説明

熱および機械特性が改良されかつ熱膨張率を低減したポリカーボネート

【課題】熱特性が改良され、かつ機械特性が改良され、特に熱膨張を低減したことを特徴とする熱可塑性高−Tgポリカーボネートおよび成形材料を提供する。
【解決手段】フタルイミドから誘導した構造ユニットを含有する特殊なビスフェノールからなるポリカーボネート、およびそこからのポリカーボネート組成物および成形材料、さらには、これらのポリカーボネートの調製方法、特にリフレクタおよびディスプレイ基材としてのその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願請求の範囲は2009年12月21日に出願されたドイツ特許出願第10 2009 059 771.9号の利益を享受し、すべての有用な目的のために、これをここにその全体を参照して挿入する。
【0002】
本発明は、熱特性が改良され、かつ機械特性が改良され、特に熱膨張を低減したことを特徴とする熱可塑性高−Tgポリカーボネートおよび成形材料に関する。本発明はさらに、これらのポリカーボネートの調製方法に関する。特に、本発明は式(I)のフタルイミドから誘導した構造ユニットを含有するポリカーボネート、およびそこからのポリカーボネート組成物および成形材料、さらには、これらのポリカーボネートの調製方法、特にリフレクタおよびディスプレイ基材としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(コ)ポリカーボネートは工業的熱可塑性プラスチックから成る群に属する。コポリカーボネートは、電気および電子分野では、照明のハウジング材料として、特に熱および機械特性および傑出した光学特性が共に求められる用途、たとえば、自動車分野での用途、プラスチックカバー、拡散スクリーンまたは導波管部品およびランプカバーまたはランプベゼルでは幅広い範囲の用途を有する。熱可塑性プラスチックから射出成形によって製造される、傑出した表面品質を有するリフレクタまたはサブリフレクタは、(コ)ポリカーボネートにとって、これらの用途に加えて非常に興味深いものであった。
【0004】
これらの用途では、良好な熱特性、たとえば、ビカー(Vicat)温度(加熱ひずみ耐性)およびガラス転移温度は、実際には常に不可欠である。金属、たとえば、アルミニウムへの良好な付着性もいくつかの用途にとっては欠かせないものである。同時に、傑出した光学特性は最も重要である。これまで、一定の熱特性、たとえば、線形の熱膨張率を有するアモルファスポリカーボネートの熱膨張に関する機械特性は考慮されないままである。
【0005】
熱可塑性プラスチックから、光反射部品が、射出成形とそれに続く金属被覆(一般的にはアルミニウムを用いた真空コーティング)によって製造されることは公知である。このような部品は、たとえば、自動車用ヘッドランプリフレクタである。以前は例外なく使用されていた放物面のヘッドランプに加えて、光の利用度と空間的要求に関して最適化された2つの基本タイプ、すなわち、投影型ヘッドランプ(楕円面、複合楕円面)およびフリー表面ヘッドランプが開発された。このタイプのリフレクタの光利用度と分布の最適化によって、今日では、特にフリー表面ヘッドランプのレンズを、一般的に、異形材の透明なポリカーボネートレンズを使用しなくとも設計することができる。このことは、外側から透明に見える構成材(たとえば、リフレクタ、サブリフレクタ、フレーム)の表面品質、高温での寸法安定性、気泡発生を防止するための気体放出の少なさ、機械強度、処理容易性および製作公差の小ささに関する要求を増やし、さらに重要となる。
【0006】
これまで、ヘッドランプリフレクタは、シート金属からか、または熱硬化性プラスチックから成る金属被覆された射出成形部品(バルク成形化合物、BMC)から製造されていた。良好な寸法安定性および熱安定性がここでは必要である。
【0007】
ヘッドランプリフレクタはまた、放物面形状を本質的に有するアクチュアルリフレクタと放物面形状とは大きく異なったまたは僅かに異なったサブリフレクタに分けることができる。リフレクタは、所望の照明のために、目標に向けて光を反射し、かつ通常、光を生成する白熱灯の間近に配置されるアクチュアル部品である。これらに対応するランプまたは白熱バルブまたは光源は光だけでなく熱も生成し、リフレクタは、設計に依存して、約180〜220℃の作業温度に暴露され得る。このため、できるだけ低い線形熱膨張率を有する材料を提供することが必要である。この材料はできる限り射出成形技術によって処理可能であるべきであり、経済的であるべきである。
【0008】
さらに、リフレクタは−50℃〜220℃の温度範囲で寸法的に安定であるべきであり、すなわち、伸縮作用はできる限り等方性で、少なくともリフレクタの場合には、発光効率または集光に悪影響を及ぼさないようにせねばならない。好ましくは、金属層がリフレクタと実質的に同じ伸縮作用を有して、反射層の引張およびせん断応力ができる限り小さくなるようにする。その結果、反射層内にひび割れや圧縮といったダメージをさらに減らす。
【0009】
これまで、一般的に熱硬化性プラスチックが、より稀に熱可塑性プラスチックも、リフレクタを製造するのに使用されてきた。主に使用される後者のアモルファス熱可塑性プラスチック、たとえば、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)またはポリスルホン、たとえば、ポリエーテルスルホン(PES)またはポリスルホン(PSU)またはポリフェニレンエーテルスルホン(PPSU)は、高温〜非常に高温のガラス転移温度(Tg)を有する(たとえば、PAI トロン(TORLON)(登録商標)、ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ(Solvay Advanced Polymers)から参照)。これらのアモルファス高−Tg熱可塑性プラスチックを、傑出した表面平滑性を有するリフレクタ半加工品を製造するのに、充填剤を用いずに、使用してもよい。リフレクタ半加工品を直接金属被覆してもよい。しかし、いくつかの場合には、前記アモルファス高−Tg熱可塑性プラスチックは非常にコスト高で、大量生産にとっては不都合である。さらに、これらの高−Tg熱可塑性プラスチックの処理は困難である。
【0010】
ヘッドランプリフレクタでは、一時期、主にバルク成形化合物(BMC)が使用されていた。これらは半完成のファイバマトリックス製品である。これは、一般的に、短いガラスファイバとポリエステルまたはビニルエステル樹脂から成り;他の補強ファイバまたは樹脂システムが可能である。BMCはホットプレスで処理され、これによって短い周期が可能となる。この目的のために、BMC材料は、加熱され分割されたモールドの中央に挿入される。封止時に、BMCはモールド内に広がる。ファイバの長さが短いので、加圧時に薄いリブおよび壁厚を満たすことができる。しかし、BMCは圧縮力で分離する恐れがある。圧縮力がファイバによって妨げられ、樹脂が一方向にしか流れることができないような場合に、これは起こる。個々の補強ファイバは一般的に流れ方向に配列するので、局地的に配列度の高いファイバが生じ得る。特定の処理では、比較的短い長さのファイバを用いれば、BMCを射出成形法で処理することもできる。
【0011】
熱硬化性プラスチック(BMC)の典型的な用途には、自動車用ヘッドランプ、より厳密にはヘッドランプのリフレクタがある。ここでの役割は、良好な寸法安定性および熱安定性を果たすことである。その処理は例えるなら、非常に大規模なエラストマー射出成形である。熱硬化性プラスチック処理の周期は、約4mmまでの壁厚では熱可塑性プラスチックの場合より一般的に長い。その結果、良好な電気および機械特性を求めないなら、熱硬化性プラスチックは一般的に、コスト効率で比べれば熱可塑性プラスチックに劣る。
【0012】
充填剤は主に、ファイバおよび樹脂容量をより安価な充填剤で置き換えることで、より経済的にBMCを製造する役割を果たすものである。たとえば、耐炎性を向上させること、または低収縮性といった所望特性に依存して、添加剤を添加する。そしてたとえば、酸化マグネシウムは可塑性を向上させ、カオリンは酸耐性を向上させる。
【0013】
もちろん、照明ユニットでは最も高温が生じる。したがって、これまで、リフレクタはシート金属からか、または熱硬化性プラスチック、たとえば、BMCから、または金属被覆され射出成形されたアモルファス高−Tg熱可塑性プラスチック(PEI、PSU、PES)から製造されていた。金属被覆を要する射出成形部品では表面品質と合わせて高い耐性が求められ、主に充填剤を含まないアモルファス高−Tg熱可塑性プラスチックまたはコートされた熱硬化性プラスチックはこれまで、この要求に応じてきた。
【0014】
前記高−Tg熱可塑性プラスチックの一例は、ポリエーテルスルホンのウルトラソン(ULTRASON)E(登録商標)(BASF ルイグシャフテン,ドイツから)(212℃の真珠光温度を有する)であり、以下に示す文献に記載される。複雑さを積極的に減らしながら、ヘッドランプ部品の一体性を向上させて、より高度な照明システムを開発し、そのシステムではより高い材料要求を可能にすることが期待されるといったことが、ここでは行われている(J.クアイサー(Queisser),M.ゲプラーグス(Geprags),R.ブルム(Blum)およびG.イケス(Ickes),トレンズ・バイ・オートモービルシャインベルフェン(Trends bei Automobilscheinwerfern)[自動車用ヘッドランプのトレンド],クンストストッフ(Kunststoffe)[プラスチックス]3/2002,ハンサー・ベラグ(Hanser Verlag),ムニッヒ(Munich))。
【0015】
さらに、先行技術は、小繊維の無機充填剤(欧州特許第EP 0 863 180号公報参照)およびさらに粒子性無機充填剤(欧州特許第EP 1 312 647またはEP 0 585 056号公報)を含有する組成物、または粒子性無機充填剤(欧州特許第EP 0 913 421号公報)のみを含有する組成物を開示する。道路用光リフレクタの製造用材料はミンロン(MINLON)(登録商標)(E.I.デュポン・デ・ネモース社(du Pont de Nemours & Co.),ウィルミントン,USA)の名称で公知である。前記製品は半結晶ナイロン66(PA66)であり、熱安定剤に加えて36〜40%の常套的鉱物を含有する。しかし、この材料は、表面品質の点から、少なくとも自動車ライト用には不適当であると思われる。ここで、アモルファスポリマーに比べてこのような組成物は射出成形時の周期が非常に長いことも、さらなる不都合と考えられる。
【0016】
さらなる要求は、コートされる(一般的に湾曲した)プラスチック表面の表面品質に関するものである。特に、リフレクタの場合には、光効率は本質的であり、できる限り均一で、非常に滑らかでかつ非常に高光沢の表面を、コーティングのために提供せねばならない。劣悪な流動性を有しまたはあまりに容易に固化するプラスチックや、充填剤を添加することはしばしば、鏡面のような滑らかな表面といった非常に高い要求を考慮すれば、たとえ、成形モールドの対応する表面を高光沢に磨いたとしても、射出成形モールド内で、粗雑で、無光沢または不均一な印象につながる。
【0017】
先行技術はさらに、充填剤を含まない組成物を開示する。しかし、これらも同様に、175℃未満の不適当なTg値しか達成していない(たとえば、欧州特許第EP 0 313 436、EP 0 553 581号公報および米国特許第US4,898,896号公報参照)。また、目的の用途にとって不適当なこのカテゴリーのポリマーには、ポリアリールアミド、たとえば、IXEF(登録商標)2057(ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ)、ポリアクリレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT、たとえば、アルナイト(ARNITE)(登録商標)TV4 220、DSMから)がある。
【0018】
欧州特許第EP 0 725 101 B2号公報に開示される無色透明なアモルファスホモポリアミドは約157℃のガラス転移温度を有し、サブリフレクタの製造には非常に好適であるが、少なくとも200℃の作業温度に暴露される光反射部品の製造には不適当である。
【0019】
米国特許第6,355,723 B1号公報は、アモルファス熱可塑性プラスチック、たとえば、ポリエーテルイミド、ポリアリールエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリアリーレート、ポリアミド、ポリエステルおよび前記熱可塑性プラスチックの単相混合物を含有する射出成形リフレクタを開示する。これらのリフレクタは直接金属層を備え、少なくとも170℃〜200℃のガラス転移温度(Tg)を有し得る。リフレクタ表面の金属被覆の前に、目視検査で何らかの表面欠陥を容易に検出することができ、リフレクタの金属未被覆部分による不所望な光効果を抑えるために、これら全てのリフレクタを、染料を添加することによって黒く着色する。
【0020】
しかし、膨張係数が過剰に高いために、先行技術で先に記載したポリカーボネートまたはコポリカーボネートは、限られた安定性しかないといった不都合を有し、またはたとえば、リフレクタのような高温用途では、金属被覆部品としての使用には不適当でさえあり得る。
【0021】
非常に良好な光学および熱特性を有するポリマー材料が、ディスプレイ用途、たとえば、LCDまたはOLEDディスプレイ用のフレキシブル基材の用途では求められる。したがって、材料のガラス転移温度が十分に高いことが、基材上に薄膜トランジスタ(TFT)素子を、たとえば、a−Si:H法によって製造する際に求められる。ポリエチレンナフタレート(PEN)は低い熱膨張率を有するが、ガラス転移温度が僅か120℃と低く、複屈折性を示す。ポリアリーレート(PAR)は高いガラス転移温度(215℃)を有し、光学的に等方性の外観を有するが、非常に高価な材料である。このことはポリエーテルスルホンにも当てはまる(PES、Tg=220℃)。ポリイミドは最も高いガラス転移温度(360℃)に加えて、非常に低い熱膨張率を有するが、光学的外観がオレンジ〜茶色に見える。これらの材料のコストは同様に、非常に高い。ディスプレイ技術での用途では、非常に良好な光学特性、たとえば、複屈折がなく透明性が高いことが、さらに求められる。適当なコストで、非常に良好な透明性と等方性の光学的外観を兼ね備え、同時に高いガラス転移温度と低い熱膨張性を有するポリマー材料が、ディスプレイ技術では望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、熱膨張率が低減されると同時に、傑出した金属への付着性および良好な熱特性(特に、高いビカー温度またはガラス転移温度)と、(追加の事前処理工程を行うことなく金属層で直接コーティングするのに好適な)良好な表面とを兼ね備えることを特徴し、かつ先行技術で開示される材料に比べて、良好な加熱ひずみ耐性を備えて調製され得る芳香族(コ)ポリカーボネートを開発することが目的であった。
【0023】
新規の組成物はさらに、改良された流動性を示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の実施の形態は式(I)の化合物:
【化1】

である。
【0025】
本発明のまた別の実施の形態は、式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化2】

フェノールフタレインとメチルアミン水溶液とをN−メチルピロリドンの存在中で反応させることを包含する。
【0026】
本発明の別の実施の形態は、前記式(I)の化合物を、塩酸を含有する水溶液中で沈殿させ、次いで前記式(I)の化合物を水酸化ナトリウム溶液中に溶解することによって単離精製することを、さらに包含する上記方法である。
【0027】
本発明のまた別の実施の形態は、式(Ia)のビスフェノール
【化3】

を(コ)ポリカーボネート中の繰り返しモノマーユニットとして含有する前記(コ)ポリカーボネートである。
【0028】
本発明の別の実施の形態は、使用されるジフェノールの量に基づいて、95mol%までの、式(II)のジフェノール
【化4】

(ここで、
およびRは互いに独立して、水素、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルコキシ、ハロゲンおよび任意に置換されたアリールまたはアラルキルであり、
Xは、単結合、−SO−、−CO−、−O−、−S−、C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデンまたはC〜C−シクロアルキリデンであり、ここで前記C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデンまたはC〜C−シクロアルキリデンは任意にC〜C−アルキルで置換され、またはC〜C12−アリーレンであり、これはヘテロ原子を含有するさらなる芳香族環と任意に縮合する)および/または
式(IVa)および(IVb)のジフェノールの単量体混合物である式(IV)のジフェノール
【化5】

(ここで、
は互いに独立して、水素またはC〜C10−アルキルであり、
は、C〜C10−アルキルまたは任意に置換されたフェニルまたはベンジルである)から選択される1以上のジフェノールに基づく繰り返しモノマーユニットをさらに含有する上記(コ)ポリカーボネートである。
【0029】
本発明の別の実施の形態は、各場合、使用されるジフェノールの量に基づいて、20〜100mol%の式(I)のジフェノールに基づく繰り返しモノマーユニットと、80〜0mol%の式(II)および/または(IV)のジフェノールに基づく繰り返しモノマーユニットとを含有する上記(コ)ポリカーボネートである。
【0030】
本発明の別の実施の形態は、前記式(II)のジフェノールが、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニール、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、およびビスフェノールTMCから成る群から選択される上記(コ)ポリカーボネートである。
【0031】
本発明の別の実施の形態は、前記(コ)ポリカーボネートはさらに、熱安定剤、モールド取り外し剤、UV吸収剤および充填剤から成る群から選択される1以上の添加剤を含有する上記(コ)ポリカーボネートである。
【0032】
別の実施の形態は、1以上の上記(コ)ポリカーボネートと1以上の熱可塑性ポリマーを含有する混合物である。
【0033】
本発明のまた別の実施の形態は、上記(コ)ポリカーボネートから得られる成形物品である。
【0034】
本発明の別の実施の形態は、前記成形物品が射出成形または押出し成形法を介して製造される上記成形物品である。
【0035】
本発明のまた別の実施の形態は、基材層が、少なくとも一方側にさらなる層を備えて成る多層製品であって、前記基材層は上記ポリカーボネートを含有する。
【0036】
本発明の別の実施の形態は、前記基材層上の前記さらなる層は金属層である上記多層製品である。
【0037】
本発明の別の実施の形態は、さらに、前記金属層に保護層が塗布されてなる上記多層製品である。
【0038】
本発明のまた別の実施の形態は、PECVDまたはプラズマ重合法で前記保護層を塗布する工程を包含する、上記多層製品製造方法である。
【0039】
本発明の別の実施の形態は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルジシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、およびトリメトキシメチルシランから成る群から選択される1以上の容易に揮発する成分から、PECVDまたはプラズマ重合法で前記保護層を塗布する工程を包含する、上記方法である。
【0040】
本発明のまた別の実施の形態は、界面法または溶融エステル交換法において、ビスフェノールとして式(I)の化合物を用いる工程を包含する、上記(コ)ポリカーボネート調製方法である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明によるモノマー構造ブロックの合成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本願の内容では、ポリカーボネート組成物(または混合物)は、2以上のポリカーボネートの混合物であって、任意に添加剤(さらなる成分)を備えてもよいことを意味するものと理解される。
【0043】
驚くべきことに、式(I)の構造ユニットを含有するコポリカーボネートはより低い熱膨張率と、一定の熱特性(ビカー温度)および機械および光学特性を兼ね備えることを新たに見出した:
【化6】

【0044】
したがって、本発明は、フェノールフタレインとメチルアミン水溶液とのN−メチルピロリドンの存在中での反応を包含する、式(I)のフタルイミドの調製方法に関する。
【0045】
溶液中に3.5〜4.5倍モル過剰のフェノールフタレインを含有する、20〜80重量%濃度(% strength by weight)、好ましくは30〜60重量%濃度、特に好ましくは35〜45重量%濃度のメチルアミン溶液、好ましくは水溶液、好ましくはN−メチルピロリドンおよび水の混合物を好ましくは反応させる。2kgのN−メチルピロリドンおよび2kgの水を、好ましくはフェノールフタレイン4mol当たりの溶媒混合物として使用する。
【0046】
N−メチルピロリドンを好ましくは、40〜60℃で、特に好ましくは45〜55℃、非常に特に好ましくは50℃でまず初めに導入し、フェノールフタレイン反応剤を添加する。均一な溶液を得た後、溶媒混合物の残りの水とメチルアミンの溶液をさらに反応剤として添加する。好ましくは、反応を65〜95℃、好ましくは75〜90℃および特に好ましくは80〜88℃の温度範囲で行う。
【0047】
生成物の単離および精製は、好ましくは37%濃度の塩酸を含有する水溶液中で沈殿させ、次に公知の方法で水酸化ナトリウム溶液中に溶解させることによって行われる。単離および精製のサイクルは数回連続的に、好ましくは1〜3回行われる。
【0048】
さらに、本発明は、少なくとも160℃、好ましくは180℃、特に好ましくは200℃の作業温度に好適な、任意に金属被覆される部品を製造するために、モノマー構成ブロック(I)を含有する熱可塑性ポリマー成形材料を調製および使用すること、特にLED用途およびフィルム基材、光反射部品、および金属被覆されたまたは金属被覆されるべき対応する光反射部品、たとえば、リフレクタまたはサブリフレクタ、およびこれから得られる対応する部品に関する。
【0049】
さらに、本発明は、本発明によるジフェノールを用いたポリカーボネートの調製、および対応する調製方法に関する。これらのポリカーボネートは、本発明によるビスフェノール構成ブロックを、任意のさらなるビスフェノール構成ブロックと、界面法または溶融エステル交換法で縮合することによって得られ、比較的高分子量のコポリカーボネートが得られる。
【0050】
本発明による(コ)ポリカーボネートは、繰り返しモノマーユニットとして、一般式(Ia)のビスフェノールに基づくものである:
【化7】

【0051】
(コ)ポリカーボネートの場合には、式(I)の1以上のジフェノール以外では、式(II)のビスフェノールが、さらなるモノマーユニットとして存在してもよく:
【化8】

ここで、
R1およびR2は互いに独立して、H、C1〜C18−アルキル、C1〜C18−アルコキシ、ハロゲンたとえば、ClまたはBrを表し、または各場合、任意に置換されたアリールまたはアラルキルを表し、好ましくはHまたはC1〜C12−アルキル、特に好ましくはHまたはC1〜C8−アルキルおよび非常に特に好ましくはHまたはメチルを表し、かつ
Xは、単結合、−SO−、−CO−、−O−、−S−、C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデンまたはC〜C−シクロアルキリデンを表し、これらはC〜C−アルキル、好ましくはメチルまたはエチルで置換されてもよく、さらに、C〜C12−アリーレンを表し、これはヘテロ原子を含有するさらなる芳香族環と任意に縮合してもよい。
【0052】
好ましくは、Xは単結合、C1〜C5−アルキレン、C2〜C5−アルキリデン、C5〜C6−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO2−または式(III)
【化9】

の基の1つを表し、
ここで、
およびRはX毎に独立して選択可能であり、互いに独立して水素またはC〜C−アルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルを示し、
は炭素を示し、
mは4〜7、好ましくは4または5の整数を示し、但しR3およびR4は少なくとも1つの原子X上では同じアルキルである。
【0053】
本発明によるコポリカーボネートの調製では、ビスフェノールA、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ジメチルビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)および1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ジメチルTMC)が式(II)から誘導されるジフェノールとして好ましく使用される。
【0054】
本発明に従って使用されるコポリカーボネートの調製に好適で、かつ式(II)に従う構造ユニットに基づくジフェノールはたとえば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼンおよびアルキレート化した、その核上をアルキレート化したおよびその核上をハロゲン化したその化合物である。
【0055】
好ましいジフェノールはたとえば、4,4'−ジヒドロキシビフェニール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル,4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−3−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−1H−インドール−2−オンである。
【0056】
さらに、一般式(IVa)および(IVb)(単量体混合物)のビスフェノール(以降式(IV)のビスフェノールとも呼ぶ)をさらなるジフェノール化合物として使用してもよい。
【化10】

ここで、
は、互いに独立して水素またはC〜C10−アルキル、好ましくは水素またはC〜C−アルキル、特に好ましくは水素またはC〜C−アルキル、非常に特に好ましくは水素またはメチルを表し、
は、C〜C10−アルキル、好ましくはC〜C−アルキル、特に好ましくはC〜C−アルキル、各場合、任意に置換されたフェニルまたはベンジル、特にメチル、フェニルまたはベンジル、Rの場合にフェニルおよびベンジル用置換基として好ましいと述べた基を表す。
【0057】
本発明の内容では、各場合アルキルは線形または分岐である。
【0058】
は特に好ましくは、Rで述べた基で任意に置換されたフェニルを表し、これは式(IVc)および(IVd)(単量体混合物)によって表され:
【化11】

ここでRは上記意味を有する。
【0059】
式(IVe)および(IVf)(単量体混合物)のビスフェノールは非常に特に好ましい。
【化12】

【0060】
特に好ましいジフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ジメチルビスフェノールA)またはビスフェノールTMCおよび式(IV)のビスフェノールである。
【0061】
本発明によるビスフェノール(I)とビスフェノールAまたはビスフェノールTMCまたはジメチルビスフェノールAから得られるコポリカーボネートは特に好ましい。
【0062】
これらのおよびさらに好適なジフェノールは市販入手可能であり、たとえば、「H.シュネル(Schnell),ポリカーボネートの化学と物理,インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers),ニューヨーク1964,ページ28,et seq;ページ102,et seq」および「D.G.レグランド(Legrand),J.T.ブレンドラー(Bendler),ポリカーボネート科学技術ハンドブック,マルセル・デッカー(Marcel Dekker)ニューヨーク2000,ページ72 et seq」に記載される。
【0063】
式(I)のビスフェノールを単独で用いても、または1以上の式(II)および/または(IV)のビスフェノールとの混合物として用いてもよく;本発明の内容では、ポリカーボネートはホモポリカーボネートとコポリカーボネートの両方を意味するものと理解される。
【0064】
式(I)の化合物から選択されるジフェノール以外では、コポリカーボネートは一般的に、(使用されるジフェノールのモル合計に基づいて)95mol%まで、好ましくは80mol%まで、特に好ましくは70mol%までの、式(II)および/または(IV)の化合物から選択される少なくとも1つのさらなるジフェノールを含有する。好ましくは、コポリカーボネートは最低限、(使用されるジフェノールのモル合計に基づいて)少なくとも5mol%、特に10mol%の、式(II)および/または(IV)の化合物から選択されるジフェノールを含有する。特に好ましいコポリカーボネートは、(使用されるジフェノールのモル合計に基づいて)40〜60、特に45〜55mol%の式(I)のジフェノールと、60〜40、特に45〜55mol%の式(II)および/または(IV)のジフェノールとを含有する。
【0065】
本発明による熱可塑性ポリカーボネートおよびコポリカーボネートは一般的に、2000g/mol〜200,000g/mol、好ましくは3000g/mol〜150,000g/mol、特に5000g/mol〜100,000g/mol、非常に特に好ましくは8000g/mol〜80,000g/mol、特に12,000g/mol〜70,000g/molの平均分子量(重量平均Mw、ポリカーボネートキャリブレーションを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィーGPC測定によって決定される)を有する。分子量は数平均Mnによっても特定され、これも同様に、事前にポリカーボネートにキャリブレーションした後に、GPCによって決定される。
【0066】
さらに、本発明は、本発明による1以上の(コ)ポリカーボネートと1以上の熱可塑性ポリマーを含有する混合物に関する。
【0067】
好ましく使用される熱可塑性ポリマーはポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、特にポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート、ポリアクチド、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フッ素ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリイミド、ポリアクリレート、特にポリ(メチル)メタクリレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー、特にポリスチレン、スチレンコポリマー、特にスチレン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよびポリ塩化ビニルから成る一連からの少なくとも1つである。
【0068】
ポリカーボネートは混合物成分として特に好ましい。
【0069】
使用されるジフェノール、さらには合成に添加される全ての他の化学物質および助剤は、それ自身の合成、取り扱いおよび貯蔵に由来する不純物で汚染されていてもよい。しかし、できる限り純粋な原材料で作業するのが望ましい。
【0070】
界面法によって高分子ポリカーボネートを得るために、ジフェノールのアルカリ金属塩をホスゲンと2相混合物中で反応させる。分子量はモノフェノールの量によって制御することができ、モノフェノールは鎖重合停止剤として機能するものであって、たとえば、フェノール、tert.−ブチルフェノールまたはクミルフェノール、特に好ましくはフェノール、tert.−ブチルフェノールがある。これらの反応では、実際には独占的に線形ポリマーが形成する。このことは末端基分析によって検出することができる。いわゆる分岐剤をターゲット使用することによって、一般的にポリヒドロキシレート化化合物、分岐ポリカーボネートも得られる。
【0071】
使用される鎖重合停止剤の量は、各場合、使用されるジフェノールのモルに基づいて、0.5mol%〜10mol%、好ましくは1mol%〜8mol%、特に好ましくは2mol%〜6mol%である。鎖重合停止剤の添加を、ホスゲン化の前、ホスゲン化時またはホスゲン化後に、好ましくは塩化メチレンとクロロベンゼン(8〜15重量%濃度)を含有する溶媒混合物における溶液として行うことができる。
【0072】
ポリカーボネートまたはコポリカーボネートはまた、分岐されてもよい。この目的のために、使用されるジフェノールのモルに基づいて、ある少量の、好ましくは0.05〜5mol%の間、特に好ましくは0.1〜3mol%、非常に特に好ましくは0.1〜2mol%の量の3官能性化合物、たとえば、イサチンビスクレゾール(IBK)またはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプト−2−エン;4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE);トリ(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]-プロパン;2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン;ヘキサ(4−(4−ヒドロキシフェニル-イソプロピル)フェニル)オルトテレフタル酸エステル;テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン;テトラ(4−(4−ヒドロキシ-フェニルイソプロピル)フェノキシ)メタン; α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;2,4−ジヒドロキシ安息香酸;トリメシン酸;塩化シアヌル酸;3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール;1,4−ビス(4’,4”−ジヒドロキシトリフェニル)メチル)ベンゼンおよび特に1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよびビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールを、いわゆる分岐剤として使用する。イサチンビスクレゾールおよび1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよびビス−(3−メチル−4−ヒドロキシ-フェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールを分岐剤として好ましく使用する。
【0073】
これらの分岐剤を使用することによって、分岐構造となる。得られた長鎖分岐は、得られたポリカーボネートの流動性につながり、その流動性自身は線形タイプと比べた構造粘性に表れる。
【0074】
本発明はさらに、本発明によるポリカーボネートおよびコポリカーボネートの調製方法に関し、ビスフェノールと可能なら分岐剤とをアルカリ水溶液に溶解し、任意に溶媒に溶解させたカーボネート源、たとえば、ホスゲンと、アルカリ水溶液、有機溶媒および触媒、好ましくはアミン化合物を含有する2相混合物中で反応させることを特徴とする。反応手順はまた複数段階で行われてもよい。ポリカーボネートを調製するためのこのような方法は、原理的には界面法として、たとえば、H.シュネル(Schnell),ポリカーボネートの化学と物理,ポリマー・レビューズ(Polymer Reviews),Vol.9,インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers),ニューヨーク1964,ページ33 et seq.、およびポリマー・レビューズ(Polymer Reviews),Vol.10,「界面法および溶液法による縮合ポリマー」,ポール(Paul)W.モーガン(Morgan),インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers),ニューヨーク1965,第VIII章,ページ325から公知であり、基本的条件はしたがって、当業者に常套的である。
【0075】
アルカリ水溶液中のジフェノールの濃度は、2〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは2〜18重量%および非常に特に好ましくは3〜15重量%である。アルカリ水溶液は、水中にアルカリ金属またはアルカリ土金属の水酸化物が溶解してなる。水酸化ナトリウムおよびカリウムが好ましい。
【0076】
カーボネート源としてホスゲンを使用する場合、アルカリ水溶液の有機溶媒に対する体積比は5:95〜95:5、好ましくは20:80〜80:20、特に好ましくは30:70〜70:30および非常に特に好ましくは40:60〜60:40である。ビスフェノールのホスゲンに対するモル比は1:10以下、好ましくは1:6以下、特に好ましくは1:4以下および非常に特に好ましくは1:3以下である。有機相中の本発明による分岐ポリカーボネートとコポリカーボネートの濃度は、1.0〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは2〜18重量%および非常に特に好ましくは3〜15重量%である。
【0077】
アミン化合物の濃度は、使用されるビスフェノールの量に基づいて、0.1〜10mol%、好ましくは0.2〜8mol%、特に好ましくは0.3〜6mol%および非常に特に好ましくは0.4〜5mol%である。
【0078】
ビスフェノールは、上記分岐剤を配合した上記ジフェノールを意味するものと理解される。カーボネート源はホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲン、好ましくはホスゲンである。ホスゲンを使用する場合には、任意に、溶媒を用いて分散させてもよく、ホスゲンを直接反応混合物に投入してもよい。
【0079】
3級アミン、たとえば、トリエチルアミンまたはN−アルキルピペリジンを触媒として用いてもよい。好適な触媒はトリアルキルアミンおよび4−(ジメチルアミノ)ピリジンである。トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンおよびN−プロピルピペリジンは特に好適である。
【0080】
ハロゲン化炭化水素、たとえば、塩化メチレンおよび/またはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンまたはその混合物、または芳香族炭化水素、たとえば、トルエンまたはキシレンは、有機溶媒として好適である。
【0081】
反応温度は、−5℃〜100℃、好ましくは0℃〜80℃、特に好ましくは10℃〜70℃および非常に特に好ましくは10℃〜60℃であってもよい。
【0082】
また、場合によっては、本発明によるポリカーボネートを溶融エステル交換法で調製してもよい。溶融エステル交換法は、たとえば、ポリマー科学百科事典(Encyclopedia of Polymer Science),Vol.10(1969)、ポリカーボネートの化学と物理,ポリマー・レビューズ(Polymer Reviews),H.シュネル(Schnell),Vol.9,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons),Inc.(1964)およびドイツ特許第DE−C 10 31 512号公報に記載される。
【0083】
溶融エステル交換法では、界面法の場合にすでに記載した芳香族ジヒドロキシ化合物を、炭酸ジエステルと、好適な触媒および任意のさらなる添加剤の助けを得て、溶融状態で、エステル交換する。
【0084】
本発明の内容では、炭酸ジエステルは式(6)および(7)のものであり、
【化13】

ここで、R、R’およびR”は互いに独立して、H、任意に分岐したC〜C34
−アルキル/シクロアルキル、C〜C34−アラルキルまたはC〜C34−アリール、
たとえば、
ジフェニルカーボネート、ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジブチルフェニルカーボネート、イソブチルフェニルフェニルカーボネート、ジイソブチルフェニルカーボネート、tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ−tert−ブチル-フェニルカーボネート、n−ペンチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(n−ペンチルフェニル)カーボネート、n−ヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(n−ヘキシルフェニル)カーボネート、シクロヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジシクロ-ヘキシルフェニルカーボネート、フェニルフェノールフェニルカーボネート、ジフェニルフェノールカーボネート、イソオクチルフェニルフェニルカーボネート、ジイソオクチルフェニルカーボネート、n−ノニルフェニルフェニルカーボネート、ジ(n−ノニルフェニル)カーボネート、クミルフェニルフェニルカーボネート、ジクミルフェニルカーボネート、ナフチル-フェニルフェニルカーボネート、ジナフチルフェニルカーボネート、ジ−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(ジ−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ジクミルフェニルフェニルカーボネート、ジ(ジクミルフェニル)カーボネート、4−フェノキシフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−フェノキシフェニル)カーボネート、3−ペンタデシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(3−ペンタデシルフェニル)カーボネート、トリチルフェニルフェニルカーボネート、ジトリチルフェニルカーボネート、
好ましくは、
ジフェニルカーボネート、tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ−tert−ブチルフェニルカーボネート、フェニルフェノールフェニルカーボネート、ジフェニルフェノールカーボネート、クミルフェニルフェニルカーボネート、ジクミルフェニルカーボネート、
特に好ましくはジフェニルカーボネート
を表してもよい。
【0085】
前記炭酸ジエステルの混合物を使用することもできる。
【0086】
炭酸エステルの配合割合は、ジヒドロキシ化合物に基づいて、100〜130mol%、好ましくは103〜120mol%、特に好ましくは103〜109mol%である。
【0087】
本発明の内容では、塩基性触媒、たとえば、アルカリ金属およびアルカリ土金属の水酸化物および酸化物だけでなく、アンモニウム塩またはホスホニウム塩(以後オニウム塩と呼ぶ)を、上述の文献に記載されるように、溶融エステル交換法では触媒として使用する。好ましくはオニウム塩、特にホスホニウム塩をここでは使用する。本発明の内容ではホスホニウム塩は式(IV)のものであり、
【化14】

ここで、
4〜7は同じまたは異なるC〜C10−アルキル、C〜C10−アリール、C〜C10
−アラルキルまたはC〜C−シクロアルキル、好ましくはメチルまたはC〜C14−アリール、特に好ましくはメチルまたはフェニルであってもよく、
は陰イオン、たとえば、ヒドロキシド、スルフェート、ヒドロゲンスルフェート、ビカーボネート、カーボネート、ハライド、好ましくはクロライド、または式ORのアルコレートであってもよく、ここでRはC〜C14−アリールまたはC〜C12−アラルキルであってもよい。好ましい触媒は、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムフェノレート、特に好ましくはテトラフェニルホスホニウムフェノレートである。
【0088】
触媒を好ましくは、ビスフェノール1モルに基づいて、10−8〜10−3molの量で、特に好ましくは10−7〜10−4molの量で使用する。
【0089】
重合速度を上げるために、さらなる触媒を単独で使用しても、または任意にオニウム塩に加えて使用してもよい。これらには、アルカリ金属およびアルカリ土金属の塩、たとえば、リチウム、ナトリウムおよびカリウムのヒドロキシド、アルコキシドおよびアリールオキシド、好ましくはナトリウムのヒドロキシド、アルコキシドまたはアリールオキシド塩がある。水酸化ナトリウムおよびナトリウムフェノレートは最も好ましい。共触媒の量は、各場合、ナトリウムとして計算して、1〜200ppb、好ましくは5〜150ppbおよび最も好ましくは10〜125ppbの範囲であってもよい。
【0090】
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶融状態でのエステル交換反応は好ましくは、2段階で行われる。第1段階では、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの溶融を、80〜250℃、好ましくは100〜230℃、特に好ましくは120〜190℃の温度で、大気圧下で、0〜5時間、好ましくは0.25〜3時間行う。触媒を添加した後に、オリゴカーボネートが、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとから、真空(2mmHgまで)を施し温度を(260℃まで)上げることで、モノフェノールを蒸留除去することによって、調製される。大量の蒸気がここではこの処理から生じる。したがって、調製されたオリゴカーボネートは、2000g/mol〜18000g/mol、好ましくは4000g/mol〜15000g/molの範囲の重量平均分子量Mw(ジクロロメタン中でのまたは重量で等量のフェノール/o−ジクロロベンゼンの混合物中での相対溶液粘度の測定によって決定され、光散乱によってキャリブレーションされる)を有する。
【0091】
第2段階では、さらに温度を250〜320℃、好ましくは270〜295℃に上げることによって、<2mmHgの圧力で、ポリカーボネートを重縮合で調製する。この場合には蒸気残留物をこの処理から除去する。
【0092】
触媒は互いに(2以上を)組み合わせて使用してもよい。
【0093】
アルカリ金属/アルカリ土金属触媒を使用する場合には、アルカリ金属/アルカリ土金属触媒を後で(たとえば、オリゴカーボネート合成後、第2段階の重縮合の際に)添加することが有益な場合がある。
【0094】
本発明による方法では、ポリカーボネートを得るための芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応は、たとえば、攪拌容器、薄膜型蒸発器、流下薄膜型蒸発器、攪拌容器カスケード、押出し成形機、混練器、単純ディスク反応器および高粘度ディスク反応器中で、バッチ形式で行われても好ましくは連続的に行われてもよい。
【0095】
界面法と同様に、分岐ポリ−またはコポリカーボネートを、多官能性化合物を用いて調製してもよい。
【0096】
使用のパラメータ、化合物、定義および説明が、好ましい、特に好ましい、または非常に特に好ましい等と以下に述べられるなら、その実施の形態は、好ましい、特に好ましい、または非常に特に好ましい。
【0097】
しかし、記載中で述べられ、または好ましい範囲を述べる一般的定義、パラメータ、化合物、および説明は、任意に互いに組み合わせて、すなわち、それぞれの範囲と好ましい範囲の間であってもよい。
【0098】
本発明によるポリカーボネートおよびコポリカーボネートを公知の方法で加工し、たとえば、押出し成形、射出成形または押出しブロー成形によって処理して、いずれの成形物を得てもよい。
【0099】
また、他の芳香族ポリカーボネートおよび/または他の芳香族ポリエステルカーボネートおよび/または他の芳香族ポリエステルを公知の方法で、たとえば、化合することによって、本発明によるポリカーボネートおよびコポリカーボネートと混合してもよい。
【0100】
この組成物はさらに、市販入手可能なポリマー添加剤、たとえば、防炎剤、難燃相乗剤、ドリップ防止剤(たとえば、フッ素化ポリオレフィン、シリコンおよびアラミドファイバから成る物質分類の化合物)、潤滑剤および剥離剤(たとえば、ペンタエリスリチルテトラステアレート)、核化剤、安定剤、帯電防止剤(たとえば、導電性カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブおよび有機帯電防止剤、たとえば、ポリアルキレンエーテル、アルキルスルホネートおよびポリアミド含有ポリマー)、および着色剤および顔料を、組成物の機械特性に悪影響を及ぼさず、目的の特性の概要がほぼ達成される(−10℃で粉々になるといった破壊不良がない)程度の量で、含有してもよい。
【0101】
好ましい防炎剤は、スルホン酸塩、たとえば、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムまたはカリウムジフェニルスルホンスルホネート、臭素化オリゴビスフェノール、PTFEまたはPTFE化合物および、特にモノマー状およびオリゴマー状リン酸およびホスホン酸エステル、ホスホネートアミンおよびホスファゼンから成る群から選択されるリン含有防炎剤であり、これらの群またはこれらの群とは異なる群の1つから選択される成分の混合物または複数を、防炎剤として使用することもできる。また好ましくは、ここでは特に述べない他のハロゲンを含まないリン化合物を、単独で、または好ましくは他のハロゲンを含まないリン化合物と組み合わせて使用してもよい。たとえば、以下はリン化合物として好適である:トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル2−エチルクレジルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レゾルシノール架橋ジ−またはオリゴホスフェートおよびビスフェノールA架橋ジ−またはオリゴホスフェート。ビスフェノールAから誘導されるオリゴマー状リン酸エステルの使用は特に好ましい。防炎剤として好適なリン化合物は公知であり(たとえば、欧州特許公開第EP−A0 363 608、EP−A0 640 655号公報参照)または公知の方法で同様に調製され得る(たとえば、ウルマンズ・エンサイクロペディア・デア・テクニッシェン・ヘミー(Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie)[ウルマンズ工業化学百科事典],Vol.18,P.301et seq.,1979;ハウベンーウェイル(Houben-Weyl),メソーデン・デア・オリガニッシェン・ヘミー(Methoden der organischen Chemie)[有機化学の方法],Vol. 12/1,ページ43;バイルスタイン(Beilstein)Vol.6,ページ177参照)。
【0102】
添加剤の添加は、使用または発色の期間を伸ばし(安定剤)、処理を簡略化し(たとえば、剥離剤、流動性改良剤、帯電防止剤)またはポリマー特性をある種の負荷に適合させる(たとえば、衝撃改良剤、たとえば、ゴム;防炎剤、着色剤、ガラスファイバ)といった役割を果たす。
【0103】
これらの添加剤はポリマー溶融物へと、個々に添加されても、または何らかの所望の混合物で、または複数の異なる混合物で添加されても、特にポリマーの単離時に直接、またはペレットの溶融後、いわゆる化合工程で添加されてもよい。添加剤またはその混合物はポリマー溶融物に、固形分、すなわちパウダーとして添加されても、または溶融物として添加されてもよい。計量添加の別の方法は、添加剤または添加剤混合物のマスターバッチまたはマスターバッチ混合物を使用するものである。
【0104】
好適な添加剤はたとえば、「プラスチック用添加剤ハンドブック,ジョン・マーフィ(John Murphy),エルセビア(Elsevier),オックスフォード1999」、「プラスチック添加剤ハンドブック,ハンス・ザイフェル(Hans Zweifel),ハンサー(Hanser),ムニッヒ(Munich)2001」または国際特許第WO 99/55772号公報,ページ15−25に記載される。
【0105】
好適な熱安定剤は好ましくは、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィト(イルガフォス(Irgafos)168)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホニト、トリイソオクチルホスフェート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス(Irganox)1076、BASFから)、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト(ドベルホス(Doverphos)S−9228−PC)、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト(ADK STAB PEP−36)またはトリフェニルホスフィンである。これらは単独で、または混合物として使用される(たとえば、BASFからのイルガノックスB900、またはドベルホスS−9228−PCとイルガノックスB900、またはイルガノックス1076)。
【0106】
好適なUV安定剤は有機UV安定剤である。UV安定剤は好ましくは、ベンゾトリアゾール(たとえば、チヌビンズ(Tinuvins)、BASFから)、トリアジン(CGX−06、BASFから)、ベンゾフェノン(ウビナルス(Uvinuls)、BASFから)、シアノアクリレート(ウビナルス、BASFから)、けい皮酸エステルおよびオキサルアニリドおよびこれらのUV安定剤の混合物からなる群から選択される。
【0107】
好適なUV吸収剤の例は次のものである:
a)式(I)のマロン酸エステル:
【化15】

ここで、Rはアルキルを示す。好ましくはRはC1〜C6−アルキル、特にC1〜C4−アルキルおよび特に好ましくはエチルを表す。
【0108】
b)式(II)によるベンゾトリアゾール誘導体:
【化16】

式(II)で、Rを含有しXと同じまたは異なり、Hまたはアルキルまたはアルキルアリールを示す。
【0109】
チヌビン(登録商標)329(X=1,1,3,3−テトラメチルブチルおよびR=Hの場合)、チヌビン(登録商標)350(X=tert−ブチルおよびR=2−ブチルの場合)およびチヌビン(登録商標)234(XおよびR=1,1−ジメチル−1−フェニルの場合)がこの場合には好ましい。
【0110】
c)式(III)による二量性ベンゾトリアゾール誘導体:
【化17】

式(III)で、R1およびR2は同じまたは異なり、H、ハロゲン、C1〜C10−アルキル、C5〜C10−シクロアルキル、C7〜C13−アラルキル、C6〜C14−アリール、−OR5または−(CO)−O−R5(ここでR5=HまたはC1〜C4−アルキル)を示す。
【0111】
式(III)で、R3およびR4は同様に、同じまたは異なり、H、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、ベンジル、C6〜C14−アリールを示す。
【0112】
式(III)で、mは1、2または3を示し、nは1、2、3または4を示す。
【0113】
チヌビン(登録商標)360(R1=R3=R4=H;n=4;R2=1,1,3,3−テトラメチルブチル;m=1の場合)がこの場合には好ましい。
【0114】
d)式(IV)による二量性ベンゾトリアゾール誘導体:
【化18】

ここで、「bridge」は
【化19】

を示し、
、R、mおよびnは式(III)について記載した意味を有し、pは0〜3の整数であり、qは1〜10の整数であり、Yは−CH2−CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、または−CH(CH3)−CH2−istであり、R3およびR4は、式(III)について記載した意味を有する。
【0115】
チヌビン(登録商標)840(R1=H;n=4;R2=tert−ブチル;m=1;R2はOH基に対してオルト位置に取り付けられる;R3=R4=H;p=2;Y=−(CH2)5−;q=1の場合)がこの場合には好ましい。
【0116】
e)式(V)によるトリアジン誘導体:
【化20】

ここで、R1、R2、R3、R4は同じまたは異なり、H、アルキル、アリール、CNまたはハロゲンであり、Xはアルキル、好ましくはイソオクチルである。
【0117】
チヌビン(登録商標)1577(R1=R2=R3=R4=H;X=ヘキシルの場合)およびシアブソーブ(Cyasorb)(登録商標)UV−1 164(R1=R2=R3=R4=メチル;X=オクチルの場合)がこの場合には好ましい。
【0118】
f)次の式(Va)のトリアジン誘導体:
【化21】

ここで、R1はC1−アルキル〜C17−アルキルを示し、R2はHまたはC1−アルキル〜C4−アルキルを示し、nは0〜20である。
【0119】
g)式(VI)の二量性トリアジン誘導体:
【化22】

ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は同じまたは異なってもよく、H、アルキル、CNまたはハロゲンを示し、Xはアルキリデン、好ましくはメチリデンまたは−(CH2CH2−O−)n−C(=O)−であり、nは1〜10、好ましくは1〜5、特に1〜3を表す。
【0120】
h)式(VII)のジアリールシアノアクリレート:
【化23】

ここで、R〜R40は同じまたは異なってもよく、H、アルキル、CNまたはハロゲンを示す。
【0121】
ウビナル(Uvinul)(登録商標)3030(R1〜R40=Hの場合)がこの場合には好ましい。
【0122】
本発明による成形材料用に特に好ましいUV安定剤は、ベンゾトリアゾール(b)および二量性ベンゾトリアゾール(cおよびd)、マロン酸エステル(a)およびシアノアクリレート(h)およびこれらの化合物の混合物からなる群からの化合物である。
【0123】
UV安定剤は、成形材料に基づいて、0.01重量%〜15.00重量%の量で、好ましくは全組成物に基づいて、0.05重量%〜1.00重量%の量で、特に好ましくは0.08重量%〜0.5重量%の量でおよび非常に特に好ましくは0.1重量%〜0.4重量%の量で使用される。
【0124】
本発明による組成物に任意に添加される剥離剤は、好ましくはペンタエリスリチルテトラステアレート、グリセリルモノステアレート、ステアリルステアレートおよびプロパンジオールステアレート、およびその混合物からなる群から選択される。モールド取り外し剤は、成形材料に基づいて、0.05重量%〜2.00重量%の量で、好ましくは全組成物に基づいて、0.1重量%〜1.0重量%の量で、特に好ましくは0.15重量%〜0.60重量%の量でおよび非常に特に好ましくは0.2重量%〜0.5重量%の量で使用される。
【0125】
さらに、着色剤、たとえば、有機染料または顔料または無機顔料、カーボンブラック、IR吸収剤を、個別に、混合物として、または安定剤、ガラスファイバ、(中空)ガラス球、無機充填剤および有機または無機散乱顔料と組み合わせて添加してもよい。
【0126】
本発明はまた、成形材料の調製方法、および成形物を製造するための成形材料の使用に関する。
【0127】
本発明による成形材料を、いずれの種類の成形物の製造に使用してもよい。これらはたとえば、射出成形、押出し成形およびブロー成形法によって製造されてもよい。さらなる処理形態は、事前に製造されたシートまたはフィルムから熱形成によって成形物を製造するものである。
【0128】
本発明による(コ)ポリカーボネートおよび(コ)ポリカーボネート組成物を、常套的方法で常套的装置、たとえば、押出し成形機または射出成形装置で処理して、いずれの所望の成形物または成形物品を得てもよく、またはフィルムおよびフィルムラミネートまたはシートまたはボトルを得てもよい。
【0129】
個々の構成要素の化合は、公知の方法で連続的に行われても、または同時に行われてもよい。
【0130】
そして、得られる(コ)ポリカーボネートを、押出し物(たとえば、カード用途用または、LCDおよびテレビのようなディスプレイのためのフィルム基材用のシート、フィルムおよびそのラミネート)および成形物(ボトル)、特に透明な分野、特に光学的用途の分野で使用されるもの、たとえば、シート、マルチ−スキンシート、窓ガラス、拡散スクリーンまたはレンズ、ランプカバー、プラスチックレンズ、導波管部品およびLED用途の製造に使用してもよい。さらに、これらをE/EおよびIT分野用物品の製造に使用してもよい。
【0131】
さらに、本発明は、本発明による基材材料と、好ましくは20〜500nmの厚さの、特に好ましくは40〜300nmの厚さの金属層、好ましくはアルミニウム層とから成る射出成形本体に関する。
【0132】
金属層を熱可塑性プラスチックに、たとえば、電着成膜(ECD)、物理蒸着(PVD)または化学蒸着(CVD)またはこれらの方法の好適な組み合わせの助けを得て塗布する。ポリマー材料の金属被覆法は文献で公知である。
【0133】
特定の実施の形態では、たとえば、侵食保護用の保護層をも金属層に塗布する。侵食低減保護層をPECVD(プラズマ助長型化学蒸着)またはプラズマ重合法で塗布してもよい。ここで、主にシロキサンに基づく低沸点前駆体をプラズマ中で気化し活性化して、これによって前駆体はフィルムを形成することができるようになる。ここでの、典型的な物質は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルジシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびトリメトキシメチルシランである。HMDSOが特に好ましい。
【0134】
さらなる特定の実施の形態では、基材には、金属被覆前に、好適な前処理、たとえば、プラズマ前処理が、基材表面を活性化または洗浄する目的で施されてもよい。
【0135】
この(コ)ポリカーボネート組成物は、化合物、混合物および特に、その光学的、熱的および機械的特性を用いる部品、たとえば、ハウジング、E/E分野の物品、たとえば、プラグ、スイッチ、ボード、ランプホルダ、ランプカバー、自動車分野、たとえば、ランプベゼルおよびランプカバー、窓ガラス、レンズ、コリメータ、発光ダイオードまたはディスプレイおよび他の用途用拡散シートを製造するために、使用される。
【0136】
本発明によるポリカーボネートおよびコポリカーボネートを、任意に他の熱可塑性プラスチック、たとえば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンに基づくグラフトポリマーまたはアクリレートゴムに基づくグラフトコポリマー(たとえば、欧州特許公開第EP−A640 655号公報に記載されるグラフトポリマー参照)および/または常套的添加剤との混合物として処理して、いずれの所望の成形物/押出し物を得てもよく、公知のポリカーボネート、ポリエステルカーボネートおよびポリエステルがすでに使用されているところなら何処で使用されてもよい。本発明によるポリカーボネートの可能なさらなる用途は:
1.建物、自動車および飛行機の多くの領域で必要とされることが公知の安全パン、およびヘルメットの識別プレートとして
2.フィルムおよびフィルムラミネートの製品
3.自動車のヘッドランプ、ベゼル、インジケータ、リフレクタ
4.照明目的でガラスファイバ内容物を有する半透明プラスチックとして、硫酸バリウム、二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム内容物を有する半透明プラスチック
5.精密射出成形部品、たとえば、レンズ、コリメータ、レンズホルダ、導波管部品およびLED用途の製造用
6.導電体用およびプラグハウジングおよびコネクタ用電気絶縁性材料として
7.電気装置用ハウジング
8.安全ゴーグル、バイザー
9.押出し成形物、たとえば、シートおよびフィルム
10.LED用途(ベース、リフレクタ、加熱シンク)。
【0137】
また本願は、本発明によるポリマーを含有する成形物、または成形物品および押出し物に関する。
【0138】
以下の実施例は、本発明をさらに、説明する役割を果たす。
【0139】
上記参照文献は全て、全ての有用な目的のためにその全体を参照して挿入する。
【0140】
本発明を具現化するある特定の構造が示され記載されるが、当業者には、その一部の各種変更および再編成を、基本的発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく行うことができ、ここで示され記載される特定の形態に限定されないことは明らかである。
【実施例】
【0141】
コポリカーボネートを、ビカー温度および相対溶液粘度ηrelで特徴付けた。さらに、コポリマーをその線形熱膨張率に関して調べた。
【0142】
(ビカー温度および相対溶液粘度の決定)
ビカー温度VST B50を、DIN ISO 306,方法Bに従って、50K/hの熱負荷で決定した。相対溶液粘度を、溶媒として塩化メチレン中で、0.5g/lの濃度で、25℃の温度でウッベローデ(Ubbelohde)粘度計(DIN 51562)を用いて決定した。
【0143】
(線形熱膨張率の決定)
線形熱膨張率はメトラー(Mettler)TMA 841測定装置によって、窒素下で(測定範囲23〜55℃)決定した。ASTM E 831を標準使用した。ペレットを130℃で一晩乾燥させた後、測定に必要な試験片(80×10×4mmの平坦なバー)を、射出成形によって製造した。各場合、測定は、試験片の横断および長手方向について行った。
【0144】
(実施例1)
本発明によるモノマー構造ブロックの合成を図1に従って行った。
【0145】
2kg(20.2mol)のN−メチルピロリドン(NMP)と1273.3g(4mol)のフェノールフタレインの溶液を平坦なすり合わせを有する反応器に導入した。攪拌しながら、2リットルの水と、次いで18molの40%濃度のメチルアミン水溶液を添加した。メチルアミンの添加時に、反応溶液は紫色に変色した。ドライアイスクーラを用いながら、次に攪拌を8時間82℃で続けた。反応バッチの色が暗黄色に変化した。反応終了後、反応バッチを、漏斗を用いて、攪拌しながら塩酸を含有する水の入った容器に滴下することによって沈殿させた。
【0146】
沈殿した白色の反応生成物を2リットルの水で懸濁させ、次にG3フリットを用いて吸引濾過した。得られた未精製生成物を再度、3.5リットルの希水酸化ナトリウム溶液(16mol)中に溶解し、再度塩酸を含有する水の入った容器内で沈殿させた。再沈殿した未精製生成物を数回、2リットルの水で懸濁させ、次に毎回吸引濾過した。この洗浄手順を、洗浄水の導電率が15μS以下になるまで繰り返した。
【0147】
そして、得られた生成物を、真空乾燥キャビネット中で、90℃で一定量まで乾燥した。
【0148】
4回、実験を行った後に、各場合、次の収率を得た:
Ia)950gの白色固形分
Ib)890gの白色固形分
Ic)1120gの白色固形分
Id)1050gの白色固形分。
生成物の融点を264℃と決定した。
【0149】
得られたビスフェノールの特徴付けをH−NMRスペクトルで行った。
【0150】
(実施例2)
(本発明によるコポリカーボネートの合成)
11.79リットルの塩化メチレンと14.1リットルのクロロベンゼンを、窒素で不活性化した、532.01g(1.6055mol)のビスフェノールA(BPA)、実施例1からの2601.36g(11.39mol)のビスフェノール、鎖重合停止剤として93.74g(0.624mol、ジフェノールに基づいて4.8mol%)のp−tert.−ブチルフェノール(BUP)および1196g(29.9 mol)の水酸化ナトリウムを含有する25.9リットルの水における溶液に添加した。12.5〜13.5のpHおよび20℃で、2.057kg(20.8mol)のホスゲンを投入した。pHが12.5以下に低下するのを防ぐために、30%濃度の水酸化ナトリウム溶液をホスゲン化時に添加した。ホスゲン化および窒素でのフラッシングの終了後、攪拌を30分間行い、14.7g(0.13mol、ジフェノールに基づいて1mol%)のN−エチルピペリジンを次に、触媒として添加し、攪拌を1時間続けた。セパレータを用いた水相の除去とリン酸での酸性化の後、有機相を塩を含まない水で数回洗浄した。有機相を分離して取り出し、塩化メチレンをクロロベンゼンで置き換える溶媒交換を施した。次に、クロロベンゼンにおける濃縮コポリカーボネート溶液から、通気型押出し成形機の助けを得て、溶媒を除去した。得られたポリカーボネート溶融押出し物を水浴で冷却し、排水して最終的にペレット化した。
【0151】
透明なポリカーボネートペレットを得た(分析については表1参照)。
【0152】
(実施例3〜5)
(本発明によるコポリカーボネートのさらなる合成例)
実施例3〜5のコポリカーボネートを実施例2と同様に調製した(結果については表1参照)。
【0153】
【表1】

【0154】
Apec(登録商標)試料(バイエル・マテリアルサイエンス(Bayer MaterialScience)AG,ドイツ)は、表2に示されるビカー温度を有し、比較例として使用した。これらは高温用途でのポリカーボネートに最も近い先行技術を表したものである。
【0155】
【表2】

【0156】
比較例6〜9に比べて、実施例2〜5からの本発明によるコポリカーボネートは、比較可能なビカー温度で、著しく低い熱膨張率値を有する。このことは当業者には想到されないものであった。特に、実施例5からのコポリカーボネートは228.2℃のビカー温度を有し、熱安定性および膨張率の低減に関する限り、リフレクタ材料に関しての全ての必要要求に応じている。
【0157】
(熱および機械特性)
流動性を、溶融体積流量(MVR)を介して、ISO1133に従って決定した。
【0158】
機械特性を、ISO 527−1、−2に従って引張応力、湾曲時の応力、湾曲時のひずみおよび破断時の名目上の伸びを、ISO179−1 eUに従ってシャルピー衝撃強さを、およびISO179−1 eAに従ってシャルピー切欠き衝撃強さを介して、決定した。
【0159】
熱特性を、ISO75−1、−2に従って熱偏差温度HDT(AおよびB)を、ISO306に従ってビカー軟化温度を介して、決定した。
【0160】
表3は、同様のビカー温度を有する比較例と比べた、本発明によるコポリカーボネートの全ての熱および機械特性の全体的概要を示す。実施例2〜5からの本発明による材料の機械特性は、比較例1〜4に比べて劣化を示さないことが分かる。そして、上記表2で示されるように、これらは線形熱膨張率が低いといった利益を有する。
【0161】
さらに、本発明による試料は、同じビカー温度を有する本発明に従わない試料に比べて(実施例2と6または3と7参照)、より良好な流動性を示す。
【0162】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

【請求項2】
式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化2】

フェノールフタレインとメチルアミン水溶液とをN−メチルピロリドンの存在中で反応させることを包含する方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物を、塩酸を含有する水溶液中で沈殿させ、次いで前記式(I)の化合物を水酸化ナトリウム溶液中に溶解することによって単離精製することを、さらに包含する請求項2の方法。
【請求項4】
式(Ia)のビスフェノール
【化3】

を(コ)ポリカーボネート中の繰り返しモノマーユニットとして含有する前記(コ)ポリカーボネート。
【請求項5】
使用されるジフェノールの量に基づいて、95mol%までの、式(II)のジフェノール
【化4】

(ここで、
およびRは互いに独立して、水素、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルコキシ、ハロゲンおよび任意に置換されたアリールまたはアラルキルであり、
Xは、単結合、−SO−、−CO−、−O−、−S−、C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデンまたはC〜C−シクロアルキリデンであり、ここで前記C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデンおよびC〜C−シクロアルキリデンは任意にC〜C−アルキルで置換され、またはC〜C12−アリーレンであり、これはヘテロ原子を含有するさらなる芳香族環と任意に縮合する)および/または
式(IVa)および(IVb)のジフェノールの単量体混合物である式(IV)のジフェノール






























【化5】

(ここで、
は互いに独立して、水素またはC〜C10−アルキルであり、
は、C〜C10−アルキルまたは任意に置換されたフェニルまたはベンジルである)から選択される1以上のジフェノールに基づく繰り返しモノマーユニットをさらに含有する請求項4の(コ)ポリカーボネート。
【請求項6】
各場合、使用されるジフェノールの量に基づいて、20〜100mol%の式(I)のジフェノールに基づく繰り返しモノマーユニットと、80〜0mol%の式(II)および/または(IV)のジフェノールに基づく繰り返しモノマーユニットとを含有する請求項5の(コ)ポリカーボネート。
【請求項7】
前記式(II)のジフェノールが、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニール、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、およびビスフェノールTMCから成る群から選択される請求項6の(コ)ポリカーボネート。
【請求項8】
前記(コ)ポリカーボネートはさらに、熱安定剤、モールド取り外し剤、UV吸収剤および充填剤から成る群から選択される1以上の添加剤を含有する請求項4の(コ)ポリカーボネート。
【請求項9】
1以上の請求項4の(コ)ポリカーボネートと1以上の熱可塑性ポリマーを含有する混合物。
【請求項10】
請求項4の(コ)ポリカーボネートから得られる成形物品。
【請求項11】
前記成形物品が射出成形または押出し成形法を介して製造される請求項10の成形物品。
【請求項12】
基材層が、少なくとも一方側にさらなる層を備えて成る多層製品であって、前記基材層は請求項4のポリカーボネートを含有する多層製品。
【請求項13】
前記基材層上の前記さらなる層は金属層である請求項12の多層製品。
【請求項14】
さらに、前記金属層に保護層が塗布されてなる請求項13の多層製品。
【請求項15】
PECVDまたはプラズマ重合法で前記保護層を塗布する工程を包含する、請求項14の多層製品製造方法。
【請求項16】
ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルジシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、およびトリメトキシメチルシランから成る群から選択される1以上の容易に揮発する成分から、PECVDまたはプラズマ重合法で前記保護層を塗布する工程を包含する、請求項15の方法。
【請求項17】
界面法または溶融エステル交換法において、ビスフェノールとして式(I)の化合物を用いる工程を包含する、請求項4の(コ)ポリカーボネート調製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−137156(P2011−137156A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−284647(P2010−284647)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】