学軸線5の下側に配置されている。
光学軸線5に関して、二本の第一のレーザ3及び第二のレーザ4、及び対応する両光学部材8,9は、互いに90°の角度を取る。
【0033】
前記後ろの光学部材8によって、第一のレーザ3の照準光線6は図の紙面に対して垂直になるように配向された照明面10において分割されている。
それに対して、第二のレーザ4の照準光線7は下側の光学部材9は、前記照明面10に対して垂直に、即ち図の紙面に対して平行に配向された照明面11において分割されている。
全部で、二つの照準光線6,7の分割によって、互いに直角になるように配向された二つの向いた照明面10、11が生じる。
前記照明面の交差点は、検出器1からの距離に依存しないで、十字線の形態で、検出器1の光学軸線5を示す。
【0034】
図2は本発明の照準装置の略平面図を示す。
前記照準装置は、光学軸線5と同軸に配置されたケーシング12を含む。
このケーシングに図示しない二つのレーザ及び二つの光学部材8,9が配置されている。
前記二つの光学部材8,9は、真円筒として形成され、ケーシング12の外壁に接線方向に接している。
その場合、光学部材8,9の筒軸線13はケーシング12の軸線14に対して直角に向けられている。
前記二つのレーザは、ケーシング軸線14と平行になるように配向されており、ケーシング軸線14の点とケーシング12の外壁上の光学部材8,9の接触点を結んで形成される図2に点線で示す線上に照準光線6,7の衝突点15,16があるように、構成されている。
【0035】
図3に示すように、光線を広げる構成要素の特別な構造によって、特にスクリーン(図示せず)を取り入れることによって、照らされた線の幅を制限することができる。
図3に示す実施の形態において、検出器1はレンズ2の焦点にあり、それによって無限に画像を描く光学系、即ち距離によることなく一定の測定スポットの大きさが生じる。
スクリーン及び光線の制限は、その際、横で制限された扇形光線10,11が、測定スポットの外周に沿って走り、距離に依存しない、測定スポットの大きさを示すように選択される。
【0036】
図4は、有限に結像する結像光学系2を備える、即ち実際に極めてよく普及している有限の距離における焦点17を有する非接触で温度を測定するための設備を斜視図で示す。
測定スポットの大きさが器械のすぐそばではレンズの直径に相当するのに対して、距離が増えるにつれて、測定スポットの大きさは、だんだんと小さくなる。
前記設備の焦点17は最小の測定スポットの直径を有する最も狭められた位置に生ずる。
焦点17の後ろで測定スポットの直径は再び大きくなる。
図4はレンズ2を有する検出器1及び狭められる管状直径の推移によって示されるさまざまの距離のところにおける測定対象物の直径を示す。
焦点17における測定スポットの直径に扇形光線10,11を制限することによって図4に相応して標的十字の表示を達成することができる。
詳細に述べると、扇形光線10,11は、測定スポットの直径に相応する幅で最小スポットの直径に貫通する。
焦点17の前では扇形光線10,11の一方の端面18が測定スポットを制限し、焦点17の後では他方の端面19が測定スポットを制限する。
焦点領域においては、大きさ及び位置が測定スポットの直径及び中心を略示した十字が示される。
【0037】
図5は、照準装置が全部で四つのレーザ20及び光線を扇形にするための四つの光学手段21を含むように、別の二つの扇形光線配列による原理の拡張を示す。
前記二つの扇形光線配列は、互いに対になって対向している。
前記二つの扇形光線配列は、最小の測定スポットの領域において対向する側に発生した扇形光線と完全に重なる扇形光線を発生する。
焦点17の後ろでは測定スポットの外側の端面が測定スポットの大きさを示す。
それによって、四つの線からなる測定十字の外側の限界が測定スポットの大きさを正確に各距離のところにおいて示す配列が生ずる。
焦点17の近くでは、前記測定十字は二つの、直角に互いに位置して貫通する照明線22,23によって示される。
【0038】
光学手段21は、照明線22,23の一方の側に沿った光線密度が他方の側に沿った光線密度よりも少ないように、形成される。
この措置によってレーザの標的マークの極力高い光線密度が測定スポットに得られ、それによって良好な視認可能性が得られる。
一方の扇形光線のより少ない光線密度の端面が他方の扇形光線のより高い光線密度の端面と重なるので、標的十字の誤りのある対称性は、図5に相応して二つのレーザの照明配列を180°置き換えた配列によって、補整される。
このように中心点を付けることは、回転対称に、中央の領域においてもっとも高い輝度で行われる。
【0039】
図6はレーザ照準光線を扇形光線化するための光学手段21の具体的な実施例を示す。
部材21の光線入口側は楔型の丸い先端を有する斧型(Akicon)に形成されている。
それ故、光線は多数のさまざまな角度で部材21に当たり、それによって、図に示すような光線の進みが生ずる。
部材21から出るとき、即ち光学的に希薄な媒体内に移行するとき、平らな境界面に扇形化した光線があたり、前記境界面は光線の開き角度を更に大きくする。
光線出口側に特別の要求に応じて扇形光線の横を制限するためにスクリーンを取り付けることができる。
【0040】
図7は全部で四つの扇形光線を有する別の実施例を斜視図で示す。
図5に示す実施例とは異なり、四つのレーザはレーザモジュール24として形成されている。
レーザモジュール24は筒状ケーシング内に入れられており、レーザ光線が既に扇形化されて前記筒状ケーシングから出るように固有のレーザの他にレーザ線発生器とコリメータレンズとからなる光線を扇形化するための直列接続された光学系を含む。
【0041】
IR(赤外線)検出器1にIR放射を結像するIR対物レンズ25は二枚のレンズで構成されている。
前記検出器の方に向いていないレンズは窓リング26に固定されている。
窓リング26は、扇形光線が窓リング26を妨げられることなく通過できるように全部で四つの通路を有する。
IR対物レンズ25の検出器1の方に向いているレンズは、位置決め機構27によって光学軸線に沿って移動させることができる。
つまり、IR対物レンズ25は可変対物レンズ(Vario−Objectives)に形成されている。
【0042】
図8は最終的に窓リング26の後ろの四つの扇形光線の空間的な広がりを示す。
図8c)に、扇形光線の内側の端面が互いに接しており、それによって閉じられた十字線を形成している状態を示す。
図8d)は、焦点の位置つまり最小の測定スポットの直径を有する最も狭い位置を示す。
この点まで、測定スポットの大きさは、扇形光線の外側端面によって制限される。
図8e)及び図8f)に示す焦点の後ろで、測定スポットの直径は、再び大きくなり、扇形光線の内側端面によって制限される。
【0043】
図9は、全部で二つのレーザモジュール28,29を有する照準装置を備える非接触温度測定用IR温度計の実施例を略図示する。
図において、IR放射の光線推移を点線で示す。
前記IR放射は、簡単にするために単一のレンズとして示すIR対物レンズ25によってIR検出器1に焦点を合わせられている。
既に述べたように照準装置は二つのレーザモジュール28,29を含む。
第一のレーザモジュール28は、前記レーザモジュール28内に集積されたレーザ線発生器によって、分割面が図9の紙面と一致し、点線で示す光学軸線5を含む扇形光線を発生させる。
第二のレーザモジュール29は相応するレーザ線発生器を用いて前記第一のレーザモジュールの扇形光線に対して垂直に、即ち図9の紙面に対して垂直に扇形光線を発生させる。
前記二つの扇形光線は、例示した実施例において、光線分割器30によって重ね合わされる。
その場合原則上プリズムの使用も考えられる。
【0044】
第二のレーザモジュール29乃至光線分割器30は、発生した扇形光線が検出器1から完全に一定距離をおいたところにおいてだけIR温度計の光学軸線5と交差するように向けられる。
つまり、照準装置は一平面内に一種のパララックスエラーを有する。
測定スポットの大きさの表示も、ある距離においてだけ正確であるにすぎない。
しかし、この欠点は、この装置が製造技術的に有利であることによって、埋め合わせられる。
次に操作の快適さは、二つの扇形光線の重ね合わせによって遠く隔たった領域を越えて完全な照準十字線を見ることができるように改良されている。
この点で、この実施例は、扇形光線が、焦点の前後の比較的鮮鋭な限られた領域を囲んで完全な照準十時線を形成しているにすぎない、図8に詳細に示す光線の進路とは著しく異なる。
特筆すべきことは、光線分割器30又はプリズムによる実施例に代えて、二つのレーザモジュール28,29を互いに密接させて位置させ、第二のレーザモジュール29をIR温度計の光学軸線5に対してわずか傾斜させ、前記扇形光線をある一つのところにおいてだけ光学軸線5に交差するように構成されていることである。
【0045】
本発明の他の有利な発明の構成及び展開に関して、本明細書の全部及び添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【0046】
最後に、特に強調すべきことは、まったく任意に選択された実施例は本発明を論議するために利用されたにすぎないものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことである。
【産業上の利用の可能性】
【0047】
本発明は、非接触で又は接触させて使用可能な測定装置、加工装置及び/又は作業装置を備える設備、例えば非接触温度計、穿孔機、外科手術器具等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の設備の第一の実施例の略斜視図である。
【図2】視覚的に認めることができる標的マークを対象物に対して発生させるための本発明の照準装置の実施例の平面図である。
【図3】本質的に図1に示す装置であるが、しかし、光線を扇形化するための別の光学的手段を有する設備の略斜視図である。
【図4】図3に示す設備であるが、しかし有限内に像を描く結像光学系を有する設備の略斜視図である。
【図5】全部で四つの照準光線を有する本発明の設備の第二の実施例の略斜視図である。
【図6】照準光線を扇形化するための光学部材の実施例の略端面図である。
【図7】全部で四つのレーザモジュールを有する本発明の設備の別の実施例の略斜視図である。
【図8】図7の装置の扇形光線の展開を示す斜視図である。
【図9】二つのレーザモジュールを有する別の実施例の略端面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 検出器
2 レンズ
3 第一のレーザ
4 第二のレーザ
5 光学軸線
6 照準光線
7 照準光線
8 光学部材
9 光学部材
10 照明面、扇形光線
11 照明面、扇形光線
12 ケーシング
13 (光学部材8,9の)筒軸線
14 ケーシング軸線
15 (照準光線6,7の)衝突点
16 (照準光線6,7の)衝突点
17 焦点
18 (扇形光線10,11の)一方の端面
19 (扇形光線10,11の)他方の端面
20 レーザ
21 光学手段、部材
22 照明線
23 照明線
24 レーザモジュール
25 IR対物レンズ
26 窓リング
27 位置決め機構
28 レーザモジュール
29 レーザモジュール
30 光線分割器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の照準光線(6,7)を供給する少なくとも一つの光源を有し、視覚的に認めることができる標的マークを対象物に対して発生させる照準装置であって、前記二本の照準光線(6,7)を光学部材(8,9)に向け、前記光学部材によって、前記照準光線(6,7)が、それぞれ一つの照明面(10,11)において、二つの前記照明面(10,11)がある角度で交差するように分割可能であり、前記照明面の交差点は前記標的マークを形成することを特徴とする照準装置。
【請求項2】
前記光源が、第一及び第二のレーザ(3,4)であることを特徴とする請求項1に記載の照準装置。
【請求項3】
前記光学部材(8,9)が、ガラス、プレキシガラス(米国登録商標)、プラスチック等の透明材料からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照準装置。
【請求項4】
前記光学部材(8,9)が、湾曲した、特に円形の又は楕円形の面を有する屈折を生じさせる要素であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項5】
前記光学部材(8,9)が、円筒、特に真円筒として形成されていることを特徴とする請求項4に記載の照準装置。
【請求項6】
前記光学部材(8,9)が、半円筒として形成されていることを特徴とする請求項4に記載の照準装置。
【請求項7】
前記光学部材(8,9)が、回折光学要素であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照準装置。
【請求項8】
前記光学部材(8,9)が、電気光学要素又は(マイクロ)機械スキャナであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照準装置。
【請求項9】
前記光学部材(8,9)が、機能ユニットとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項10】
前記光学部材(8,9)が、筒状ケーシング(12)の外壁に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項11】
前記光学部材(8,9)が、筒状のケーシング(12)の外壁に接線方向に密接していることを特徴とする請求項10に記載の照準装置。
【請求項12】
前記光学部材(8,9)の筒軸線(13)が、前記ケーシング(12)の軸線(14)に対して直角に配向されていることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の照準装置。
【請求項13】
前記光学部材(8,9)が、前記第一及び第二のレーザ(3,4)を割り当てられていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項14】
前記第一及び第二のレーザ(3,4)が、筒状ケーシング(12)の外壁に、前記光学部材(8,9)の前記対象物の方に向かない側に配置されていることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項15】
前記第一及び第二のレーザ(3,4)が、前記光学部材(8,9)の前記筒軸線(13)に対して直角に配向されていることを特徴とする請求項2乃至請求項14のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項16】
前記第一及び第二のレーザ(3,4)が、前記ケーシング(12)の前記軸線(14)と平行に配向されていることを特徴とする請求項10乃至請求項15のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項17】
前記照準光線(6,7)の光学部材(8,9)への衝突点(15,16)が、前記ケーシング(12)の中央の前記軸線(14)上の点及び前記ケーシング(12)上の前記光学部材(8,9)の接触点を通る直線上に位置していることを特徴とする請求項10乃至請求項16のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項18】
前記光学部材(8,9)が、互いに180°以下の角度をとることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項19】
前記光学部材(8,9)が、互いに90°近辺の範囲の角度をとることを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項20】
全部で四つの光学部材(8,9)が、備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項21】
二つの光学部材(21)が、対になって対向していることを特徴とする請求項20に記載の照準装置。
【請求項22】
隣接する光学部材(21)が、互いに90°の角度を取ることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の照準装置。
【請求項23】
前記光学部材(8,9,21)によって生ぜしめられた扇形光線(10,11)が横の境界線を有することを特徴とする請求項1乃至請求項22のいずれか一項に記載の照準装置。
【請求項24】
非接触で又は接触させて使用可能な測定装置、加工装置及び/又は作業装置を有し、前記測定装置、加工装置及び/又は作業装置は、設定可能な目標位置においてあらゆる種類の対象物と互いに作用し合い、前記目標位置は、照準装置によって測定可能である設備であって、請求項1乃至請求項23又は請求項31乃至請求項34のいずれか一項に記載の照準装置を特徴とする設備。
【請求項25】
前記測定装置が、高温計(パイロメータ)、輻射計(ラジオメーター)又は非接触式温度測定のための赤外線カメラであることを特徴とする請求項24に記載の設備。
【請求項26】
前記高温計(パイロメータ)、前記輻射計(ラジオメーター)又は非接触式温度測定のための赤外線カメラが、検出器(1)を含み、この検出器上に、前記対象物上の測定スポットから放出される電磁放射線を焦点光学系によって焦点を合わせることができることを特徴とする請求項25に記載の設備。
【請求項27】
前記検出器(1)が、前記照準装置の筒状の前記ケーシング(12)の中心に組み込まれていることを特徴とする請求項26に記載の設備。
【請求項28】
前記扇形光線(10,11)の横の境界線が、前記扇形光線(10,11)の端面(18,19)が測定スポットの大きさを照準するために使用可能であるように選択されることを特徴とする請求項24乃至請求項27のいずれか一項に記載の設備。
【請求項29】
有限の距離のところに焦点(17)を有する結像光学系を備える請求項26乃至請求項28のいずれか一項に記載の設備であって、前記検出器(1)から見て前記焦点(17)までは、前記扇形光線(10,11)の一方の端面(18)が前記測定スポットの外周を付け、及び前記測定スポット(17)の後ろでは前記扇形光線(10,11)の他方の端面(19)が前記測定スポットの外周を付けることを特徴とする設備。
【請求項30】
前記加工装置が、穿孔機、外科器具等であることを特徴とする請求項24に記載の設備。
【請求項31】
請求項1乃至請求項23のいずれか一項に記載の照準装置であって、前記光源がレーザモジュール(24)として提供され、該モジュールは、特に筒状のケーシング内に収納された前記レーザモジュールの前方に接続されたレーザ及び光学系を含むことを特徴とする照準装置。
【請求項32】
前記レーザモジュールの前方に接続されたレーザ及び光学系が、レーザ線発生装置及びコリメータレンズを含むことを特徴とする請求項31に記載の照準装置。
【請求項33】
二つの、互いに近接して配置されたレーザモジュール(28,29)を備え、前記レーザモジュール(28,29)のレーザ線発生装置が、少なくとも接近して互いに対して直角である扇形光線を発生させることを特徴とする請求項32に記載の照準装置。
【請求項34】
二つの前記扇形光線の一方が、前記光学軸線(5)を交差するように配向され、前記扇形光線の他方が、前記光学軸線(5)と一定点において交差するように配向されていることを特徴とする請求項33に記載の照準装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−524073(P2007−524073A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515699(P2006−515699)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001427
【国際公開番号】WO2005/005910
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506000025)オプトリス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】