説明

熱アシスト磁気ヘッドの検査装置及び検査方法

【課題】光導波路が形成された磁気ヘッド部に、半導体レーザを保持するサブマウントが固定された熱アシスト磁気ヘッドの不良品判別を簡易に行う。
【解決手段】半導体レーザの発光時間を変えながら駆動した状態で、スペクトラムアナライザを用いて波長モニタを行い、測定波長から推測される半導体レーザの内部温度が予め設定した温度範囲外となったとき、ジンバルアセンブリを不良品と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録装置に搭載される熱アシスト磁気ヘッドの検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1Tb/in2以上の記録密度を実現する記録方式として、熱アシスト磁気記録方式が提案されている(非特許文献1)。従来の磁気記録では、記録密度が1Tb/in2以上になると、熱揺らぎによる記録情報の消失が問題となる。これを防ぐには、磁気記録媒体の保磁力を上げる必要があるが、記録ヘッドから発生させることができる磁界の大きさには限りがあるため、保磁力を上げすぎると媒体に記録ビットを形成することが不可能となる。この問題を解決するために、熱アシスト磁気記録方式では、記録の瞬間、磁気記録媒体を光で加熱し保磁力を低下させる。これにより、高保磁力媒体への記録が可能となり、1Tb/in2以上の記録密度が実現可能となる。
【0003】
この熱アシスト磁気記録において、照射する光のスポット径は、記録ビットと同程度の大きさ(数10nm)にする必要がある。なぜなら、光スポット径がそれよりも大きいと、隣接トラックの情報を消去してしまうからである。このような微小な領域を加熱するためには、近接場光を用いる。近接場光は、光波長以下の微小物体近傍に存在する局在した電磁場(波数が虚数成分を持つ光)であり、径が光波長以下の微小開口や金属の散乱体を用いて発生させる。例えば、高効率な近接場光発生素子として三角形の形状をした金属散乱体を用いることが提案されている(非特許文献2)。金属散乱体に光を入射すると、金属散乱体中にプラズモン共鳴が励起され、三角形の頂点に強い近接場光が発生する。この近接場光発生素子を用いることにより、光を数10nm以下の領域に高効率に集めることが可能になる。
【0004】
このような熱アシスト磁気ヘッドとして、特許文献1には、電磁コイル素子に対して磁気ヘッドの積層方向に近接した位置に光導波路が設けられた磁気ヘッド部を有するスライダと、このスライダとは別の光源支持基板に光源が設けられた光源ユニットとを備える熱アシスト磁気ヘッドが開示されている。この構成においては、光源の出射光を光導波路内に導入し、媒体対向面内にある光導波路の光出射面から出射させて、磁気記録媒体を局所的に加熱することができる。
【0005】
更に、特許文献2では、熱アシスト磁気記録ヘッドに温度センサを備えて、記録前にヘッドの温度を調べることで、安定した記録を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−185548号公報
【特許文献2】特開2009−43377号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Jpn. J. Appl. Phys. 38, Part 1, p.1839 (1999)
【非特許文献2】Technical Digest of 6th international conference on near field optics and related techniques, Netherlands, Aug. 27-31, 2000, p.55
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
熱アシストにて安定した記録を実現するためには、媒体上の近接場光の強度を一定にする必要がある。しかし、熱アシスト磁気記録ヘッドでは光源の温度等の外部環境変化による光学特性変化により近接場光素子への入射パワー変化が生じる可能性がある。代表的な光源として用いられる、半導体レーザ(LD)の出射パワーは温度に敏感であり、一般的な半導体レーザの動作保証温度は90℃程度であるため、多くのレーザドライバ(LDD:Laser Diode Driver)は半導体レーザの温調機構を設けている。一方で、熱アシスト磁気記録ヘッドは、周辺環境となるドライブ動作温度は約50℃と高く、温調機構を設けるスペースもない。また、熱アシスト記録を行うために半導体レーザを記録時に一定の駆動電流で動作させているため、半導体レーザの温度上昇が発生する。そのため、熱アシスト磁気記録ヘッドでは、半導体レーザでの発熱はスライダ浮上時に空気中へスライダを介して放出する設計とすることで、半導体レーザの温度が90℃を超えないようにする。つまり、熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリでは、半導体レーザ駆動時の温度が設計通りとなっているかを検査する必要がある。
【0009】
ここで、特許文献1に記載された熱アシスト磁気ヘッドを作製するには、光源ユニットを、スライダの媒体対向面と反対側の面(背面)に重ねた後に保持する必要がある。この場合、磁気ヘッド部を有するスライダと光源ユニットとをそれぞれ独立に試験した上で、良品であるスライダと光源ユニットを保持し、熱アシスト磁気ヘッドを歩留まり良く製造できる。しかしながら、スライダと光源ユニットを一体化した後の熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリにおいて、各素子を独立に試験したときと同様の結果が得られる保証がない。すなわち、特許文献1には、各素子間を接続した際に生じる電気特性の変化や、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリとして用いる際の光源ユニットの温度変化に伴う光学特性について評価するための具体的な記述がない。また、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ組立時に素子破損等のトラブルが起こったときの検査手段も不明である。
【0010】
一方で、特許文献2に記載された熱アシスト磁気ヘッドでは、温度センサを用いることで、スライダと光源ユニットを一体化した後の熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの記録時における光学特性を制御することができる。つまり、温度センサを用いることにより光学特性をモニタできるが、一つの熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリに対し、温度センサの実装、配線接続を行う必要がある。また、温度センサは設置個所の温度を計測するものであり、温度に敏感な光源ユニットの温度をモニタできるものではない。
【0011】
また、他分野の例として、半導体レーザ単体の温度特性評価方法について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、一般的な半導体レーザ単体の性能を示す指標として用いられるI−L特性(Injection-current Light output characteristics)の温度依存性を示している。I−L特性とは、半導体レーザに印加する順電流に対する、検出パワーの関係を示したものである。また、半導体レーザの温度は、ペルチェ・ヒータ素子が組み込まれた半導体レーザの設置ステージを用いて制御されている。
【0012】
図1から分かる様に、半導体レーザ温度の上昇により、同一パワーを得るために必要な電流が大きくなる、すなわちI−Lカーブが高電流側にシフトすることが分かる。特に90℃以上となる高温では、パワーの対電流線形性が失われ飽和を起こしていることから、熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリにおいては半導体レーザが高温になると所望のパワーが得られなくなる。このときレーザが発振してパワーが出始める電流、すなわち「閾値電流」も、半導体レーザ温度の上昇に伴って高電流側にシフトする。なお、この閾値電流上昇の主な原因は、「利得の減少」であると考えられている。温度上昇によりバンド注入されている電子/ホールが熱的に高いエネルギー分布となることから、発振に寄与する電子/ホールの数が実効的に減少する。この下がった利得を補うために、更にキャリア密度を上げる必要があるため閾値電流が上昇する。そこで図2に示すように、半導体レーザの「閾値電流」の温度依存性に注目し、下式に示すような特性温度T0を求めることで、半導体レーザの温度特性を評価することができる。
【0013】
th=k×exp(T/T0
【0014】
thは半導体レーザの閾値電流値、Tは半導体レーザ温度、kは比例係数であり、閾値電流Ithは温度Tとともに指数関数的に上昇していることが分かる。ここで、特性温度T0が大きな半導体レーザほど温度に対する影響が少ないため、温度特性に優れた半導体レーザとみなすことができる。しかし、熱アシスト磁気記録ヘッドは、前述したように周辺環境となるドライブ動作温度は約50℃と高く、温調機構を設けるスペースもない。また、半導体レーザでの発熱はスライダ浮上時に空気中へスライダを介して放出する設計となっているため、組立時の熱の逃げ場がほとんどない状態では半導体レーザに一定電流を流すと半導体レーザの温度が急激に上昇してしまう。また、熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリでは、半導体レーザとスライダを数μmと近接させて使用するため、スライダ表面からの反射光が半導体レーザに戻ることにより、半導体レーザの発光特性、例えば閾値電流や出力パワーが半導体レーザ単体のときと変化する可能性がある。そのため閾値電流の変化量は、半導体レーザとスライダの距離によって変わってしまうため、閾値電流変化量から温度上昇量を正確に見積もることは困難である。
【0015】
そこで本発明は、簡易な操作にて不良品を高精度に判別可能な熱アシスト磁気ヘッドの検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ検査装置は、光導波路が形成された磁気ヘッド部に、半導体レーザを保持するサブマウントが固定され、半導体レーザから発生されたレーザ光が磁気ヘッド部の光導波路に入射される熱アシスト磁気ヘッドを検査するものであり、半導体レーザの発振波長を測定するスペクトラムアナライザと、半導体レーザからの出射光をスペクトルアナライザに導くための光伝送手段と、スペクトラムアナライザにて取得した波長を元に半導体レーザの温度を算出する計算部とを有し、半導体レーザを発光時間割合を変えながら駆動し、計算部にて算出した半導体レーザの温度が予め設定した温度範囲外となったとき、不良品と判定する。
【0017】
半導体レーザの発光時間割合を変えることで、温調素子がなくても半導体レーザを駆動する際に生じるジュール発熱を用いて温度制御を行うことができ、検出に閾値電流を用いずに発振波長を用いることで、閾値電流変化の影響を除外した形で半導体レーザ温度が取得可能となる。
【0018】
光検出手段は、集光光学素子及び光ファイバであってもよい。好ましくは、スペクトラムアナライザは、回折格子及びアレイ型CCDセンサを用いた可動部のないツェルニ・ターナー型分光器を用いることにより、検査時の半導体レーザを短い時間のみ発光させても波長測定が可能となるため、検査により熱アシスト磁気ヘッドを破損させる可能性を低くできる。
【0019】
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッド検査方法は、光導波路が形成された磁気ヘッド部に、半導体レーザを保持するサブマウントが固定され、半導体レーザから発生されたレーザ光が磁気ヘッド部の光導波路に入射される熱アシスト磁気ヘッドを検査する方法であり、発光時間割合を変えながら半導体レーザを駆動し、出射光の波長を検出する第1のステップと、検出した出射光の波長をもとに半導体レーザの温度を推定する第2のステップと、第2のステップで推定した半導体レーザの温度が予め設定した温度範囲外となったとき、不良品と判定する第3のステップとを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡易な操作にて熱アシスト磁気ヘッドの不良品を高精度に判別することができる。
【0021】
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】半導体レーザにおけるI−L特性の温度依存性を示す図。
【図2】半導体レーザにおける閾値電流の温度依存性を示す図。
【図3】ハードディスク装置の構成例を示す概略図。
【図4】熱アシスト磁気記録ヘッドの構成例を示す斜視模式図。
【図5】熱アシスト磁気記録ヘッドの構成例を示す断面摸式図。
【図6】半導体レーザ対向面から見た、サブマウント付レーザの断面摸式図。
【図7】熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリ製造装置において組立時の構成例を示すブロック図。
【図8】熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリ製造装置においてレーザと第一の光検出手段の位置校正時における構成例を示す斜視摸式図。
【図9A】第1の処理の一工程で検出された光量分布を示す図。
【図9B】第1の処理の一工程で検出された光量分布を示す図。
【図9C】第1の処理の一工程で検出された光量分布を示す図。
【図10】熱アシスト磁気ヘッドの組立時における構成例を示す斜視摸式図。
【図11】第一の光検出手段を用いて取得した検出最大光量分布図。
【図12】熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの組立時における構成例を示す斜視摸式図。
【図13】熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリに用いるサスペンションの平面摸式図。
【図14】サスペンションに設けたレーザ搭載用穴部付近でのサブマウント付レーザとFPCの固定位置関係を示す模式図。
【図15】サブマウント付レーザのレーザ及びサブマウントとFPCの電極パッドの電気的接続位置関係を示す模式図。
【図16】熱アシスト磁気記録ヘッド検査時の構成例を示すブロック図。
【図17】熱アシスト磁気ヘッド検査時における構成例を示す斜視摸式図。
【図18】半導体レーザにおける発光波長の温度依存性を示す図。
【図19】複数の熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリの閾値電流値及び電気抵抗値の測定結果を示す図。
【図20】半導体レーザの発光時間の割合に対する内部温度の測定結果を示す図。
【図21】熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリ製造方法の第1の処理を示すフローチャート。
【図22】熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリ製造方法の第2の処理を示すフローチャート。
【図23】熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリ製造方法の第3から第6の処理までを示すフローチャート。
【図24】熱アシスト磁気記録ヘッド検査装置の構成を示すブロック図。
【図25】熱アシスト磁気記録ヘッド検査装置の概略図。
【図26】熱アシスト磁気記録ヘッド検査方法の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一要素又は同一機能を有する要素には同じ符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見やすさのため、それぞれ任意となっている。
【0024】
以下では、熱アシスト磁気ヘッドジンバルの製造方法及び検査方法について説明する。実施形態1には、検査機構を設けた熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ製造装置の例を示し、実施形態2には、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ検査装置の例を示す。
【0025】
[実施形態1:熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ製造装置]
[1]ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置の構成
まず、図3を参照して、ハードディスク装置の構成について説明する。半導体レーザ搭載スライダ1はサスペンション3に保持し、ボイスコイルモータ4からなるアクチュエータによって磁気ディスク2上の所望トラック位置に位置決めされる。ヘッド表面には浮上用パッドを形成し、磁気ディスク2の上を浮上量10nm以下で浮上させた。磁気ディスク2は、モータによって回転駆動されるスピンドル5に保持して回転される。半導体レーザの駆動ドライバは、回路基板の上に配置した。この回路基板には、磁気ヘッド用のドライバも搭載した。記録信号は、信号処理用LSI6で発生し、記録信号及び半導体レーザ用電源は、フレキシブルプリント回路(FPC)を通して半導体レーザ用ドライバに供給した。記録の瞬間、半導体レーザ搭載スライダ1中に設けたコイルを励磁して磁界を発生すると同時に、半導体レーザを発光させ、記録マークを形成した。磁気ディスク2上に記録されたデータは、半導体レーザ搭載スライダ1中に形成された磁気再生素子(GMR又はTMR素子)で再生した。再生信号の信号処理は信号処理回路により行った。
【0026】
ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)としては、サスペンション3の先端部に半導体レーザ搭載スライダ1となる熱アシスト磁気ヘッドが装着されている構成となっている。
【0027】
[2]熱アシスト磁気ヘッドの構成
続いて、図4〜図6を参照して、熱アシスト磁気ヘッドの構成について説明する。図4に示されるように、熱アシスト磁気ヘッドは、スライダ基板10及びデータ信号の書き込み及び読み出しを行う磁気ヘッド部9を有するスライダと、半導体レーザ7及び半導体レーザ7を保持するサブマウント8を有する光源ユニットを備える。スライダ基板10ないし磁気ヘッド部9とサブマウント8は、UV硬化型エポキシ樹脂やUV硬化型アクリル樹脂等の接着剤11によって固着される。
【0028】
[2.1]スライダ
スライダ基板10は、図5に示されるように、板状である。スライダ基板10の媒体対向面Sは、熱アシスト磁気記録ヘッドが適切な浮上量を得ることができるよう、所定形状に加工されている。スライダ基板10は、導電性のアルティック(Al23・TiC)等によって形成することができる。スライダの媒体対向面S近傍に、磁気ディスクの記録層部分を加熱するための近接場光を発生させる近接場光発生素子13を配置し、図示はされていないが、近接場光発生素子13の近傍に電磁変換素子が設けられている。電磁変換素子は、単磁極ヘッドからなる記録素子と、CPP/GMR型センサ素子からなる再生素子が積層されて構成されている。スライダの媒体対向面Sとは反対側の背面Fには、光発生・導入素子(光源)としてサブマウント8に固定された波長780nmの光を発する半導体レーザ7が接着剤硬化物11’を介してスライダに搭載されており、半導体レーザ7から出た光は光導波路12を通して近接場光発生素子13に照射される。光導波路12は、波長780nmの光に対してシングルモードになるように、長辺が500nm、短辺が300nm、屈折率が2.18のTa25のコアの周りを、屈折率1.5のSiO2でできたクラッドが覆っている構造である。この光導波路12では導波光のモード径は、ほぼ導波路コアのサイズと同じである。すなわち、導波される光のエネルギーは実質的にコア内に閉じ込められている。
【0029】
光導波路12は、読取ヘッド部と記録ヘッド部との間に配置されており、図5に示されるように、集積面と平行となるように媒体対向面Sから背面Fまで延在している。従って、光導波路12の媒体対向面S側の端面は媒体対向面Sに露出しており、背面F側の端面は半導体レーザ7のレーザ光出射面と正対している。なお、背面Fは、媒体対向面Sと略平行とされている。本実施形態では、光導波路12のコアの材料としてTa25(屈折率=2.18)、クラッドの材料としてSiO2(屈折率=1.5)を利用したが、コアの屈折率がクラッドの屈折率よりも大きければコア及びクラッドの材料は他の材料でもよく、例えばSiO2(屈折率=1.5)のクラッドに対して、コアをAl23(屈折率=1.6)、TiO2(屈折率=2.4)などにしてもよい。また、クラッドの材質を、屈折率がSiO2よりも小さなMgF2(屈折率=1.4)にしてもよい。また、コアの材質として、Geなど他の材料をドープしたSiO2を用いてもよい。
【0030】
近接場光発生素子13は二等辺三角柱の形状をした金(Au)でできており、底辺は100nm、斜辺は130nm、高さは200nmである。二等辺三角柱の頂点の部分は曲率半径約10nmの円弧状に加工されており、発生する近接場光のスポット直径は25nm程度となる。半導体レーザ7からの光が光導波路12に入射される際の結合効率を向上させるために、スポット径変換機構などをレーザダイオードユニット直下に形成しておくのがよい。光導波路12に結合された光の照射によって、近接場光発生素子13はプラズモン共鳴などの原理により、磁気ディスク表面に近接場光を発生させ、媒体表面の温度が上昇するが、本実施形態の近接場光発生素子13に照射される光のパワーが約10mWのとき、媒体磁性膜の局所温度は約200℃に上昇する。その際同時に、近接場光発生素子13の温度も150度程度上昇し、近接場光発生素子13の抵抗が熱散乱の影響で増大する。
【0031】
[2.2]光源ユニット
図6に示すように、光源ユニットは、サブマウント8の上に半導体レーザ7が固定された構造を有し、半導体レーザ7は略直方体の形状をしている。サブマウント8は、アルティック(Al23・TiC)等によって形成された導電体である。半導体レーザ7は、光情報記録媒体に用いられる多重量子井戸構造を持つ半導体レーザと同様のものを使用できる。これらの半導体レーザは、多層構造の劈開面の前後に、全反射による発振を励起するためのSiO2やAl23等からなる反射膜14が成膜されている。そして、一方の反射膜には活性層に対応する位置に開口が設けられており、反射膜14が成膜されている面のうち開口に対応する領域が、レーザ光が放射される発光点15となる。このような半導体レーザ7においては、膜厚方向に電圧が印加されることにより、発光点15からレーザ光が出射される。半導体レーザ7は、GaAlAs系等、他の半導体材料を用いた他の構成のものであってもよい。メタライズ層17は、半導体レーザ7をサブマウント8に物理的に固定すると共に半導体レーザの底面と電気的なコンタクトを形成する為に設けられており、AuSn等の半田材料を用いることができる。
【0032】
なお、半導体レーザ7は、劈開等の作業精度によりチップ化されサブマウント8上に実装されるため、断面観察したときに長方形ではなく、平行四辺形ないし、平行四辺形の角が丸まった形状となることが多い。そのため、半導体レーザ7の外形やエッジを基準として発光点15を探すのは困難である。そこで、アライメント時には、半導体レーザ7の発光点15を探すために、半導体レーザ7に形成された凹となるメサ構造16を基準として、設計パラメータであるメサ構造16と発光点15の相対位置を参照することで容易に発光点15を探すことができる。出射されるレーザ光の波長λは、例えば780nm〜850nm程度である。ただし、近接場光発生素子13の金属材料に応じた適切な励起波長が存在し、かつ光導波路の設計波長に留意しなければならない。例えば、本実施形態では光導波路の設計波長に合わせλ=780nmとしたが、この波長はAuを用いた近接場光発生素子13でも動作することを確認している。
【0033】
半導体レーザ7の大きさとしては、例えば、幅200μm〜350μm、長さ200μm〜400μm、厚み60μm〜200μm程度に設定することができる。ここで、半導体レーザ7の幅は、電流阻止層の対向端の間隔を下限として、例えば、100μm程度まで小さくすることができる。ただし、半導体レーザ7の長さは、電流密度と関係し、それほど小さくすることはできない。いずれにしても、半導体レーザ7に関しては、搭載の際のハンドリングを考慮して、相当の大きさが確保されることが好ましい。ただし、特に半導体レーザの長さはスライダ全体の厚みを決めるパラメータとなり、また、サブマウント以外の光源支持基板を用いない本実施形態において400μm以上に大きくすることは、スライダの浮上特性の観点から難しい。本実施形態では、幅200μm、長さ250μm、厚み100μmの半導体レーザ7を用いた。
【0034】
[3]熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの製造装置及び製造方法
続いて、図7〜図23を参照して、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの製造装置及び製造方法について説明する。まず、上述の構成を有する磁気ヘッド部を含むスライダと、上述の構成を有するサブマウントに固定された半導体レーザとを製造する。続いて、磁気ヘッド部と半導体レーザとの位置合わせを、下記の熱アシスト磁気ヘッドの製造装置を用いて、図21から図23に示したフローチャートに従って行う。
【0035】
図7のブロック図に示すように、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの製造装置は、サブマウントを保持する第1の保持部18にて、サブマウント8に固定された半導体レーザ7を保持する。スライダ10を保持する第2の保持部22は、第2の保持部22の角度及び位置を調整する微調整移動部21と微調整移動部制御装置を備えている。本装置では、微調整移動部を利用することで、磁気ヘッド部に形成された光導波路の位置を検出できる。
【0036】
また、本装置は、半導体レーザ7の光をモニタするための第1の光検出手段20を備えており、第1の光検出手段20の位置を調整する移動部19と移動部制御装置を備えている。本実施形態では、第1の光検出手段20としてCCD等の撮像素子を使用した。撮像素子を使用することで、半導体レーザ7の光スポット位置、光スポット形状を観察することが可能となり、観察結果を解析することで第1の光検出手段20と半導体レーザ7の相対位置、傾きを検出することが可能となる。
【0037】
これら、第1の光検出手段の信号を演算し、組み立てのために各移動部制御装置をコントロールするのが制御PCであり、制御PCには、第1から第3の計算部がソフトウェアとして組み込まれている。第1の計算部では、第1の保持部18に保持された半導体レーザ7のスポットを第1の光検出手段20で検出する。また、移動部19を用いて第1の光検出手段20を走査することで、半導体レーザ7を保持した第1の保持部18と第1の光検出手段20の相対位置を制御する。こうして、第1の光検出手段20にて取得した各々の輝度分布データを用いて、予め第1の保持部18と位置関係が校正された第1の光検出手段20と半導体レーザ7の相対位置及び相対傾き情報を算出する。第2の計算部では、微調整移動部21を用いてスライダを走査し、第1の光検出手段にて取得した各位置での輝度データを用いて半導体レーザ7に対する磁気ヘッド部に設けた光導波路12の位置情報を算出する。第3の計算部では、発光時間割合を変えながら半導体レーザを駆動し、スペクトラムアナライザを用いて測定された半導体レーザの発振波長を元に半導体レーザの温度を算出する。
【0038】
実施形態1では、上記熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの製造装置を用いて、下記第1から第3の処理にて、熱アシスト磁気ヘッドを製造した。また、引き続き第4の処理を行うことで熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリを製造し、第5及び第6の処理を行うことで熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの検査を行った。その製造方法を以下で詳しく述べる。
【0039】
[3.1]第1の処理
図21に示す第1の処理は、図8に示すように、第2の保持部22を退避させた状態で行われる。
【0040】
第1の保持部22に保持された半導体レーザ7に、移動部19を用いて第1の光検出手段20である撮像素子を近接させた(S11)。これは、制御PCから移動部制御装置に指示し、その指示に従って移動部制御装置が移動部19を駆動することによって実行される。続いて、制御PCは、レーザドライバを駆動し、半導体レーザ7を点灯する(S12)。それにより第1の光検出手段20は、半導体レーザ7の光スポットを検出し、第1の光検出手段20は検出した輝度分布データを制御PCに送信する(S13)。制御PCは、図9Aから図9Cに示す手順により、第1の計算部で、半導体レーザ7と第1の光検出手段20の相対位置、相対傾きを検出する(S14)。
【0041】
まず、図9Aに示すように、初期状態で半導体レーザ7を点灯したときの第1の光検出手段20上での光量分布を取得する。第1の光検出手段20上で、第1の光検出手段20の中心位置Cからずれた位置に、半導体レーザ7の光スポットSが観察される。装置校正により、初期状態での第1の光検出手段20と半導体レーザ7を保持する第1の保持部18の相対位置・傾きは管理されている。半導体レーザ7の光スポットSの形状は、原理上半導体レーザの反射層に平行な方向と垂直な方向とでビーム広がり角度が異なるため、第1の光検出手段20で観察されるスポット形状は楕円形状となっている。また、半導体レーザ7は、半導体レーザの外形寸法ばらつきにより第1の保持部18でのハンドリング状態が異なることを受け、通常、第1の光検出手段20の受光面に対し若干の傾きを持っている。そのため、半導体レーザ7の光スポットSの輝度分布は、輝度ピーク点を中心として点対称ではなく、傾斜をもった分布として観察される。この状態で制御PCの第1の計算部は、第1の光検出手段20の中心Cと半導体レーザ7の光スポットSの相対位置Δx,Δyを検出することができる。
【0042】
続いて、図9Bに示すように、半導体レーザ7の光スポットSが第1の光検出手段20の受光面中心に来るように移動部19を走査した。その上で、図9Cに示すように、第1の光検出手段20の受光面の傾きを移動部19を用いてΔθx、Δθyだけ動かすことで、半導体レーザ7の光スポットSの輝度分布を、輝度ピーク点を中心として点対称となるよう調整することができる。このとき、第1の光検出手段20の光受光面と半導体レーザ7の光スポットSの相対傾きは、−Δθx,−Δθyと検出することができる。
【0043】
[3.2]第2の処理
図22示す第2の処理は、図10に示すように、第1の処理のときと異なり第2の保持部22を挿入した状態で行われる。
【0044】
微調整移動部21を用いて第2の保持部22により保持されたスライダ(磁気ヘッド部)10を、第1の保持部18に固定された半導体レーザ7に近接させる(S21)。これは、制御PCから微調整移動部制御装置に指示し、その指示に従って微調整移動部制御装置が微調整移動部21を駆動して第2の保持部22を移動することによって実行される。続いて、制御PCは、レーザドライバを駆動し、半導体レーザ7を点灯させる(S22)。そして、第1の光検出器20にてスライダ透過後の出射光量を取得する。引き続き、微調整移動部21を用いて第2の保持部22に保持したスライダ10を移動させながら、第1の光検出器20で取得した輝度分布データを制御PCに送信する。制御PCは、取得した輝度分布データの最大輝度データと、微調整移動部21の位置情報を用いて図11に示すような検出最大光量分布を取得する(S23)。
【0045】
図11に示すように、検出最大光量分布では、半導体レーザの光量分布と略相似形となる領域が検出される。これは、スライダと半導体レーザの位置ずれが生じると、光導波路近傍ではスポット光量が低下するため、スライダ内に設けた光導波路にカップリングする光量も低下し、結果としてスライダを透過する最大光量も低下するためである。すなわち、図11に示すように検出最大光量分布が最も大きくなる位置を、スライダと半導体レーザの位置合わせができている位置として算出できる(S24)。制御PCは、算出された光導波路12の座標(x,y)の情報を、メモリに格納して保存する(S25)。
【0046】
[3.3]第3の処理
図23の一部に示す第3の処理は、図7に示す半導体レーザ・スライダ固定装置を用いて行われる。
【0047】
第1の処理、第2の処理により半導体レーザとスライダの相対傾き、位置が特定されると、図5に示したように、スライダ基板10の背面とサブマウント8の接着面に、硬化することによって接着剤11となるUV硬化型接着剤を塗布する(S31)。UV硬化型接着剤としては、UV硬化型エポキシ樹脂やUV硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。
【0048】
そして、微調整移動部を用いてスライダ10をサブマウント8に保持された半導体レーザ7に近接させる(S32)。その後、近接場光発生素子13に設けた温度検出素子にて光導波路12から近接場光発生素子13に入射する光量をモニタし、その検出光量が最大となるように、すなわち半導体レーザ7の発光点が光導波路12と重なるように、磁気ヘッド部と半導体レーザとの位置合わせの微調整を行い、その位置で、スライダ基板10の背面とサブマウントの接着面とを重ね合わせた(S33)。その後、外部からUV硬化型接着剤に紫外線を照射することによりUV硬化型接着剤を硬化させ、スライダ基板10とサブマウント8とを接着し、熱アシスト磁気ヘッドを作製した(S34)。
【0049】
[3.4]第4の処理
図23の一部に示す第4の処理は、第3の処理で作製した熱アシスト磁気ヘッドを図12に示すように、ロードビーム23を有するサスペンション24、ここでは図示しないFPCとアセンブリすることで行われる。サスペンション24は、第3の保持部26に保持されており、ばね性を持つサスペンション24の先端部のロードビーム23をクランプ27で抑えることにより、第4の処理を行う際のサスペンション24を固定することができる。
【0050】
図13に、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ用サスペンション24の平面摸式図を示す。サスペンション24は、ロードビーム23、サスペンション先端に固定されたスライダとハードディスク装置との電気的接続を行うFPC25、弾性を有するフレクシャ部28を備え、半導体レーザをスライダに固定する際に用いるレーザ搭載用穴部29が設けられている。レーザ搭載用穴部のスペースを利用して、図5に示したようにサブマウント7に積載された半導体レーザ8をスライダ10に対し倒立させた形態で固定を行う。
【0051】
図14に、図11に示したレーザ搭載用穴部29周辺の拡大図を示す。サブマウント8及び半導体レーザ7の各々は、FPC25上に設けた電極パッド30近傍に配置される。電極パッド30は、引出配線31にてハードディスク装置へ接続されている。そこで、図15に示す様に、サブマウント8及び半導体レーザ7を、導電性硬化物32を介して、FPC25上に設けた電極パッド30に接続した(S41)。
【0052】
[3.5]第5の処理・第6の処理
図23の一部に示す第5及び第6の処理は、図16のブロック図に示すように、半導体レーザ7の後方に光伝送手段33を近接させた状態で行われる。
【0053】
図17に示すように、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの製造装置は、検査時に第3の保持部26にて、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリを保持する。本装置では、図17に示すように、半導体レーザ7を、FPC25を介して外部電源を用いて駆動し(S51)、光伝送手段33を半導体レーザ7の後方に近付けることにより半導体レーザ7の出射光を取得し、スペクトルアナライザを用いることでその発振波長を計測した(S52)。本実施形態では、光伝送手段33として光ファイバ34を使用した。光ファイバ被覆部35を含めても直径1cm以下となる光ファイバ34を使用することで、半導体レーザ7に対し光伝送手段33を容易に後方から近接させ、半導体レーザ7の出射光の取得をスライダ基板10と反対側から行うことができるので、既存の製造装置への検査機構の追加が容易となる。また、スペクトラムアナライザは、回折格子及びアレイ型CCDセンサを用いた可動部のないツェルニ・ターナー型分光器を用いることにより、検査時の半導体レーザを短い時間のみ発光させるだけで波長測定が可能となるため、検査により熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリを破損させる可能性を低くできる。
【0054】
図18は、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの製造前に、半導体レーザの温度を変えながら、その発振波長をスペクトラムアナライザを用いて取得した結果を示す図である。半導体レーザの発振波長は温度に比例しており、その比例係数は0.377nm/℃であった。この比例係数は使用する半導体レーザの活性層の屈折率の温度係数と相関があり、本発明で使用するようなGaN系の半導体であれば0.2〜0.4nm/℃となることが知られている。すなわち、半導体レーザの発振波長を測定することにより、半導体レーザの活性層の温度を直接知ることができるため、従来例のように温度センサを用いてスライダ全体の温度を取得するときに比べ高精度な測定が可能となる。また、予め設定した温度範囲は、合格品となった熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの温度に対し+10℃とすることで、不良品の検出波長範囲が約5nm以上となるため、波長測定精度の低いツェルニ・ターナー型分光器を用いた検査が可能となる。
【0055】
なお、本実施例ではドライブ温度を50℃、半導体レーザの駆動上限温度を90℃とし、半導体レーザを熱アシスト磁気記録にて用いる際見込まれる温度上昇量を20℃と仮定した。このとき、LD以外のFPCや接着工程での電気特性のバラツキを考慮し「予め設定した温度範囲」を、<+10℃とした。もちろん、ドライブ温度を50℃より下げたり、駆動上限温度の高い半導体レーザを用いたりすることで、この「予め設定した温度範囲」を大きくすることも可能である。許容温度範囲Qとしては、10〜40℃の値が望ましい。上限となる40℃は、一般的な半導体レーザの上限動作保証温度である90℃程度と、熱アシスト磁気記録ヘッドが用いられるドライブ動作温度約50℃の差であり、これ以上の温度差が付く環境では半導体レーザの発光が生じない可能性が高い。一方で、下限となる10℃は、波長モニタで使用したスペクトラムアナライザの検出精度及び、使用半導体レーザの縦モード間隔より決定される。半導体レーザの縦モード間隔とは半導体レーザが発振できる波長間隔を示しており、半導体レーザの共振器長及び共振器材料の屈折率で決まる。例えば、本実施例で用いるレーザでは<1nmとなる。また、スペクトラムアナライザの検出精度は、検出に用いる回折格子の細かさと検出に用いるスリット幅、検出器の大きさで決定されるが、本実施例でおおよそ1〜2nmである。それゆえに、今回の検出系を用いて波長測定精度が保証できる範囲としては2nm以上が望ましく、許容温度範囲Qに換算すると10℃付近となる。
【0056】
本実施形態では、製造された熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ5品(内不良品が1品含まれている)に対し、図19に示すように半導体レーザの閾値電流値と半導体レーザを含む電気回路の抵抗値を測定した。半導体レーザの製造分野では、半導体レーザの不良解析を行う際に、不良品サンプルの閾値電流や抵抗値が正常品と比べ差異がないかを確認している。しかし、図19から分かるように、今回製造された熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ5品では、正常品・不良品にて大きな差異が確認できなかった。これは、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリで観察される抵抗値は、半導体レーザ単体の抵抗値だけでなく、半導体レーザ固定部(導電性接着剤)や、FPCの抵抗値を合わせたものとなるため、全体の抵抗値だけで不良品判別が困難である。また、半導体レーザの閾値電流に対しても、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリでは、半導体レーザがスライダに対し、数μmと近接して固定されるため、半導体レーザへの戻り光が発生し、半導体レーザ単体時と比べ閾値電流がシフトする。そのため、従来の半導体レーザ製造分野での不良品判別方法が使えないこととなる。
【0057】
そこで、本実施形態では、図20に示すように、検査用外部電源を用いて半導体レーザの発光時間を変更しながら波長測定を行った(S53)。図19での閾値電流・抵抗値は不良品・良品の区別が付かなかったが、図20に示す波長測定結果を見ると、不良品サンプルだけは、発光時間が長い、すなわちdutyが大きくなったときに正常品に比べ、波長が5nm〜10nm近く長くなっていることが分かった。図18に示したように、本実施形態で使用した半導体レーザの温度係数は0.377nm/℃と判明しているので、不良品サンプルの半導体レーザの内部温度は標準品(合格品)と比べ13.3〜26.5℃上昇していると推定される(S61)。
【0058】
また、熱アシスト磁気ヘッドでは、検査品に対し合格品を判別するために下式を満たす「予め設定した温度範囲Q」<+10℃を用いることで、装置内に格納したリファレンスデータと検査品で測定した波長を比較するだけで半導体レーザの不良品判別が可能であり、検査時に内部温度が高いサンプルを不良品として除外することができた(S62)。
【0059】
【数1】

Q:許容温度範囲
ΔT:検査品と合格品における半導体レーザの温度差
1:第1の発光時間割合(duty)
2:第2の発光時間割合(duty)
Δλrms:区間T1からT2までの合格品(リファレンス)半導体レーザ(LD)を基準としたときの検査品(HGA)のLDの波長シフト量の二乗平均平方根
λLD:検査品(HGA)のLDの発振波長
λref:合格品(リファレンス)LDの発振波長
α:半導体レーザ発振波長の温度係数(nm/deg)
【0060】
上式において、任意の第1の発光時間割合(duty)T1,第2の発光時間割合(duty)T2の組み合わせに対して、ΔT<Q/(T2-T1)を満たすとき合格とすることができる。λLD(t)は、検査品(HGA)のLDにおけるT2からに変えたときに測定される半導体レーザの発振波長である。一方で、λref(t)は、合格品(リファレンス)LDにおける第1の発光時間割合T1(duty)から第2の発光時間割合T2(duty)に変えたときに測定される半導体レーザの発振波長である。この両者の差の二乗平均平方根Δλrmsが、合格品に比べ検査品HGAのLD実装時にLD温度上昇分の区間平均波長シフト量を示しており、半導体レーザの温度係数αを乗じることで検査品と合格品における半導体レーザの温度差ΔTを見積もることが可能となる。
【0061】
1及びT2の値は0〜1の任意の値を取ることができるが、精度高い検査を実現するためにはT1とT2の差を大きくした方が良い。しかし、T1及びT2を大きくすると、実際のハードディスク装置と異なりHGAが媒体上で浮上していない検査状態では、LDの温度が大きくなりすぎて、正常品でもLD発光自体ができなくなる程LDの温度上昇が生じる。そのため、T1は0.05程度とできるだけ0に近くし、T2は0.3程度に抑えた方が好ましい。
【0062】
[4]作用
続いて、本実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッドの作用について説明する。
書き込み又は読み出し動作時には、熱アシスト磁気ヘッドは、回転する磁気ディスクの表面上において流体力学的に所定の浮上量をもって浮上する。この際、読取ヘッド部及び記録ヘッド部の媒体対向面S側の端が磁気ディスクと微小なスペーシングを介して対向することによって、データ信号磁界の感受による読み出しと、データ信号磁界の印加による書き込みとが行われる。ここで、図5に示すように、データ信号の書き込みの際、半導体レーザ7から光導波路12を通って伝播してきたレーザ光が近接場光発生素子13に到達し、近接場光発生素子13から近接場光が発生する。この近接場光によって、熱アシスト磁気記録を行うことが可能となる。そして、熱アシスト磁気記録方式を採用することにより、高保磁力の磁気ディスクに垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを用いて書き込みを行い、記録ビットを極微細化することによって、例えば、1Tb/in2級の記録密度を達成することが可能となる。
【0063】
以上、本発明を熱アシスト磁気記録ヘッドに適用した実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した態様に限定されるものではない。例えば、本実施形態では近接場光発生素子13が三角形状をしていたが、凹形状や、台形状としてもよく、また、三角形状又は台形状の板を、その頂点同士又は短辺同士が所定距離離間して対向するように一対配置した、ボウタイ型と呼ばれる構造でもよい。また、近接場光発生素子13は、レーザ光の波長よりも小さい開口とすることもできる。本実施形態では電磁変換素子は、単磁極ヘッドからなる記録素子と、CPP/GMR型センサ素子からなる再生素子が積層された構成とした。しかし、記録素子は、様々な構造とすることができる。1層の薄膜コイル、あるいは2層以上の薄膜コイルを設けてもよく、更には、ヘリカルコイルとしてもよい。同様に、再生センサは、磁気抵抗変化率の高い巨大磁気抵抗効果を利用したGMR(Giant Magneto Resistive)素子、異方性磁気抵抗効果を利用したAMR(Anisotropy Magneto Resistive)素子、トンネル接合で生じる磁気抵抗効果を利用したTMR(Tunnel Magneto Resistive)素子、CPP(Current Perpendicular to Plane)−GMR素子等を利用してもよい。また、光を利用して再生してもよい。記録ビットからの戻り光の偏光の回転を検出することで、記録ビットの磁化の向きが検出可能である。本実施形態で用いた半導体レーザの駆動ドライバ、磁気ヘッドドライバは、信号処理用LSIと共にICチップ化しサスペンションの途中に装着してもよい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の係る熱アシスト磁気ヘッドジンバル製造装置は、熱アシスト磁気ヘッドジンバルの製造と共に検査を行う装置である。このうち、検査に関する装置構成及び機能は、以下に説明する実施形態2にも適用可能である。
【0065】
本実施形態の係る熱アシスト磁気ヘッドジンバル製造装置は、サブマウントを保持する第1の保持部と、磁気ヘッド部を保持する第2の保持部と、第2の保持部の位置及び角度を調整可能な微調整移動部と、半導体レーザからの光をモニタするための第1の光検出手段と、第1の光検出手段の位置及び角度を調整可能な移動部と、第1の光検出手段の位置及び角度を移動部によって調整して取得した輝度分布データを用いて光検出手段と半導体レーザの相対位置及び相対傾き情報を算出する第1の計算部と、第1の保持部によって保持された半導体レーザを駆動しながら第2の保持部に保持した磁気ヘッド部を微調整移動部によって移動し、光検出手段で取得した輝度分布データを用いて、半導体レーザに対する磁気ヘッド部に設けた光導波路の位置を算出する第2の計算部と、磁気ヘッド部と半導体レーザを固定するための半導体レーザ・スライダ固定装置と、半導体レーザの出射光を取得するための第2の光検出手段と、第2の光検出手段により取得した光の波長を測定するスペクトラムアナライザと、スペクトラムアナライザにて取得した光の波長を元に不良品を判別する第3の計算部を有し、第1の計算部で得られた情報及び第2の計算部で得られた情報を用いて半導体レーザの発光点が光導波路の延長軸と一致するように磁気ヘッド部を微調整移動部にて移動させた後、半導体レーザ・スライダ固定装置により熱アシスト磁気ヘッドを組み立て、熱アシスト磁気ヘッドとサスペンション、FPC基板をアセンブリした後、FPC基板を前記半導体レーザの発光時間を変えながら駆動させ、第3の計算部にて熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリの不良品を選別することができる。
【0066】
第1の光検出手段は、撮像素子とすることで、磁気ヘッド部に設けた光導波路と半導体レーザの位置合わせを容易に行うことができる。第2の光検出手段を光ファイバすることで、半導体レーザの出射光の取得をスライダと反対側から行うことができるので、既存の製造装置への検査機構追加が容易となる。スペクトラムアナライザは、回折格子及びアレイ型CCDセンサを用いた可動部のないツェルニ・ターナー型分光器を用いることにより、検査時の半導体レーザを短い時間のみ発光させても波長測定が可能となるため、検査により熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリを破損させる可能性を低くできる。
【0067】
また、本実施形態の熱アシスト磁気ヘッド製造方法は、熱アシスト磁気ヘッドジンバルの製造と共に検査を行う方法である。このうち、検査に関する部分は、以下に説明する実施形態2にも適用可能である。
【0068】
本実施形態の熱アシスト磁気ヘッド製造方法は、半導体レーザが固定されたサブマウントを第1の保持部で保持し、第1の保持部に設けられた半導体レーザを駆動し、第1の光検出手段で検出した輝度分布データをもとに光検出手段と半導体レーザの相対位置及び相対傾きを算出する第1のステップと、半導体レーザを駆動し、半導体レーザの下方で第2の保持部に保持された磁気ヘッド部を2次元移動しながら半導体レーザの出力を第1の光検出手段でモニタすることにより磁気ヘッド部に設けられた光導波路の位置を算出する第2のステップと、その状態で磁気ヘッド部にサブマウントを接着して固定し熱アシスト磁気ヘッドを製造する第3のステップと、その状態で熱アシスト磁気ヘッドとサスペンション、FPC基板をアセンブリし、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリを製造する第4のステップと、FPC基板を介して半導体レーザを駆動させ、スペクトラムアナライザを用いて第2の光検出手段で検出した半導体レーザの出射光の波長をもとに予め取得した合格品である半導体レーザの発振波長の温度依存性データを格納した情報を参照することで検査品と合格品における半導体レーザの温度差を推定する第5のステップと、第5のステップで求めた検査品と合格品における半導体レーザの温度差が予め設定した温度範囲外となったとき、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリを不良品と選別する第6のステップとを有する。
【0069】
[実施形態2:熱アシスト磁気ヘッド検査装置]
実施形態2では、図24から図26を用いて熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ検査装置の例を示す。検査装置では実施形態1のような組立機構は必要としないため、装置駆動部の数を削減することができる。また、光伝送手段について、実施形態1の光ファイバに加え、集光光学素子(レンズ)を用いることで、半導体レーザの後方へ光ファイバをミクロン単位で近づける必要がなくなるため、熱アシスト磁気ヘッドの検査が簡易に行うことができ、かつ安価な検査装置を提供できる。
【0070】
図24及び図25を参照して、熱アシスト磁気ヘッド検査装置の構成例について説明する。図24にブロックを示し、図25に概略図を示すように、本実施例の熱アシスト磁気ヘッド検査装置は、光ファイバ34、光ファイバ被覆部35、及び集光光学素子(レンズ)38を有する光伝送手段37と、光伝送手段37を走査する微調整移動部21を備える。また、熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリを保持するヘッドジンバル保持部36を備えるが、組立動作が必要ないので、実施形態1とは異なりその他の移動部が必要ない構成となっている。熱アシスト磁気ヘッドジンバルアセンブリ、すなわちサブマウント付きレーザ7、スライダ基板10、接着剤硬化物11’、ロードビーム23、サスペンション24、クランプ27は、実施形態1と構成上違いがないので説明を省略する。もちろん、実施形態1の構成物と同様のものであってもよいし、サイズ等が異なるものであってもよい。
【0071】
続いて、図26を参照して、実施形態2における熱アシスト磁気ヘッドの検査装置及び検査方法について説明する。実施形態1と共通の部分については説明を省略する。
【0072】
まず、熱アシスト磁気記録ヘッドシンバルアセンブリをヘッドジンバル保持部36にセットした(S71)。FPC基板を介して外部電源を用いて半導体レーザを駆動し(S72)し、半導体レーザ後方から光伝送手段37を介しスペクトラムアナライザを用いて半導体レーザの波長を検出した(S73)。同様の波長検出を検査用外部電源により半導体レーザの発光時間を変更しながら行ったところ(S74)、実施形態1と同様に正常品4品に対し、1品だけが半導体レーザの波長が5〜10nm長くなっていることが分かった。本実施形態1と同様のレーザを使用したため半導体レーザの温度係数は0.377nm/℃と判明しており、不良品サンプルの半導体レーザの内部温度は正常品と比べ13.3〜26.5℃上昇していると推定された(S75)。熱アシスト磁気ヘッドでは、ハードディスク装置の内部温度を考慮して許容温度が決められており、実施形態1と同様に許容範囲を+10℃としていたため、内部温度が高いサンプルを不良品として除外することができた(S76)。
【0073】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 半導体レーザ搭載スライダ
2 磁気ディスク
3 サスペンション
4 ボイスコイルモータ
5 スピンドル
6 信号処理用LSI
7 半導体レーザ
8 サブマウント
9 磁気ヘッド部
10 スライダ基板
11 接着剤
11’接着剤硬化物
12 光導波路
13 近接場光発生素子
14 反射膜
15 発光点
16 メサ構造
17 メタライズ層
18 第1の保持部
19 移動部
20 第1の光検出手段
21 微調整移動部
22 第2の保持部
23 ロードビーム
24 サスペンション
25 FPC
26 第3の保持部
27 クランプ
28 フレクシャ部
29 レーザ搭載用穴部
30 電極パッド
31 引出配線
32 導電性硬化物
33 光伝送手段
34 光ファイバ
35 光ファイバ被覆部
36 ヘッドジンバル保持部
37 光検出手段
38 集光光学素子(レンズ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路が形成された磁気ヘッド部に、半導体レーザを保持するサブマウントが固定され、前記半導体レーザから発生されたレーザ光が前記磁気ヘッド部の前記光導波路に入射される熱アシスト磁気ヘッドを検査する熱アシスト磁気ヘッド検査装置において、
前記半導体レーザの発振波長を測定するスペクトラムアナライザと、
前記半導体レーザからの出射光を前記スペクトルアナライザに導くための光伝送手段と、
前記スペクトラムアナライザにて取得した波長を元に前記半導体レーザの温度を算出する計算部とを有し、
前記半導体レーザを発光時間割合を変えながら駆動し、前記計算部にて算出した半導体レーザの温度が予め設定した温度範囲外となったとき、不良品と判定することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱アシスト磁気ヘッド検査装置において、前記光伝送手段は、集光光学素子及び光ファイバであることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の熱アシスト磁気ヘッド検査装置において、前記スペクトラムアナライザはツェルニ・ターナー型分光器であることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の熱アシスト磁気ヘッド検査装置において、第1の発光時間割合をT1、第2の発光時間割合をT2とするとき、区間T1からT2までの合格熱アシスト磁気ヘッドの半導体レーザを基準としたときの被検熱アシスト磁気ヘッドの半導体レーザの波長シフト量の二乗平均平方根をΔλrms、被検熱アシスト磁気ヘッドの半導体レーザの発振波長をλLD、合格熱アシスト磁気ヘッドの半導体レーザの発振波長をλref、前記半導体レーザの発振波長の温度係数をα(nm/deg)、許容温度範囲をQとするとき、下式を満たす被検熱アシスト磁気ヘッドを合格品と判定することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド検査装置。
【数1】

【請求項5】
請求項4に記載の熱アシスト磁気ヘッド検査装置において、前記許容温度範囲Qは10〜40℃であり、前記半導体レーザ発振波長の温度係数αが0.2〜0.4nm/degを満たすことを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド検査装置。
【請求項6】
光導波路が形成された磁気ヘッド部に、半導体レーザを保持するサブマウントが固定され、前記半導体レーザから発生されたレーザ光が前記磁気ヘッド部の前記光導波路に入射される熱アシスト磁気ヘッドの検査方法であって、
発光時間割合を変えながら前記半導体レーザを駆動し、出射光の波長を検出する第1のステップと、
前記検出した出射光の波長をもとに前記半導体レーザの温度を推定する第2のステップと、
前記第2のステップで推定した前記半導体レーザの温度が予め設定した温度範囲外となったとき、不良品と判定する第3のステップと、
を有することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッドの検査方法。
【請求項7】
請求項6に記載の熱アシスト磁気ヘッドの検査方法において、
前記第2のステップでは、メモリに記憶している前記半導体レーザの発振波長と温度の関係を参照して前記半導体レーザの温度を推定することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド検査方法。
【請求項8】
請求項6に記載の熱アシスト磁気ヘッドの検査方法において、
前記第3のステップでは、前記推定した温度が標準品に対し+10℃以上となったものを不良品することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−97819(P2013−97819A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236408(P2011−236408)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】